説明

振動伝播阻止方法

【課題】空溝を利用し、その溝側壁の崩壊対策を図ると共に、空溝を挟んでその一方側から他方側への振動の伝播を有効に阻止することのできる振動伝播阻止方法を提供する。
【解決手段】各種車両の走行や各種機械の稼動によって振動する場所23又は構造物とこれの近くに建てられた住宅22等建物との間の地盤Gを所定深さ掘削して、振動伝播阻止用の空溝1を形成すると共に、空溝1の対向する掘削側面2,2に山留め壁3を構築し、対向する山留め壁3の所定高さ位置に腹起こし4を取り付けて、両腹起こし4,4間に切梁5を介装すると共に、腹起こし4と山留め壁3との間に、振動吸収緩衝機能を有するキャンバー7を挟着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設工事等における各種車両の走行時や各種機械の稼動時に生じる工事現場等の場所又はその構造物の振動が近隣の住宅等の建物に伝播するのを阻止するための振動伝播阻止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来この種の振動伝播阻止方法として、例えば本発明の出願人によって取得された特許第3894932号に記載の方法がある。この振動伝播阻止方法は、車両の走行や各種機械の稼動によって振動する構造物又は道路とこれの近くに設置された住宅等建物との間の地盤中に、多数の廃タイヤを柱状に重合連結してなる多数の廃タイヤ重合連結体を所要の配列状態で埋設し、この廃タイヤ重合連結体により前記構造物又は道路の振動を吸収して住宅等建物への振動の伝播を阻止するようにしたもので、多数の廃タイヤ重合連結体の制振、防振作用によって、構造物又は道路から住宅等建物への振動の伝播を有効に阻止することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記の振動伝播阻止方法では、振動の発生する場所とこれの近くの住宅等建物との間に多数の廃タイヤ重合連結体を半永久的に埋設するから、振動発生場所が道路や電車等の軌道の場合に有効であるが、例えば振動発生場所が建築工事現場のように工事期間が限られた場所であって、工事が済めば振動の発生も無くなる場合に、その廃タイヤ重合連結体の埋設箇所も宅地などに利用したいときには、その廃タイヤ重合連結体を掘り起こして撤去する必要があり、そのため廃タイヤ重合連結体の撤去に余分なコストがかかる上に、廃タイヤ重合連結体の処分についても問題が残ることになる。そこで、本願の発明者は、廃タイヤを使用しない他の方法による振動伝播阻止方法について、種々研究を重ねてきた。
【0004】
環境地盤振動対策には様々な方策が講じられているが、交通や建設現場、工場などの地盤振動抑制のためにときどき用いられる空溝が最も効果が大きいとされている。しかし、この空溝は、溝側壁が崩壊し易いため、この崩壊対策を講じなければ、実質的な対策とは言えない。そこで、本発明は、空溝を利用し、その溝側壁の崩壊対策を図ると共に、空溝を挟んでその一方側から他方側への振動の伝播を有効に阻止することのできる振動伝播阻止方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための手段を、後述する実施形態の参照符号を付して説明すると、請求項1に係る発明は、各種車両の走行や各種機械の稼動によって振動する場所23又は構造物とこれの近くに建てられた住宅22等建物との間の地盤Gを所定深さ掘削して、振動伝播阻止用の空溝1を形成すると共に、空溝1の対向する掘削側面2,2に山留め壁3,3を構築し、対向する山留め壁3,3の所定高さ位置に腹起こし4,4を取り付けて、両腹起こし4,4間に切梁5を介装すると共に、腹起こし4と山留め壁3との間に、振動吸収緩衝機能を有するキャンバー7を挟着することを特徴とすることを特徴とする。
【0006】
請求項2は、請求項1に記載の振動伝播阻止方法において、対向する山留め壁3,3の所定高さ位置に取り付けた両腹起こし4,4間には、振動吸収緩衝機能を具えた切梁5を介装することを特徴とすることを特徴とする
【0007】
請求項3に係る発明の振動伝播阻止方法は、各種車両の走行や各種機械の稼動によって振動する場所23又は構造物とこれの近くに建てられた住宅22等建物との間の地盤Gを所定深さ掘削して、振動伝播阻止用の空溝1を形成すると共に、空溝1の対向する掘削側面2,2に山留め壁3,3を構築し、対向する山留め壁3,3の所定高さ位置に腹起こし4を取り付けて、両腹起こし4,4間に、振動吸収緩衝機能を具えた切梁5を介装することを特徴とする。
【0008】
請求項4は、請求項2に記載の振動伝播阻止方法において、腹起こし4と山留め壁3との間に、振動吸収緩衝機能を有するキャンバー7を挟着することを特徴とする。
【0009】
請求項5は、請求項1〜4の何れかに記載の振動伝播阻止方法において、腹起こし4は、山留め壁3に取り付けた取付ブラケット6に支持させると共に、この取付ブラケット6の支持面6aと腹起こし4との間に振動吸収緩衝部材8を介装することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
上記解決手段による発明の効果を、後述する実施形態の参照符号を付して説明すると、請求項1に係る発明の振動伝播阻止方法は、振動の発生する場所23又は構造物とこの近くに建てられた住宅22等建物との間の地盤Gを所定深さ掘削して、空溝1を形成すると共に、空溝1の掘削側面2に山留め壁3を構築し、対向する山留め壁3,3の所定高さ位置に腹起こし4,4を取り付けて、両腹起こし4,4間に切梁5を介装すると共に、腹起こし4と山留め壁3との間に、振動吸収緩衝機能を有するキャンバー7を挟着する方法であるから、空溝1による地盤振動遮断効果と、キャンバー7による振動吸収緩衝効果とによって、振動発生場所23又は構造物から住宅22等建物への振動の伝播を有効に阻止することができる。また、この方法によれば、振動発生場所23が工事現場のように工事期間が限られた場所で、工事が済めば振動の発生も無くなるような場所では、工事終了後に空溝1をその掘削土砂によって容易に埋め戻すことができ、空溝1の跡地をそのまま有効に利用することができる。
【0011】
請求項2に係る発明のように、対向する山留め壁3,3に取り付けた両腹起こし4,4間に、振動吸収緩衝機能を具えた切梁5を介装した場合は、空溝1による地盤振動遮断効果及びキャンバー7による振動吸収緩衝効果に加え、切梁5での振動吸収緩衝効果によって振動発生場所23又は構造物から住宅22等建物への振動の伝播をより有効に阻止することができる。
【0012】
請求項3に係る発明の振動伝播阻止方法は、振動の発生する場所23又は構造物とこの近くに建てられた住宅22等建物との間の地盤Gを所定深さ掘削して、空溝1を形成すると共に、空溝1の掘削側面2に山留め壁3を構築し、対向する山留め壁3,3の所定高さ位置に腹起こし4を取り付けて、両腹起こし4,4間に、振動吸収緩衝機能を具えた切梁5を介装する方法であるから、空溝1による地盤振動遮断効果と、切梁5での振動吸収緩衝効果とによって、振動発生場所23又は構造物から住宅22等建物への振動の伝播を有効に阻止することができる。
【0013】
請求項4に係る発明のように、腹起こし4と山留め壁3との間に、振動吸収緩衝機能を有するキャンバー7を挟着した場合は、空溝1による地盤振動遮断効果及び切梁5での振動吸収緩衝効果に加え、キャンバー7による振動吸収緩衝効果により、振動発生場所23又は構造物から住宅22等建物への振動の伝播をより有効に阻止することができる。
【0014】
請求項5に係る発明のように、腹起こし4を、山留め壁3に取り付けた取付ブラケット6に支持させるようにした場合に、その取付ブラケット6の支持面6aと腹起こし4との間に振動吸収緩衝部材8を介装すれば、振動発生場所23又は構造物から住宅22等建物への振動の伝播をより一層有効に阻止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る振動伝播阻止方法の一実施形態の概略説明断面図である。
【図2】(a) は同実施形態の説明平面図、(b) は(a) のX−X線断面図、(c) は(a) のY−Y線断面図である。
【図3】同実施形態の要部を示す斜視図である。
【図4】(a) は他の実施形態の説明平面図であり、(b) は(a) のV−V線断面図であり、(c) は(a) のW−W線断面図である。
【図5】図4の(c) の一部拡大図である。
【図6】(a) は更に他の実施形態の説明平面図であり、(b) は(a) のT−T線断面図であり、(c) は(a) のU−U線断面図である。
【図7】(a) 〜(c) は更に他の種々の実施形態を示す図5と同様な図面である。
【図8】更に他の実施形態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明の実施形態を図面に基づいて説明すると、図1は、建設作業機械21の作業時に作業現場23で発生する振動が地盤Gを通じて住宅22に伝播するのを阻止する本発明の振動伝播阻止方法の一実施形態を示すもので、図2の(a) は同実施形態の平面図、(b) は(a) のX−X線断面図、(c) は(a) のY−Y線断面図である。ここに示す振動伝播阻止方法は、図1に示すような建設作業機械21が掘削や杭打ち等の作業を行う時に振動を生ずる作業現場23とこれの近くに建てられた住宅22との間の地盤Gを所定深さ掘削して、振動伝播阻止用空溝1を形成すると共に、この空溝1の対向する掘削側面2,2に山留め壁3,3を構築し、その対向する山留め壁3,3の所定高さ位置に腹起こし4,4を取り付け、両腹起こし4,4間に切梁5を介装すると共に、腹起こし4と山留め壁3との間に、振動吸収緩衝機能を有するキャンバー7を挟着し、しかして空溝1による地盤振動遮断効果と、キャンバー7の有する振動吸収緩衝効果とにより、作業現場23から住宅22等建物への振動の伝播を阻止する方法である。
【0017】
上記方法について図2及び図3を参照して更に詳しく説明すれば、先ず地盤Gには形成しようとする空溝1の溝両側壁に沿った位置に、山留め材としてのハット形鋼矢板13を連続的に打ち込んで、その内側の地盤Gを所定の深さだけ掘削することにより、空溝1を形成すると共に、空溝1の対向する掘削側面2,2に山留め壁3,3を構築する。そして両山留め壁3,3の内側面には所定高さ位置に水平方向一定間隔おきに取付ブラケット6を溶接によって鋼矢板13に取り付け、これら取付ブラケット6に、腹起こし4としてのH形鋼14を支持させることにより、空溝1内で対向する山留め壁3,3の所定高さ位置に腹起こし4,4を水平に取り付け、そして両H形鋼14,14(腹起こし4,4)間に図3に示すような切梁5A、即ちキリンジャッキ20付きの切梁5Aを介装すると共に、各腹起こし4と山留め壁3との間には振動吸収緩衝機能を有する例えば厚いゴム板17からなるキャンバー7を挟み込んだ状態でキリンジャッキ20を適宜に操作することによって、キャンバー7を腹起こし4と山留め壁3との間に挟着固定する。
【0018】
上記キリンジャッキ付き切梁5A(5)は、図3に示すように、角筒片状の切梁材40と、これにボルトで取り付けられたキリンジャッキ20とからなるもので、切梁材40は一方のH形鋼14(腹起こし4)にボルトで取り付け、ジャッキ20は他方のH形鋼14(腹起こし4)にボルトで取り付け、ハンドル20aによるジャッキ20の伸縮操作により、両腹起こし4,4を押し引きして、山留め壁3に対するゴム板17(キャンバー7)を介しての押し付け力を調整することができる。
【0019】
また図3に示すように、腹起こし4としてのH形鋼14は、山留め壁3に取り付けた取付ブラケット6に載置させているが、このブラケット6の支持面6aにはゴム板からなる振動吸収緩衝部材8を取り付けてあり、従ってH形鋼14は、この振動吸収緩衝部材8を介してブラケット6に支持させるようにしている。
【0020】
図1〜図3に示す上記のような方法によれば、空溝1による地盤振動遮断効果、ゴム板17からなるキャンバー7の振動吸収緩衝効果、及び取付ブラケット6の支持面6aとH形鋼14(腹起こし4)との間の振動吸収緩衝部材8による振動吸収緩衝効果によって、振動発生源である作業現場23から住宅22への振動の伝播が有効に阻止されるために、住宅22は、作業現場23の振動の影響をほとんど受けなくなる。
【0021】
尚、図2の(b) ,(c) では、空溝1内に切梁5を1段に設けた状態を図示し、図1には切梁5を2段に設けた状態を図示しているが、切梁5の段数は、空溝1の掘削深度により1〜3段あるいはそれ以上の段数に設けることができる。
【0022】
図4は本発明に係る振動伝播阻止方法の他の実施形態を示すもので、図1〜図3に示す先の実施形態と同様に、(a) は同実施形態の平面図、(b) は(a) のV−V線断面図、(c) は(a) のW−W線断面図である。ここに示す振動伝播阻止方法は、切梁5が振動吸収緩衝機能を具えている点、及び山留め壁3がH形鋼材からなる親杭18と平板状の横矢板19とにより形成される点で、図1〜図3に示す先の実施形態と異なる。即ち、この方法は、図1に示すように振動を生ずる作業現場23と住宅22との間の地盤Gを所定深さ掘削して、振動伝播阻止用空溝1を形成すると共に、この空溝1の対向する掘削側面2,2に、夫々H形鋼材からなる親杭18と平板状の横矢板19とにより山留め壁3,3を構築し、対向する山留め壁3,3の所定高さ位置に夫々H形鋼14からなる腹起こし4,4を取り付け、両腹起こし4,4間に振動吸収緩衝機能を具えた切梁5Bを介装すると共に、腹起こし4と山留め壁3との間に振動吸収緩衝機能を有するキャンバー7を挟着し、しかして空溝1による地盤振動遮断効果と、切梁5Bの有する振動吸収緩衝効果と、キャンバー7の振動吸収緩衝効果とによって、作業現場23から住宅22等建物への振動の伝播を阻止する方法である。
【0023】
上記振動吸収緩衝機能を具えた切梁5Bは、図5に示すように、キリンジャッキ41の一端部に切梁材42をボルト結合し、他端部に振動吸収緩衝材ツナギ部材43をボルト結合してなる第1部材44の切梁材42を、一方の腹起こし4(H形鋼14)にボルト止めし、また切梁45に振動吸収緩衝材ツナギ部材46をボルト結合してなる第2部材47の切梁45を、他方の腹起こし4(H形鋼14)にボルト止めし、そして第1部材44及び第2部材47の対向する振動吸収緩衝材ツナギ部材43,46間にゴムやウレタン等からなる振動吸収緩衝材48を挟み込むように介装連結したもので、ジャッキ41のハンドル41aを回すことにより、振動吸収緩衝材48を含む第1部材44及び第2部材47を介して腹起こし4,4を押し引きして、山留め壁3に対するゴム板17(キャンバー7)を介しての押し付け力を調整することができる。尚、振動吸収緩衝材48は、振動吸収緩衝材ツナギ部材43,46に対し抜け出ないように取り付けてある。
【0024】
上記した図4及び図5により説明したような振動伝播阻止方法によれば、空溝1による地盤振動遮断効果、ゴム板17からなるキャンバー7の振動吸収緩衝効果、そして特に切梁5に介装した振動吸収緩衝材48による振動吸収緩衝効果、更には取付ブラケット6の支持面6aとH形鋼14(腹起こし4)との間の振動吸収緩衝部材8による振動吸収緩衝効果によって、図1に示す振動発生源である作業現場23から住宅22への振動の伝播をより一層有効に阻止することができる。
【0025】
図6は、更に他の実施形態を示すもので、図2及び図4に示す先の実施形態と同様に、(a) は同実施形態の平面図、(b) は(a) のT−T線断面図、(c) は(a) のU−U線断面図である。ここに示す振動伝播阻止方法は、図4に示した先の実施形態の振動伝播阻止方法と殆ど同じであるが、山留め壁3がソイルセメント連続壁15からなる点で若干異なる。即ち、この方法は、図1に示すように振動を生ずる作業現場23と住宅22との間の地盤Gにおいて、形成する空溝1の両側壁部に対応する位置に夫々所定深さの溝を掘削しつつセメントミルクを注入して混合撹拌し、芯材としてのH形鋼(又はI形鋼)18を建て込むことによってソイルセメント連続壁15,15からなる山留め壁3,3を構築した後、両山留め壁3,3間の地盤Gを所定深さ掘削して空溝1を形成し、対向する山留め壁3,3の所定高さ位置に夫々H形鋼14からなる腹起こし4,4を取り付け、両H形鋼14,14(腹起こし4,4)間に振動吸収緩衝機能を具えた切梁5Bを介装し、また図示は省略するが、山留め壁3のH形鋼18に溶接して取り付けた取付ブラケット6と腹起こし4のH形鋼14との間に振動吸収緩衝部材8を介装したもので、この方法によっても、空溝1による地盤振動遮断効果と、切梁5Bの有する振動吸収緩衝効果と、取付ブラケット6と腹起こし4との間に介装した振動吸収緩衝部材8による振動吸収緩衝効果とによって、作業現場23から住宅22への振動の伝播を、より有効に阻止することができる。
【0026】
図7の(a) には、腹起こし4と山留め壁3との間に挟着される振動吸収緩衝機能を有するキャンバー7として廃タイヤ27を用い、また切梁5として、H形鋼材からなる切梁材24の両端面に端材25,25を溶接してなる切梁5Cを使用し、この切梁5Cの両端部を両H形鋼14,14(腹起こし4,4)にボルト止めするようにした実施形態を示す。また、取付ブラケット6の支持面6aと腹起こし4との間に振動吸収緩衝部材8を介装する点は、先の種々の実施形態と同じである。
【0027】
図7の(b) の実施形態では、振動吸収緩衝機能を具えた切梁5として、夫々H形鋼からなる両側一対の取付片28,28間に、ゴムやウレタン等からなる振動吸収緩衝材29を介装連結してなる切梁5Dを使用している。この切梁5D以外については、先の種々の実施形態と同様である。
【0028】
また、図7の(c) の実施形態では、振動吸収緩衝機能を具えた切梁5として、夫々バネ嵌合部30a,30aを一体に形成した両側一対の切梁材30,30のバネ嵌合部30a,30aに、優れた振動吸収緩衝機能を有するコイルバネ31を嵌合させてなる切梁5Eを使用したものである。この切梁5E以外については、前記した種々の実施形態と同様である。
【0029】
図8には、例えばハット形鋼矢板13によって形成した山留め壁3と、H形鋼14からなる腹起こし4との間に、振動吸収緩衝機能を有する、ゴムやウレタン、廃タイヤ等からなる十分に厚いキャンバー7を挟着すると共に、対向する腹起こし4,4間に、上述した実施形態に示した種々の切梁5A,5B,5C,5Eを介装した実施形態を示したものである。
【0030】
上述した本発明の振動伝播阻止方法を実施するのに使用される空溝1は、振動の発生する場所が一定の期間内に建設工事の行われる作業現場である場合で、その工事が終わって振動を発生することがないような場合には、そのままにしておくと危険であることから、掘削時に排出した掘削土砂を埋め戻して元の状態とする。また、このように埋め戻すことによって、空溝1の跡地を有効に利用することができる。尚、この空溝1の使用中には、図1に示すように空溝1の両側に安全柵49,50を設置する。
【符号の説明】
【0031】
1 空溝
2 掘削側面
3 山留め壁
4 腹起こし
5 切梁の総括名称
5A〜5E 切梁
6 取付ブラケット
7 キャンバー
8 振動吸収緩衝材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各種車両の走行や各種機械の稼動によって振動する場所又は構造物とこれの近くに建てられた住宅等建物との間の地盤を所定深さ掘削して、振動伝播阻止用の空溝を形成すると共に、空溝の対向する掘削側面に山留め壁を構築し、対向する山留め壁の所定高さ位置に腹起こしを取り付けて、両腹起こし間に切梁を介装すると共に、腹起こしと山留め壁との間に、振動吸収緩衝機能を有するキャンバーを挟着することを特徴とする振動伝播阻止方法。
【請求項2】
対向する山留め壁の所定高さ位置に取り付けた両腹起こし間には、振動吸収緩衝機能を具えた切梁を介装することを特徴とする請求項1に記載の振動伝播阻止方法。
【請求項3】
各種車両の走行や各種機械の稼動によって振動する場所又は構造物とこれの近くに建てられた住宅等建物との間の地盤を所定深さ掘削して、振動伝播阻止用の空溝を形成すると共に、空溝の対向する掘削側面に山留め壁を構築し、対向する山留め壁の所定高さ位置に腹起こしを取り付けて、両腹起こし間に、振動吸収緩衝機能を具えた切梁を介装することを特徴とする振動伝播阻止方法。
【請求項4】
腹起こしと山留め壁との間に、振動吸収緩衝機能を有するキャンバーを挟着することを特徴とする請求項2に記載の振動伝播阻止方法。
【請求項5】
腹起こしは、山留め壁に取り付けた取付ブラケットに支持させると共に、この取付ブラケットの支持面と腹起こしとの間に振動吸収緩衝部材を介装することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の振動伝播阻止方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−2228(P2013−2228A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137043(P2011−137043)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(595101665)株式会社オーク (11)