説明

振動フィーダ

【課題】 フィーダ本体に水が残留しにくくするもしくは残留しないようにすることで、被搬送物に異物が混入するのを防止し得る振動フィーダの提供。
【解決手段】 フィーダ本体と、該フィーダ本体に取付けられた振動バネと、該振動バネに振動を付与することでフィーダ本体の上側で被搬送物を前方に搬送するためのトラフに振動を付与する駆動部と、を備えた振動フィーダであって、フィーダ本体の上面に、フィーダ本体の側方へ向けて下傾斜する傾斜部が形成されている構成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁フィーダなどの振動フィーダに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に電磁フィーダなどの振動フィーダは、フィーダ本体と、振動バネと、振動バネを振動させるための駆動部とを有する。そして駆動部の駆動により、振動フィーダに装着したトラフが振動して、被搬送物を搬送するよう構成されている。
下記特許文献1に記載の振動フィーダは、上記構成を有してしかも水洗いができるようになっている。
振動フィーダを水洗いできるようにしている理由は、一般には次の理由による。すなわち、例えば顆粒状物や粉状物などの被搬送物がトラフから飛散してフィーダ本体に舞い落ち、続いて別の種類の被搬送物を搬送しているときに、フィーダ本体に舞い落ちている被搬送物が、現在搬送している被搬送物混入しないようにするためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4−358617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の振動フィーダでは、水洗いをした後の水がフィーダ本体の上面に残留し易かった。
水がフィーダ本体の上面に残留したままであると、振動フィーダの振動により、次の被搬送物に水が混入してしまうおそれがある。
また、次に搬送する被搬送物がトラフから飛散してフィーダ本体に舞い落ちると、これが残留した水に混じってフィーダ本体に付着し易くなる。そうなると、さらに続けて被搬送物を搬送しているときに、振動によってフィーダ本体に付着している被搬送物が、現在搬送している被搬送物に混入してしまうおそれがあった。
【0005】
そこで本発明は、フィーダ本体に水が残留しにくくするもしくは残留しないようにすることで、被搬送物に異物が混入するのを防止し得る振動フィーダの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、フィーダ本体と、前記フィーダ本体とこのフィーダ本体の上側に取り付けられるトラフとの間に設けた振動バネと、該振動バネに振動を付与することで前記トラフによって被搬送物を前方に搬送させる駆動部と、を備えた振動フィーダであって、フィーダ本体の上面に、フィーダ本体の側方へ向けて下傾斜する傾斜部が形成されていることを特徴としている。
【0007】
上記構成では、傾斜部によって水はけ性が向上しているから、振動フィーダを水などで洗浄すると、フィーダ本体上の洗浄水は、傾斜部からフィーダ本体の側方へ向けて排除される。
【0008】
本発明の振動フィーダでは、傾斜部は、フィーダ本体の上面の少なくとも一部に設けた傾斜面であることを特徴としている。
上記構成によれば、フィーダ本体上の洗浄水は、傾斜面に沿ってフィーダ本体の側方に排除される。
【0009】
本発明の振動フィーダでは、傾斜面は、フィーダ本体の上面の中心を頂点としてフィーダ本体の両側方へ下傾斜するよう形成されていることを特徴としている。
上記構成によれば、洗浄水はフィーダ本体の上面の中心から両側方へ向けて排除される。
【0010】
本発明の振動フィーダでは、傾斜面は、フィーダ本体の側方へ向けて下傾斜し、且つ前後方向一方側へ向けて下傾斜していることを特徴としている。
上記構成によれば、洗浄水は、フィーダ本体の上面を前後方向一方側へ向けて排除されつつ側方へ向けて排除される。
【0011】
本発明の振動フィーダでは、傾斜面は、フィーダ本体の前後方向一方側が前後方向他方側に比べて順次急峻に形成されていることを特徴としている。
上記構成のように傾斜面を順次急峻にすることで、フィーダ本体上を前後方向一方側へ排除された洗浄水は、傾斜面から効率よく排除される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の振動フィーダでは、フィーダ本体の上面に、フィーダ本体の側方へ向けて傾斜する傾斜部が形成されているから水はけ性が著しく良好であり、したがって振動フィーダを水などで洗浄すると、フィーダ本体上の洗浄水は傾斜部からフィーダ本体の側方へ向けて排除され、したがって被搬送物をフィーダ本体の上面に付着しにくくして、被搬送物への異物の混入を有効に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第一の実施形態を示す電磁フィーダの全体構成を示す前方からの斜視図
【図2】同じく後方側からの斜視図
【図3】同じく側面図
【図4】同じく長手方向の断面図
【図5】同じくフィーダ本体(電磁石も併せて図示している)の前方からの斜視図
【図6】同じくフィーダ本体の後方からの斜視図
【図7】同じく側面図
【図8】同じく図7におけるA−A矢視断面図
【図9】同じく図7におけるB−B矢視断面図
【図10】同じく図7におけるC−C矢視断面図
【図11】同じく図7におけるD−D矢視断面図
【図12】同じく図7におけるE−E矢視断面図
【図13】同じく図7におけるF−F矢視断面図
【図14】本発明の第二の実施形態を示す、振動フィーダのフィーダ本体の前方からの斜視図
【図15】同じく振動フィーダの後方からの斜視図
【図16】同じくフィーダ本体の長手方向の断面図
【図17】同じくフィーダ本体の側面図
【図18】同じく図17におけるA1−A1矢視断面図
【図19】同じく図17におけるB1−B1矢視断面図
【図20】同じく図17におけるC1−C1矢視断面図
【図21】同じく図17におけるD1−D1矢視断面図
【図22】同じく図17におけるE1−E1矢視断面図
【図23】同じく図17におけるF1−F1矢視断面図
【図24】本発明の第三の実施形態を示す、振動フィーダのフィーダ本体の前方からの斜視図
【図25】同じく振動フィーダの後方からの斜視図
【図26】同じくフィーダ本体の長手方向の断面図
【図27】同じくフィーダ本体の側面図
【図28】同じくA2−A2矢視断面図
【図29】同じく図27におけるB2−B2矢視断面図
【図30】同じく図27におけるC2−C2矢視断面図
【図31】同じく図27におけるD2−D2矢視断面図
【図32】同じく図27におけるE2−E2矢視断面図
【図33】同じく図27におけるF2−F2矢視断面図
【図34】本発明の別の実施形態の要部を示す幅方向断面図
【図35】本発明のさらに別の実施形態の要部を示す幅方向断面図
【図36】本発明のさらに別の実施形態の要部を示す幅方向断面図
【図37】図34ないし図36の実施形態に適応したフィーダ本体の形状を示す側面図
【図38】同じく別のフィーダ本体の形状を示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る振動フィーダ(電磁フィーダ)を図面に基づいて説明する。まず、図1ないし図12に基づいて、本発明の第一の実施形態を説明する。
図1は本発明の第一の実施形態を示す振動フィーダの全体構成を示す前方からの斜視図、図2は同じく後方側からの斜視図、図3は同じく側面図、図4は同じく長手方向の断面図である。
【0015】
また、図5はフィーダ本体(電磁石も併せて図示している)の前方からの斜視図、図6は同じくフィーダ本体の後方からの斜視図、図7は同じく側面図、図8ないし図10はそれぞれ第一取付部における幅方向の断面図、図11ないし図13は第二取付部における幅方向の断面図である。図8ないし図10は、それぞれ図7におけるA−A、B−B、C−C矢視断面図、図11ないし図13は、それぞれ図7におけるD−D、E−E、F−F矢視断面図である。
【0016】
振動フィーダ1は、フィーダ本体11と、フィーダ本体11に支持される振動バネ、すなわち第一板バネ12および第二板バネ13と、第一板バネ12および第二板バネ13の上端部に支持されるアタッチメント式トラフ取付用の取付部材14と、取付部材14に固定された被吸着部材15(図3参照)を吸着するための電磁石16と、電磁石16を介してトラフ17の振動状態を制御するためのコントローラ(図示せず)とを有する。この電磁石16およびコントローラはトラフ17に振動を付与する駆動部である。
【0017】
フィーダ本体11の構成を説明する。
この場合、フィーダ本体11はカウンターウエイトである。これは、ステンレス製の金属からなり、鋳造により形成されている。フィーダ本体11の本体底面110は面一の平面に形成されて、四隅に防振バネ111が配置されている。
フィーダ本体11は、その前部に配置された板バネ取付部112と、後部に配置された電磁石装着部113とからなり、全体として平面視して長手方向(以下「前後方向」という)と短手方向(以下「幅方向」という)を有する略矩形に形成されている。
【0018】
電磁石装着部113と板バネ取付部112とを幅方向長さで比較すると、電磁石装着部113は板バネ取付部112よりも幅方向がわずかに長く形成されている。これにより、電磁石装着部113の前端部における左右両側下部には、板バネ取付部112(後述の第一取付部1121)の後端部から左右方向に拡大する段付面112a,112aが形成されている(図5参照)。
電磁石装着部113と板バネ取付部112とを高さで比較すると、板バネ取付部112に比べて電磁石装着部113の方が高く形成されている。
【0019】
ここで電磁石装着部113の構成について、さらに詳細に説明する。電磁石装着部113は、全体形状として、立方体形状の塊の上面を後方に向けて下傾斜するよう切欠き、前面を前方に向けて下傾斜するよう切欠いた形状に形成されている。
電磁石装着部113の傾斜した装着部前面113aの中心には、電磁石16を装着するための装着凹部1131が、装着部前面113aに直交する方向で斜め後方に穿たれたように形成されている。
【0020】
この装着凹部1131には電磁石16がモールドされた状態で内装支持されている。また、電磁石装着部113には、電磁石16とコントローラとを電気的に接続するリード線(図示せず)を挿通させるための挿通孔1132が形成されている(図4参照)。
電磁石装着部113の装着部上面113bと装着部側面113cとの連続部である隅部w1,w1は、曲面形状に面取りされている。電磁石装着部113の装着部上面113bと装着部背面113dとの連続面である隅部w2は、曲面形状に面取りされている。
【0021】
板バネ取付部112の構成について、さらに詳細に説明する。なお、この実施形態では、第一板バネ12は板バネ取付部112の前後方向途中部分に配置され、第二板バネ13は板バネ取付部112の前端部分に配置されている。
【0022】
板バネ取付部112は、互いに前後方向で連続した第一板バネ用の第一取付部1121および、第二板バネ用の第二取付部1122を有する。
第一取付部1121は第一上面1121a、幅方向両側の第一側面1121b、および第一板バネ用の第一取付面1121cを有する。
第二取付部1122は第二上面1122a、幅方向両側の第二側面1122b、および第二板バネ用の第二取付面1122cを有する。第一上面1121aは、第二上面1122aに比べて相対的に高い位置にある。
【0023】
第一取付部1121および第二取付部1122の、第一取付面1121cおよび第二取付面1122cは、ともに装着部前面113aに沿う方向(装着部前面113aに平行)に傾斜して形成されている。また、第一取付面1121cおよび第二取付面1122cには、後述の下側取付ボルト1123が挿入される孔が形成されている。
なお、板バネ取付部112の両側面は平行である。換言すれば、第一取付部1121および第二取付部1122の両第一側面1121bおよび両第二側面1122bは、それぞれ互いに平行で、前後方向に沿う平面に形成されている。
【0024】
第一取付部1121の第一上面1121aは、第一取付面1121cの上端部から装着部前面113aの間に形成されている。すなわち第一取付面1121cと装着部前面113aとは、前後方向に第一の所定距離L1だけ離間した位置にある(図4参照)。
第一上面1121aは、前方から後方に向けて下傾斜する傾斜面に形成されている。しかもこの傾斜面は、幅方向中心よりも幅方向端部側が下方に位置するよう湾曲した湾曲面に形成されている。第一の実施形態における傾斜部は、第一取付部1121においては、第一上面1121a全体である。
【0025】
さらに湾曲面である第一上面1121aの曲率は、後方側すなわち電磁石装着部113側ほど大きく(急峻に)なるよう形成されている。このような、前後方向での曲率の相違は、図8ないし図10に示している。
第一上面1121aと装着部前面113aとの連続面である隅部w3には面取りが施されて湾曲面に形成されている。
第一上面1121aと両第一側面1121bとの連続面である隅部w4,w4には面取りが施されて湾曲面に形成されている。
【0026】
第二取付部1122の第二上面1122aは、第二取付面1122cの上端部から第一取付面1121cの間に形成されている。すなわち第二取付面1122cと第一取付面1121cとは、前後方向に第二の所定距離L2だけ離間した位置にあるよう関係付けられている。この第二の所定距離L2は第一の所定距離L1に比べて長く設定されている。
【0027】
第二上面1122aは、前方から後方に向けて下傾斜する傾斜面に形成されている。しかもこの傾斜面は、幅方向中心よりも幅方向端部側が下方に位置するよう湾曲した湾曲面に形成されている。
第一の実施形態における傾斜部は、第二取付部1122においては、第二上面1122a全体である。
【0028】
さらに湾曲面である第二上面1122aの曲率は、後方側すなわち第一取付部1121側ほど大きく(急峻に)なるよう形成されている。このような、前後方向での曲率の相違は、図11ないし図13に示している。第二の所定距離L2が第一の所定距離L1に比べて長い分だけ第二上面1122aにおける後側部の曲率は第一上面1121aにおける後側部の曲率に比べて大きくなっている。
【0029】
第二上面1122aと第一取付面1121cとの連続面である隅部w5には面取りが施されて湾曲面に形成されている。
第二上面1122aと両第二側面1122bとの連続面である隅部w6,w6には面取りが施されて湾曲面に形成されている。
【0030】
なお、第一取付面1121cは、第一上面1121aと第二上面1122aとの連続面から、第一板バネ12の厚み分ほど後退した位置に配置されている。第二取付面1122cは、板バネ取付部112の取付部前面112bから第二板バネ13の厚み分ほど後退した位置に配置されている。
この取付部前面112bは第二取付面1122cと同方向に傾斜している。取付部前面112bと両第二側面1121bとの連続面である隅部w7,w7には面取りが施されて湾曲面に形成されている。
【0031】
第一板バネ12および第二板バネ13の幅は、板バネ取付部112の幅に等しく設定されている。第一板バネ12および第二板バネ13の下端部が、それぞれ第一取付面1121c、第二取付面1122cに下側取付ボルト1123を介して圧着するよう固定されている。
第一板バネ12および第二板バネ13は等しい高さに設定されており、その上端部には、トラフ17をその下面171で支持する前記取付部材14が前後方向に渡されている。
【0032】
取付部材14はトラフ17が載置される載置板141と、この載置板141の下面から斜め前方に下傾斜する後側の第一取付片142および前側の第二取付片143とを有する。この第一取付片142、第二取付片143の前面に、それぞれ第一板バネ12、第二板バネ13の上端部が、上側取付ボルト1124を介して圧着するよう固定されている。
【0033】
第一取付片142および第二取付片143は、載置板141の下面に対してそれぞれ第一板バネ12および第二板バネ13と同様の傾斜角度をもって一体的に形成されている。第一取付片142は載置板141の前後方向途中に配置され、第二取付片143は載置板141の前端部に配置されている。
【0034】
載置板141は、第一板バネ12に上下方向で対応する部分からさらに後方に水平に延長された延長部1411を有する。延長部1411の後端部は下方に折曲されて、第一取付片142および第二取付片143と平行な支持壁部1412が形成されている。
この支持壁部1412は、その後面1412aに被吸着部材15を支持固定するものである。
【0035】
支持壁部1412は、電磁石装着部113の装着部前面113aに対して所定の前後方向長さの間隔L3を置いて前後方向で対向するよう配置されている。
また、支持壁部1412の上下方向長さは、第二取付片143の上下方向長さに比べて長く形成されている。これらの構成は、支持壁部1412の後面1412aに被吸着部材15を支持するためであり、被吸着部材15を支持壁部1412と装着部前面113aとの間に介装させる構成を採用している故である。
【0036】
さらに、第一取付片142と支持壁部1412との間に渡して、補強用リブ144が一体的に形成されている。補強用リブ144は側面視して、後側辺が前側辺に対して長い台形形状に形成されている。
すなわち前記第一の所定距離L1は、第一取付片142、補強用リブ144、支持壁部1412、被吸着部材15、および間隔L3が含まれる距離として特定される。
【0037】
上記構成の振動フィーダ1では、電磁石16を駆動して、被吸着部材15を電磁石16に対して吸着・離反することにより、取付部材14が前後方向に振動して取付部材14が第一板バネ12および第二板バネ13とともに前後方向に振動し、取付部材14に固定されているトラフ17が前後方向に振動してトラフ17上の被搬送物を搬送方向、すなわち前方に向けて搬送する。
【0038】
ところで、振動フィーダ1では被搬送物を搬送するとその振動にともなって被搬送物(例えば顆粒状物)が舞い上がってフィーダ本体11上に落下する場合がある。以下、フィーダ本体11上に落下した被搬送物を落下搬送物と呼ぶことにする。
この落下搬送物がフィーダ本体11上に付着した状態で次に被搬送物を搬送すると、今度はフィーダ本体11上の落下搬送物が振動フィーダの振動によってトラフ17上に舞い上がり、トラフ17上の被搬送物に異物として混入してしまう。このため、振動フィーダ1を定期的、あるいは不定期的に洗浄する必要がある。
【0039】
装着凹部1131には電磁石16がモールドされた状態で内装支持されており、フィーダ本体11はステンレス製金属の一体物として形成されているから、振動フィーダ1を水洗いしても支障はない。
そしてフィーダ本体11の第一上面1121aは、前方から後方に向けて下傾斜する傾斜面に形成されている。しかもこの傾斜面は、幅方向においては、幅方向中心よりも幅方向端部側が下方に位置するよう湾曲した湾曲面に形成されている。さらに第一上面1121aの曲率は、後方側ほど大きくなるよう形成されている。
【0040】
第二上面1122aは、前方から後方に向けて下傾斜する傾斜面に形成されている。しかもこの傾斜面は、幅方向においては、幅方向中心よりも幅方向端部側が下方に位置するよう湾曲した湾曲面に形成されている。さらに第二上面1122aの曲率は、後方側ほど大きくなるよう形成されている。
【0041】
この構成により、振動フィーダ1のフィーダ本体11上にある洗浄後の洗浄水は、第一上面1121aおよび第二上面1122aを、後方に、また側方に向けて排除される。第一上面1121aおよび第二上面1122aは後方に向けて下傾斜させている。このため洗浄水が後方へ向けて案内されると、第一上面1121aおよび第二上面1122aそれぞれの後方側に洗浄水が多く排除される。
【0042】
しかしながら、第一上面1121aおよび第二上面1122aは、それぞれ幅方向において前方側の曲率に比べて後方側の曲率が大きくなっている。このため、第一上面1121aおよび第二上面1122aそれぞれの後方側に洗浄水が多く排除されても、その洗浄水を円滑に排除することができる。
【0043】
また、板バネ取付部112の隅部w4,w6は曲面となるよう面取りされている。この、板バネ取付部112の隅部w4,w6によって、洗浄水は、第一取付部1121では第一側面1121bに、第二取付部1122では第二側面1122bに向けて円滑に排除される。
また、電磁石装着部113の前端部における左右両側下部には、第一取付部1121の後端部から左右方向に拡大する段付面112a,112aが形成されているから、第一上面1121aから後方に排除された洗浄水の一部は、段付面112a,112aに沿って円滑に落下排除される。
【0044】
電磁石装着部113においては、立方体形状の塊の上面を後方に向けて下傾斜するよう切欠き、前面を前方に向けて下傾斜するよう切欠いた形状となっている。このため、電磁石装着部113においては、振動フィーダ1を水洗いした後の洗浄水の一部が装着部上面113bから後方へ排除され易い。
【0045】
また、電磁石装着部113の装着部上面113bと装着部側面113cとの連続部である隅部w1,w1は曲面形状に面取りされ、電磁石装着部113の装着部上面113bと装着部背面113dとの連続面である隅部w2は曲面形状に面取りされている。このため、洗浄水の一部は、装着部上面113bから装着部背面113dあるいは装着部側面113cに円滑に排除される。
【0046】
上記のようにして、洗浄水はフィーダ本体11上から排除されるから、フィーダ本体11上に洗浄水が残りにくい。このため落下搬送物がフィーダ本体11の上面や側面等の表面に付着しにくくなる。そうなると、次に被搬送物を搬送する際に、落下搬送物が被搬送物に、異物として混入するのを防止することができる。
【0047】
第一取付面1121cと装着部前面113aとは、前後方向に第一の所定距離L1だけ離間した位置にある。すなわち第一の所定距離L1は、第一取付片142、補強用リブ144、支持壁部1412、被吸着部材15、および間隔L3が含まれる距離として特定されている。要するに第一上面1121aの前後方向長さは、第一取付面1121cと装着部前面113aとの間に、作業者の手や指を挿入するのに充分な長さがあり、またその上方にも作業者の手や指を挿入するのに充分なスペースが確保されている。
【0048】
したがって、第一取付面1121cの上側に補強用リブ144、支持壁部1412、被吸着部材15があったとしても、作業者は、第一取付面1121cと装着部前面113aとの間に手や指を挿入して、補強用リブ144、支持壁部1412、被吸着部材15が上方にあって洗浄しにくい第一取付面1121cの汚れを、容易に拭うこともできる。
【0049】
次に、図14ないし図23に基づいて第二の実施形態を説明する。なお、この第二の実施形態においては第一の実施形態と異なる部分のみ、異なる符号を付して説明する。
図14は、本発明の第二の実施形態を示す、振動フィーダ1のフィーダ本体11の前方からの斜視図、図15は振動フィーダ1の後方からの斜視図、図16はフィーダ本体11の長手方向の断面図、図17はフィーダ本体11の側面図、図18ないし図20はそれぞれ第一取付部における幅方向の断面図、図21ないし図23は第二取付部における幅方向の断面図である。
【0050】
図18ないし図20は、それぞれ図17におけるA1−A1、B1−B1、C1−C1矢視断面図、図21ないし図23は、それぞれ図17におけるD1−D1、E1−E1、F1−F1矢視断面図である。
第二の実施形態において、第一の実施形態と異なる構成は、フィーダ本体11における第一取付部1141および第二取付部1142の断面形状、すなわち第一取付部1141および第二取付部1142の上面の形状である。
【0051】
ここで、第一取付部1141の第一上面1141a、および第二取付部1142の第二上面1142aの形状について説明する。
第二の実施形態における第一上面1141a、および第二上面1142aは、何れの形状もフィーダ本体11の上面の幅方向中心を頂点1151,1152としてフィーダ本体11の両側方へ、直線的に下傾斜するよう形成されている。つまり、第一上面1141aおよび第二上面1142aは、幅方向中心を頂点1151,1152としてフィーダ本体11の両側方へ向けて下傾斜する平面に形成されている。
【0052】
また、第一上面1141aおよび第二上面1142aは後方へ向けて下傾斜しており、第一上面1141aおよび第二上面1142aの幅方向中心(頂点1151,1152)は、前後方向にはわずかに下方に向けて湾曲するよう形成されている(図16参照)。なお、第一上面1141aは第二上面1142aに比べて相対的に高い位置にある。
【0053】
また、第一取付部1141、第二取付部1142、および電磁石装着部113の幅は等しく形成されている(第一の実施形態における段付面112a,112aを有しない)。
他の構成は上記第一の実施形態と同様であるので、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0054】
本発明の第二の実施形態によれば、第一上面1141aおよび第二上面1142aは後方へ向けて下傾斜し、しかも両側へ向けて下傾斜しているから、洗浄後にフィーダ本体11上に残った洗浄水は、第一上面1141aおよび第二上面1142aの傾斜に沿って、フィーダ本体11の両側方へ円滑に排除される。他の作用効果は上記第一の実施形態と同様である。
【0055】
次に、図24ないし図33に基づいて、本発明の第三の実施形態を説明する。なお、この第三の実施形態においては第一の実施形態と異なる部分のみ、異なる符号を付して説明する。
図24は、本発明の第三の実施形態を示す、振動フィーダ1のフィーダ本体11の前方からの斜視図、図25は振動フィーダ1の後方からの斜視図、図26はフィーダ本体11の長手方向の断面図、図27はフィーダ本体11の側面図、図28ないし図30はそれぞれ第一取付部における幅方向の断面図、図31ないし図33は第二取付部における幅方向の断面図である。
【0056】
第三の実施形態において、第一の実施形態と異なる構成は、フィーダ本体11における第一取付部1121および第二取付部1122の断面形状、すなわち第一取付部1121および第二取付部1122の上面の形状である。
【0057】
ここで、第一取付部1121の第一上面1181、および第二取付部1122の第二上面1191の形状について説明する。
第一上面1181は、その一部が両側方に向けて下傾斜した形状の第一側方傾斜面1181aとされ、残りの部分は後方にのみ下傾斜した第一下傾斜面1181bとされている。第二上面1191は、その一部が両側方に向けて下傾斜した形状の第二側方傾斜面1191aとされ、残りの部分は後方にのみ下傾斜した第二下傾斜面1191bとされている。第三の実施形態においては、傾斜部は第一側方傾斜面1181aおよび第二側方傾斜面1191aである。
【0058】
第一側方傾斜面1181aは、幅方向中心を頂点P1として幅方向両側に傾斜した平面である。頂点P1は第一上面1181の前後方向両端部に亘っている。第一側方傾斜面1181aの第一前端辺1181cは、平面視して、頂点P1の前端から側方に至るにしたがって後方へ傾斜している。この第一前端辺1181cの前側が第一下傾斜面1181bである。
このような第一上面1181の形状の変化は、図28ないし図30に示している。図28ないし図30は、それぞれ図27におけるA2−A2、B2−B2、C2−C2矢視断面図である。
【0059】
第二側方傾斜面1191aは、幅方向中心を頂点P2として幅方向両側に傾斜した平面である。第二上面1191の頂点P2は第二上面1191の後端から前後方向途中まで亘っている。第二側方傾斜面1191aの第二前端辺1191cは、平面視して、頂点P2の前端から側方に至るにしたがって後方へ傾斜している。この第二前端辺1191cの前側が第二下傾斜面1191bである。
このような第二上面1191の形状の変化は、図31ないし図33に示している。図31ないし図33は、それぞれ図27におけるD2−D2、E2−E2、F2−F2矢視断面図である。
他の構成は上記第一の実施形態と同様であるので、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0060】
上記構成において、第一取付部1121の第一上面1181において洗浄後の洗浄水は、第一側方傾斜面1181aから側方に向けて排除され、また、第一下傾斜面1181bから後方に向けて排除されて第一側方傾斜面1181aから側方に向けて排除される。
【0061】
第二取付部1122の第二上面1191において、洗浄水は、第二側方傾斜面1191aから側方に向けて排除され、また、第二下傾斜面1191bから後方に向けて排除されて第二側方傾斜面1191aから側方に向けて排除される。他の作用効果は上記第一の実施形態と同様である。
【0062】
図34ないし図38に、さらに別の実施形態を示す。図34および図35はそれぞれ別の実施形態であるが、何れもフィーダ本体の板バネ取付部の第一上面および第二上面に、平面視して筋状となる排除用溝、あるいは凹条部を形成している。
【0063】
図34の場合では、フィーダ本体11の上面(第一上面および第二上面)を後方へ傾斜させ、該上面に断面V字形状とした同じ深さの排除用溝1120aを複数条、幅方向に離間して配置形成している。
図35の場合では、フィーダ本体11の上面(第一上面および第二上面)を、幅方向中心を頂点としてその両側を側方に向けて下傾斜させ、且つ上面を後方へ向けて下傾斜させ、上面に断面V字形状とした同じ深さの排除用溝1120bを複数条、幅方向に離間して配置形成している。
【0064】
図36の場合では、フィーダ本体11の上面(第一上面および第二上面)の幅方向中心に下方へ凸となる凹湾曲面1120cを前後方向に亘って形成し、凹湾曲面1120cの両側に、上方へ向けて凸となる凸湾曲面1120dを連続して形成している。そしてフィーダ本体の上面は後方へ向けて下傾斜させている。
【0065】
図34ないし図36に示した実施形態では、洗浄水をフィーダ本体11の側方へ排除する傾斜部として、図37あるいは図38に示すように、排除用溝1120a,1120bに連続する傾斜溝1120eを、上面の幅方向に沿って、その側方部が下傾斜するよう形成している。図37では、傾斜溝1120eは第一上面、第二上面のそれぞれの後部に、幅方向に沿って一箇所形成している。図38では、傾斜溝1120eは第一上面、第二上面のそれぞれの前後方向途中部分に、幅方向に沿って二箇所形成している。
【0066】
あるいは図34および図35で示した実施形態では、排除用溝1120a,1120bの後方側端部をフィーダ本体11の側方に向くように形成することで、傾斜部としてもよい。他の構成は、上記第一の実施形態と同様であるので、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0067】
図34および図35に示した実施形態では、洗浄後の洗浄水は、それぞれ排除用溝1120a,1120bに案内されて傾斜部によってフィーダ本体11の側方に排除される。図36に示す実施形態では、洗浄後の洗浄水は、凹湾曲面1120cに案内され、また凸湾曲面1120d(傾斜部でもある)に案内されて傾斜部によってフィーダ本体11の側方に排除される。他の作用効果は上記第一の実施形態と同様である。
【0068】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0069】
例えば、上記各実施形態では、フィーダ本体の上面は、幅方向中心を頂点として側方が下傾斜するよう左右対称の形状の傾斜部を設けた。しかしながら、フィーダ本体の頂点を幅方向中心から一方の側方へ位置ずれさせ、その頂点から上面を各側方へ向けて下傾斜させるよう構成してもよい。この場合も、洗浄後の洗浄水を円滑に側方へ排除することができる。
【0070】
上記各実施形態では、第一取付部の前後方向長さに比べて第二取付部の前後長さを長く設定している。しかしながら、第一取付部の前後方向長さと第二取付部の前後方向長さを同等にしたり、第一取付部の前後方向長さを第二取付部の前後長さに比べて長く設定したりすることも可能である。
【0071】
上記各実施形態では、板バネを前後二箇所に配置することで、フィーダ本体を第一取付部と第二取付部から構成した。しかしながら、さらに板バネを前方に配置する構成として、板バネの数に応じて取付部を増加させるよう構成することも可能である。この場合も各取付部の上面には傾斜部を設けることで、洗浄後の洗浄水を側方に排除することができる。
【0072】
また、上記各実施形態では、フィーダ本体のうち、板バネ取付部のみにフィーダ本体の側方へ向けて下傾斜する傾斜部を設けた構成としている。しかしながら本発明はこれに限定されるものではなく、板バネ取付部に傾斜部を設けることに加えて、電磁石装着部の上面に、その側方へ向けて下傾斜する傾斜部を設けた構成としてもよい。この傾斜部は、電磁石装着部の上面を側方に傾斜させた面として構成してもよいし、溝状のものであってもよい。
この場合では、板バネ取付部のみならず電磁石装着部においても、その側方への洗浄水の排除を促進することができる。
【0073】
また、上記各実施形態では、全ての取付部の上面に傾斜部をそれぞれ設ける構成としているが、本発明はこれに限定されるものではなく、一部の取付部の上面に傾斜部を設ける構成としてもよい。例えば、第一取付部と第二取付部のうち、第一取付部の第一上面に傾斜部を設け、第二取付部の第二上面に傾斜部を設けないように構成することもできる。
【符号の説明】
【0074】
1…振動フィーダ、11…フィーダ本体、12…第一板バネ、13…第二板バネ、112…板バネ取付部、1121…第一取付部、1121a…第一上面、1222…第一取付部、1122a…第二上面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィーダ本体と、前記フィーダ本体とこのフィーダ本体の上側に取り付けられるトラフとの間に設けた振動バネと、該振動バネに振動を付与することで前記トラフによって被搬送物を前方に搬送させる駆動部と、を備えた振動フィーダであって、
フィーダ本体の上面に、フィーダ本体の側方へ向けて下傾斜する傾斜部が形成されていることを特徴とする振動フィーダ。
【請求項2】
傾斜部は、フィーダ本体の上面の少なくとも一部に設けた傾斜面であることを特徴とする請求項1記載の振動フィーダ。
【請求項3】
傾斜面は、フィーダ本体の上面の中心を頂点としてフィーダ本体の両側方へ下傾斜するよう形成されていることを特徴とする請求項2記載の振動フィーダ。
【請求項4】
傾斜面は、フィーダ本体の側方へ向けて下傾斜し、且つ前後方向一方側へ向けて下傾斜していることを特徴とする請求項2または請求項3記載の振動フィーダ。
【請求項5】
傾斜面は、フィーダ本体の前後方向一方側が前後方向他方側に比べて順次急峻に形成されていることを特徴とする請求項4記載の振動フィーダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【公開番号】特開2011−26067(P2011−26067A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−173343(P2009−173343)
【出願日】平成21年7月24日(2009.7.24)
【出願人】(000002059)シンフォニアテクノロジー株式会社 (1,111)
【Fターム(参考)】