説明

振動篩装置、樹脂含有物質の製造方法及び電子写真用トナー

【課題】超音波振動が付与される篩部材で、篩分け対象の粉体に新たな凝集体が発生することを抑制することができる振動篩装置、この振動篩装置を篩別工程に用いる樹脂含有物質の製造方法、及び、樹脂含有物質の製造方法を用いて製造されたトナーを提供する。
【解決手段】篩部材2と、篩部材2に対して粉体の篩分けを行うための運動を付与する振動モータ6などの篩別運動付与手段と、受信した超音波信号を超音波振動に変換して、篩部材2に付与する超音波振動変換器8と、超音波振動変換器8に超音波信号を発信する超音波発信装置7とを有する振動篩装置100において、超音波発信装置7の温度上昇を抑制する上部ガラリ9及び下部ガラリ10などの発信装置温度上昇抑制手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に用いられるトナーやその原材料等の粉体を篩分けする振動篩装置、その振動篩装置を篩別工程に用いる低融点樹脂含有物質の製造方法、及び、この樹脂含有物質の製造方法によって製造された電子写真用トナーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真法などの静電荷像を経て画像情報を可視化する方法は、現在様々な分野で利用されている。
電子写真法では、帯電、露光工程を経て感光体上に静電潜像を形成し、トナーを含む現像剤で静電潜像をトナー画像に現像し、トナー画像を転写、定着する工程を経て可視化している。
ここで用いる現像剤には、トナーとキャリアからなる二成分現像剤と、磁性トナーまたは非磁性トナーを単独で用いる一成分現像剤とが知られているが、いずれにしてもトナーが重要な主成分である。
近年、電子写真法により得られた画像の高画質化を目的として、小粒径の電子写真用トナーが主流になりつつある。トナーを製造する方法としては、粉砕方法の乾式製法や、乳化重合凝集法、懸濁重合法、液中乾燥法及び転相乳化法等の湿式製法が存在する。
粉砕法では、結着樹脂、離型剤、着色剤、及び必要に応じて添加させる荷電制御剤等の材料を、加圧ニーダーやエクストルーダーまたはメディア分散機を用い均一に混合・分散せしめる。その後、機械的またはジェット気流下でターゲットに衝突させ、所望のトナー粒径に微粉砕化せしめ、その後、更に分級して粒度分布をシャープ化し、所望の粒径のトナー粒子を得ている。
【0003】
このように、電子写真法に用いられるトナーは、結着樹脂、着色剤等から構成されるが、トナーの流動性を向上させるために、トナー粒子に更に無機微粒子を外添剤として混合させたものも多い。この無機微粒子の外添によって充分なトナーの流動性が得られ、白抜け等を抑制し、高品質な画像を得られる。
【0004】
しかしながら、トナー粒子と外添剤とを攪拌・混合する外添混合処理工程において、高速攪拌での発熱、粒子の衝突等により、トナー粒子同士の凝集、トナーと外添剤との凝集、外添剤同士の凝集が起こり、トナーの凝集物が生成される場合がある。
また、湿式製法では粉砕法には無い問題点として、乳化、懸濁や乾燥の工程等で発生する粒子同士の凝集体や、乳化、懸濁容器、反応容器、攪拌翼等に付着する固着分に起因する板状の粗大粒子の発生が挙げられる。
【0005】
これらの粗大粒子は、画像形成装置の転写工程における感光体と転写体との間隔、即ちギャップを不均一にする原因となる。また、非画像部への散らばりが発生しやすくなり、さらに、粒径差による帯電差の発生により画像むらを発生しやすくなる等、画質を劣化させる大きな要因となる。
さらには画像形装置の現像時におけるトナー飛散の原因ともなるため、画像形成装置内の汚染による画像形成装置の信頼性の低下をも引き起こす可能性がある。
【0006】
乾式製法、湿式製法に共通して、トナー製造過程で生成される凝集物や粗大粒子の存在が異常画像を引き起こす原因となっている。このような凝集物や粗大粒子を製品としてトナーから除去するために、篩装置によってトナーの篩分けを行う篩別工程が従来のトナー製造過程において行われている。
【0007】
篩装置では、凝集物や粗大粒子が混在するトナーを所定の開口径の篩部材の上面に供給し、篩部材に対して三次元運動等の篩分けを行うための機械的な運動を付与する。これにより、篩部材を通過した製品としてのトナーと、篩部材を通過しなかった凝集物や粗大粒子とを篩分けることができる。
しかし、近年のトナーの小径化に対応した開口径が小さい篩部材を用いて三次元運動のような大きな動作のみで篩分けを行おうとすると、短時間で篩部材に目詰まりが生じ、篩分けの効率が低下するという問題があった。
【0008】
このような問題を解決可能な構成として、特許文献1〜4に記載の篩装置がある。これらの篩装置は、篩部材に対して超音波振動を付与することにより、機械的な運動のみの付与では生じていた篩部材の目詰まりの発生を防止できる振動篩装置である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、近年の低温定着に対応できるような低融点のトナーを従来の振動篩装置によって篩分けを行うと、篩部材で新たな凝集体が発生することがあった。これは、超音波振動が付与された篩部材の温度が経時で上昇し、トナーが溶融または軟化することによって、他のトナー粒子または外添剤と凝集することによって生じるものである。篩部材の上面で新たな凝集体が発生すると、篩分けを行う前のトナーに含まれていた凝集物や粗大粒子とともに製品としてトナーから除去されるが、歩留の低下に繋がる。また、篩部材の下面で新たな凝集体が発生すると、製品としてトナーに所定粒径よりも大きな粒径の凝集体が混在することになる。このような凝集体が混在するトナーを画像形成装置に用いると、上述したように画質の劣化や画像形成装置内の汚染の原因となる。
【0010】
篩部材の温度が上昇して新たな凝集体が発生することによる歩留の低下や製品に凝集体が混在することの問題は、篩分けを行う粉体がトナーである場合に限らず、ある程度の温度で溶融または軟化する樹脂含有物質の粉体であれば生じ得る問題である。
【0011】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、超音波振動が付与される篩部材で、篩分け対象の粉体に新たな凝集体が発生することを抑制することができる振動篩装置、この振動篩装置を篩別工程に用いる樹脂含有物質の製造方法、及び、樹脂含有物質の製造方法を用いて製造されたトナーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、篩部材と、該篩部材に対して粉体の篩分けを行うための運動を付与する篩別運動付与手段と、受信した超音波信号を超音波振動に変換して、該篩部材に付与する超音波振動変換器と、該超音波振動変換器に超音波信号を発信する超音波発信装置とを有する振動篩装置において、上記超音波発信装置の温度上昇を抑制する発信装置温度上昇抑制手段を備えることを特徴とするものである。
【0013】
篩部材に超音波振動を付与する構成として、超音波振動変換器と超音波発信装置とを有する振動篩装置で、篩部材の温度が経時で上昇する現象について、本発明者らが確認を行ったところ、以下のことが明らかになった。すなわち、この振動篩装置では、超音波振動変換器の超音波振動の出力が経時で上昇し、必要以上の出力の超音波振動を篩部材に付与することで篩部材の温度が上昇することが分かった。さらに、超音波振動変換器の超音波振動の出力が経時で上昇する現象については、因果関係は不明であるが、超音波発信装置内の温度が高いほど超音波振動変換器の超音波振動の出力が上昇する関係にあることが分かった。このような振動篩装置では、超音波発信装置は超音波信号を発信するための電子部品からなる内部基盤に通電を継続することで経時で温度が上昇する。これに伴い超音波振動変換器の超音波振動の出力が上昇し、篩部材の温度が経時で上昇する。
【0014】
本発明においては、発信装置温度上昇抑制手段によって超音波発信装置の温度上昇を抑制するため、超音波発信装置の温度上昇に起因する篩部材の経時での温度上昇を抑制できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、篩部材の経時での温度上昇を抑制でき、篩部材の温度上昇に起因して篩分け対象の粉体が溶融または軟化することを抑制することができるため、篩部材で、篩分け対象の粉体に新たな凝集体が発生することを抑制することができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態にかかる振動篩装置の概略構成図。
【図2】篩部材に超音波振動を付与する構成の概略図。
【図3】篩部材の上面側に超音波振動変換器8を取付ける構成の説明図、(a)は、超音波振動変換器を取付ける機構全体の概略図、(b)は、(a)中の領域αの拡大説明図。
【図4】発信装置温度上昇抑制手段として図1とは異なる構成を備えた超音波発信装置の説明図、(a)は、換気ファンを備えた構成の説明図、(b)は、冷却エアー供給管を配置した構成の説明図。
【図5】網の目開きと処理能力との関係を示すグラフ。
【図6】超音波出力と処理能力との関係を示すグラフ。
【図7】超音波出力と緩凝集体量との関係を示すグラフ。
【図8】超音波発信装置内部の温度上昇と超音波出力変動との関係を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を、電子写真用トナーの製造方法(以下、電子写真用トナーを単にトナーと略称することがある)に適用した実施形態について説明する。
本実施の形態のトナーの製造方法の工程全体としては、有機溶媒中に結着樹脂と着色剤とを含有する有機溶媒組成物、又は少なくとも重合性単量体と着色剤とを含有する重合性単量体組成物を、水系媒体中に混合する。ここで得られた混合液に剪断力を与えて、乳化液または懸濁液を得た後に、有機溶媒を除去し、洗浄、乾燥し、少なくとも結着樹脂及び着色剤を含有するトナー母体を得る。このトナー母体に対して外添混合工程で無機微粒子の外添剤を添加・混合し、その後、篩別工程で不要な凝集物や粗大粒子等を除去して製品トナーを製造する。トナー母体を得る構成としては、湿式製法に限らず粉砕法を用いた乾式製法であってもよい。
【0018】
図1は、本実施形態の篩別工程で用いる振動篩装置100の概略構成図であり、図2は、振動篩装置100が備える篩部材2に超音波振動を付与する構成の概略図である。
振動篩装置100は、上部にトナー投入口3を備えた円筒状の装置本体1内に、所定の開口径の開口部が形成された篩部材2と、篩部材2に対してトナーの篩分けを行うための機械的運動として三次元運動を付与する振動モータ6とを備える。振動モータ6が付与する機械的運動としては、三次元運動に限るものではなく、上下方向や水平方向の振動運動、またはこれらの組合せであっても良い。
【0019】
装置本体1の内部は、篩部材2によって篩上部空間11と篩下部空間12とに仕切られている。
トナー投入口3から投入されたトナーは、篩部材2の上面に到達し、振動モータ6によって篩部材2が機械的運動を行うことによって、篩分けがなされる。
この篩分けによって篩部材2の開口部を通過したトナーは、篩下部空間12に到達し、製品トナーとして、製品トナー排出口4から装置本体1の外に排出される。一方、篩分け時に篩部材2の開口部を通過出来なかった粒径の大きな粗粉は、篩部材2の上面に滞留したまま篩部材2の機械的運動により、篩部材2の上面上を移動し、粗粉排出入口5aに到達すると、粗粉排出口5から装置本体1の外に排出される。
【0020】
さらに、振動篩装置100は、受信した超音波信号を超音波振動に変換して、篩部材2に付与する超音波振動変換器8と、超音波振動変換器8に超音波信号を発信する超音波発信装置7とを有する。振動篩装置100では、篩部材2に対して超音波振動を付与することにより、振動モータ6による機械的な運動のみの付与では生じていた篩部材2の目詰まりの発生を防止できる。
【0021】
篩部材に超音波振動を付与する構成としては、特許文献1〜特許文献3等にも記載されている。特許文献1には、篩部材の温度とトナーの温度との関係、篩部材へのトナー供給量を規定した構成が記載されている。また、特許文献2には、篩部材を二段化して、篩の目開き、空間率を規定した構成が記載されている。
【0022】
近年、画像形成装置の低温定着化が一段と進み、これに対応した低融点のトナーを従来の振動篩装置で篩分けを行うと次のような問題が生じていた。すなわち、超音波振動の利用による篩部材の温度の上昇により、篩別工程においてトナー同士が溶着する。これにより、特許文献1や特許文献2に記載の振動篩装置で、製品トナ−からの篩分けの対象としている篩別工程以前に形成された凝集物の他に、異常画像を引き起こす原因となる新たな緩凝集体が形成されることがあった。
この緩凝集体が篩部材の上面で形成されると、篩分けを行う前のトナーに含まれていた凝集物や粗大粒子とともに製品としてトナーから除去されるが、歩留の低下に繋がる。また、篩部材の下面で緩凝集体が形成されると、製品としてトナーに所定粒径よりも大きな粒径の凝集体が混入することになる。
【0023】
特許文献3では、超音波振動が付与される一段目の篩部材よりも目開きの大きい篩部材を二段目に配置した構成が記載されている。これにより、超音波振動により一段目の篩部材の下面で緩凝集体が形成されたときに、二段目の篩部材の目開きよりも大きな緩凝集体を製品トナーから篩分けることができ、製品トナーに所定粒径よりも大きな粒径の緩凝集体が混入することを抑制できる。しかし、二段目の目開きよりも小さく、一段目の目開きよりも大きな緩凝集体が製品トナーに混入することを抑制できないため、一段目の篩部材の目開きを小さくしたメリットが低減する。また、緩凝集体の発生自体を抑制するものではないので、歩留の低下は抑制することができない。
【0024】
本発明者らが、緩凝集体の形成要因となる篩部材2の温度が上昇する不具合を改善するために、確認実験を繰返した結果、超音波発信装置7内の温度上昇と超音波出力上昇に相関性があることを確認した。すなわち、超音波発信装置7内の温度が上昇すると、超音波発信装置7の超音波信号の出力(W)が上昇し、この信号を超音波振動に変換する超音波振動変換器8の出力が上昇し、篩処理に必要な所望の超音波振動振幅を超えた超音波振動が篩部材2に付与されていることがわかった。そして、振動篩装置100の運転を続けると超音波発信装置7の内部の温度上昇が発生し、それに伴い超音波出力(W)が上昇し、篩処理に必要な超音波振動振幅を超えた超音波振動が篩部材2に付与されることで、篩部材2の温度が上昇し、緩凝集体が形成される。
【0025】
振動篩装置100として、篩部材2として400メッシュ(線径30[μm]、目開き34[μm])の網を用い、篩枠部材21へのメッシュ貼付けテンション19[N/cm]とした装置を用いたところ、通常振幅が5〜8[μm]程度で処理したい所、12[μm]を超えて来ると発熱が多くなっていた。
【0026】
本実施形態の振動篩装置100は、超音波発信装置7の温度上昇を抑制する発信装置温度上昇抑制手段として、超音波発信装置7の筺体の側面及び下面に、上部ガラリ9及び下部ガラリ10を備える。通風口である上部ガラリ9及び下部ガラリ10を筺体に設けることで、超音波発信装置7の筺体内の空気と外気との入れ替わりが促され、振動篩装置100の運転を続けたときに、超音波発信装置7の内部の温度が上昇することを抑制できる。上部ガラリ9及び下部ガラリ10によって、超音波発信装置7の温度上昇を抑制するため、超音波発信装置7の温度上昇に起因する篩部材2の経時での温度上昇を抑制できる。このため、篩部材2の温度上昇に起因してトナー同士が溶着することを抑制することができるため、篩部材2で、篩分け対象であるトナーに新たな凝集体が発生することを抑制することができる。
【0027】
また、従来の振動篩装置は、篩部材の発熱源である超音波振動変換器を、篩部材の処理二次側、すなわち、篩部材の下面に取付けていたため、篩処理後のトナーに緩凝集体が形成されてしまう構成となっていた。このため、篩部材の処理一次側、すなわち、篩部材の上面側に超音波振動変換器を取付ける構成が考えられる。しかし、従来の振動篩装置の超音波振動変換器の配置を篩部材の上面側に変更しただけでは、篩部材の上面側での緩凝集物の形成を促進してしまった。
【0028】
図3は、篩部材2の上面側に超音波振動変換器8を取付ける構成の説明図であり、図3(a)は、超音波振動変換器8を取付ける機構全体の概略図であり、図3(b)は、図3(a)中の領域αの拡大説明図である。
図3(a)中の装置本体1の筺体と平行な破線を挟んで矢印A側はエリア内の部材が振動する振動エリアであり、矢印B側は各部材を装置本体1の筺体に対して固定する構成を備えた固定エリアである。固定エリア側には、篩枠部材21と篩部材2との端部を挟み込むUパッキン26とVバンド25とを備える。
【0029】
超音波振動変換器8により生成される超音波振動を篩部材2の全体に伝播させるため、超音波振動変換器8は、篩枠部材21を介して篩部材2に接続されている。篩部材2と篩枠部材21とは接着剤22により貼付けられている構成となっているが、図3(b)に示すように、局所的に見ると、篩部材2と篩枠部材21と間で接着不十分な隙間Gが存在する。
超音波振動変換器8によって超音波振動が伝達されると、篩枠部材21は装置本体1の枠体に固定された支点Pを中心に図3(b)中の矢印βで示すように振動する。なお、このときの上下方向の揺れ幅は数[μm]レベルである。
【0030】
上述した隙間Gの部分にトナーが付着したまま、経時の使用により、篩部材2と超音波振動変換器8との接続部での温度上昇が生じると、超音波振動と熱との影響により、トナー粒子同士が凝集する。そして、あるタイミングで隙間Gの部分から剥がれ、他のトナー粒子が存在する篩部材2の上面側の空間に飛び出す。このようにして形成された緩凝集体は、超音波振動により凝集が分散され、製品トナーとして使用できる粒径の粒子となることもあるが、分散しなければ、凝集体として篩部材2に捕集され、最終的には粗粉排出口5から装置本体1の外に排出される。
【0031】
また、振動篩装置100の装置本体1内にトナー投入口3からトナーを供給する粉体輸送装置が、バッチ輸送(少量ずつの分割供給や定量一定供給ではなく、一度にまとめて供給する)の場合、トナー供給から一定期間の間は、処理対象物であるトナーが処理待ちのために篩部材2の上面に滞留することとなる。このとき、図3に示すように、篩部材2の上面側に超音波振動変換器8を配置した構成では、超音波振動変換器8がトナーに埋没してしまう。超音波振動変換器8がトナーに埋没すると、隙間Gにトナー粒子が進入しやすく、また、熱の影響も受け易いため、より緩凝集体の形成を促進してしまう。この緩凝集体の形成は篩部材2の上面側で行われるため、製品トナー中に緩凝集体が混入することは防止できるが、歩留が悪化する。
【0032】
一方、篩部材2の下面側に超音波振動変換器8を設けた構成であれば、バッチ輸送の場合であっても、超音波振動変換器8がトナーに埋没することはなく、緩凝集体は形成されにくい。しかし、篩部材2の下面側に超音波振動変換器8を配置した構成では、図3に示す各部材が上下反転した状態となり、篩部材2と篩枠部材21と間で接着不十分な隙間Gは存在するため、少量ではあるが緩凝集体は形成される。そして、篩部材2の下面側で形成された緩凝集体は、隙間Gから離脱すると、そのまま下方に落下するため、超音波振動によって凝集が分散されることもなく、製品トナーに混合してしまう。
【0033】
本実施形態の振動篩装置100は、図3に示す構成と同様に、篩部材2を挟んで形成される篩上部空間11と篩下部空間12とのうち、篩処理の一次側である篩上部空間11に超音波振動変換器8を配置している。このため、本実施形態の振動篩装置100でも、バッチ輸送の場合では、超音波振動変換器8がトナーに埋没してしまうが、超音波発信装置7の温度上昇に起因する篩部材2の経時での温度上昇を抑制できるため、隙間Gの部分にトナーが付着しても、熱の影響を抑制でき、トナー粒子同士が凝集することを抑制できる。また、仮にトナー粒子同士が凝集し、篩分け処理中に新たな緩凝集体の発生があったとしても、緩凝集体の形成は篩部材2の上面側で行われるため、発生した緩凝集体は篩部材2によって捕捉される。そして、緩凝集体は、更なる篩分け処理によって再分散されて篩部材2を通過する、または、製品トナー排出口4から装置本体1の外に排出される。このため、製品トナー中に緩凝集体が混入することは防止でき、製品トナーの連続安定生産が可能となる。
【0034】
このように、本実施形態の振動篩装置100では、トナー粒子同士が凝集することを抑制できることで歩留の悪化を防止でき、さらに、製品トナー中に緩凝集体が混入することを防止できることで、製品トナーの品質の向上を図ることができる。
【0035】
図1に示す振動篩装置100は、発信装置温度上昇抑制手段として、超音波発信装置7の筺体の側面及び下面に、上部ガラリ9及び下部ガラリ10を備え、放熱用ガラリを超音波発信装置7の下部と上部側面との二箇所に設けた構成である。
発信装置温度上昇抑制手段として更に好ましい他の構成を備えた超音波発信装置7を図4に示す。
図4(a)に示す超音波発信装置7は、下面の通風口をガラリではなく換気ファン20とし、超音波発信装置7の内部の空気を強制的に置換出来る構成である。
また、図4(b)は、さらに好ましい構成であり、下面の通風口の代わりに冷却エアー供給管30を配置し、不図示の冷却エアー供給装置によって、超音波発信装置7の周辺温度よりも低い温度の冷却エアーを取り込める構成となっている。
【0036】
振動篩装置100が備える篩部材2の目開きは、26[μm]〜43[μm]の範囲内であることが望ましい。
図5は、網目状の篩部材2を用いて、超音波出力25[W]としたときに、目開きが異なる篩部材2を複数種用いた実験の網の目開きと処理能力との関係を示すグラフである。なお、篩部材2としては網目状のタイプに限らず、開口径のそろった円形の穴を多数あけたタイプであっても良い。
図5に示すように、目開きが26[μm]未満であると超音波振動を利用したとしても、トナーの生産処理能力が著しく低下し生産条件としては好ましくない。逆に目開きが44[μm]以上であると、篩分工程以前に発生した粗大粒子を除去する事が出来無くなる。
【0037】
図6及び図7は、網の目開きが34[μm]の篩部材2を用いて、超音波出力の値を変更した実験のグラフである。図6は、超音波出力と処理能力との関係を示すグラフであり、図7は、超音波出力と緩凝集体量との関係を示すグラフである。
図6に示すように、超音波発信装置7の出力値が15[W]未満であると、超音波振動が不十分であり生産処理能力が著しく低下し生産条件としては好ましくない。一方、図7に示すように、出力値が40[W]を超える条件で運転すると、凝集体が急激に増加する傾向が確認された。
図6及び図7のグラフで示す結果より、超音波出力は、15[W]〜40[W]の範囲で運転することが好ましい。また、更に好ましい条件は、処理能力及び凝集体量関係が一定である超音波出力が25〜30[W]の範囲である。
【0038】
図8は、超音波発信装置7の出力の初期値を25[W]として連続運転(5時間連続運転時)したときの、超音波発信装置7内部の温度上昇Δt[℃]と超音波出力変動ΔW[W]との関係を示すグラフである。
上述したように、超音波出力は25〜30[W]の範囲内であることが好ましいため、ΔW[W]は5[W]以下であることが望ましい。そして、ΔWを5[W]以下に収めるためには、超音波発信装置7の盤内の温度上昇Δt[℃]を5[℃]以下に抑える必要がある。このため、本実施形態の振動篩装置100のように、発信装置温度上昇抑制手段を設けることで、超音波発信装置7の盤内の温度上昇を抑制し、好ましい範囲の超音波出力で、篩分けを行うことができる。
【0039】
まず、主な原料について説明する。 本実施の形態で使用することのできる結着樹脂にはポリエステル樹脂がある。
ポリエステル樹脂は、アルコールとカルボン酸との縮重合によって通常得られるものである。
このアルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類、1.4‐ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、及びビスフェノールA等のエーテル化ビスフェノール類、その他二価のアルコール単量体、三価以上の多価アルコール単量体を挙げることができる。
また、カルボン酸としては、例えばマレイン酸、フマール酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、マロン酸等の二価の有機酸単量体、1,2,4‐ベンゼントリカルボン酸、1,2,5‐ベンゼントリカルボン酸、1,2,4‐シクロヘキサントリカルボン酸、1,2,4‐ナフタレントリカルボン酸、1,2,5‐ヘキサントリカルボン酸、1,3‐ジカルボキシル‐2‐メチレンカルボキシプロパン、1,2,7,8‐オクタンテトラカルボン酸等の三価以上の多価カルボン酸単量体を挙げることができる。
【0040】
本実施形態で使用することのできる結着樹脂には、ポリエステル樹脂の他に、ポリスチレン、ポリp‐クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体;スチレン‐p‐クロロスチレン共重合体、スチレン‐プロピレン共重合体、スチレン‐ビニルトルエン共重合体、スチレン‐ビニルナフタリン共重合体、スチレン‐アクリル酸メチル共重合体、スチレン‐アクリル酸エチル共重合体、スチレン‐アクリル酸ブチル共重合体、スチレン‐アクリル酸オクチル共重合体、スチレン‐メタクリル酸メチル共重合体、スチレン‐メタクリル酸エチル共重合体、スチレン‐メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン‐α‐クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン‐アクリロニトリル共重合体、スチレン‐ビニルメチルケトン共重合体、スチレン‐ブタジエン共重合体、スチレン‐イソプレン共重合体、スチレン‐アクリロニトリル‐インデン共重合体、スチレン‐マレイン酸共重合体、スチレン‐マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族叉は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられ、単独あるいは混合して使用できる。
【0041】
本実施形態で使用することのできる重合性単量体としては、例えば、スチレン、α‐メチルスチレン、p‐メチルスチレン、p‐クロロスチレン等の芳香族ビニル単量体類、アクリロニトリル等の不飽和ニトリル類、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、等の不飽和(メタ)アクリル酸類、ブタジエン、イソプレン等の共役ジオレフィン類等を挙げることができる。
【0042】
これらの重合性単量体は、それぞれ単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
本実施の形態のトナーの製造方法においては、無機微粒子及び/またはポリマー微粒子を含む水系媒体中に分散させたイソシアネート基含有ポリエステル系プレポリマーを、アミンと反応させる高分子量化工程を含むことが好ましい。
本実施の形態で使用するこのできるプレポリマーは、イソシアネート基を含有するポリエステル系プレポリマーが好ましく、ポリオール(PO)とポリカルボン酸(PC)の重縮合物でかつ活性水素基を有するポリエステルをさらにポリイソシアネート(PIC)と反応させることによって得ることができる。
この場合、ポリエステルの有する活性水素基としては、水酸基(アルコール性水酸基およびフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基などが挙げられ、これらのうち好ましいものはアルコール性水酸基である。
前記ポリオール(PO)としては、ジオール(DIO)および3価以上のポリオール(TO)が挙げられ、(DIO)単独、又は(DIO)と少量の(TO)の混合物が好ましい。
ジオール(DIO)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2‐プロピレングリコール、1,3‐プロピレングリコール、1,4‐ブタンジオール、1,6‐ヘキサンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4‐シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。
【0043】
これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコールおよびビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、およびこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。
3価以上のポリオール(TO)としては、3〜8価又はそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
前記ポリカルボン酸(PC)としては、ジカルボン酸(DIC)および3価以上のポリカルボン酸(TC)が挙げられ、(DIC)単独、および(DIC)と少量の(TC)の混合物が好ましい。
【0044】
前記ジカルボン酸(DIC)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。
これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸および炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。
3価以上のポリカルボン酸(TC)としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。
なお、ポリカルボン酸(PC)としては、上述のものの酸無水物又は低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いてポリオール(PO)と反応させてもよい。
ポリオール(PO)とポリカルボン酸(PC)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
【0045】
前記ポリイソシアネート(PIC)としては、脂肪族ポリイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6‐ジイソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α',α'‐テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアヌレート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;およびこれら2種以上の併用が挙げられる。
イソシアネート基を有するポリエステル系プレポリマーを得る場合、ポリイソシアネート(PIC)と活性水素を有するポリエステル系樹脂(PE)との比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]との当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。
末端にイソシアネート基を有するプレポリマーA中のポリイソシアネート(PIC)構成成分の含有量は、通常0.5〜40[質量%]、好ましくは1〜30[質量%]、さらに好ましくは2〜20[質量%]である。
【0046】
前記アミンとしては、ポリアミン及び/又は活性水素含有基を有するアミン類が用いられる。
この場合の活性水素含有基には、水酸基やメルカプト基が包含される。
このようなアミンには、ジアミン(B1と略称する。)、3価以上のポリアミン(B2と略称する。)、アミノアルコール(B3と略称する。)、アミノメルカプタン(B4と略称する。)、アミノ酸(B5と略称する。)、および前記B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6と略称する。)などが挙げられる。
【0047】
ジアミン(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4'ジアミノジフェニルメタンなど);脂環式ジアミン(4,4'‐ジアミノ‐3,3'ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど);および脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)などが挙げられる。
3価以上のポリアミン(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。
アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。
アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。
【0048】
アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。
B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、前記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリン化合物などが挙げられる。
これらアミンのうち好ましいものは、(B1)および(B1)と少量の(B2)の混合物である。
さらに、プレポリマーとアミンとを反応させる場合、必要により伸長停止剤を用いてポリエステルの分子量を調整することができる。
【0049】
伸長停止剤としては、活性水素含有基を有しないモノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、およびそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。
その添加量は、生成するウレア変性ポリエステルに所望する分子量との関係で適宜選定される。
アミンとイソシアネート基を有するプレポリマーとの比率は、イソシアネート基を有するプレポリマー中のイソシアネート基[NCO]と、アミン中のアミノ基[NHx](xは1〜2の数を示す)の当量比[NCO]/[NHx]として、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2でとすればよい。
【0050】
本実施の形態における着色剤としては、公知の染料及び顔料が全て使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。
着色剤の含有量はトナーに対して通常1〜15[質量%]、好ましくは3〜12[質量%]である。
本実施の形態で用いる着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。
【0051】
マスターバッチの製造用の樹脂またはマスターバッチとともに混練される結着樹脂としては、前述したポリエステル樹脂の他にポリスチレン、ポリp‐クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体;スチレン‐p‐クロロスチレン共重合体、スチレン‐プロピレン共重合体、スチレン‐ビニルトルエン共重合体、スチレン‐ビニルナフタリン共重合体、スチレン‐アクリル酸メチル共重合体、スチレン‐アクリル酸エチル共重合体、スチレン‐アクリル酸ブチル共重合体、スチレン‐アクリル酸オクチル共重合体、スチレン‐メタクリル酸メチル共重合体、スチレン‐メタクリル酸エチル共重合体、スチレン‐メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン‐α‐クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン‐アクリロニトリル共重合体、スチレン‐ビニルメチルケトン共重合体、スチレン‐ブタジエン共重合体、スチレン‐イソプレン共重合体、スチレン‐アクリロニトリル‐インデン共重合体、スチレン‐マレイン酸共重合体、スチレン‐マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族叉は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられ、単独あるいは混合して使用できる。
【0052】
このマスターバッチは、マスターバッチ製造用の樹脂と着色剤とを高せん断力をかけて混合、混練してマスターバッチを得る事ができる。
この際、着色剤と樹脂の相互作用を高めるために、有機溶剤を用いる事ができる。また、いわゆるフラッシング法と呼ばれる着色剤の水を含んだ水性ペーストを樹脂と有機溶剤とともに混合混練し、着色剤を樹脂側に移行させ、水分と有機溶剤成分を除去する方法も、着色剤を乾燥することなくウエットケーキのまま用いることができ好ましい。
混合混練するには3本ロールミル等の高せん断分散装置が好ましく用いられる。
【0053】
また、本実施形態の実施の形態のトナーの製造には、結着樹脂、着色剤とともにワックスを含有させることもできる。
本実施形態のトナーの製造方法に用いるワックスとしては公知のものが使用でき、例えばポリオレフィンワックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなど);長鎖炭化水素(パラフィンワックス、サゾールワックスなど);カルボニル基含有ワックスなどが挙げられる。
これらのうち好ましいものは、カルボニル基含有ワックスである。
【0054】
カルボニル基含有ワックスとしては、ポリアルカン酸エステル(カルナバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1, 18-オクタデカンジオールジステアレートなど);ポリアルカノールエステル(トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなど);ポリアルカン酸アミド(エチレンジアミンジベヘニルアミドなど);ポリアルキルアミド(トリメリット酸トリステアリルアミドなど);およびジアルキルケトン(ジステアリルケトンなど)などが挙げられる。
これらカルボニル基含有ワックスのうち好ましいものは、ポリアルカン酸エステルである。
本実施形態のワックスの融点は、通常40〜160[℃]であり、好ましくは50〜120[℃]、さらに好ましくは60〜90[℃]である。
【0055】
融点が40[℃]未満のワックスは耐熱保存性に悪影響を与え、160[℃]を超えるワックスは低温での定着時にコールドオフセットを起こしやすい。
また、ワックスの溶融粘度は、融点より20[℃]高い温度での測定値として、5〜1000[cps]が好ましく、さらに好ましくは10〜100[cps]である。
1000[cps]を超えるワックスは、耐ホットオフセット性、低温定着性への向上効果に乏しい。
【0056】
トナー中のワックスの含有量は通常、0〜40[質量%]であり、好ましくは3〜30[質量%]である。
本実施形態に用いる水系媒体としては、水単独でもよいが、水と混和可能な溶剤を併用することもできる。
混和可能な溶剤としては、アルコール(メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などが挙げられる。
【0057】
本実施の形態におけるトナーは、必要に応じて帯電制御剤を含有してもよい。
帯電制御剤としては公知のものが全て使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。
具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、第四級アンモニウム塩のボントロンPー51、含金属アゾ染料のボントロンSー34、オキシナフトエ酸系金属錯体のEー82、サリチル酸系金属錯体のEー84、フェノール系縮合物のEー89(以上、オリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTPー302、TP一415(以上、保土谷化学工業社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRAー901、ホウ素錯体であるLRー147(日本カ一リット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。
【0058】
本実施の形態において、荷電制御剤の使用量は、結着樹脂の種類、必要に応じて使用される各種の添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくはバインダー樹脂が100[質量部]に対して、0.1〜10[質量部]の範囲で用いられる。
好ましくは、0.2〜5[質量部]の範囲がよい。
10[質量部]を越える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、主帯電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。
【0059】
これらの帯電制御剤はマスターバッチ、樹脂とともに溶融混練した後溶解分散させる事もできるし、もちろん有機溶剤に直接溶解、分散する際に加えても良いし、トナー表面にトナー粒子作成後固定化させてもよい。
本実施の形態におけるトナーの流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤としては、無機微粒子を好ましく用いることができる。
この無機微粒子の一次粒子径は、5[nm]〜2000[nm]であることが好ましく、特に5[nm]〜500[nm]であることが好ましい。
また、この無機微粒子の一次粒子径のBET法による比表面積は、20〜500[m/g]であることが好ましい。
【0060】
この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5[質量%]であることが好ましく、特に0.01〜2.0[質量%]であることが好ましい。無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。
その他にも、高分子系微粒子たとえばソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステル共重合体やシリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロンなどの重縮合系、熱硬化性樹脂による重合体粒子が挙げられる。
【0061】
このような流動化剤は、表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止することができる。
例えばシランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルなどが好ましい表面処理剤として挙げられる。
感光体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するためのクリーニング性向上剤としては、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸など脂肪酸金属塩、例えばポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子などのソープフリー乳化重合などによって製造された、ポリマー微粒子などを挙げることかできる。
ポリマー微粒子は比較的粒度分布が狭く、体積平均粒径が0.01[μm]から1[μm]のものが好ましい。
【0062】
本実施形態の静電荷像現像用トナーの具体的な製造工程を説明するが、勿論、本発明を適用可能な静電荷像現像用トナーの製造方法は、これらの製造方法に限定されることはない。
<ポリエステル樹脂の作製>
多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)を、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280[℃]に加熱し、必要により減圧しながら生成する水を溜去して、ポリエステル樹脂を得る。
【0063】
<プレポリマーの作製>
上記ポリエステル樹脂と同様の方法で得られた水酸基を有するポリエステルに、40〜140[℃]にて、多価イソシアネート(PIC)を反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を得る。
多価イソシアネート(PIC)を反応させる際には、必要により溶剤を用いることもできる。
使用可能な溶剤としては、イソシアネート化合物に対して不活性である、芳香族溶剤(トルエン、キシレンなど);ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど);エステル類(酢酸エチルなど);アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)およびエーテル類(テトラヒドロフランなど)などが挙げられる。
【0064】
<変性ポリエステル樹脂の作製>
ポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)との反応は、他のトナー構成材料と混合させて行わせるものであっても良いし、予め作製しておくものでもよい。
予め作製する場合は、ポリエステルプレポリマー(A)にアミン類(B)を0〜140[℃]にて反応させ、ウレア変性ポリエステル樹脂を得る。
ポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)を反応させる場合にも、プレポリマー(A)の場合と同様に、必要に応じて溶剤を用いることができる。
使用可能な溶剤は、先に挙げた通りである。
【0065】
<水系媒体中でのトナー製造法>
本実施形態に用いる水系媒体としては、水単独でもよいが、水と混和可能な溶剤を併用することもできる。
混和可能な溶剤としては、アルコール(メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などが挙げられる。
トナー粒子は、水系媒体中でイソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)からなる分散体を、アミン類(B)と反応させて形成しても良いし、予め作製した変性ポリエステル樹脂を用いても良い。
水系媒体中でポリエステル樹脂やポリエステルプレポリマー(A)からなる分散体を安定して形成させる方法としては、水系媒体中にポリエステル樹脂やポリエステルプレポリマー(A)からなるトナー構成材料を加えて、機械的剪断力により分散させるが、他のトナー構成材料であるワックス、帯電制御剤などは、水系媒体中で分散体を形成させる際に混合してもよいが、予めこれらトナー構成材料を混合した後、水系媒体中にその混合物を加えて分散させたほうがより好ましい。
【0066】
また、本実施形態においては、ワックス、帯電制御剤などのトナー構成材料は、必ずしも、水系媒体中で粒子を形成させる時に混合しておく必要はなく、粒子を形成した後、添加してもよい。
<固体微粒子分散剤>
また、水系媒体中に予め固体の微粒子分散剤を添加しておくことで、水相中での油滴の分散が均一化する。
これは、分散時に油滴の表面に固体微粒子分散剤が配置するようになり、油滴の分散が均一化するものであり、それと共に油滴同士の合一が防止され、粒度分布のシャープなトナーが得られるようになる。
固体微粒子分散剤は、水系媒体中で水に難溶の固体状で存在するものであり、平均粒径が0.01〜1[μm]の無機微粒子が好ましい。
【0067】
無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。
好ましくは、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、コロイド状酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイトなどを用いることが出来る。
特に、水中でリン酸ナトリウムと塩化カルシウムを塩基性条件下で反応させて合成したヒドロキシアパタイトが好ましい。
【0068】
トナー組成物が分散された油相を水系媒体中に乳化、分散するための分散剤としてアルキルベンゼンスルホン酸塩、α‐オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどの陰イオン界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの4級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN‐アルキル‐N,N‐ジメチルアンモニウムベタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
【0069】
また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量で分散剤の効果をあげることができる。
好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3‐[オメガ‐フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]‐1‐アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3‐[オメガ‐フルオロアルカノイル(C6〜C8)‐N‐エチルアミノ]‐1‐プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及びその金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N‐プロピル‐N‐(2‐ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)‐N‐エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。
【0070】
フルオロアルキル基を有する界面活性剤の商品名としては、サーフロンS‐111、S‐112、S‐113(旭硝子社製)、フロラードFC‐93、FC‐95、FC‐98、FC‐l29(住友3M社製)、ユニダインDS‐101、DS‐l02、(ダイキン工業社製)、メガファックF‐ll0、F‐l20、F‐113、F‐191、F‐812、F‐833(大日本インキ社製)、エクトップEF‐102、l03、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF‐100、F150(ネオス社製)などが挙げられる。
【0071】
また、カチオン界面活性剤としては、フルオロアルキル基を有する脂肪族1級、2級もしくは3級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、商品名としてはサーフロンS‐l21(旭硝子社製)、フロラードFC‐135(住友3M 社製)、ユニダインDS‐202 (ダイキンエ業杜製)、メガファックF‐150、F‐824(大日本インキ社製)、エクトップEF‐l32(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF‐300(ネオス社製)などが挙げられる。
【0072】
また、高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させても良い。
例えばアクリル酸、メタクリル酸、α‐シアノアクリル酸、α‐シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸β‐ヒドロキシエチル、メタクリル酸β‐ヒドロキシエチル、アクリル酸β‐ヒドロキシプロピル、メタクリル酸β‐ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ‐ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ‐ヒドロキシプロピル、アクリル酸3‐クロロ2‐ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3‐クロロ‐2‐ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N‐メチロールアクリルアミド、N‐メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ビニルビリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの窒素原子、またはその複素環を有するものなどのホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフエニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。
【0073】
なお、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能な物質を用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩等を溶解した後、水洗するなどの方法によって、微粒子からリン酸カルシウム塩等を除去する。
その他にも、酵素による分解などの操作によっても除去できる。
【0074】
分散剤を使用した場合には、該分散剤がトナー粒子表面に残存したままとすることもできるが、伸長および/または架橋反応後、洗浄除去するほうがトナーの帯電面から好ましい。
伸長および/または架橋反応時間は、ポリエステルプレポリマー(A)の有するイソシアネート基構造とアミン類(B)の組み合わせによる反応性により選択されるが、通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。
反応温度は、通常、0〜150[℃]、好ましくは40〜98[℃]である。
【0075】
また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。
具体的にはジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレートなどが挙げられる。得られた乳化分散体から有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に昇温し、液滴中の有機溶媒を完全に蒸発除去する方法を採用することができる。あるいはまた、乳化分散体を乾燥雰囲気中に噴霧して、液滴中の非水溶性有機溶媒を完全に除去してトナー微粒子を形成し、合わせて水系分散剤を蒸発除去することも可能である。
【0076】
乳化分散体が噴霧される乾燥雰囲気としては、空気、窒素、炭酸ガス、燃焼ガス等を加熱した気体、特に使用される最高沸点溶媒の沸点以上の温度に加熱された各種気流が一般に用いられる。スプレイドライアー、ベルトドライアー、ロータリーキルンなどにより短時間の処理で十分目的とする品質が得られる。
得られた乾燥後のトナーの粉体と帯電制御剤、流動化剤、着色剤などの異種粒子とともに混合したり、混合粉体に機械的衝撃力を与えたりすることによって表面で固定化、融合化させ、得られる複合体粒子の表面からの異種粒子の脱離を防止することができる。
【0077】
具体的手段としては、高速で回転する羽根によって混合物に衝撃力を加える方法、高速気流中に混合物を投入し、加速させ、粒子同士または複合化した粒子を適当な衝突板に衝突させる方法などがある。
装置としては、オングミル(ホソカワミクロン社製)、I式ミル(日本ニューマチック社製)を改造して、粉砕エアー圧カを下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所社製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、自動乳鉢などがあげられる。
【0078】
更に、本実施形態のトナーは、磁性体を含有した磁性トナーとして用いることができ、トナー中に含まれる磁性材料としては、マグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の酸化鉄、鉄、コバルト、ニッケルのような金属あるいはこれら金属のアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムのような金属の合金およびその混合物などが挙げられる。
特にマグネタイトが磁気特性の点で好ましい。
これらの強磁性体は平均粒径が0.1〜2[μm]程度のものが望ましく、トナー中に含有させる量としては樹脂成分100[質量部]に対し約15〜200[質量部]、特に好ましくは樹脂成分100[質量部]に対し20〜100[質量部]である。
【0079】
次に外添剤混合後、篩別工程での連続安定的な一段篩による緩凝集体を取除く方法について説明する。
篩別工程のトナー中には、湿式製法ゆえに板状体や、凝集体の状態の粗大粒子が混在する。目開きの大きい篩では、粗大粒子が篩を通過し完全に除去できず篩の目的を果たさない。
また目開きの小さい篩では板状のものが篩上に残留し、通過すべきものがそこに堆積しやすくなり、効率的な篩分け処理を行うことができない。
また、長期間篩別工程を続けることで、篩の超音波振動変換器が発熱しその影響により、篩処理後のトナー中に緩凝集体が形成し、混入されてしまう。更に、超音波発信装置内部の温度上昇に伴い、超音波出力値が上昇変化してしまう。
【0080】
これに対して、図1に示す本実施形態の篩別工程で用いる振動篩装置100は、超音波振動変換器8を篩部材2の一次側である上面側に具備している。また、篩部材2の目開きは26[μm]〜43[μm]の範囲内であり、超音波振動及び機械的振動を与え、超音波発信装置7の内部をエアー冷却することで超音波出力の上昇を抑制している。超音波出力の上昇を抑制することで、超音波振動変換器8の出力の上昇に起因する篩部材2の温度上昇を抑制し、トナー同士が溶着して新たな緩凝集体が形成されることを抑制できる。また、緩凝集体が発生する原因となる超音波振動変換器8が篩部材2の上面側に配置されているので、緩凝集体が形成されたとしても、篩部材2に捕集され、振動によって崩すと共に崩せなかった緩凝集体を粗粉として取除くことで、目的の製品粒径のトナーを確保する事が可能となる。
【0081】
<二成分用キャリア>
本実施の形態のトナーを2成分系現像剤に用いる場合には、磁性キャリアと混合して用いればよく、現像剤中のキャリアとトナーの含有比は、キャリアが100[質量部]に対してトナーを1〜10[質量部]が好ましい。
磁性キャリアとしては、粒子径が20〜200[μm]程度の鉄粉、フェライト粉、マグネタイト粉、磁性樹脂キャリアなど従来から公知のものが使用できる。
【0082】
また、被覆材料としては、アミノ系樹脂、例えば尿素‐ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
また、ポリビニルおよびポリビニリデン系樹脂、例えばアクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂およびスチレンアクリル共重合樹脂等のポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル等のハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂およびポリブチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ弗化ビニル樹脂、ポリ弗化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、弗化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、弗化ビニリデンと弗化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンと弗化ビニリデンと非弗化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー、およびシリコーン樹脂等が使用できる。
【0083】
また、必要に応じて、導電粉等を被覆樹脂中に含有させてもよい。
導電粉としては、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛等が使用できる。これらの導電粉は、平均粒子径1[μm]以下のものが好ましい。平均粒子径が1[μm]以下であれば、電気抵抗の制御が良好である。
また、本発明に係るトナーとしては、二成分現像剤に用いるトナーに限らず、キャリアを使用しない一成分現像剤の磁性トナー或いは、非磁性トナーとしても用いることができる。
【0084】
本発明に係るトナーを二成分現像剤として使用する場合の磁性キャリアとしては、公知のものがすべて使用可能であり、例えば、鉄粉、フェライト粉、ニッケル粉のごとき磁性を有する粉体、ガラスビーズ等およびこれらの表面を樹脂などで処理したものなどが挙げられる。
本実施形態における磁性キャリアにコーティングし得る樹脂粉末としては、スチレン‐アクリル共重合体、シリコーン樹脂、マレイン酸樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等がある。
【0085】
スチレン‐アクリル共重合体の場合は、30〜90[質量%]のスチレン分を有するものが好ましい。
この場合、スチレン分が30[質量%]未満だと現像特性が低く、90[質量%]を越えるとコーティング膜が硬くなって剥離しやすくなり、キャリアの寿命が短くなるからである。
また、本実施形態におけるキャリアの樹脂コーティングは、上記樹脂の他に接着付与剤、硬化剤、潤滑剤、導電材、荷電制御剤等を含有してもよい。
【0086】
〔実験例〕
以下、上述した本実施形態の振動篩装置100の具体例である実施例と、本実施形態の振動篩装置100の構成の少なくとも一部を有さない比較例とを用いた実験例について説明する。
なお、本発明は、ここで挙げる実施例の構成のみに限定されるものではない。また、以下の実施例および比較例において、[部]および[%]は、特に断りのない限り質量基準である。
ここで湿式製法により得られるトナーについて説明をする。
【0087】
〔実施例1〕
油相の調製に必要な、変性されていないポリエステル、プレポリマー、マスターバッチ(MB)、ケチミンなど各原料を準備し、これらの原料等から油相と水相を調製し、乳化機構部を備えた混合装置を用いて、油相と水相を混合し乳化分散液とした後、脱溶剤、濾別、洗浄、乾燥してトナー母体粒子を得、このトナー母体粒子を篩分け処理してトナーとした。
【0088】
以下に、実施例1の各工程を詳述する。
<変性されていないポリエステルの合成>
冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物を690[部]、テレフタル酸を256[部]入れ、常圧で230[℃]で8時間反応し、次いで10〜15[mmHg](1.3〜2.0[Pa])の減圧で5時間反応した後160[℃]まで冷却し、これに18[部]の無水フタル酸を加えて2時間反応し変性されていない「ポリエステル(B)」を得た。
【0089】
<プレポリマーの合成>
冷却管、攪拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物を682[部]、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物を81[部]、テレフタル酸を283[部]、無水トリメリット酸を22[部]、さらに、ジブチルチンオキサイドを2[部]、入れて、常圧で230[℃]で8時間反応し、さらに10〜15[mmHg](1.3〜2.0[Pa])の減圧で5時間反応した後、160[℃]まで冷却し、これに32[部]の無水フタル酸を加えて2時間反応した。
次いで、80[℃]まで冷却し、酢酸エチル中にてイソホロンジイソシアネートを230[部]と2時間反応を行い、イソシアネート基を含有する〔プレポリマー(A)〕を得た。
【0090】
<ケチミンの合成>
攪拌機及び温度計をセットした反応容器に、イソホロンジアミンを170[部]と、メチルエチルケトンを75[部]とを、仕込み、50[℃]で5時間反応を行い、〔ケチミン化合物(1)〕を得た。
<トナー材料溶液の製造>
タンク内に〔プレポリマー(A)〕を14.3[部]、〔ポリエステル(B)〕を55[部]、酢酸エチルを78.6[部]、入れ、攪拌して溶解し、次いで、離型剤であるライスワックス(融点83[℃])を10[部]、銅フタロシアニンブルー顔料を4[部]入れ、60[℃]にてTKホモミキサーで12,000[rpm]で15分攪拌し、ビーズミルを用い20[℃]で60分間分散した。
これを〔トナー材料溶液(1)〕とする。
【0091】
<母体粒子の製造>
次に、タンク内にイオン交換水を306[部]、リン酸三カルシウム10%懸濁液を265[部]、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを0.2[部]、入れ、均一に溶解した。
次いで、TKホモミキサーで12,000[rpm]に攪拌しながら、上記〔トナー材料溶液(1)〕を749[部]、さらに、〔ケチミン化合物(1)〕を2.7[部]、加えウレア反応させた。
粒径及び粒径分布を光学顕微鏡で観察しながら、平均粒径がおよそ10[μm]より大きい場合は、攪拌回転数を14,000[rpm]に上げさらに5分間攪拌を続けた。
その後、脱溶剤工程として、上記の乳化溶液を45[℃]まで昇温して、攪拌翼外周端周速を10.5[m/s]、大気圧(101.3[kPa])で、5時間かけ脱溶剤を行った。
その後、濾別、洗浄、乾燥し、母体粒子Aを得た。
【0092】
<トナーの製造>
得られた母体粒子Aの100[部]に疎水性シリカを1.0[部]、KAWATA製スーパーミキサーに投入後、1100[rpm]で60[秒]運転し、60[秒]停止させた後、1300[rpm]で120[秒]運転、60[秒]停止させた。次に疎水化酸化チタンを0.7[部]投入した後、同様に1100[rpm]及び1300[rpm]で運転、停止し、再度疎水性シリカを1.0[部]投入し、1000[rpm]で60[秒]運転、60[秒]停止、1100[rpm]で60[秒]運転、60[秒]停止させ混合した。
【0093】
この後、興和工業所製円型振動ふるい機にて、篩の目開き:34[μm]、超音波振動変換器取付位置:1次側(上面側)、超音波発信装置昇温抑制機構:放熱ギャラリー、超音波出力初期値:25[W]の条件で、篩別工程を通算5時間行い、トナーAを得た。
5時間処理後の超音波発信装置温度変化、超音波出力値の記録及び篩の超音波振動変換器温度、製品回収されたトナーの粉温度をテストー社製 型式testo925 の接触式温度計を用いて、温度を測定した。
【0094】
篩別工程後に得られたトナー50[g]を、200メッシュ(線径50[μm]、目開き75[μm])にて篩分けを行い、篩上に残った緩凝集体をSHIMADZU製 型式:AUW120Dの電子天秤を用いて測定したところ、緩凝集体量は0.046[mg/g]で異常画像(ホタル)はA3サイズのコピー用紙2枚をハーフトーンのべた塗り画像を評価した結果、異常画像は確認されなかった。
【0095】
〔実施例2〕
実施例1で得られた母体粒子Aを同様の条件にて混合した。
この後、興和工業所製円型振動ふるい機にて、篩の目開き:34[μm]、超音波振動変換器取付位置:1次側、超音波発信装置昇温抑制機構:換気ファン、超音波出力初期値:25[W]の条件で、篩別工程を通算5時間行い、トナーAを得た。
篩別工程後に得られたトナーの緩凝集体量は0.043[mg/g]で異常画像(ホタル)はA3サイズのコピー用紙2枚をハーフトーンのべた塗り画像を評価した結果、異常画像は確認されなかった。
【0096】
〔実施例3〕
実施例1で得られた母体粒子Aを同様の条件にて混合した。
この後、興和工業所製円型振動ふるい機にて、篩の目開き:26[μm]、超音波振動変換器取付位置:1次側、超音波発信装置昇温抑制機構:換気ファン、超音波出力初期値:25[W]の条件で、篩別工程を通算5時間行い、トナーAを得た。
篩別工程後に得られたトナーの緩凝集体量は0.0.50[mg/g]で異常画像(ホタル)はA3サイズのコピー用紙2枚をハーフトーンのべた塗り画像を評価した結果、異常画像は確認されなかった。
【0097】
〔実施例4〕
実施例1で得られた母体粒子Aを同様の条件にて混合した。
この後、興和工業所製円型振動ふるい機にて、篩の目開き:43[μm]、超音波振動変換器取付位置:1次側、超音波発信装置昇温抑制機構:換気ファン、超音波出力初期値:25[W]の条件で、篩別工程を通算5時間行い、トナーAを得た。
篩別工程後に得られたトナーの緩凝集体量は0.036[mg/g]で異常画像(ホタル)はA3サイズのコピー用紙2枚をハーフトーンのべた塗り画像を評価した結果、異常画像は確認されなかった。
【0098】
〔実施例5〕
実施例1で得られた母体粒子Aを同様の条件にて混合した。
この後、興和工業所製円型振動ふるい機にて、篩の目開き:34[μm]、超音波振動変換器取付位置:1次側、超音波発信装置昇温抑制機構:冷却エアー、超音波出力初期値:15[W]の条件で、篩別工程を通算5時間行い、トナーAを得た。
篩別工程後に得られたトナーの緩凝集体量は0.028[mg/g]で異常画像(ホタル)はA3サイズのコピー用紙2枚をハーフトーンのべた塗り画像を評価した結果、異常画像は確認されなかった。
【0099】
〔実施例6〕
実施例1で得られた母体粒子Aを同様の条件にて混合した。
この後、興和工業所製円型振動ふるい機にて、篩の目開き:34[μm]、超音波振動変換器取付位置:1次側、超音波発信装置昇温抑制機構:冷却エアー、超音波出力初期値:25[W]の条件で、篩別工程を通算5時間行い、トナーAを得た。
篩別工程後に得られたトナーの緩凝集体量は0.035[mg/g]で異常画像(ホタル)はA3サイズのコピー用紙2枚をハーフトーンのべた塗り画像を評価した結果、異常画像は確認されなかった。
【0100】
〔実施例7〕
実施例1で得られた母体粒子Aを同様の条件にて混合した。
この後、興和工業所製円型振動ふるい機にて、篩の目開き:34[μm]、超音波振動変換器取付位置:1次側、超音波発信装置昇温抑制機構:冷却エアー、超音波出力初期値:30[W]の条件で、篩別工程を通算5時間行い、トナーAを得た。
篩別工程後に得られたトナーの緩凝集体量は0.065[mg/g]で異常画像(ホタル)はA3サイズのコピー用紙2枚をハーフトーンのべた塗り画像を評価した結果、異常画像は確認されなかった。
【0101】
実施例1〜7の結果を表1に示す。
【表1】

【0102】
〔実施例8〕
実施例8では、乾式製法により得られるトナーを用いる。
ここで乾式製法により得られるトナーについて説明をする。
トナー作成に当り、以下に組成等を示す樹脂1及び2を準備する。
<樹脂1>
組成:フマル酸、アジピン酸、ドデセニルコハク酸、1.4−ブタンジオール、1.6−ヘキサンジオール
融点:90[℃]
<樹脂2>
組成:テレフタル酸、フマル酸、無水トリメリット酸、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール
Te(接線交点):65[℃]
F1/2温度:125[℃]
【0103】
樹脂1を15[部]、樹脂2を85[部]、エステルワックス(融点85[℃])を5[部]、サリチル酸ジルコニウムを1[部]、ジスアゾイエロー顔料を7[部]、このの組成のトナー形成材料をヘンシェルミキサー「MF20C/I型」、(日本コークス社製:旧 三井鉱山株式会社)に仕込み、十分攪拌混合した後、東芝機械社製2軸押出機にて混練し、冷却した。
次いで、質量平均粒径(D4)が5.8±0.5[μm]、質量平均粒径と個数平均粒径(D1)の比(D4/D1)が1.2〜1.3となるように、粉砕、分級を行い、母体粒子Bを得た。
なお、前記混練は、2軸押出機出口での混練形成物の温度が120[℃]前後となるように設定して行った。
ここで得られた粒子を母体粒子Bとし、実施例1と同様の条件にて混合、篩分けを行いトナーBを得た。
〔実施例9〕
実施例8で得られた母体粒子Bを実施例6と同条件で篩分けを行った。
【0104】
実施例8及び9の結果を表2に示す。
【表2】

【0105】
〔比較例1〕
実施例1で得られた母体粒子Aを同様の条件にて混合した。
この後、興和工業所製円型振動ふるい機にて、篩の目開き:34[μm]、超音波振動変換器取付位置:2次側、超音波発信装置昇温抑制機構:放熱ギャラリー、超音波出力初期値25[W]の条件で、篩別工程を通算5時間行い、トナーAを得た。
篩別工程後に得られたトナーの緩凝集体量は0.872[mg/g]で異常画像(ホタル)はA3サイズのコピー用紙2枚をハーフトーンのべた塗り画像を評価した結果、5ヶ異常画像が確認された。
【0106】
〔比較例2〕
実施例1で得られた母体粒子Aを同様の条件にて混合した。
この後、興和工業所製円型振動ふるい機にて、篩の目開き:34[μm]、超音波振動変換器取付位置:2次側、超音波発信装置昇温抑制機構:換気ファン、超音波出力初期値:25[W]の条件で、篩別工程を通算5時間行い、トナーAを得た。
篩別工程後に得られたトナーの緩凝集体量は0.867[mg/g]で異常画像(ホタル)はA3サイズのコピー用紙2枚をハーフトーンのべた塗り画像を評価した結果、4ヶ異常画像が確認された。
【0107】
〔比較例3〕
実施例1で得られた母体粒子A を同様の条件にて混合した。
この後、興和工業所製円型振動ふるい機にて、篩の目開き:26[μm]、超音波振動変換器取付位置:2次側、超音波発信装置昇温抑制機構:換気ファン、超音波出力初期値:25[W]の条件で、篩別工程を通算5時間行い、トナーAを得た。
篩別工程後に得られたトナーの緩凝集体量は0.888[mg/g]で異常画像(ホタル)はA3サイズのコピー用紙2枚をハーフトーンのべた塗り画像を評価した結果、4ヶ異常画像が確認された。
【0108】
〔比較例4〕
実施例1で得られた母体粒子A を同様の条件にて混合した。
この後、興和工業所製円型振動ふるい機にて、篩の目開き:43[μm]、超音波振動変換器取付位置:2次側、超音波発信装置昇温抑制機構:換気ファン、超音波出力初期値:25[W]の条件で、篩別工程を通算5時間行い、トナーAを得た。
篩別工程後に得られたトナーの緩凝集体量は0.863[mg/g]で異常画像(ホタル)はA3サイズのコピー用紙2枚をハーフトーンのべた塗り画像を評価した結果、4ヶ異常画像が確認された。
【0109】
〔比較例5〕
実施例1で得られた母体粒子Aを同様の条件にて混合した。
この後、興和工業所製円型振動ふるい機にて、篩の目開き:34[μm]、超音波振動変換器取付位置:2次側、超音波発信装置昇温抑制機構:冷却エアー、超音波出力初期値:15[W]の条件で、篩別工程を通算5時間行い、トナーAを得た。
篩別工程後に得られたトナーの緩凝集体量は0.835[mg/g]で異常画像(ホタル)はA3サイズのコピー用紙2枚をハーフトーンのべた塗り画像を評価した結果、4ヶ異常画像が確認された。
【0110】
〔比較例6〕
実施例1で得られた母体粒子Aを同様の条件にて混合した。
この後、興和工業所製円型振動ふるい機にて、篩の目開き:34[μm]、超音波振動変換器取付位置:2次側、超音波発信装置昇温抑制機構:冷却エアー、超音波出力初期値:25[W]の条件で、篩別工程を通算5時間行い、トナーAを得た。
篩別工程後に得られたトナーの緩凝集体量は0.861[mg/g]で異常画像(ホタル)はA3サイズのコピー用紙2枚をハーフトーンのべた塗り画像を評価した結果、4ヶ異常画像が確認された。
【0111】
〔比較例7〕
実施例1で得られた母体粒子Aを同様の条件にて混合した。
この後、興和工業所製円型振動ふるい機にて、篩の目開き:34[μm]、超音波振動変換器取付位置:2次側、超音波発信装置昇温抑制機構:冷却エアー、超音波出力初期値:30[W]の条件で、篩別工程を通算5時間行い、トナーAを得た。
篩別工程後に得られたトナーの緩凝集体量は0.922[mg/g]で異常画像(ホタル)はA3サイズのコピー用紙2枚をハーフトーンのべた塗り画像を評価した結果、5ヶ異常画像が確認された。
【0112】
〔比較例8〕
実施例1で得られた母体粒子Aを実施例1と同様の条件にて混合した。
この後、興和工業所製円型振動ふるい機にて、篩の目開き:34[μm]、超音波振動変換器取付位置:2次側、超音波発信装置昇温抑制機構:無、超音波出力初期値:25[W]の条件で、篩別工程を通算5時間行い、トナーAを得た。
篩別工程後に得られたトナーの緩凝集体量は1.970[mg/g]で異常画像(ホタル)はA3サイズのコピー用紙2枚をハーフトーンのべた塗り画像を評価した結果、7ヶ異常画像が確認された。
【0113】
〔比較例9〕
実施例1で得られた母体粒子Aを実施例1と同様の条件にて混合した。
この後、興和工業所製円型振動ふるい機にて、篩の目開き:26[μm]、超音波振動変換器取付位置:2次側、超音波発信装置昇温抑制機構:無、超音波出力初期値:25[W]の条件で、篩別工程を通算5時間行い、トナーAを得た。
篩別工程後に得られたトナーの緩凝集体量は2.121[mg/g]で異常画像(ホタル)はA3サイズのコピー用紙2枚をハーフトーンのべた塗り画像を評価した結果、8ヶ異常画像が確認された。
【0114】
〔比較例10〕
実施例1で得られた母体粒子Aを実施例1と同様の条件にて混合した。
この後、興和工業所製円型振動ふるい機にて、篩の目開き:43[μm]、超音波振動変換器取付位置:2次側、超音波発信装置昇温抑制機構:無、超音波出力初期値25[W]の条件で、篩別工程を通算5時間行い、トナーAを得た。
篩別工程後に得られたトナーの緩凝集体量は1.789[mg/g]で異常画像(ホタル)はA3サイズのコピー用紙2枚をハーフトーンのべた塗り画像を評価した結果、5ヶ異常画像が確認された。
【0115】
〔比較例11〕
実施例1で得られた母体粒子Aを実施例1と同様の条件にて混合した。
この後、興和工業所製円型振動ふるい機にて、篩の目開き:34[μm]、超音波振動変換器取付位置:2次側、超音波発信装置昇温抑制機構:無、超音波出力初期値:15[W]の条件で、篩別工程を通算5時間行い、トナーAを得た。
篩別工程後に得られたトナーの緩凝集体量は1.376[mg/g]で異常画像(ホタル)はA3サイズのコピー用紙2枚をハーフトーンのべた塗り画像を評価した結果、4ヶ異常画像が確認された。
【0116】
〔比較例12〕
実施例1で得られた母体粒子Aを実施例1と同様の条件にて混合した。
この後、興和工業所製円型振動ふるい機にて、篩の目開き:34[μm]、超音波振動変換器取付位置:2次側、超音波発信装置昇温抑制機構:無、超音波出力初期値:30[W]の条件で、篩別工程を通算5時間行い、トナーAを得た。
篩別工程後に得られたトナーの緩凝集体量は3.355[mg/g]で異常画像(ホタル)はA3サイズのコピー用紙2枚をハーフトーンのべた塗り画像を評価した結果、10ヶ異常画像が確認された。
【0117】
〔比較例13〕
実施例1で得られた母体粒子Aを同様の条件にて混合した。
この後、興和工業所製円型振動ふるい機にて、篩の目開き:34[μm]、超音波振動変換器取付位置:1次側、超音波発信装置昇温抑制機構:無、超音波出力初期値:25[W]の条件で、篩別工程を通算5時間行い、トナーAを得た。
篩別工程後に得られたトナーの緩凝集体量は0.563[mg/g]で異常画像(ホタル)はA3サイズのコピー用紙2枚をハーフトーンのべた塗り画像を評価した結果、3ヶ異常画像が確認された。
【0118】
〔比較例14〕
実施例1で得られた母体粒子Aを同様の条件にて混合した。
この後、興和工業所製円型振動ふるい機にて、篩の目開き:26[μm]、超音波振動変換器取付位置:1次側、超音波発信装置昇温抑制機構:無、超音波出力初期値:25[W]の条件で、篩別工程を通算5時間行い、トナーAを得た。
篩別工程後に得られたトナーの緩凝集体量は0.610[mg/g]で異常画像(ホタル)はA3サイズのコピー用紙2枚をハーフトーンのべた塗り画像を評価した結果、4ヶ異常画像が確認された。
【0119】
〔比較例15〕
実施例1で得られた母体粒子A を同様の条件にて混合した。
この後、興和工業所製円型振動ふるい機にて、篩の目開き:43[μm]、超音波振動変換器取付位置:1次側、超音波発信装置昇温抑制機構:無、超音波出力初期値:25[W]の条件で、篩別工程を通算5時間行い、トナーAを得た。
篩別工程後に得られたトナーの緩凝集体量は0.555[mg/g]で異常画像(ホタル)はA3サイズのコピー用紙2枚をハーフトーンのべた塗り画像を評価した結果、3ヶ異常画像が確認された。
【0120】
〔比較例16〕
実施例1で得られた母体粒子A を同様の条件にて混合した。
この後、興和工業所製円型振動ふるい機にて、篩の目開き:34[μm]、超音波振動変換器取付位置:1次側、超音波発信装置昇温抑制機構:無、超音波出力初期値:15[W]の条件で、篩別工程を通算5時間行い、トナーAを得た。
篩別工程後に得られたトナーの緩凝集体量は0.538[mg/g]で異常画像(ホタル)はA3サイズのコピー用紙2枚をハーフトーンのべた塗り画像を評価した結果、3ヶ異常画像が確認された。
【0121】
〔比較例17〕
実施例1で得られた母体粒子Aを同様の条件にて混合した。
この後、興和工業所製円型振動ふるい機にて、篩の目開き:34[μm]、超音波振動変換器取付位置:1次側、超音波発信装置昇温抑制機構:無、超音波出力初期値30[W]の条件で、篩別工程を通算5時間行い、トナーAを得た。
篩別工程後に得られたトナーの緩凝集体量は0.655[mg/g]で異常画像(ホタル)はA3サイズのコピー用紙2枚をハーフトーンのべた塗り画像を評価した結果、4ヶ異常画像が確認された。
【0122】
比較例1〜17の結果を表3に示す。
【表3】

【0123】
〔比較例18〕
実施例8で得られた母体粒子Bを比較例1と同条件で篩分けを行った。
〔比較例19〕
実施例8で得られた母体粒子Bを比較例6と同条件で篩分けを行った。
〔比較例20〕
実施例8で得られた母体粒子Bを比較例8と同条件で篩分けを行った。
〔比較例21〕
実施例8で得られた母体粒子Bを比較例13と同条件で篩分けを行った。
【0124】
比較例18〜21の結果を表4に示す。
【表4】

【0125】
トナーの特性として、超音波振動変換器8が異常発熱(50〜55[℃])した状態で運転し続けるとトナーが融け粒子同士が結合してしまうメルトと呼ばれる現象が発生しトナー製品としての品質を確保することが出来なくなり、歩留低下となる。また、50〜55[℃]の範囲まで温度上昇しなくても、トナーの製造過程における温度の運転管理目安として、40[℃]以下に抑えることが望まれる。ここで、実施例1〜7と比較例13〜17とを比較すると温度上昇抑制機構のない比較例13〜17は超音波振動変換器8の温度が、温度上昇抑制機構がある実施例1〜7に比べ高く(40[℃]に近づく)、それに伴い緩凝集体量も増加して画像品質が悪くなる。
【0126】
以上の実験例の結果より、トナーの製造工程中の篩別工程において、超音波発信装置7内の温度変化を抑制し、発熱源となる超音波振動変換器8の取付位置、篩の目開きの関係、超音波出力値を規定することにより、電子写真における画質に影響を及ぼす、緩凝集体の製品トナーへの混入を減量出来、高品質の画像を形成出来るトナーを代表とする低融点樹脂含有物質の製造方法を提供することが出来る。
また、本発明ではトナーの篩分け工程において従来の篩操作では2段篩構成により、上段篩にて新たに形成した電子写真における画質低下の原因となる緩凝集体を下段篩にて再分散して対応していたことを、1段篩にて対応することも出来る。
【0127】
上述した本実施形態は、低融点樹脂含有物質として電子写真用トナーの製造方法及び電子写真用トナーに関する構成について説明した。本発明と同様の低融点樹脂含有物質の製造方法によって製造される低融点樹脂含有物質としては、電子写真用トナーに限るものではない。
例えば、合成樹脂、塗料、顔料、医薬品、工業薬品等の化学製品、製粉用小麦粉、澱粉、ぶどう糖、調味料、香辛料、製菓、パン粉、精糖、製塩等の食品、鉄および非鉄金属粉、鋳物砂、フェライト、酸化アルミ、ショットブラスト玉等の金属製品、その他あらゆる分野の低融点(融点50[℃]以下程度)の樹脂含有物質の選別に応用することが出来る。
【0128】
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
〔態様A〕
篩部材2と、篩部材2に対して粉体の篩分けを行うための運動を付与する振動モータ6などの篩別運動付与手段と、受信した超音波信号を超音波振動に変換して、篩部材2に付与する超音波振動変換器8と、超音波振動変換器8に超音波信号を発信する超音波発信装置7とを有する振動篩装置100において、超音波発信装置7の温度上昇を抑制する上部ガラリ9及び下部ガラリ10などの発信装置温度上昇抑制手段を備える。これによれば、上記実施形態について説明したように、振動篩装置100の運転を続けたときに、超音波発信装置7の内部の温度が上昇することを抑制できるため、超音波発信装置7の温度上昇に起因する篩部材2の経時での温度上昇を抑制でき、篩部材2の温度上昇に起因してトナー同士が溶着することを抑制することができるため、篩部材2で、篩分け対象であるトナーに新たな凝集体が発生することを抑制することができる。
〔態様B〕
〔態様A〕において、篩部材2を挟んで形成される二つの空間のうち、篩分け対象の粉体が供給される側の空間を処理一次側空間としての篩上部空間11とし、二つの空間のうちの他方の空間であり、篩部材2を通過したトナーなどの粉体が到達する空間を処理二次側空間としての篩下部空間12としたときに、超音波振動変換器8を篩部材2の処理一次側空間である篩上部空間11に配置している。これによれば、上記実施形態について説明したように、トナー粒子などの粉体同士が凝集することを抑制できる構成に加えて、仮にトナー粒子同士が凝集し、篩分け処理中に新たな緩凝集体の発生があったとしても、緩凝集体の形成は篩部材2の上面側で行われるため、発生した緩凝集体は篩部材2によって捕捉される。そして、緩凝集体は、更なる篩分け処理によって再分散されて篩部材2を通過する、または、製品トナー排出口4から装置本体1の外に排出される。このため、製品トナー中に緩凝集体が混入することは防止でき、製品トナーの連続安定生産が可能となる。
〔態様C〕
〔態様A〕または〔態様B〕において、発信装置温度上昇抑制手段として、超音波発信装置7の筺体に上部ガラリ9及び下部ガラリ10などの放熱ガラリを設ける。これによれば、上記実施形態の図1を用いて説明したように、ガラリという簡易な構成で、超音波発信装置7の温度上昇を抑制することができる。
〔態様D〕
〔態様A〕乃至〔態様C〕の何れか一つの態様において、発信装置温度上昇抑制手段として、超音波発信装置7の筺体に換気ファン20を設けている。これによれば、図4(a)を用いて説明したように、超音波発信装置7の内部の空気を強制的に置換出来、超音波発信装置7の温度上昇をさらに抑制することができる。
〔態様E〕
〔態様A〕乃至〔態様D〕の何れか一つの態様において、発信装置温度上昇抑制手段として、超音波発信装置7の筺体内に冷却気体を供給する冷却気体供給装置を設ける。これによれば、図4(b)を用いて説明したように、超音波発信装置7内に周辺温度よりも低い温度の冷却エアーを取り込める構成となっているため、空気の置換よりも冷却性を高めることが出来、超音波発信装置7の温度上昇をさらに抑制することができる。
〔態様F〕
少なくとも篩別手段によって粉体の篩分けを行う篩別工程を備える樹脂含有物質の製造方法において、篩別手段として、態様A乃至Dの何れか1つの態様の振動篩装置100を用いる。これにより、上記実施形態で説明したように、目的の製品粒径のトナーなどの製品粉体を確保する事が可能となる。
〔態様G〕
〔態様F〕において、低融点樹脂含有物質が電子写真用トナーである。これにより、上記実施形態で説明したように、電子写真における画質低下の原因となる緩凝集体が篩別工程で新たなに発生することを抑制することができるので、製造したトナーの品質の向上を図ることができる。
〔態様H〕
〔態様G〕において、篩別工程における篩部材2が、1インチ平方内に200個の開口部があり、開口部の目開きが75[μm]、開口部を形成する線径が50[μm]であり、篩別工程の際に篩部材2に供給したトナーの供給量1[g]に対する篩別工程が終了した時点で篩部材2上に残ったトナーの量が0.5[mg]以下である。このように、篩別工程における緩凝集体の発生量を確認することで、画像評価をしなくても画像品質を推定することが可能となる。
〔態様I〕
電子写真用のトナーにおいて、〔態様G〕または〔態様H〕に記載の低融点樹脂含有物質の製造方法によって製造される。このようなトナーでは、トナー中に所定粒径よりも大きな粒径の凝集体が混在することが抑制され、画質の劣化や画像形成装置内の汚染の発生を防止できる。
【符号の説明】
【0129】
1 装置本体
2 篩部材
3 トナー投入口
4 製品トナー排出口
5a 粗粉排出入口
5 粗粉排出口
6 振動モータ
7 超音波発信装置
8 超音波振動変換器
9 上部ガラリ
10 下部ガラリ
11 篩上部空間
12 篩下部空間
20 換気ファン
21 篩枠部材
22 接着剤
25 Vバンド
26 Uパッキン
30 冷却エアー供給管
100 振動篩装置
G 隙間
P 支点
【先行技術文献】
【特許文献】
【0130】
【特許文献1】特開2000−075547号公報
【特許文献2】特開2008−076873号公報
【特許文献3】特開2010−122313号公報
【特許文献4】特開2005−205307号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
篩部材と、
該篩部材に対して粉体の篩分けを行うための運動を付与する篩別運動付与手段と、
受信した超音波信号を超音波振動に変換して、該篩部材に付与する超音波振動変換器と、
該超音波振動変換器に超音波信号を発信する超音波発信装置とを有する振動篩装置において、
上記超音波発信装置の温度上昇を抑制する発信装置温度上昇抑制手段を備えることを特徴とする振動篩装置。
【請求項2】
請求項1の振動篩装置において、
上記篩部材を挟んで形成される二つの空間のうち、篩分け対象の粉体が供給される側の空間を処理一次側空間とし、
該二つの空間のうちの他方の空間であり、該篩部材を通過した粉体が到達する空間を処理二次側空間としたときに、
上記超音波振動変換器を該篩部材の該処理一次側空間に配置したことを特徴とする振動篩装置。
【請求項3】
請求項1または2の振動篩装置において、
上記発信装置温度上昇抑制手段として、超音波発信装置の筺体に放熱ガラリを設けたことを特徴とする振動篩装置。
【請求項4】
請求項1または2の振動篩装置において、
上記発信装置温度上昇抑制手段として、超音波発信装置の筺体に換気ファンを設けたことを特徴とする振動篩装置。
【請求項5】
請求項1または2の振動篩装置において、
上記発信装置温度上昇抑制手段として、超音波発信装置の筺体内に冷却気体を供給する冷却気体供給装置を設けたことを特徴とする振動篩装置。
【請求項6】
少なくとも篩別手段によって粉体の篩分けを行う篩別工程を備える樹脂含有物質の製造方法において、
上記篩別手段として、請求項1乃至5の何れか1項に記載の振動篩装置を用いることを特徴とする樹脂含有物質の製造方法。
【請求項7】
請求項6の低融点樹脂含有物質の製造方法において、
上記低融点樹脂含有物質が電子写真用トナーであることを特徴とする低融点樹脂含有物質の製造方法。
【請求項8】
請求項7の低融点樹脂含有物質の製造方法において、
上記篩別工程における上記篩部材が、1インチ平方内に200個の開口部があり、該開口部の目開きが75[μm]、該開口部を形成する線径が50[μm]であり、
該篩別工程の際に該篩部材に供給した粉体の供給量1[g]に対する該篩別工程が終了した時点で該篩部材上に残った粉体の量が0.5[mg]以下であることを特徴とする低融点樹脂含有物質の製造方法。
【請求項9】
請求項7または8に記載の低融点樹脂含有物質の製造方法によって製造されたことを特徴とする電子写真用トナー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−705(P2013−705A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136721(P2011−136721)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】