説明

振動式コンベヤ

【課題】コンパクトかつ軽量で、組立・設置を簡素化できる、曲線経路に双方向に搬送するための振動コンベヤを提供する。
【解決手段】双方向型振動式コンベヤは、細長い略水平なベッドを有するトラフと、その中央領域に結合されている線形ストローク加振機質量組立体と、トラフの線形ストローク加振機質量組立体の両側のトラフに取り付けられている第一振動発生器および第二の振動発生器と、トラフに結合されそれを支えている分離体とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許はコンベヤに関するものであり、さらに詳細にはいえば、振動式コンベヤに関するものである。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0002】
一つの態様では、振動コンベヤは、トラフと、その中央領域に結合されている直線ストローク加振機質量組立体と、トラフの直線ストローク加振機質量組立体の両側のトラフに取り付けられている第一振動発生器および第二の振動発生器と、トラフに結合されそれを支えている分離体とを備えている。
【0003】
本発明のさらなる態様は、特許請求の範囲によって定義される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0004】
以下において本発明のさまざまな実施形態の詳細な説明が記載されているものの、いうまでもなく、本発明の法的範疇は、この書類の最後に記載されている特許請求の範囲の記載により規定される。したがって、詳細な説明は、例示のみを意図したものであると解釈されるべきであり、本発明のすべての実施形態を記載することを意図したものではない。とういのは、すべての可能な実施形態の記載は不可能でないとしても現実的ではないためだからである。現在の技術または本発明の出願の後に開発される技術を用いてさまざまな他の実施形態を構築することができるが、これらは、本発明を規定する特許請求の範囲の範疇に含まれるものとする。
【0005】
また、いうまでもなく、この明細書において、用語が、「本明細書では、用語「__」は、…を意味するものとする。」という文章またはそれと同等の文章を用いて明示的に規定されない限り、その用語の意味が、その明白なまたは通常の意味を越えて明示的にまたは暗示的に限定されることはない。このような用語は、(特許請求の範囲の記載以外の)本明細書のいかなる部分におけるいかなる記載に基づくものであっても、その範疇が限定されて解釈されるべきではない。本明細書の最後にある特許請求の範囲に記載されている用語は、単一の意味において矛盾が生じないように、本明細書において記載されている。これは、読者を混乱させないことのみを意図したものであり、その用語を、その単一の意味に暗示的にまたはその他の方法で限定することを意図したものではない。最後に、クレーム要素が構造を説明することなく用語「手段」および機能を記載することによって定義されたものでなければ、米国特許法第112章第6 項の適用に基づく特許要素の範囲の解釈が意図されたものではない。
【0006】
図1 には、双方向型振動式コンベヤ20の実施形態が示されている。例示の対象はコンベアと呼ばれるが、当業者にとって明らかなように、フィーダと呼ばれても良い。コンベヤ20は、限定するわけではないが、鋳造所、農産物および/または食品処理工場、ばら荷扱いおよび処理プラントなどのさまざまな異なる場面において使用可能である。
【0007】
図1〜図5に示されているように、所望ならば、コンベア20は、トラフ組立体に加えられる動きに応じて、対象物を、曲線経路に沿って双方向に搬送するために用いても良い。しかしながら、他の実施形態によれば、上記のコンベアは、要望ならば、対象物を直線方向に沿って双方向に搬送するのに用いられても良い。したがって、コンベヤ20の利点は、図1から図5に示されているように対象物を曲線経路に沿って搬送するために用いることに限定されるものではない。
【0008】
上述のように、コンベヤ20は、搬送される対象物を支えるための細長い略水平なベッド24を有するトラフ組立体22を備えている。曲線経路26は、ベッド24のうちの第一の端部28 と第二の端部30 との間の部分に沿って延びている。図2に最もわかりやすく示されているように、曲線経路26は、中心点32を中心とした円弧形状を形成すように形状であるうる。図示された実施形態では、曲線経路26は中心点32からの半径距離rをトレース(traces)し、中心点32を中心としておよそ105°に及ぶ(spans)。
【0009】
中央領域40は第一の端部28と第二の端部30との中間に設けられてもよい。図示された実施形態では、中央領域40は、第一の端部28と第二の端部30とから略等距離の位置に設置されている。ある実施形態では、中央領域40は、搬送される対象物を受け取るための搭載領域を形成しうる。しかしながら、搭載領域は他の位置にもうけられても良いく、たとえば、図示されているように、第二の端部30の近傍の参照番号42の位置に設けられても良い。
【0010】
ベッド24から上方に延出しているのは内側レール46および外側レール48である。これらのレール46、48は図4および図5に最もわかりやすく示されている。図示されているように、これらのレール46、48には特定の高さが選択されているが、これは単なる例示的高さに過ぎない。これらのレール46、48の高さが、図示のものより高くてもより低くても良いし、または、これらのレール46、48が全部を取り外されても良い。
【0011】
図2をさらに参照すると、明らかなように、ベッド24から垂れ下がっているのは取付用ブラケット50、52、54である。取付用ブラケット50は中央領域40と端部28との間に配置され、一方、取付用ブラケット54は中央領域40と端部30との間に配置される。以下にさらに詳細に説明するように、取付用ブラケット50、54は振動発生器をトラフ組立体22に結合するために用いられる。取付用ブラケット52は中央領域40の略真下に配置され、加振機質量組立体をトラフ組立体22に連結するために使用される。したがって、これらのブラケット50、54(および、振動発生器)はブラケット52(および、加振機質量組立体)の両側に配置されている。
【0012】
図2に示されているように、コンベヤ20は、ブラケット50、54に結合されている脚部64、66を有するサブフレーム60、62を含んだフレーム58を備えている。明瞭性を高めるため、サブフレーム60、62を接続するフレーム58の一部が取り除かれている。また、図4に示されているように、サブフレーム60、62は、弾性部材72、74の第一の端部68、70に結合されている。弾性部材72、74は、図示されているように、圧縮型スプリングの形態を有していても良く、コンベヤ20のために、分離スプリングとして機能しても良いしまたは分離体として機能しても良い。弾性部材72、74の第二の端部76、78はアンカー板80、82に結合されても良く、次いで、たとえばアンカーボルト(図示せず)により床の如き支持面に固定されても良い。いうまでもなく、分離体72、74は、コンベア20により生成される振動の周囲環境に与える衝撃を最小限に抑えるようになっている。
【0013】
図2〜図4に示されるように、サブフレーム60、62の各々に取り付けられているまたは装着されているものは電動モータ組立体90、92であり、これらもまた振動発生器と呼ばれうる。図3および図4に最もわかりやすく示されているように、電動モータ組立体90、92は、参照番号94の位置においてボルトナット組立体などの締結部材を用いて4箇所でサブフレーム60、62に装着されうる。各電動モータ組立体90、92は、偏心おもり(図示せず)を有するシャフト(図示せず)を備えうる。電動モータ組立体90、92が一つの方向(図2に矢印「A」で示す)に向かって回転すると、対象物がトラフ組立体22に沿って一つの方向に向かって移動する(図2に矢印Bで示す)。その一方、電動モータ組立体90、92が逆方向に回転すると、対象物がトラフ組立体に沿って反対方向に移動する。図示された実施例は電動モータを含むが、回転自在偏心軸などの他のタイプの振動発生器は例示の実施形態が電動モータを備えているが、いうまでもなく、本発明の範疇から逸脱することなく、回転可能な偏心シャフトの如き他のタイプの振動生成器が用いられても良い。
【0014】
したがって、図2に示されるように、コンベアは、ベッド24に沿って対象物を搬送するために、コンベヤ20により用いられる加振力を発生させるための線形ストローク加振機質量組立体100を備えている。図3に最もわかりやすく示されているように、加振機質量組立体100は、第一の加振機端部組立体(または質量体)104と、第二の加振機端部組立体(または質量体)102とを備え、任意選択的に、第一の剛性側板106と、第二の剛性側板108とを備える。第一の加振機端部組立体102は、第一の側板106および第二の側板108の第一の端部110、112に装着され、その一方、第二の加振機端部組立体104は、第一の側板106および第二の側板108の第二の端部114、116に装着されている。また、加振機質量組立体100の振動数を変化させるため、チューニング質量体118が側板106、108に装着され、または、任意選択的に、端部組立体102、104に直接装着されてもよい。また、加振機質量組立体100は中央取付部材120を備え、この中央取付部材120はフレーム58に装着され、それは、取付用ブラケット52を介してトラフ組立体22に連結されうる。端部組立体102、104、任意選択の側板106、108、および取付部材120は集合的に加振機質量組立体フレームを形成しうる。
【0015】
取付部材120と端部組立体102、104との間に結合されているのは、取付部材120の対向表面に装着された2組の複数個の弾性部材130、132である。図5に最もわかりやすく示されているように、各組の複数個の弾性部材130、132は、圧縮型スプリングでありうる4個の個別の弾性部材134を備えうる。弾性部材134は第一の端部136において端部組立体102、104のうちの一つに結合され、第二の端部138において中央取付部材120の対向表面のうちの一つに連結されうる。各組の複数個の弾性部材130、132に4個の弾性部材が示されているが、コンベヤ20の他の実施例によれば、各組の複数個の弾性部材のうちの弾性部材134の数は異なってもよいし、また、単一の弾性部材134であっても良い。弾性部材130、132は反応スプリング(reactor spring)として機能しうる。
【0016】
また、加振機端部組立体102、104に結合されているのは弾性部材150である。弾性部材150は、図示されているように、圧縮型スプリングの形態であっても良いし、弾性部材72、74同様、コンベヤ20のための分離スプリングまたは分離体として機能しうる。具体的にいえば、弾性部材150は、第一の端部152において質量体(加振機端部組立体)102、104のうちの一つに結合され、第二の端部154においてアンカー板156に結合されうる。このアンカー板は、たとえばアンカーボルト(図示せず)により床の如き支持面に結合される。任意選択的に、弾性部材150は脚部と交換されても良い。これらの脚部は、I字形状の断面を有しうる。
【0017】
振動発生器90、92は、振動力を生成し、フレーム58を通じて伝達されうるし、また、サブフレーム60、62、取付用ブラケット50、54、トラフ組立体22および取付用ブラケット52を通って加振機質量組立体100へ伝達しうる振動力を生成しうる。この伝達された振動の影響下で加振機質量組立体100の運動によりコンベヤ20の振動を、コンベヤ20が発生器90,92のみで駆動される場合の振動よりも上昇する。すなわち、弾性部材130、132は、振動発生器90、92がこの共振振動数においてまたはこの共振振動数の近傍において動作する場合に、その振動力の水平分力が弾性部材130、132により増幅されるように、軸方向に共振振動数を有しうる。
【0018】
このように組み立てられたコンベヤ20は、当業者に公知となっている他のコンベヤに対して曲線または直線の両方の面において複数の利点を有しうる。
【0019】
初期段階において、コンベア20は、モータ90、92がトラフ組立体22および加振機質量組立体100に対して「強力な力」を加えることを必要としない。それに代えて、モータ90、92は、トラフ組立体22のみに「強力な力」を加える必要がある。結果として、モータ90、92は、トラフ組立体22および加振機質量組立体100に対してモータ90、92が強力な力を加える必要のあるコンベヤにおけるよりもさらに小さくなりうる。
【0020】
さらに、より小型な振動発生器90、92を用いることによって、重心がトラフ組立体22のより近くにシフトし、それにより、よりコンパクトなコンベアが可能となる。また、重心が上方にシフトすることによって、より小さなカウンタウェイトが必要となる。より軽量なカウンタウェイトによって、コンベヤ20の重量が全体として軽減される。
【0021】
さらに、トラフ組立体22の略中心において位置づけされている一つのモータではなく、トラフ組立体22の中心から離隔している2つのモータ90、92を用いることにより、コンベア20の重心上にストロークの垂直方向分力を位置合わせする柔軟性が拡大される。具体的にいえば、この位置合わせはこのモータとモータホイールとをオフセット(offset)させることなく実行可能である。結果として、モータ90、92はフルホイールのより近傍で運転されうる。これによって、ホイールの組立および設置を簡素化することが可能となる。
【0022】
加えて、線形ストローク加振機質量組立体100は、さらなる効率化によって、重量をさらに軽減できる。すなわち、線形ストローク加振機によって、コンベヤ20の運転において線形ストローク加振機質量組立体100の質量体をより効率的に用いることが可能となると考えられる。よって、同様の働きを行うにあたって、線形ストローク加振機を使用しない別のコンベヤに対して用いる場合よりも、より小さな質量の線形ストローク加振機質量組立体100が用いられうる。また、加振機質量組立体100の質量体がより小さくなることにより、組立体100の組立がより簡単になりうるし、また、コンベヤ20のサイズが全体的に減少されうる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】振動式コンベヤの平面図である。
【図2】図1の振動式コンベヤの背面図である。
【図3】明瞭化のためにトラフ組立体を取り外した図1の振動式コンベヤの拡大平面図である。
【図4】図1の線4−4に沿った図1の振動式コンベアの断面図である。
【図5】図1の線5−5に沿った図1の振動式コンベヤの断面図である。
【符号の説明】
【0024】
20 双方向型振動式コンベヤ
22 トラフ組立体
40 中央領域
50、52、54 取付用ブラケット
60、62 サブフレーム
72、74 弾性部材
90、92 電動モータ組立体



【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動式コンベヤであって、
トラフと、
前記トラフの中央領域において結合されている線形ストローク加振機質量組立体と、
前記加振機質量組立体の両側の前記トラフに装着されている第一の振動発生器および第二の振動発生器と、
前記トラフに結合され前記トラフを支える分離体と
を備えてなる、振動コンベア。
【請求項2】
前記第一の振動発生器および前記第二の振動発生器が電動モータである、請求項1に記載の振動式コンベヤ。
【請求項3】
前記加振機質量組立体が、前記トラフに結合されている中央取付部材と、第一の複数の弾性部材および第二の複数の弾性部材と、第一の加振機端部組立体および第二の加振機端部組立体とを備えており、前記第一の複数の弾性部材および前記第二の複数の弾性部材の前記第一の端部が、前記取付部材の両面に結合され、前記第一の複数の弾性部材および前記第二の複数の弾性部材の前記第二の端部が、前記第一の加振機端部組立体および前記第二の加振機端部組立体に結合されてなる、請求項1に記載の振動コンベア。
【請求項4】
前記弾性部材が圧縮型スプリングである、請求項3に記載の振動コンベア。
【請求項5】
前記第一の加振機端部組立体および前記第二の加振機端部組立体に結合されているチューニング質量体をさらに備えてなる、請求項4に記載の振動式コンベヤ。
【請求項6】
前記トラフおよび前記加振機質量組立体の前記取付部材に装着されているフレームを備え、前記振動発生器が前記フレームに装着されてなる、請求項5に記載の振動コンベヤ。
【請求項7】
前記分離体が弾性部材を備えてなる、請求項1に記載の振動コンベア。
【請求項8】
前記弾性部材が圧縮型スプリングである、請求項7に記載の振動コンベヤ。
【請求項9】
前記トラフに装着されたフレームを備えており、該フレームに、前記振動発生器が取り付けられてなる、請求項1に記載の振動式コンベヤ。
【請求項10】
前記分離体のうちの少なくとも1つが前記フレームに装着されてなる、請求項9に記載の振動式コンベヤ。
【請求項11】
前記振動発生器が、前記トラフに沿って対象物が第一の方向に移動する第一の状態と、前記トラフに沿って対象物が反対方向である第二の方向に移動する第二の状態とを有してなる、請求項1に記載の振動式コンベヤ。
【請求項12】
前記振動発生器が可逆電動モータであって、前記第一の状態が前記電動モータを第一の方向に回転することを含み、前記第二の状態が前記電動モータを反対の第二の方向に回転することを含んでなる、請求項11に記載の振動式コンベヤ。
【請求項13】
前記トラフが湾曲してなる、請求項1に記載の振動式コンベヤ。
【請求項14】
前記トラフに配置された対象物が曲線経路で前記トラフに沿って移動するように、前記振動発生器が前記トラフを動かすように構成されてなる、請求項1に記載の振動コンベア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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