説明

振動発電デバイス

【課題】共振周波数が制御可能で、かつ曲面形状においても振動エネルギーを取り出すことのできる振動発電デバイスを提供する。
【解決手段】振動発電デバイスは、振動発電素子1と、少なくとも一方の面に振動発電素子1を設け、曲面形状を有した支持基板2と、支持基板2と振動発電素子1とを内部に備え、支持基板2を固定し、支持基板2と同一方向に曲面形状を有した筺体4とを備え、支持基板2の剛性は、筺体4の剛性よりも小さい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動等の運動エネルギーを電気エネルギーへ変換する振動発電デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
地球温暖化の要因となっているCO2の排出量を削減するための方策の一つとして、太陽光、地熱、風力、又は潮汐等のエネルギーを電気エネルギーへ変換して利用する環境発電が注目されている。
【0003】
携帯機器等においても、利用者が使い易いような高性能化、小型化、薄型化、及び軽量化を図った上で、充電頻度を減らすなどの電源供給の確保が求められている。
【0004】
また携帯機器は、高性能化に伴って用途が拡大すると共に利用時間が長時間に亙るようになり、要求される電力需要は増加の一途を辿っている。しかし、携帯機器の電源として使用されているリチウムイオン等の電池容量は殆ど増加しておらず、ユビキタス環境での電力供給に対する期待は非常に大きい。
【0005】
ユビキタス環境での電力供給に関し、機械的な振動エネルギーから電力を取り出す発明が、特許文献1で提案されている。特許文献1に記載されている圧電型発電機構は、両端が保持された棒状のバネ材の中央部付近にアンバランスな質量モーメントを形成する振動子と、変形により電力の発電をする圧電素子とを備えている。そして、外部から振動を受けて、振動子の質量によってバネ材がねじれ振動を励起した際に、圧電素子が0.1〜0.6μWの電力を発電する。
【0006】
特許文献1で提案されている圧電型発電機構は、ビルや橋梁などの建造物等に設置することによって、当該建造物が、風や周辺の移動体の通過により低い周波数で振動した際に、圧電型発電機構が電力を発電することができる。そして特許文献1では、その発電した電力を建造物に取り付けた加速度センサやひずみセンサ用の電源に用いることによって、長期的に建造物等に加わる応力等をモニタリングすることが可能となり、建造物に発生し得る損傷などを予測することができるとしている。
【0007】
また近年では機械的な振動エネルギーから効率よく電力を取り出すために、機械的エネルギーの振動周波数に合わせて、振動体(振動子)の共振周波数を変える技術が求められている。
【0008】
例えば、特許文献2で提案されている振動発電装置では、振動体の一端を固定するとともに、他端に可動磁石とこれに対向した固定磁石を設けている。そして、振動体の端部に設けたコイルバネの剛性を変化させ伸縮させることにより、可動磁石と固定磁石との距離を可変とすることで、振動体の共振周波数を制御する記載がされている、
また特許文献3では、振動エネルギーより電気エネルギーに変換された出力値を検出を行っている。そして検出した電気エネルギーに基づいて、振動体にとりつけられたばねのばね定数kや減衰係数cを変化させることで共振周波数を制御し、電気エネルギーの出力を最大に設定する記載がされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】WO2008/053835号
【特許文献2】特開2001−157433号公報
【特許文献3】特表2008−536470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記の発電デバイスは、様々な分野に適用され始めており、薄型や小型だけでなく、曲面形状において振動エネルギーから電力を取り出すことが求められている。しかし、特許文献2および3に記載の実装構造は、直線形状の筐体を想定したものであり、曲面状に適用した場合、デットスペースが大きくなり装置が厚くなってしまうという問題点があった。
【0011】
また振動エネルギーを電力エネルギーへ変換する場合、振動エネルギーは決まった周波数、振幅ではなく、また継続して与えられるものでもない。そのため、特許文献3に記載されている電気エネルギーの出力値をフィードバックして、周波数を制御するシステムは、効果が小さく、出力精度の点においても問題があった。
【0012】
本発明の目的は、上述した課題を解決する振動発電デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明における振動発電デバイスは、圧電素子と、少なくとも一方の面に圧電素子を設け、曲面形状を有した支持基板と、支持基板と圧電素子とを内部に備え、支持基板を固定し、支持基板と同一方向に曲面形状を有した筺体とを備え、支持基板の剛性は、筺体の剛性よりも小さいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明よれば、共振周波数が制御可能で、かつ曲面形状においても振動エネルギーを取り出すことのできる振動発電デバイスを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1実施形態における振動発電デバイスの平面図である。
【図2】第1実施形態における振動発電デバイスの断面図である。
【図3】第1実施形態における振動発電素子と支持基板の接続関係を示す斜視図である。
【図4】第2実施形態における振動発電デバイスの平面図である。
【図5】第3実施形態における振動発電デバイスの平面図である。
【図6】第4実施形態における振動発電デバイスの平面図である。
【図7】第4実施形態における振動発電デバイスの断面図である。
【図8】第4実施形態における振動発電素子と支持基板の接続関係を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
〔第1の実施形態〕以下に、本発明を実施するための好ましい形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい限定がされているが、発明の範囲を以下に限定するものではない。
【0017】
〔構成の説明〕図1は本実施形態の構成を示す平面図であり、図2は図1における断面図である。図1、および図2に示すように、本実施形態における振動発電デバイス10は、振動発電素子1と、支持基板2と、基板固定部3、筐体4とを少なくとも備えている。なお理解しやすいように、図1では筺体4中に設けている部品も実線で示している。また図2は、湾曲した支持基板2に沿ったA−A´の断面図である。
【0018】
振動発電素子1は、振動エネルギーを電気エネルギーに変換するものであれ特に限定されない。本実施形態における振動発電素子1は、薄膜フィルム状の強誘電体の表裏面に電極を形成した薄膜圧電フィルムを用いている。振動発電素子1は、導電性接着剤など導電性ペーストなどにより、支持基板2の中央部と電気的に接続している。
【0019】
支持基板2は平面形状であり、少なくとも一方の面における中央部に振動発電素子1を搭載している。そして支持基板2は、少なくとも一部に2次曲面を有している。2次曲面は、支持基板2の両端部が振動発電素子1を搭載している面方向のどちらか一方に湾曲した形状である。言い換えると、支持基板2の両端部は、所定の曲率半径で一方の方向に湾曲しており、支持基板2の湾曲方向に対して垂直方向の面に振動発電素子1を搭載している。
【0020】
支持基板2は、ガラスエポキシ基板などの一般的な配線基板でも良いし、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂)、PET(ポリエステル)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、PC(ポリカーボネート)、PI(ポリイミド)、PTFE(ポリテトラフルオロチエン)、などの絶縁板上に導電性ペースト等を印刷、焼結させて配線を形成しても良い。
【0021】
図3は、振動発電素子1と支持基板2との接続関係を示す斜視図である。図3に示すように、振動発電素子1は、支持基板2の湾曲方向に対して垂直方向の面に搭載されているため、振動方向についても、矢印に示すように支持基板2の湾曲方向に対して垂直方向に振動する。そのため、支持基板2は、湾曲方向における厚さを大きくして、湾曲方向に垂直方向の厚さを小さくする形状としたほうが、振動させるのには好ましい。なお、支持基板2の湾曲面は、内側と外側とが同じ曲率半径の曲面であることが好ましい。
【0022】
筐体4は、支持基板2と同じ方向に湾曲した2次曲面を有した形状であり、内部に振動発電素子1と支持基板2とを設けている。支持基板2は、少なくとも2点の基板固定部3において筐体4と接続している。基板固定部3は、支持基板2に設けられた貫通孔を介してねじ止めにより筐体4と固定されている。
【0023】
支持基板2の曲げ剛性は、筐体4の曲げ剛性よりも小さい。また支持基板2の曲率半径は筐体4の曲率半径よりも小さい。支持基板2は、振動発電素子1を搭載する領域の近傍と、基板固定部3近傍に電極パッド(図示しない)を設けている。
【0024】
筐体4は、内部にセンサデバイスや無線通信デバイス、アンテナを設けてもよい。また、振動発電素子1により生じた交流電圧を直流電圧に変換する整流回路、直流電圧を安定化させるレギュレータ、直流電圧を所定の電圧に電圧変換する電圧コンバータ、電圧変換後の電荷を蓄電する蓄電手段を設けていてもよい。その他、電圧を調節する機器電源コントローラを搭載した電子基板や、液晶や電子ペーパーなどの表示デバイスやキースイッチ、タッチパネルなどの入力デバイスについても備えることができる(図示せず)。
【0025】
振動発電デバイス10と上記の電子基板とは、直接配線ケーブルにより接続しても良いが、振動発電デバイス10の近傍は振動変位量が大きいため、振動変位量の小さい基板固定部3近傍で接続することが好ましい。また、支持基板2と電子基板を共通化、すなわち、電子基板上に振動発電デバイス10を搭載しても良い。しかし上記の場合、電子基板を積極的に振動させることにより他の実装部品に不具合が発生することが懸念されるため、部品レイアウト等に制約を設けるとよい。
【0026】
〔作用の説明〕本実施形態の振動発電デバイス10は、機械的エネルギー(振動エネルギー)により、支持基板2が湾曲している方向に対して垂直方向に振動する。つまり支持基板2は、振動発電素子1を搭載している面で振動を行う。そして振動発電素子1は、振動を電気エネルギーに変換する。
【0027】
支持基板2は、筺体4より剛性が小さいため、支持基板2に比べて容易に形状を変化させることができる。例えば外部から所定の力を加えて筐体4を変形させ、曲率半径を変えたとしても、支持基板2は破損や筺体4と接触することはなく、容易に変形することができ曲率半径を変えることができる。
【0028】
その結果、支持基板2の曲率半径を変えることで、支持基板2の形状変化、外周に発生する引っ張り応力、及び、内周に発生する圧縮応力などにより、支持基板2の共振周波数を容易に変更することが出来る。つまり支持基板2が振動する共振周波数は、支持基板2の曲率半径により、制御することができる。
【0029】
〔効果の説明〕本実施形態における振動発電デバイス10は、少なくとも一部に曲面形状を有する筐体4の曲率半径を変化させることにより、支持基板2の曲率半径を変化させ、容易に振動発電デバイス10の振動特性を変えることができる。そのため振動発電デバイス10は、設置場所や周囲の状況により変動する振動エネルギーを、効率よく電気エネルギーに変換することができる。
【0030】
また支持基板2の曲率半径は、筐体4の曲率半径よりも小さい。そのため、支持基板2の基板固定部3間の円弧長は、筐体4の基板固定部3間の円弧長よりも長い。その結果、筐体4内の空間を有効に使うことができ、より低周波数の共振周波数に適応することが出来る。
【0031】
したがって本実施形態における振動発電デバイス10は、利用者に電池交換など発電のための動作を強いることなく、小型機器などにおいても使用することが出来る。例えば、人間の健康状態をモニタリングするウェアラブルセンサにおいても適用することができる。
【0032】
以下、ウェアラブルセンサに適用した場合の効果について、詳細に説明する。ウェアラブルセンサとは、脈拍、血圧、血流、血中飽和酸素濃度(SpO2)、心電、体温などのバイタル情報を計測できるセンサ類と取得情報を送信する無線機能を搭載した、腕時計型や指輪型、あるいは、絆創膏型などの小型機器である。
【0033】
ウェアラブルセンサは、人間のバイタル情報を継続的にモニタリングすることにより、傷病の早期発見や治療後のケアなど遠隔医療の発展に大きく貢献することができる。しかし、現在提案されているウェアラブルセンサは、いずれもボタン電池を電力源としたものであり、数日置きの電池交換作業が普及の大きな妨げになっており、これら機器の自立動作を可能とするような発電システムが必要とされている。
【0034】
またウェアラブルセンサのように身体に装着する小型機器は、一般的にその形状は身体との親和性を担保するために曲面形状を有しており、さらに違和感無く装着するためには、薄型であることも必要条件であった。
【0035】
本実施例における振動発電デバイス10は、筐体4の曲面形状の曲率半径を変化させることにより、容易に振動発電デバイス10の振動特性を変えることができる。そのため、振動発電デバイス10の装着位置や状況により変動する振動特性を、筐体の曲率半径を変化させ振動特性を制御することにより効率よく電気エネルギーに変換することができる。つまり、利用者に電池交換など発電のための動作を強いることなく、曲面形状を有するウェアラブルセンサ等においても薄型の発電システムを提供することができる。
【0036】
例えば、本実施形態における振動発電デバイス10を人体の足首に装着しバイタル情報をモニタするウェアラブルセンサに適用することができる。足首の形状は同心円状ではなく、前後の曲率半径は小さく、側面の曲率半径は大きい。そのため振動発電デバイス10を装着する位置を変えることにより、筐体4の2次曲面の曲率半径を変え、支持基板2の共振周波数を変えることが出来る。
【0037】
一般的に、歩行時に発生する振動エネルギーの周波数は、走行時に発生する振動エネルギーの周波数より低い。そこで歩行時には振動発電デバイス10を側面に来る位置に装着して共振周波数を下げ、走行時には振動発電デバイス10を前面あるいは後面に来る位置に装着して共振周波数を上げることで、効率よく発電することが可能となる。
【0038】
〔第2の実施形態〕次に第2の実施形態について説明をする。図4は本実施形態に関する振動発電デバイス10の平面図である。
【0039】
〔構造の説明〕本実施形態の振動発電デバイス10は、図4に示すように、第1の実施形態と異なる点は、回転ヒンジ5を備えている点である。それ以外の構成・接続関係は、第1の実施形態と同様である。つまり、第2の実施形態の振動発電デバイス10は、支持基板2と、基板固定部3と、筐体4とを備えている。
【0040】
図4に示すように、本実施形態における振動発電デバイス10は、筺体4の湾曲面の内側であって、しかも基板固定部3の間に回転ヒンジ5を設けている。筐体4は、回転ヒンジ5を中心として回転し、折り曲げることができる。
【0041】
〔作用・効果の説明〕本実施形態における振動発電デバイス10は、筐体4に回転ヒンジ5を設けることにより、筐体4の抗折応力を任意に設定することができる。つまり筐体4は、回転ヒンジ5を設けることで容易に形状を変化させて曲率半径を調整することができるため、支持基板2の曲率半径についても容易に制御することができる。その結果、振動発電デバイス10は共振周波数の調整が可能となる。
【0042】
また振動発電デバイス10は、回転ヒンジを設けることで形状を変化が容易となるため、支持基板2や筐体4を構成する材料、実装構造の設計自由度が高くなる。つまり、筺体4は剛性が大きい材料を用いたとしても、容易に形状を変形することができ、また変形した形状を維持することができる。ここでは、デザイン性、安全性の点から、回転ヒンジ5を覆うように保護テープ6を設けてもよい。
【0043】
〔第3の実施形態〕次に第3の実施形態について説明をする。図5は本実施形態に関する振動発電デバイス10の平面図である。
【0044】
〔構造の説明〕本実施形態の振動発電デバイス10は、図5に示すように、第1の実施形態と異なる点は、支持基板2の形状である。それ以外の構成・接続関係は、第1の実施形態と同様である。つまり、第2の実施形態の振動発電デバイス10は、支持基板2と、基板固定部3と、筐体4とを備えている。
【0045】
本実施形態における振動発電デバイス10の支持基板2は、筐体4の内部に設けられており、筐体4が有する2次曲面に沿った多角形状である。支持基板2は、筐体4が有する2次曲面の外周側に向かって突出した形状であればよい。
【0046】
また支持基板4は、両端部に設けられた基板固定部3にといて筐体4と接続している。そして、支持基板4の基板固定部3の間の距離は、筐体4の基板固定部3の間の円弧長より長さが長ければよい。
【0047】
〔作用・効果の説明〕本実施形態における振動発電デバイス10は、上記構造により支持基板2が曲面形状でなくても多角形状であっても同様の効果を得ることができる。その結果、筐体4内の他の実装部品のレイアウト上の問題で、支持基板2を曲面形状とすることが出来ない場合、多角形状を用いることで、筺体4内部の高密度化や、装置全体の更なる小型化を実現することができる。
【0048】
〔第4の実施形態〕次に第4の実施形態について説明をする。図6は本実施形態に関する振動発電デバイス10の平面図であり、図7は断面図である。理解しやすいように、図6では筺体4中に設けている部品も実線で示している。また図7では、湾曲した支持基板2に沿ったB−B´の断面図であり、湾曲方向の外側から見た図である。
【0049】
〔構造の説明〕本実施形態の振動発電デバイス10は、図6、図7に示すように、第1の実施形態と異なる点は、支持基板2における振動発電素子1が搭載されている箇所である。それ以外の構成・接続関係は、第1の実施形態と同様である。つまり、第2の実施形態の振動発電デバイス10は、支持基板2と、基板固定部3と、筐体4とを備えている。
【0050】
本実施形態における振動発電デバイス10は、支持基板2が2次曲面を有しており、2次曲面の外側の面に振動発電素子1を設けている。なお図示していないが、支持基板2の内側の面に設けてもよい。つまり支持基板2が湾曲している方向の面に振動発電素子1を設けている。
【0051】
図8は、振動発電素子1と支持基板2との接続関係を示す斜視図である。図8に示すように、振動発電素子1は、支持基板2の湾曲方向における外側の面に搭載されているため、振動方向についても、矢印に示すように支持基板2の湾曲方向に振動する。そのため、支持基板2は、湾曲方向における厚さを小さくして、湾曲方向に対して垂直方向の厚さを大きくしたほうが、振動させるには好ましい。
【0052】
〔作用・効果の説明〕本実施形態における振動発電デバイス10は、振動エネルギーが加えられると、支持基板2が湾曲している方向に振動が発生し、振動発電素子1において電気エネルギーに変換する。
【0053】
振動発電デバイス10は、装着性を良くするために、筐体4の2次曲面形状の厚さ方向は小さくする必要があるが、長さ方向には大きな制約を設ける必要は無い。図6に示すような本実施形態の振動発電デバイス10は、機械的エネルギーは支持基板2が有する2次曲面の湾曲方向に与えられる。そのため振動発電デバイス10の厚さ方向を小さくできるとともに、支持基板2の長さ方向を長くすることが可能であるため、発電量を増大することが可能となる。
【0054】
また、上述の実装構造の場合、支持基板2の曲げ剛性が閾値を超えると挫屈変形を行うため著しく共振周波数が高くなる。この特性を利用して、必要となる共振周波数を大きく変化することなどもできる。
【0055】
なお、本発明は上記実施形態の構成にのみ制限されるものでなく、本発明の範囲内で当業者であればなし得ることができる各種変形、修正を含むことは勿論である。例えば、振動発電デバイス10の搭載数は一つに限らす複数搭載しても良い。また、搭載位置も支持基板の中央に限定するものではなく、振動エネルギーの強く発生する位置に搭載した方が良い。
【符号の説明】
【0056】
1 振動発電素子
2 支持基板
3 基板固定部
4 筺体
5 回転ヒンジ
6 保護テープ
10 振動発電デバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動発電素子と、
少なくとも一方の面に前記振動発電素子を設け、曲面形状を有した支持基板と、
前記支持基板と前記振動発電素子とを内部に備え、前記支持基板を固定し、前記支持基板と同一方向に曲面形状を有した筺体とを備え、
前記支持基板の剛性は、前記筺体の剛性よりも小さいことを特徴とする振動発電デバイス。
【請求項2】
前記支持基板と前記筺体とを少なくとも2点で固定する基板固定部を設け、
前記支持基板における前記基板固定部の間の長さは、前記筺体における前記基板固定部の間の長さより長いことを特徴とする請求項1に記載の振動発電デバイス。
【請求項3】
前記曲面は、2次曲面であることを特徴とする請求項2に記載の振動発電デバイス。
【請求項4】
前記支持基板の曲率半径は、前記筺体の曲率半径より小さいことを特徴とする請求項3に記載の振動発電デバイス。
【請求項5】
前記支持基板は、前記筺体が有する2次曲面の湾曲方向に突出した多角形であることを特徴とする請求項3に記載の振動発電デバイス。
【請求項6】
前記筺体は、前記基板固定部の間に回転ヒンジを設けていることを特徴とする請求項1乃至5に記載の振動発電デバイス。
【請求項7】
前記支持基板は、2次曲面の湾曲方向に対して垂直方向の面に、前記振動発電素子を搭載していることを特徴とする請求項1乃至6に記載の振動発電デバイス。
【請求項8】
前記支持基板は、2次曲面の湾曲方向における外側、あるいは内側の面に前記振動発電素子を搭載していることを特徴とする請求項1乃至6に記載の振動発電デバイス。
【請求項9】
前記支持基板は、電子基板であることを特徴とする請求項1乃至8に記載の振動発電デバイス。
【請求項10】
前記筺体および前記支持基板の形状を変化させることで、共振周波数を変化することを特徴とする請求項1乃至9に記載の振動発電デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−104691(P2012−104691A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−252658(P2010−252658)
【出願日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)