説明

振動感知ロック装置

【課題】
収納装置の左右方向の側壁に取り付けることができ、地震時に、係止手段が水平方向に突出して引き出しの開放を確実に規制することができる、従来にない新規な構造の振動感知ロック装置を提供する。
【解決手段】
振動感知ロック装置Aの係止装置1は、収納装置本体101の収容室102の側面103に取り付けられるケース2と、ケース2に回動可能に設けられた係止部材31と、ケース2の下面12に転動可能に設けられた球体8とからなる。ケース2の下面12は、球体静止部23と、球体静止部23に向かって下降傾斜する下降傾斜面21,22とを有する。係止部材31は、引き出し105を係止する係止位置X2と係止しない非係止位置X1に回動するように構成され、振動時には球体静止部23から移動する球体8により押し出されて係止位置X2に移動し、引き出し105を係止して引き出し105の飛び出しを阻止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、家具、吊り戸棚等の開き戸付き収納装置、並びに箪笥、机、食器棚等の引き出し付き収納装置に設けられ、地震等の振動時に開き戸、引き出しの開放を規制する振動感知ロック装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、家具、吊り戸棚等の開き戸付き収納装置では、地震の揺れにより開き戸が開いて、皿、コップ等の収納物が落下するので、その収納物の落下を防止するため、地震時に開き戸の開放を規制する振動感知ロック装置が設けられている。この従来の振動感知ロック装置は、係止装置と、係止装置によって係止される被係止装置とからなる。係止装置は、家具、吊り戸棚等の開き戸付き収納装置の収納装置本体に取り付けられる。また、被係止装置は、収納装置本体に開閉自在に設けられた開き戸又は引き出しに取り付けられる。
【0003】
従来の振動感知ロック装置の係止装置は、係止手段がケースに上下方向に回動可能に設けられている。係止手段は、下方に回動すると係止位置に移動し、上方に回動すると非係止位置に移動する。係止手段は、自重により係止方向に付勢されている。係止手段は、平常時において、球体と係合して非係止位置で保持されているので、開き戸又は引き出しの開閉を阻止することがない。係止手段は、地震時において、球体が外れて係止位置に移動し、開き戸又は引き出しに取り付けられた被係止装置を係止するので、開き戸又は引き出しの開放を規制し、収納装置本体内の収納物の落下を防止することができる(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−22624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した従来の振動感知ロック装置は、地震時に係止手段が下方向に回動して開き戸又は引き出しをロックし、開き戸又は引き出しの開放を阻止するものであり、地震時の開放を規制する手段としてかなり有効である。しかし、従来の振動感知ロック装置は、天板に取り付けるため、開き戸又は引き出しの高さ方向の長さが短いと、これ自体が開き戸又は引き出しの開閉のじゃまになったり、収納装置内の収納物を傷付けたりする等の問題点があった。そのため、収納装置の左又右の側壁に取り付けることができる振動感知ロック装置が望まれていた。
【0006】
本願発明は、上記問題点に鑑み案出したものであって、収納装置の左右方向の側壁に取り付けることができ、平常時は、係止手段が非係止位置にあるので、開き戸又は引き出しを係止することがなく、地震時は、係止手段が水平方向に突出して係止位置に移動して開き戸又は引き出しの開放を確実に規制することができる、構造が簡単で且つ安価に製造することができ、コンパクトで狭いスペースに取り付けることができる、従来にない新規な構造の振動感知ロック装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願請求項1に係る振動感知ロック装置は、上記目的を達成するため、家具、吊り戸棚等の開き戸付き収納装置に設けられ、振動時に開き戸の開放を規制する振動感知ロック装置であって、係止装置を有し、係止装置は、収納装置本体に取り付けられるケースと、当該ケースに回動可能に設けられた係止部材と、当該ケースの下面に転動可能に設けられた球体とからなり、前記ケースの下面は、球体静止部と、球体静止部に向かって下降傾斜する下降傾斜面とを有し、前記球体は、ケースの下面に転動可能であって、球体静止部で静止するように構成され、前記係止部材は、開き戸を係止する係止位置と係止しない非係止位置に回動するように構成され、非振動時には非係止位置で保持されており、振動時には球体静止部から移動する球体により押し出されて係止位置に移動し、開き戸を係止して開き戸の開放を阻止することを特徴とする。
【0008】
本願請求項2に係る振動感知ロック装置は、上記目的を達成するため、引き出しを収容する収容室を備えた収納装置に設けられ、振動時に引き出しの飛び出しを規制する振動感知ロック装置であって、係止装置を有し、係止装置は、収納装置本体の収容室の側面に取り付けられるケースと、当該ケースに回動可能に設けられた係止部材と、当該ケースの下面に転動可能に設けられた球体とからなり、前記ケースの下面は、球体静止部と、球体静止部に向かって下降傾斜する下降傾斜面とを有し、前記球体は、ケースの下面に転動可能であって、球体静止部で静止するように構成され、前記係止部材は、引き出しを係止する係止位置と係止しない非係止位置に回動するように構成され、非振動時には非係止位置で保持されており、振動時には球体静止部から移動する球体により押し出されて係止位置に移動し、引き出しを係止して引き出しの飛び出しを阻止することを特徴とする。
【0009】
本願請求項3に係る振動感知ロック装置は、上記目的を達成するため、引き出しの側面には、被係止装置が取り付けられており、被係止装置は、被係止片と固定部材とからなり、被係止片は、矩形板状の被係止本体と、被係止本体の表面の一方に設けられた係止突起と、被係止本体の裏面の一方に設けられた係止爪と、被係止本体の他方に形成された連結孔で形成され、固定部材は、軸部と、軸部の一端に形成された操作片と、軸部の他端に形成された係合片とからなり、被係止装置は、引き出しの側面に形成された係止孔に係止爪を係止し、引き出しの側面に形成された挿通孔に連結孔を重ね合わせ、連結孔と挿通孔に固定部材の軸部を挿通後に一方に回動することにより係合片が引き出しの側面に係合して取り付けられるように構成され、引き出しの側面に取り付けられた被係止装置の係止突起に、係止位置に移動した係止部材が係止するように構成されていることを特徴とする。
【0010】
本願請求項4に係る振動感知ロック装置は、上記目的を達成するため、ケースは、下面と、上面と、前面と、後面と、一方の側面とからなり、他方の側面が開放されており、前記係止部材は、振動時に他方の側面から突出して係止位置に移動するように構成されていることを特徴とする。
【0011】
本願請求項5に係る振動感知ロック装置は、上記目的を達成するため、ケースの下面は、略中間部に球体静止部が形成され、前部と後部の両側から球体静止部に向かって下降傾斜する下降傾斜面が形成されていることを特徴とする。
【0012】
本願請求項6に係る振動感知ロック装置は、上記目的を達成するため、ケースの上面には、下面と対向する位置関係において、略中間部に球体静止部が形成され、前部と後部の両側から球体静止部に向かって下降傾斜する下降傾斜面が形成され、ケースの上下の位置関係が変更可能であることを特徴とする。
【0013】
本願請求項7に係る振動感知ロック装置は、上記目的を達成するため、係止部材は、球体と当接する当接部を有し、当接部は、球体静止部に位置する球体と当接する中間部から前方及び後方に向かって球体側に傾斜する前方及び後方傾斜面を有しており、非振動時には、球体が当接部の中間部に位置しており、振動時に球体が他方の側面側に移動すると当接部を他方の側面側に押し出して係止部材を係止位置に移動させ、球体が前方又は後方に移動すると前方傾斜面又は後方傾斜面に摺接して当接部を他方の側面側に押し出して係止部材を係止位置に移動させることを特徴とする。
【0014】
本願請求項8に係る振動感知ロック装置は、上記目的を達成するため、係止部材の当接部には、下面上を転動する球体の上部と接触するガイド板が設けられていることを特徴とする。
【0015】
本願請求項9に係る振動感知ロック装置は、上記目的を達成するため、前記ガイド板は、当接部の上下を仕切り、下側の前方傾斜面又は後方傾斜面に接触する球体が上側の前方傾斜面又は後方傾斜面に接触しないように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本願発明に係る振動感知ロック装置は、家具、吊り戸棚等の開き戸付き収納装置の左右方向の側壁に係止装置を設けることができる。側壁に設けられた係止装置は、非振動時に、球体がケースの下面の球体静止部で静止しており、係止部材が自重により非係止位置に位置している。振動時には球体が下面上を転動し、この転動した球体が係止部材を押圧するので、係止部材が係止位置に回動して開き戸を係止し、開き戸の開放を規制する。振動が終了すると、球体が下降傾斜面に沿って球体静止部に移動するので、球体の係止部材に対する押圧が解除され、係止部材が自重により回動して非係止位置に移動し、開き戸の開閉を可能にする。このように、本願発明に係る振動感知ロック装置は、平常時においては、係止部材が自重により非係止位置にあるので、開き戸を係止することがなく、振動時においては、球体が係止部材を押圧して係止部材を係止位置に突出させて開き戸を係止して、開き戸の開放を確実に規制することができるという効果がある。また、振動感知ロック装置は、振動終了時においては、球体が下降傾斜面に沿って自動的に球体静止部に移動して係止部材に対する押圧を解除するので、係止部材が自重により非係止位置に回動し、開き戸のロックを解除し、解除操作を必要としないという効果がある。また、振動感知ロック装置は、構造が簡単で安価に製造することができ、しかもコンパクトで且つ狭いスペースに簡単に取り付けることができ、さらに、係止部材が上下方向ではなく左右方向に突出するので、収納装置の側壁に取り付けることができる、従来にない新規な構造を提供することができるという効果がある。
【0017】
本願発明に係る振動感知ロック装置は、引き出しを収容する収容室を備えた収納装置の引き出しの左右方向の側壁に係止装置を設けることができる。側壁に設けられた係止装置は、非振動時に、球体がケースの下面の球体静止部で静止しており、係止部材が自重により非係止位置に位置している。振動時には球体が下面上を転動し、この転動した球体が係止部材を押圧するので、係止部材が係止位置に回動して引き出しを係止し、引き出しの開放を規制する。振動が終了すると、球体が下降傾斜面に沿って球体静止部に移動するので、球体の係止部材に対する押圧が解除され、係止部材が自重により回動して非係止位置に移動し、引き出しの開閉を可能にする。このように、本願発明に係る振動感知ロック装置は、平常時においては、係止部材が自重により非係止位置にあるので、引き出しを係止することがなく、振動時においては、球体が係止部材を押圧して係止部材を係止位置に突出させて引き出しを係止して、引き出しの開放を確実に規制することができるという効果がある。また、振動感知ロック装置は、振動終了時においては、球体が下降傾斜面に沿って自動的に球体静止部に移動して係止部材に対する押圧を解除するので、係止部材が自重により非係止位置に回動し、引き出しのロックを解除し、解除操作を必要としないという効果がある。また、振動感知ロック装置は、構造が簡単で安価に製造することができ、しかもコンパクトで且つ狭いスペースに簡単に取り付けることができ、さらに、係止部材が上下方向ではなく左右方向に突出するので、引き出しの収容室の側壁に取り付けることができる、従来にない新規な構造を提供することができるという効果がある。
【0018】
本願発明に係る振動感知ロック装置は、前記引き出しの側面に、前記係止装置に係止される被係止装置を簡単に取り付けることができる。即ち、被係止装置は、被係止片と固定部材とからなり、被係止片を形成する被係止本体の係止爪を引き出しの側面に形成された係止孔に係止し、被係止本体の連結孔を引き出しの側面に形成された挿通孔に重ね合わせ、固定部材の軸部を前記連結孔及び挿通孔に挿通して一方に回動することにより、軸部の係合片が引き出しの側面に係合し、取り付けることができる。本願発明に係る振動感知ロック装置は、収納装置の側壁に設けられた係止装置が振動時に作動して係止部材が係止位置に移動し、引き出しの側面に取り付けられた被係止装置の係止突起を係止して引き出しの開放を確実に阻止することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本願発明に係る振動感知ロック装置の係止装置の分解斜視図である。
【図2】図1の係止装置の係止部材の斜視図である。
【図3】図2の係止部材の説明図であって、(a)が平面図、(b)が裏面図、(c)が表面図、(d)が側面図、(e)がA−A断面図、(f)がB−B断面図、(g)がC−C断面図、(h)がD−D断面図である。
【図4】図2の係止部材の動きを説明する説明図である。
【図5】図2の係止部材の他の動きを説明する説明図である。
【図6】図2の係止部材の他の動きを説明する説明図である。
【図7】本願発明に係る振動感知ロック装置の被係止装置を一方から視た斜視図である。
【図8】図7の被係止装置を他方から視た斜視図である。
【図9】図7の被係止装置の取付状態の説明図であって、(a)が係止状態の表面図、(b)が係止状態の裏面図、(c)が係止状態の断面図、(d)が係止解除状態の表面図、(e)が係止解除状態の裏面図、(f)が係止解除状態の断面図である。
【図10】図1の振動感知ロック装置を収納装置に取り付けた状態の説明図であって、(a)が平面図、(b)が正面図、(c)が側面図である。
【図11】図1の振動感知ロック装置のロック状態の説明図であって、(a)が平面図、(b)が正面図、(c)が側面図である。
【図12】図7の被係止装置の解除動作を説明する説明図であって、(a)が解除前の正面図、(b)が解除後の正面図である。
【図13】係止装置の係止部材の他の実施の形態を示す説明図である。
【図14】係止装置の係止部材の他の実施の形態を示す説明図である。
【図15】係止装置の係止部材の他の実施の形態を示す説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図10,11に示すように、振動感知ロック装置Aは、家具、吊り戸棚等の開き戸付き収納装置100に設けられ、振動時に開き戸105の開放を規制するものである。振動感知ロック装置Aは、係止装置1を有する。図1に示すように、係止装置1は、収納装置本体101に取り付けられるケース2と、当該ケース2に回動可能に設けられた係止部材31と、当該ケース2の下面12に転動可能に設けられた球体8とからなる。前記ケース2の下面12は、球体静止部23と、球体静止部23に向かって下降傾斜する下降傾斜面21,22とを有する。前記球体8は、ケース2の下面12に転動可能であって、球体静止部23で静止するように構成されている。前記係止部材31は、開き戸105を係止する係止位置X2と係止しない非係止位置X1に回動するように構成され、非振動時には非係止位置X1で保持されており、振動時には球体静止部23から移動する球体8により押し出されて係止位置X2に移動し、開き戸105を係止して開き戸105の開放を阻止する。
【0021】
振動感知ロック装置Aは、家具、吊り戸棚等の開き戸付き収納装置100の左右方向の側壁103に係止装置1を設けることができる。側壁103に設けられた係止装置1は、非振動時に、球体8がケース2の下面12の球体静止部23で静止しており、係止部材31が自重により非係止位置X1に位置している。振動時には球体8が下面12上を転動し、この転動した球体8が係止部材31を押圧するので、係止部材31が係止位置X2に回動して開き戸105を係止し、開き戸105の開放を規制する。振動が終了すると、球体8が下降傾斜面21,22に沿って球体静止部23に移動するので、球体8の係止部材31に対する押圧が解除され、係止部材31が自重により回動して非係止位置X1に移動し、開き戸105の開閉を可能にする。このように、振動感知ロック装置Aは、平常時においては、係止部材31が自重により非係止位置X1にあるので、開き戸105を係止することがなく、振動時においては、球体8が係止部材31を押圧して係止部材31を係止位置X2に突出させて開き戸105を係止して、開き戸105の開放を確実に規制することができる。また、振動感知ロック装置Aは、振動終了時においては、球体8が下降傾斜面21,22に沿って自動的に球体静止部23に移動して係止部材31に対する押圧を解除するので、係止部材31が自重により非係止位置X1に回動し、開き戸105のロックを解除し、解除操作を必要としない。また、振動感知ロック装置Aは、構造が簡単で安価に製造することができ、しかもコンパクトで且つ狭いスペースに簡単に取り付けることができ、さらに、係止部材31が上下方向ではなく左右方向に突出するので、収納装置100の側壁103に取り付けることができる、従来にない新規な構造を提供することができる。
【0022】
図10,11に示すように、振動感知ロック装置Aは、引き出し105を収容する収容室102を備えた収納装置100に設けられ、振動時に引き出し105の飛び出しを規制するものである。振動感知ロック装置Aは、係止装置1を有する。図1に示すように、係止装置1は、収納装置本体101の収容室102の側面103に取り付けられるケース2と、当該ケース2に回動可能に設けられた係止部材31と、当該ケース2の下面12に転動可能に設けられた球体8とからなる。前記ケース2の下面12は、球体静止部23と、球体静止部23に向かって下降傾斜する下降傾斜面21,22とを有する。前記球体8は、ケース2の下面12に転動可能であって、球体静止部23で静止するように構成されている。前記係止部材31は、引き出し105を係止する係止位置X2と係止しない非係止位置X1に回動するように構成され、非振動時には非係止位置X1で保持されており、振動時には球体静止部23から移動する球体8により押し出されて係止位置X2に移動し、引き出し105を係止して引き出し105の飛び出しを阻止する。
【0023】
振動感知ロック装置Aは、引き出し105を収容する収容室102を備えた収納装置100の引き出し105の左右方向の側壁103に係止装置1を設けることができる。側壁103に設けられた係止装置1は、非振動時に、球体8がケース2の下面12の球体静止部23で静止しており、係止部材31が自重により非係止位置X1に位置している。振動時には球体8が下面12上を転動し、この転動した球体8が係止部材31を押圧するので、係止部材31が係止位置X2に回動して引き出し105を係止し、引き出し105の開放を規制する。振動が終了すると、球体8が下降傾斜面21,22に沿って球体静止部23に移動するので、球体8の係止部材31に対する押圧が解除され、係止部材31が自重により回動して非係止位置X1に移動し、引き出し105の開閉を可能にする。このように、振動感知ロック装置Aは、平常時においては、係止部材31が自重により非係止位置X1にあるので、引き出し105を係止することがなく、振動時においては、球体8が係止部材31を押圧して係止部材31を係止位置X2に突出させて引き出し105を係止して、引き出し105の開放を確実に規制することができる。また、振動感知ロック装置Aは、振動終了時においては、球体8が下降傾斜面21,22に沿って自動的に球体静止部23に移動して係止部材31に対する押圧を解除するので、係止部材31が自重により非係止位置X1に回動し、引き出し105のロックを解除し、解除操作を必要としない。また、振動感知ロック装置Aは、構造が簡単で安価に製造することができ、しかもコンパクトで且つ狭いスペースに簡単に取り付けることができ、さらに、係止部材31が上下方向ではなく左右方向に突出するので、引き出し105の収容室102の側壁103に取り付けることができる、従来にない新規な構造を提供することができる。
【0024】
振動感知ロック装置Aは、前記引き出し105の側面107aに、被係止装置61が取り付けられている。図7,8に示すように、被係止装置61は、被係止片62と固定部材71とからなる。被係止片62は、矩形板状の被係止本体63と、被係止本体63の表面63aの一方に設けられた係止突起65と、被係止本体63の裏面63bの一方に設けられた係止爪66と、被係止本体63の他方に形成された連結孔67で形成されている。固定部材71は、軸部72と、軸部72の一端に形成された操作片73と、軸部72の他端に形成された係合片75とからなる。被係止装置61は、引き出し105の側面107aに形成された係止孔108に係止爪66を係止し、引き出し105の側面107aに形成された挿通孔109に連結孔67を重ね合わせ、連結孔67と挿通孔109に固定部材71の軸部72を挿通後に一方に回動することにより係合片75が引き出し105の側面107aに係合して取り付けられるように構成されている。引き出し105の側面107aに取り付けられた被係止装置61の係止突起65には、係止位置X2に移動した係止部材31が係止する。
【0025】
振動感知ロック装置Aは、前記引き出し105の側面107aに、前記係止装置1に係止される被係止装置61を簡単に取り付けることができる。即ち、被係止装置61は、被係止片62と固定部材71とからなり、被係止片62を形成する被係止本体63の係止爪66を引き出し105の側面107aに形成された係止孔108に係止し、被係止本体63の連結孔67を引き出し105の側面107aに形成された挿通孔109に重ね合わせ、固定部材71の軸部72を前記連結孔67及び挿通孔109に挿通して一方に回動することにより、軸部72の係合片75が引き出し105の側面107aに係合し、取り付けることができる。振動感知ロック装置Aは、収納装置100の側壁103に設けられた係止装置1が振動時に作動して係止部材31が係止位置X2に移動し、引き出し105の側面107aに取り付けられた被係止装置61の係止突起65を係止して引き出し105の開放を確実に阻止することができる。
【0026】
前記ケース2は、下面12と、上面13と、前面15と、後面16と、一方の側面17とからなり、他方の側面18が開放されており、前記係止部材31は、振動時に他方の側面18から突出して係止位置X2に移動するように構成されている。また、ケース2の下面12は、略中間部に球体静止部23が形成され、前部と後部の両側から球体静止部23に向かって下降傾斜する下降傾斜面21,22が形成されている。ケース2の上面13には、下面12と対向する位置関係において、略中間部に球体静止部23が形成され、前部と後部の両側から球体静止部23に向かって下降傾斜する下降傾斜面21,22が形成され、ケース2の上下の位置関係が変更可能である。
【0027】
振動感知ロック装置Aの係止部材31は、球体8と当接する当接部40を有する。当接部40は、球体静止部23に位置する球体8と当接する中間部43から前方及び後方に向かって球体8側に傾斜する前方及び後方傾斜面41,42を有しており、非振動時には、球体8が当接部40の中間部43に位置している。振動時に球体8が他方の側面18側に移動すると当接部40を他方の側面18側に押し出して係止部材31を係止位置X2に移動させる。球体8が前方又は後方に移動すると前方傾斜面41又は後方傾斜面42に接触して当接部40を他方の側面18側に押し出して係止部材31を係止位置X2に移動させる。
【0028】
振動感知ロック装置Aは、係止部材31の当接部40に、下面12上を転動する球体8の上部と接触するガイド板45が設けられている。前記ガイド板45は、当接部40の上下を仕切り、下側の前方傾斜面41又は後方傾斜面42に接触する球体8が上側の前方傾斜面41又は後方傾斜面42に接触しないように構成されている。
【0029】
さらに振動感知ロック装置Aについて詳細に説明する。振動感知ロック装置Aは、係止装置1を有する。図1に示すように、係止装置1は、ケース2と、球体8と、係止部材31とからなる。ケース2は、楕円状のフランジ3と、二つの円を重ねた略8の字状の突出部5とからなり、フランジ3の裏面3bに突出部5が形成されている。ケース2には、略直方体状の収納室11が形成されている。収納室11は、下面12と、上面13と、前面15と、後面16と、一方の側面17とで構成され、他方の側面が開放されて開口18を形成している。即ち、フランジ3の表面3aに開口18が形成され、この開口18は収納室11と連通している。
【0030】
下面12は、略中心に向かって下降傾斜する前傾斜面21と後傾斜面22によって形成されている。さらに前傾斜面21と後傾斜面22は、一方の側面17側に向かって下降傾斜している。前傾斜面21と後傾斜面22は、略中心で接続され、この接続部に接続線(底線)23が形成される。なお、この接続線(底線)23も、一方の側面17側に向かって下降傾斜している。
【0031】
上面13は、この面を下側に位置させると下面12と略同じ形状となるように、下面12と対称に形成されている。前面15と後面16には、収納室11内と突出部5外側を連通する軸受け孔26,27が形成されている。軸受け孔26には、支軸6が挿入して取り付けられ、軸受け孔27には、支軸7が挿入して取り付けられる。フランジ3の上部と下部には、ネジ78,78を挿通する挿通孔28,29が穿設されている。
【0032】
球体8は、係止部材31を回動させることができる程度の重さを有し、下面12に載置される。下面12に載置された球体8は、自重により一番低い位置の接続線(底線)23上に位置し、傾斜する接続線(底線)23に沿って一方の側面17に当接して静止する。この球体8の静止する位置が初期位置となる。ケース2をひっくり返して上面13を下側に位置させると上面13が下面12となるので、球体8を逆さまにひっくり返した上面13に載せた場合でも前述したように静止する。
【0033】
図2、3に示すように、係止部材31は、前記収納室11内に収納可能な大きさに形成され、表側面板32と、表側面板32と略平行に設けられた裏側面板33と、表側面板32と裏側面板33の前端に設けられた前面板35と、表側面板32と裏側面板33の後端に設けられた後面板36とからなる。裏側面板33には、表側面板32側に向かって凹むように湾曲する湾曲凹部40が形成されている。
【0034】
湾曲凹部40は、前部湾曲面41と後部湾曲面42とからなり、前部湾曲面41と後部湾曲面42が連接される中心部43が一番深くなっている。前部湾曲面41及び後部湾曲面42は、内側から外側に向かって緩やかに浅くなるように形成されている。前部湾曲面41は、前記前傾斜面21と対応しており、後部湾曲面42は、前記後傾斜面22と対応している。なお、前部湾曲面41及び後部湾曲面42は、緩やかな曲線を描くように湾曲して形成されているが、直線的な傾斜面で形成しても構わない。
【0035】
前面板35及び後面板36の略中心には、前記支軸6,7が挿通して取り付けられる取付孔48,49が形成されている。また、前部湾曲面41及び後部湾曲面42には、湾曲凹部40の上下方向の略中心線上、即ち、湾曲凹部40の取付穴48の軸心と取付穴49の軸心を結ぶ連結線上にガイド板45が設けられている。このガイド板45は、湾曲凹部40の上下を仕切るように構成され、下面12上を転動する球体8の上部が当接する程度に突出して形成されている。ガイド板45には、略中央に位置する球体8を挿通可能とする半円状の切り欠き46が設けられている。
【0036】
振動感知ロック装置Aは、球体8をケース2の収納室11の下面12に載置し、係止部材31を裏側面板33側から収納室11内に装設し、支軸6を軸受け孔26及び係止部材31の取付孔48に挿着すると共に、支軸7を軸受け孔27及び係止部材31の取付孔49に挿着することによって組み立てられる。係止部材31は、支軸6,7により収納室11内に回動可能に取り付けられる。
【0037】
係止部材31は、収納室11内で不用意に回転しないように構成されている。例えば、一つの形態として、図4に示すように、取付孔48,49の位置は、重心Gの位置より内側に設定されており、係止部材31の下部31aが僅かながら内側Y方向に移動する。内側には、球体8が存在しているので、湾曲凹部40の下部が球体8に当接する。
【0038】
また他の形態として、図5に示すように、取付孔48,49を重心位置を中心として上下方向に縦長に形成すると、下方に重力が働くので、係止部材31は安定して静止する。さらに他の形態として、図6に示すように、取付孔48,49を重心位置に形成し、係止部材31の略中心に上下方向に縦長となる凹部50を形成し、当該凹部50内に錘51を移動可能に設けても、錘51によって下方に重力が働くので、係止部材31は安定して静止する。上記全ての実施の形態は、上下の向きを変えても同様の働きをすることは勿論である。
【0039】
次に前記係止装置1に係止される被係止装置61について説明する。図7,8に示すように、被係止装置61は、被係止片62と固定部材71とからなる。固定部材71は、軸部72と、軸部72の一端に形成された操作片73と、軸部72の他端に形成された係合片75とからなる。操作片73の内面には、係合凸部76が形成されている。
【0040】
被係止片62は、矩形板状の被係止本体63と、被係止本体63の表面63aの一方に設けられた係止突起65と、被係止本体63の裏面63bの一方に設けられた係止爪66と、被係止本体63の他方に形成された連結孔67で形成されている。連結孔67は、前記固定部材71の軸部72を挿通する軸孔68と、前記固定部材71の係合片75を挿通する挿通孔69とからなる。被係止本体63の表面63a側であって、軸孔68を中心とする所定箇所には、固定部材71の係合凸部76を係脱する係合凹部77・・が形成されている。
【0041】
図9に示すように、被係止装置61は、引き出し105の右(又は左)の側壁107の外側面107aに取り付けられる。図9(a)に示すように、被係止装置61は、引き出し105の側壁107に形成された係止孔108に係止爪66を係止し、さらに引き出し105の側壁107に形成された挿通孔109に連結孔67を重ね合わせ、連結孔67の挿通孔69に固定部材71の係合片75を合わせ、連結孔67の軸孔68に固定部材71の軸部72を挿通し、操作片73を介して軸部72を一方に回動することにより係合片75が引き出し105の側壁107に係合して固定して取り付けられる。操作片73の係合凸部76が係合凹部77に係合し、操作片73が位置決めされる。図9(d)に示すように、被係止装置61は、操作片73を介して軸部72を他方に回動することにより、係合片75が引き出し105の側壁107から外れ、軸部72を連結孔67の軸孔68から引き抜き、引き出し105の側壁107に形成された係止孔108から係止爪66を離脱することによって、引き出し105の側壁107の外側面107aから取り外すことができる。
【0042】
振動感知ロック装置Aは、上記構成を有し、以下のように使用することができる。係止装置1は、家具、吊り戸棚等の開き戸付き収納装置の収納装置本体に取り付けることが出来るが、箪笥、机、食器棚等の引き出し付き収納装置100の収納装置本体101に取り付けた状態で説明する。図10に示すように、係止装置1は、引き出し105を引き出し可能に収容する収容室102の右(又は左)の側壁103に取り付けられている。側壁103には、嵌合穴104が形成され、係止装置1の突出部5が嵌合穴104に嵌合している。係止装置1のフランジ3は、嵌合穴104の周縁に係合されている。フランジ3の挿通孔28,29には、ネジ78,78が挿通され、ネジ78,78が側壁103にねじ込まれて、係止装置1が側壁103に固定されている。なお、下面12及び上面13は、対称に形成され、球体8がガイド板45の切り欠き46を通過して下側の面に落下するので、どちらの面を下側にしても構わない。
【0043】
図10に示すように、係止装置1は、非振動時においては、球体8が一番低い位置である接続線(球体静止部)23上であって、一方の側面17に当接している(初期位置)。係止部材31は、自重により下部31aが下方に付勢されて非係止位置X1にあり、ケース2の収納室11内に収まっている。従って、引き出し105の開閉は、何等阻止されずにスムーズに行うことが出来る。
【0044】
図11に示すように、係止装置1は、振動時においては、球体8が一番低い位置である接続線(球体静止部)23から移動する。例えば、球体8が開口18側(X方向)に移動すると、係止部材31の湾曲凹部40の中心部43が外側に押圧され、係止部材31が支軸6,7を中心として回動し、下部31aが係止位置X2まで突出する。球体8が引き出し105の開く方向(F方向)に移動すると、球体8が前部湾曲面41に摺接しながら移動するので、係止部材31が外側に押圧され、係止部材31が支軸6,7を中心として回動し、下部31aが係止位置X2まで突出する。同様に、球体8が引き出し105の閉じる方向(B方向)に移動すると、球体8が後部湾曲面42に摺接しながら移動するので、係止部材31が外側に押圧され、係止部材31が支軸6,7を中心として回動し、下部31aが係止位置X2まで突出する。また、球体8が上下方向(Z方向)に移動しようとしても、球体8の上部がガイド板45に当接することにより上下方向の移動が規制される。しかし、かなり強い上下方向の振動が発生した場合には、球体8がガイド板45を押し上げ、係止部材31が支軸6,7を中心として回動し、上部31bが係止位置X2まで突出する。
【0045】
このように、係止装置1は、振動時に球体8が転動して、係止部材31が外側に押し出され、係止部材31が係止位置X2に移動する。引き出し105は、振動時に係止部材31の下部31a(又は上部31b)が係止位置X2にあるので、引き出し105の一側が係止部材31の下部31a(又は上部31b)に係止され、開放が阻止される。係止装置1は、振動が終了すると、球体8が自重により、前傾斜面21又は後傾斜面22に沿って接続線(球体静止部)23上に復帰し、さらに接続線23の下降傾斜に沿って一方の側面17に当接して初期位置で静止する。振動が終了して球体8が元の静止位置に復帰すると、球体8が係止部材31を押圧しなくなるので、係止部材31の下部31a(又は上部31b)が自重により元の非係止位置X1に戻り、引き出し105の開閉が再び可能になる。
【0046】
上記実施の形態では、引き出し105の一側が係止部材31の下部31a(又は上部31b)に係止されたが、引き出し105の右(又は左)の側壁107の外側面107aに前述したように被係止装置61を装着すると、係止突起65が外側に突出するので、係止部材31がより一層係止し易くなる。引き出し105は、前述したように、振動時に、係止装置1の係止部材31が係止位置X2に移動するので、被係止装置61の係止突起65が係止部材31に係止されてロックされ、開く方向への移動が規制される。また、引き出し105は、振動が終了すると球体8が所定位置に復帰するので、係止装置1の係止部材31が自重により非係止位置X1に移動するので、被係止装置61の係止突起65に対する係止が解除され、開閉方向の移動が可能になる。しかし、引き出し105は、何らかの原因、例えば球体8が係止部材31と噛み合って自動復帰せず、開かなくなってしまう場合がある。係る場合には、図12に示すように、収納装置本体101と引き出し105の隙間からドライバー等の棒状部材110を差し込んで、操作片73を押し込み、軸部72を他方に回動させ、且つ、軸部72を連結孔67の軸孔68から引き抜いて、引き出し105の側壁107から被係止装置61を取り外せば、簡単に引き出し105を開閉させることができる。上記実施の形態では、引き出し付き収納装置100に取り付けた状態で説明したが、開き戸付き収納装置に取り付けることも可能であることは言うまでもない。
【0047】
上記実施の形態では、球体8は、引き出し105の開閉方向(F又はB方向)に移動すると、下面12と一方の側面17では点接触するが、前部湾曲面41又は後部湾曲面42では面接触しながら摺接して移動する。この球体8の球面と前部湾曲面41又は後部湾曲面42との面接触により僅かではあるが摩擦抵抗が大きくなり、球体8の移動が若干遅くなる場合もあり得る。振動時に、瞬時に発生する開き戸及び引き出しの開放を迅速に阻止するためには、すこしでも速く球体8の移動が行われることが望ましく、上記実施の形態でも十分対応が可能であるが、図13に示すように、前部湾曲面41及び後部湾曲面42の球体8が接触する部分に、断面が略三角形状の突条37を開閉方向と略平行に形成しても良い。
【0048】
図13(a)に示すように、係止装置1は、非振動時においては、球体8が一番低い位置である接続線(球体静止部)23上であって、一方の側面17と、下面12に当接している(初期位置)。係止部材31は、自重により下部31aが下方に付勢されて非係止位置X1にあり、係止部材31の突条37の頂点が球体8に当接している。図13(b)に示すように、係止装置1は、球体8が開口18側に移動すると、係止部材31の突条37が外側に押圧され、係止部材31が支軸6,7を中心として回動し、下部31aが係止位置X2まで突出する。図13(c)に示すように、球体8が引き出し105の開閉方向に移動すると、球体8が湾曲した突条37に摺接しながら移動するので、係止部材31が外側に押圧され、係止部材31が支軸6,7を中心として回動し、下部31aが係止位置X2まで突出する。このように、球体8は、前部湾曲面41又は後部湾曲面42の突条37の頂点と点接触するので、摩擦抵抗が小さくなり、移動がスムーズに行われる。なお、突条37は、略三角形状に形成したが、半円形状に形成しても構わない。
【0049】
また、上記実施の形態では、湾曲凹部40に接触する球体8が1個であったが、図14に示すように、2個にしても構わないのは勿論である。さらに、ケース2に2個の球体8a,8bを仕切る仕切壁4を形成しても良い。また、図15に示すように、係止部材31に複数の湾曲凹部40a,40bを形成し、各湾曲凹部40a,40bにそれぞれ球体8a,8bを配置するようにしても良い。下面12は、各湾曲凹部40a,40bの最も深い位置に対応する2箇所に球体8a,8bが静止する球体静止部が形成されている。さらにまた、湾曲凹部40aと湾曲凹部40bの大きさを変えても構わないのは勿論である。2個の球体8a,8bの大きさ及び重さは、同じでも異なっても構わない。このように、振動を感知する球体を複数にすることにより、振動に対する感度及び反応を良くすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本願発明は、家具、吊り戸棚等の開き戸付き収納装置、並びに箪笥、机、食器棚等の引き出し付き収納装置に設けられ、地震等の振動時に開き戸、引き出しの開放を規制する振動感知ロック装置として利用可能である。
【符号の説明】
【0051】
X1 非係止位置
X2 係止位置
A 振動感知ロック装置
G 重心
1 係止装置
2 ケース
3 フランジ
3a 表面
3b 裏面
4 仕切壁
5 突出部
6 支軸
7 支軸
8 球体
8a 球体
8b 球体
11 収納室
12 下面
13 上面
15 前面
16 後面
17 一方の側面
18 開口(他方の側面)
21 前傾斜面(下降傾斜面)
22 後傾斜面(下降傾斜面)
23 接続線(底線 球体静止部)
26 軸受け孔
27 軸受け孔
28 挿通孔
29 挿通孔
31 係止部材
31a 下部
31b 上部
32 表側面板
33 裏側面板
35 前面板
36 後面板
37 突条
40 湾曲凹部(当接部)
40a 湾曲凹部(当接部)
40b 湾曲凹部(当接部)
41 前部湾曲面(前方傾斜面)
42 後部湾曲面(後方傾斜面)
43 中心部(中間部)
45 ガイド板
46 切り欠き
48 取付孔
49 取付孔
50 凹部
51 錘
61 被係止装置
62 被係止片
63 被係止本体
63a 表面
63b 裏面
65 係止突起
66 係止爪
67 連結孔
68 軸孔
69 挿通孔
71 固定部材
72 軸部
73 操作片
75 係合片
76 係合凸部
77 係合凹部
78 ネジ
100 引き出し付き収納装置(開き戸付き収納装置)
101 収納装置本体
102 収容室
103 側壁(側面)
104 嵌合穴
105 引き出し(開き戸)
107 側壁
107a 側面
108 係止孔
109 挿通孔
110 棒状部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
家具、吊り戸棚等の開き戸付き収納装置に設けられ、振動時に開き戸の開放を規制する振動感知ロック装置であって、
係止装置を有し、
係止装置は、
収納装置本体に取り付けられるケースと、
当該ケースに回動可能に設けられた係止部材と、
当該ケースの下面に転動可能に設けられた球体とからなり、
前記ケースの下面は、球体静止部と、球体静止部に向かって下降傾斜する下降傾斜面とを有し、
前記球体は、ケースの下面に転動可能であって、球体静止部で静止するように構成され、
前記係止部材は、開き戸を係止する係止位置と係止しない非係止位置に回動するように構成され、非振動時には非係止位置で保持されており、振動時には球体静止部から移動する球体により押し出されて係止位置に移動し、開き戸を係止して開き戸の開放を阻止することを特徴とする振動感知ロック装置。
【請求項2】
引き出しを収容する収容室を備えた収納装置に設けられ、振動時に引き出しの飛び出しを規制する振動感知ロック装置であって、
係止装置を有し、
係止装置は、
収納装置本体の収容室の側面に取り付けられるケースと、
当該ケースに回動可能に設けられた係止部材と、
当該ケースの下面に転動可能に設けられた球体とからなり、
前記ケースの下面は、球体静止部と、球体静止部に向かって下降傾斜する下降傾斜面とを有し、
前記球体は、ケースの下面に転動可能であって、球体静止部で静止するように構成され、
前記係止部材は、引き出しを係止する係止位置と係止しない非係止位置に回動するように構成され、非振動時には非係止位置で保持されており、振動時には球体静止部から移動する球体により押し出されて係止位置に移動し、引き出しを係止して引き出しの飛び出しを阻止することを特徴とする振動感知ロック装置。
【請求項3】
引き出しの側面には、被係止装置が取り付けられており、
被係止装置は、被係止片と固定部材とからなり、
被係止片は、矩形板状の被係止本体と、被係止本体の表面の一方に設けられた係止突起と、被係止本体の裏面の一方に設けられた係止爪と、被係止本体の他方に形成された連結孔で形成され、
固定部材は、軸部と、軸部の一端に形成された操作片と、軸部の他端に形成された係合片とからなり、
被係止装置は、引き出しの側面に形成された係止孔に係止爪を係止し、引き出しの側面に形成された挿通孔に連結孔を重ね合わせ、連結孔と挿通孔に固定部材の軸部を挿通後に一方に回動することにより係合片が引き出しの側面に係合して取り付けられるように構成され、
引き出しの側面に取り付けられた被係止装置の係止突起に、係止位置に移動した係止部材が係止するように構成されていることを特徴とする請求項2記載の振動感知ロック装置。
【請求項4】
ケースは、下面と、上面と、前面と、後面と、一方の側面とからなり、他方の側面が開放されており、
前記係止部材は、振動時に他方の側面から突出して係止位置に移動するように構成されていることを特徴とする請求項1、2又は3記載の振動感知ロック装置。
【請求項5】
ケースの下面は、略中間部に球体静止部が形成され、前部と後部の両側から球体静止部に向かって下降傾斜する下降傾斜面が形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の振動感知ロック装置。
【請求項6】
ケースの上面には、下面と対向する位置関係において、略中間部に球体静止部が形成され、前部と後部の両側から球体静止部に向かって下降傾斜する下降傾斜面が形成され、ケースの上下の位置関係が変更可能であることを特徴とする請求項5記載の振動感知ロック装置。
【請求項7】
係止部材は、球体と当接する当接部を有し、
当接部は、球体静止部に位置する球体と当接する中間部から前方及び後方に向かって球体側に傾斜する前方及び後方傾斜面を有しており、
非振動時には、球体が当接部の中間部に位置しており、
振動時に球体が他方の側面側に移動すると当接部を他方の側面側に押し出して係止部材を係止位置に移動させ、球体が前方又は後方に移動すると前方傾斜面又は後方傾斜面に接触して当接部を他方の側面側に押し出して係止部材を係止位置に移動させることを特徴とする請求項5又は6記載の振動感知ロック装置。
【請求項8】
係止部材の当接部には、下面上を転動する球体の上部と接触するガイド板が設けられていることを特徴とする請求項7記載の振動感知ロック装置。
【請求項9】
前記ガイド板は、当接部の上下を仕切り、下側の前方傾斜面又は後方傾斜面に接触する球体が上側の前方傾斜面又は後方傾斜面に接触しないように構成されていることを特徴とする請求項8記載の振動感知ロック装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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