説明

振動型駆動装置の制御方法

【課題】複数個の振動波モータの駆動力を合成して被駆動部材に伝達する際に、振動波モータに生じる滑りの発生を抑制し、振動波モータのトルクを効率的に伝達することが可能となる振動型駆動装置の制御方法を提供する。
【解決手段】複数個の振動波モータからの駆動力を合成して被駆動部材に伝達するように構成された振動型駆動装置の制御方法であって、
振動体の摺動面の摩擦力と、前記複数個の振動波モータのトルクの総和を、複数個の振動波モータの個数で割った値と、
個々のモータの中における最小摩擦力を有するモータの該最小摩擦力から得られるトルクとの差の値が、
個々のモータの中における最小摩擦力を有するモータの該最小摩擦力を超えないように制御し、振動体の摺動面における移動体の滑りを抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動型駆動装置の制御方法に関する。特に、モータ等の回転駆動装置でロボット・旋回台などの高出力・高トルクを必要とする産業機器に係り振動波モータを複数個自在に搭載して出力を必要に応じて増やすことを特徴とする振動型駆動装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、所定の質点に楕円運動を生じさせ、被駆動体を駆動するようにした振動型駆動装置が知られている。
このような振動型駆動装置は、例えば円環型の弾性体に圧電素子を接着した振動体と、この弾性体に加圧接触する回転体とモータ中心に配置され、前記回転体に連結された回転軸(出力軸)と、振動体を保持する部材により構成される。
前記圧電素子に周波信号を印加すると前記弾性体に例えば曲げ振動の合成により進行波としての駆動波が形成され、この駆動波が形成される前記弾性体の駆動面に加圧接触する前記移動体が振幅力(振動体(弾性体)の変位によって発生する力)と摩擦力とで駆動し、その力が前記回転軸に伝達され回転する。
【0003】
このような振動波モータは、例えば特許文献1で知られており、振動体に発生した進行性振動波エネルギが振動体に加圧接触させた回転体に摩擦力によって伝えられ、前記回転体が回転する構造になっている。
図14は従来の振動波モータの断面図を示す。弾性体151の一方の面に電気−機械エネルギ変換素子としての圧電素子152が接着され、他方の面には摺動材153が接着されて振動体101を構成している。
この振動体101の摺動材153にロータ155を加圧接触させるために、薄板円盤状の加圧ばね156と、回転軸157に取り付けられたばね受け158が設けられている。
前記加圧ばね156と、前記回転軸157に取り付けられた前記ばね受け158からなる加圧機構100では前記加圧ばね156は前記ばね受け158と前記ロータ155と摩擦力によって当接され回転方向に固定されている。
回転軸157はハウジング159に装着された軸受け160a及びケース161に装着された軸受け160bによって、回転自在に支持されている。
前記振動波モータに時間的位相が90度異なる駆動用入力信号A相信号とB相信号とが、それぞれ位置的位相が波長の1/4の位相差で配置されていることで振動の質点が円運動をする。
特許文献1ではこのような振動型駆動装置を複数個連成し、複数の駆動源からの駆動力を合成するようにした連成駆動装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平1−17354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、振動型駆動装置を複数個連成した連成駆動装置では、トルク・出力を加算することが可能となるが、つぎのような課題を有している。
すなわち、発生トルクの総和の平均値が最も小さい摩擦力のモータの最小摩擦力(保持力)を超えると、このモータの滑りにより十分な伝達ができなくなるという課題を有している。
以下に、これらについて図2、図3、図5に示す連成駆動装置を用いて更に説明する。
図2、図3において、歯車4a〜hは、相対する歯車の力を受ける歯車である。図3は一つの軸に複数個からなる振動型駆動装置を連結し、且つ前記複数個からなる振動型駆動装置を示している。
この中に弾性体で軸間方向に任意の圧力で押し当てて一つの軸と回転方向にズレが無く設けられていることを示す。
筐体8に備えられた軸受け5、6により回転自在に支持された連成振動型駆動装置の出力軸2には回転力を伝達するための大ギヤ3を具備している。
大ギヤ3には振動波モータ1のモータ出力軸15に備えられたピニオンギヤ4を介して出力軸2に他の振動波モータも同様に出力軸2に回転力を伝達している。振動波モータの個数は複数個であれば良い。前記複数の振動波モータのそれぞれに同じ周波数で同じ電圧を有する周波信号を印加するとともに、これら周波信号の電圧を固定して周波数を変更することにより出力軸の回転数制御を行う駆動制御手段の制御ボックス14を設ける。
【0006】
その時、図5に示すように、(pは任意の単位摩擦力を表している)モータの発生トルクの総和の平均値が最も小さい摩擦力のモータの最小摩擦力(保持力)を超えると、このモータは滑ることになる。
その結果、滑りが発生したモータの振幅力(振動体(弾性体)の変位によって発生する力)・摩擦力は「音・振動」などの他のエネルギに変化されてしまうため発生力の十分な伝達ができなくなる場合が生じる。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑み、複数個の振動波モータの駆動力を合成して被駆動部材に伝達する際に、振動波モータに生じる滑りの発生を抑制し、振動波モータのトルクを効率的に伝達することが可能となる振動型駆動装置の制御方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の振動型駆動装置の制御方法は、電気−機械エネルギ変換素子への周波信号の印加によって振動を発生する振動体及び該振動体の摺動面に接触する移動体を備え、前記振動体と前記移動体とが相対移動を行うように構成された複数個の振動波モータと、
前記複数個の振動波モータからの駆動力を合成して被駆動部材に伝達する動力伝達機構と、を有する振動型駆動装置の制御方法であって、
前記振動体の摺動面の摩擦力と前記複数個の振動波モータのトルクの総和を、前記複数個の振動波モータの個数で割った値と、
前記個々のモータの中における最小摩擦力を有するモータの該最小摩擦力から得られるトルクとの差の値が、
前記個々のモータの中における最小摩擦力を有するモータの該最小摩擦力を超えないように制御し、前記振動体の摺動面における前記移動体の滑りを抑制することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数個の振動波モータの駆動力を合成して被駆動部材に伝達する際に、振動波モータに生じる滑りの発生を抑制し、振動波モータのトルクを効率的に伝達することが可能となる振動型駆動装置の制御方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態及び実施例の振動型駆動装置における制御フローを説明する図。
【図2】本発明の実施形態及び実施例1における振動型駆動装置の構成を説明する図。
【図3】本発明の実施形態における振動型駆動装置の平面図。
【図4】本発明の実施形態の振動型駆動装置における振幅力について説明する概念図。
【図5】本発明が課題とする振動型駆動装置を複数個連成した連成駆動装置モータにおける発生トルクの総和と摩擦力の関係について説明する概念図。
【図6】本発明の実施例2における振動型駆動装置の構成を説明する図。
【図7】本発明の実施例3における振動型駆動装置の構成を説明する図。
【図8】本発明の実施例4における振動型駆動装置のトルクリミッターの構造図。
【図9】本発明の実施例3における振動型駆動装置のトルクコンバータの励磁電流とトルクの関係図。
【図10】本発明の実施例3における振動型駆動装置におけるトルクコンバータを使った場合の制御フローを説明する図。
【図11】本発明の実施形態の振動型駆動装置におけるセンサ電圧の概念図。
【図12】本発明の実施形態の振動型駆動装置における駆動周波数とトルクの関係を示す図。
【図13】本発明の実施形態の振動型駆動装置における電圧とトルクの関係を示す図。
【図14】従来例の振動波モータにおける断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の振動型駆動装置の制御方法に用いられる振動型駆動装置は、複数個の振動波モータと、この複数個の振動波モータからの駆動力を合成して被駆動部材に伝達する動力伝達機構と、備える。
そして、この振動波モータは、電気−機械エネルギ変換素子への周波信号の印加によって振動を発生する振動体と該振動体の摺動面に接触する移動体を備え、前記振動体と前記移動体とが相対移動を行うように構成された、従来の振動波モータと同様のものが用いられる。
その際、本発明の振動型駆動装置の制御方法においては、振動体の摺動面における移動体の滑りを抑制するため、
前記振動体の摺動面の摩擦力と前記複数個の振動波モータのトルクの総和を、前記複数個の振動波モータの個数で割った値と、
前記個々のモータの中における最小摩擦力を有するモータの該最小摩擦力から得られるトルクとの差の値が、
前記個々のモータの中における最小摩擦力を有するモータの該最小摩擦力を超えないように制御可能に構成される。前記複数個の振動波モータのトルクの総和は、個々の振動体の振幅力によって決まる。本発明において、「振幅力」とは「振動体(弾性体)の変位によって発生する力」を意味する。また本発明において振動体とは、弾性体に圧電素子を接着した構造体を意味する。
このような構成により、複数個の振動波モータの駆動力を合成して被駆動部材に伝達する際に、通常状態はもとより経年使用したとしても、常に最大出力の状態で駆動することが可能になる。
【0012】
本発明の実施形態においては、このような振動型駆動装置の制御方法を実施するため、弾性体に接合された圧電素子に弾性体の振動状態を検出するためのセンサ用圧電素子を設けた振動検出手段を構成することができる。
このセンサ用圧電素子は銀・銅・金などの材料をシルク印刷などでパターニングしたセンサ電極からセンサ信号が得られる。
その際、既に知られているこのセンサ信号と駆動信号との位相差が一定となるように、駆動信号の周波数を制御する方式を用いて、振動体の振動を検出することができる。
【0013】
図2に本発明の実施形態の振動型駆動装置の制御方法に用いられる振動型駆動装置の構成を示す。また、図3にその平面図を示す。
周波信号が印加された圧電素子により振動が励起される。
振動体とこの振動体に接触する移動体とを前記振動により相対駆動する振動波モータ1を複数設けると共に、これら複数の振動波モータから略同一の減速比を有する回転伝達系(動力伝達機構)3,4を介して回転が伝達される出力軸2を設ける。
ここで、図14を用いて、上記振動型駆動装置の駆動機構の構成について説明する。
振動型駆動装置(リング状振動波モータ)の摺動材153は、摺動性の良いPTFE等の有機材料や酸化皮膜やメッキ等の対磨耗性の高い金属材料により形成され、リング状の弾性体151の一方の面に例えば接着剤により固定されている。移動体であるロータ155は、摺動材153を介して弾性体151に加圧接触するように設けられている。
これにより出力軸157には摩擦力により保持トルク(力)が発生することになる。
駆動源となる圧電素子152(電気−機械エネルギ変換素子)は、圧電材料により形成され、弾性体151の他方の面に接着されている。
例えば、給電基板154から交番信号となる電圧を圧電素子152に加えることで、2つの定在波の合成により進行波を弾性体151に形成し、ロータ155を弾性体151に対し相対移動させる。
振動型駆動装置の振動発生源である圧電素子152に周波信号の電界をかけることにより図4に示すように振幅が起こって弾性体151を振動させる。
これにより、弾性体151に振動を励起し、弾性体151とロータ155とを上記振動により振動の質点が円運動をすることにより相対移動させることができる。
【0014】
また、この質点の運動は電圧を上げると早くなり下げると遅くなる。また振幅力も同様に変化する。または、周波数を低くすることでも同様にこの質点の運動は早くなり振幅力も同様に変化する。
そこで、図11に示すように、センサ電極から発生するセンサ電圧を監視するように構成することができる。
ロータ155がスティックスリップを起こすと駆動周波数とは異なる振動が発生するため、進行波により発生する正弦波と異なった信号が重畳されてでてくる。このとき滑りによりロータが跳ねる為に部分的に変化量の大きな電圧が発生する。この信号が任意の出力値より大きくなった場合を滑りと判断することができる。
【0015】
図2、図3に本実施形態における複数個の振動波モータの駆動力を合成して駆動する振動型駆動装置の構成を示す。
図3には、歯車4a〜hは相対する歯車の力を受ける歯車であり、一つの軸に複数個からなる振動波モータを連結した構成が示されている。
この中に弾性体で軸間方向に任意の圧力で押し当てて、一つの軸と回転方向にズレが無く設けられるように構成される。
筐体8に備えられた軸受け5、6により回転自在に支持された連成振動型駆動装置の出力軸2には回転力を伝達する為のギヤ3を具備している。
ギヤ3には振動波モータ1のモータ出力軸15に備えられたピニオンギヤ4を介して出力軸2に他の振動波モータも同様に出力軸2に回転力を伝達している。
そのために、この振動型駆動装置のトルク・出力は著しく低下することになる。このとき、摩擦力は加圧ばね156の変位とバネ定数で発生する構造となっている。
摺動面に発生するトルクは摩擦力を超えない範囲で振動子の振幅力(質点運動力)で力を出している。
よって、滑りが発生する前に振幅力を下げることで滑りの発生を抑制することが可能となる。
【0016】
このように滑りの発生を抑制するため、図1に示す制御フローのようにモータを制御する。
まず、モータ駆動する際、所定の駆動周波数または電圧を与える。
次に、複数個のモータの周波数または電圧を掃引して振幅力を上げトルクを上げていく。
その際、個々のモータの滑り状態の有無を検出する。このモータの滑りの検出は、複数個の振動波モータに個々に備えられた検出センサ(振動検出手段)により検出する。
これは、例えば検出センサにより得られる出力信号から前記滑りを検知し、制御手段(例えば、図2の制御ボックス)により駆動周波数及び/または駆動電圧を制御して前記滑りを抑制するように構成することができる。
これにより、その時滑りを検出したモータ以外は振幅力を下げるために周波数を下げる、若しくは電圧を下げることにより発生力をさげることができる。
そして、最も摩擦力の低いモータ(滑りを発生したモータ)のトルクを超えないように制御をすることでモータの滑りを回避することができる。
図12には、周波数を下げることでトルクが下がることが示されている。
また、図13は電圧を下げることでトルクが下がることが示されている。
このような検出センサ(振動検出手段)を用いた構成によれば、構成部品を増やすことなく最適な状態で滑りを解消することができる。
したがって、通常状態はもとより経年使用しモータ特性に変化が生じたとしても常に最大出力の状態で連成駆動装置を駆動することが可能になり、且つ小型で安価に提供することが可能となる。
【0017】
また、本実施形態の振動型駆動装置の制御方法においては、滑りの発生を防ぐ手段として、個々の振動波モータの出力軸に印加電圧でトルクを可変できるトルクコンバータを備えた構成を採ることができる。
これにより、振動検出部から得られる出力信号から摺動面の滑りを検知して摺動面の摩擦力以上の力がかからないように、滑りを発生したモータに伝わる量をさげることができる。そのため、常に最適な状態で滑りの発生を解消し、通常状態はもとより経年使用しモータ特性に変化が生じたとしても常に最大出力の状態で連成駆動装置を駆動することが可能になる。
また、本実施形態の振動型駆動装置の制御方法においては、個々の振動波モータよりも十分にトルクの小さいトルクリミッターまたはフリクション機構をモータの出力軸に備えた構成を採ることができる。
これにより、通常状態はもとより経年使用しモータ特性に変化が生じたとしても常に最大出力の状態で連成駆動装置を駆動することができ、小型で高出力の装置を安価に提供することが可能となる。
【実施例】
【0018】
以下に、本発明の実施例について説明する。
[実施例1]
実施例1として、本発明を適用した振動型駆動装置の制御方法の構成例について、図1を用いて説明する。
図1は本実施例における制御フローである。
図1に示すように、はじめに駆動するデフォルト値として所定の値による駆動周波数f0と駆動電圧V0を適宜に決める。
次に、駆動周波数を高周波から低周波へ掃引を開始する。これによりモータは起動し通常駆動することになる。
このとき何らかの理由で複数個のモータの内いづれかのモータで滑りが発生したことを、実施形態で述べたように、複数個の振動波モータに個々に備えられた検出センサ(振動検出手段)により検出する。
これによりモータで滑りが検出された場合は、所定の量Δf、ΔVを決めておき、滑りの発生していないモータの駆動周波数f0と駆動電圧V0デフォルト値を書き換えてメモリする。
これを繰り返すことで、N個総てのモータの滑りが納まり最適な駆動状態となることを示している。
なお、図2に示されるように、駆動周波数及び/または駆動電圧を制御して個々のモータを制御するために制御ボックス14が備わっている。
【0019】
[実施例2]
実施例2として、実施例1と異なる形態の振動型駆動装置の制御方法の構成例について、図6を用いて説明する。
図6には滑りの検出手段として個々のモータにエンコーダを設けてセンサとする手段が示されている。
モータのエンコーダを滑りセンサとするため出力軸に、別途回転検出用回転円板12と回転検出用のエンコーダ素子11が設けられる。
モータの滑りが発生すると、回転円板のパターン(スリット若しくは印刷など)のエッジがスティックスリップにより振動することで滑りを検出できる。制御は実施例1と同様である。
【0020】
[実施例3]
実施例3として、上記実施例と異なる形態の振動型駆動装置の制御方法の構成例について、図10を用いて説明する。
図10には本実施例におけるフィードバック制御フローが示されている。
一般に、図9に示す励磁電流で伝達トルクをコントロールできるトルクコンバータが知られている。
このような印加電圧により該振動波モータのトルクを可変できるトルクコンバータを、複数個の振動波モータにおける個々の振動波モータの出力軸に取り付けることにより、簡便に滑りを抑制することが可能な構成を採ることができる。
これにより、振動波モータのデフォルト値を変えることなく、トルクコンバータの励磁電流(あるいは電圧ΔV)を変化してトルクを可変(ΔT)することで、簡便に滑りを無くすように構成することが可能となる。
図7には、上記実施例におけるトルクコンバータ装着時の形態が示されており、モータ1にトルクコンバータ16が備わっている。
【0021】
[実施例4]
実施例4として、上記実施例と異なる形態の振動型駆動装置の制御方法の構成例について、図8を用いて説明する。
図8には本実施例のトルクリミッターの構成が示されている。
ボス201がモータの出力軸と当接され回転する。出力軸は過負荷検出パネル206を介してギヤに力を伝達する。トルク調整ナット208の締め加減でスプリング207の加圧力が変化することでテーパスラストリング204とスラストベアリング205、ボール203の摩擦力が変わりトルクリミッターとなる。
トルクリミッターはハブ202でモータ筐体と接合される構造になっている。
トルクリミッターにより、予め十分滑りの発生が起こらない任意のトルクに設定しておく事で滑りを検出することなく簡便に滑らない連成駆動装置を提供することができる。
図7示す実施例3のトルクコンバータと同様の箇所に、トルクリミッターが装着される。その際、トルクリミッターに代えて、フリクション機構を装着するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0022】
1:振動波モータ
2:出力軸
3:大ギヤ
4:ピニオンギヤ
5:軸受け(ボールベアリング1)
6:軸受け(ボールベアリング2)
7:前蓋
8:筐体
9:後蓋
10:エンコーダ(モータ)
13:ねじ(モータ固定)
14:制御ボックス
15:モータ出力軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気−機械エネルギ変換素子への周波信号の印加によって振動を発生する振動体及び該振動体の摺動面に接触する移動体を備え、前記振動体と前記移動体とが相対移動を行うように構成された複数個の振動波モータと、
前記複数個の振動波モータからの駆動力を合成して被駆動部材に伝達する動力伝達機構と、を有する振動型駆動装置の制御方法であって、
前記振動体の摺動面の摩擦力と、前記複数個の振動波モータのトルクの総和を、前記複数個の振動波モータの個数で割った値と、
前記個々のモータの中における最小摩擦力を有するモータの該最小摩擦力から得られるトルクとの差の値が、
前記個々のモータの中における最小摩擦力を有するモータの該最小摩擦力を超えないように制御し、前記振動体の摺動面における前記移動体の滑りを抑制することを特徴とする振動型駆動装置の制御方法。
【請求項2】
前記複数個の振動波モータは該複数個の振動波モータが個々に振動体の振動を検出する振動検出手段を備え、
前記振動検出手段により得られる出力信号から前記滑りを検知し、制御手段により駆動周波数及び/または駆動電圧を制御して前記滑りを抑制することを特徴とする請求項1に記載の振動型駆動装置の制御方法。
【請求項3】
前記複数個の振動波モータは、該複数個の振動波モータが個々の振動波モータの出力軸に印加電圧により該振動波モータのトルクを可変できるトルクコンバータを備え、
前記トルクコンバータにより前記個々のモータの中における最小摩擦力を有するモータの該最小摩擦力を超えないように制御し、前記振動検出手段で検知された前記滑りを抑制することを特徴とする請求項2に記載の振動型駆動装置の制御方法。
【請求項4】
前記複数個の振動波モータは、該複数個の振動波モータが個々の振動波モータの出力軸に該振動波モータのトルクを可変できるトルクリミッターまたはフリクション機構を備え、
前記トルクリミッターまたは前記フリクション機構により前記個々のモータの中における最小摩擦力を有するモータの該最小摩擦力を超えないように制御し、前記滑りを抑制することを特徴とする請求項1に記載の振動型駆動装置の制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2013−31288(P2013−31288A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−165509(P2011−165509)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】