振動によって液状化する物質の物性測定方法及び装置
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば超硬練りコンクリートのように、振動によって液状化して粘弾性体の性状を呈する物質の物性を測定する方法と装置に関する。
【0002】
【従来の技術】通常のコンクリートに比べて単位水量が著しく少ない(水/セメント比が約40%以下)超硬練りコンクリートの成形には、振動と上載荷重とを同時に加える振動締め固め法が採られている(例えば、特公昭45−36305号公報、実公昭57−42635号公報、特開平2−25303号公報参照)。この方法によれば、セメントペーストの量が少なくとも、骨材間隔を小さくして付着強度を増加させることができるので、少ないセメント量で所要の強度が得られしかもコンクリート本来の品質向上も図れる。そしてまた、即時脱型による経済性や、生産の多様化への対応性や、生産の自動化への適応性など、工場生産にとっても非常に有利である。
【0003】通常のコンクリートについては、その物性(粘性抵抗やワーカビリティー等)を測定する種々の方法が既に提案され、満足できるものは少ないが、それなりの精度は得られている。しかし、通常のコンクリートに対して行っている測定法は、フレシッコンクリート自体が初めから液状に流動するから実現できているものであり、当初は見掛け上、粉粒体と変わらず、振動締め固めをしなければ液状化しない超硬練りコンクリートには適用できない。超硬練りコンクリートは、振動締め固めを行う以前の粉粒状態での物性を捉えてもほとんど意味がなく、振動締め固め過程での物性を動的に捉えて初めてその性質を把握できるものである。
【0004】超硬練りコンクリートは上記のような利点があるにも拘わらず、従来はその振動締め固め過程での物性を測定する方法がなかったので、振動締め固め条件の設定や配合調整や骨材の選択などは、人の経験と勘に頼らざるを得なかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、超硬練りコンクリートのように、振動によって液状化して粘弾性体の性状を呈する物質の物性を、振動締め固め過程で動的にかつ容易に測定することができる測定方法及び測定装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明による測定方法は、振動によって液状化する物質を容器に入れて、吊り下げた球状体を物質中に埋入させ、この物質に上載荷重及び振動を与えながら球状体の垂直方向の変位と、物質中又は物質を伝播してきた振動を検出する。なお、本発明において「球状体」とは、文字通りの球体に限らず、球の変形体(例えば楕円球)や多面体をも含むものとする。
【0007】球状体に取り付けたセンサによって物質中の振動を検出するのが良い。球状体の重量を平衡重錘の重量と平衡させて、空気中における球状体の重量を0にしておけば、容器内の物質が液状化したときその浮力によって球状体を浮上させることができる。球状体は一定の引上げ力で物質中を引き上げても良い。
【0008】容器に対して垂直方向に変位可能な加圧体によって物質に上載荷重を与えることができる。この場合、加圧体の垂直方向の変位を直接又は間接的に検出する。また、この加圧体の振動を検出すれば、物質を伝播してきた振動を間接的に検出できることになる。容器を振動機で振動させて物質に振動を与えることができる。この場合、物質中又は物質を伝播してきた振動との比較を行えるように、振動機の励振振動を検出する。
【0009】本発明の第1の形態の測定装置は、振動によって液状化する物質を入れる上面開口した容器と、この容器に振動を与える振動機と、容器内の物質に上載荷重を与えるためこの容器に対して垂直方向に変位自在な加圧体と、振動を検出するセンサを内蔵した球状体と、この球状体を容器内の物質中に埋入させた状態で垂直方向に変位可能に吊り下げる吊り下げ機構と、この吊り下げ機構を介して球状体と重量を平衡させる平衡重錘と、この平衡重錘又は吊り下げ機構の垂直方向の変位を検出することにより球状体の垂直方向の変位を容器外で間接的に検出する第1の変位センサと、加圧体の垂直方向の変位を検出する第2の変位センサとからなる。
【0010】本発明の第2の形態の測定装置は、振動によって液状化する物質を入れる上面開口した容器と、この容器に振動を与える振動機と、容器内の物質に上載荷重を与えるためこの容器に対して垂直方向に変位自在な加圧体と、球状体と、この球状体を容器内の物質中に埋入させた状態で垂直方向に変位可能に吊り下げる吊り下げ機構と、この吊り下げ機構を介して球状体に一定の引上げ力を与える引上げ用重錘と、この引上げ用重錘又は吊り下げ機構の垂直方向の変位を検出することにより球状体の垂直方向の変位を容器外で間接的に検出する第1の変位センサと、加圧体の垂直方向の変位を検出する第2の変位センサと、加圧体の振動を検出するセンサとからなる。
【0011】
【作用】容器内の物質が、上載荷重及び振動を与えられて液状化すると、吊り下げられている球状体が、一旦下降した後、又は下降することなく物質中を上昇していく。この変位を容器外で検出すると同時に、物質の振動を検出すると、その振幅の変化と球状体の運動の推移の両方から、液状化していく過程を時々刻々に捉えて液状化の発現の時期を推定することができるとともに、締め固めの進行状況や粘性の変化等を動的に捉えることができ、コンクリートの場合には、振動締め固めによる液状化の発現の時期とワーカビリティーとの関係などを知ることができる。また、球状体の変位からその速度が得られるため、締め固め過程での粘性係数等の測定も可能になる。更に、与える振動の振動数やその強度、コンクリートの場合には水/セメント比などの条件を変えることで、それとの関係も知ることができる。
【0012】また、上載荷重を加える加圧体の変位を検出すれば、加圧体の沈降速度の減衰から締め固めの完了時期を推定することができ、しかも物質の振動の振幅と球状体の変位という2つのファクタに、加圧体の変位(沈降速度)というファクタも加わるため、液状化の発現の時期の推定や締め固めの進行状況の把握やワーカビリティーの判定などがより正確かつ容易になる。
【0013】球状体の変位及び加圧体の変位の両方とも、容器外で検出できる。また、球状体に取り付けたセンサで振動を検出する場合には、垂直方向に変位可能に吊り下げられた球状体のそのときの位置での物質中の振動を直接検出することになり、加圧体に備えたセンサで振動を検出する場合には、物質中を伝播してきた振動を外部で間接的に検出することになる。すなわち、球状体の変位と加圧体の変位と物質の振動のいずれの検出も、超硬練りコンクリートの実際の成形時と同様に、型枠に代わる容器を加圧体で閉じて密閉状態にしたまま行えるので、実際の成形工程に合わせた測定を行うことができる。
【0014】
【実施例】以下、本発明の実施例とその実験結果を図面を参照して説明する。
【0015】図1は本発明の第1実施例の測定装置を示す。この測定装置は、一対の振動機1を取り付けた振動テーブル2上に容器3を固定し、また球状体4を、吊り下げ機構5によって図示しないフレームから吊り下げるとともに、加圧体6を、吊り下げ機構7によって同じフレームから吊り下げている。振動テーブル2は、空気圧クッションを利用した複数のダッシュポット(緩衝制動器)8及び複数の支持スプリング9を介してベース10上に水平に支持されている。この振動テーブル2が振動機1により振動されると、容器3もこれと一体に振動する。容器3は、、本例の場合、コンクリートの成形型を模したもので、上面が開口した有底の縦長円筒状で、かつ硬化後のコンクリートを容易に取り出すことができるように、2つ割り構造になっている。
【0016】加圧体6は、容器3の内径より僅かに小さい外径の厚い円盤状で、吊り下げ機構7で吊り下げたまま容器3内に自在に挿入させることができる。この加圧体6の中央には、上下に貫通する小さい孔11が設けられている。
【0017】吊り下げ機構7は、上記フレームに、第1組の2つの滑車12・12を同じ軸線上に軸支するとともに、第2組の2つの滑車13・13を同様に同じ軸線上に軸支し、これら2組の滑車にワイヤ14を2つの部分に分けて掛け、第1組の2つの滑車12・12から垂下させたワイヤ14の2本の垂直部分14a・14aの下端を加圧体6の上面に接続して、これら2本の垂直部分14a・14aで加圧体6を水平状態に保持できるように吊り下げる一方、第2組の2つの滑車13・13から垂下したワイヤ14の他方の2本の垂直部分14b・14bがU字状に連続する部分に吊車15を掛け吊りしたものである。この吊車15の軸16には、上載荷重調整用重錘17を着脱自在に懸垂できるようになっている。第1組の2つの滑車12・12から垂下したワイヤ14の2本の垂直部分14a・14aの中間には、加圧体6から伝達してくる振動を絶縁するためスプリング18・18を介在させてある。
【0018】一方、球状体4の吊り下げ機構5は、上記フレームに軸支された2つの滑車19・20に1本のワイヤ21を掛け、滑車19から垂下させたワイヤ21の垂直部分21aを加圧体6の孔11に挿通させてこの垂直部分21aの下端に球状体4を接続する一方、この球状体4の空気中における重量を0にするため、滑車20から垂下させたワイヤ21の垂直部分21bの下端に平衡重錘22を着脱可能に接続したものである。滑車19から垂下させたワイヤ21の垂直部分21aの中間には、球状体4から伝達してくる振動を絶縁するためスプリング23を介在させてある。
【0019】球状体4は、表面が滑らかなプラスチック球体又は金属球体の内部に、コンクリート中の振動を検出する第1の振動センサ24を内蔵したものである。また、加圧体6の上面には、コンクリートを伝播してきた振動を検出する第2の振動センサ25が取り付けられ、更に振動機1の励振振動を検出するため、振動テーブル2上に第3の振動センサ26が取り付けられている。これら振動センサ24・25・26として本例では加速度センサを使用している。
【0020】また、上記フレームには、平衡重錘22の垂直方向の変位量を検出する第1のレーザ変位計27と、上載荷重調整用重錘17の垂直方向の変位量を検出する第2のレーザ変位計28とがそれぞれ所定の高さ位置に固定されている。平衡重錘22は、球状体4が下降するとその変位量だけ上昇し、球状体4が上昇するとその変位量だけ下降するので、第1のレーザ変位計27は、球状体4の垂直方向の変位量を容器3の外部で間接的に検出することになる。また、上載荷重調整用重錘17は、加圧体6が下降するとその変位量だけ上昇し、加圧体6が上昇するとその変位量だけ下降するので、第2のレーザ変位計28は、加圧体6の垂直方向の変位量を間接的に検出することになる。
【0021】図1に示した測定装置によって超硬練りコンクリートの物性を測定するには、次のようにする。球状体4が、空の容器3内の所定の高さ位置で宙吊り状態を維持するように、容器3外でワイヤ21を一時的に固定しておく。この状態で容器3内に粉粒状のフレッシュコンクリート29を投入し、球状体4がフレッシュコンクリート29中に完全に埋入されたらワイヤ21の固定を解除して球状体4をフレッシュコンクリート29中に解放し、更にフレッシュコンクリート29を容器3内に所定の高さまで投入する。そして、振動機1を起動してから加圧体6をフレッシュコンクリート29上に載置し、容器3内のコンクリート29を振動締め固めながら、コンクリート29中の振動を振動センサ(加速度センサ)24で、加圧体6の振動を振動センサ(加速度センサ)25で、振動テーブル2の振動を振動センサ(加速度センサ)26でそれぞれ検出するとともに、平衡重錘22の垂直方向の変位をレーザ変位計27で、上載荷重調整用重錘17の垂直方向の変位をレーザ変位計28でそれぞれ検出する。
【0022】次に、図2に示した本発明の第2実施例の測定装置について説明する。この測定装置は、図1に示した第1実施例の測定装置と次の点が相違する。すなわち、図1の例では振動センサ24を内蔵した球状体4を使用し、これを平衡重錘22と平衡させたが、図2の例では、振動センサを備えない単なる球体(例えば鋼球)である球状体30を使用する。また、この球状体30を所定の引上げ力で強制的に引き上げことができるようにするため、平衡重錘22に加えて引上げ用重錘31を使用する。これら重錘22・31と球状体30とを連結するワイヤ21の垂直部分21aの中間に、引上げ用重錘31の荷重を電気的に検出するロードセル32と、その検出された荷重を表示する荷重計33とを介在させる。この荷重計33はスプリングを備えているので、球状体30から伝達してくる振動をこのスプリングにより絶縁できる。加圧体6の振動及び振動テーブル2の振動は図1R>1の例と同様に振動センサ25・26によりそれぞれ検出する。
【0023】図2に示した測定装置によって超硬練りコンクリートの物性を測定するには、次のようにする。球状体30が、空の容器3内の所定の高さ位置で宙吊り状態を維持するように、容器3外でワイヤ21を一時的に固定しておく。この状態で容器3内に粉粒状のフレッシュコンクリート29を所定高さまで投入して球状体30をフレッシュコンクリート29中に完全に埋入させる。そして、振動機1を起動してから加圧体6をフレッシュコンクリート29上に載置し、容器3内のコンクリート29を振動締め固めながら、加圧体6の振動を振動センサ(加速度センサ)25で、振動機1の励振振動を振動センサ26でそれぞれ検出する。コンクリート29の締め固めがある程度進行して加圧体6の沈降が終息したと推定される時点に、ワイヤ21の固定を解除して球状体30をコンクリート29中に解放し、この球状体30を、引上げ用重錘31による荷重と球状体30に働く浮力とでコンクリート29中を強制的に引上げながら、引上げ用重錘31の垂直方向の変位をレーザ変位計27で検出するとともに、振動センサ25・26によって引き続き振動を検出する。
【0024】図1の構造の測定装置により上述のような方法で実験を行った。この場合、球状体4の直径38.0mm、体積28.73cc、重量45g、密度1.57g/cm3 とした。この球状体4のコンクリート中での浮力は70gfである。また、容器3の内径(直径)150mm、加圧体6の重量13.5Kgとし、その加圧力を上載荷重調整用重錘17により0.038Kg/cm2 に調整した。そして、フレッシュコンクリート29の水/セメント比を変え、そのそれぞれの場合ついて振動センサ24・25・26により加速度を、レーザ変位計27により球状体4の垂直方向の変位を、レーザ変位計28により加圧体6の垂直方向の変位を同時に計測した。但し、フレシュコンクリート29の量は、いずれの水/セメント比についても容器3内での高さが約300mm程度になるようにした。
【0025】図3から図7に検出波形を示し、図3はフレッシュコンクリート29の水/セメント比が35%の場合、図4は36%の場合、図5は38%の場合、図6は40%の場合、図7は42%の場合で、いずれの場合も、振動機1の励振振動数は85Hz、その励振加速度は12Gの条件下で、フレッシュコンクリート29の投入開始から350秒間計測したものである。これらの図は、横軸に、フレッシュコンクリート29の投入開始からの振動締め固め時間を、縦軸に検出波形の高さをとってあり、(1)は球状体4の変位を検出するレーザ変位計27の出力波形、(2)は加圧体6の変位を検出するレーザ変位計28の出力波形、(3)はコンクリート29内の振動を検出する振動センサ24の出力波形(加速度振幅波形)、(4)は加圧体6の振動を検出する振動センサ25の出力波形(加速度振幅波形)を表している。以下、(1)を球状体変位波形、(2)を加圧体変位波形、(3)をコンクリート加速度振幅波形、(4)を加圧体加速度振幅波形と言う。
【0026】代表として水/セメント比が38%の場合につき図8に別記して検出波形の解説をする。なお、単位の異なる4つの波形を同一の時間軸(横軸)上に示すため、縦軸には目盛りを付さず、縦軸の左側に凡例として各波形の大きさの標準を付記してある。
【0027】(1)の球状体変位波形から分かるように、球状体4は、フレッシュコンクリート 29中に解放されると一旦は下降し、c時点から上昇に転じている。一方、加圧体6は、(2)の加圧体変位波形から分かるように、フレッシュコンクリート29上に載置したb時点からほぼc時点までの間は急速に下降するが、その後は緩やかに下降している。また、(3)のコンクリート加速度振幅波形から分かるように、コンクリート29中の加速度振幅は、加圧体6をコンクリート29上に載置したb時点から急峻に大きくなり、c時点付近で減衰して以後は同じような大きさが継続している。一方、加圧体6の加速度振幅は、(4)の加圧体加速度振幅波形から分かるように、加圧体6をコンクリート29上に載置したb時点からランダムな変化を示しているが、c時点まではいかない段階で終息し、以後は大きく変化することなく次第に大きくなっている。
【0028】このようなことから、コンクリート29の振動締め固め中における物性を次のように初期と中期と終期の3つの段階に分けることができる。
初期段階(図8の横軸上に示した0からcの期間)
コンクリート中の空気の放出が行われ、加圧体6(コンクリート上面)が急速に沈下し、機械的な加圧締め固めが行われる過程である。
中期段階(cからdの期間)
コンクリートの粘性と弾性の同時作用により、締め固めが促進される過程で、粒子間の間隔が最小に近づく。球状体4の沈降が一旦止まって、上昇運動(浮上)に移り、加速度振幅波形(3)及び(4)も小さくなる。加圧体6の沈降は急速ではないが継続する。
終期段階(dからeの期間)
コンクリート29の粘性が卓越し、その液状化(粘弾性体の性状)が進行する液状化・付加加圧過程である。球状体4は浮上していくが、加圧体6の沈降速度は最小になる。
【0029】このような3段階の区分けは、図8(図5R>5)の場合(水/セメント比38%)よりも、水/セメント比が小さい図3の場合(水/セメント比35%)及び図4の場合(水/セメント比36%)の方がより明瞭であり、水/セメント比が大きい図6の場合(水/セメント比40%)及び図7の場合(水/セメント比42%)には明瞭さが低いことが分かる。また、これらの図を比較することにより、水/セメント比と物性の変化の関係も判定できる。なお、図6と図7とを比較すると、図7の方が図6よりも区分けが明瞭であるが、これは測定ムラによる。一般に超硬練りコンクリートとは、水/セメント比が40%以下のものを言うが、図7は、40%を越えても3段階の区分けが可能であることを示している。
【0030】上記の実験結果から、コンクリート中の加速度振幅及び加圧体4の加速度振幅が急速に鎮静化し、一旦下降した球状体4が浮上に移行するときをもって液状化の発現の時期と推定することができる。また、加圧体6の沈降速度の減衰から締め固めの完了時期を推定することができる。そして、このことからコンクリートの液状化とワーカビリティーの関係、及び締め固め完了とワーカビリティーの関係を判定することができる。
【0031】液状化の発現時期の推定は、上記のように球状体4の挙動のみからでも可能であるが、更にコンクリート中の加速度振幅波形の鎮静化までの時間も加味すれば、より確実になる。図9に、振動センサ24が捉える加速度振幅波形(3)の鎮静化の時期と、球状体変位波形(1)の浮上曲線が僅かに屈折する時期(この時期を液状化の終了時期と推定)との関係を示す。この場合、振動機1の励振振動数は85Hz、励振加速度は12Gとし、コンクリートの練置き時間を2分にしたときの測定値と17分にしたときの測定値の平均を求め、横軸に水/セメント比(%)、縦軸に時間(秒)をとっている。また、図10に、水/セメント比と、コンクリート中の加速度振幅が減衰するまでの時間との関係を示す。この図は、横軸に水/セメント比(%)、縦軸に時間(秒)をとり、振動機1の励振振動数は85Hzに固定して、その励振加速度が10Gの場合を(A)、12Gの場合を(B)、13Gの場合を(C)、14Gの場合を(D)に示す。また、コンクリートの練置き時間を2分にしたときの測定値を破線で結び、17分にしたときの測定値を実線で結んで表している。
【0032】図9から、またこの図と図10との比較から、球状体変位波形(1)の浮上曲線が僅かに屈折するまでの時間と、コンクリート中の加速度振幅が減衰するまでの時間とは近似関係にあることが分かる。また、励振加速度が13Gないし14Gでは、コンクリートが液状化するまでの時間が短いので、実際の成形条件としては良いが、ワーカビリティーの判定には、励振加速度が10Gないし12Gの範囲が、水/セメント比と所要時間との関係が明瞭であるため好都合である。更に、練置き時間が測定値に関係していることから、練置き時間をワーカビリティーの判定の条件にすることが必要である。なお、より正確な判定を期すためには、測定時の気温、湿度などのコンクリートの性状に影響を及ぼす要素について補正をすることが必要である。
【0033】加圧体6の沈降の変化は、上記のようにコンクリートの締め固めの進行と関係している。そこで、加圧体6の沈降速度を、レーザ変位計28で測定した変位量を時間微分することにより得て、その値がある時間内(例えば7秒)に一定以下(例えば0.1mm以下)になる時点をもって締め固めの完了と推定することができる。また、コンクリート中の加速度振幅の変化もコンクリートの締め固めの進行と関係しているので、この加速度振幅が鎮静化するまでの時間からも締め固めの完了を推定することが可能である。
【0034】また、球状体4の浮上速度から次のようにコンクリート29の粘性係数を求めることができる。すなわち、球状体4の平均浮上速度は、図8において、例えばc時点からe時点までの時間tと、その時間tでの変位量hからh/tで与えられ、これは球状体4とコンクリート29との相対速度と見做すことができる。c時点からe時点まで期間は、上記のようにコンクリート29が粘弾性体の性状を呈し、この中を球状体4が垂直に上昇するので、極めて小さいレイノルズ数の流れの中を球体が直線運動するときに成立する次の式を適用できる。この式は、図2の例のように球状体30を強制的に引き上げる場合にも同様に適用できる。但し、この場合は、球状体30の引き上げ速度をコンクリート29との相対速度と見做すことができる。
【0035】F=3πμUDここに、Fは球体の引上げ力(N)、μは粘性係数(KN・s・m-2)、Uは球体とコンクリートとの相対速度(m・s-1)、Dは球体の直径(m)、πは円周率である。Fは、図1の例のように球状体4が浮力のみで上昇する場合には、コンクリート中で働く浮力に置き換えることができ、図2の例の場合は引上げ用重錘31による荷重である。
【0036】図11に、図1の測定装置による球状体4の浮上速度と、図2の測定装置による球状体30の引き上げ速度とを比較して示す。また、図12に、球状体4を浮上させた場合の粘性係数と、球状体30を引き上げた場合の粘性係数とを比較して示す。但し、球状体4の大きさ及びコンクリート中での浮力は上記のとおりである。また、球状体30の直径は28.5mmで、引上げ用重錘31の重量は1Kgfである。これらの図において、破線は球状体4の浮上させた場合、実線は球状体30の引き上げた場合である。また、振動機1の励振振動数は85Hzに固定して、その励振加速度が10Gの場合を(A)、12Gの場合を(B)、13Gの場合を(C)、14Gの場合を(D)に示す。図11は横軸に水/セメント比(%)、縦軸に速度(mm/s)をとっている。図12は横軸に水/セメント比(%)、縦軸に粘性係数μ(KN・s・m-2)をとっている。
【0037】図11から分かるように、球状体4の浮上速度は、水/セメント比が大きくなってもほとんど変わらないが、球状体30の引き上げ速度は水/セメント比が大きくなるに従い大きくなっている。また、図12から分かるように、球状体4を浮上させた場合の粘性係数と球状体30を引き上げた場合の粘性係数とは、同じ水/セメント比でほぼ同じ値になっているか、若干の違いはあっても大差はなく、しかも水/セメント比の変化により同じような推移で変化している。2つの場合の粘性係数がこのように近似していることから、また水/セメント比の変化による粘性係数の変化が、2つの場合とも明瞭に現れていることから、粘性係数を精度良く測定できることを、相互に照合して証明していると言える。
【0038】前述のように図1の例では、コンクリート中の振動と加圧体6の振動と振動テーブル2の振動の3つの振動を検出し、また図2の例では、加圧体6の振動と振動テーブル2の振動の2つの振動を検出する。そこで、3つ又は2つの振動の位相差を取り出せば、コンクリートの物性の把握がより詳細になり、更には振幅比と位相差の面からもコンクリートの性状の判定が行える。
【0039】なお、上記の説明では、振動によって液状化する物質として超硬練りコンクリートを例にしたが、このような物質としては、例えばスラグや地震時に液状化する砂土などがあり、特にこのような砂土に対して本発明を適用すれば、地震時の地盤の液状化現象の把握及びその対策に役立てることができる。
【0040】
【発明の効果】本発明による効果を以下に列挙する。
■ 超硬練りコンクリート等の振動によって液状化する物質について、その振動締め固め過程での物性を、動的にかつ容易に測定することができる。
■ 液状化していく過程を時々刻々に捉えて液状化の発現の時期を推定することができるとともに、締め固めの進行状況や粘性の変化等を動的に捉えることができ、コンクリートの場合には、振動締め固めによる液状化の発現の時期とワーカビリティーとの関係などを知ることができる。
■ 球状体の変位からその速度が得られるため、締め固め過程での粘性係数等の測定も可能である。
■ 与える振動の振動数やその強度、コンクリートの場合には水/セメント比などの条件を変えることで、それとの関係も知ることができる。
■ 上載荷重を加える加圧体の変位を検出すれば、加圧体の沈降速度の減衰から締め固めの完了時期を推定することができ、しかも物質の振動の振幅と球状体の変位という2つのファクタに、加圧体の変位(沈降速度)というファクタも加わるため、液状化の発現の時期の推定や締め固めの進行状況の把握やワーカビリティーの判定などがより正確かつ容易になる。
■ 球状体に取り付けたセンサで振動を検出する場合には、垂直方向に変位可能に吊り下げられた球状体のそのときの位置での物質中の振動を直接検出できるので、物性の変化を正確に捉えることができる。また、コンクリートのコンシステンシーの研究にも役立つ。
■ 球状体の変位及び加圧体の変位の両方とも、容器外で検出でき、しかも球状体に取り付けたセンサで振動を検出する場合には、上記のように物質中の振動を直接検出でき、また加圧体に備えたセンサで振動を検出する場合には、物質中を伝播してきた振動を外部で間接的に検出することができるので、球状体の変位と加圧体の変位と物質の振動のいずれの検出も、超硬練りコンクリートの実際の成形時と同様に、型枠に代わる容器を加圧体で閉じて密閉状態にしたまま行えるので、実際の成形工程に合わせた測定を行うことができる。
■ 超硬練りコンクリートに限らず、地震時に液状化する砂土などの物性の把握にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の測定装置を示す概要構成図である。
【図2】第2実施例の測定装置を示す概要構成図である。
【図3】図1の測定装置で実験した検出波形を示す図で、コンクリートの水/セメント比を35%とした場合である。
【図4】コンクリートの水/セメント比を36%とした場合の同様の図である。
【図5】同じく水/セメント比を38%とした場合の図である。
【図6】同じく水/セメント比を40%とした場合の図である。
【図7】同じく水/セメント比を40%とした場合の図である。
【図8】コンクリートの水/セメント比が38%の場合を代表として検出波形の解説をするための図である。
【図9】図1の測定装置による実験結果から得られたコンクリート中の振動の加速度振幅波形の鎮静化の時期と、球状体変位波形の浮上曲線が僅かに屈折する時期との関係を示すグラフである。
【図10】同じく、水/セメント比とコンクリート中の加速度振幅が減衰するまでの時間との関係を示すグラフである。
【図11】図1の測定装置における球状体の浮上速度と図2の測定装置における球状体の引き上げ速度とを比較したグラフである。
【図12】図1の測定装置から得られた粘性係数と図2の測定装置から得られた粘性係数とを比較したグラフである。
【符号の説明】
1 振動機
2 振動テーブル
3 容器
4 球状体
5 球状体の吊り下げ機構
6 加圧体
7 加圧体の吊り下げ機構
17 上載荷重調整用重錘
22 平衡重錘
24・25・26 振動センサ(加速度センサ)
27・28 レーザ変位計
29 コンクリート
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば超硬練りコンクリートのように、振動によって液状化して粘弾性体の性状を呈する物質の物性を測定する方法と装置に関する。
【0002】
【従来の技術】通常のコンクリートに比べて単位水量が著しく少ない(水/セメント比が約40%以下)超硬練りコンクリートの成形には、振動と上載荷重とを同時に加える振動締め固め法が採られている(例えば、特公昭45−36305号公報、実公昭57−42635号公報、特開平2−25303号公報参照)。この方法によれば、セメントペーストの量が少なくとも、骨材間隔を小さくして付着強度を増加させることができるので、少ないセメント量で所要の強度が得られしかもコンクリート本来の品質向上も図れる。そしてまた、即時脱型による経済性や、生産の多様化への対応性や、生産の自動化への適応性など、工場生産にとっても非常に有利である。
【0003】通常のコンクリートについては、その物性(粘性抵抗やワーカビリティー等)を測定する種々の方法が既に提案され、満足できるものは少ないが、それなりの精度は得られている。しかし、通常のコンクリートに対して行っている測定法は、フレシッコンクリート自体が初めから液状に流動するから実現できているものであり、当初は見掛け上、粉粒体と変わらず、振動締め固めをしなければ液状化しない超硬練りコンクリートには適用できない。超硬練りコンクリートは、振動締め固めを行う以前の粉粒状態での物性を捉えてもほとんど意味がなく、振動締め固め過程での物性を動的に捉えて初めてその性質を把握できるものである。
【0004】超硬練りコンクリートは上記のような利点があるにも拘わらず、従来はその振動締め固め過程での物性を測定する方法がなかったので、振動締め固め条件の設定や配合調整や骨材の選択などは、人の経験と勘に頼らざるを得なかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、超硬練りコンクリートのように、振動によって液状化して粘弾性体の性状を呈する物質の物性を、振動締め固め過程で動的にかつ容易に測定することができる測定方法及び測定装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明による測定方法は、振動によって液状化する物質を容器に入れて、吊り下げた球状体を物質中に埋入させ、この物質に上載荷重及び振動を与えながら球状体の垂直方向の変位と、物質中又は物質を伝播してきた振動を検出する。なお、本発明において「球状体」とは、文字通りの球体に限らず、球の変形体(例えば楕円球)や多面体をも含むものとする。
【0007】球状体に取り付けたセンサによって物質中の振動を検出するのが良い。球状体の重量を平衡重錘の重量と平衡させて、空気中における球状体の重量を0にしておけば、容器内の物質が液状化したときその浮力によって球状体を浮上させることができる。球状体は一定の引上げ力で物質中を引き上げても良い。
【0008】容器に対して垂直方向に変位可能な加圧体によって物質に上載荷重を与えることができる。この場合、加圧体の垂直方向の変位を直接又は間接的に検出する。また、この加圧体の振動を検出すれば、物質を伝播してきた振動を間接的に検出できることになる。容器を振動機で振動させて物質に振動を与えることができる。この場合、物質中又は物質を伝播してきた振動との比較を行えるように、振動機の励振振動を検出する。
【0009】本発明の第1の形態の測定装置は、振動によって液状化する物質を入れる上面開口した容器と、この容器に振動を与える振動機と、容器内の物質に上載荷重を与えるためこの容器に対して垂直方向に変位自在な加圧体と、振動を検出するセンサを内蔵した球状体と、この球状体を容器内の物質中に埋入させた状態で垂直方向に変位可能に吊り下げる吊り下げ機構と、この吊り下げ機構を介して球状体と重量を平衡させる平衡重錘と、この平衡重錘又は吊り下げ機構の垂直方向の変位を検出することにより球状体の垂直方向の変位を容器外で間接的に検出する第1の変位センサと、加圧体の垂直方向の変位を検出する第2の変位センサとからなる。
【0010】本発明の第2の形態の測定装置は、振動によって液状化する物質を入れる上面開口した容器と、この容器に振動を与える振動機と、容器内の物質に上載荷重を与えるためこの容器に対して垂直方向に変位自在な加圧体と、球状体と、この球状体を容器内の物質中に埋入させた状態で垂直方向に変位可能に吊り下げる吊り下げ機構と、この吊り下げ機構を介して球状体に一定の引上げ力を与える引上げ用重錘と、この引上げ用重錘又は吊り下げ機構の垂直方向の変位を検出することにより球状体の垂直方向の変位を容器外で間接的に検出する第1の変位センサと、加圧体の垂直方向の変位を検出する第2の変位センサと、加圧体の振動を検出するセンサとからなる。
【0011】
【作用】容器内の物質が、上載荷重及び振動を与えられて液状化すると、吊り下げられている球状体が、一旦下降した後、又は下降することなく物質中を上昇していく。この変位を容器外で検出すると同時に、物質の振動を検出すると、その振幅の変化と球状体の運動の推移の両方から、液状化していく過程を時々刻々に捉えて液状化の発現の時期を推定することができるとともに、締め固めの進行状況や粘性の変化等を動的に捉えることができ、コンクリートの場合には、振動締め固めによる液状化の発現の時期とワーカビリティーとの関係などを知ることができる。また、球状体の変位からその速度が得られるため、締め固め過程での粘性係数等の測定も可能になる。更に、与える振動の振動数やその強度、コンクリートの場合には水/セメント比などの条件を変えることで、それとの関係も知ることができる。
【0012】また、上載荷重を加える加圧体の変位を検出すれば、加圧体の沈降速度の減衰から締め固めの完了時期を推定することができ、しかも物質の振動の振幅と球状体の変位という2つのファクタに、加圧体の変位(沈降速度)というファクタも加わるため、液状化の発現の時期の推定や締め固めの進行状況の把握やワーカビリティーの判定などがより正確かつ容易になる。
【0013】球状体の変位及び加圧体の変位の両方とも、容器外で検出できる。また、球状体に取り付けたセンサで振動を検出する場合には、垂直方向に変位可能に吊り下げられた球状体のそのときの位置での物質中の振動を直接検出することになり、加圧体に備えたセンサで振動を検出する場合には、物質中を伝播してきた振動を外部で間接的に検出することになる。すなわち、球状体の変位と加圧体の変位と物質の振動のいずれの検出も、超硬練りコンクリートの実際の成形時と同様に、型枠に代わる容器を加圧体で閉じて密閉状態にしたまま行えるので、実際の成形工程に合わせた測定を行うことができる。
【0014】
【実施例】以下、本発明の実施例とその実験結果を図面を参照して説明する。
【0015】図1は本発明の第1実施例の測定装置を示す。この測定装置は、一対の振動機1を取り付けた振動テーブル2上に容器3を固定し、また球状体4を、吊り下げ機構5によって図示しないフレームから吊り下げるとともに、加圧体6を、吊り下げ機構7によって同じフレームから吊り下げている。振動テーブル2は、空気圧クッションを利用した複数のダッシュポット(緩衝制動器)8及び複数の支持スプリング9を介してベース10上に水平に支持されている。この振動テーブル2が振動機1により振動されると、容器3もこれと一体に振動する。容器3は、、本例の場合、コンクリートの成形型を模したもので、上面が開口した有底の縦長円筒状で、かつ硬化後のコンクリートを容易に取り出すことができるように、2つ割り構造になっている。
【0016】加圧体6は、容器3の内径より僅かに小さい外径の厚い円盤状で、吊り下げ機構7で吊り下げたまま容器3内に自在に挿入させることができる。この加圧体6の中央には、上下に貫通する小さい孔11が設けられている。
【0017】吊り下げ機構7は、上記フレームに、第1組の2つの滑車12・12を同じ軸線上に軸支するとともに、第2組の2つの滑車13・13を同様に同じ軸線上に軸支し、これら2組の滑車にワイヤ14を2つの部分に分けて掛け、第1組の2つの滑車12・12から垂下させたワイヤ14の2本の垂直部分14a・14aの下端を加圧体6の上面に接続して、これら2本の垂直部分14a・14aで加圧体6を水平状態に保持できるように吊り下げる一方、第2組の2つの滑車13・13から垂下したワイヤ14の他方の2本の垂直部分14b・14bがU字状に連続する部分に吊車15を掛け吊りしたものである。この吊車15の軸16には、上載荷重調整用重錘17を着脱自在に懸垂できるようになっている。第1組の2つの滑車12・12から垂下したワイヤ14の2本の垂直部分14a・14aの中間には、加圧体6から伝達してくる振動を絶縁するためスプリング18・18を介在させてある。
【0018】一方、球状体4の吊り下げ機構5は、上記フレームに軸支された2つの滑車19・20に1本のワイヤ21を掛け、滑車19から垂下させたワイヤ21の垂直部分21aを加圧体6の孔11に挿通させてこの垂直部分21aの下端に球状体4を接続する一方、この球状体4の空気中における重量を0にするため、滑車20から垂下させたワイヤ21の垂直部分21bの下端に平衡重錘22を着脱可能に接続したものである。滑車19から垂下させたワイヤ21の垂直部分21aの中間には、球状体4から伝達してくる振動を絶縁するためスプリング23を介在させてある。
【0019】球状体4は、表面が滑らかなプラスチック球体又は金属球体の内部に、コンクリート中の振動を検出する第1の振動センサ24を内蔵したものである。また、加圧体6の上面には、コンクリートを伝播してきた振動を検出する第2の振動センサ25が取り付けられ、更に振動機1の励振振動を検出するため、振動テーブル2上に第3の振動センサ26が取り付けられている。これら振動センサ24・25・26として本例では加速度センサを使用している。
【0020】また、上記フレームには、平衡重錘22の垂直方向の変位量を検出する第1のレーザ変位計27と、上載荷重調整用重錘17の垂直方向の変位量を検出する第2のレーザ変位計28とがそれぞれ所定の高さ位置に固定されている。平衡重錘22は、球状体4が下降するとその変位量だけ上昇し、球状体4が上昇するとその変位量だけ下降するので、第1のレーザ変位計27は、球状体4の垂直方向の変位量を容器3の外部で間接的に検出することになる。また、上載荷重調整用重錘17は、加圧体6が下降するとその変位量だけ上昇し、加圧体6が上昇するとその変位量だけ下降するので、第2のレーザ変位計28は、加圧体6の垂直方向の変位量を間接的に検出することになる。
【0021】図1に示した測定装置によって超硬練りコンクリートの物性を測定するには、次のようにする。球状体4が、空の容器3内の所定の高さ位置で宙吊り状態を維持するように、容器3外でワイヤ21を一時的に固定しておく。この状態で容器3内に粉粒状のフレッシュコンクリート29を投入し、球状体4がフレッシュコンクリート29中に完全に埋入されたらワイヤ21の固定を解除して球状体4をフレッシュコンクリート29中に解放し、更にフレッシュコンクリート29を容器3内に所定の高さまで投入する。そして、振動機1を起動してから加圧体6をフレッシュコンクリート29上に載置し、容器3内のコンクリート29を振動締め固めながら、コンクリート29中の振動を振動センサ(加速度センサ)24で、加圧体6の振動を振動センサ(加速度センサ)25で、振動テーブル2の振動を振動センサ(加速度センサ)26でそれぞれ検出するとともに、平衡重錘22の垂直方向の変位をレーザ変位計27で、上載荷重調整用重錘17の垂直方向の変位をレーザ変位計28でそれぞれ検出する。
【0022】次に、図2に示した本発明の第2実施例の測定装置について説明する。この測定装置は、図1に示した第1実施例の測定装置と次の点が相違する。すなわち、図1の例では振動センサ24を内蔵した球状体4を使用し、これを平衡重錘22と平衡させたが、図2の例では、振動センサを備えない単なる球体(例えば鋼球)である球状体30を使用する。また、この球状体30を所定の引上げ力で強制的に引き上げことができるようにするため、平衡重錘22に加えて引上げ用重錘31を使用する。これら重錘22・31と球状体30とを連結するワイヤ21の垂直部分21aの中間に、引上げ用重錘31の荷重を電気的に検出するロードセル32と、その検出された荷重を表示する荷重計33とを介在させる。この荷重計33はスプリングを備えているので、球状体30から伝達してくる振動をこのスプリングにより絶縁できる。加圧体6の振動及び振動テーブル2の振動は図1R>1の例と同様に振動センサ25・26によりそれぞれ検出する。
【0023】図2に示した測定装置によって超硬練りコンクリートの物性を測定するには、次のようにする。球状体30が、空の容器3内の所定の高さ位置で宙吊り状態を維持するように、容器3外でワイヤ21を一時的に固定しておく。この状態で容器3内に粉粒状のフレッシュコンクリート29を所定高さまで投入して球状体30をフレッシュコンクリート29中に完全に埋入させる。そして、振動機1を起動してから加圧体6をフレッシュコンクリート29上に載置し、容器3内のコンクリート29を振動締め固めながら、加圧体6の振動を振動センサ(加速度センサ)25で、振動機1の励振振動を振動センサ26でそれぞれ検出する。コンクリート29の締め固めがある程度進行して加圧体6の沈降が終息したと推定される時点に、ワイヤ21の固定を解除して球状体30をコンクリート29中に解放し、この球状体30を、引上げ用重錘31による荷重と球状体30に働く浮力とでコンクリート29中を強制的に引上げながら、引上げ用重錘31の垂直方向の変位をレーザ変位計27で検出するとともに、振動センサ25・26によって引き続き振動を検出する。
【0024】図1の構造の測定装置により上述のような方法で実験を行った。この場合、球状体4の直径38.0mm、体積28.73cc、重量45g、密度1.57g/cm3 とした。この球状体4のコンクリート中での浮力は70gfである。また、容器3の内径(直径)150mm、加圧体6の重量13.5Kgとし、その加圧力を上載荷重調整用重錘17により0.038Kg/cm2 に調整した。そして、フレッシュコンクリート29の水/セメント比を変え、そのそれぞれの場合ついて振動センサ24・25・26により加速度を、レーザ変位計27により球状体4の垂直方向の変位を、レーザ変位計28により加圧体6の垂直方向の変位を同時に計測した。但し、フレシュコンクリート29の量は、いずれの水/セメント比についても容器3内での高さが約300mm程度になるようにした。
【0025】図3から図7に検出波形を示し、図3はフレッシュコンクリート29の水/セメント比が35%の場合、図4は36%の場合、図5は38%の場合、図6は40%の場合、図7は42%の場合で、いずれの場合も、振動機1の励振振動数は85Hz、その励振加速度は12Gの条件下で、フレッシュコンクリート29の投入開始から350秒間計測したものである。これらの図は、横軸に、フレッシュコンクリート29の投入開始からの振動締め固め時間を、縦軸に検出波形の高さをとってあり、(1)は球状体4の変位を検出するレーザ変位計27の出力波形、(2)は加圧体6の変位を検出するレーザ変位計28の出力波形、(3)はコンクリート29内の振動を検出する振動センサ24の出力波形(加速度振幅波形)、(4)は加圧体6の振動を検出する振動センサ25の出力波形(加速度振幅波形)を表している。以下、(1)を球状体変位波形、(2)を加圧体変位波形、(3)をコンクリート加速度振幅波形、(4)を加圧体加速度振幅波形と言う。
【0026】代表として水/セメント比が38%の場合につき図8に別記して検出波形の解説をする。なお、単位の異なる4つの波形を同一の時間軸(横軸)上に示すため、縦軸には目盛りを付さず、縦軸の左側に凡例として各波形の大きさの標準を付記してある。
【0027】(1)の球状体変位波形から分かるように、球状体4は、フレッシュコンクリート 29中に解放されると一旦は下降し、c時点から上昇に転じている。一方、加圧体6は、(2)の加圧体変位波形から分かるように、フレッシュコンクリート29上に載置したb時点からほぼc時点までの間は急速に下降するが、その後は緩やかに下降している。また、(3)のコンクリート加速度振幅波形から分かるように、コンクリート29中の加速度振幅は、加圧体6をコンクリート29上に載置したb時点から急峻に大きくなり、c時点付近で減衰して以後は同じような大きさが継続している。一方、加圧体6の加速度振幅は、(4)の加圧体加速度振幅波形から分かるように、加圧体6をコンクリート29上に載置したb時点からランダムな変化を示しているが、c時点まではいかない段階で終息し、以後は大きく変化することなく次第に大きくなっている。
【0028】このようなことから、コンクリート29の振動締め固め中における物性を次のように初期と中期と終期の3つの段階に分けることができる。
初期段階(図8の横軸上に示した0からcの期間)
コンクリート中の空気の放出が行われ、加圧体6(コンクリート上面)が急速に沈下し、機械的な加圧締め固めが行われる過程である。
中期段階(cからdの期間)
コンクリートの粘性と弾性の同時作用により、締め固めが促進される過程で、粒子間の間隔が最小に近づく。球状体4の沈降が一旦止まって、上昇運動(浮上)に移り、加速度振幅波形(3)及び(4)も小さくなる。加圧体6の沈降は急速ではないが継続する。
終期段階(dからeの期間)
コンクリート29の粘性が卓越し、その液状化(粘弾性体の性状)が進行する液状化・付加加圧過程である。球状体4は浮上していくが、加圧体6の沈降速度は最小になる。
【0029】このような3段階の区分けは、図8(図5R>5)の場合(水/セメント比38%)よりも、水/セメント比が小さい図3の場合(水/セメント比35%)及び図4の場合(水/セメント比36%)の方がより明瞭であり、水/セメント比が大きい図6の場合(水/セメント比40%)及び図7の場合(水/セメント比42%)には明瞭さが低いことが分かる。また、これらの図を比較することにより、水/セメント比と物性の変化の関係も判定できる。なお、図6と図7とを比較すると、図7の方が図6よりも区分けが明瞭であるが、これは測定ムラによる。一般に超硬練りコンクリートとは、水/セメント比が40%以下のものを言うが、図7は、40%を越えても3段階の区分けが可能であることを示している。
【0030】上記の実験結果から、コンクリート中の加速度振幅及び加圧体4の加速度振幅が急速に鎮静化し、一旦下降した球状体4が浮上に移行するときをもって液状化の発現の時期と推定することができる。また、加圧体6の沈降速度の減衰から締め固めの完了時期を推定することができる。そして、このことからコンクリートの液状化とワーカビリティーの関係、及び締め固め完了とワーカビリティーの関係を判定することができる。
【0031】液状化の発現時期の推定は、上記のように球状体4の挙動のみからでも可能であるが、更にコンクリート中の加速度振幅波形の鎮静化までの時間も加味すれば、より確実になる。図9に、振動センサ24が捉える加速度振幅波形(3)の鎮静化の時期と、球状体変位波形(1)の浮上曲線が僅かに屈折する時期(この時期を液状化の終了時期と推定)との関係を示す。この場合、振動機1の励振振動数は85Hz、励振加速度は12Gとし、コンクリートの練置き時間を2分にしたときの測定値と17分にしたときの測定値の平均を求め、横軸に水/セメント比(%)、縦軸に時間(秒)をとっている。また、図10に、水/セメント比と、コンクリート中の加速度振幅が減衰するまでの時間との関係を示す。この図は、横軸に水/セメント比(%)、縦軸に時間(秒)をとり、振動機1の励振振動数は85Hzに固定して、その励振加速度が10Gの場合を(A)、12Gの場合を(B)、13Gの場合を(C)、14Gの場合を(D)に示す。また、コンクリートの練置き時間を2分にしたときの測定値を破線で結び、17分にしたときの測定値を実線で結んで表している。
【0032】図9から、またこの図と図10との比較から、球状体変位波形(1)の浮上曲線が僅かに屈折するまでの時間と、コンクリート中の加速度振幅が減衰するまでの時間とは近似関係にあることが分かる。また、励振加速度が13Gないし14Gでは、コンクリートが液状化するまでの時間が短いので、実際の成形条件としては良いが、ワーカビリティーの判定には、励振加速度が10Gないし12Gの範囲が、水/セメント比と所要時間との関係が明瞭であるため好都合である。更に、練置き時間が測定値に関係していることから、練置き時間をワーカビリティーの判定の条件にすることが必要である。なお、より正確な判定を期すためには、測定時の気温、湿度などのコンクリートの性状に影響を及ぼす要素について補正をすることが必要である。
【0033】加圧体6の沈降の変化は、上記のようにコンクリートの締め固めの進行と関係している。そこで、加圧体6の沈降速度を、レーザ変位計28で測定した変位量を時間微分することにより得て、その値がある時間内(例えば7秒)に一定以下(例えば0.1mm以下)になる時点をもって締め固めの完了と推定することができる。また、コンクリート中の加速度振幅の変化もコンクリートの締め固めの進行と関係しているので、この加速度振幅が鎮静化するまでの時間からも締め固めの完了を推定することが可能である。
【0034】また、球状体4の浮上速度から次のようにコンクリート29の粘性係数を求めることができる。すなわち、球状体4の平均浮上速度は、図8において、例えばc時点からe時点までの時間tと、その時間tでの変位量hからh/tで与えられ、これは球状体4とコンクリート29との相対速度と見做すことができる。c時点からe時点まで期間は、上記のようにコンクリート29が粘弾性体の性状を呈し、この中を球状体4が垂直に上昇するので、極めて小さいレイノルズ数の流れの中を球体が直線運動するときに成立する次の式を適用できる。この式は、図2の例のように球状体30を強制的に引き上げる場合にも同様に適用できる。但し、この場合は、球状体30の引き上げ速度をコンクリート29との相対速度と見做すことができる。
【0035】F=3πμUDここに、Fは球体の引上げ力(N)、μは粘性係数(KN・s・m-2)、Uは球体とコンクリートとの相対速度(m・s-1)、Dは球体の直径(m)、πは円周率である。Fは、図1の例のように球状体4が浮力のみで上昇する場合には、コンクリート中で働く浮力に置き換えることができ、図2の例の場合は引上げ用重錘31による荷重である。
【0036】図11に、図1の測定装置による球状体4の浮上速度と、図2の測定装置による球状体30の引き上げ速度とを比較して示す。また、図12に、球状体4を浮上させた場合の粘性係数と、球状体30を引き上げた場合の粘性係数とを比較して示す。但し、球状体4の大きさ及びコンクリート中での浮力は上記のとおりである。また、球状体30の直径は28.5mmで、引上げ用重錘31の重量は1Kgfである。これらの図において、破線は球状体4の浮上させた場合、実線は球状体30の引き上げた場合である。また、振動機1の励振振動数は85Hzに固定して、その励振加速度が10Gの場合を(A)、12Gの場合を(B)、13Gの場合を(C)、14Gの場合を(D)に示す。図11は横軸に水/セメント比(%)、縦軸に速度(mm/s)をとっている。図12は横軸に水/セメント比(%)、縦軸に粘性係数μ(KN・s・m-2)をとっている。
【0037】図11から分かるように、球状体4の浮上速度は、水/セメント比が大きくなってもほとんど変わらないが、球状体30の引き上げ速度は水/セメント比が大きくなるに従い大きくなっている。また、図12から分かるように、球状体4を浮上させた場合の粘性係数と球状体30を引き上げた場合の粘性係数とは、同じ水/セメント比でほぼ同じ値になっているか、若干の違いはあっても大差はなく、しかも水/セメント比の変化により同じような推移で変化している。2つの場合の粘性係数がこのように近似していることから、また水/セメント比の変化による粘性係数の変化が、2つの場合とも明瞭に現れていることから、粘性係数を精度良く測定できることを、相互に照合して証明していると言える。
【0038】前述のように図1の例では、コンクリート中の振動と加圧体6の振動と振動テーブル2の振動の3つの振動を検出し、また図2の例では、加圧体6の振動と振動テーブル2の振動の2つの振動を検出する。そこで、3つ又は2つの振動の位相差を取り出せば、コンクリートの物性の把握がより詳細になり、更には振幅比と位相差の面からもコンクリートの性状の判定が行える。
【0039】なお、上記の説明では、振動によって液状化する物質として超硬練りコンクリートを例にしたが、このような物質としては、例えばスラグや地震時に液状化する砂土などがあり、特にこのような砂土に対して本発明を適用すれば、地震時の地盤の液状化現象の把握及びその対策に役立てることができる。
【0040】
【発明の効果】本発明による効果を以下に列挙する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の測定装置を示す概要構成図である。
【図2】第2実施例の測定装置を示す概要構成図である。
【図3】図1の測定装置で実験した検出波形を示す図で、コンクリートの水/セメント比を35%とした場合である。
【図4】コンクリートの水/セメント比を36%とした場合の同様の図である。
【図5】同じく水/セメント比を38%とした場合の図である。
【図6】同じく水/セメント比を40%とした場合の図である。
【図7】同じく水/セメント比を40%とした場合の図である。
【図8】コンクリートの水/セメント比が38%の場合を代表として検出波形の解説をするための図である。
【図9】図1の測定装置による実験結果から得られたコンクリート中の振動の加速度振幅波形の鎮静化の時期と、球状体変位波形の浮上曲線が僅かに屈折する時期との関係を示すグラフである。
【図10】同じく、水/セメント比とコンクリート中の加速度振幅が減衰するまでの時間との関係を示すグラフである。
【図11】図1の測定装置における球状体の浮上速度と図2の測定装置における球状体の引き上げ速度とを比較したグラフである。
【図12】図1の測定装置から得られた粘性係数と図2の測定装置から得られた粘性係数とを比較したグラフである。
【符号の説明】
1 振動機
2 振動テーブル
3 容器
4 球状体
5 球状体の吊り下げ機構
6 加圧体
7 加圧体の吊り下げ機構
17 上載荷重調整用重錘
22 平衡重錘
24・25・26 振動センサ(加速度センサ)
27・28 レーザ変位計
29 コンクリート
【特許請求の範囲】
【請求項1】振動によって液状化する物質を容器に入れて、吊り下げた球状体を物質中に埋入させ、この物質に上載荷重及び振動を与えながら球状体の垂直方向の変位と、物質中又は物質を伝播してきた振動を検出することを特徴とする、振動によって液状化する物質の物性測定方法。
【請求項2】前記球状体に取り付けたセンサにより振動を検出することを特徴とする請求項1に記載の、振動によって液状化する物質の物性測定方法。
【請求項3】前記球状体の重量を平衡重錘の重量と平衡させ、前記物質の液状化による浮力によって球状体を浮上させることを特徴とする請求項2に記載の、振動によって液状化する物質の物性測定方法。
【請求項4】前記球状体を一定の引上げ力で前記物質中を引き上げることを特徴とする請求項1に記載の、振動によって液状化する物質の物性測定方法。
【請求項5】前記上載荷重を、前記容器に対して垂直方向に変位可能な加圧体によって前記物質に与え、この加圧体の垂直方向の変位を検出することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の、振動によって液状化する物質の物性測定方法。
【請求項6】前記加圧体の振動を検出することを特徴とする請求項5に記載の、振動によって液状化する物質の物性測定方法。
【請求項7】前記容器を振動機で振動させ、この振動機の励振振動を検出することを特徴とする請求項1又は2或いは6に記載の、振動によって液状化する物質の物性測定方法。
【請求項8】振動によって液状化する物質を入れる上面開口した容器と、この容器に振動を与える振動機と、容器内の物質に上載荷重を与えるためこの容器に対して垂直方向に変位自在な加圧体と、振動を検出するセンサを内蔵した球状体と、この球状体を上記容器内の物質中に埋入させた状態で垂直方向に変位可能に吊り下げる吊り下げ機構と、この吊り下げ機構を介して球状体と重量を平衡させる平衡重錘と、この平衡重錘又は上記吊り下げ機構の垂直方向の変位を検出することにより球状体の垂直方向の変位を容器外で間接的に検出する第1の変位センサと、上記加圧体の垂直方向の変位を検出する第2の変位センサとを備えたことを特徴とする、振動によって液状化する物質の物性測定装置。
【請求項9】前記加圧体の振動を検出するセンサを備えたことを特徴とする請求項8に記載の、振動によって液状化する物質の物性測定装置。
【請求項10】振動によって液状化する物質を入れる上面開口した容器と、この容器に振動を与える振動機と、容器内の物質に上載荷重を与えるためこの容器に対して垂直方向に変位自在な加圧体と、球状体と、この球状体を上記容器内の物質中に埋入させた状態で垂直方向に変位可能に吊り下げる吊り下げ機構と、この吊り下げ機構を介して球状体に一定の引上げ力を与える引上げ用重錘と、この引上げ用重錘又は上記吊り下げ機構の垂直方向の変位を検出することにより球状体の垂直方向の変位を容器外で間接的に検出する第1の変位センサと、上記加圧体の垂直方向の変位を検出する第2の変位センサと、上記加圧体の振動を検出するセンサを備えたことを特徴とする、振動によって液状化する物質の物性測定装置。
【請求項1】振動によって液状化する物質を容器に入れて、吊り下げた球状体を物質中に埋入させ、この物質に上載荷重及び振動を与えながら球状体の垂直方向の変位と、物質中又は物質を伝播してきた振動を検出することを特徴とする、振動によって液状化する物質の物性測定方法。
【請求項2】前記球状体に取り付けたセンサにより振動を検出することを特徴とする請求項1に記載の、振動によって液状化する物質の物性測定方法。
【請求項3】前記球状体の重量を平衡重錘の重量と平衡させ、前記物質の液状化による浮力によって球状体を浮上させることを特徴とする請求項2に記載の、振動によって液状化する物質の物性測定方法。
【請求項4】前記球状体を一定の引上げ力で前記物質中を引き上げることを特徴とする請求項1に記載の、振動によって液状化する物質の物性測定方法。
【請求項5】前記上載荷重を、前記容器に対して垂直方向に変位可能な加圧体によって前記物質に与え、この加圧体の垂直方向の変位を検出することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の、振動によって液状化する物質の物性測定方法。
【請求項6】前記加圧体の振動を検出することを特徴とする請求項5に記載の、振動によって液状化する物質の物性測定方法。
【請求項7】前記容器を振動機で振動させ、この振動機の励振振動を検出することを特徴とする請求項1又は2或いは6に記載の、振動によって液状化する物質の物性測定方法。
【請求項8】振動によって液状化する物質を入れる上面開口した容器と、この容器に振動を与える振動機と、容器内の物質に上載荷重を与えるためこの容器に対して垂直方向に変位自在な加圧体と、振動を検出するセンサを内蔵した球状体と、この球状体を上記容器内の物質中に埋入させた状態で垂直方向に変位可能に吊り下げる吊り下げ機構と、この吊り下げ機構を介して球状体と重量を平衡させる平衡重錘と、この平衡重錘又は上記吊り下げ機構の垂直方向の変位を検出することにより球状体の垂直方向の変位を容器外で間接的に検出する第1の変位センサと、上記加圧体の垂直方向の変位を検出する第2の変位センサとを備えたことを特徴とする、振動によって液状化する物質の物性測定装置。
【請求項9】前記加圧体の振動を検出するセンサを備えたことを特徴とする請求項8に記載の、振動によって液状化する物質の物性測定装置。
【請求項10】振動によって液状化する物質を入れる上面開口した容器と、この容器に振動を与える振動機と、容器内の物質に上載荷重を与えるためこの容器に対して垂直方向に変位自在な加圧体と、球状体と、この球状体を上記容器内の物質中に埋入させた状態で垂直方向に変位可能に吊り下げる吊り下げ機構と、この吊り下げ機構を介して球状体に一定の引上げ力を与える引上げ用重錘と、この引上げ用重錘又は上記吊り下げ機構の垂直方向の変位を検出することにより球状体の垂直方向の変位を容器外で間接的に検出する第1の変位センサと、上記加圧体の垂直方向の変位を検出する第2の変位センサと、上記加圧体の振動を検出するセンサを備えたことを特徴とする、振動によって液状化する物質の物性測定装置。
【図3】
【図4】
【図5】
【図1】
【図2】
【図6】
【図7】
【図9】
【図8】
【図10】
【図11】
【図12】
【図4】
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【図1】
【図2】
【図6】
【図7】
【図9】
【図8】
【図10】
【図11】
【図12】
【特許番号】第2715251号
【登録日】平成9年(1997)11月7日
【発行日】平成10年(1998)2月18日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−345509
【出願日】平成5年(1993)12月22日
【公開番号】特開平7−181121
【公開日】平成7年(1995)7月21日
【出願人】(591042573)桜井建材産業株式会社 (3)
【参考文献】
【文献】特開 平2−95256(JP,A)
【文献】特開 平1−217238(JP,A)
【文献】特開 昭61−294018(JP,A)
【登録日】平成9年(1997)11月7日
【発行日】平成10年(1998)2月18日
【国際特許分類】
【出願日】平成5年(1993)12月22日
【公開番号】特開平7−181121
【公開日】平成7年(1995)7月21日
【出願人】(591042573)桜井建材産業株式会社 (3)
【参考文献】
【文献】特開 平2−95256(JP,A)
【文献】特開 平1−217238(JP,A)
【文献】特開 昭61−294018(JP,A)
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