説明

振動解析方法

【課題】 弱結合した構造体の振動解析方法を提供する。
【解決手段】 複数の部材を弱結合した構造体の振動解析方法であって、構造体を複数のサブシステムに分割し、各サブシステムの振動解析を行う統計的エネルギ解析法(SEA)と、統計的エネルギ解析法によって導出したサブシステムの内部損失係数、及びサブシステム間の結合損失係数の感度を求める感度解析法と、を用いて構造体の振動を解析する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の部材を弱結合した構造体の振動解析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
事務機器の設計過程に於いて、機器外に発せられる騒音を予測する為に、有限要素法、境界要素法が使われている。有限要素法、境界要素法を用いた振動解析、音響解析では音響空間を含む対象物、事務機器の外装、機器の内部などを有限要素化する必要があり、このモデル化は対象物の構造を有限個の直方体、或いは平面の四角形等の集合で表す事によって行われる。
【0003】
そして、このモデル化を行った後、モータ等の振動源がある機器の箇所から騒音の観測点までの音響伝達関数を有限要素法、境界要素法により計算を行う。
【0004】
統計的エネルギ解析法(SEA)では、解析対象をいくつかの要素に分割し、その要素内では一様に振動モードが励起されているとし、要素間のパワーフローをエネルギの差に比例するものとして定式化する(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
二つの一自由度系が連結ばねでつながっている系を考えると、二つの振動系のエネルギ差に比例した伝達パワーが振動系に発生すると考える。一般の構造物では、この考えを拡張して、多数のモードが存在する独立した振動系(要素)の各モードのエネルギが、その振動系と隣接する振動系の各モードのエネルギとの差に比例した伝達パワーのやりとりを行っていると考える。
【0006】
SEAの主要な変数は物理系に共通なエネルギであり、上述の扱いを行う為にオクターブバンドなどの様に周波数平均、要素全体にわたって空間平均を施す。
【特許文献1】特開平11−337402号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、事務機器の様に、ネジ又はカシメ等によって複数の部材を結合した構造(弱結合)を有する機器に於いては、その構造を正確に有限要素法(FEM)モデルとして表す事が困難である。特に弱結合部の要素の拘束条件により、解析結果は大きく変化する。
【0008】
上の要因により、有限要素によって表された事務機器の振動系の正確さは、弱結合部のモデル化の精度によって大きく依存する事となり、結果的に正確な振動系を表現するのは非常に困難となってしまう。
【0009】
上記問題を解決するため、本発明は、弱結合した構造体に適した振動解析方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明は、複数の部材を弱結合した構造体の振動解析方法であって、前記構造体を複数のサブシステムに分割し、各サブシステムの振動解析を行う統計的エネルギ解析法と、前記統計的エネルギ解析法によって導出した前記サブシステムの内部損失係数、及び前記サブシステム間の結合損失係数の感度を求める感度解析法と、を用いて前記構造体の振動を解析することを特徴とする振動解析方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、各サブシステムに分布する振動エネルギと、各サブシステム間で振動パワーが流れる方向と、その大きさを詳細に解析する事が出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【実施例1】
【0013】
図1は原稿自動搬送装置を装着した画像形成装置の一例である複写機の内部構成説明図であり、この複写機は画像形成装置本体Aの上部に原稿自動搬送装置Bを結合して構成されている。
【0014】
ここでは、まず画像形成装置の全体構成について概略説明し、次に原稿自動搬送装置について詳細に説明する。
【0015】
[画像形成装置の全体構成]
画像形成装置本体Aは、読取装置A1と記録装置A2とを一体的に有するものであり、原稿自動搬送装置Bにセットした複数枚の原稿を順次給送して読取装置A1で読み取るとともに、その読み取り情報に応じて記録装置A2で普通紙やOHPシート等の記録媒体に記録するものである。
【0016】
読取装置A1は後で詳細に説明する原稿自動搬送装置Bでプラテンガラス1上の所定位置に搬送された原稿Gに対し、光源2で光照射してその反射光をミラー3、レンズ4を介して感光体ドラムに画像露光するものである。
【0017】
記録装置A2は前記読取装置A1からの画像露光に応じて電子写真方式の画像形成手段によって記録媒体Sに画像記録するものである。画像形成手段の具体的な構成は、駆動回転する感光体ドラム5の表面を一次帯電器6で一様に帯電するとともに、前記画像露光によって感光体ドラム5に静電潜像を形成し、この潜像を現像手段7でトナー現像してトナー像を形成する。
【0018】
前記トナー像の形成と同期するように、着脱可能なシートカセット8又はシートデッキ9に収納された記録媒体Sが選択的に給送ベルト10で一枚ずつ分離給送され、レジストローラ11で斜行が補正されつつ画像形成タイミングに合わせて画像形成手段へ搬送される。そして、感光体ドラム5と転写帯電器12の間に搬送された記録媒体Sに対し、転写帯電器12へのバイアス印加によって感光体ドラム5上に形成したトナー像を転写して画像記録する。尚、トナー像転写後に感光体ドラム5に残留したトナーはクリーニング手段13によって除去される。
【0019】
前記の如くしてトナー像が転写された記録媒体Sは、搬送ベルト14によって定着手段15へ搬送され、ここで熱及び圧力が印加されてトナー像が定着され、排出ローラ16によってシート排出トレイ17へと排出される。
【0020】
尚、本実施例に係る記録装置A2は両面記録機能を有しており、記録媒体Sの表裏両面に記録する場合には、前記の如くして一方面側に記録した記録媒体Sを排出フラッパ18を切り替えることによって再送パス19へ搬送し、該再送パス19でスイッチバックさせることで表裏反転した後、再送ローラ20によって再度画像形成手段へ搬送して他方面側
に記録してシート排出トレイ17へ排出する。
【0021】
[原稿自動搬送装置]
次に原稿Gを読取装置A1による読取位置へ搬送し、読取後に排出部へ排出する原稿自動搬送装置Bの構成について説明する。
【0022】
図2は原稿自動搬送装置の主断面説明図である。この原稿自動搬送装置Bは、原稿載置部B1と原稿給送部B2、原稿搬送部B3及び原稿排出部B4を有する。
【0023】
{原稿自動搬送装置の全体構成}
(原稿給送部)
原稿載置部B1は原稿載置トレイ21の積載面21aに原稿面を上にして原稿Gの束をセットするものであり、セットした原稿Gの両サイドをサイドガイド21bに突き当ててガイドする。
【0024】
原稿給送部B2は、図2に示すように、原稿載置トレイ21にセットした複数枚の原稿Gを摩擦分離方式によって最上原稿から1枚ずつ分離し、レジストローラ対によって給送していくものである。
【0025】
ピックアップローラ22は図示しない上下機構によって上下に揺動可能に取り付けられており、原稿給送に際しては前記ピックアップローラ22が原稿束の上に下降し、中板23が上昇して原稿束を給送ローラ24に押圧して給送予備動作に入る。
【0026】
その後、駆動源としてのモータM1により給送ローラ24とピックアップローラ22が回転して原稿Gを給送する。このとき、最上紙につれて送られようとする2枚目以降の原稿は、摩擦片25により制止されて原稿載置トレイ21に留まる。その後、原稿はガイド部材26でガイドされ、給送パス27を構成する給送ガイド部材28及び給送中ガイド部材29間を通り、レジストローラ対30a,30bに導かれる。このレジストローラ対30a,30bは原稿先端が到達した時点では停止しており、給送ローラ24による搬送でループを形成して斜行補正した後、原稿を原稿搬送部B3へ給送する。
【0027】
(原稿搬送部)
原稿搬送部B3は搬送ベルト31が駆動ローラ32a及び従動ローラ32bで張架され、ベルト押圧コロ32c,32d,32e,32fによってプラテンガラス1に押圧されるように構成されている。そして、駆動源としてのモータM2で駆動ローラ32aが回転駆動を受けることにより搬送ベルト31が回転駆動される。この回転によって給送された原稿Gが搬送ベルト31とプラテンガラス1の間に進入し、搬送ベルト31の摩擦力によってプラテンガラス1上を搬送される。搬送ベルト31によりプラテンガラス1上の所定位置まで搬送された原稿Gは、モータM2の停止に伴って停止し、前述した読取装置A1によって画像が読み取られる。
【0028】
画像読み取り後の原稿はモータM2の再駆動によって更に図2の右側へ搬送され、ジャンプ台33でガイドされて原稿排出部B4へ搬送される。
【0029】
スモールサイズの原稿を搬送した場合には、ここで後続原稿がある場合に、後続原稿が搬送ベルト31の回転によって先行原稿と同様にして所定位置まで搬送された後、読取装置A1によって読み取られる。この読み取り動作中に先行原稿は後述するように原稿排出部B4で表裏反転され、原稿排出台34へ排出される。
【0030】
(原稿排出部)
原稿排出部B4は読み取り後の原稿Gを反転排出するものであり、図2に示すように、反転ローラ35に従動ローラ36及び従動コロ37が圧接されており、また反転パスP2には搬送ローラ対38a,38bが設けられている。
【0031】
更に、排出時に原稿を導入パスP1又は排出パスP3へ送り込むための揺動フラッパ39、係合フラッパ40、追従フラッパ41の各フラッパ及び揺動ガイド42が設けられている。
【0032】
前記原稿自動搬送装置Bは画像形成装置本体Aの頂部に設けられたプラテンガラス1の上面を覆うように取り付けられており、図3(原稿自動搬送装置の側断面説明図)に示すように、奥側(図9の左側)がヒンジユニット43で画像形成装置本体Aに枢着され、手前側(図9の右側)は例えばマグネットキャッチ44で画像形成装置本体Aに着脱可能に取り付けられている。次に原稿自動搬送装置Bの各部の特徴的構成について順次説明する。
【0033】
{各ユニットの支持構成}
本実施例に係る原稿自動搬送装置Bは前述したように原稿載置部B1、原稿給送部B2、原稿搬送部B3、原稿排出部B4等が各ユニットになって構成されている。そして、図4に示すように、前記各ユニットを結合してヒンジユニット43を介して画像形成装置本体Aに組み付けるように構成されている。
【0034】
図4及び図5に示すように、板金で構成した支持プレート45を用い、この支持プレート45にユニットとしての原稿給送部B2、原稿排出部B4、ヒンジユニット43をネジ46等によって結合し、この支持プレート45を原稿載置部B1と一体化した合成樹脂製のモノコックフレーム47に取り付けている。
【0035】
次に、本発明に係る具体的な振動解析方法の具体的な解析フローについて説明する。
【0036】
図6(a)及び(b)(図6(a)のA矢視図)は、複写機用自動紙送り装置(原稿自動搬送装置B)のサブシステム分割図を示している。本実施例において原稿自動搬送装置Bを、サブシステム(1)(原稿排出部ユニット)、サブシステム(2)(原稿排出部支持ユニット)、サブシステム(3)(原稿載置部ユニット)、サブシステム(4)(原稿給紙部支持ユニット)、サブシステム(5)(原稿給紙部ユニット)、サブシステム(6)(原稿排出台ユニット)、サブシステム(7)(原稿搬送部ユニット)のユニット単位にてサブシステム分割した。
【0037】
また、図7はSEA解析のある周波数帯域の結果である。サブシステム間を結ぶ矢印は、それぞれのサブシステム間の振動パワーの伝達方向を示しており、矢印の太さは相対的な振動パワーの大きさを示している。また、外部からサブシステムを指している矢印は、相対的な外部からの振動入力パワーを示しており、その矢印の太さは、振動入力パワーの大きさを示している。そして、各サブシステムの四角の中の黒丸の大きさは、各サブシステムの相対的な振動エネルギ分布を示している。
【0038】
これらのサブシステムが発する騒音を低減する為には、具体的に各サブシステム内部の振動エネルギが振動パワーに変換されるときの損失割合を表す内部損失係数と、各サブシステム間を伝達するエネルギの損失割合を表す結合損失係数を変化させる事が必要となる。
【0039】
同図の7つのサブシステムの振動エネルギの総計を、低減する為の、目的関数の設定法として、ここでは摂動法を用いる。
【0040】
SEAの基礎式は、
【数1】


P:振動パワー、ω:角周波数、L:損失係数、E:振動エネルギ
であるが、摂動法ではこのPの変動は無視して、それぞれのL(SEAの損失係数)の微少な変動による、Eの総和の変化に対する感度を計算する。
【0041】
図8は、上記感度解析結果の一例を示している。同図は、内部損失係数(ILF)、及び
結合損失係数(CLF)と各サブシステムのエネルギ変動との関係を表す図である。尚、左
のグラフは横軸がILF、右のグラフは横軸がCLFで、縦軸は各損失係数の増加に伴う各サブシステムのエネルギ変動(ΔE1〜ΔE7)をとっている。例えば同図に示す破線部に関して説明すると、サブシステム(7)のILFを大きくすると、サブシステム(7)のエネルギ
ΔE7が減少することを示している。
【0042】
また、サブシステム(1)、及びサブシステム(7)間の結合損失係数CLF[1][7]
(サブシステム(1)からサブシステム(7)に伝達する際の結合損失係数)を増加させると、サブシステム(7)のエネルギΔE7が増加することを示す。これは、反対にCLF[1][7]が減少するとサブシステム(7)のエネルギΔE7が減少することを表している

【0043】
上記の感度解析の結果、内部損失係数ILF[7]を大きくなるように変化させ、また結合損失係数CLF[1][7]を小さくなるように変化させる(サブシステム(1)からサブシ
ステム(7)に伝達する振動エネルギを小さく抑える)事により、これら7つのサブシステムの振動エネルギの総和を制約条件下で最も効率よく低減出来ることが判明した。
【0044】
結合損失係数CLF[1][7]を小さく変化させる、機械的な形状を予測する手段の一つ
に、有限要素法による強制振動応答から結合損失係数を求める方法がある。
【0045】
図9は、サブシステム(1)とサブシステム(7)が機械的に結合している状態を示す図である。サブシステム(1)を加振する事によるサブシステム(7)とサブシステム(1)の応答を有限要素法により予測し、サブシステム(1)を加振する振動パワー、サブシステム(7)に発生する振動エネルギを算出する事により、結合損失係数CLF[1][7
]とCLF[7][1]を求める。そして、図10に示すように、結合損失係数CLF[1][7]が製品としての制約の中で最小となる様な形状を、最適化アルゴリズムによる目的関数を解く事により求める事が出来る。
【0046】
図11は、改善前後のモデルに関し、本実施例を適用した場合の騒音低減効果を、1/3オクターブバンド毎に示したグラフである。また、同図の横軸は騒音の周波数を、縦軸は、各周波数帯域の騒音レベルを示している。この結果より、広範囲の周波数帯域において、騒音レベルが低減されることが確認できる。
【0047】
以上に記した様に、
(1)サブシステム結合の定義を行う(SEA)、
(2)そのサブシステム構成に対するSEA解析を行い、各サブシステムの内部損失係数、結合を定義したサブシステム間の結合損失係数を求める(SEA)、
(3)サブシステムの結合、SEA解析によって求めた内部損失係数、結合損失係数より、各サブシステムの振動エネルギを最小化する為に、より効率的な損失係数を選別する(
損失係数の感度解析法)、
(4)選別された損失係数が最適化される様な形状を、有限要素法による強制振動応答解析のパラメータの最適化により求める(パラメータ最適化)、
というフローを辿る事により、製品の静音化を図る事が可能となる。
【実施例2】
【0048】
実施例1においては、上記(4)の有限要素法を用いたパラメータ最適化方法により求める改善フローについて説明した。本実施例2では、上記(3)の感度解析法によって決定した着目すべき損失係数について、より簡易な方法で改善案を導き出し、騒音対策の為の具体的なサブシステム形状の作成が行える改善方法について説明する(図12は、実施例2に係る改善フローを示す)。
【0049】
まず初めに、本実施例にて適用した結合損失係数の表現方法について述べる。波動理論に基づき、結合損失係数は、次式で表す事が出来る。
【0050】
【数2】


ここで、ηij:要素iから要素jへの結合損失係数、cgi:要素iの曲げ波群速度
、L:結合長さ、τij:エネルギ透過率、ω:角周波数、S:要素iの表面積、n:要素iのモード密度である。
【0051】
結合損失系数に関しては、cgiは材料によって一意的に決定される。Lはサブシステム同士の結合をすべて線結合とみなした場合の結合長さ、τijは要素同士の結合角度で変化するが、一様に90度と見なして差し支えなく、他の要素としては、板厚比がある。
【0052】
尚、本実施例における各サブシステムの内部損失系数は、数式より計算する事も可能であるが、より良い計算精度を得る為に、実験データベースより、同条件の場合の一定の数値を使用した。
【0053】
図13は、この波動理論により、結合損失係数CLF[1][7]を予測した結果を示して
いる。同図の横軸はサブシステム間の振動周波数を、縦軸は、各振動周波数の結合損失係数CLF[1][7]を示している。実測により求めた結合損失系数と、予測値とが良く一致
している。
【0054】
また、図14は、上記の波動理論を用いて結合損失係数CLF[1][7]が小さくなるよ
うな結合パラメータを導出し、この導出された結合パラメータに基づいて作成したサブシステムに関して振動パワーの伝達状態(実測値)を表したものである。同図によると、結合損失係数CLF[1][7]が減少したため、伝達する振動パワーの伝達方向の正負が逆転
していることが確認できる。この結果から、波動理論による結合パラメータの導出方法が実測値の傾向を良く表すことを示している。
【0055】
このように、本発明の実施例1に記した感度解析による効率的な損失系数の選別に加えて、結合損失係数を汎用理論である波動理論を用いて表現し、該波動理論によって得られた結合パラメータを導出することで、容易にサブシステムの対策形状を決定することができる。また、この対策形状の効果を有限要素法を援用して評価することで、システム全体
として振動パワーの伝達状態の把握、そして騒音対策の効果予測が可能となり、製品の静音化を図る事が出来る。
【0056】
以上のように、各サブシステムの振動エネルギ分布が最小となる様な各サブシステム間の結合損失、内部損失の各パラメータに関し、全体エネルギの変化に対する感度を求め、振動・騒音対策として着目すべき各サブシステム間の結合損失係数、内部損失係数を決定した。また、上記パラメータの感度結果と、波動理論による結合パラメータ評価方法により導出した結合パラメータ等に基づき各サブシステムの対策形状を作成した。更に、有限要素法を用いて各サブシステムの対策形状の効果予測を行うといった一連の解析プロセスを適用することにより、振動・騒音の要因予測、及び改善が効率的、且つ効果的に行えるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】原稿自動搬送装置を装着した画像形成装置の一例である複写機の内部構成説明図
【図2】原稿自動搬送装置の主断面説明図
【図3】原稿自動搬送装置の側断面説明図
【図4】原稿給送部、原稿排出部等の各ユニットの分解斜視説明図
【図5】原稿給送部、原稿排出部等の各ユニットを支持プレートによって連結固定した状態説明図
【図6】複写機用自動紙送り装置(原稿自動搬送装置)のサブシステム分割を説明する図
【図7】サブシステム間の振動パワーの大きさ、及び伝達方向を説明する図
【図8】損失係数の感度解析を説明する図
【図9】サブシステム間の結合を説明する図
【図10】サブシステム間の結合損失を小さくした形状を説明する図
【図11】本発明の実施例1に係る騒音レベルの対策前後での効果を説明する図
【図12】本発明の実施例2に係る改善方法のフローを説明する図
【図13】サブシステム間の結合損失係数の実測値と、波動理論により導出した結合損失係数との比較を説明する図
【図14】本発明の実施例2を適応した振動パワーの伝達を説明する図
【符号の説明】
【0058】
A 画像形成装置本体
A1 読取装置
A2 記録装置
B 原稿自動搬送装置
B1 原稿載置部
B2 原稿給送部
B3 原稿搬送部
B4 原稿排出部
G 原稿
M1、M2、M3 モータ
P1 導入パス
P2 反転パス
P3 排出パス
S 記録媒体
21 原稿載置トレイ
21a 積載面
21b サイドガイド
22 ピックアップローラ
23 中板
24 給送ローラ
25 摩擦片
26 ガイド部材
27 給送パス
28 給送ガイド部材
29 給送中ガイド部材
30a、30b レジストローラ
31 搬送ベルト
32a 駆動ローラ
32b 従動ローラ
32c、32d、32e、32f ベルト押圧コロ
33 ジャンプ台
34 原稿排出台
35 反転ローラ
36 従動ローラ
37 従動コロ
38a、38b 搬送ローラ対
39 揺動フラッパ
40 係合フラッパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の部材を弱結合した構造体の振動解析方法であって、
前記構造体を複数のサブシステムに分割し、各サブシステムの振動解析を行う統計的エネルギ解析法と、
前記統計的エネルギ解析法によって導出した前記サブシステムの内部損失係数、及び前記サブシステム間の結合損失係数の感度を求める感度解析法と、
を用いて前記構造体の振動を解析することを特徴とする振動解析方法。
【請求項2】
前記弱結合とは、ネジ又はカシメによって前記複数の部材を結合した構造であることを特徴とする請求項1記載の振動解析方法。
【請求項3】
前記結合損失係数を汎用理論を用いて表現し、前記汎用理論によって得られた前記結合損失係数の構成パラメータを導出するパラメータ導出方法と、
前記構成パラメータに基づき作成した前記サブシステムに、有限要素法を適用して振動評価する為の振動評価方法と、
を援用したことを特徴とする請求項1記載の振動解析方法。
【請求項4】
前記結合損失係数を波動理論を用いて表現し、前記波動理論によって得られたサブシステム間の結合パラメータを導出する結合パラメータ導出方法を援用したことを特徴とする請求項3記載の振動解析方法。
【請求項5】
上記構造体を有するシート給送装置へ適応した請求項1乃至4のいずれかに記載の振動解析方法であって、
前記シート給送装置は、樹脂製のモノコックフレームと、これにビス結合された薄い金属板からなる補強材により構成される構造体を有し、これらの構造体に、駆動源を有する第1の主ユニットと、同じく駆動源を有する第2の主ユニットと、搬送ベルト体を有する第3の主ユニットと、を保持する構成であることを特徴とする振動解析方法。
【請求項6】
上記第1の主ユニットは、原稿を給送する機能を有し、上記第2の主ユニットは、原稿を排出する機能を有することを特徴とする請求項5記載の振動解析方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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