説明

振動フィーダ

【課題】 共振による疲労破壊や騒音の発生を防止できるようにする。
【解決手段】 被搬送物2を案内する案内部材3を振動させることで所定の搬送方向に被搬送物2を搬送する振動フィーダにおいて、案内部材3を支持する弾性変形可能な支持部材4と、案内部材3を所定方向に周期的に押圧して変位させる押圧体5とを備え、支持部材4は柔軟性を有する高分子材料によって成形された成形体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ねじ等の被搬送物を搬送する振動フィーダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の振動フィーダには、例えば、基台の上面に固定された金属製の板ばねと、板ばねの上端に取り付けられた振動体と、基台の上面中央部に設けられたモータによって駆動されるロータと、振動体の下面に設けられるとともにロータの外周面に接近して設けられたステータとを備えたものがある。この振動フィーダは、ロータを回転させることで、ロータとステータとの間に周期的に吸引、反発力を生じさせ、板ばねを弾性変形させながら振動体を振動させて被搬送物を所定の搬送方向に搬送するようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平6−321334号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のように、振動フィーダに金属製のばね(板ばね、コイルばね等)を使用した場合、その使用条件・環境によって、ばねが共振して疲労破壊や騒音の原因となるおそれがある。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、共振による疲労破壊や騒音の発生を防止できる振動フィーダを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するものであって、被搬送物を案内する案内部材を振動させることで所定の搬送方向に被搬送物を搬送する振動フィーダにおいて、案内部材を支持する弾性変形可能な支持部材と、案内部材を所定方向に周期的に押圧して変位させる押圧体とを備え、支持部材は柔軟性を有する高分子材料によって成形された成形体であることを特徴とする。
【0006】
かかる構成によれば、押圧体によって案内部材を所定方向に周期的に押圧して変位させることで、案内部材を支持する支持部材は、所定の弾性変形と元の形状への復元とを繰り返し、振動フィーダは、これによる案内部材の振動によって被搬送物を所定の方向に搬送できるようになる。そして、支持部材を高分子材料によって成形された成形体とすることで、この支持部材の固有振動数を小さくでき、振動フィーダの振動数との差を大きくして共振による疲労破壊や騒音の発生を防止できる。
【0007】
また、本発明に係る振動フィーダは、押圧体が回転駆動されるカムとされ、案内部材には押圧体に押圧される被押圧体が取り付けられ、この被押圧体には押圧体が係合する係合孔が形成されており、この係合孔の内周面がカムの回転によって周期的に押圧されるように長孔状に形成されている構成を採用できる。
【0008】
かかる構成によれば、係合孔を長孔状にすることで、この係合孔の内周面にはカムが強く押圧する部分と、押圧しない部分(又は弱く押圧する部分)とができる。これにより、カムは、その回転によって係合孔の内周面を周期的に強く押圧し、支持部材は案内部材が押圧されることで弾性変形と元の形状への復元とを繰り返し、振動フィーダはこれによる案内部材の振動によって被搬送物を所定の搬送方向に確実に搬送できる。
【0009】
また、本発明に係る振動フィーダは、係合孔の内周面を押圧する押圧体の外周が、その回転軸線と平行又は略平行な軸線まわりに回転可能な輪体とされている構成を採用できる。
【0010】
かかる構成によれば、係合孔の内周面を押圧する押圧体の外周が、回転可能な輪体とされることで、押圧体がその回転軸線まわりに回転したときに、輪体は、前記回転軸線まわりに平行または略平行な軸線まわりに回転しながらこの内周面を押圧する。これによって、振動フィーダは、カムである押圧体(輪体)と係合孔の内周面とが摩耗し難い構成になる。
【0011】
また、本発明に係る振動フィーダは、案内部材に固定されるとともに被押圧体を保持する保持枠を備え、保持枠には被押圧体を固定する固定手段が設けられ、保持枠は、固定手段による被押圧体の固定を解除したときに被押圧体を回転操作可能に保持している構成を採用できる。
【0012】
かかる構成によれば、被押圧体を回転操作し、長孔状とされた係合孔を所定の角度に傾斜させて固定手段で固定することで、押圧体は、被押圧体を所定の方向に周期的に押圧し、これによる案内部材の振動によって被搬送物を所定の方向に搬送できるようになる。さらに、被押圧体を回転操作することにより、係合孔の角度を変えることができ、これによって、案内部材の振動の程度を調節することができるようになる。これにより、振動フィーダは、多様な被搬送物を搬送することができるようになる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る振動フィーダによれば、共振による疲労破壊や騒音の発生を防止できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係る振動フィーダの一実施形態を図面に基づき説明する。
【0015】
図1〜図3に示すように、振動フィーダ1は、ねじ等の部品(以下「被搬送物2」という)を所定の方向に案内する案内部材3と、この案内部材3を支持する弾性変形可能な支持部材4と、案内部材3を所定方向に押圧して周期的に変位させる押圧体5と、案内部材3に固定されていて押圧体5に押圧される被押圧体6とを有する。
【0016】
本実施形態では、案内部材3は、金属製とされていて、第1案内部材3aと、第2案内部材3bの一対で構成されている。案内部材3は支持部材4を介して支持台9に取り付けられている。各案内部材3a、3bは、被搬送物2を支持する支持部11(11a、11b)と、支持台9側に取り付けられる取付部12(12a、12b)とを有する。
【0017】
図1に示すように、各支持部11a、11bは長方形状の板部材とされている。第1案内部材3aの支持部11aと、第2案内部材3bの支持部11bは、所定間隔離れて互いに対向している。第1案内部材3aには、支持部11aの長手方向の中途部に、被押圧体6が取り付けられる取付部15が設けられている。取付部15は、第1案内部材3aの支持部11aの下端部から下方に突出して設けられている。被押圧体6は、保持枠16を介してこの取付部15に固定されている。
【0018】
案内部材3a、3bの取付部12a、12bは、板状に形成されており、支持部11a、11bの下端部に一体に形成されている。各取付部12a、12bは、各支持部11a、11bに対してほぼ直角に折曲して形成されている。第1案内部材3aの取付部12aは、支持部11aの長手方向の各端部寄りの位置(2箇所)に設けられ、第2案内部材3bの取付部12bは、支持部11bの長手方向の各端部寄りの位置(2箇所)に設けられている。
【0019】
各取付部12a、12bには、その厚さ方向に貫通する孔13a、13bが形成されている。第1案内部材3aの取付部12aに形成された孔13aは、円形に形成されており、第2案内部材3bの取付部12bに形成された孔13bは、この取付部12bの長手方向に長い長孔とされている。
【0020】
支持台9は、支持部材4を介して案内部材3を支持する支持板21と、この支持板21を支持する複数(図例では2つ)の支持脚部22、22とを有する。各支持脚部22、22は、この支持板21の長手方向に直交する方向(以下「支持板21の幅方向」という。)の各端部に固定されている。この支持板21と2つの支持脚部22、22とで囲まれた空間は、押圧体5、被押圧体6等を収納する収納空間となっている。
【0021】
支持板21には、第1案内部材3aの取付部15と保持枠16とを挿通可能な孔(以下「第1挿通孔23」という。)が形成されている。第1案内部材3aは、この取付部15が第1挿通孔23に挿通されて支持板21の下面側に位置し、支持部11が支持板21の上面側に位置した状態で、支持部材4に支持されている。
【0022】
支持板21には、支持部材4が挿通される孔(以下「第2挿通孔33」という。)が形成されている。第2挿通孔33は、円形に形成されており、その直径は、支持部材4の弾性変形を許容するように、支持部材4の基部の直径よりも大きくなっている。支持部材4の上端部に設けられた第1取付部材26は、その軸部30が各案内部材3a、3bの取付部12の孔13a、13bに挿通されており、支持部材4は、この軸部30にナット31を嵌めることにより、各案内部材3a、3bと連結されている。なお、第2案内部材3bの取付部12bに形成された孔13bは長孔とされていることから、第2案内部材3bは、ナット31を緩めた状態で、この孔13bの長手方向に移動可能になり、これによって、第1案内部材3aとの離間距離を調節できるようになっている。
【0023】
図3に示すように、各支持脚部22、22は、断面視コ字状に形成されており、その上端部が支持板21に固定されている。支持脚部22の下端部には、弾性ゴムからなる複数の防振部材37が設けられている。振動フィーダ1が所定の設置場所に設置されると、防振部材37は、その設置面に当たり、振動フィーダ1の振動が設置面側に伝達されるのを防止する。
【0024】
図1〜図3に示すように、支持台9に設けられた支持部材4は弾性変形可能な円錐台状に形成されている。この支持部材4は、柔軟性を有する高分子材料(高分子物質)によって成形された成形体である。この支持部材4には、例えば、シリコン系樹脂またはウレタン系樹脂等からなるゲル状物質、弾性ゴム(合成ゴム、天然ゴム)、エラストマー等の樹脂等が用いられる。この支持部材4の固有振動数は、約10〜30Hzの範囲内で設定されるのが望ましい。
【0025】
この支持部材4の上端部には、この支持部材4を各案内部材3a、3bに取り付けるための第1取付部材26が設けられている。また、この支持部材4の下端部には、支持部材4を支持板21に取り付けるための第2取付部材27が設けられている。
【0026】
第1取付部材26は、金属製であり、支持部材4の上端部に一体に固着されている。この第1取付部材26は、円形の板部29とこの板部29から突出して設けられた軸部30とを有する。円形の板部29の直径は、円錐台状に形成された支持部材4の上端面の直径とほぼ等しくなっている。軸部30には雄ねじが形成されており、ナット31を嵌め込み可能となっている。第2取付部材27は、金属製の板部材であり、その板厚方向に貫通する孔27a、27bを有する。
【0027】
押圧体5は、支持台9に設けられた駆動部40によって回転駆動される。本実施形態では、駆動部40として電動モータが用いられている(以下、駆動部と電動モータに共通符号40を用いる。)。この電動モータ40は、取付金具35を介して支持板21の下面に固定されている。この電動モータ40の回転軸40aは、支持板21の幅方向に向いている。
【0028】
図4、図5に示すように、押圧体5は、合成樹脂によって形成された連結部材43を介して電動モータ40の回転軸40aに連結されている。連結部材43は、円柱状の本体部43aと、この本体部43aの一端部から長手方向の突出した軸部43bとを有する。本体部43aには、電動モータ40の回転軸40aが嵌る孔(以下「取付孔43c」という。)が形成されている。取付孔43cは、本体部43aの軸心に一致するとともにこの軸心方向に長く形成されている。
【0029】
連結部材43は、軸部43に押圧体5が取り付けられ、本体部43aの取付孔43cに電動モータ40の回転軸40aが嵌入されることで、この押圧体5と電動モータ40の回転軸40aとを連結している。
【0030】
連結部材43の軸部43bは、その軸心(軸線)が、電動モータ40の回転軸40aの回転中心から偏心するように本体部43aに設けられている。したがって、電動モータ40の回転軸40aが回転すると、この軸部43bは、その軸心(軸線)が回転軸40aの回転中心(図4に軸線O1で示す。以下「回転軸線O1」という。)からの偏心距離を半径として、この回転中心まわりに回転(公転)するようになっている。軸部43bがこのように回転可能とされることにより、押圧体5は、被押圧体6を押圧するカムとして機能し、また、軸部43bが回転軸線O1から偏心していることから、連結部材43は、押圧体5を回転駆動するクランクとして機能する。
【0031】
押圧体5は、この軸部43bの軸心まわりに回転自在となっている。具体的には、軸部43bには、軸受が設けられており、その外輪5a(輪体)が、押圧体5の外周を構成している。すなわち、押圧体5の外周となる輪体5aは、軸部43bに対して回転(自転)自在となっている。軸部43bの軸心が回転軸線O1から偏心していることから、押圧体5の外周となる輪体5aは、回転軸線O1と平行または略平行な軸線(図4において符号O2で示す。)まわりに回転(自転)可能となっている。
【0032】
なお、支持台9の支持脚部22には、電動モータ40の回転軸40aの回転速度を調節するためのコントローラ44と、振動フィーダ1の電源を入切する電源スイッチ45と、電源コードを接続するための接続端子46が設けられている。コントローラ44は、2つの支持脚部22の一方に設けられている。このコントローラ44は指で操作可能な摘み44aを有する。このコントローラ44は、この摘み44aを回転操作することにより、電動モータ40の回転数を変更でき、連結部材43によって電動モータ40の回転軸40aに連結された押圧体5の回転(公転)速度を調節できるようになっている。
【0033】
被押圧体6は、例えば、合成樹脂等により形成された円形の板部材によって構成されている。また、被押圧体6を保持する保持枠16は、第1案内部材3aの取付部15に固定されている。この保持枠16には、被押圧体6を固定する固定手段49が設けられている。固定手段49には、例えば保持枠16に形成されたねじ孔に嵌め込まれた止めねじが用いられる。保持枠16は、止めねじを緩めて被押圧体6の固定が解除されると、この被押圧体6をその中心まわりに回転させることができるようになっている。
【0034】
この被押圧体6は、そのほぼ中心部に押圧体5が係合する係合孔6aが形成されている。また、この被押圧体6には、その中心部から偏心した位置に、この被押圧体6を保持枠16に対して回転操作するための操作ピン50が設けられている。操作ピン50は、被押圧体6の中心から偏心した位置に形成された穴に嵌め込まれている。
【0035】
図3に示すように、第1案内部材3aの取付部15には、その厚さ方向に貫通する貫通孔15aが形成されており、被押圧体6は、その係合孔6aが取付部15の貫通孔15aと一致するように設けられている。電動モータ40の回転軸40aに取り付けられた連結部材43は、この貫通孔15aに挿通され、連結部材43に取り付けられた押圧体5は、被押圧体6の係合孔6aに挿通されている。
【0036】
前記係合孔6aは、図6に示すように、円形の被押圧体6の半径方向に長い長孔(長孔状)とされている。被押圧体6は、この係合孔6aが所定の角度θで傾斜するように第1案内部材3aの取付部15に固定されている。ここで、係合孔6aの傾斜は、長孔とされた係合孔6aの短軸または長軸が、水平方向または、鉛直方向に対して所定の角度で傾斜することをいう。この実施の形態では、被押圧体6が取付部15に固定された状態において、係合孔6aの長軸51が鉛直方向(図1、図6において符号Yで示す方向)に対して約45°の角度で傾斜している。
【0037】
被押圧体6に形成された係合孔6aは長孔状とされていることから、この係合孔6aの内周面には、押圧体5が強く押圧する部分(以下「押圧部71」という)と、強く押圧しない部分(以下「非押圧部72」という。)が形成される。ここで、「強く押圧しない」とは、押圧体5が接触せずに全く押圧しない場合や、押圧体5が接触しているが押圧部71より弱く押圧される場合が含まれる。押圧部71と非押圧部72は、係合孔6aの内周面の周方向に交互に形成されている。
【0038】
係合孔6aは、鉛直方向Yに対して所定の角度で傾斜していることから、押圧体5は、押圧部71を押圧したときに、被押圧体6を係合孔6aの傾斜方向(係合孔6aの長軸51に沿う方向をいう)に対して直交する斜め方向(図5、図6において矢印Cで示す方向)に移動させる。押圧部71には、押圧体5によって斜め上方に押圧される第1押圧部71aと、斜め下方に押圧される第2押圧部71bとがある。
【0039】
第1案内部材3aを支持する支持部材4と、その直近の位置で第2案内部材3bを支持する支持部材4とは、連結板61によって連結されている。この連結板61は、長方形状の板部材からなる。この連結板61には、第1案内部材3aを支持する支持部材4の第1取付部材26の軸部30と第2案内部材3bを支持する支持部材4の第1取付部材26の軸部30のそれぞれを挿通する挿通孔61a、61bが形成されている。連結板61に形成された2つの挿通孔の一方(61b)は、この連結板61の長手方向に長い長孔とされている。
【0040】
図3に示すように、この連結板61は、それぞれの挿通孔61a、61bに、各支持部材4の軸部30が挿通され、各支持部材4の第1取付部材26の円形の板部29と各案内部材3a、3bの取付部12a、12bとの間に挟まれた状態で、第1案内部材3a側の支持部材4と第2案内部材3b側の支持部材4とを連結している。
【0041】
支持部材4の下端部に設けられた第2取付部材27は、ボルトによって、支持板21の下面に固定されている。支持板21にはボルトが嵌るねじ孔が形成されており、支持部材4は、第2取付部材27と支持板21との間にスペーサ65を挟んだ状態で、ボルトを第2取付部材27の孔27a、27bに挿通するとともに支持板21に形成されたねじ孔に嵌め込むことにより、支持板21に固定されている。これにより、各支持部材4は、第2挿通孔33に挿通された状態で、各案内部材3を支持している。
【0042】
上記構成の振動フィーダ1によって被搬送物2を搬送する作用を説明する。
【0043】
振動フィーダ1には、別途設けられた被搬送物2の供給装置によって被搬送物2が供給される。被搬送物2がねじの場合には、ねじの頭部が各案内部材3の支持部11の上端に当たるとともにねじの軸部が一対の案内部材3a、3bの支持部11a、11b間に入った状態となる。被搬送物2は、軸部が上下方向に沿った状態で支持部11a、11bに支持される。
【0044】
振動フィーダ1の電源を入れた状態で、コントローラ44を操作すると電動モータ40が駆動され、電動モータ40の回転軸40aは、図5に示すように反時計回り(図5、図6において矢印Bで示す方向)に回転する。連結部材43は、電動モータ40の回転軸40aの回転に伴って所定の回転速度で回転する。これに伴って、押圧体5は、回転軸40aから偏心した位置で回転(公転)する。この押圧体5は、その回転によって、被押圧体6を強く押圧し、この押圧を解除することを所定の周期で繰り返す。
【0045】
図6に示すように、押圧体5が非押圧部72に対応する位置にある状態(押圧体5の輪体5aが実線で示される位置)から、回転軸40aが反時計回りに回転すると、押圧体5は、図6の二点鎖線で示すように、第1押圧部71aに対応する位置に移動する。このとき、押圧体5の外輪(輪体)5aは、連結部材43の軸部43bに対して相対回転(自転)しながら、第1押圧部71aを押圧して被押圧体6とともに第1案内部材3aを斜め上方に変位させる。第2案内部材3bは、連結板61を介して第1案内部材3aと連結されていることから、第1案内部材3aと同じように斜め上方に変位する。
【0046】
各案内部材3a、3bが斜め上方に変位したとき、支持部材4は、これに伴って弾性変形する。各案内部材3a、3bがこのように斜め上方に変位したとき、被搬送物2は、案内部材3a、3bの支持部11a、11bから斜め上方に突き上げられ、支持部11a、11bから離れる。押圧体5は、さらに反時計回りに回転すると、係合孔6aの第1押圧部71aから徐々に離れ、第1押圧部71aの下方に位置する非押圧部72に対応する位置に移動する。このとき、押圧体5による被押圧体6への押圧が解除され、弾性変形していた支持部材4は元の形状に復元する。
【0047】
これにより、各案内部材3a、3bは、押圧体5によって押圧される前の位置に戻る。このとき、支持部11a、11bから離れていた被搬送物2は、自重により落下して、再び支持部11a、11bに載って支持される。被搬送物2が支持部11a、11bから離れている間に、各案内部材3a、3bが、押圧体5に押圧されて変位した位置から押圧される前の位置に戻ることから、被搬送物2は、支持部11の長手方向において、各案内部材3a、3bに対して相対的に移動する。
【0048】
各案内部材3a、3bは、押圧体5が上記のように被押圧体6に形成された係合孔6aの第1押圧部71aを周期的に強く押圧するとともに支持部材4が弾性変形と元の形状への復元とを繰り返すことによって振動し、被搬送物2は、この振動によって、上記の移動を繰り返し、これによって所定の搬送方向(図5、図6において符号Dで示す方向)に直線的に搬送される。
【0049】
以上説明した振動フィーダ1によれば、押圧体5によって被押圧体6を所定方向に周期的に押圧するとき、これに伴って支持部材4が、弾性変形と、元の形状への復元を繰り返すことによって、第1案内部材3aと第2案内部材3bを被搬送物2を搬送できるようになる。さらに、支持部材4は、柔軟性を有する高分子材料によって成形された成形体であることから、その固有振動数が小さく、したがって、振動フィーダ1は、共振が発生し難く、これによる疲労破壊や騒音の発生を防止できるようになる。
【0050】
また、被押圧体6に形成された係合孔6aは、長孔状とされて鉛直方向Yに対して傾斜するように設けられ、押圧体5との係合によって案内部材3a、3bを所定の搬送方向Dに搬送可能となる。また、押圧体5の外周を構成する輪体5aは、係合孔6aの各押圧部71(71a、71b)を押圧する際に、連結部材43の軸部43bに対して相対回転(自転)することにより、押圧体5の外周である輪体5aと係合孔6aの内周面とが摩耗し難くなっている。
【0051】
さらに、被押圧体6は、保持枠16に対してその中心まわりに回転可能に保持されていることから、固定手段49による被押圧体6の固定を解除し、操作ピン50によって被押圧体6を回転操作することによって、係合孔6aの傾斜角度θを変更できるようになっている。これにより、振動フィーダ1は、各案内部材3(3a、3b)の振動の方向、振幅等を自在に調節でき、種々の被搬送物2に適した振動を発生させることができるようになっている。
【0052】
また、支持部材4は、第2挿通孔33に挿通された状態で、側面視において、支持板21と重なるように設けられていることから、振動フィーダ1は、その上下高さを極力低くしてコンパクトな構成となっている。
【0053】
なお、本発明に係る振動フィーダは、上記した実施の形態に限らず、種々の変形・変更が可能である。例えば、案内部材3は、被搬送物2を直線的に搬送するものを例示したが、この案内部材3を湾曲形成させて、被搬送物2が曲線状の軌跡を描くように搬送させることも可能である。また、案内部材3として振動フィーダ1用のトラフ(樋状部材)やボール等を用いてもよい。そして、この振動フィーダ1は、ねじに限らず、他の種々の被搬送物を搬送可能である。
【0054】
上記の実施の形態では、支持板21の第2挿通孔33が円形に形成されたものを例示したが、第2挿通孔33は、支持部材4を挿通可能で支持部材4の弾性変形を許容できる大きさであれば、四角形、楕円状その他の種々の形状を採用してもよい。
【0055】
上記の実施の形態では、連結板61の2つの挿通孔61a、61bの一方を長孔に形成した例を示したが、2つの挿通孔61a、61bの両方を長孔に形成することも可能である。
【0056】
また、上記の実施の形態では、押圧体5をカムで構成したものを例示したが、これに限らず、押圧体5をピストン状またはスライダ機構等の往復動体とし、その往復運動によって案内部材3を所定の一方向に押圧するようにしてもよい。上記の実施の形態では、押圧体5を回転自在なものとして例示したが、連結部材43の軸部43bに樹脂成形によってカムを一体に形成させてもよい。
【0057】
また、上記の実施の形態では、被押圧体6は、保持枠16を介して回転操作可能に案内部材3に取り付けられていたが、この被押圧体6を第1案内部材3aに直接固定したり、または、第1案内部材に係合孔6aを貫通形成するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の一実施形態を示す振動フィーダの側面図である。
【図2】同実施形態の振動フィーダの平面図である。
【図3】図1のA−A線断面図である。
【図4】押圧体を示す側面図である。
【図5】第1案内部材の側面図である。
【図6】押圧体と被押圧体の長孔との係合関係を示す図である。
【符号の説明】
【0059】
1 振動フィーダ
2 被搬送物
3 案内部材
4 支持部材
5 押圧体
5a 輪体
6 被押圧体
6a 係合孔
16 保持枠
49 固定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被搬送物を案内する案内部材を振動させることで所定の搬送方向に被搬送物を搬送する振動フィーダにおいて、
案内部材を支持する弾性変形可能な支持部材と、案内部材を所定方向に周期的に押圧して変位させる押圧体とを備え、支持部材は柔軟性を有する高分子材料によって成形された成形体であることを特徴とする振動フィーダ。
【請求項2】
押圧体は回転駆動されるカムとされ、案内部材には押圧体に押圧される被押圧体が取り付けられ、この被押圧体には押圧体が係合する係合孔が形成されており、この係合孔の内周面は、カムの回転によって周期的に押圧されるべく長孔状に形成されている請求項1に記載の振動フィーダ。
【請求項3】
係合孔の内周面を押圧する押圧体の外周は、その回転軸線と平行又は略平行な軸線まわりに回転可能な輪体とされている請求項2に記載の振動フィーダ。
【請求項4】
案内部材に固定されるとともに被押圧体を保持する保持枠を備え、保持枠には被押圧体を固定する固定手段が設けられ、保持枠は、固定手段による被押圧体の固定を解除したときに被押圧体を回転操作可能に保持している請求項2又は3に記載の振動フィーダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−222422(P2008−222422A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−67040(P2007−67040)
【出願日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【特許番号】特許第4050775号(P4050775)
【特許公報発行日】平成20年2月20日(2008.2.20)
【出願人】(593155400)株式会社大光テクニカ (1)
【出願人】(507085704)
【Fターム(参考)】