説明

振れ止め具

【課題】 振れ止め具の戸枠への取り付け及びレールに対する位置調整を容易に行いつつ、戸枠の振れ及びレールからの脱却を確実に防止する。
【解決手段】 振れ止め具10は、サッシのレール2上を移動する戸枠1の上方に設置される。この振れ止め具10は、戸枠1に固定して取り付けられる固定部材12と、この固定部材12に摺動自在に取り付けられる移動部材14とを有する。固定部材12は、レール2に下方から弾性的に係合する係合片16を有している。移動部材14は、固定本体12に対する任意の位置で固定本体12に締め付け固定することができる。移動部材14の上端には、レール2に跨る溝部14aが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、網戸や引き戸等のレール上を移動する戸枠が、移動の際にぶれたりレールから脱却するのを防止する振れ止め具の改良に関し、特に、取り付け及び位置調整を容易に行うことに関するものである。
【背景技術】
【0002】
網戸や引き戸等を設置する際には、サッシの上下のレール間に、戸枠の上下枠を取り付けるが、網戸等を移動させる際に戸枠がぶれて円滑に開閉することができなかったり、あるいは、戸枠がサッシから外れるのを防止するために、戸枠の上側に、レールに跨って設置される振れ止め具を取り付けることが多い。
【0003】
この振れ止め具は、一般に、戸枠に取り付けられるストッパーと、このストッパーに対して摺動可能に設置されレールに弾性的に係合する係合片を有する本体とから成り、係合片の位置(係合片を有する本体の位置)を、レールに対する戸枠の位置に応じて調整した上で、本体をストッパーと共に螺旋により戸枠に締め付けて取り付けることにより、係合片をレールに係合させて、戸枠の振れ止めやレールからの脱却を防止するものである。
【0004】
このような振れ止め具は、従来、本体を適切な位置に位置決めした後、本体とストッパーの両者を貫通するように配設された螺旋により、戸枠に固定して取り付けられていた(例えば、特許文献1等参照)。
【0005】
しかし、このように、固定部材と移動部材とを同じ螺旋で同時に戸枠に固定すると、例えば、係合片の位置を再度調整する必要が生じた場合等に、螺旋を緩めるとストッパーの戸枠への固定も解除され、本体のみならず、再度、ストッパーも含めて、位置決めから始めなければならず、取り付け作業に手間がかかる問題があった。また、従来の振れ止め具は、専ら係合片のみがレールに跨るため、必ずしも充分に戸枠の振れやレールからの脱却を防止することができないおそれもあった。
【特許文献1】特開2001−27068号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、上記の問題点に鑑み、戸枠への取り付け及びレールに対する位置調整を容易に行うことができつつ、戸枠の振れ及びレールからの脱却を確実に防止することができる振れ止め具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するための第1の手段として、レール上を移動する戸枠の上方に設置されレールに跨って戸枠の振れ及びレールからの脱却を防止する振れ止め具であって、この振れ止め具は、戸枠に固定して取り付けられる固定部材と、この固定部材に摺動自在に取り付けられる移動部材とを有し、この移動部材は固定本体に対する任意の位置で固定本体に締め付け固定されることを特徴とする振れ止め具を提供するものである。
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するための第2の手段として、上記第1の解決手段において、移動部材は、レールに跨る溝部を有することを特徴とする振れ止め具を提供するものである。
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するための第3の手段として、上記第1又は第2のいずれかの解決手段において、移動部材は、固定部材に設けられ固定部材を戸枠に取り付けるための貫通孔に、移動部材の外側からアクセスできるように開口する開口部を有していることを特徴とする振れ止め具を提供するものである。
【0010】
本発明は、上記の課題を解決するための第4の手段として、上記第1乃至第3のいずれかの解決手段において、固定部材は、レールに下方から弾性的に係合する係合片を有していることを特徴とする振れ止め具を提供するものである。
【0011】
本発明は、上記の課題を解決するための第5の手段として、上記第1乃至第4のいずれかの解決手段において、固定部材は、上方にレールに跨る溝部を有することを特徴とする振れ止め具を提供するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、上記のように、戸枠に固定される固定部材に対して移動可能な移動部材を設け、固定部材の戸枠への固定と移動部材の固定部材への固定とを分離したため、固定部材を固定したまま、移動部材の高さ位置のみを調整することができ、戸枠への取り付け及び位置調整を簡易に行うことができる実益がある。
【0013】
また、本発明によれば、上記のように、位置調整可能な移動部材にレールに跨る溝部を設けているため、固定部材に設けられる係合片と相俟って、戸枠の振れ止め及びレールからの脱却作用をより一層高めることができる実益がある。
【0014】
本発明によれば、上記のように、移動部材は、固定部材を戸枠に取り付けるための貫通孔に移動部材の外側からアクセスできるように開口する開口部を有しているため、移動部材が一体的に取り付けられた固定部材であるにもかかわらず、この開口部を通じてドライバ等を工具により固定部材を戸枠に簡易に固定することができる実益がある。
【0015】
本発明によれば、上記のように、固定部材にレールに下方から弾性的に係合する係合片を設けているため、戸枠の振れ止め及びレールからの脱却を安定的にかつ確実に行うことができる実益がある。
【0016】
本発明によれば、上記のように、固定部材の上方にもレールに跨る溝部が形成されているため、固定部材に設けられる係合片と相俟って、戸枠の振れ止め及びレールからの脱却作用をより一層高めることができる実益がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明すると、図1及び図2は、本発明の振れ止め具10を示し、この振れ止め具10は、図1及び図2に示すように、網戸等の戸枠1の上方に設置されて、サッシのレール2に跨って戸枠1の振れ及びレール2からの脱却を防止するものである。
【0018】
この振れ止め具10は、図1及び図2に示すように、戸枠1に固定して取り付けられる固定部材12と、この固定部材12に摺動自在に取り付けられる移動部材14とを有している。
【0019】
固定部材12は、図1及び図2に示すように、貫通孔12Aを有し、この貫通孔12Aに固定部材12を戸枠1に取り付けるための螺旋18を貫通させて、戸枠1に締め付けることにより戸枠1に固定して取り付けられる。
【0020】
また、この固定部材12は、図1及び図2に示すように、サッシのレール2に、下方から弾性的に係合する係合片16を有している。この係合片16は、図1及び図2に示すように、固定部材12から延びる支持部12Bに枢支されると共に、上方へ移動するようにばね付勢され、支持部12Bの上端に形成された図示しないストッパによりその上方への変位が規制されている。
【0021】
また、この係合片16は、図1及び図2に示すように、先端にサッシのレール2に跨る溝部16aを有している。従って、戸枠1とサッシのレール2との間の間隔に関わらず係合片が上方へ変位しようとして、この溝部16aがレール2に跨り、戸枠1がレール2から外れたり、戸枠1の移動の際に戸枠1が振れるのを、安定的にかつ確実に防止することができる。なお、固定部材12は、係合片16の溝部16aが、レール2に当接する高さ位置に取り付ける。この場合、少なくとも、ばねによる上方への付勢力に抗して、係合片16が若干押し下げられる程度の高さ位置に設定することが望ましい。これにより、溝部16aを確実にレール2に当接させることができる。
【0022】
また、この固定部材12の上方にも、図1及び図2に示すように、サッシのレール2に跨る溝部12aが形成されている。従って、この固定部材12の溝部12a内にサッシのレール2を挿入するようにして、戸枠1をレール2に取り付けると、係合片16と相俟って、戸枠1の振れ止め及びレール2からの脱却作用をより一層高めることができる。なお、この固定部材12の溝部12aは、図1及び図2に示すように、係合片16を水平位置まで倒した場合に、その係合片16と同じ高さ位置となる位置まで、深く切り込んで形成される。
【0023】
一方、移動部材14は、図1及び図2に示すように、固定部材12に形成された摺動レール12Cに係合して、固定部材12に対して摺動レール12Cに沿ってスライドすることができる。また、この移動部材14は、図1及び図2に示すように、固定本体12に対する任意の位置で、固定本体12に、螺旋20により、締め付け固定することができる。
【0024】
従って、移動部材14は、固定部材12を固定したままで、かつ、固定部材12の取付高さ位置とは関係なく、独自に位置調整及び固定することができる。このため、戸枠1の上端から係合片16の溝部16aまでの距離に合わせて、その高さ位置を調整することができる。
【0025】
即ち、図1に示すように、例えば、戸枠1の上端から係合片16の溝部16a(レール2)までの距離が長い場合には、移動部材14を上方にスライドさせて固定部材12に固定し、戸枠1の上端から係合片16の溝部16a(レール2)までの距離が図1よりも短い場合には、図2に示すように、移動部材14を下方に位置決めして、固定部材12固定することができるに。この場合、固定部材12の戸枠1への取り付け自体には、何ら変更を加える必要がなく、移動部材14を固定部材12に締め付けるねじ20の締付具合を調整するだけで、移動部材14の位置変更を行うことができる。
【0026】
なお、この移動部材14の固定部材12に対する変位量は、上方側へは摺動レール12Cの上端により、下方側へは移動部材14を締め付ける螺旋20を固定部材12の下端に設けられたストッパ12bに当接させることにより規制することができる。この場合、移動部材14を固定部材12に対して最も下の位置に設置した場合にも、後述する移動部材14の溝部14aが、固定部材12の溝部12aと同じ高さ位置となる位置まで変位できるように設定する。
【0027】
また、この移動部材14は、図1及び図2に示すように、その上端に、サッシのレール2に跨る溝部14aを形成することが望ましい。この高さ位置を調整することができる移動部材14aの溝部14aをサッシのレール2に跨らせることにより、係合片16の溝16a及び固定部材12の溝部12aと相俟って、振れ止め具10を複数の箇所でレール2に跨らせることができるため、戸枠1の振れ止め及びレール2からの脱却作用をより一層高めることができる。
【0028】
また、移動部材14には、その側面に、図1に示すように、開口部14bが形成されている。この開口部14bは、移動部材14の外側から図示しないドライバ等の工具を挿入して、固定部材12の貫通孔12Aにアクセスするためのものである。そのため、開口部14bは、図1に示すように、移動部材14の固定部材12に対する変位量に合わせた長さを有し、従って、移動部材14をどの高さ位置に調整した場合であっても、この開口部14bを通じて、固定部材12の貫通孔12Aに螺旋18を締め付けて、固定部材12を戸枠1に簡易に固定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明の振れ止め具は、網戸や引き戸等の戸枠により、サッシのレールに取り付けられる戸に広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の振れ止め具の側面図である。
【図2】本発明の振れ止め具の他の実施の形態の側面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 戸枠
2 サッシのレール
10 振れ止め具
12 固定部材
12A 貫通孔
12B 支持部
12C レール
12a 溝部
12b ストッパ
14 移動部材
14a 溝部
14b 開口部
16 係合片
16a 溝部
18 螺旋
20 螺旋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レール上を移動する戸枠の上方に設置され前記レールに跨って前記戸枠の振れ及びレールからの脱却を防止する振れ止め具であって、前記振れ止め具は、前記戸枠に固定して取り付けられる固定部材と、前記固定部材に摺動自在に取り付けられる移動部材とを有し、前記移動部材は、前記固定本体に対する任意の位置で前記固定本体に締め付け固定されることを特徴とする振れ止め具。
【請求項2】
請求項1に記載された振れ止め具であって、前記移動部材は、前記レールに跨る溝部を有することを特徴とする振れ止め具。
【請求項3】
請求項1又は請求項2のいずれかに記載された振れ止め具であって、前記移動部材は、前記固定部材に設けられ前記固定部材を前記戸枠に取り付けるための貫通孔に、前記移動部材の外側からアクセスできるように開口する開口部を有していることを特徴とする振れ止め具。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載された振れ止め具であって、前記固定部材は、前記レールに下方から弾性的に係合する係合片を有していることを特徴とする振れ止め具。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載された振れ止め具であって、前記固定部材は、上方に前記レールに跨る溝部を有することを特徴とする振れ止め具。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−283491(P2006−283491A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−107687(P2005−107687)
【出願日】平成17年4月4日(2005.4.4)
【出願人】(503461010)共栄ネット販売株式会社 (4)
【Fターム(参考)】