説明

振動スクリーン

【課題】 櫛歯組立体を横梁に締結する締結部材に土砂等が付着するのを防止する。
【解決手段】 第2のフィンガー装置14において、櫛歯組立体20の支持体21を横梁15のパイプ体17との間で挟込んで保持する挟持部材23を、パイプ体17を前,後方向に貫通するボルト25とナット26とからなる締結部材24により、パイプ体17に対して前,後方向から締結する構成とする。この場合、ボルト25は、パイプ体17の前面17C,後面17Dに設けられたボルト挿通孔17E,17Fに挿通されるので、これらボルト挿通孔17E,17Fを通じて、土砂等の選別対象物がパイプ体17内に侵入して堆積するのを確実に抑えることができる。従って、選別対象物がボルト25等に付着して固化することがなく、ボルト25がパイプ体17等に固着してしまうのを確実に防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば土砂、砕石、木材チップ等の選別対象物を、粒の大きさ(粒度)に応じて選別するのに好適に用いられる振動スクリーンに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、建設工事、土木工事等の作業現場では、土砂、砕石等を含んだ大量の掘削残土が発生する。そして、発生した掘削残土を埋戻し材、基礎地盤材として再利用するため、この掘削残土に生石灰、セメント等の土質改良材を混合して改良土を生成することが知られている。
【0003】
この場合、掘削残土と土質改良材とを混合する前作業として、掘削残土に含まれる砕石、土砂等の大きさ(粒度)を選別する必要がある。そこで、これら砕石、土砂等の選別対象物を選別する作業を行うため、選別対象物が投入される篩装置を有し、この篩装置に振動を与えて選別対象物を篩いにかけることにより、この選別対象物を、例えば所定の粒度以下の小さな選別物と所定の粒度よりも大きな選別物とに選別する振動スクリーンが好適に用いられている。
【0004】
ここで、振動スクリーンの篩装置として、左,右方向で対面する側面板を有し選別対象物が投入される筺体と、該筺体の左,右の側面板間に前,後方向に階段状に連続して設けられた複数のフィンガー装置とを備えたものがある。この場合、フィンガー装置は、筺体の左,右の側面板間を連結して設けられた横梁と、該横梁に沿って延びる支持体によって基端側が支持され左,右方向に櫛歯状に並んだ多数の棒状体からなる櫛歯組立体とにより大略構成され、櫛歯組立体を構成する各棒状体の先端側は、自由端となって前,後方向に延びている。
【0005】
そして、この振動スクリーンを用いて土砂等の選別作業を行うときには、油圧ショベル等を用いて土砂(選別対象物)を篩装置の筺体内に投入し、この筺体を加振装置等を用いて振動させる。これにより、投入された土砂のうち粒度が小さな土砂は、櫛歯組立体を構成する各棒状体間の隙間(スリット)を通過して下方に落下する。このようにして、篩装置の筺体内に投入された選別対象物を、所定の粒度以下の小さな選別物と所定の粒度よりも大きな選別物とに選別することができる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−300019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述した従来技術による振動スクリーンは、櫛歯組立体を構成する支持体(テーパロッド取付部材)を横梁(上部連結部材)の上面側に固定するため、横梁を構成する一対の形鋼の間に形成された隙間(開口溝)内にボルトを垂直に延びる状態で挿通し、このボルトを支持体の下面側に螺着することにより、横梁に対して支持体を上,下方向から締結する構成となっている。
【0008】
しかし、上述した従来技術による振動スクリーンは、支持体を横梁の上面側に締結するためのボルトを、横梁を構成する各形鋼間に形成された隙間内に垂直に延びる状態で配置している。このため、土砂等の選別作業時に大量の土砂(選別対象物)が篩装置に投入されると、横梁を構成する各形鋼間に形成された隙間内に土砂の一部が侵入し易く、この土砂が横梁等に付着して徐々に隙間内に堆積するようになる。
【0009】
これにより、横梁を構成する各形鋼間の隙間内に堆積した土砂が、該隙間内に配置されたボルトの外周面に付着して固化し、ボルトが横梁等に固着してしまうことがある。この結果、ボルトにより櫛歯組立体を横梁に対して取付け、取外しすることができなくなり、櫛歯組立体に対する保守作業等が困難になるという問題がある。
【0010】
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、櫛歯組立体を横梁に締結する締結部材に土砂等が付着するのを防止し、櫛歯組立体に対する保守作業等を確実に行うことができるようにした振動スクリーンを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決するため本発明は、支持構造体をなすフレームと、該フレームに設けられ振動が与えられることにより選別対象物を篩いにかけて選別する篩装置とからなり、前記篩装置は、左,右方向で対面する側面板を有し前記選別対象物が投入される筺体と、該筺体の左,右の側面板間に前,後方向に階段状に連続して設けられ、前記選別対象物を粒度に応じて選別する複数のフィンガー装置とを備えてなる振動スクリーンに適用される。
【0012】
そして、請求項1の発明の特徴は、前記フィンガー装置は、前記筺体の左,右の側面板間を連結して設けられた横梁と、該横梁に沿って延びる支持体と該支持体によって基端側が支持され左,右方向に櫛歯状に並んだ状態で先端側が自由端となって前,後方向に延びた多数の棒状体とからなる櫛歯組立体と、前記横梁に沿って左,右方向に延び前記横梁との間で前記支持体を上,下方向から挟込んで保持する挟持部材と、前記横梁を貫通した状態で前記横梁に対して該挟持部材を前,後方向から締結する締結部材とにより構成したことにある。
【0013】
請求項2の発明は、前記締結部材は前記横梁を前,後方向に貫通した状態で当該横梁に前記挟持部材を締結し、前記挟持部材には、前記締結部材のうち前記横梁から前,後方向に突出した部位を上方から覆う庇部を設ける構成としたことにある。
【0014】
請求項3の発明は、前記支持体の前,後方向の長さ寸法は、前記横梁の前,後方向の長さ寸法と等しく形成し、前記挟持部材は、上,下方向に延び前記締結部材によって前記横梁に締結される垂直板部と、該垂直板部の上端側から前,後方向に延び前記横梁の上面との間で前記支持体を上,下方向から挟込む水平板部とにより断面L字型に形成し、前記横梁には、前記挟持部材の垂直板部との間で前記支持体を前,後方向から挟込むことにより当該支持体を前記横梁に対して前,後方向に抜止めする抜止め部材を設ける構成としたことにある。
【0015】
請求項4の発明は、前記抜止め部材は、前記櫛歯組立体の各棒状体が挿通される多数の棒状体挿通孔が設けられ前記締結部材によって前記横梁に取付けられる縦板と、該縦板の上端側に設けられ前記挟持部材を上方から覆う上板とにより構成したことにある。
【0016】
請求項5の発明は、自走可能な走行体と、該走行体に設けられたベースフレームと、該ベースフレームに対し作業位置と運搬位置との間で上,下方向に傾動可能に設けられた可動フレームと、該可動フレームにばね部材を介して支持され振動が与えられることにより選別対象物を篩いにかけて選別する篩装置と、該篩装置の下側に位置して前記可動フレームに設けられたパワーユニットと、前記篩装置によって選別された選別物を粒度に応じて外部に排出する複数の排出コンベヤとからなり、前記篩装置は、左,右方向で対面する側面板を有し前記選別対象物が投入される筺体と、前記筺体の左,右の側面板間に前,後方向に階段状に連続して設けられ、前記選別対象物のうち粒度が大きいものを選別する複数の第1のフィンガー装置と、該第1のフィンガー装置の下側に位置して前記筺体の左,右の側面板間に前,後方向に階段状に連続して設けられ、前記選別対象物のうち粒度が小さいものを選別する複数の第2のフィンガー装置とにより構成してなる振動スクリーンにおいて、前記第2のフィンガー装置は、前記筺体の左,右の側面板に取付けられる左,右の取付フランジを有し該各取付フランジ間を左,右方向に延びる断面四角形状の横梁と、該横梁の上面に沿って延びる支持体と該支持体によって基端側が支持され左,右方向に櫛歯状に並んだ状態で先端側が自由端となって前,後方向に延びた多数の棒状体とからなる櫛歯組立体と、前記横梁の各取付フランジに突設され前記筺体の側面板と前記櫛歯組立体の棒状体との間の隙間を低減する突起部と、上,下方向に延びる垂直板部及び該垂直板部の上端側から前,後方向に延びる水平板部とにより断面L字型に形成された挟持部材と、前記横梁の前面と後面とを貫通して前,後方向に延び、該挟持部材の水平板部と前記横梁の上面との間で前記支持体を上,下方向から挟込んだ状態で前記挟持部材の垂直板部を前記横梁に締結する締結部材とにより構成したことにある。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明によれば、支持体を横梁と挟持部材との間で上,下方向から挟込んだ状態で、横梁を貫通する締結部材を用いて挟持部材を横梁に前,後方向から締結することにより、櫛歯組立体を横梁に対して確実に取付けることができる。この場合、締結部材は、横梁を貫通した状態で挟持部材を前,後方向から締結するので、選別対象物が横梁内に侵入して堆積するのを抑えることができ、選別対象物が締結部材に付着して固化することがなく、締結部材が横梁等に固着してしまうのを確実に防止することができる。この結果、締結部材を用いて櫛歯組立体を横梁に対して容易に取付け、取外しすることができ、櫛歯組立体に対する保守作業を常時確実に行うことができるので、振動スクリーンの信頼性を高めることができる。
【0018】
請求項2の発明によれば、筺体内に投入された土砂等の選別対象物が、締結部材のうち横梁から前,後方向に突出した部位に衝突するのを、挟持部材に設けた庇部によって防止することができる。これにより、選別対象物の衝突による締結部材の破損、摩耗を抑えることができ、該締結部材によって、櫛歯組立体の支持体を長期に亘って確実に横梁に取付けておくことができる。
【0019】
請求項3の発明によれば、挟持部材の垂直板部を締結部材によって横梁に締結したときに、横梁に設けた抜止め部材と挟持部材の垂直板部との間で、支持体を前,後方向から挟込むことができる。この結果、筺体内に投入された選別対象物が、櫛歯組立体を構成する各棒状体の先端側に繰返し衝突したとしても、支持体が横梁に対して前,後方向に抜出すのを確実に防止することができ、選別対象物の選別作業を的確に行うことができる。
【0020】
請求項4の発明によれば、抜止め部材を、締結部材によって横梁に取付けられる縦板と、挟持部材を上方から覆う上板とにより構成したので、選別対象物が支持体に衝突するのを抜止め部材の縦板によって抑えると共に、選別対象物が挟持部材に衝突するのを抜止め部材の上板によって抑えることができる。この結果、篩装置に投入される選別対象物から横梁、支持体、挟持部材等を保護し、これら横梁、支持体、挟持部材等の摩耗を抑えて寿命を延ばすことができるので、選別対象物の選別作業を長期に亘って円滑に行うことができる。
【0021】
請求項5の発明によれば、第2のフィンガー装置を構成する櫛歯組立体の支持体を、挟持部材の水平板部と横梁の上面との間で挟込んだ状態で、挟持部材の垂直板部を締結部材を用いて横梁に締結することにより、櫛歯組立体を横梁に対して確実に取付けることができる。この場合、締結部材は、横梁に対して挟持部材を前,後方向から締結するので、例えば締結部材を上,下方向に配置する場合に比較して、締結部材の外周面に広範囲に亘って選別対象物が付着するのを防止でき、締結部材を用いて櫛歯組立体を横梁に対して容易に取付け、取外しすることにより、櫛歯組立体に対する保守作業を常時確実に行うことができる。また、横梁の各取付フランジに突起部を突設することにより、筺体の側面板と櫛歯組立体の棒状体との間の隙間を低減することができ、この隙間を通じて選別対象物が落下するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施の形態による振動スクリーンを示す正面図である。
【図2】振動スクリーンを上方からみた平面図である。
【図3】振動スクリーンを運搬姿勢とした状態を示す正面図である。
【図4】篩装置を単体で示す斜視図である。
【図5】篩装置の筺体、第1,第2のフィンガー装置等を示す一部破断の正面図である。
【図6】図5中のA部を拡大した第2のフィンガー装置の断面図である。
【図7】第2のフィンガー装置を図6中の矢示VII―VII方向からみた断面図である。
【図8】第2のフィンガー装置を図7中の矢示VIII―VIII方向からみた平面図である。
【図9】第2のフィンガー装置を単体で示す一部破断の斜視図である。
【図10】第2の実施の形態による第2のフィンガー装置を示す図6と同様な断面図である。
【図11】第2のフィンガー装置を図10中の矢示XI―XI方向からみた断面図である。
【図12】第2のフィンガー装置を図11中の矢示XII―XII方向からみた平面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明に係る振動スクリーンの実施の形態を自走式の振動スクリーンを例に挙げ、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0024】
まず、図1ないし図9は本発明の第1の実施の形態を示している。図中、1は自走式の振動スクリーンを示し、この振動スクリーン1は、例えば土木作業によって発生した掘削残土に含まれる砕石、土砂等の選別対象物を篩いにかけ、この選別対象物を粒度の大きさに応じて、例えば大径選別物、中径選別物、小径選別物に選別するものである。そして、この振動スクリーン1は、後述の走行体2、ベースフレーム5、可動フレーム6、篩装置7、パワーユニット28、各排出コンベヤ29,30,31等により構成されている。
【0025】
2は自走可能なクローラ式の走行体で、該走行体2は、トラックフレーム3と、該トラックフレーム3に設けられた駆動輪3A及び遊動輪3Bと、これら駆動輪3Aと遊動輪3Bとに巻回された履帯(クローラ)4とにより大略構成されている。そして、走行体2は、例えば遠隔操作装置(図示せず)によって操作され、作業現場等を走行するものである。
【0026】
5は走行体2上に設けられたベースフレームで、該ベースフレーム5は、強固な支持構造体をなし、トラックフレーム3上に固定されて前,後方向に延びている。そして、ベースフレーム5上には、後述の可動フレーム6が設けられる構成となっている。
【0027】
6はベースフレーム5上に設けられた可動フレームで、該可動フレーム6は、ベースフレーム5上を前,後方向に延びる強固な支持構造体をなし、後述の篩装置7を支持するものである。ここで、可動フレーム6の前,後方向の一側は、支点ピン6Aを介してベースフレーム5に回動可能にピン結合されている。
【0028】
これにより、可動フレーム6の前,後方向の他側は、支点ピン6Aを中心として上,下方向に回動し、可動フレーム6は後述の篩装置7と共に、図1に示す作業位置と図3に示す運搬位置との間で傾動する構成となっている。そして、可動フレーム6が運搬位置(図3の位置)に変位した状態では、振動スクリーン1が運搬姿勢となり、運搬車両に積載したときの振動スクリーン1の最大高さ寸法が、公道走行時の高さ制限よりも低くなるように設定されている。
【0029】
7は可動フレーム6に取付けられた篩装置で、該篩装置7は、図1に示すばね部材8を介して可動フレーム6に振動可能に支持されている。そして、篩装置7は、加振モータ9から振動が与えられることにより可動フレーム6に対して振動し、この振動によって砕石、土砂、木材チップ等の選別対象物を篩いにかけ、当該選別対象物を粒度に応じて、例えば大径選別物、中径選別物、小径選別物の3段階に選別するものである。ここで、篩装置7は、図4及び図5に示すように、後述の筺体10と、多数の第1のフィンガー装置11と、多数の第2のフィンガー装置14とにより大略構成されている。
【0030】
10は篩装置7の外殻をなす筺体で、該筺体10は、その内部に第1,第2のフィンガー装置11,14が配設され、砕石、土砂等の選別対象物が投入されるものである。ここで、筺体10は、図4及び図5に示すように、一定の間隔をもって左,右方向で対面しつつ前,後方向に延びた略長方形状の左側面板10A,右側面板10Bと、これら左,右の側面板10A,10Bの前端部間を閉塞する前面板10Cと、上,下に離間した状態で左,右の側面板10A,10Bの後端部間を連結する上側後連結板10D,下側後連結板10Eとにより、全体として前,後方向に延びる直方体の箱状に形成されている。
【0031】
この場合、筺体10の上側後連結板10Dと下側後連結板10Eとは、それぞれ略コ字状の断面形状を有し、左,右の側面板10A,10Bの後端部から後方に突出している。そして、上側後連結板10Dは、第1のフィンガー装置11によって選別された大径選別物を、後述する第1の排出コンベヤ29へと案内し、下側後連結板10Eは、第2のフィンガー装置14によって選別された中径選別物を、後述する第2の排出コンベヤ30へと案内するものである。
【0032】
また、筺体10の左,右の側面板10A,10Bの外側面には、2個のばね受けブラケット10F,10Fが前,後に離間して設けられ、各ばね受けブラケット10F間には、図1に示す加振モータ9を取付けるための加振モータ取付部10Gが設けられている。そして、各ばね受けブラケット10Fと可動フレーム6との間に、図1に示すばね部材8を取付けることにより、筺体10は、可動フレーム6に対して弾性的に支持され、加振モータ取付部10Gに取付けた加振モータ9からの振動が付与されることにより、可動フレーム6に対して振動する構成となっている。
【0033】
11,11,…は筺体10内の上端側に設けられた複数の第1のフィンガー装置で、これら各第1のフィンガー装置11は、図4等に示すように、筺体10の左,右の側面板10A,10B間に配置され、筺体10の前,後方向に階段状に連続している。そして、第1のフィンガー装置11は、筺体10内に投入された選別対象物のうち粒度が大きいもの(大径選別物)を選別するものである。
【0034】
ここで、各第1のフィンガー装置11は、筺体10の左,右の側面板10A,10B間を連結し、筺体10内を左,右方向に延びたビーム12と、ナット等を用いてビーム12に螺合され、左,右の側面板10A,10B間に一定の間隔をもって櫛歯状に並んだ状態で前,後方向に延びたフィンガーと呼ばれる多数の棒状体13,13,…とにより大略構成されている。
【0035】
この場合、各棒状体13の先端側は自由端となり、各棒状体13は、筺体10内に投入された選別対象物が衝突したときに撓みを生じるように、適度なばね性を有するばね鋼材等を用いて形成されている。
【0036】
そして、筺体10内に投入された選別対象物のうち、各棒状体13間の間隔以上の大きな粒度を有するもの(大径選別物)は、各棒状体13上を転動して筺体10の前部側から後部側へと移動し、筺体10の上側後連結板10Dから後述する第1の排出コンベヤ29へと導かれる。一方、各棒状体13の間隔よりも小さな粒度を有するものは、各棒状体13の間を通過して下方に落下し、後述する各第2のフィンガー装置14によってさらに選別される構成となっている。
【0037】
14,14,…は各第1のフィンガー装置11よりも下側に位置して筺体10内に設けられた複数の第2のフィンガー装置で、これら各第2のフィンガー装置14は、図4及び図5に示すように、筺体10の左,右の側面板10A,10B間に配置され、筺体10の前,後方向に階段状に連続している。そして、第2のフィンガー装置14は、第1のフィンガー装置11を通過して落下した選別対象物を、その粒度に応じて中径選別物と小径選別物とに選別するもので、図6ないし図9に示すように、後述の横梁15、櫛歯組立体20、挟持部材23、締結部材24、抜止め部材27等により構成されている。
【0038】
15は筺体10の左,右の側面板10A,10B間を連結して設けられた横梁で、該横梁15は、後述する櫛歯組立体16の基端側が取付けられるものである。そして、横梁15は、左,右方向の両端部に位置する左,右の取付フランジ16,16と、これら各取付フランジ16に固着され左,右方向に延びる角筒状のパイプ体17とにより構成されている。
【0039】
ここで、左,右の取付フランジ16は、図6及び図9に示すように、例えば鋼板材等を用いて前,後方向に延びる平板状に形成され、取付フランジ16の中央部位には、パイプ体17の両端部が嵌合する角穴16Aが設けられている。また、取付フランジ16のうち角穴16Aよりも前側にはボルト挿通孔16Bが穿設され、角穴16Aよりも後側には、ボルト挿通孔16Bを中心として上,下方向に円弧状に延びる長孔16Cが形成されている。さらに、取付フランジ16の上端側には、後方に向けて突出する細長い板状の突起部16Dが設けられ、該突起部16Dは、筺体10の各側面板10A,10Bとこれに隣合う後述の棒状体22との間に生じる隙間を低減することにより、この隙間を通じて選別対象物が落下するのを防止するものである。
【0040】
そして、取付フランジ16のボルト挿通孔16Bに挿通したボルト18と、長孔16Cに挿通したボルト19とを、それぞれ筺体10の各側面板10A,10Bに挿通し、これらボルト18,19にナット18A,19Aを螺合して締付けることにより、筺体10の左,右の側面板10A,10Bに取付フランジ16がそれぞれ固定される構成となっている。この場合、取付フランジ16を固定するボルト18,19を緩めることにより、取付フランジ16は、ボルト18を中心として長孔16Cの範囲で上,下方向に回動する。これにより、筺体10に対する取付フランジ16の取付角度を調整することができる構成となっている。
【0041】
一方、各取付フランジ16と共に横梁15を構成するパイプ体17は、例えば角パイプ等を用いて形成され、上面17A,下面17B,前面17C,後面17Dからなる四角形の断面形状を有している(図6参照)。そして、パイプ体17の長さ方向(左,右方向)の両端部は、それぞれ取付フランジ16の角穴16Aに嵌合した状態で、当該取付フランジ16に溶接によって固着されている。
【0042】
また、図6等に示すように、パイプ体17の前面17C,後面17Dには、これらを前,後方向に貫通するボルト挿通孔17E,17Fがそれぞれ穿設され、これらボルト挿通孔17E,17Fは、パイプ体17の長さ方向(左,右方向)に離間して複数個設けられている。そして、このボルト挿通孔17E,17Fには、後述のボルト25が挿通される構成となっている。
【0043】
20は横梁15のパイプ体17に取付けられた櫛歯組立体で、該櫛歯組立体20は、第1のフィンガー装置11を通過して落下した選別対象物を、その粒度に応じて中径選別物と小径選別物とに選別するものである。そして、櫛歯組立体20は、横梁15に沿って延びる支持体21と、この支持体21によって基端側が支持された後述する多数の棒状体22,22,…とにより大略構成されている。
【0044】
ここで、支持体21は、例えば弾性を有する樹脂材料等を用いて左,右方向に延びる帯板状に形成され、横梁15を構成するパイプ体17の上面17A上に配置される構成となっている。この場合、図7に示すように、支持体21の左,右方向の長さ寸法は、横梁15を構成するパイプ体17の長さ寸法よりも僅かに小さく設定され、図6に示すように、支持体21の前,後方向の長さ寸法Lは、パイプ体17の上面17Aの前,後方向の長さ寸法と略等しく設定されている。そして、支持体21には、後述する各棒状体22の基端側が圧入される構成となっている。
【0045】
22,22,…は支持体21によって基端側が支持された多数の棒状体で、これら多数の棒状体22は、横梁15の長さ方向(左,右方向)に櫛歯状に並んだ状態で前,後方向に延びている。ここで、各棒状体22は、選別対象物が衝突したときに撓みを生じるように、適度なばね性を有するばね鋼材等を用いて棒状に形成されている。そして、図6等に示すように、各棒状体22は、その基端側が左,右方向に一定の間隔をもって支持体21に圧入されることにより、該支持体21によって櫛歯状に一体化されている。そして、支持体21を、後述の挟持部材23と横梁15との間で保持した状態で、各棒状体22の先端側は、自由端となって前,後方向に延び、後方に配置された他の第2のフィンガー装置14を構成する横梁15の上方まで延在する構成となっている。
【0046】
23は横梁15との間で櫛歯組立体20の支持体21を上,下方向から挟込んで保持する挟持部材で、該挟持部材23は、図6及び図9に示すように、支持体21と略等しい長さ寸法を有する鋼板材を断面L字型に折曲げることにより形成されている。ここで、挟持部材23は、パイプ体17の前面17Cに沿って上,下方向に略垂直に延びる垂直板部23Aと、該垂直板部23Aの上端側から前方へと略水平に延びる水平板部23Bとにより構成されている。
【0047】
また、挟持部材23の垂直板部23Aには、パイプ体17の前面17C,後面17Dに設けられたボルト挿通孔17E,17Fと対応する複数のボルト挿通孔23Cが、左,右方向に離間して設けられている。そして、図6に示すように、挟持部材23の水平板部23Bとパイプ体17の上面17Aとの間に、櫛歯組立体20の支持体21を挟込んだ状態で、挟持部材23のボルト挿通孔23Cとパイプ体17の各ボルト挿通孔17E,17Fとに後述のボルト25を挿通することにより、横梁15に対して挟持部材23を前,後方向から締結することができる構成となっている。
【0048】
この場合、図8等に示すように、挟持部材23の水平板部23Bのうち各ボルト挿通孔23Cに対応する部位の後端側には、後方に突出した台形状の庇部23Dが一体形成され、この庇部23Dによって後述のナット26,26を上方から覆うことができる構成となっている。
【0049】
24は横梁15に対して挟持部材23を前,後方向から締結する締結部材で、該締結部材24は、図6に示すように、横梁15のパイプ体17を前,後方向に貫通して前,後方向に水平に延びるボルト25と、該ボルト25に螺着される2個のナット26,26とにより構成されている。
【0050】
ここで、ボルト25は、例えばボルトヘッド25Aに六角穴(図示せず)が穿設された六角穴付きボルトにより構成され、挟持部材23のボルト挿通孔23Cからパイプ体17のボルト挿通孔17E,17Fへと挿通されることにより、パイプ体17を前,後方向に貫通している。
【0051】
そして、パイプ体17の後面17Dから突出したボルト25のねじ部に、後述の抜止め部材27を介して2個のナット26,26を螺着することにより、挟持部材23の垂直板部23Aをパイプ体17の前面17Cに前,後方向から締結することができ、この挟持部材23の水平板部23Bとパイプ体17の上面17Aとの間で、櫛歯組立体20の支持体21を上,下方向から挟込むことにより、両者間で支持体21を確実に保持することができる構成となっている。
【0052】
この場合、パイプ体17を前,後方向に貫通するボルト25は、パイプ体17の前面17C,後面17Dに設けられたボルト挿通孔17E,17Fに挿通されるので、これらボルト挿通孔17E,17Fを通じて、土砂等の選別対象物がパイプ体17内に侵入するのを抑えることができ、選別対象物がボルト25に付着して固化するのを防止できる構成となっている。
【0053】
一方、図8に示すように、挟持部材23の水平板部23Bに設けた各庇部23Dは、パイプ体17の後面17D側から後方に突出した締結部材24の各ナット26を上方から覆う。これにより、第1のフィンガー装置11を通過して落下した選別対象物が各ナット26に衝突するのを、庇部23Dによって防止できる構成となっている。また、ボルト25を六角穴付きボルトとすることにより、仮に選別対象物がボルトヘッド25Aの外周面に衝突したとしても、六角レンチ等(図示せず)を用いてボルト25を着脱することができる構成となっている。
【0054】
27は横梁15のパイプ体17に取付けられた抜止め部材で、該抜止め部材27は、櫛歯組立体20の支持体21を前,後方向に抜止めするものである。ここで、抜止め部材27は、パイプ体17の後面17Dに沿って左,右方向に延びる長方形の板体により形成され、パイプ体17の各ボルト挿通孔17Fに対応する部位には、ボルト挿通孔27Aが穿設されている。
【0055】
そして、パイプ体17の後面17Dから突出したボルト25のねじ部を、抜止め部材27のボルト挿通孔27Aに挿通した状態で、このボルト25のねじ部にナット26を螺着することにより、抜止め部材27が挟持部材23と一緒にパイプ体17に共締めされ、抜止め部材27の上端側は、パイプ体17の上面17Aよりも上方に突出する構成となっている。これにより、挟持部材23の垂直板部23Aと抜止め部材27との間で、櫛歯組立体20の支持体21を前,後方向から挟込み、支持体21をパイプ体17に対して前,後方向に抜止めすることができる構成となっている。
【0056】
第2のフィンガー装置14は、上述した横梁15、櫛歯組立体20、挟持部材23、締結部材24、抜止め部材27等により構成され、第1のフィンガー装置11を通過して第2のフィンガー装置14に落下した選別対象物のうち、櫛歯組立体20を構成する各棒状体22間の間隔以上の粒度を有するもの(中径選別物)は、各棒状体22上を転動して筺体10の前部側から後部側へと移動し、筺体10の下側後連結板10Eから後述する第2の排出コンベヤ30へと導かれる。一方、各棒状体22間の間隔よりも小さな粒度を有するもの(小径選別物)は、各棒状体22の間を通過して下方に落下し、後述する第3の排出コンベヤ31へと導かれる構成となっている。
【0057】
28は可動フレーム6の前,後方向の他側に設けられたパワーユニットで、該パワーユニット28は、エンジン、油圧ポンプ等(いずれも図示せず)により構成され、振動スクリーン1の動力源を構成するものである(図1参照)。
【0058】
29はベースフレーム5に取付けられた第1の排出コンベヤで、該第1の排出コンベヤ29の基端側は、篩装置7の筺体10を構成する上側後連結板10Dの下側に配置され、第1の排出コンベヤ29の先端側は、ベースフレーム5の前,後方向の一側から斜め上向きに傾斜しつつ後方へと延びている。そして、第1の排出コンベヤ29は、第1のフィンガー装置11によって選別された、各棒状体13の間隔以上の大きな粒度を有する選別対象物(大径選別物)を受取り、当該大径選別物を外部に排出するものである。
【0059】
30はベースフレーム5に取付けられた第2の排出コンベヤで、該第2の排出コンベヤ30の基端側は、篩装置7の筺体10を構成する下側後連結板10Eの下側に配置され、第2の排出コンベヤ30の先端側は、ベースフレーム5の前,後方向の一側から斜め上向きに傾斜しつつ左,右方向へと延びている。そして、第2の排出コンベヤ30は、第2のフィンガー装置14によって選別された、各棒状体22の間隔以上の大きな粒度を有する選別対象物(中径選別物)を受取り、当該中径選別物を外部に排出するものである。
【0060】
31は可動フレーム6に取付けられた第3の排出コンベヤで、該第3の排出コンベヤ31の基端側は、篩装置7の筺体10の下側に配置され、第3の排出コンベヤ31の先端側は、可動フレーム6の前,後方向の他側から斜め上向きに傾斜しつつ前方へと延びている。そして、第3の排出コンベヤ31は、第2のフィンガー装置14によって選別された、各棒状体22の間隔よりも小さな粒度を有する選別対象物(小径選別物)を受取り、当該小径選別物を外部に排出するものである。
【0061】
本実施の形態による振動スクリーン1は上述の如き構成を有するもので、この振動スクリーン1を用いて砕石、土砂等の選別対象物を選別する場合には、篩装置7の筺体10に加振モータ9からの振動を与えた状態で、当該筺体10内に油圧ショベル等(図示せず)を用いて選別対象物を投入する。
【0062】
これにより、選別対象物は、筺体10の上端側に設けられた各第1のフィンガー装置11によって選別され、第1のフィンガー装置11を構成する各棒状体13間の間隔以上の大きな粒度を有する大径選別物は、各棒状体13上を転動して筺体10の前部側から後部側へと移動する。そして、筺体10の後部側に移動した大径選別物は、筺体10の上側後連結板10Dから第1の排出コンベヤ29へと導かれ、当該第1の排出コンベヤ29によって振動スクリーン1の後方に排出される。
【0063】
一方、各棒状体13の間隔よりも小さな粒度を有する選別対象物は、各棒状体13の間を通過し、各第2のフィンガー装置14によって再び選別される。そして、第2のフィンガー装置14の櫛歯組立体20を構成する各棒状体22間の間隔以上の大きな粒度を有する中径選別物は、各棒状体22上を転動して筺体10の後部側へと移動した後、筺体10の下側後連結板10Eから第2の排出コンベヤ30へと導かれ、当該第2の排出コンベヤ30によって振動スクリーン1の左側方に排出される。
【0064】
一方、櫛歯組立体20を構成する各棒状体22間の間隔よりも小さな粒度を有する小径選別物は、各棒状体22間を通過して筺体10の下方に落下する。そして、この小径選別物は、筺体10の下側に配置された第3の排出コンベヤ31によって振動スクリーン1の前方に排出される。
【0065】
このようにして、筺体10内に投入された砕石、土砂等の選別対象物を、第1,第2のフィンガー装置11,14によって選別することにより、大径選別物、中径選別物、小径選別物の3段階に選別することができる。
【0066】
ここで、本実施の形態による第2のフィンガー装置14は、櫛歯組立体20の支持体21を横梁15のパイプ体17との間で挟込んで保持する挟持部材23を、パイプ体17を前,後方向に貫通するボルト25とナット26とからなる締結部材24により、パイプ体17に対して前,後方向から締結する構成としている。
【0067】
この場合、パイプ体17を前,後方向に貫通するボルト25は、パイプ体17の前面17C,後面17Dに設けられたボルト挿通孔17E,17Fに挿通されるので、これらボルト挿通孔17E,17Fを通じて、土砂等の選別対象物がパイプ体17内に侵入して堆積するのを確実に抑えることができる。従って、選別対象物がボルト25等に付着して固化することがなく、ボルト25がパイプ体17等に固着してしまうのを確実に防止することができる。この結果、櫛歯組立体20の支持体21を、締結部材24を用いてパイプ体17に容易に取付け、取外しすることができ、櫛歯組立体20に対する保守作業を常時確実に行うことができるので、振動スクリーン1の信頼性を高めることができる。
【0068】
また、パイプ体17の後面17D側に抜止め部材27を取付けることにより、挟持部材23の垂直板部23Aと抜止め部材27との間で、櫛歯組立体20の支持体21を前,後方向から挟込むことができる。これにより、支持体21をパイプ体17に対して前,後方向に抜止めすることができるので、櫛歯組立体20の各棒状体22の先端側に選別対象物が繰返し衝突したとしても、支持体21が横梁15に対して前,後方向に抜出すのを確実に防止することができ、選別対象物の選別作業を的確に行うことができる。
【0069】
さらに、挟持部材23の水平板部23Bに複数の庇部23Dを設けることにより、パイプ体17の後面17D側から後方に突出した締結部材24の各ナット26を、庇部23Dによって上方から覆うことができる。これにより、第1のフィンガー装置11を通過して落下した選別対象物が各ナット26に衝突するのを、庇部23Dによって防止することができる。この結果、選別対象物の衝突による締結部材24の破損、摩耗を抑えることができ、該締結部材24によって、櫛歯組立体20の支持体21を長期に亘って確実に横梁15に取付けておくことができる。
【0070】
次に、図10ないし図12は本発明の第2の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、抜止め部材を横梁に取付けられる縦板と、挟持部材を上方から覆う上板とにより構成したことにある。なお、第2の実施の形態では、上述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
【0071】
図中、41,41,…は筺体10内に設けられた複数の第2のフィンガー装置で、これら各第2のフィンガー装置41は、第1の実施の形態による第2のフィンガー装置14に代えて本実施の形態に用いたものである。そして、第2のフィンガー装置41は、第1の実施の形態によるものとほぼ同様に、横梁15、櫛歯組立体20、挟持部材23、締結部材24、後述の抜止め部材42等により構成されるものの、抜止め部材42の構成が、第1の実施の形態による抜止め部材27とは異なるものである。
【0072】
42は横梁15のパイプ体17に取付けられた抜止め部材で、該抜止め部材42は、上述した第1の実施の形態による抜止め部材27に代えて本実施の形態に用いたもので、櫛歯組立体20の支持体21を前,後方向に抜止めするものである。そして、抜止め部材42は、例えば高張力鋼等の耐摩耗性に優れた鋼板材を用いて形成され、横梁15を構成するパイプ体17の後面17Dに取付けられる縦板42Aと、該縦板42Aの上端側に設けられた上板42Bとにより構成されている。
【0073】
ここで、縦板42Aは、パイプ体17の後面17Dに沿って左,右方向に延びる長方形の板体により形成されている。そして、縦板42Aの上端側には、支持体21に支持された各棒状体22が挿通される多数の棒状体挿通孔42Cが穿設され、縦板42Aの下端側には、パイプ体17の各ボルト挿通孔17Fに対応する複数のボルト挿通孔42Dが穿設されている。
【0074】
一方、上板42Bは、挟持部材23に沿って左,右方向に延びる長方形の板体により形成され、縦板42Aの上端部に溶接等の手段を用いて固着されている。また、上板42Bのうち、縦板42Aの各ボルト挿通孔42Dに対応する部位の後端側には、台形状をなす庇部42Eが前方に突設されている。
【0075】
そして、挟持部材23のボルト挿通孔23Cからパイプ体17のボルト挿通孔17E,17Fへとボルト25を挿通すると共に、パイプ体17の後面17Dから突出したボルト25のねじ部を、抜止め部材42の縦板42Aに設けられたボルト挿通孔42Dに挿通した状態で、このボルト25のねじ部にナット26を螺着することにより、抜止め部材42を挟持部材23と一緒にパイプ体17に共締めすることができる。
【0076】
これにより、挟持部材23の垂直板部23Aと抜止め部材42の縦板42Aとの間で、櫛歯組立体20の支持体21を前,後方向から挟込み、支持体21をパイプ体17に対して前,後方向に抜止めすることができる。この状態で、抜止め部材42の縦板42Aは、パイプ体17と支持体21とを後方から覆い、抜止め部材42の上板42Bは、挟持部材23の水平板部23Bを上方から覆い、上板42Bの庇部42Eは、締結部材24のナット26を上方から覆う構成となっている。
【0077】
第2の実施の形態による振動スクリーンは、上述の如き第2のフィンガー装置41を有するもので、この第2のフィンガー装置41の基本的作動については、第1の実施の形態による第2のフィンガー装置14と格別差異はない。
【0078】
然るに、本実施の形態によれば、櫛歯組立体20の支持体21を前,後方向に抜止めする抜止め部材42を、縦板42Aと上板42Bとにより構成している。これにより、抜止め部材42の縦板42Aによって、横梁15のパイプ体17と櫛歯組立体20の支持体21とを後方から覆うことができ、抜止め部材42の上板42Bによって、挟持部材23の水平板部23Bを上方から覆うことができ、上板42Bの庇部42Eによって、締結部材24のナット26を上方から覆うことができる。
【0079】
従って、土砂等の選別対象物が、パイプ体17、支持体21、挟持部材23、ナット26等に衝突するのを抜止め部材42によって防止することができ、これらパイプ体17、支持体21、挟持部材23、ナット26等を保護することができる。この結果、パイプ体17、支持体21、挟持部材23、ナット26等の摩耗を抑えて寿命を延ばすことができるので、各第2のフィンガー装置41による選別対象物の選別作業を長期に亘って円滑に行うことができる。
【0080】
なお、上述した第1の実施の形態では、締結部材24をボルト25とナット26とにより構成した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば抜止め部材27のボルト挿通孔27Aを雌ねじ孔とすることにより、締結部材24をボルト25によって構成してもよい。このことは、第2の実施の形態についても同様である。
【0081】
また、上述した各実施の形態では、クローラ式の走行体2を有する自走式の振動スクリーン1を例に挙げて説明している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば走行体をもたず、トレーラ等によって搬送される定置式の振動スクリーンにも適用することができる。
【符号の説明】
【0082】
1 振動スクリーン
2 走行体
5 ベースフレーム
6 可動フレーム
7 篩装置
9 加振モータ
10 筺体
10A 左側面板
10B 右側面板
11 第1のフィンガー装置
14,41 第2のフィンガー装置
15 横梁
20 櫛歯組立体
21 支持体
22 棒状体
23 挟持部材
23A 垂直板部
23B 水平板部
23D,42E 庇部
24 締結部材
27 抜止め部材
28 パワーユニット
29,30,31 排出コンベヤ
42 抜止め部材
42A 縦板
42B 上板
42C 棒状体挿通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持構造体をなすフレームと、該フレームに設けられ振動が与えられることにより選別対象物を篩いにかけて選別する篩装置とからなり、前記篩装置は、左,右方向で対面する側面板を有し前記選別対象物が投入される筺体と、該筺体の左,右の側面板間に前,後方向に階段状に連続して設けられ、前記選別対象物を粒度に応じて選別する複数のフィンガー装置とを備えてなる振動スクリーンにおいて、
前記フィンガー装置は、
前記筺体の左,右の側面板間を連結して設けられた横梁と、
該横梁に沿って延びる支持体と該支持体によって基端側が支持され左,右方向に櫛歯状に並んだ状態で先端側が自由端となって前,後方向に延びた多数の棒状体とからなる櫛歯組立体と、
前記横梁に沿って左,右方向に延び前記横梁との間で前記支持体を上,下方向から挟込んで保持する挟持部材と、
前記横梁を貫通した状態で前記横梁に対して該挟持部材を前,後方向から締結する締結部材とにより構成したことを特徴とする振動スクリーン。
【請求項2】
前記締結部材は前記横梁を前,後方向に貫通した状態で当該横梁に前記挟持部材を締結し、
前記挟持部材には、前記締結部材のうち前記横梁から前,後方向に突出した部位を上方から覆う庇部を設ける構成としてなる請求項1に記載の振動スクリーン。
【請求項3】
前記支持体の前,後方向の長さ寸法は、前記横梁の前,後方向の長さ寸法と等しく形成し、
前記挟持部材は、上,下方向に延び前記締結部材によって前記横梁に締結される垂直板部と、該垂直板部の上端側から前,後方向に延び前記横梁の上面との間で前記支持体を上,下方向から挟込む水平板部とにより断面L字型に形成し、
前記横梁には、前記挟持部材の垂直板部との間で前記支持体を前,後方向から挟込むことにより当該支持体を前記横梁に対して前,後方向に抜止めする抜止め部材を設ける構成としてなる請求項1または2に記載の振動スクリーン。
【請求項4】
前記抜止め部材は、前記櫛歯組立体の各棒状体が挿通される多数の棒状体挿通孔が設けられ前記締結部材によって前記横梁に取付けられる縦板と、該縦板の上端側に設けられ前記挟持部材を上方から覆う上板とにより構成してなる請求項3に記載の振動スクリーン。
【請求項5】
自走可能な走行体と、該走行体に設けられたベースフレームと、該ベースフレームに対し作業位置と運搬位置との間で上,下方向に傾動可能に設けられた可動フレームと、該可動フレームにばね部材を介して支持され振動が与えられることにより選別対象物を篩いにかけて選別する篩装置と、該篩装置の下側に位置して前記可動フレームに設けられたパワーユニットと、前記篩装置によって選別された選別物を粒度に応じて外部に排出する複数の排出コンベヤとからなり、
前記篩装置は、左,右方向で対面する側面板を有し前記選別対象物が投入される筺体と、前記筺体の左,右の側面板間に前,後方向に階段状に連続して設けられ、前記選別対象物のうち粒度が大きいものを選別する複数の第1のフィンガー装置と、該第1のフィンガー装置の下側に位置して前記筺体の左,右の側面板間に前,後方向に階段状に連続して設けられ、前記選別対象物のうち粒度が小さいものを選別する複数の第2のフィンガー装置とにより構成してなる振動スクリーンにおいて、
前記第2のフィンガー装置は、
前記筺体の左,右の側面板に取付けられる左,右の取付フランジを有し該各取付フランジ間を左,右方向に延びる断面四角形状の横梁と、
該横梁の上面に沿って延びる支持体と該支持体によって基端側が支持され左,右方向に櫛歯状に並んだ状態で先端側が自由端となって前,後方向に延びた多数の棒状体とからなる櫛歯組立体と、
前記横梁の各取付フランジに突設され前記筺体の側面板と前記櫛歯組立体の棒状体との間の隙間を低減する突起部と、
上,下方向に延びる垂直板部及び該垂直板部の上端側から前,後方向に延びる水平板部とにより断面L字型に形成された挟持部材と、
前記横梁の前面と後面とを貫通して前,後方向に延び、該挟持部材の水平板部と前記横梁の上面との間で前記支持体を上,下方向から挟込んだ状態で前記挟持部材の垂直板部を前記横梁に締結する締結部材とにより構成したことを特徴とする振動スクリーン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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