説明

振動の少ない工具ホルダー

振動の少ない工具ホルダーを提供する。
【課題】工具ホルダー(1)は、工具ホルダー本体(2,3,4,6)およびテンション部材5を有し、テンション部材は工具ホルダー本体(2,3,4,6)の軸方向のテンションを与えるとともに、柔軟な方法で工具ホルダー本体(2,3,4,6)に対し径方向のテンションを与える。この工具ホルダー(1)は、従来の工具ホルダーよりも振動を受けにくく、特に熱による材質の膨張が生じたときに、操作中の実運転が向上する。工具ホルダー(1)に取り付けられた固定材5は、工具ホルダー本体(2,3,4,6)に対し、連続して中心合わせされる。さらに、このような工具ホルダー(1)は、特にモジュールにデザインされて、異なるタイプの工具および工作物の機械加工処理に極めて柔軟に適合することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工具のための工具ホルダーに関し、特に、請求項1の包括的用語に一致する管製造用工具、旋削工具、フライス工具、拡孔工具および研削工具に関する。
【背景技術】
【0002】
このような工具ホルダーはあらゆるバリエーションが出ている。例えば、好ましくは円筒形状のシャフトを有する工具、のための膨張チャック、テンションドラムまたは収縮嵌めチャックがある。また、工具シャフトを軸線中心に受容せず、例えばその側部に螺合する工具ホルダーが知られている。
【0003】
このような工作物の長手方向軸についての回転および/または、例えば工具によって機械加工される回転する工作物が工具および工具ホルダーなどに及ぼす作用のため、工具ホルダーが振動することがある。振動として例えば、理想の回転軸に関する歳差運動または/および、回転軸を含む平面内における横方向振動があり、これらの振動が同時に起こることも考えられる。これらの振動は、工作物の機械加工において、正確さ、精度および再現性を妨げるよう作用する。
【0004】
ドイツ国特許公報 DE 10 2004 019869 A1は、本発明の出発点であり、その内容が詳細に記載されていることから、この先行技術の工具ホルダーに関する特有な特徴および具体例が記載されている。工具ホルダーの振動減衰を目的としてこの先行技術は、工具ホルダーに配置され、軸方向テンション部を経て工具ホルダーに軸方向のテンションを作用させるテンション部材を提供するものである。テンション部材によって工具ホルダーに導入される軸方向のテンションは、工具ホルダーの弾力特性、特に、機械的にテンションを与えられていない状態に関し、テンションを与えられる軸方向の部分および工具ホルダー全体における弾性率を変化させる。その結果、適切に調整される工具ホルダーの弾力特性、増大し易い振動特性、およびこれらが関連する工具ホルダーの共振振動数を選択的に変えることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この手段によれば、工具ホルダーの顕著な振動減衰を達成することができるが、ある状況のもとでは欠点が生じることがある。つまり、テンション部材に使用される材質の熱膨張が工具ホルダーの残りの材質よりも低いと、例えば工作物の機械加工、熱による工具シャフトの固定または解除により熱膨張したときに、テンションおよび振動減衰が変化したり、工具ホルダーに対するテンション部材の中心合わせが変化したり、テンション部材の材質が損傷したりさえするという危険がある。その結果、振動が起こり、幾何学的構造に関連する工具ホルダーの実運転の問題として工作物の機械加工の正確さが低下する。
【0006】
それゆえ本発明の目的は、前述した問題から受ける影響がより少なく、あるいは影響を全く受けない振動の少ない工具ホルダー、特に製作が容易な工具ホルダーを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1に一致する工具ホルダーによって達成され、従属クレームの主題は有利な実施形態になる。
【0008】
本発明の特徴として、工具ホルダーがテンション部材を備え、このテンション部材は、軸方向に作用してテンションを与える構成要素に加えて径方向のテンションを与える構成要素を有し、この構成要素を通じてテンション部材は工具ホルダー本体に対して径方向にテンションを与えられる。テンション部材は、工具ホルダーの長手方向軸に対し少なくとも一方側で、1以上の合わせ表面と接触する1以上の支持表面を有する。支持表面部が合わせ表面部に摺動することにより、テンション部材は、例えば材質の熱膨張に、柔軟に対応することができる。このようにして、テンション部材と工具ホルダー本体との間にあって、工具ホルダーの軸方向テンションを低下させ、実運転の問題を引き起こす遊びを回避する。このような遊びは、工具ホルダー本体に対しテンション部材を中心に合わせることにつき何ら保証するものではない。さらに、工具ホルダー本体に対するテンション部材の柔軟なテンションが、実験的な組立品または工具ホルダー本体の損傷を効果的に回避する。
【0009】
好ましい実施形態では、テンション部材が工具ホルダー長手方向軸に関し工具ホルダー本体の両側に径方向にテンションを与える。これにより、前記の柔軟な対応に関する径方向テンションの効果が一層大きくなる。有利なものとして、工具ホルダー本体は本質的に工具鋼からなり、テンション部材はセラミック、重金属または超硬合金または複合材料からなり、これによりテンション部材を工具鋼よりも遥かに硬くして、工具ホルダーの弾力特性に多大な影響を与えることができる。このような材質の選択によって、テンション部材は工具ホルダー本体よりも低い熱膨張率を有する。有利なものとして、テンション部材は工具ホルダー本体に対し内径方向へテンションを与えられる。すなわち、テンションを与える構成要素が、テンション部材によって工具ホルダー本体へ径方向に導入され、外方へ作動する。また、換言すると、テンション部材は、工具ホルダー本体よりも工具ホルダーの長手方向軸線に少なくとも部分的に近づけて配置され、工具ホルダー本体のこれら外側領域がテンション部材を工具ホルダーの長手方向軸線に向かって押圧する。
【0010】
特に好ましい実施形態として、工具ホルダーはモジュールにデザインされて、テンション部材は破壊することなく取り除かれ得る。このようにして、テンション部材はいつでも容易に取り替えられ得る。そして例えば、工具が取り替えられたとき、工具ホルダー側の振動のいかなる挙動変化を考慮することができる。工具ホルダーのモジュールデザインは、好ましくは、中間部および工具ホルダーの継手シャフトからチャックを取り外し可能にすることによって達成され、特にねじ込み式接続を伴う。より広いバリエーションおよび工具ホルダーの異なる工具への適合性のために有利なものとして、チャック頭部が、工具受に配置され、加えて、特にねじって外されることによってチャックから取り外し可能である。
【0011】
好ましい実施形態として、テンション部材の支持表面部が円錐形状の環状表面に形成され、テンション部材が少なくとも一部において軸方向に工具ホルダー本体に係合する。別の実施形態として、合わせ表面部が中心合わせリングを備えていてもよく、この部分で、工具ホルダー本体に対し自身を補強する。このような中心合わせリングは、繊細なテンションを径方向および軸方向の双方に与えることを可能にする。例えば、中心合わせリングは円形断面を有することが可能であり、半球状環状溝の形状になる支持表面部に対して作用する。
【0012】
このような円錐形状は、中心合わせリングによって設けることができる。例えば、中心合わせリングはダイヤモンド形状の断面を備え、テンション部材は2つの円錐形状に向かい合った環状支持領域を備える。この円錐形状に向かい合った環状支持領域のデザインは、テンション部材を双方の支持領域に案内し、したがって中心合わせの正確さが一層増大する。しかしながら、中心合わせリングは、円錐形状の合わせ表面を例えば1つのみ備えることも可能である。
【0013】
有利なものとして、テンション部材と工具ホルダー本体との間に、少なくとも1つの平坦な座面を備える。平坦な座面は、テンション部材および工具ホルダー本体の平坦な隣接表面によって、工具ホルダーの長手方向軸に対して直交する。このデザインを通じて、最大限可能な軸方向テンションをテンション部材により工具ホルダー本体へ伝達することができる。デザインを簡略にするため、軸方向および径方向の双方でテンションを与える構成要素を、円錐形状の環状表面に備えていてもよい。
【0014】
とりわけ有利なものとして、特に、工具ホルダー本体に関し外径方向へ向かうテンション部材の場合、テンション部材の少なくとも2つの向かい合う表面と工具ホルダー本体との間に遊びを有する。テンション部材が工具ホルダー本体に対し軸方向または径方向にテンションを与えられる表面領域で、テンション部材が遊びから排除される。この遊びによって熱膨張を特に簡易に補償して、材質の損傷または破壊のおそれがなくなる。
【0015】
工具ホルダーの振動挙動にさらに積極的に影響を与えて、工具ホルダーが振動を受けにくくするため、テンション部材と工具ホルダー本体との間に好ましくは1つ以上の減衰要素を配置する。減衰要素は、テンション部材に対する工具ホルダーまたは工具ホルダー本体の軸方向および/または径方向の振動を減衰する。逆もまた同じである。
【0016】
本発明のより有利なもの、本質的部分および特徴は、図面に沿った以下の説明により明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は本発明の第1の好ましい実施形態を示す縦断面図である。工具ホルダー1は、中空シャフト継手2の形状の継手シャフト、中間部3、およびチャック4を備え、これらは工具ホルダーの基本構造を形成する。また工具ホルダー1は、テンション部材5を備える。チャック4は、チャック頭部6を備え、チャック頭部6の内部にはシリンダ形状の工具シャフトを収縮嵌合するための工具受容部7が配置され、冷却液チャネル8を有する。本質的に回転対称なテンション部材5は両端9,10を有し、前端9はチャック頭部6の領域でチャック4に軸方向に係合し、後端10は中間部3に軸方向に係合する。これら2箇所の係合は座面11,12,13,14を形成し、これら座面におけるテンション部材5の支持表面は、中間部3またはチャック頭部6の合わせ表面と接続する。第1に、2つの平らな座面11,13が形成され、これらの大部分が、中間部3とチャック頭部6との間の圧力のもとで、テンション部材5の軸方向のテンションを与える。後部ホルダー1の高度な安定性、特に傾きに対する安定性および剛性のため、これら平坦な座面11,13は、可能な限り広い領域を備える。図1の実施形態では、テンション部材5がチャック頭部6に対し径方向内方へ引張り力または押圧力を受けて、テンション部材5の径方向のテンションが発生するよう、座面12が2つの円錐状の環状表面に形成される。図1の実施形態では、座面14が工具ホルダーの長手方向軸Aに関して円筒形であり、より正確には、遊びがないよう、または圧入するよう設計される。これにより、テンション部材5は中心に置かれる。
【0018】
チャック頭部6に対するテンション部材5の径方向テンションは、自動的に中心を合わせる。中心は熱膨張の場合にも維持される。図1に示す本実施形態の場合、テンション部材5は振動減衰材で作られ、好ましくは超硬合金、重金属、またはセラミックで作られ、工具ホルダー本体、すなわち継手シャフト2、中間部3およびチャック4に対し低い膨張率を有する。チャック4の熱膨張によって2つの平坦な座面11,13間の軸方向テンションが部分的に解放され、テンション部材5は座面12上を滑動するが、その径方向テンションにより中心位置に留まることを確実にする。工具ホルダー1を冷却した後、工具ホルダー本体およびテンション部材5はそれぞれ始動寸法に収縮するとともに、円錐状の座面12は中心合わせを維持しながら相互に向かう表面の滑動を再び容易にする。
【0019】
テンション部材5に対する工具ホルダー本体のより大きな径方向の熱膨張を補償するため、軸方向に延びる環状隙間15が工具ホルダー本体とテンション部材5との間に設けられる。この環状隙間15内には、リング形状の減衰要素16がさらに設けられ、チャック4とテンション部材5との間の径方向振動を減衰する。
【0020】
テンション部材5と工具ホルダー本体との間の軸方向および径方向テンションの強さは、図2に沿って以下に説明するように、中間部3に向かうチャック4の取付けによって決定される。図1に符号1で示される工具ホルダーを、分解して示す。工具ホルダー1はモジュール構造を有し、より正確には、継手シャフト2および中間部3を備えた第1部17と、チャック頭部6を伴うチャック4を備えた第2部18と、テンション部材5と、減衰要素16とからなる。工具ホルダー1のこれら部材の取り外し可能な結合のため、第1部17は雌ネジ19を備え、第2部18はこれに合う雄ネジ20を備える。減衰要素16を、第2部18上に指定された環状溝21に嵌め合わせた後、テンション部材5を第2部18に向けて同軸に押し込み、第2部18を第1部17にねじ込む。このねじ込み式接続により、テンション部材5を中間部3とチャック頭部6との間に固定する。この際、平坦な座面11,13および円錐形状の座面12を通って第1部17にある程度までねじ込まれる第2部18の深さにより、工具ホルダー本体に対してテンション要素5の軸方向および径方向テンションが生じる。特に工具ホルダー1の操作中に、この水準のテンションを維持するため、位置決めネジ21を設ける。位置決めネジ21は、符合する第1部17の雌ネジ22に係合し、第2部18と接触し、第2部18が第1部17に対して回転しないように固定する。
【0021】
図1および図2に示す工具ホルダー1とは対照的に、座面12は軸方向に延びる円筒形状を備え、座面14は円錐形状を備えていてもよい。また、径方向テンションを大きくすることを目的として、座面12および座面14の双方が円錐形状を備えていてもよい。
【0022】
図3は、他の構造になる工具ホルダー30を示し、その工具ホルダー本体が原則として、工具ホルダー1の工具ホルダー本体に相当する。この理由のため、他の実施形態の構造の詳細については、これ以降、工具ホルダー1との重要な相違のみ論じる。工具ホルダー30で、チャック31は減衰要素32に適合する溝を有さず、テンション部材33はチャック31の壁部35に対し平行ではない壁部34を有し、これによりこの領域にはくさび形状の環状隙間36が形成される。好ましくは減衰要素32をも円錐形状にするという幾何学的形状の選択によって、予めテンションを選択することができる。その結果、減衰特性を選択的に調整することができる。
【0023】
円錐形状の減衰要素32に代えて、超過圧力で導入された減衰流体で環状隙間36を完全に満たしてもよい。またはポリマーといった減衰プラスチックのようなもので完全に満たしてもよい。
【0024】
加えて、減衰要素32または減衰流体のようなものまたは減衰プラスチックのようなものの減衰特性に選択的に影響を与える手段を設けてもよい。図3に示す減衰要素32の場合、これらの手段として例えば、1個以上のシムで環状隙間区域37を満たし、これによって環状隙間36内の減衰要素32をチャック頭部38に向けて押し込み、圧縮によってその振動特性を変える。
【0025】
図4は、本発明の他の実施形態を示す。工具ホルダー40は、工具ホルダー1および工具ホルダー30に本質的に相当し、以下に説明する相違がある。1つには、テンション部材42とテンション部材42のチャック頭部43との間で、前端41に平坦な座面がないが、工具ホルダー本体に対して円錐形状の座面44が形成される。この実施形態は特に単純なデザインである。一方で、環状隙間45は前述した実施形態よりも遥かに狭いが、テンション部材42の材質と工具ホルダー本体の材質との間で熱膨張による差異はほんの僅かにすぎないことから、全く充分である。これにより減衰要素46の寸法も、より小さくすることができる。
【0026】
図5は、工具ホルダー50を示し、図4の工具ホルダー40と本質的には同じデザインであり、テンション部材51とチャック頭部52との間に2つの円錐形状の座面53,54を有する。第1円錐座面53は、円錐形状の環状表面に形成され、円錐座面54を形成する円錐形状の環状表面に対し反対向きに配置される。この二重の円錐座面53,54によって、特に、工具ホルダーの長手方向軸Bに関するテンション部材51の正確な中心合わせが可能になり、熱膨張の場合にもこの中心合わせを維持することができる。
【0027】
図6および図9は、図4および図5と類似する実施形態を示し、テンション部材とチャック頭部との突き合わせ領域のみデザインが異なる。
【0028】
図6では、テンション部材61およびチャック頭部62の双方が、工具ホルダーの長手方向軸Cに垂直な半円形の環状溝63,64を有し、環状溝63,64は互いに向かい合う。環状溝63,64は、連続した中心合わせリングまたは個々のボールを備えた中心合わせ機構65を確実に固定する。テンション部材61とチャック頭部62との間の突き合わせ面66,67は、平坦な座面または平坦な遊びにデザインすることができる。
【0029】
図7に示す工具ホルダー70の突き合わせ面は、工具ホルダー60の突き合わせ面に本質的に相当する。工具ホルダー70の場合、工具ホルダー60の中心合わせ装置65に準ずるものがチャック頭部71に設けられる。特に、テンション部材72も同様に環状溝73を有し、チャック頭部71の半円の環状ビード74が確実な固定を構成する。突き合わせ面75,76も同様に、平坦な座面または平坦な遊びのデザインを有することができる。
【0030】
図8に示す工具ホルダー80の突き合わせ面は、テンション部材81とチャック頭部82との間に断面がダイヤモンド形状の中心合わせリング83を有する。中心合わせリングは、符合するテンション部材81およびチャック頭部82の円錐形状の環状表面84,85,86,87とともに確実な固定を構成する。突き合わせ面88,89も同様に、平坦な座面または平坦な遊びのデザインを有することができる。遊びは、テンション部材81と中心合わせリング83との間および中心合わせリング83とチャック頭部82との間の領域90,91に設けられる。この遊びは、熱膨張と、向かい合うテンション部材81およびチャック頭部82の円錐形状の環状表面84,85,86,87の間における中心合わせリング83のくさび止めが阻害されることを補償するために適している。
【0031】
最後に、図9に示す工具ホルダー100は、テンション部材101とチャック頭部102との間に中心合わせリング103を有し、このリングはテンション部材101およびチャック頭部102に対し平坦な座面104,105を備え、さらにそれぞれの側に円錐形状の座面106,107を備える。
【0032】
図10から図15は様々な革新的な工具ホルダーを示し、いくつかの例では工具を取り付けたものを示す。
【0033】
図10に示す工具ホルダー110は、フライス工具111を保持し、このフライス工具111は、ねじ込み式接続114を通じてチャック頭部113の工具受112によって固定される。さらにフライス工具111は、チャック頭部113に対して円筒形状の圧入部115を有する。
【0034】
図11は工具ホルダー120を示し、異なるデザインのフライス工具121が、ねじ込み式接続124を通じてチャック頭部123の工具受122に固定される。この場合、フライス工具121は、チャック頭部123に対して円錐形状の圧入部125を有する。
【0035】
図12は工具ホルダー130を示し、チャック頭部132の工具受131にフライス工具133が受容されてネジ継手134によって固定される。テンション部材136とチャック頭部132との間のテンション接合135のように、チャック頭部132とフライス工具133との間にもテンション接合137があり、この接合は平坦な座面138および円錐形状の座面139を有する。異なるテンションを発生させるため、テンション接合137は凹または凸になる円錐形状の座面139を有してもよい。
【0036】
図13は更なる実施形態になる工具ホルダー140を示し、チャック141とテンション部材142との間に相対的に大きな環状隙間143を備える。環状隙間143は圧力室を構成し、必要に応じて流動性または塑性変形する圧力媒体で満たされ得る。工具ホルダー140は、アーバーヘッドまたはアーバーフライスといった全ての形状およびタイプの工具を受容するのに適する。
【0037】
図14は類似の工具ホルダー150を示し、工具ホルダー140のように、チャック151とテンション部材152との間に相対的に大きな環状隙間153を有する。2つの互換性のある切削工具154a,154bが、工具ホルダー150のチャック頭部155に、回転可能に、対称的に、直接に固定される。
【0038】
最後に、図15は、回転工具ホルダー162がチャック頭部161に直接取り付けられて回転工具163が回転工具ホルダー162に配置された工具ホルダー160を示す。
【0039】
上述のように、工具ホルダー1,30,40,50,60,70,80,100,110,120,140,150,160に統合されたテンション部材5,33,42,51,61,71,81,101,136,142,152が工具ホルダー本体に連続的に中心合わせされることから、本発明の工具ホルダー1,30,40,50,60,70,80,100,110,120,140,150,160は従来の工具ホルダーよりも著しく振動を伝えにくいばかりでなく、特に熱によって材質が膨張する場合にも操作時の実運転がはるかに優れることを保証することが明らかになった。さらに、特にモジュールデザインにおいて、このような工具ホルダー1,30,40,50,60,70,80,100,110,120,140,150,160を、異なる工具タイプ111,121,133,154a,154b、163および工作物の機械加工操作にとても柔軟に適合させ得ることが明らかになった。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】工具ホルダーの好ましい第1実施形態を示す縦断面図である。
【図2】図1に示す工具ホルダーを分解して示す縦断面図である。
【図3】工具ホルダーの好ましい第2実施形態を示す縦断面図である。
【図4】工具ホルダーの好ましい第3実施形態を示す縦断面図である。
【図5】工具ホルダーの好ましい第4実施形態を示す縦断面図である。
【図6】工具ホルダーの好ましい第5実施形態を示す縦断面図である。
【図7】工具ホルダーの好ましい第6実施形態を示す縦断面図である。
【図8】工具ホルダーの好ましい第7実施形態を示す縦断面図である。
【図9】工具ホルダーの好ましい第8実施形態を示す縦断面図である。
【図10】工具ホルダーの好ましい第9実施形態を挿入された工具とともに示す縦断面図である。
【図11】工具ホルダーの好ましい第10実施形態を挿入された工具とともに示す縦断面図である。
【図12】工具ホルダーの好ましい第11実施形態を挿入された工具とともに示す縦断面図である。
【図13】工具ホルダーの好ましい第12実施形態を示す縦断面図である。
【図14】工具ホルダーの好ましい第13実施形態を挿入された工具とともに示す縦断面図である。
【図15】工具ホルダーの好ましい第14実施形態を挿入された工具とともに示す縦断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
工具ホルダー(1)を工作機械に接続するためのシャフト(2)、回転に抗して工具を固定するための受容部(7)を有する特に膨張または収縮嵌めのチャック(4)、および継手シャフト(2)とチャック(4)との間に配置された中央部(3)を備えた工具ホルダー本体(2,3,4,6)と、
チャック(4)の軸方向テンション部内で、軸方向のテンションを与える構成要素を有し、少なくとも工具ホルダー(1)の操作時にテンションを発揮するテンション部材(5)とを備え、
工具、特に管製造用工具、旋削工具、フライス工具、拡孔工具および研削工具のための工具ホルダー(1)において、
前記テンション部材(5)は、工具ホルダーの長手方向軸(A)に対し少なくとも一方側(9)で、工具ホルダー(2,3,4,6)の1以上の合わせ表面部に対して径方向のテンションを与える1以上の支持表面部を有し、該支持表面部は、前記合わせ表面部と摺動可能に接触することを特徴とする工具ホルダー(1)。
【請求項2】
前記テンション部材(5)は工具ホルダーの長手方向軸(A)の両側(9,10)で径方向にテンションを与えられることを特徴とする請求項1に記載の工具ホルダー(1)。
【請求項3】
前記テンション部材(5)は工具ホルダー本体(2,3,4,6)に対し内径方向にテンションを与えられることを特徴とする請求項1または2に記載の工具ホルダー(1)。
【請求項4】
テンション部材(5)を破壊することなく取り除くことができるよう工具ホルダー(1)はモジュールにデザインされることを特徴とする 請求項1〜3のいずれかに記載の工具ホルダー(1)。
【請求項5】
前記チャック(4)は、特にねじって外されることによって前記中央部(3)および前記継手シャフト(2)から取り外し可能であることを特徴とする請求項4に記載の工具ホルダー(1)。
【請求項6】
前記チャック(4)は、特にねじって外されることによってチャック頭部(6)から取り外し可能であることを特徴とする請求項4または5に記載の工具ホルダー(1)。
【請求項7】
前記支持表面部は円錐形状の環状表面の形状を有し、前記テンション部材(5)は少なくとも一部において軸方向に工具ホルダー本体(6)に係合することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の工具ホルダー(1)。
【請求項8】
前記支持表面部が半円形の環状溝(63,73)を有し、前記合わせ表面部が半円形の環状突起(74)に形成され、または工具ホルダー本体(62)に個々に配列されたボール(65)が設けられたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の工具ホルダー(60,70)。
【請求項9】
前記合わせ表面部は中心合わせリング(65,83,103)を備え、該中心合わせリング自身は工具ホルダー本体(62,82,102)に受容されることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の工具ホルダー(60,80,100)。
【請求項10】
前記中心合わせリング(65)は円形断面を有し、前記支持表面部は半円形の環状溝(63)の形状を有することを特徴とする請求項9に記載の工具ホルダー(60)。
【請求項11】
前記中心合わせリング(83)は、ダイヤモンド形状の断面を有し、テンション部材(81)は2つの円錐形状に向かい合った環状の支持表面(84,85)を備えることを特徴とする請求項9に記載の工具ホルダー(80)。
【請求項12】
テンション部材5と工具ホルダー本体(3,6)との間に少なくとも1つの平坦な座面(11,13)があり、該座面は、テンション部材5および工具ホルダー本体(3,6)が隣接する平坦な表面によって、工具ホルダーの長手方向軸(A)に対し直角であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の工具ホルダー(1)。
【請求項13】
前記テンション部材が前記工具ホルダー本体に対し軸方向または径方向にテンションを受ける領域を除き、少なくともテンション部材(33)および工具ホルダー本体(31)の2つの向かい合う表面(34,35)の間に遊び(36)が存在することを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の工具ホルダー(30)。
【請求項14】
テンション部材(5,33)と工具ホルダー本体(チャック(4),31)との間に、軸方向および/または径方向の振動を減衰するための減衰要素(16,32)を1つまたは複数配置したことを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の工具ホルダー(1,30)。
【請求項15】
前記環状隙間(15,36)に前記1つまたは複数の減衰要素(16,32)が配置され、該環状隙間が、好ましくは圧力を加えられた圧力媒体、特に減衰流体または減衰プラスチック、で完全に満たされることを特徴とする請求項14に記載の工具ホルダー(1,30)。
【請求項16】
減衰要素(5,32)の減衰特性を調節する手段、特にシム、がさらに設けられていることを特徴とする請求項14または15に記載の工具ホルダー(1,30)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2009−507652(P2009−507652A)
【公表日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−529563(P2008−529563)
【出願日】平成18年9月11日(2006.9.11)
【国際出願番号】PCT/EP2006/008833
【国際公開番号】WO2007/031256
【国際公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(508074516)
【Fターム(参考)】