説明

振動抑制部材を有する電子制御装置

【課題】簡便な構成で、自立型電子部品の振動を抑制することが可能な振動抑制部材を有する電子制御装置を提供する。
【解決手段】基板10と、基板に立設されて実装される自立型の電子部品20と、基板と電子部品とを連絡して電子部品の振動を抑制する振動抑制部材30、60と、を備え、振動抑制部材は、基板の振動が電子部品に伝達されて電子部品が振動する際に、電子部品の振動に連動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子制御装置に関し、特に、電子部品の振動を抑制する振動抑制部材を有する電子制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車等の車両において要求される電気的な制御は高度化しており、種々の電子制御装置を車両に搭載する傾向が高まっている。そして、かかる車両は、使用時に種々の振動環境下に置かれるものであるから、車両に搭載される電子制御装置に対しても、十分な耐振性が求められるようになってきている。
【0003】
かかる状況において、特許文献1は、電解コンデンサ3を収容する樹脂ケース1に、電解コンデンサ3の外形に整合する載置部80や押し付け部31を有する収容部2を形成して、電解コンデンサ3を確実に樹脂ケース1に装着することを企図した構成の電子機器を開示する。
【0004】
また、特許文献2は、自立型の電解コンデンサ2の下部において、コーティング剤5を塗布したシリコン等の固定材3を設けて、電解コンデンサ2を配線基板1に実装する構成のモータ制御装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−281187号公報
【特許文献2】特開2001−223130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1で提案される構成では、電解コンデンサ3を収容する樹脂ケース1が必要となり、また特許文献2で提案される構成では、コーティング剤5を塗布したシリコン等の固定材3が必要となるもので、構造が複雑で組み付け工数が増大するのみならず、電子機器やモータ制御装置の内部における基板上等の占有面積が増大し、実装効率が低下する傾向が高いものである。
【0007】
本発明者の検討によれば、車両に搭載される種々の電子制御装置においては、軽量かつコンパクトな構成が求められる一方で、その機能をも高度化することが求められるという非常に高度な設計が要求される傾向が高まっているため、高機能を実現しながら基板上等の占有面積を増大することなく高い実装効率を呈し得るような新たな着想の振動抑制部材の構成を実現することが、極めて重要である。
【0008】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、簡便な構成で、自立型電子部品の振動を抑制することが可能な振動抑制部材を有する電子制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上の目的を達成すべく、本発明の電子制御装置は、基板と、前記基板に立設されて実装される自立型の電子部品と、前記基板と前記電子部品とを連絡して前記電子部品の振動を抑制する振動抑制部材と、を備え、前記振動抑制部材は、前記基板の振動が前記電子部品に伝達されて前記電子部品が振動する際に、前記電子部品の振動に連動することを第1
の特徴とする。
【0010】
また本発明は、かかる第1の特徴に加えて、前記振動抑制部材は、前記基板と接触する凸部を有し、前記凸部は、前記基板に設けられた挿通孔に挿入されながら前記基板と接触することを第2の特徴とする。
【0011】
また本発明は、かかる第2の特徴に加えて、前記振動抑制部材は、前記基板と当接する台座部を有し、前記振動抑制部材の前記凸部は、前記台座部から前記基板に向けて延在することを第3の特徴とする。
【0012】
また本発明は、かかる第2又は第3の特徴に加えて、前記振動抑制部材の前記凸部は、前記基板の前記挿通孔に圧入される圧入部を有することを第4の特徴とする。
【0013】
また本発明は、かかる第2から第4のいずれかの特徴に加えて、前記振動抑制部材の前記凸部は、複数個備えられていることを第5の特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の第1の特徴によれば、振動抑制部材が、基板と電子部品とを連絡し、基板の振動が電子部品に伝達されて電子部品が振動する際に、電子部品の振動に連動することにより、電子部品の振動を確実に抑制することができ、併せて電子部品のリード等の基板に対する半田接合部への応力の集中を確実に低減することができる。
【0015】
本発明の第2の特徴によれば、振動抑制部材が、基板と接触する凸部を有し、凸部が、基板に設けられた挿通孔に挿入されながら基板と接触することにより、電子部品の振動を確実に抑制し、かつ電子部品のリード等の基板に対する半田接合部への応力の集中を確実に低減すると共に、電子部品を基板に対して確実に位置決めすることができる。
【0016】
本発明の第3の特徴によれば、振動抑制部材の凸部が、振動抑制部材に設けられた台座部から基板に向けて延在することにより、台座部が基板の上面を抑えることができて、電子部品の不要な浮き上がりを防止しながら、電子部品の振動を確実に抑制することができる。
【0017】
本発明の第4の特徴によれば、振動抑制部材の凸部が、基板の挿通孔に圧入される圧入部を有することにより、凸部がより確実に基板の挿通孔に対して接触するため、基板に対する電子部品の減衰性を高めることができ、電子部品の振動をより確実に抑制することができる。
【0018】
本発明の第5の特徴によれば、振動抑制部材の凸部を、複数個備えることにより、基板に対する電子部品の減衰性をより高めることができ、電子部品の振動を一層確実に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施形態の振動抑制部材を有する電子制御装置の縦断面図である。
【図2】本実施形態の振動抑制部材を有する電子制御装置における振動抑制部材の凸部の配置パターンを示す概略横断面図であり、図2(a)から図2(f)に、各種パターンを示し、いずれも位置的には図1のA−A断面に対応する。
【図3】本実施形態の振動抑制部材を有する電子制御装置における振動抑制部材の凸部の横断面図であり、図3(a)から図3(d)に各種パターンを示し、いずれも位置的には図1のA−A断面に対応して凸部のみ示したものである。
【図4】本実施形態の振動抑制部材を有する電子制御装置における変形例の縦断面図である。
【図5】本実施形態の振動抑制部材を有する電子制御装置における別の変形例の縦断面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態の振動抑制部材を有する電子制御装置の縦断面図である。
【図7】本実施形態の振動抑制部材を有する電子制御装置における変形例の縦断面図であり、図7(a)から図7(g)に各種構成例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を適宜参照して、本発明の各実施形態における振動抑制部材を有する電子制御装置につき、詳細に説明する。なお、図中、C軸は、上下軸であり、C軸方向が、上下方向であって、縦方向である。
【0021】
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態における振動抑制部材を有する電子制御装置につき、図1を参照して、詳細に説明する。
【0022】
図1は、本実施形態の振動抑制部材を有する電子制御装置の縦断面図である。
【0023】
図1に示すように、本実施形態における電子制御装置1は、基板10上に電子部品20が実装された構成を有する。
【0024】
具体的には、基板10は、典型的にはガラスエポキシ基板であり、対を成して上下方向に貫通する挿通孔10a、10bに加え、上方から下方に向かって径が小さくなるテーパ断面の挿通孔10cが形成されている。かかる基板10の上面10d上には、コンデンサ、コイル、コントローラ、ドライバIC及び電源用レギュレータ等の電子部品20を実装するものである。
【0025】
ここで、本実施形態における電子制御装置1で特に対象とする電子部品20は、上下方向の高さが横幅に比べて相対的に大きく、基板10に対して直立した姿勢を維持して実装されるいわゆる自立型の電子部品であって、典型的には、コンデンサやコイルといった電子部品である。かかる電子部品20につき、電解コンデンサを例に挙げて説明すると、コンデンサ等の機能部を収容して上下軸Cを中心軸とする円筒状の外装20cの底面20d側から下方に向かって、一対のリード20a、20bが延出している。
【0026】
更に、本実施形態における電子制御装置1においては、基板10と電子部品20とを連絡して電子部品20の振動を抑制する振動抑制部材30が設けられる。
【0027】
かかる振動抑制部材30は、ゴム等の弾性部材であり、上面30a及び下面30bを規定する平板状の装着部30cを有して、その上面30aが、接着や嵌合等の手段により、電子部品20の外装20cの底面20dに固定されて装着される。なお、振動抑制部材30の装着部30cの形状は、電子部品20の外装20cの底面20dの形状に整合的であり、外装20cの底面20dの形状が上面視で円形であれば、例えば外装20cの底面20dと同等か又はそれ以下の大きさの円形である。また、必要に応じて、振動抑制部材30の装着部30cの上面30aにおける周縁部から上方に延在する縦壁部を設けて、電子部品20の外装20cの円筒外面に沿わせてもよい。
【0028】
ここで、また、振動抑制部材30の装着部30cの下面30b側には、下面30bの中央部から下方に上下軸Cに沿って延在する凸部30dが一体的に設けられ、かかる凸部3
0dの周囲には、上面30a及び下面30bを対を成して上下方向に貫通する挿通孔32a、32bが形成されている。もちろん、必要に応じて、かかる凸部30dは、装着部30cと一体成形するのみならず、装着部30cとは別部品で構成して、接着や嵌合等の手段により、装着部30cに装着して一体的な構成としてもよい。
【0029】
より詳しくは、振動抑制部材30の装着部30cの下面30bから下方に延在する凸部30dは、基板10の挿通孔10cの断面形状に整合する断面形状を有するもので、上方から下方に延在するに従って径が小さくなるテーパ断面を有する。
【0030】
さて、以上の構成の電子制御装置1において、振動抑制部材30を介して、電子部品20を基板10に実装する際には、まず、振動抑制部材30を電子部品20に装着する。
【0031】
具体的には、振動抑制部材30の装着部30cの挿通孔32a、32bに、電子部品20のリード20a、20bを対応して挿通して装着部30cの下面30bから延出させた後、振動抑制部材30の装着部30cの上面30aを、電子部品20の外装20cの底面20dに固定して、振動抑制部材30を電子部品20に装着する。
【0032】
そして、かかる状態の電子部品20のリード20a、20bを、基板10の挿通孔10a、10bに対応して挿通しながら、振動抑制部材30の装着部30cの下面30bから下方に延在する凸部30dを、基板10の挿通孔10cに挿通して押し込んでいき、凸部30dを挿通孔10cに押し込み切った状態で、リード20a、20b及び凸部30dを、基板10の下方に延出させる。
【0033】
この際、振動抑制部材30の装着部30cに設けられた凸部30dは、基板10の挿通孔10cの断面形状に整合するテーパ状の断面形状を有するものであるため、基板10の挿通孔10cに押し込まれた凸部30dの外壁面が、基板10の挿通孔10cの内壁面に押圧されて接触した状態で、振動抑制部材30が、基板10に対して位置決めされて保持されることになる。
【0034】
よって、このように振動抑制部材30が、基板10に対して位置決めされて保持されることにより、電子部品20が、振動抑制部材30を介して、基板10に実装されることになる。なお、ここで、原理的には、実装部品20の基板10に対する荷重を主として受ける部分は、振動抑制部材30の装着部30cに設けられた凸部30dであり、振動抑制部材30の装着部30cの下面30bは、基板10の上面10dに接触していてもよいし、所定の公差内における微小な間隔で浮いていてもよい。また、必要に応じて、かかる凸部30dは、基板10の挿通孔10cに接着剤等を用いて接着されていてもよい。
【0035】
さて、ここで、以上の構成の電子制御装置1において、典型的には車両の振動のような振動が、基板10に印加される場合について検討する。
【0036】
具体的には、かかる場合、基板10に実装された電子部品20は、上下方向の高さが横幅に比べて相対的に大きく、その重心位置が基板10から相対的に離間した位置にあるため、電子部品20に生じ得る振動の振動モードは、上下軸Cに直交する方向に振動する横方向のモードが大きな振幅を持つ主モードVであると考えられる。
【0037】
この際、振動抑制部材30の装着部30cに設けられた凸部30dは、基板10の挿通孔10cの断面形状に整合するテーパ状の断面形状を有して、その外壁面が、基板10の挿通孔10cの内壁面に押圧されて接触した状態で保持されているので、基板10から実装部品20に印加される振動のエネルギを低減するのみならず、仮に電子部品20に振動モードVで示されるような横方向の振動が励起され得たとしても、その振動をも減衰させ
るように機能して、結果的に、基板10に実装された電子部品20の振動を効果的に抑制することになる。同時に、電子部品20のリード20a、20bの基板10に対する半田接合部に生じる応力を緩和し、不要の応力集中を低減する。
【0038】
また、以上の構成の電子制御装置1の振動抑制部材30の装着部30cに設けられた凸部30dについては、もちろん1つのみならず複数個適用することも可能であるので、かかる振動抑制部材30の凸部の配置パターンについては、以下のような変形例が考えられる。
【0039】
図2は、本実施形態の振動抑制部材を有する電子制御装置における振動抑制部材の凸部の配置パターンを示す概略横断面図であり、図2(a)から図2(f)に各種パターンを示し、いずれも位置的には図1のA−A断面に対応する。
【0040】
具体的には、図2(a)は、振動抑制部材30の装着部30cの凸部30dが、1つのみ設けられた例を示し、図1のA−A断面に相当するものであるが、これ以外にも、図2(b)から図2(f)に示す各種パターンが例示できる。
【0041】
例えば、図2(b)から図2(d)に示す構成例では、振動抑制部材30の装着部30cの中央に設けられた凸部30dに加えて、電子部品20のリード20a、20bを避けるような残余部分に、同様に振動抑制部材30の装着部30cの下面30bから下方に延在する凸部30eを複数個配置した構成を有する。このように付加する凸部30eは、凸部30dが、振動抑制部材30の装着部30cの中央において上下軸Cに沿って設けられることも考慮すれば、上下軸Cについて対称に設けることが、電子部品20の振動を抑制する機能上は効果的で好ましい。
【0042】
また、図2(e)及び図2(f)に示す構成例では、振動抑制部材30の装着部30cの中央に設けられた凸部30dを省略する一方で、電子部品20のリード20a、20bを避けるような残余部分に、同様に振動抑制部材30の装着部30cの下面30bから下方に延在する凸部30eを複数個配置した構成を有する。
【0043】
かかる種々の振動抑制部材30の凸部の配置パターンは、電子部品の種類や使用される環境条件において種々発生し得る振動モードに対応して、採用し得る効果的かつ現実的な選択肢を提供するものである。
【0044】
また、以上の構成の電子制御装置1における振動抑制部材30の装着部30cに設けられた凸部30dの横断面については、以下のような変形例が考えられる。
【0045】
図3は、本実施形態の振動抑制部材を有する電子制御装置における振動抑制部材の凸部の横断面図であり、図3(a)から図3(d)に各種パターンを示し、いずれも位置的には図1のA−A断面に対応して凸部のみ示したものである。
【0046】
例えば、図3(a)に示す構成例では、以上説明したようなテーパ状の縦断面を呈しながら横断面は円形である凸部30dを示しているが、図3(b)から図3(d)に示す構成例では、各々矩形状、十字状及びL字状の横断面を有する凸部30f、30g及び30hを示している。
【0047】
かかる種々の横断面を有する凸部のパターンも、電子部品の種類や使用される環境条件において種々発生し得る振動モードに対応して、採用し得る効果的かつ現実的な選択肢を提供するものである。なお、かかる種々の凸部の横断面のパターンは、図2(b)から図2(f)に示す複数個の凸部30eに適用できることはもちろんである。
【0048】
また、以上の構成の電子制御装置1における振動抑制部材30の装着部30cに設けられた凸部30dについては、基板10に連絡するのみならず、他の部材にも連絡し得るので、以下の図4及び図5で示すような変形例が考えられる。
【0049】
図4は、本実施形態の振動抑制部材を有する電子制御装置における変形例の縦断面図である。
【0050】
図4に示すように、本変形例の電子制御装置2では、基板10が樹脂製のケース40に装着され、基板10の下方にケース40の一部が配置されており、更に、かかる基板10の下方に配置されるケース40には、凹部40aが形成されていることが、以上説明した電子制御装置1の構成に対する主たる相違点であり、残余の構成は同様である。よって、本変形例においては、かかる相違点に着目して説明することとし、同様な構成については同一の符号を付して適宜説明を簡略化又は省略する。
【0051】
より詳しくは、電子制御装置2における振動抑制部材30の装着部30cの下面30bから下方に延在する凸部30iは、電子制御装置1における凸部30dよりも下方に延長されており、ケース40に形成された凹部40aの断面形状は、かかる凸部30iの断面形状に整合するような上方から下方に向かって径が小さくなるテーパ断面である。
【0052】
かかる構成の電子制御装置2においては、電子部品20が、振動抑制部材30を介して、基板10に実装されると共に、振動抑制部材30の装着部30cの下面30bから下方に延在する凸部30iの下端部が、ケース40に形成された凹部40aに侵入して嵌合されることになる。
【0053】
よって、車両の振動のような振動が、基板10に印加される場合においては、振動抑制部材30の装着部30cに設けられた凸部30iの外壁面が、基板10の挿通孔10cの内壁面に押圧されて接触した状態で保持されることに加えて、その下端部が、ケース40に形成された凹部40aに侵入して嵌合されて保持されるものであるため、基板10に実装された電子部品20の振動をより効果的に抑制することになる。
【0054】
図5は、本実施形態の振動抑制部材を有する電子制御装置における別の変形例の縦断面図である。
【0055】
図5に示すように、本変形例の電子制御装置3では、基板10の下方に第2の基板50が配置されており、更に、かかる第2の基板50には、それを上下に貫通する挿通孔50aが形成されていることが、以上説明した電子制御装置1の構成に対する主たる相違点であり、残余の構成は同様である。よって、本変形例においては、かかる相違点に着目して説明することとし、同様な構成については同一の符号を付して適宜説明を簡略化又は省略する。
【0056】
より詳しくは、電子制御装置3における振動抑制部材30の装着部30cの下面30bから下方に延在する凸部30iは、電子制御装置1における凸部30dよりも下方に延長されており、第2の基板50に形成された挿通孔50aの断面形状は、かかる凸部30iの断面形状に整合するような上方から下方に向かって径が小さくなるテーパ断面である。
【0057】
かかる構成の電子制御装置3においては、電子部品20が、振動抑制部材30を介して、基板10に実装されると共に、振動抑制部材30の装着部30cの下面30bから下方に延在する凸部30iの下端部が、第2の基板50に形成された挿通孔50aに侵入して貫通することになる。
【0058】
よって、車両の振動のような振動が、基板10に印加される場合においては、振動抑制部材30の装着部30cに設けられた凸部30iの外壁面が、基板10の挿通孔10cの内壁面に押圧されて接触した状態で保持されることに加えて、その下端部が、第2の基板50に形成された挿通孔50aに侵入してその内壁面に押圧されて接触した状態で保持されるものであるため、基板10に実装された電子部品20の振動をより効果的に抑制することになる。
【0059】
更に、かかる振動抑制部材30を、導電性のゴム等の弾性部材で構成しておけば、振動抑制部材30を介して、基板10と第2の基板50との間の電気的な導通をも得ることが可能となる。
【0060】
なお、図4で示す変形例の電子制御装置3及び図5で示す変形例の電子制御装置4に対して、図2(a)から図2(f)に示す振動抑制部材の凸部の各種配置パターン及び図3(a)から図3(d)に示す振動抑制部材の凸部の各種横断面のパターンを適用できることはもちろんである。
【0061】
以上の変形例を含む本実施形態の構成によれば、振動抑制部材が、基板と電子部品とを連絡し、基板の振動が電子部品に伝達されて電子部品が振動する際に、電子部品の振動に連動することにより、電子部品の振動を確実に抑制することができ、併せて電子部品のリード等の基板に対する半田接合部への応力の集中を確実に低減することができる。
【0062】
更に、振動抑制部材が、基板と接触する凸部を有し、凸部が、基板に設けられた挿通孔に挿入されながら基板と接触することにより、電子部品の振動を確実に抑制し、かつ電子部品のリード等の基板に対する半田接合部への応力の集中を確実に低減すると共に、電子部品を基板に対して確実に位置決めすることができる。
【0063】
また、以上の本実施形態の変形例の構成によれば、振動抑制部材の凸部を、複数個備えることにより、基板に対する電子部品の減衰性をより高めることができ、電子部品の振動を一層確実に抑制することができる。
【0064】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態における振動抑制部材を有する電子制御装置につき、図6をも参照して、詳細に説明する。
【0065】
図6は、本実施形態の振動抑制部材を有する電子制御装置の縦断面図である。
【0066】
図6に示すように、本変形例の電子制御装置4では、振動抑制部材60の構成が、振動抑制部材30の構成から異なっていることが、第1の実施形態における電子制御装置1の構成に対する主たる相違点であり、残余の構成は同様である。よって、本実施形態においては、かかる相違点に着目して説明することとし、同様な構成については同一の符号を付して適宜説明を簡略化又は省略する。
【0067】
より詳しくは、電子制御装置4における振動抑制部材60は、ゴム等の弾性部材であり、上面60a及び下面60bを有する装着部60cを有する一方で、装着部60cの一部の上下方向の厚さが拡大されて下方に突出する台座部60dを成しており、装着部60cにおける台座部60dが下面60bを規定することになる。なお、装着部60cの上面60aは、接着や嵌合等の手段により、電子部品20の外装20cの底面20dに固定されて装着される。
【0068】
ここで、また、振動抑制部材60の装着部60cにおける台座部60dの下面60b側には、下面60bの中央部から下方に上下軸Cに沿って延在する凸部60eが一体的に設けられ、かかる凸部60eの周囲には、上面60a及び下面60bを対を成して上下方向に貫通する挿通孔62a、62bが形成されている。もちろん、必要に応じて、かかる凸部60eは、装着部60cの台座部60dと一体成形するのみならず、台座部60dとは別部品で構成して、接着や嵌合等の手段により、台座部60dに装着して一体的な構成としてもよい。
【0069】
かかる振動抑制部材60の装着部60cにおける台座部60dの下面60bから下方に延在する凸部60eは、基板10の挿通孔10cの断面形状に整合する断面形状を有するもので、上方から下方に延在するに従って径が小さくなるテーパ断面を有する。
【0070】
さて、以上の構成の電子制御装置4において、振動抑制部材60を介して、電子部品20を基板10に実装する際には、まず、振動抑制部材60の装着部60cの挿通孔62a、62bに、電子部品20のリード20a、20bを対応して挿通しながら装着部60cにおける台座部60dの下面60bから延出させた後、装着部60cの上面60aを、電子部品20の外装20cの底面20dに固定して、振動抑制部材60を電子部品20に装着する。
【0071】
そして、かかる状態の電子部品20のリード20a、20bを、基板10の挿通孔10a、10bに対応して挿通しながら、振動抑制部材60の装着部60cにおける台座部60dの下面60bから下方に延在する凸部60eを、基板10の挿通孔10cに挿通して押し込んでいき、凸部60eを挿通孔10cに押し込み切った状態で、リード20a、20b及び凸部60eを、基板10の下方に延出させる。
【0072】
この際、振動抑制部材60の装着部60cにおける台座部60dに設けられた凸部60eは、基板10の挿通孔10cの断面形状に整合するテーパ状の断面形状を有するものであるため、基板10の挿通孔10cに押し込まれた凸部60eの外壁面が、基板10の挿通孔10cの内壁面に押圧されて接触した状態で、振動抑制部材60が、基板10に対して位置決めされて保持されることになる。同時に、かかる台座部60dの下面60bは、基板10の上面10dに当接している。
【0073】
よって、このように振動抑制部材60が、基板10に対して当接しながら位置決めされて保持されることにより、電子部品20が、振動抑制部材60を介して、基板10に対して不要に浮き上がることなく実装されることになる。
【0074】
また、以上の構成の電子制御装置4において、典型的には車両の振動のような振動が、基板10に印加される場合、振動抑制部材60の装着部60cにおける台座部60dに設けられた凸部60eの外壁面が、基板10の挿通孔10cの内壁面に押圧されて接触した状態で保持されているので、基板10から実装部品20に印加される振動のエネルギを低減すると共に、電子部品20に振動モードVで示されるような横方向の振動が励起され得たとしても、その振動をも減衰させるように機能して、結果的に、基板10に実装された電子部品20の振動を効果的に抑制することになる。同時に、基板10に振動が印加された状態であっても、かかる台座部60dの下面60bが、基板10の上面10dに当接しているため、電子部品20が、基板10に対して不要に浮き上がることはない。
【0075】
さて、以上の構成の電子制御装置4において、振動抑制部材60の装着部60cの台座部60dに設けられた凸部60eは、基板10に形成された挿通孔10cに圧入される圧入部を有する凸部に変更することができるため、以下のような変形例が考えられる。
【0076】
図7は、本実施形態の振動抑制部材を有する電子制御装置における変形例の縦断面図であり、図7(a)から図7(g)に各種構成例を示す。
【0077】
図7(a)に示す変形例では、振動抑制部材60の装着部60cの台座部60dに設けられた凸部60fの径が、基板10に形成された挿通孔10cの径に対して所定の長さほど大きく設定され、凸部60fが挿通孔10cに圧入されて保持される。
【0078】
また、図7(b)及びそのB−B断面図である図7(c)に示す変形例では、図7(a)に示す変形例における凸部60fに対して部分的に大径部60hが形成されて他部が小径部であることが相違する凸部60gが設けられ、図7(d)及びそのC−C断面図である図7(e)に示す変形例では、図7(a)に示す変形例における凸部60fに対して部分的に径方向に張り出した張り出し部60jが形成されて他部が小径部であることが相違する凸部60iが設けられている。つまり、かかる変形例における凸部60gや凸部60iでは、図7(a)に示す凸部60fよりも、圧入力の調整が自在になる。
【0079】
また、図7(f)に示す変形例では、図7(a)に示す変形例における凸部60fに対して係止部60lが形成されたことが相違する凸部60kが設けられ、図7(g)に示す変形例では、図7(a)に示す変形例における凸部60fに対して係止部60nが形成された割ピン型であることが相違する凸部60mが設けられている。つまり、かかる変形例における凸部60kや凸部60mでは、図7(a)に示す凸部60fよりも装着が確実となり、図7(g)に示す凸部60mでは、図7(f)に示す凸部60kよりも圧入が容易になる。
【0080】
なお、かかる図7で示す圧入型の各種凸部は、変形例を含む第1の実施形態における台座部を有さない構成の振動抑制部材に対して、必要に応じて適用できることはもちろんである。
【0081】
以上の変形例を含む本実施形態の構成によれば、振動抑制部材の凸部が、振動抑制部材に設けられた台座部から基板の挿通孔内に延在することにより、台座部が基板の上面を抑えることができて、電子部品の不要な浮き上がりを防止しながら、電子部品の振動を確実に抑制することができる。
【0082】
また、以上の本実施形態の変形例の構成によれば、振動抑制部材の凸部が、基板の挿通孔に圧入される圧入部を有することにより、基板に対する電子部品の減衰性を高めることができ、電子部品の振動をより確実に抑制することができる。
【0083】
なお、本発明は、部材の種類、配置、個数等は前述の実施形態に限定されるものではなく、その構成要素を同等の作用効果を奏するものに適宜置換する等、発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることはもちろんである。
【産業上の利用可能性】
【0084】
以上のように、本発明においては、簡便な構成で、自立型電子部品の振動を抑制することが可能な振動抑制部材を有する電子制御装置を提供することができるものであり、その汎用普遍的な性格から車両等に搭載される電子制御装置に広範に適用され得るものと期待される。
【符号の説明】
【0085】
1………電子制御装置
2………電子制御装置
3………電子制御装置
4………電子制御装置
10……基板
10a…挿通孔
10b…挿通孔
10c…挿通孔
10d…上面
20……電子部品
20a…リード
20b…リード
20c…外装
20d…底面
30……振動抑制部材
30a…上面
30b…下面
30c…装着部
30d…凸部
30e…凸部
30f…凸部
30g…凸部
30h…凸部
30i…凸部
32a…挿通孔
32b…挿通孔
40……ケース
40a…凹部
50……第2の基板
50a…挿通孔
60……振動抑制部材
60a…上面
60b…下面
60c…装着部
60d…台座部
60e…凸部
60f…凸部
60g…凸部
60h…大径部
60i…凸部
60j…張出し部
60k…凸部
60l…係止部
60m…凸部
60n…係止部
62a…挿通孔
62b…挿通孔


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板に立設されて実装される自立型の電子部品と、
前記基板と前記電子部品とを連絡して前記電子部品の振動を抑制する振動抑制部材と、を備え、
前記振動抑制部材は、前記基板の振動が前記電子部品に伝達されて前記電子部品が振動する際に、前記電子部品の振動に連動することを特徴とする電子制御装置。
【請求項2】
前記振動抑制部材は、前記基板と接触する凸部を有し、前記振動抑制部材の前記凸部は、前記基板に設けられた挿通孔に挿入されながら前記基板と接触することを特徴とする請求項1に記載の電子制御装置。
【請求項3】
前記振動抑制部材は、前記基板と当接する台座部を有し、前記凸部は、前記台座部から前記基板に向けて延在することを特徴とする請求項2に記載の電子制御装置。
【請求項4】
前記振動抑制部材の前記凸部は、前記基板の前記挿通孔に圧入される圧入部を有することを特徴とする請求項2又は3に記載の電子制御装置。
【請求項5】
前記振動抑制部材の前記凸部は、複数個備えられていることを特徴とする請求項2から4のいずれかに記載の電子制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−287772(P2010−287772A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−141185(P2009−141185)
【出願日】平成21年6月12日(2009.6.12)
【出願人】(000141901)株式会社ケーヒン (1,140)
【Fターム(参考)】