振動コンベヤ
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は振動コンベヤに関し、特にトラフの振動角を調整できる振動コンベヤに関する。
【0002】
【従来の技術及びその問題点】従来では、砂利などを任意の地点に移送させるのに振動コンベヤが用いられている。この種の振動コンベヤでは駆動源に電動機を用いクランク機構を用いたものが知られている。以下、その従来における振動コンベヤについて説明する。
【0003】図12に示すように、従来の振動コンベヤは全体として50で示され、この振動コンベヤ50は可動部であるトラフ51とカウンタウエイト52とが、これらの両側部に設けられた一対のレバー53がそれぞれ枢着して取り付けられている。このレバー53はその中央部が支点となり、架台55に固定されているレバースタンド64に支持され、さらに架台55は地上に支持されている防振ばね63に支持される。クランク式加振機構56は主としてモータ57とプーリ61と、この回転軸に取り付けられたクランクとからなり、モータ57が駆動するとベルト60を介して、プーリ61を回転させ、これにより駆動ロッド58を往復動させている。駆動ロッド58は板ゴムなどからなるショックアブソーバ59を介してトラフ51に結合され、これによりモータ57が駆動されることによりトラフ51に振動力が加えられる。この振動力を受け、トラフ51とカウンタウエイト52とはレバー53とコイルばね54により相互に相反する方向に振動する。従って、トラフ51は矢印b方向に振動し、トラフ51内の材料(図示せず)は右方へと移送される。
【0004】しかし、この種の振動コンベヤは水平方向には問題なく物を運ぶことができるが、振動コンベヤの直線的なトラフに大きな傾斜をつけると、すなわち全体を大きく上向きに傾斜させると、特に転がりやすい材料、例えば玉砂利を下方から上方へと運ぶときは、これを行うために傾斜面の移送中に玉砂利が転げ落ちて、トラフの上方の最下流側まで移送させることができなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は以上の問題点に鑑みてなされ、直線的なトラフ上で転がりやすい材料を大きな傾斜角でも、下から上へ移送することのできる振動コンベヤを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】以上の目的は、直線的に延びるトラフと、該トラフの直下方に配設されるカウンタウエイトと、前記トラフとカウンタウエイトとに両端部で枢着する複数の左右一対のレバーと、該レバーの長手方向に対し垂直方向に延在し、前記トラフと前記カウンタウエイトとを結合するコイルばねと、前記レバーの中間部を該レバーが回動可能に静止部に支持する支持手段と、加振源とからなる振動コンベヤにおいて、前記レバーと前記コイルばねとの対の水平線に対する傾斜角度を調整する調整手段を備え、該調整手段により前記傾斜角度を調整可能としたことを特徴とする振動コンベヤによって達成される。
【0007】
【作用】レバーとコイルばねとの対の水平線に対する傾斜角度を調整可能としたのでトラフの振動角を一様に変えることができる。また、この構成のためトラフの移送面に対して種々の材料の適用が可能になり、大きな上り傾斜面でも例えば転がりやすい材料を下から上へと運べるようになる。
【0008】
【実施例】以下、本発明の実施例による振動コンベヤについて図面を参照して説明する。本発明の振動コンベヤ1は、図1に示すように可動部であるトラフ2とその直下方に位置するカウンタウエイト3とが、これらの側部に取り付けられている取付板11、12を介してレバー10、10’、10により連結されている。また、これらの複数のレバー10、10’、10は図2及び図3に示されているように、それぞれトラフ2及びカウンタウエイト3の側壁に左右一対(以下、本明細書で特に指示のない場合に、左右とは図2及び図3に示される振動コンベヤ1の向き、すなわちトラフの移送方向に対して垂直方向を左右とする)に設けられている。こうした振動コンベヤ1はレバー10、10’を介して支持機構6、6’により支持され、これらの支持機構6、6’も図2に示すように支持機構6が左右一対に設けられている。
【0009】次に、これらの各構成部分の詳細について説明すると、振動コンベヤ1を屋内における作業場の天井から懸吊している、支持機構6、6’は主としてロープ6a、6a’、コイルばね7、アイボルト8、吊金具9及び軸部材13とからなり、ロープ6a、6a’の上端部は図示されていない固定手段により天井に固定され、下端部は図2及び図3に示すように鍵状となっており、この部分に吊金具9の上端部が吊り下げられている。支持機構6、6’はロープ6a、6a’の長さのみ異なり(なお、この長さは公知のターンボルトを介在させることにより調整可能にしてもよい)、一方の支持機構6側のみ説明すると、吊金具9の底壁部にはばね受け9aが固定されており、アイボルト8がこれらの中心に形成されている開口を挿通して設けられている。アイボルト8の上端部はこれに挿通されたばね受け8aがナットにより止着されており、これらばね受け8aと9aとの間に振動コンベヤ1の全体の荷重を受けるコイルばね7が張設されている。また、アイボルト8の下端部は環状に形成され、この両環状下端部の内方に振動コンベヤの軸方向(移送方向)を垂直に横断する軸部材13が設けられている。
【0010】図5に示すように軸部材13はアイボルト8の下端部の環状内部の孔を挿通するアダプタ14を介して、軸部材13の開口端に溶接されている部材13aに形成されているめねじ部にボルト15を螺合させることにより、アイボルト8の環状内部に枢着させて取り付けられる。また、この軸部材13の端部よりやや内方側には左右一対のレバー10が固定され、このレバー10と軸部材13とが固定される位置はトラフ2の質量とカウンタウエイト3の質量とが反比例する位置、例えばトラフ2の質量が100Kgで、カウンタウエイト3の質量が200Kgであれば、レバー10の長手方向の上端部及び下端部から2:1の位置に固定される。
【0011】図4に示すように、レバー10の両端には円弧形状に上端部10aと下端部10bとが形成され、これらの上端部10aと下端部10bに固定された環状部材10g、10hにはこれと同心的にボルト挿通孔を有する筒部材10c、10dがそれぞれ挿通され、これら環状部材10g、10hと筒部材10c、10dとの間にはゴム部材10e、10fが、環状部材10g、10hの内壁及び筒部材10c、10dの外壁に接着されて設けられている。すなわち、レバー10に固定された環状部材10g、10hとそれぞれの筒部材10c、10dとは枢着された関係となる。レバー10の環状部材10hはトラフ2の直下方に設けられているカウンタウエイト3の側壁に取り付けられている取付板12に筒部材10dが固定されることにより取り付けられ、これらはボルト17をレバー10の筒部材10d及び取付板12に形成されているボルト挿通孔である円弧状の切欠20に挿通させ、ナット18を螺合させ、締めつけることにより固定される。
【0012】レバー10の上端部の環状部材10gは筒部材10cがトラフ2の両側壁に固定されている取付板11と、及びこれと左右一対の関係にある取付板11を横断する第1のコの字部材22の端部に溶接により取付られている平板22aと共に固定されている。これらはボルト28をレバー10の筒部材10c、取付板11及び平板22aの中心部に形成されているボルト挿通孔にボルト28を貫通させて、これにナット29を螺合させ、締めつけることにより固定される。第1のコの字部材22の両端部には、八角形状の平板22aが固定され、これらに形成されたボルト挿通孔及び取付板11に形成された一対の円弧状の切欠19a、19bにボルト26a、26bを貫通させて、ナット36a、36bを螺合させ、締め付けることにより取付板11に固定される。
【0013】図4及び図6に示されるように、左右一対のコイルばね21はレバー10の上端側の環状部材10gと同心的な筒部材10cと共締めされている第1のコの字部材22と、カウンタウエイト3の内壁に固定されている左右一対の取付板23を連結する第2のコの字部材24との間に設けられ、レバー10の軸線(すなわち筒部材10cと筒部材10dとを結ぶ線分)に対して垂直方向に圧縮状態で張設されている。図6に示すように、第1のコの字部材22及び第2のコの字部材24にはそれぞれ対向して、ばねの止着部22b、24bが設けられ、コイルばね21の両端部がこれらに止着される。
【0014】第2のコの字部材24はこの両側部に溶接により固定された平板24aに形成されたボルト挿通孔と、取付板23に形成された切欠25a、25bとにボルト27a、27bを挿通させ、これらにナット37a、37bを螺合させ、締めつけることにより固定される。尚、説明は省略したが各ボルトとナットの螺合部には図示しているように、振動による緩みの防止のためスプリングナットやワッシャが挟持されている。
【0015】次に、このクランク機構により振動力を受けるトラフの振動角の調整方法について説明すると、図1R>1〜図3に示すように振動コンベヤ1の両端部には連結装置30、30’が設けられ、図2に示すように連結装置30はカウンタウエイト3の両端部に固定されている一対の下方連結部材32の間に形成されている隙間に、トラフ2の底壁に固定されている上方連結部材33をスペーサ31を介在させてはめ込み、これらの接続部分にそれぞれ設けられている貫通孔にボルト34を貫通させて、そのボルト34の突出部にナット35を螺合させ、締めつけることにより、トラフ2とカウンタウエイト3とが、これまでと同じ間隔を維持したまま仮止めされる。図1及び図3に一部が示される連結装置30’も同様の方法でトラフ2とカウンタウエイト3との間をこれまでと同じ間隔を維持したまま仮止めされる。すなわち、このようにトラフ2とカウンタウエイト3とを仮止めすることにより、左右両側部の各取付板11、12、23の各ねじ部を緩めても、これらの間隔をそのまま維持することができる。
【0016】図1で示されている振動コンベヤ1の右端側、すなわち図2に示されている、左右一対のレバー10とコイルばね21の傾斜角を変えるため、初めに左右一対のレバー10を取付板11、12の固定から解く。これは図4または図6に示すように、レバー10の上端部の環状部材10gに係合しているボルト28とレバー10の下端側の環状部材10hに係合しているボルト17にそれぞれ螺合しているナット29、18を緩める。
【0017】次に、コイルばね21が張設されている第1のコの字部材22及び第2のコの字部材24を取付板11、23の固定から解く。第1のコの字部材22はその両端部に固定されている八角形状の平板22aに係合しているボルト28、26a、26bのそれぞれに螺合しているナット29、36a、36bを緩めることにより、取付板11の固定から解放される。他方、第2のコの字部材24はその両端部に固定されている四角形状の側板24aに係合しているボルト27a、27bに螺合しているそれぞれのナット37a、37bを緩めることにより、取付板23の固定から解放される。これでレバー10及びコイルばね21の傾斜角を調整するための全ての部材が取付板11、12、23の固定から解放される。
【0018】図4に示すように、カウンタウエイト3の両側部に固定されている取付板12には弧状の切欠20が設けられており、レバー10はボルト28を軸心にして、この切欠20の範囲内で回動可能となり、第1のコの字部材22はその端部に固定されている平板22aがボルト28の軸心の周りに弧状の切欠19a、19bの範囲内で回動可能となり、第2のコの字部材24が端部に固定された側板24aがボルト28を軸心にして、円周方向に弧状に形成された切欠25a、25bの範囲内で位置調整ができる。従って、レバー10及び第1のコの字部材22と第2のコの字部材24との間に張設されたコイルばね21は、一体的にそれらの範囲内でトラフ2及びカウンタウエイト3に対する角度調節が可能となる。
【0019】取付板12には切欠20に沿って目盛りAが刻まれており、レバー10の環状部材10hに刻まれている基準線Cを所望の目盛りの位置に合わせて、ここをボルト17とナット18により仮止めする。レバー10を回動させることにより、これに一体的となっている第1のコの字部材22及び第2のコの字部材24もボルト28を軸心にして、レバー10と同方向に回動するが、このときに多少コイルばね21が自重や第2のコの字部材24の重さで下方に撓むことがある。この場合には取付板23の切欠25aに沿って目盛りBが設けられており、それぞれの目盛りA、Bは1目盛り刻みに、レバー10とコイルばね21が相互に90度となるように刻まれているので、常にレバー10とコイルばね21が90度の角度となるように調節することができる。以上、図1に示す振動コンベヤ1の右端側のレバー10とコイルばね21の振動角の調整方法について説明したが、この振動コンベヤ1の中央部に設けられているレバー10’及びコイルばね21、更に左端側のレバー10及びコイルばね21の角度調整も同じ方法で、同じ傾斜角に調整する。尚、目盛りA、Bによってすべてのレバー10、10’及びコイルばね21の対の水平線に対する傾斜角をすべて正確に同一とすることができ、よってトラフ2の全長にわたって一様な振動角を保証することができる。角度の調整後はこの作業で緩められた、各ボルトとナットを締めつけることにより各部を固定し、この後連結装置30、30’の連結部を外す。
【0020】次に、本実施例における振動コンベヤ1の駆動部について説明する。図1〜図3に示すように、カウンタウエイト3の一側部にはモータ取付台が固定され、その上にモータ40が取り付けられている。このモータ40は図示されていない制御手段により、モータ40の回転数の制御が可能である。モータ40のモータ軸には小プーリ41が固定され、この小プーリ41と、その中心軸にシャフト43を固定しているプーリ42との周りにVベルト44が張られている。これにより、プーリ42はモータ40の回転力をVベルト44を介して受ける。図2に示すようにシャフト43は、その両端部にそれぞれ回転運動を直線往復運動に変換するクランク部45及びベアリングからなる軸受46が設けられている。クランク部45にはこのクランク機構に形成された偏心軸にロッド47(図1)の端部が枢着しており、モータ40が駆動することによりトラフ2の長手方向にこれが直線往復運動し、トラフ2の側部に取付金具48により固定されているショックアブソーバ49を介してトラフ2を振動させる。
【0021】図1に示すようにトラフ2は水平方向に対して18度の上り傾斜角をもつようにロープ6a、6a’で天井より懸吊され、その両端部にはトラフ2の移送路上を移送される材料を投入する投入口2aと、移送された材料を次工程に供給する排出口2bとが設けられている。
【0022】 図7はそのトラフ2の傾斜部分2cに設けられている直線的な波板取付部材4とこれに取り付けられている波板5を示す。波板取付部材4はトラフ2内に取り付けられ、図9に示されるようにコの字形状をしており、その底壁面に図10に示されるように鋸歯状に形成された波板5が端部を溶接されて取り付けられている。この波板5は導入側5aが上向きに傾斜し、他方の導出側5bは下向きに形成されている。図8は波板取付部材4がトラフ2に取り付けられていない状態を示すが、波板取付部材4の側部には複数のボルト挿通孔hが設けられ、これに対応するようにトラフ2側にもボルト挿通孔が形成されている。波板取付部材4はトラフ2に取り付けられた状態では図7及び図9に示すようにトラフ2の両側部で複数のボルト38にナット39を螺合させ、締めつけることにより取り付けられる。尚、トラフ2は各上端部が図2及び図3に示されるように水平方向に折り曲げて形成され、側部が図1に示すように投入口2a及び排出口2bに補強板65a、65bが取り付けられことにより強化されている。以下、本発明の実施例によるトラフ2の移送面の各部の寸法の実例を記載する。図7における波板取付部材4の全長4225mm、巾439mm、板厚3mm、図10における波板5のピッチ(5d−5d1 間)35mm及び導入部5a(5c−5d1 間)26mm、導出部5b(5d−5c間)13mm及び板厚1.5mmである。尚、図面におけるトラフ2、波板取付部材4及び波板5の各部の寸法比とそれらの実寸比とは分かりやすくするため、異なる部分がある。
【0023】以上、本発明の振動コンベヤ1の構成ついて説明したが、次にその作用、効果について説明する。
【0024】図示されていない制御手段により、モータ40が駆動されると、Vベルト44によりプーリ42が回転運動をする。この回転力をプーリ42の中心に固定されたシャフト43による回転運動が、クランク部45によりロッド47の直線往復運動に変換され、トラフ2はショックアブソーバ49を介して振動力を受ける。トラフ2とカウンタウエイト3とは相反する方向に振動するが、振動コンベヤ1はレバー10を介して支持機構6、6’の各アイボルト8に支持されており、このレバー10の支持されている支点の位置が、トラフ2の質量とカウンタウエイト3の質量とが反比例する位置にあるので、互いの反力が打ち消し合って、静止部には殆ど反力が伝達されることがなく、トラフ2は矢印aの方向に振動する。
【0025】トラフ2の振動数はモータ40の回転数で決まり、プーリ42が1回転すると、回転運動を直線運動に変換されてロッド47が一往復して、トラフ2がレバー10、10’の軸線とは垂直方向に、すなわち矢印a方向に一サイクル振動する。モータ40は図示されていない制御手段により回転数を可変することができるので、振動数を大きくしたい場合はモータ40の回転数を大きく調節し、振動数を小さくしたい場合は回転数を小さく調節すればよい。この振動数の調節はトラフ2で移送させようとする、材料の形状、性状や移送面の表面粗さなどを考慮して調節すればよい。
【0026】図1に示される直線的なトラフ2の投入口2a上には図示されていないホッパが設けられ、ホッパの排出口からは、例えば転がりやすい玉砂利がこの投入口2aに供給される。投入口2aに供給された玉砂利はトラフ2の振動により、矢印a方向に振動による力を受ける。図10に示すようにトラフ2の移送面である波板5は鋸歯状に形成されており、導入側5aが上向きに傾斜していることから、玉砂利は振動力によりこの傾斜の山頂部5dを乗り越えて移送され、導入側5aを越えると、下向きの傾斜面である導出側5bで重力作用及び振動力により、波板5の導入側5aと導出側5bとの間の谷部5cに転がり落ちる。谷部5cでも玉砂利は矢印a方向に振動力を受けているので、逆に上向きの傾斜面となった後方の導出側5bを逆流して導入側5aに戻されることはない。
【0027】次に、玉砂利はこの谷部5cで同様に矢印a方向の振動力を受け、導入側5a1 の上向き傾斜面を移送され山頂部5d1 を越えて、次の谷部5c1 に移送される。このようにして、玉砂利は波板5の複数の山頂部を次々に乗り越えて、図1に示すトラフ2の上方の下流側に移送され、最下流の排出口2bまで移送されると、ここから次工程へ供給される。このようにして、転がりやすい玉砂利は直線的なトラフ2が上方に傾斜しているにもかかわらず、下方から傾斜面を上方に移送される。
【0028】次に、玉砂利よりは転がりにくい材料である、例えばナットをこの振動コンベヤ1で上方に移送する場合について説明する。
【0029】この場合、ナットは上述した玉砂利と比べ、形状や重さも異なり、移送条件も異なるので、玉砂利に対して適当な移送環境であっても、ナットに対してもそれが適当であるとは限らない。従って、トラフ2での移送面の状態や駆動源の振動数や振動角度をナットに適切な移送環境に変えれば、効率的な作業ができる。本実施例ではトラフ2の波板取付部材4を変えることにより波板の形状を変えることができ、またモータ40の制御により回転数を調節して振動数を変えて移送条件を変えることができ、更にレバー10とコイルばね21の対の傾斜角を調節することにより振動角を変えることができるので、それらをナットの移送に対して好適な条件に合わせれば良い。
【0030】以上では波板5の鋸歯状波形の高さと移送すべき物体との大きさを同レベルのものとしてミクロ的に説明したが、マクロ的に説明すれば以下のとおりである。すなわち、波板5の頂部の高さ、谷部の深さに比べて充分に小さい粒径の物体または粒状材料を波板5の頂部より充分に高い層厚で、トラフ2の長手方向に沿って移送させる場合、この層の下層部ではマクロ的にはトラフ2の移送面を形成する波板5の頂部及び谷部で高い摩擦力を受けることができ、いわば材料の層全体が(内部摩擦も充分に大とする)、この下層部において、波板5の接触により係合した状態を維持して振動により、また点としての物体に対する振動力を層として受けると考えれば、トラフ2の昇り傾斜角が18度のようにいかに大きくとも、その時の振動数で確実に上方へ移送することができ、下方へ滑落することはない。
【0031】また、移送すべき物体または材料は形状や性状によっては波板5を用いずとも、そのときの傾斜角(本実施例では18度)に見合う振動角、すなわち水平のトラフに対する振動角よりは高い振動角でトラフ2の移送面に対し、大きな飛び出し角で跳躍させるようにし、かつモータ40の回転数を可変としているので、これに応じて高くすれば、波板5が存在しなくとも、昇り移送をさせることができる。
【0032】図7及び図9に示すようにトラフ2に波板取付部材4を固定している各ボルト38からナット39を外し、トラフ2から波板取付部材4を離脱して、ナットの移送に適した材質及び鋸歯形状をした波板が取り付けられている波板取付部材に変える。次に、振動角を変えるための前作業として、図1〜図3に示す連結装置30、30’をボルト34とナット35により固定する。これにより、今までのトラフ2とカウンタウエイト3との相対的位置が変わることなく維持することができる。すなわち、ロッド47の偏心量によるストロークをこれまでと同じに維持できる。
【0033】レバー10、10’と各コイルばね21の傾斜角を変えるため、上述した図4〜図6に示しているレバー10、10’及び各コイルばね21を張設している第1のコの字部材22及び第2のコの字部材24に係合されている、各ボルトに螺合して取り付けられているナットを緩める。レバー10、10’の角度は取付板12に形成された切欠20に沿って目盛りAが刻まれ、また各コイルばね21の角度は切欠25aに沿って目盛りBが刻まれているので調節は容易にできる。例えば、以前行った作業上の経験からナットは目盛り3の位置が適当であれば、あるいは実験によってレバー10、10’及び第2のコの字部材24をその最適な目盛りの位置に合わせれば良い。レバー10、10’と各コイルばね21とは対に90度が維持されたまま角度調節がされる。移送される材料の種類毎に移送状態を記録しておけば、以前に移送状態が最適であったときと同じ条件で作業ができる。尚、これについてはトラフ2の振動数や波板の傾斜角及び波板の材質についても同様なことが言える。レバー10、10’と各コイルばね21の角度調節が終了した後は、トラフ2とカウンタウエイト3を仮止めしている連結装置30、31’のボルト34とナット35を外す。このように連結装置30、30’をレバー10、10’と各コイルばね21の傾斜角の調整中に固定させておけば、トラフ2及びカウンタウエイト3の相対的位置は常に同じで、レバー10、10’及び各コイルばね21の傾斜角のみ変えることができる。これによりモータ40の回転数が一定であれば、レバー10、10’及び各コイルばね21の位置を目盛りA、Bのそれぞれ相互に対応する位置に合わせることで、トラフ2が目盛り毎に一定の振動角で作動し、その振動角毎に一定の規則的な状態(振動角、振巾及び振動数)で作動する。
【0034】 以上のように本発明の振動コンベヤは移送しようとする材料が玉砂利からナットに変わっても、玉砂利と同様に波板上をトラフ2の上方の排出口2bに移送され、排出口2bから次工程へ供給されることは明らかである。このように本発明の振動コンベヤ1は移送材料の形状や材質に合わせて、トラフの移送面の材質、波板の鋸歯形状及びモータの回転数を変えられるので、上向きの傾斜面で転がりやすい種々の材料を移送するのに、その移送材料に対して最も好適な条件で移送することができ、またある傾斜角で過去の作業状態を記録しておくことで、その移送される材料の形状及び材質に最も適した移送条件に振動コンベヤを簡単に調節できる。また、モータ40の回転数を変えても、同様に振動角毎に一定の規則的な状態で作動するので、様々な振動条件(回転数可変、よって振動数可変)を一台の装置で作りだすことができ、様々な材料を移送するための応用が可能となる。
【0035】以上、本発明の実施例について述べたが、勿論、本発明はこれに限定されることなく、その技術的思想に基いて、種々の変形が可能である。
【0036】 例えば、以上の実施例では波板5の導出側5bを下向きにして形成させたが、これをほぼ水平に設けてもよい。また移送される物体によっては、波板や波板取付部材を省略して、振動角の変更だけで大きな昇り傾斜でも振動で上方へ移送させることができる。
【0037】また、以上の実施例ではトラフ2を18度に傾斜させたが、傾斜角はこれに限らず、また一般の振動コンベヤのように水平にしてもよい。この場合は鋸歯状の波板は省略してもよい。勿論、そのままでもよい。
【0038】尚、また以上の実施例では波板5の材質については特に言及しなかったが、移送すべき物体または材料の移送面に対する摩擦係数を増大させるために、波板の材質をゴムで形成したり、あるいは鉄材で形成するにしろ、表面あらし、例えばショートピーニングや何らかの加工法により、梨地とすることにより、同じ振動角、振動数、振巾でもより大きな移送速度を得ることができる。
【0039】また、昇り傾斜角の大きさ(上記実施例では18度)やトラフ2の底壁面との摩擦係数によっては、波板を用いることなく、振動角の調節によってのみ、このような大きな昇り傾斜角でも、物体及び材料を上方へ移送させることができる。
【0040】また、上記実施例では波板5の頂部の高さあるいは谷部の深さと、移送すべき物体または材料の大きさに関する相対的な関係は詳細に述べなかったが、各波板5を取り付けた波板取付部材4について、波板5の形状のみならず、同形状でもこの各山部、谷部のピッチや高さ、深さにつき、各サイズの物を準備してもよい。
【0041】また、実施例の振動コンベヤ1の振動系としてはトラフ2とこの直下方に配設されたカウンタウエイト3との2質量系の振動系について説明したが、図12R>2の従来例と同様に3質量系の振動系にも本発明は適用可能である。すなわち、各レバー53、53の中間部(上記実施例ではトラフ2とカウンタウエイト3との質量に反比例する各上端及び下端からの位置において支持手段により支持機構で、静止部である天井に懸吊させたが)を支持させているカウンタウエイト52の更に直下方に配設されるフレーム55を静止部である天井に懸吊させるようしてもよい。
【0042】また、以上の実施例では長いトラフ2の昇り傾斜角を変えるために、レバー10の中間部を静止部である天井に懸吊させたが、これに代えて地上でトラフの前端部及び後端部において、高さを変えることにより傾斜させるようにしてもよい。しかしながら、実施例のように天井より懸吊させたほうが、例えばターンボルトの適用によりこの傾斜角の調節が容易であり、またこのような振動コンベヤを敷設している工場の限られた面積を有効に利用することができる。例えば、トラフ2の排出口の直下方にホッパを設け、これからの所定の位置にベルトコンベヤで更に高い位置あるいは同レベルのある位置に搬送することができる。
【0043】また、以上の実施例ではトラフ2で単に供給口から排出口に向かって、各物体または材料を上方に移送させるのみとしたが、これにスクリーンを張架させ、供給口から供給された物体または材料を上方移送途上で、ふるい上とふるい下とに分離して、ふるい上は上述したように直下方に配設されたホッパに供給し、ふるい下はこれよりやや上流側に設けた第2の排出口からベルトコンベヤ上に排出して他所に搬送してもよい。いづれにしても長い振動コンベヤの上方傾斜配設により種々の便宜をはかることができる。
【0044】また、以上の実施例ではレバー10の中間部に対する支持機構6、6’においては吊金具9のアイボルト8の下端に形成された環状部には、トラフ2の長手方向に対して垂直方向に延在する軸部材13の両端部をアダプタ14、ボルト15を介して取り付けたが、これらに更に環状のゴムでなるゴム部材をアイボルトの環状部とアダプタ14との間に介在させて、トラフ2とカウンタウエイト3とをレバー10の中間部の支持部で振動あるいは揺動させるときに、レバー10、10の支持部の回動により、円周方向の反力を吸収し、また実施例と異なり更に金属同士の摩擦による騒音を殆どなくすことができる。しかしながら上記実施例においてもコイルばね7によりトラフ2、カウンタウエイト3などからなる全重量を支持しており、更にレバー10、10の支持機構への枢着点はトラフ2の重量とカウンタウエイト3との重量に反比例する上端及び下端からの位置に定められているので、トラフ2及びカウンタウエイト3との揺動による反力は相殺されて、天井には殆ど振動反力が伝達されることはないのであるが、更にアイボルト8の環状部と軸部材13の両端に設けられた部材と摩擦力によりばねが伸縮する。これによって、振動反力の伝達の防止を行うとともに、更にアイボルト8の環状部と軸部材13の両端部に取り付けられたアダプタ14の相対運動を小としている。すなわち、摩擦運動を小としている。
【0045】また、上述したように天井から懸吊しているトラフ2の昇り傾斜角を調整する場合には上記実施例ではロープ6a、6a’の長さを調節するとし、またターンボルトをロープ6a、6a’中に介在させることにより、両ロープ6a、6a’の天井から吊金具9までの長さを容易に変えて傾斜角を変えることができるとしたが、そのターンボルトの一例を図11に示しておく。すなわち、これは最もよく知られている構造のターンボルトであるが、この把持部100を作業者が握り、ロープの延在方向に関し時計方向または反時計方向に回動させることにより把持部100の上端部に形成されるめねじ101aと下端部に形成されているめねじ101bとは逆方向であり、これらにそれぞれ上方側ロープの下端部、下方側のロープの上端部に一体的に設けられたねじ部106a、106bに螺合しているので、時計方向か反時計方向かの回動により把持部100を介在させるロープ6の全長を容易に変えることができる。
【0046】
【発明の効果】以上述べたように本発明の振動コンベヤによれば、レバーとコイルばねとの対の水平線に対する傾斜角度を調整可能にしたことからトラフの振動角度を一様にかえることができ、これによりトラフの移送面に対する振動条件を変更して様々な応用が可能となり、例えばトラフが大きな上り傾斜で配置されている場合でも転がりやすい材料を下から上へ運ぶことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例による振動コンベヤの正面図である。
【図2】同側面図である。
【図3】図1における[3]ー[3]線方向における断面図である。
【図4】本発明の実施例による振動コンベヤのトラフとカウンタウエイトとの連結部分を示す正面図である。
【図5】図4における[5]ー[5]線方向の断面図である。
【図6】図4における[6]ー[6]線方向のトラフを除外した断面図である。
【図7】本発明の実施例による振動コンベヤのトラフにおける移送路を示す平面図である。
【図8】同移送路に適用される波板取付部材の部分破断正面図である。
【図9】図7における[9]ー[9]線方向の断面図である。
【図10】本発明の実施例による振動コンベヤのトラフの移送面である波板の形状を示す拡大断面図である。
【図11】ロープ6a、6a’長さ調節部の一例を示す部分正面図である。
【図12】 従来例による振動コンベヤの正面図である。
【符号の説明】
1 振動コンベヤ
2 トラフ
3 カウンタウエイト
6 支持機構
6’ 支持機構
7 コイルばね
10 レバー
21 コイルばね
30 補助連結部
30’ 補助連結部
40 モータ
A 目盛り
B 目盛り
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は振動コンベヤに関し、特にトラフの振動角を調整できる振動コンベヤに関する。
【0002】
【従来の技術及びその問題点】従来では、砂利などを任意の地点に移送させるのに振動コンベヤが用いられている。この種の振動コンベヤでは駆動源に電動機を用いクランク機構を用いたものが知られている。以下、その従来における振動コンベヤについて説明する。
【0003】図12に示すように、従来の振動コンベヤは全体として50で示され、この振動コンベヤ50は可動部であるトラフ51とカウンタウエイト52とが、これらの両側部に設けられた一対のレバー53がそれぞれ枢着して取り付けられている。このレバー53はその中央部が支点となり、架台55に固定されているレバースタンド64に支持され、さらに架台55は地上に支持されている防振ばね63に支持される。クランク式加振機構56は主としてモータ57とプーリ61と、この回転軸に取り付けられたクランクとからなり、モータ57が駆動するとベルト60を介して、プーリ61を回転させ、これにより駆動ロッド58を往復動させている。駆動ロッド58は板ゴムなどからなるショックアブソーバ59を介してトラフ51に結合され、これによりモータ57が駆動されることによりトラフ51に振動力が加えられる。この振動力を受け、トラフ51とカウンタウエイト52とはレバー53とコイルばね54により相互に相反する方向に振動する。従って、トラフ51は矢印b方向に振動し、トラフ51内の材料(図示せず)は右方へと移送される。
【0004】しかし、この種の振動コンベヤは水平方向には問題なく物を運ぶことができるが、振動コンベヤの直線的なトラフに大きな傾斜をつけると、すなわち全体を大きく上向きに傾斜させると、特に転がりやすい材料、例えば玉砂利を下方から上方へと運ぶときは、これを行うために傾斜面の移送中に玉砂利が転げ落ちて、トラフの上方の最下流側まで移送させることができなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は以上の問題点に鑑みてなされ、直線的なトラフ上で転がりやすい材料を大きな傾斜角でも、下から上へ移送することのできる振動コンベヤを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】以上の目的は、直線的に延びるトラフと、該トラフの直下方に配設されるカウンタウエイトと、前記トラフとカウンタウエイトとに両端部で枢着する複数の左右一対のレバーと、該レバーの長手方向に対し垂直方向に延在し、前記トラフと前記カウンタウエイトとを結合するコイルばねと、前記レバーの中間部を該レバーが回動可能に静止部に支持する支持手段と、加振源とからなる振動コンベヤにおいて、前記レバーと前記コイルばねとの対の水平線に対する傾斜角度を調整する調整手段を備え、該調整手段により前記傾斜角度を調整可能としたことを特徴とする振動コンベヤによって達成される。
【0007】
【作用】レバーとコイルばねとの対の水平線に対する傾斜角度を調整可能としたのでトラフの振動角を一様に変えることができる。また、この構成のためトラフの移送面に対して種々の材料の適用が可能になり、大きな上り傾斜面でも例えば転がりやすい材料を下から上へと運べるようになる。
【0008】
【実施例】以下、本発明の実施例による振動コンベヤについて図面を参照して説明する。本発明の振動コンベヤ1は、図1に示すように可動部であるトラフ2とその直下方に位置するカウンタウエイト3とが、これらの側部に取り付けられている取付板11、12を介してレバー10、10’、10により連結されている。また、これらの複数のレバー10、10’、10は図2及び図3に示されているように、それぞれトラフ2及びカウンタウエイト3の側壁に左右一対(以下、本明細書で特に指示のない場合に、左右とは図2及び図3に示される振動コンベヤ1の向き、すなわちトラフの移送方向に対して垂直方向を左右とする)に設けられている。こうした振動コンベヤ1はレバー10、10’を介して支持機構6、6’により支持され、これらの支持機構6、6’も図2に示すように支持機構6が左右一対に設けられている。
【0009】次に、これらの各構成部分の詳細について説明すると、振動コンベヤ1を屋内における作業場の天井から懸吊している、支持機構6、6’は主としてロープ6a、6a’、コイルばね7、アイボルト8、吊金具9及び軸部材13とからなり、ロープ6a、6a’の上端部は図示されていない固定手段により天井に固定され、下端部は図2及び図3に示すように鍵状となっており、この部分に吊金具9の上端部が吊り下げられている。支持機構6、6’はロープ6a、6a’の長さのみ異なり(なお、この長さは公知のターンボルトを介在させることにより調整可能にしてもよい)、一方の支持機構6側のみ説明すると、吊金具9の底壁部にはばね受け9aが固定されており、アイボルト8がこれらの中心に形成されている開口を挿通して設けられている。アイボルト8の上端部はこれに挿通されたばね受け8aがナットにより止着されており、これらばね受け8aと9aとの間に振動コンベヤ1の全体の荷重を受けるコイルばね7が張設されている。また、アイボルト8の下端部は環状に形成され、この両環状下端部の内方に振動コンベヤの軸方向(移送方向)を垂直に横断する軸部材13が設けられている。
【0010】図5に示すように軸部材13はアイボルト8の下端部の環状内部の孔を挿通するアダプタ14を介して、軸部材13の開口端に溶接されている部材13aに形成されているめねじ部にボルト15を螺合させることにより、アイボルト8の環状内部に枢着させて取り付けられる。また、この軸部材13の端部よりやや内方側には左右一対のレバー10が固定され、このレバー10と軸部材13とが固定される位置はトラフ2の質量とカウンタウエイト3の質量とが反比例する位置、例えばトラフ2の質量が100Kgで、カウンタウエイト3の質量が200Kgであれば、レバー10の長手方向の上端部及び下端部から2:1の位置に固定される。
【0011】図4に示すように、レバー10の両端には円弧形状に上端部10aと下端部10bとが形成され、これらの上端部10aと下端部10bに固定された環状部材10g、10hにはこれと同心的にボルト挿通孔を有する筒部材10c、10dがそれぞれ挿通され、これら環状部材10g、10hと筒部材10c、10dとの間にはゴム部材10e、10fが、環状部材10g、10hの内壁及び筒部材10c、10dの外壁に接着されて設けられている。すなわち、レバー10に固定された環状部材10g、10hとそれぞれの筒部材10c、10dとは枢着された関係となる。レバー10の環状部材10hはトラフ2の直下方に設けられているカウンタウエイト3の側壁に取り付けられている取付板12に筒部材10dが固定されることにより取り付けられ、これらはボルト17をレバー10の筒部材10d及び取付板12に形成されているボルト挿通孔である円弧状の切欠20に挿通させ、ナット18を螺合させ、締めつけることにより固定される。
【0012】レバー10の上端部の環状部材10gは筒部材10cがトラフ2の両側壁に固定されている取付板11と、及びこれと左右一対の関係にある取付板11を横断する第1のコの字部材22の端部に溶接により取付られている平板22aと共に固定されている。これらはボルト28をレバー10の筒部材10c、取付板11及び平板22aの中心部に形成されているボルト挿通孔にボルト28を貫通させて、これにナット29を螺合させ、締めつけることにより固定される。第1のコの字部材22の両端部には、八角形状の平板22aが固定され、これらに形成されたボルト挿通孔及び取付板11に形成された一対の円弧状の切欠19a、19bにボルト26a、26bを貫通させて、ナット36a、36bを螺合させ、締め付けることにより取付板11に固定される。
【0013】図4及び図6に示されるように、左右一対のコイルばね21はレバー10の上端側の環状部材10gと同心的な筒部材10cと共締めされている第1のコの字部材22と、カウンタウエイト3の内壁に固定されている左右一対の取付板23を連結する第2のコの字部材24との間に設けられ、レバー10の軸線(すなわち筒部材10cと筒部材10dとを結ぶ線分)に対して垂直方向に圧縮状態で張設されている。図6に示すように、第1のコの字部材22及び第2のコの字部材24にはそれぞれ対向して、ばねの止着部22b、24bが設けられ、コイルばね21の両端部がこれらに止着される。
【0014】第2のコの字部材24はこの両側部に溶接により固定された平板24aに形成されたボルト挿通孔と、取付板23に形成された切欠25a、25bとにボルト27a、27bを挿通させ、これらにナット37a、37bを螺合させ、締めつけることにより固定される。尚、説明は省略したが各ボルトとナットの螺合部には図示しているように、振動による緩みの防止のためスプリングナットやワッシャが挟持されている。
【0015】次に、このクランク機構により振動力を受けるトラフの振動角の調整方法について説明すると、図1R>1〜図3に示すように振動コンベヤ1の両端部には連結装置30、30’が設けられ、図2に示すように連結装置30はカウンタウエイト3の両端部に固定されている一対の下方連結部材32の間に形成されている隙間に、トラフ2の底壁に固定されている上方連結部材33をスペーサ31を介在させてはめ込み、これらの接続部分にそれぞれ設けられている貫通孔にボルト34を貫通させて、そのボルト34の突出部にナット35を螺合させ、締めつけることにより、トラフ2とカウンタウエイト3とが、これまでと同じ間隔を維持したまま仮止めされる。図1及び図3に一部が示される連結装置30’も同様の方法でトラフ2とカウンタウエイト3との間をこれまでと同じ間隔を維持したまま仮止めされる。すなわち、このようにトラフ2とカウンタウエイト3とを仮止めすることにより、左右両側部の各取付板11、12、23の各ねじ部を緩めても、これらの間隔をそのまま維持することができる。
【0016】図1で示されている振動コンベヤ1の右端側、すなわち図2に示されている、左右一対のレバー10とコイルばね21の傾斜角を変えるため、初めに左右一対のレバー10を取付板11、12の固定から解く。これは図4または図6に示すように、レバー10の上端部の環状部材10gに係合しているボルト28とレバー10の下端側の環状部材10hに係合しているボルト17にそれぞれ螺合しているナット29、18を緩める。
【0017】次に、コイルばね21が張設されている第1のコの字部材22及び第2のコの字部材24を取付板11、23の固定から解く。第1のコの字部材22はその両端部に固定されている八角形状の平板22aに係合しているボルト28、26a、26bのそれぞれに螺合しているナット29、36a、36bを緩めることにより、取付板11の固定から解放される。他方、第2のコの字部材24はその両端部に固定されている四角形状の側板24aに係合しているボルト27a、27bに螺合しているそれぞれのナット37a、37bを緩めることにより、取付板23の固定から解放される。これでレバー10及びコイルばね21の傾斜角を調整するための全ての部材が取付板11、12、23の固定から解放される。
【0018】図4に示すように、カウンタウエイト3の両側部に固定されている取付板12には弧状の切欠20が設けられており、レバー10はボルト28を軸心にして、この切欠20の範囲内で回動可能となり、第1のコの字部材22はその端部に固定されている平板22aがボルト28の軸心の周りに弧状の切欠19a、19bの範囲内で回動可能となり、第2のコの字部材24が端部に固定された側板24aがボルト28を軸心にして、円周方向に弧状に形成された切欠25a、25bの範囲内で位置調整ができる。従って、レバー10及び第1のコの字部材22と第2のコの字部材24との間に張設されたコイルばね21は、一体的にそれらの範囲内でトラフ2及びカウンタウエイト3に対する角度調節が可能となる。
【0019】取付板12には切欠20に沿って目盛りAが刻まれており、レバー10の環状部材10hに刻まれている基準線Cを所望の目盛りの位置に合わせて、ここをボルト17とナット18により仮止めする。レバー10を回動させることにより、これに一体的となっている第1のコの字部材22及び第2のコの字部材24もボルト28を軸心にして、レバー10と同方向に回動するが、このときに多少コイルばね21が自重や第2のコの字部材24の重さで下方に撓むことがある。この場合には取付板23の切欠25aに沿って目盛りBが設けられており、それぞれの目盛りA、Bは1目盛り刻みに、レバー10とコイルばね21が相互に90度となるように刻まれているので、常にレバー10とコイルばね21が90度の角度となるように調節することができる。以上、図1に示す振動コンベヤ1の右端側のレバー10とコイルばね21の振動角の調整方法について説明したが、この振動コンベヤ1の中央部に設けられているレバー10’及びコイルばね21、更に左端側のレバー10及びコイルばね21の角度調整も同じ方法で、同じ傾斜角に調整する。尚、目盛りA、Bによってすべてのレバー10、10’及びコイルばね21の対の水平線に対する傾斜角をすべて正確に同一とすることができ、よってトラフ2の全長にわたって一様な振動角を保証することができる。角度の調整後はこの作業で緩められた、各ボルトとナットを締めつけることにより各部を固定し、この後連結装置30、30’の連結部を外す。
【0020】次に、本実施例における振動コンベヤ1の駆動部について説明する。図1〜図3に示すように、カウンタウエイト3の一側部にはモータ取付台が固定され、その上にモータ40が取り付けられている。このモータ40は図示されていない制御手段により、モータ40の回転数の制御が可能である。モータ40のモータ軸には小プーリ41が固定され、この小プーリ41と、その中心軸にシャフト43を固定しているプーリ42との周りにVベルト44が張られている。これにより、プーリ42はモータ40の回転力をVベルト44を介して受ける。図2に示すようにシャフト43は、その両端部にそれぞれ回転運動を直線往復運動に変換するクランク部45及びベアリングからなる軸受46が設けられている。クランク部45にはこのクランク機構に形成された偏心軸にロッド47(図1)の端部が枢着しており、モータ40が駆動することによりトラフ2の長手方向にこれが直線往復運動し、トラフ2の側部に取付金具48により固定されているショックアブソーバ49を介してトラフ2を振動させる。
【0021】図1に示すようにトラフ2は水平方向に対して18度の上り傾斜角をもつようにロープ6a、6a’で天井より懸吊され、その両端部にはトラフ2の移送路上を移送される材料を投入する投入口2aと、移送された材料を次工程に供給する排出口2bとが設けられている。
【0022】 図7はそのトラフ2の傾斜部分2cに設けられている直線的な波板取付部材4とこれに取り付けられている波板5を示す。波板取付部材4はトラフ2内に取り付けられ、図9に示されるようにコの字形状をしており、その底壁面に図10に示されるように鋸歯状に形成された波板5が端部を溶接されて取り付けられている。この波板5は導入側5aが上向きに傾斜し、他方の導出側5bは下向きに形成されている。図8は波板取付部材4がトラフ2に取り付けられていない状態を示すが、波板取付部材4の側部には複数のボルト挿通孔hが設けられ、これに対応するようにトラフ2側にもボルト挿通孔が形成されている。波板取付部材4はトラフ2に取り付けられた状態では図7及び図9に示すようにトラフ2の両側部で複数のボルト38にナット39を螺合させ、締めつけることにより取り付けられる。尚、トラフ2は各上端部が図2及び図3に示されるように水平方向に折り曲げて形成され、側部が図1に示すように投入口2a及び排出口2bに補強板65a、65bが取り付けられことにより強化されている。以下、本発明の実施例によるトラフ2の移送面の各部の寸法の実例を記載する。図7における波板取付部材4の全長4225mm、巾439mm、板厚3mm、図10における波板5のピッチ(5d−5d1 間)35mm及び導入部5a(5c−5d1 間)26mm、導出部5b(5d−5c間)13mm及び板厚1.5mmである。尚、図面におけるトラフ2、波板取付部材4及び波板5の各部の寸法比とそれらの実寸比とは分かりやすくするため、異なる部分がある。
【0023】以上、本発明の振動コンベヤ1の構成ついて説明したが、次にその作用、効果について説明する。
【0024】図示されていない制御手段により、モータ40が駆動されると、Vベルト44によりプーリ42が回転運動をする。この回転力をプーリ42の中心に固定されたシャフト43による回転運動が、クランク部45によりロッド47の直線往復運動に変換され、トラフ2はショックアブソーバ49を介して振動力を受ける。トラフ2とカウンタウエイト3とは相反する方向に振動するが、振動コンベヤ1はレバー10を介して支持機構6、6’の各アイボルト8に支持されており、このレバー10の支持されている支点の位置が、トラフ2の質量とカウンタウエイト3の質量とが反比例する位置にあるので、互いの反力が打ち消し合って、静止部には殆ど反力が伝達されることがなく、トラフ2は矢印aの方向に振動する。
【0025】トラフ2の振動数はモータ40の回転数で決まり、プーリ42が1回転すると、回転運動を直線運動に変換されてロッド47が一往復して、トラフ2がレバー10、10’の軸線とは垂直方向に、すなわち矢印a方向に一サイクル振動する。モータ40は図示されていない制御手段により回転数を可変することができるので、振動数を大きくしたい場合はモータ40の回転数を大きく調節し、振動数を小さくしたい場合は回転数を小さく調節すればよい。この振動数の調節はトラフ2で移送させようとする、材料の形状、性状や移送面の表面粗さなどを考慮して調節すればよい。
【0026】図1に示される直線的なトラフ2の投入口2a上には図示されていないホッパが設けられ、ホッパの排出口からは、例えば転がりやすい玉砂利がこの投入口2aに供給される。投入口2aに供給された玉砂利はトラフ2の振動により、矢印a方向に振動による力を受ける。図10に示すようにトラフ2の移送面である波板5は鋸歯状に形成されており、導入側5aが上向きに傾斜していることから、玉砂利は振動力によりこの傾斜の山頂部5dを乗り越えて移送され、導入側5aを越えると、下向きの傾斜面である導出側5bで重力作用及び振動力により、波板5の導入側5aと導出側5bとの間の谷部5cに転がり落ちる。谷部5cでも玉砂利は矢印a方向に振動力を受けているので、逆に上向きの傾斜面となった後方の導出側5bを逆流して導入側5aに戻されることはない。
【0027】次に、玉砂利はこの谷部5cで同様に矢印a方向の振動力を受け、導入側5a1 の上向き傾斜面を移送され山頂部5d1 を越えて、次の谷部5c1 に移送される。このようにして、玉砂利は波板5の複数の山頂部を次々に乗り越えて、図1に示すトラフ2の上方の下流側に移送され、最下流の排出口2bまで移送されると、ここから次工程へ供給される。このようにして、転がりやすい玉砂利は直線的なトラフ2が上方に傾斜しているにもかかわらず、下方から傾斜面を上方に移送される。
【0028】次に、玉砂利よりは転がりにくい材料である、例えばナットをこの振動コンベヤ1で上方に移送する場合について説明する。
【0029】この場合、ナットは上述した玉砂利と比べ、形状や重さも異なり、移送条件も異なるので、玉砂利に対して適当な移送環境であっても、ナットに対してもそれが適当であるとは限らない。従って、トラフ2での移送面の状態や駆動源の振動数や振動角度をナットに適切な移送環境に変えれば、効率的な作業ができる。本実施例ではトラフ2の波板取付部材4を変えることにより波板の形状を変えることができ、またモータ40の制御により回転数を調節して振動数を変えて移送条件を変えることができ、更にレバー10とコイルばね21の対の傾斜角を調節することにより振動角を変えることができるので、それらをナットの移送に対して好適な条件に合わせれば良い。
【0030】以上では波板5の鋸歯状波形の高さと移送すべき物体との大きさを同レベルのものとしてミクロ的に説明したが、マクロ的に説明すれば以下のとおりである。すなわち、波板5の頂部の高さ、谷部の深さに比べて充分に小さい粒径の物体または粒状材料を波板5の頂部より充分に高い層厚で、トラフ2の長手方向に沿って移送させる場合、この層の下層部ではマクロ的にはトラフ2の移送面を形成する波板5の頂部及び谷部で高い摩擦力を受けることができ、いわば材料の層全体が(内部摩擦も充分に大とする)、この下層部において、波板5の接触により係合した状態を維持して振動により、また点としての物体に対する振動力を層として受けると考えれば、トラフ2の昇り傾斜角が18度のようにいかに大きくとも、その時の振動数で確実に上方へ移送することができ、下方へ滑落することはない。
【0031】また、移送すべき物体または材料は形状や性状によっては波板5を用いずとも、そのときの傾斜角(本実施例では18度)に見合う振動角、すなわち水平のトラフに対する振動角よりは高い振動角でトラフ2の移送面に対し、大きな飛び出し角で跳躍させるようにし、かつモータ40の回転数を可変としているので、これに応じて高くすれば、波板5が存在しなくとも、昇り移送をさせることができる。
【0032】図7及び図9に示すようにトラフ2に波板取付部材4を固定している各ボルト38からナット39を外し、トラフ2から波板取付部材4を離脱して、ナットの移送に適した材質及び鋸歯形状をした波板が取り付けられている波板取付部材に変える。次に、振動角を変えるための前作業として、図1〜図3に示す連結装置30、30’をボルト34とナット35により固定する。これにより、今までのトラフ2とカウンタウエイト3との相対的位置が変わることなく維持することができる。すなわち、ロッド47の偏心量によるストロークをこれまでと同じに維持できる。
【0033】レバー10、10’と各コイルばね21の傾斜角を変えるため、上述した図4〜図6に示しているレバー10、10’及び各コイルばね21を張設している第1のコの字部材22及び第2のコの字部材24に係合されている、各ボルトに螺合して取り付けられているナットを緩める。レバー10、10’の角度は取付板12に形成された切欠20に沿って目盛りAが刻まれ、また各コイルばね21の角度は切欠25aに沿って目盛りBが刻まれているので調節は容易にできる。例えば、以前行った作業上の経験からナットは目盛り3の位置が適当であれば、あるいは実験によってレバー10、10’及び第2のコの字部材24をその最適な目盛りの位置に合わせれば良い。レバー10、10’と各コイルばね21とは対に90度が維持されたまま角度調節がされる。移送される材料の種類毎に移送状態を記録しておけば、以前に移送状態が最適であったときと同じ条件で作業ができる。尚、これについてはトラフ2の振動数や波板の傾斜角及び波板の材質についても同様なことが言える。レバー10、10’と各コイルばね21の角度調節が終了した後は、トラフ2とカウンタウエイト3を仮止めしている連結装置30、31’のボルト34とナット35を外す。このように連結装置30、30’をレバー10、10’と各コイルばね21の傾斜角の調整中に固定させておけば、トラフ2及びカウンタウエイト3の相対的位置は常に同じで、レバー10、10’及び各コイルばね21の傾斜角のみ変えることができる。これによりモータ40の回転数が一定であれば、レバー10、10’及び各コイルばね21の位置を目盛りA、Bのそれぞれ相互に対応する位置に合わせることで、トラフ2が目盛り毎に一定の振動角で作動し、その振動角毎に一定の規則的な状態(振動角、振巾及び振動数)で作動する。
【0034】 以上のように本発明の振動コンベヤは移送しようとする材料が玉砂利からナットに変わっても、玉砂利と同様に波板上をトラフ2の上方の排出口2bに移送され、排出口2bから次工程へ供給されることは明らかである。このように本発明の振動コンベヤ1は移送材料の形状や材質に合わせて、トラフの移送面の材質、波板の鋸歯形状及びモータの回転数を変えられるので、上向きの傾斜面で転がりやすい種々の材料を移送するのに、その移送材料に対して最も好適な条件で移送することができ、またある傾斜角で過去の作業状態を記録しておくことで、その移送される材料の形状及び材質に最も適した移送条件に振動コンベヤを簡単に調節できる。また、モータ40の回転数を変えても、同様に振動角毎に一定の規則的な状態で作動するので、様々な振動条件(回転数可変、よって振動数可変)を一台の装置で作りだすことができ、様々な材料を移送するための応用が可能となる。
【0035】以上、本発明の実施例について述べたが、勿論、本発明はこれに限定されることなく、その技術的思想に基いて、種々の変形が可能である。
【0036】 例えば、以上の実施例では波板5の導出側5bを下向きにして形成させたが、これをほぼ水平に設けてもよい。また移送される物体によっては、波板や波板取付部材を省略して、振動角の変更だけで大きな昇り傾斜でも振動で上方へ移送させることができる。
【0037】また、以上の実施例ではトラフ2を18度に傾斜させたが、傾斜角はこれに限らず、また一般の振動コンベヤのように水平にしてもよい。この場合は鋸歯状の波板は省略してもよい。勿論、そのままでもよい。
【0038】尚、また以上の実施例では波板5の材質については特に言及しなかったが、移送すべき物体または材料の移送面に対する摩擦係数を増大させるために、波板の材質をゴムで形成したり、あるいは鉄材で形成するにしろ、表面あらし、例えばショートピーニングや何らかの加工法により、梨地とすることにより、同じ振動角、振動数、振巾でもより大きな移送速度を得ることができる。
【0039】また、昇り傾斜角の大きさ(上記実施例では18度)やトラフ2の底壁面との摩擦係数によっては、波板を用いることなく、振動角の調節によってのみ、このような大きな昇り傾斜角でも、物体及び材料を上方へ移送させることができる。
【0040】また、上記実施例では波板5の頂部の高さあるいは谷部の深さと、移送すべき物体または材料の大きさに関する相対的な関係は詳細に述べなかったが、各波板5を取り付けた波板取付部材4について、波板5の形状のみならず、同形状でもこの各山部、谷部のピッチや高さ、深さにつき、各サイズの物を準備してもよい。
【0041】また、実施例の振動コンベヤ1の振動系としてはトラフ2とこの直下方に配設されたカウンタウエイト3との2質量系の振動系について説明したが、図12R>2の従来例と同様に3質量系の振動系にも本発明は適用可能である。すなわち、各レバー53、53の中間部(上記実施例ではトラフ2とカウンタウエイト3との質量に反比例する各上端及び下端からの位置において支持手段により支持機構で、静止部である天井に懸吊させたが)を支持させているカウンタウエイト52の更に直下方に配設されるフレーム55を静止部である天井に懸吊させるようしてもよい。
【0042】また、以上の実施例では長いトラフ2の昇り傾斜角を変えるために、レバー10の中間部を静止部である天井に懸吊させたが、これに代えて地上でトラフの前端部及び後端部において、高さを変えることにより傾斜させるようにしてもよい。しかしながら、実施例のように天井より懸吊させたほうが、例えばターンボルトの適用によりこの傾斜角の調節が容易であり、またこのような振動コンベヤを敷設している工場の限られた面積を有効に利用することができる。例えば、トラフ2の排出口の直下方にホッパを設け、これからの所定の位置にベルトコンベヤで更に高い位置あるいは同レベルのある位置に搬送することができる。
【0043】また、以上の実施例ではトラフ2で単に供給口から排出口に向かって、各物体または材料を上方に移送させるのみとしたが、これにスクリーンを張架させ、供給口から供給された物体または材料を上方移送途上で、ふるい上とふるい下とに分離して、ふるい上は上述したように直下方に配設されたホッパに供給し、ふるい下はこれよりやや上流側に設けた第2の排出口からベルトコンベヤ上に排出して他所に搬送してもよい。いづれにしても長い振動コンベヤの上方傾斜配設により種々の便宜をはかることができる。
【0044】また、以上の実施例ではレバー10の中間部に対する支持機構6、6’においては吊金具9のアイボルト8の下端に形成された環状部には、トラフ2の長手方向に対して垂直方向に延在する軸部材13の両端部をアダプタ14、ボルト15を介して取り付けたが、これらに更に環状のゴムでなるゴム部材をアイボルトの環状部とアダプタ14との間に介在させて、トラフ2とカウンタウエイト3とをレバー10の中間部の支持部で振動あるいは揺動させるときに、レバー10、10の支持部の回動により、円周方向の反力を吸収し、また実施例と異なり更に金属同士の摩擦による騒音を殆どなくすことができる。しかしながら上記実施例においてもコイルばね7によりトラフ2、カウンタウエイト3などからなる全重量を支持しており、更にレバー10、10の支持機構への枢着点はトラフ2の重量とカウンタウエイト3との重量に反比例する上端及び下端からの位置に定められているので、トラフ2及びカウンタウエイト3との揺動による反力は相殺されて、天井には殆ど振動反力が伝達されることはないのであるが、更にアイボルト8の環状部と軸部材13の両端に設けられた部材と摩擦力によりばねが伸縮する。これによって、振動反力の伝達の防止を行うとともに、更にアイボルト8の環状部と軸部材13の両端部に取り付けられたアダプタ14の相対運動を小としている。すなわち、摩擦運動を小としている。
【0045】また、上述したように天井から懸吊しているトラフ2の昇り傾斜角を調整する場合には上記実施例ではロープ6a、6a’の長さを調節するとし、またターンボルトをロープ6a、6a’中に介在させることにより、両ロープ6a、6a’の天井から吊金具9までの長さを容易に変えて傾斜角を変えることができるとしたが、そのターンボルトの一例を図11に示しておく。すなわち、これは最もよく知られている構造のターンボルトであるが、この把持部100を作業者が握り、ロープの延在方向に関し時計方向または反時計方向に回動させることにより把持部100の上端部に形成されるめねじ101aと下端部に形成されているめねじ101bとは逆方向であり、これらにそれぞれ上方側ロープの下端部、下方側のロープの上端部に一体的に設けられたねじ部106a、106bに螺合しているので、時計方向か反時計方向かの回動により把持部100を介在させるロープ6の全長を容易に変えることができる。
【0046】
【発明の効果】以上述べたように本発明の振動コンベヤによれば、レバーとコイルばねとの対の水平線に対する傾斜角度を調整可能にしたことからトラフの振動角度を一様にかえることができ、これによりトラフの移送面に対する振動条件を変更して様々な応用が可能となり、例えばトラフが大きな上り傾斜で配置されている場合でも転がりやすい材料を下から上へ運ぶことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例による振動コンベヤの正面図である。
【図2】同側面図である。
【図3】図1における[3]ー[3]線方向における断面図である。
【図4】本発明の実施例による振動コンベヤのトラフとカウンタウエイトとの連結部分を示す正面図である。
【図5】図4における[5]ー[5]線方向の断面図である。
【図6】図4における[6]ー[6]線方向のトラフを除外した断面図である。
【図7】本発明の実施例による振動コンベヤのトラフにおける移送路を示す平面図である。
【図8】同移送路に適用される波板取付部材の部分破断正面図である。
【図9】図7における[9]ー[9]線方向の断面図である。
【図10】本発明の実施例による振動コンベヤのトラフの移送面である波板の形状を示す拡大断面図である。
【図11】ロープ6a、6a’長さ調節部の一例を示す部分正面図である。
【図12】 従来例による振動コンベヤの正面図である。
【符号の説明】
1 振動コンベヤ
2 トラフ
3 カウンタウエイト
6 支持機構
6’ 支持機構
7 コイルばね
10 レバー
21 コイルばね
30 補助連結部
30’ 補助連結部
40 モータ
A 目盛り
B 目盛り
【特許請求の範囲】
【請求項1】 直線的に延びるトラフと、該トラフの直下方に配設されるカウンタウエイトと、前記トラフとカウンタウエイトとに両端部で枢着する複数の左右一対のレバーと、該レバーの長手方向に対し垂直方向に延在し、前記トラフと前記カウンタウエイトとを結合するコイルばねと、前記レバーの中間部を該レバーが回動可能に静止部に支持する支持手段と、加振源とからなる振動コンベヤにおいて、前記レバーと前記コイルばねとの対の水平線に対する傾斜角度を調整する調整手段を備え、該調整手段により前記傾斜角度を調整可能としたことを特徴とする振動コンベヤ。
【請求項2】 前記トラフの移送面を振動による移送方向に向かって導入側で上向きの傾斜とする鋸歯状に形成した請求項1に記載の振動コンベヤ。
【請求項3】 前記トラフと前記カウンタウエイトとからそれぞれ下方及び上方に突出する連結部材を設け、前記傾斜角度を調整するときにこれら連結部材を相互に固定させ、調節後この固定を解除するようにした請求項1に記載の振動コンベヤ。
【請求項4】 前記加振源の駆動周波数を可変とする請求項1に記載の振動コンベヤ。
【請求項5】 前記傾斜角度の調整手段に目盛りを付した請求項1に記載の振動コンベヤ。
【請求項6】 前記鋸歯状の移送面を形成させている移送路形成板を交換可能に前記トラフの底板に固定させた請求項2に記載の振動コンベヤ。
【請求項7】 前記移送路形成板の材質を交換可能にした請求項6に記載の振動コンベヤ。
【請求項8】 前記鋸歯状の移送面の前記導入側で上向きの傾斜の角度を変更可能にした請求項2または請求項6に記載の振動コンベヤ。
【請求項9】 前記支持手段は前記レバーの、前記トラフの質量とカウンタウエイトの質量との反比例する前記枢着点からの位置で上方にある前記静止部にコイルばねを介して懸吊するようにした請求項1に記載の振動コンベヤ。
【請求項1】 直線的に延びるトラフと、該トラフの直下方に配設されるカウンタウエイトと、前記トラフとカウンタウエイトとに両端部で枢着する複数の左右一対のレバーと、該レバーの長手方向に対し垂直方向に延在し、前記トラフと前記カウンタウエイトとを結合するコイルばねと、前記レバーの中間部を該レバーが回動可能に静止部に支持する支持手段と、加振源とからなる振動コンベヤにおいて、前記レバーと前記コイルばねとの対の水平線に対する傾斜角度を調整する調整手段を備え、該調整手段により前記傾斜角度を調整可能としたことを特徴とする振動コンベヤ。
【請求項2】 前記トラフの移送面を振動による移送方向に向かって導入側で上向きの傾斜とする鋸歯状に形成した請求項1に記載の振動コンベヤ。
【請求項3】 前記トラフと前記カウンタウエイトとからそれぞれ下方及び上方に突出する連結部材を設け、前記傾斜角度を調整するときにこれら連結部材を相互に固定させ、調節後この固定を解除するようにした請求項1に記載の振動コンベヤ。
【請求項4】 前記加振源の駆動周波数を可変とする請求項1に記載の振動コンベヤ。
【請求項5】 前記傾斜角度の調整手段に目盛りを付した請求項1に記載の振動コンベヤ。
【請求項6】 前記鋸歯状の移送面を形成させている移送路形成板を交換可能に前記トラフの底板に固定させた請求項2に記載の振動コンベヤ。
【請求項7】 前記移送路形成板の材質を交換可能にした請求項6に記載の振動コンベヤ。
【請求項8】 前記鋸歯状の移送面の前記導入側で上向きの傾斜の角度を変更可能にした請求項2または請求項6に記載の振動コンベヤ。
【請求項9】 前記支持手段は前記レバーの、前記トラフの質量とカウンタウエイトの質量との反比例する前記枢着点からの位置で上方にある前記静止部にコイルばねを介して懸吊するようにした請求項1に記載の振動コンベヤ。
【図1】
【図8】
【図7】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図8】
【図7】
【図6】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【特許番号】特許第3186198号(P3186198)
【登録日】平成13年5月11日(2001.5.11)
【発行日】平成13年7月11日(2001.7.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−105380
【出願日】平成4年3月31日(1992.3.31)
【公開番号】特開平5−278830
【公開日】平成5年10月26日(1993.10.26)
【審査請求日】平成10年10月6日(1998.10.6)
【出願人】(000002059)神鋼電機株式会社 (1,111)
【参考文献】
【文献】特開 昭56−117908(JP,A)
【文献】特開 昭59−39609(JP,A)
【文献】実開 平2−80615(JP,U)
【文献】実開 昭50−27566(JP,U)
【文献】実開 昭55−160312(JP,U)
【文献】実公 昭47−28857(JP,Y1)
【文献】実公 昭48−13585(JP,Y1)
【登録日】平成13年5月11日(2001.5.11)
【発行日】平成13年7月11日(2001.7.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成4年3月31日(1992.3.31)
【公開番号】特開平5−278830
【公開日】平成5年10月26日(1993.10.26)
【審査請求日】平成10年10月6日(1998.10.6)
【出願人】(000002059)神鋼電機株式会社 (1,111)
【参考文献】
【文献】特開 昭56−117908(JP,A)
【文献】特開 昭59−39609(JP,A)
【文献】実開 平2−80615(JP,U)
【文献】実開 昭50−27566(JP,U)
【文献】実開 昭55−160312(JP,U)
【文献】実公 昭47−28857(JP,Y1)
【文献】実公 昭48−13585(JP,Y1)
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