説明

振動ふるい機

【課題】長尺な材料であっても、その長さに応じて高い精度でふるい分けすることができる振動ふるい機の提供を目的とする。
【解決手段】筒状の胴部12と、胴部12内に供給される材料Xを一旦保持する保持部14及び材料Xをふるい分けるふるい網部16が形成された仕切部18と、胴部12内のふるい網部16上に、ふるい網部16との距離が該ふるい網部16の目開き以下で、かつふるい網部16との隙間を材料Xが移動できるように設けられた邪魔板22と、胴部12を振動させる振動部24とを有し、ふるい網部16と規制部22との距離Dがふるい網部16の目開き以下である振動ふるい機1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動ふるい機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、触媒やセラミック等の成形品は、押出し成形したものを長さ方向に対して垂直方向に切断することで製造される。このような成形品は、切断面の形状はダイスの形状によって決まるため安定しているが、長さ方向の形状については材料の特性や切断条件によってばらつきが生じてしまうことがある。特に触媒においては、そのような形状のばらつきが反応成績に影響を与えるため、形状のばらつきをある程度の範囲内に抑える必要がある。
【0003】
このような成形品の形状のばらつきを抑える方法としては、振動ふるい機によって長さに応じてふるい分けする方法が挙げられる。振動ふるい機としては、例えば、材料をふるい分けする所定の目開きのふるい網と、前記ふるい網を加振する加振体を有し、ふるい分けする材料を前記ふるい網上に投入する振動ふるい機が知られている(例えば、特許文献1)。しかし、該振動ふるい機を使用して、長尺の成形品を長さ方向の長さに応じてふるい分けする場合、ふるい網の目開きは該成形品の長さ方向に垂直な方向の長さよりも大きくなる。そのため、投入した成形品のうち、直立状態で落下したものがそのままふるい網の網目を通過してしまい、ふるい分けの精度が充分に高められない。
【0004】
そこで、さらにふるい分けの精度を高めた振動ふるい機として、環状のふるい網部と、該ふるい網部の内側に設けられた、穴を有さない保持部からなる仕切部を内部に有し、ふるい分けする材料を前記保持部に向けて投入する振動ふるい機が示されている(例えば、特許文献2)。
具体的には、図4に示すように、基台110と;基台110上にコイルばね110aを介して設置された筒状の胴部112と;胴部112内に供給される長尺の材料Xを一旦保持する保持部114及び材料Xをふるい分けるふるい網部116が形成された、胴部112内を上下に仕切る仕切部118と;胴部112を振動させる振動部120と;を有する振動ふるい機101が示されている。胴部112の上部には、投入口122aが形成された蓋板122が設けられ、胴部112の仕切部118の上側の側壁部分には上側排出口124が設けられ、胴部112の仕切部118の下側の側壁部分には下側排出口126が設けられている。振動ふるい機101は、振動部120が振動することで胴部112が振動する。投入口122aから投入された材料Xは保持部114上に一旦保持され、振動によってふるい網部116上へと移動することでふるい分けされる。そのため、投入した長尺の材料Xが直立状態で落下してそのままふるい網部116の網目を通過することが抑制される。ふるい網部116を通過しなかった材料Xは上側排出口124から排出され、ふるい網部116を通過した材料Xは下側排出口126から排出される。
特許文献2では、ふるい網部116として多数個のパンチ孔が形成された環状のパンチング板、保持部114としてパンチ孔のない平板が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−1193号公報
【特許文献2】特開2006−159067号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、前記振動ふるい機101を使用して長尺の材料Xをふるい分けしても、材料Xが直立した状態でふるい網部116を通過することを充分に防げない。そのため、ふるい分けの精度をさらに高めることが望まれる。
【0007】
本発明は、長尺な材料であっても、その長さに応じて高い精度でふるい分けすることができる振動ふるい機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の振動ふるい機は、筒状の胴部と、前記胴部内に供給される材料を一旦保持する保持部及び前記材料をふるい分けるふるい網部が形成された、前記胴部内を上下に仕切る仕切部と、前記胴部内の前記ふるい網部上に、前記ふるい網部との距離が前記ふるい網部の目開き以下で、かつ前記ふるい網部との隙間を前記材料が移動できるように設けられた邪魔板と、前記胴部を振動させる振動部と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の振動ふるい機は、長尺な材料であっても、その長さに応じて高い精度でふるい分けすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の振動ふるい機を鉛直方向に切断した断面図である。
【図2】図1の振動ふるい機を直線I−I’で切断した断面図である。
【図3】本発明の振動ふるい機の他の例を示した断面図である。
【図4】従来の振動ふるい機を鉛直方向に切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の振動ふるい機の一例を示して詳細に説明する。
本実施形態の振動ふるい機1は、図1及び図2に示すように、基台10と;基台10上に設置された筒状の胴部12と;胴部12内に供給される材料Xを一旦保持する保持部14及び材料Xをふるい分けるふるい網部16が形成された、胴部12内を上下に仕切る仕切部18と;胴部12内のふるい網部16上に、ふるい網部16との距離が該ふるい網部16の目開き以下で、かつふるい網部16との隙間を材料Xが移動できるように設けられた邪魔板22と;胴部12を振動させる振動部24と;を有する。
【0012】
胴部12は、基台10上にコイルばね26を介して設けられている。胴部12は、振動部24が振動することで振動し、ふるい網部16によって胴部12内に供給された材料Xをふるい分けする部分である。
胴部12は、上部に蓋板28を有している。蓋板28には、中央部分に材料Xを投入する投入口28aが設けられている。また、蓋板28における投入口28aの下側には、円筒状の筒部28bが形成されており、この筒部28bは後述する邪魔板22の内側と連結されている。また、胴部12における仕切部18の上側の側壁部分には、仕切部18のふるい網部16を通過しなかった材料Xが排出される上側排出口30が形成されている。
【0013】
胴部12の内壁面には内側に向かって延びる円環状の係止部32が設けられており、胴部12内において、仕切部18が係止部32に係止されている。仕切部18を係止部32に係止する方法は特に限定されず、例えば、ねじ止め等が挙げられる。仕切部18は、その中心部分に材料Xを保持する保持部14が形成され、保持部14の周りに円環状のふるい網部16が形成されている。仕切部18は、ふるい網部16の周りに、さらに材料Xが通過しない円環状の外周部20が形成されている。仕切部18の形状は、この例では平板状であるが、平板状には限定されない。
ふるい網部16を通過せずに外周部20に到達した材料Xは、上側排出口30から排出される。
【0014】
保持部14は、蓋板28の中央に形成された投入口28aの下に設けられており、投入口28aから投入されて筒部28bを通過した材料Xが保持部14上に一旦保持されるようになっている。振動ふるい機1では、筒部28bが設けられていることで、投入口28aから投入された材料Xがより安定に保持部14上に誘導される。
【0015】
ふるい網部16は、材料Xをふるい分ける部分である。ふるい網部16としては、振動ふるい機に通常用いられるふるい網を使用することができる。また、所定の孔径の複数のパンチ孔が形成されたパンチング板であってもよい。
【0016】
ふるい網部16の目開きは、ふるい分けようとする材料Xの大きさに応じて適宜設定できる。特に振動ふるい機1は長尺な材料Xを長さ方向の長さに応じてふるい分けするのに好適であり、この場合、ふるい網部16の目開きは該材料Xの長さ方向の長さに応じて設定する。
なお、本発明におけるふるい網部の目開きとは、網部の目の間隔のことであり、網を構成している線状物と線状物との間隙の長さを意味する。
【0017】
胴部12における仕切部18の下側の側壁には、ふるい網部16を通過した材料Xを排出する下側排出口34が設けられている。また、胴部12内の仕切部18の下側には、中心から外側に向かって低くなるように傾斜し、ふるい網部16を通過した材料Xを下側排出口34へと誘導する誘導板36が設けられている。
【0018】
邪魔板22は、胴部12内のふるい網部16上に、ふるい網部16との距離が該ふるい網部16の目開き以下で、かつふるい網部16との隙間を材料Xが移動できるように設けられている。つまり、邪魔板22の形状は、ふるい網部16の形状と同様に円環状になっている。邪魔板22の内側は筒部28bと連結している。
邪魔板22は、ふるい網部16上での材料Xの移動を規制する。すなわち、邪魔板22は、材料Xが立ち上がった状態で保持部14上からふるい網部16上に移動すること、及びふるい網部16上において、振動によって長尺の材料Xが立ち上がることを抑制する。邪魔板22は、前記効果が得られやすい点から、この例のようにふるい網部16と平行して設けられていることが好ましい。
【0019】
ふるい網部16と邪魔板22との距離Dは、ふるい網部16の目開き以下である。これにより、ふるい網部16の目開きよりも長い材料Xがふるい網部16上で直立状態になってふるい網部16を通過することを抑制できる。前記距離Dは、邪魔板22がふるい網部16に対して傾斜して設けられている場合、ふるい網部16と邪魔板22の距離のうち最も長い距離を意味する。
ふるい網部16の目開きに対する前記距離Dの比率の上限値は、材料Xをふるい分ける精度が向上する点や、ふるい網部16での材料Xの移動が良好な点から、0.9倍が好ましく、0.95倍がより好ましい。ふるい網部16の目開きに対する前記距離Dの比率の下限値は、ふるい網部16と邪魔板22の隙間を材料Xが直立状態とならずに移動できる値であればよい。
【0020】
振動ふるい機1では、胴部12の底部38の中央部分に円形状の開口38aが形成されており、基台10の上部40にも開口40aが形成されている。そして、胴部12の開口38aと基台10の開口40aを貫通するように、振動部24が胴部12の底部38に固定されている。振動ふるい機1は、振動部24が振動することにより、基台10上にコイルばね26を介して設置された胴部12が振動するようになっている。
【0021】
振動部24は、自身が振動して胴部12を振動させることができるものであればよく、例えば、振動電動機等が挙げられる。この例では、振動部24の上下には、ほぼ半円形の板状の上部アンバランスウエイト24a及び下部アンバランスウエイト24bが取り付けられている。保持部14上で一旦保持される材料Xは中心部が高い山形状となるが、振動部24の上部アンバランスウエイト24aと下部アンバランスウエイト24bの位相角を適宜設定することで、振動部24の振動によって材料Xを仕切部18の外周方向に向かって放射状に移動させることができる。
【0022】
以下、振動ふるい機1の作用について説明する。振動ふるい機1は、長尺の材料Xを長さ方向の長さに応じてふるい分けるのに特に適している。
振動部24を起動して胴部12を振動させ、蓋板28の投入口28aから材料Xを胴部12内に投入する。投入された材料Xは、一旦保持部14上に保持され、振動によってふるい網部16上へと移動し、ふるい網部16の目開きよりも短い材料Xがふるい網部16を通過して落下する。このとき、材料Xが保持部14上に一旦保持されるため、投入口28aから投入された材料Xが直立状態でそのままふるい網部16を通過することが抑制される。また、邪魔板22が設けられていることで、ふるい網部16の目開きよりも長い材料Xが、保持部14上からふるい網部16上に直立状態となって移動したり、ふるい網部16上で直立状態になったりすることが抑制される。そのため、ふるい網部16の目開きよりも長い材料Xは、ふるい網部16を通過せずに外周部20まで安定して移動し、上側排出口30から胴部12の外部に排出される。このように、振動ふるい機1では、長尺の材料Xでも長さ方向の長さに応じて高い精度でふるい分けすることができる。
ふるい網部16の目開き以下の長さの材料Xは、ふるい網部16を通過した後、誘導板36によって下側排出口34まで誘導され、胴部12の外部に排出される。
【0023】
振動ふるい機1によりふるい分けする材料Xは、特に限定されない。振動ふるい機1は特に長尺の材料Xのふるい分けに有効である。
長尺の材料Xとしては、例えば、触媒やセラミック等、押出し成形したものを長さ方向に対して垂直方向に切断することで得られる成形品等が挙げられる。また、材料Xとしては、これら成形品には限定されず、食品、薬品、各種工業原料等の種々の材料が適用できる。
【0024】
通常、ふるい網を有する振動ふるい機によって長尺の材料を長さ方向の長さに応じてふるい分けする場合、ふるい網の目開きは該長尺の材料における長さ方向に垂直な方向の長さよりも大きくなる。そのため、従来の振動ふるい機では、振動によって長尺の材料がふるい網上で直立状態になると、本来ふるい網上に残るべき材料がふるい網を通過してしまうことがあった。
これに対し、本発明の振動ふるいきは、ふるい網部上に邪魔板を設けたことで、長尺の材料がふるい網部上で直立状態になることを抑制できるため、長尺の材料でも長さ方向の長さに応じて高い精度でふるい分けすることができる。
【0025】
なお、本発明の振動ふるい機は、前記邪魔板を有するものであれば、前述した振動ふるい機1には限定されない。例えば、材料を投入する投入口は蓋板の中央でなくてもよい。また、仕切部に形成する保持部も中央でなくてもよい。例えば、図3に示すように、排出口28Aを蓋板における下側排出口34側に設け、下側排出口34側の半分が保持部14Aで上側排出口30側の半分がふるい網部16Aとなっている仕切部18Aと、該仕切部18Aを覆う半円状の邪魔板22Aを有する振動ふるい機であってもよい。また、この場合、供給した材料Xの上側排出口30側への移動を容易にするために、仕切部18Aを上側排出口30側に向かって低くなるように傾斜させて設けてもよい。
また、上側排出口や下側排出口は、胴部の側壁に沿って環状に設けられていてもよい。
【実施例】
【0026】
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によっては限定されない。
本実施例では、材料Xとして以下の押出し成形触媒のふるい分けを行った。
[押出し成形触媒]
組成比がMo12Bi0.8Fe1.5Sb0.7CoZn0.2Cs0.5のイソブチレン酸化用触媒であり、直径6mmで円柱状に押出し成形されたものを、長さ方向に対して垂直方向に、長さが9mm以下となるように切断した成形触媒A(90質量%)と、直径6mmの円柱状に押出し成形されたものを、長さ方向に対して垂直方向に、長さが9mmより大きくなるように切断した成形触媒B(10質量%)の混合物。
【0027】
[実施例1]
図1及び図2に例示した振動ふるい機1(胴部12の内径:500mm、投入口28aの直径;100mm、保持部14の直径:110mm、ふるい網部16の目開き:9mm、ふるい網部16と邪魔板22の距離D=8.5mm)を使用して前記押出し成形触媒のふるい分けを行った。
その結果、下側排出口34から排出された押出し成形触媒に含まれる成形触媒Bの割合は0質量%であり、成形触媒Aと成形触媒Bを高い精度でふるい分けすることができた。
【0028】
[比較例1]
邪魔板22を有さない以外は振動ふるい機1と同じ形態の図4に例示した振動ふるい機101を使用して前記押出し成形触媒のふるい分けを行った。
その結果、下側排出口から排出された押出し成型触媒に含まれる成形触媒Bの割合は2.0質量%であり、ふるい分けの精度が不充分であった。
【0029】
[比較例2]
邪魔板22を設けず、ふるい網部16の代わりに、直径9mm、穿孔ピッチ4mmのパンチ孔が形成されたパンチング板を有する仕切部を備える以外は振動ふるい機1と同じ振動ふるい機を使用して押出し成形触媒のふるい分けを行った。
その結果、下側排出口から排出された押出し成型触媒に含まれる成形触媒Bの割合は1.5質量%であり、ふるい分けの精度が不充分であった。
【符号の説明】
【0030】
1 振動ふるい機
10 基台
12 胴部
14、14A 保持部
16、16A ふるい網部
18、18A 仕切部
20 外周部
22、22A 邪魔板
24 振動部
26 コイルばね
28 蓋板
28a、28A 投入口
30 上側排出口
32 係止部
34 下側排出口
36 誘導板
X 材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の胴部と、
前記胴部内に供給される材料を一旦保持する保持部及び前記材料をふるい分けるふるい網部が形成された、前記胴部内を上下に仕切る仕切部と、
前記胴部内の前記ふるい網部上に、前記ふるい網部との距離が前記ふるい網部の目開き以下で、かつ前記ふるい網部との隙間を前記材料が移動できるように設けられた邪魔板と、
前記胴部を振動させる振動部と、を有する振動ふるい機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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