説明

振込式収納装置

【課題】収容体の取り付け、取り外しを容易に行うことができる振込式収納装置を実現する。
【解決手段】本発明の振込式収納装置は、収納すべき被収容材を収容する収容体15と、揺動若しくは振動可能に構成された基体部102と、該基体部を揺動若しくは振動させる駆動機構110と、前記基体部に取り付けられ、前記収容体を前記被収容材の収納の向きを自身から離れる向きとした姿勢でその離れる側から取り付け可能かつ同側へ取り外し可能に構成してなる収容材供給部103、104と、を具備し、前記収容材供給部は、前記収容体を取り付けたときに前記収容体における前記被収容材の前記収納の向きが上向きとなる取付姿勢と前記収納の向きが下向きとなる振込姿勢とにおいてそれぞれ保持されるとともに、前記取付姿勢と前記振込姿勢との間で反転可能に構成されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は振込式収納装置に係り、特に、揺動や振動等の振込み動作によりカセットやマガジン等の収容体に多数の部材を重ねて収納する場合に好適な収納装置の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、各種製品の製造現場では、多数の部品や各種材料をカセットやマガジンなどの収容体に収容しておき、供給装置などに収容体を装着して部品や各種材料を一つずつ供給するように構成する場合がある。このような場合には、いわゆる振込み機と呼ばれる、パレット内に多数のワークを配置した状態で当該トレイを揺動させたり振動させたりすることで、パレットの底部に形成された孔からワークを上記収容体に収納していく振込式収納装置が知られている(例えば、以下の特許文献1及び2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−314744号公報
【特許文献2】特公昭52−5152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の振込式収納装置においては、部品を収容するカセットやマガジン等の収容体の上部にパレットを配置し、揺動や振動を与えながら部品収容穴内に挿入した可動ピンを降下させつつ、部品を上方のパレット内から部品収容穴内に落下させることで収納していくので、収容体をパレットの下に取り付ける必要があり、また、収容体の取付時の姿勢も収容口を上方へ向けた上下逆姿勢となるため、収容体を装置に取り付けたり取り外したりする作業が困難かつ煩雑で、効率的な処理ができないという問題点がある。
【0005】
そこで、本発明は上記問題点を解決するものであり、収容体の取り付け、取り外しを容易に行うことができる振込式収納装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
斯かる実情に鑑み、本発明の振込式収納装置は、収納すべき被収容材を収容する収容体と、揺動若しくは振動可能に構成された基体部と、該基体部を揺動若しくは振動させる駆動機構と、前記基体部に取り付けられ、前記収容体を前記被収容材の収納の向きを自身から離れる向きとした姿勢でその離れる側から取り付け可能かつ同側へ取り外し可能に構成してなる収容材供給部と、を具備し、前記収容材供給部は、前記収容体を取り付けたときに前記収容体における前記被収容材の前記収納の向きが上向きとなる取付姿勢と前記収納の向きが下向きとなる振込姿勢とにおいてそれぞれ保持されるとともに、前記取付姿勢と前記振込姿勢との間で反転可能に構成されることを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、基体部に対して取付姿勢とした収容材供給部に対し、収容体を収納の向きが収容体保持部から離れる上向きになる姿勢とし、その離れる側である上側から取り付け、その後、収容材供給部を反転させて振込姿勢とすると、反転によって収容体の収納の向きが下向きとなるので、駆動機構によって基体部を揺動若しくは振動させることで、被供給材を被収容材供給部において移動させながら、収容材供給部から被収容材を収容体の内部に落下させることで収納していくことが可能になる。また、収容体への被収容材の収納が完了したときには、収容材供給部を再び反転させて取付姿勢とすることで、収容体を収容材供給部から上側へ取り外すことが可能になる。
【0008】
すなわち、収容材供給部が取付姿勢にあるときには、収容体への被収容材の収納の向きが上向きとなるので、収容体を上側から収容材供給部に取り付けることができるとともに、収容体を収容材供給部から上側へ取り外すことができるようになる。一方、収容材供給部を振込姿勢としたときには、収容体の収納の向きが下向きとなるので、被収容材を振込動作によって重力により落下させることで収容体の内部に収納していくことが可能になる。したがって、収容材供給部に対する収容体の取り付けと取り外しをきわめて容易に行うことが可能となる。
【0009】
本発明の一の態様においては、前記収容材供給部は、前記収容体を取り付け可能かつ取り外し可能に構成された収容体保持部と、該収容体保持部に取り付けられた前記収容体の収容口を開口させる開口部を底部に備え、前記基体部、前記収容体又は前記収容体保持部に対して着脱可能に構成された供給パレットと、を有する。
【0010】
本発明の他の態様においては、前記収容体は、前記収納の向きとは逆側から前記被収容材を支持する支持面を備え、前記収納の向きに沿って移動可能に取り付けられた支持部材を内部に有し、振込時において前記支持面が前記収納の向きに漸次移動するように前記支持部材を制御する支持位置制御機構をさらに具備する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、収容体の収容体保持部に対する取り付け及び取り外しを極めて容易に行うことができるので、作業効率を大幅に高めることができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】収容体の取り付け、取り外し時の状態にある実施形態の振込式収納装置の概略構成を模式的に示す概略正面図(a)及び概略平面図(b)。
【図2】振込時の状態にある実施形態の振込式収納装置の概略構成を模式的に示す概略正面図(a)及び概略平面図(b)。
【図3】実施形態の収容材供給部を中心とする構造部分を拡大して示す概略拡大部分平面図(a)及び概略拡大部分断面図(b)。
【図4】実施形態の支持部移動機構を中心とする構造部分を拡大して示す概略拡大部分正面透視図(a)及び概略拡大部分側面透視図(b)。
【図5】実施形態の収容体を装着してなる収容材供給装置の縦断面図。
【図6】実施形態の収容体を装着してなる収容材供給装置の収容体の取り付け部分を中心とする部分正面図(a)及び部分平面図(b)。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、添付図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。図1は本発明に係る振込式収納装置の実施形態の収容体の取り付け、取り外し時における状態を模式的に示す概略正面図(a)及び概略平面図(b)、図2は同装置の実施形態の収容体への振込時における状態を模式的に示す概略正面図(a)及び概略平面図(b)である。なお、各図は適宜の場所において内部構造を示す断面を表示してある。
【0014】
本実施形態では、フレーム101に対して揺動可能に軸支された基体部102と、この基体部102を揺動させる駆動機構110と、図1に示す取付姿勢と、この取付姿勢に対して反転した図2に示す振込姿勢とにそれぞれ保持可能とされ、取付姿勢と振込姿勢との間を反転可能に構成されてなる収容体保持部103と、この収容体保持部103に対して着脱可能に構成された供給パレット104(図2参照)とを備えている。
【0015】
また、収容体15は、後述するように被収容材(例えば、半田ペレット)を縦に積層させた状態で収容する筒状の収容部15Aaを備え、この収容部15Aaの端部には収容口15c(図3(b)及び図5(a)参照)が設けられるとともに、この収容口15cへ被収容材を収納する向きとは逆側から被収容材を支持する支持面15s(図3(b)参照)を先端に備えた軸状の支持部材15Abが上記収容部15Aaの上記収容口15cとは反対側から摺動自在に挿入されている。また、収容体15には取付部15Acが設けられ、この取付部15Acが収容体保持部103に取付固定されるようになっている。
【0016】
駆動機構110は、電動モータ等よりなる駆動源111と、この駆動源111の出力軸に回転可能に連結されたリンク軸112と、このリンク軸112に対し回転可能に連結されたレバー113と、このレバー113によって往復回動される揺動軸114とを有する。この揺動軸114は上記基体部102に固定され、基体部102を揺動させる。また、上記収容体保持部103は、基体部102における揺動軸114の軸線から側方にずれた位置に設けられる回動軸103aを中心として基体部102に対して回動可能に軸支され、これによって収容体保持部103は図1に示す取付姿勢と図2に示す振込姿勢との間を回動により反転可能に構成される。収容体保持部103は、図示例では基体部102に固定されたストッパ102s、102t等の規制手段によって回動範囲が限定されており、上記取付姿勢では上方(図示で反時計回り)には回動するが下方(同時計回り)には回動せず、上記振込姿勢では上方(同時計回り)には回動するが下方(同時計回り)には回動しないように構成され、これによって、収容体保持部103の上記取付姿勢と振込姿勢がそれぞれ自重により保持されるようになっている。収容体保持部103は図示例では板状材で構成され、上記取付姿勢と振込姿勢においてはいずれも水平姿勢とされる。上記回動軸103aは、上記両姿勢にあるときに収容体保持部103の中央部より水平方向に偏った位置に配置される。
【0017】
図1(b)に示すように、収容体保持部103には中央に上下に貫通した開口領域103bが設けられる。この開口領域103bは、上記収容体15を収容体保持部103に取り付けたとき、その収容部15Aaの収容口15cが設けられた先端部を通過させ、或いは、当該先端部を反対側に露出するための構造である。また、開口領域103bに隣接した表面部(図1の取付姿勢における上面)には収容体15の取付部15Acを位置決め固定するための取付領域103cが設けられる。この取付領域103cには上記取付部15Acの位置決めを行うための凸部又は凹部などの位置決め手段103dと、上記取付部15Acに設けられた固定ネジなどの固定手段14と結合されるネジ穴などの固定手段103eとが形成される。なお、収容体保持部103の上記回動軸103aとは反対側の手前部分には取っ手103fが取り付けられ、手動で収容体保持部103を回動させるときに把持して用いることができるようになっている。この取っ手103fは操作性を高めるために収容体保持部103の本体に対し回転自在に取り付けられていることが好ましい。収容体保持部103は、上記の取付領域103cにより、収容体15を図1の姿勢(すなわち、収納の向きが上向きとなる姿勢)で上側から取り付け可能かつ上側へ取り外し可能に構成される。一般的には、上述のように、収容体15をその収納の向きが収容体保持部103から離れる向きとした姿勢で、その離れる側から取付可能かつ同離れる側へ取り外し可能に構成される。
【0018】
供給パレット104は、上記収容体保持部103に対して着脱可能に構成されている。ただし、供給パレット104を装着した状態でも上記収容体保持部103の反転動作に支障がないように構成されていれば、収容体保持部103と供給パレット104とを一体的に構成してもよい。この一体的に構成した場合と本実施形態のように分離可能に構成した場合のいずれにおいても、収容体保持部103と供給パレット104は上記の収容材供給部に相当する。
【0019】
供給パレット104は、図2に示す振込時において収容体15の上方に配置され、内部104aに収容された図示しない被収容材を底部に設けられた開口部104bを通して収容部15Aaの収容口15cへ落下させて収納するためのものである。供給パレット104のより詳細な構造は図3に示される。ここで、図3(a)は振込時における供給パレット104近傍の構造部分を拡大して示す概略拡大平面図、図3(b)は同構造部分を拡大して示す概略拡大縦断面図である。供給パレット104は図示例では上方が開放されてなる皿状に構成され、その内部104aに多数の被収容材(図示せず)を収容できるように構成される。内部104aの底部の中央には上下に貫通した開口部104bが形成されている。図示例では収容体15に複数(3つ)の収容部15Aaが設けられていることから、これに対応する数(3つ)の開口部104bが複数の収容口15cの配列態様と一致する態様で形成されている。
【0020】
本実施形態において、基体部102、収容体保持部103及び供給パレット104は図示の水平姿勢とされたとき、基本的に揺動軸114の軸線を中心に左右対称となるように形成される。ただし、取っ手103fなどのように被収容材に対する作用とは無関係な部材は除かれる。供給パレット104の上記内部104aの形状も上記と同様に左右対称である。上記開口部104bは揺動軸14の軸線の直上に沿った中央部に配置されている。また、供給パレット104の底部の内面には、各開口部104bの左右両側にそれぞれ伸びる凹溝104cが設けられている。凹溝104cは内部104aの左右の端部領域を除いた領域に設けられ、凹溝104cの内底面は左右両側から開口部104aへ向けてそれぞれ僅かに傾斜している。凹溝104cの幅は図示例では全長に亘り同一に構成されているが、少なくともその長さ(左右)方向の中央部では開口部104bの開口幅と一致するように形成される。
【0021】
上記開口部104aの揺動軸114の軸線方向両側には、それぞれ左右の端部領域から徐々に内部104aの幅を絞るように設けられた狭窄側壁部104dが形成されている。これらの狭窄側壁部104dは、凹溝104cの幅方向外側に被収容材が配置されないように、幅方向に見て十分に当該凹溝104cに接近して内部104aの幅を低減している。また、狭窄側壁部104dは内部104aの左右の端部領域に配置される被収容材が長さ方向の中央側へ移動する際にスムーズに幅方向内側へ案内され、上記凹溝104cに導入されるように、長さ方向に沿って滑らかに構成される。
【0022】
供給パレット104の底部の外面中央には凹部104eが形成され、この凹部104eに上記収容体15の収容口15cが設けられた先端部が対向配置されるようになっている。この凹部104e内には上記開口部104bが開口している。また、供給パレット104の底部の外面には複数の位置決め凹部等からなる位置決め手段104fが形成され、これが上記収容体保持部103の表面(図示上面)に設けられた凸部等からなる位置決め手段103gと嵌合することで、収容体保持部103に対する供給パレット104の平面位置が規制される。また、供給パレット104の底部の外面と収容体保持部103の表面にはそれぞれマグネット等よりなる着脱可能な固定(保持)手段104g、103hが設けられている。これらの固定手段は少なくとも揺動時において供給パレット104を収容体保持部103上に磁気吸引力等により保持する。なお、図3(b)に分離して示す蓋体15Bは収容体15の収容口15cを閉鎖するものであるが、振込時や取付時には取り外された状態とされるので、図中では単に参考のために示してある。また、蓋板104hは供給パレット104の上部の開放部分を閉鎖するためのものであり、振込時に用いても用いなくても構わない。
【0023】
本実施形態には、上記収容体15の支持部材15Abの上下位置を制御するための支持位置制御機構120がさらに設けられている。図4(a)はこの支持位置制御機構120を拡大して示す正面透視図であり、図4(b)は同機構120を拡大して示す左側面透視図である。支持位置制御機構120は基体部102に取付固定されている。支持位置制御機構120は、振込姿勢にある収容体15の支持部材15Abの基端部15tに下方より当接して支持する支持部121と、この支持部121を上下方向に案内するガイド軸等よりなる案内部122と、支持部121を案内部122による案内に従って移動させる駆動手段123、124、125とを有している。駆動手段は、図示例ではステッピングモータ等の駆動源123と、この駆動源123にて回転駆動されるとともに支持部121に対し回転可能に軸支された状態で保持されるナット部124と、このナット部124に螺合するボールネジ等の送りねじ125とからなる。
【0024】
上記の支持位置制御機構120は、振込時において、支持部121によって支持部材15Abの基端部15tを下方から支持して、当初は支持部材15Abを上昇させて支持面15sを収容口15cの直下に配置するとともに、その支持位置を徐々に降下させることによって、支持面15sを漸次下方へ移動させていく。これによって、供給パレット104内から収容部15Aaの内部に落下した被収容材が適度の深さにある支持面15sにより下方から支持されるので、被収容材の姿勢が乱れて収容部15Aaの内部にて正規の姿勢で収納されなかったり、詰まりを生じたりするなどの事態の発生を防止することができる。
【0025】
次に、上記収容体15を用いた被収容材の供給装置の一例について以下に説明する。図5は、上記収容体15を用いた被収容材供給装置10の一例の主要部を示す縦断面図、図6は同装置の主要部の正面図(a)及び支持部材である挿入軸を省略して示す部分平面図(b)である。この装置では、図5及び図6に示すように、収容体15の収容構造15Aが収容部(筒状部材)15Aa及び支持部材(挿入軸)15Abを有する。図示例では収容構造15Aに複数(3つ)の収容部15Aaが含まれる。収容構造15Aには収容部15Aaの後方(被収容材を供給する側とは反対側)に突出する取付部15Acが設けられ、この取付部15Acが装置の装着部13に対して上方より取り付け可能に構成されている。収容口15cは磁力によって吸着保持される蓋体15Bによって閉鎖できるようになっている。
【0026】
装着部13の下方には所定方向(図示左右方向)に往復動可能に案内された可動部材12が設けられ、この可動部材12は、その表面12aに蓋体用収容凹部12bと供給用収容凹部12cを備えている。そして、収容体15の取り付け前に蓋体用収容凹部12bが収容口15cの直下位置にくるように可動部材12を位置決めし、蓋体15Bで収容口15cを閉鎖した収容体15を、上記取付部15Acを装着部13に装着することによって取り付ける。このとき、蓋体15Bは蓋体用収容凹部12bの内部に配置される。その後、可動部材12を後方(図示右側)へ移動させると、蓋体15Bは蓋体用収容凹部12bとともに後方へ移動し、これによって収容口15cが開口される。その後にさらに可動部材12を後方へ移動させることにより供給用収容凹部12cを収容口15cの直下に配置する。このとき、収容部15Aa内に収容されている被収容材(図示せず、円盤状の薄板材)は供給用収容凹部12c内に導出される。その後、図5に示すように可動部材12を前方(図示左側)へ移動させると、供給用収容凹部12cとともに被収容材を前方へ送り出すことができる。このようにして送り出された被収容材は図示しないピックアップ等で他に移載される。
【0027】
取付部15Acの装着部13に対する取付面(図示の下面)15pは、取付部15Acの下部に着脱可能に装着されたスペーサ15Adの表面によって構成される。スペーサ15Adは所定の厚みを有する板材であり、取付部15Acの取付面15pを装着部13の被取付面(図示の上面)13pに当接させたとき、収容部15Aaの下端部の収容口15cと可動部材12の表面12aとの間に既定のクリアランスが生ずるように予め厚みが設定される。この既定のクリアランスCLは、収容部15Aa内に収容された被収容材の厚みT1より小さく、かつ、被収容材が深さD1の供給用収容凹部12cに嵌合したときに当該被収容材が表面12aより突出する高さT1−D1(負の値になる場合もある。)より大きくなるように設定される。すなわち、表面12a上で収容部15Aa内に被収容材が保持されるためにはCL<T1が成立する必要があり、かつ、供給用収容凹部12cに被収容材が嵌合したときに、嵌合した被収容材は収容口15cから出ていなければならないので、CL>T1−D1である。さらに、被収容材を一つずつ供給する場合には、次の被収容材の少なくとも一部が収容口15cの内部に配置されていなければならないので、2T1>CL+D1となる。これらの条件が満たされることで、上記の供給動作が可能になる。
【0028】
一方、蓋体15Bが蓋体用収容凹部12bによって取り外し、取り付け可能に構成されるためには、蓋体15Bの厚みT2、蓋体用収容凹部12bの深さD2とすると、CL>T2−D2(負の値となる場合もある。)で、かつ、収容部15Aaと蓋体15Bとが距離L=CL−(T2−D2)だけ離間したときに蓋体15Bが磁気吸引力で収容部15Aaに吸着可能となっている必要がある。以上の条件を満たす限り、蓋体15Bの取り外し、取り付けが可能になる。実際には、上記の条件に基づいてクリアランスCL、蓋体15Bの厚みT2及び蓋体用収容凹部12bの深さD2を定めておき、被収容材の厚みT1に応じて、供給用収容凹部12cの深さD1を決定すればよい。クリアランスCLの設定は、上記の条件を満たした上で、収容部15Aaの下端部と可動部材12の表面12aとの間で被収容材が噛み込んで動作不良を起こしたり、供給材の変形や破断を招いたりすることが防止できる値に調整される。
【0029】
上記取付部15Acと装着部13は、被取付面13pから突出するガイドピン13nと取付面15pに設けられたガイド穴15nの嵌合による位置決め構造によって平面的に位置決めされる。この位置決め構造は、上記のガイドピンとガイド穴の組み合わせに限らず、取付面15pと被取付面13pを相互に嵌合させるなど、種々の構造とすることができる。この取付部15Acの位置決め構造は上述の収容体保持部103の取付領域103cに設けられた位置決め手段103dに対する位置決め手段と兼用される。
【0030】
取付部15Acには固定手段14が設けられ、この固定手段14により取付部15Acを装着部13に固定することができるようになっている。固定手段14は、取付部15Acの上記取付面15pとは反対側の面上に配置された操作部14aと、この操作部14aから突出し、取付部15Acを貫通してその取付面15p上に突き出る、先端にねじ部を有する取付ねじ軸14bと、取付ねじ軸14bの上記ねじ部より操作部14a寄りの部位に装着された抜け止め14cと、操作部14aと取付部15Acとの間に圧縮状態で設けられ、操作部14a及び取付ねじ軸14bを取付面15pとは反対側の面側に付勢する弾性体(コイルばね)14dとを備えている。取付ねじ軸14bは装着部13の被取付面13pに開口するねじ穴13bに螺合されることで、取付部15cを装着部13に保持固定する。この固定手段14もまた、上記収容体保持部103の取付領域103cに設けられた固定手段103eに対する固定手段と兼用される。
【0031】
装着部13は、可動部材12と離間して可動部材12の表面12aの上方に固定した状態で配置される。これは、装着部13が可動部材12を跨いだ状態に固定される構造により実現される。装着部13(の内部)には光電センサ等の検出器13cが取り付けられ、この検出器13cにより収容部15Aa内の供給材の量を検出可能となるように構成される。図示例の場合、検出器13cは収容部15Aaの開口15w、15vを通過する検出軸を備え、この検出軸に沿った反射光の有無により、挿入軸15Abに設けられた環状溝15qを検出し、被収容材が残り少なくなったことを図示しない制御部に通知する。制御部では当該通知後既定時間が経過すると可動部材12の供給動作を停止させる。
【0032】
なお、開口15v及び15uは収容部15Aa内部の供給材の有無を確認するためののぞき孔、15sは挿入軸15Abの外面に設けられた軸線方向の長溝、15tは当該長溝15sに係合し、収容部15Aaに対する挿入軸15Abの軸線方向の移動を可能とするとともに、挿入軸15Abが収容部15Aaから抜け出ないように保持するための抜け止めピンである。また、可動部材12は上述のように前後に移動可能に構成されるが、可動部材12の先端部には凹所12tが設けられ、この凹所12t内に着脱可能に嵌合固定された取付ブロック18を有し、この取付ブロック18に供給用収容凹部12cが形成された供給部形成部材18sが着脱可能に嵌合固定される。このように構成すると、供給部形成部材18sを交換することで、異なる外形や厚みを備えた種々の供給材に容易に対応することが可能になる。
【0033】
収容体15を装着部13に装着したとき、収容部15Aaの下部は装着部13の前方(供給材を供給する側)に配置される。したがって、収容部15Aaの前方には装着部13が存在しないように構成されるので、供給材が供給されたときに供給材の受け渡しを行うためのスペースを十分に確保することができる。
【0034】
また、収容体15の取付部15Acの取付面15pと装着部13の被取付面13pとが可動部材12の表面12aと実質的に平行に設けられ、取付面15pと被取付面13pの当接により収容体15の可動部材12に対する高さが規定されるので、収容部15Aaの下端部と可動部材12の表面12aとのクリアランスを精密に設定することができる。特に、取付部15Acの取付面15pが着脱可能なスペーサ15Adによって構成されるため、供給材に合わせてスペーサ15Adを交換することで、上記クリアランスの調整、変更を容易に行うことができる。
【0035】
最後に、本実施形態の振込式収納装置100の使用態様及び作用効果について以下に説明する。まず、上述の被収容材供給装置10では、被収容材の供給が終了すると、可動部材12の蓋体収容凹部12bを収容体15の収容口15cの直下位置に戻し、当該収容口15cが蓋体15Bで閉鎖された状態とした上で、収容体15が取り外される。そして、収容体15を図1に示す取付姿勢にある収容体保持部103上に上方から取り付け固定する。ここで、収容体15における収納の向きは上向きである。このとき、収容体15は上側から収容体保持部103に取り付けできるので、取り付け部位が容易に視認でき、取り付け時に収容体15を収容体保持部103上に載置できるなどの理由により、取り付け作業がきわめて容易になる。また、図5に示す供給時の姿勢と同じ姿勢(すなわち、収容体15に対する収容口15cからの被収容材の収納の向きが上向きとなる姿勢)で取り付けができるので、支持部材15Abが下方へ落下する虞もなく、供給時に用いるのに適した装着機構をここでも用いることができるという観点からも、取り付け作業を容易化できる。
【0036】
次に、収容体保持部103を反転させて図2に示す振込姿勢とし、ここで必要に応じて蓋体15Bを取り外し、供給パレット104を収容体保持部103に装着する。この振込姿勢では、収容体15は収納の向きが下向きとされるので、後述するように上方の供給パレット104内から被収容材を収容部15Aa内に落下させて収納していくことが可能になる。そして、供給パレット104内に多数の被収容材を投入し、必要に応じて蓋板104hで上部を閉鎖する。一方、このときに収容体15の姿勢も反転するので、支持部材15Abが下側に配置された姿勢となって下方へ降下するので、支持部材15Abの基端部15tは上記支持位置制御機構120の支持部121に対向配置される。
【0037】
ここで、支持位置制御機構120を稼動させ、支持部121を上昇させることにより、支持部材15Abを持上げて支持面15sが収容口15cの直下にくるように設定する。このときの支持面15sの収容口15cに対する深さは、被収容材が2〜3枚程度収納できるほどでよい。
【0038】
上記のようにして振込準備が完了すると、駆動機構110及び支持位置制御機構120を並行して動作させることで、供給パレット104を揺動させながら支持面15sを漸次降下させていく。このとき、揺動動作の1周期に対して支持面15sを被収容材の厚み1枚若しくは2枚分だけ降下させることが好ましい。
【0039】
供給パレット104の内部104aでは、左右の端部に溜まった被収容材が長さ方向中央側へ移動するとき、幅方向両側の狭窄側壁部104dによって被収容材が幅方向中央側へ集められ、これによって被収容材が凹溝104c内に導入されやすくなるので、凹溝104cを通じて開口部104bへとスムーズに案内される。また、被収容材が長さ方向の端部側へ移動するときには、幅が広がった端部において被収容材が広がるので、再度被収容材が揺動方向の中央側へ移動するときに攪拌されることにより、内部104aにおける被収容材の偏在が防止される。
【0040】
上記のようにして被収容材は供給パレット104の開口部104bから収容体15の収容口15c内に落下し、支持面15sが降下していくとともに収容部15Aa内に順次に収納されていく。そして、収容体15への被収容材の収納が終了すると、供給パレット104を収容体保持部103から取り外した後、蓋体15Bを装着して収納口15cを閉鎖した上で、収容体保持部103を再度反転させて取付姿勢に戻す。
【0041】
その後は、収容体15を収容体保持部103から取り外し、上記の被収容材供給装置10に装着することで、再び被収容材を供給していくことが可能になる。このように、本実施形態では、収容体15の取り付け、取り外しの作業がきわめて容易になり、迅速に作業を行うことができるようになるので、効率的に処理を行うことが可能になる。
【0042】
尚、本発明の振込式収納装置は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上記実施形態では供給パレット104は収容体保持部103に対して装着されるようになっているが、基体部102や収容体保持部103に取り付けられた収容体15に装着されるようにしてもよい。また、上記実施形態では基体部102、収容体保持部103及び供給パレット104(基体部及び被収容材供給部)を揺動軸114を中心に揺動させることで被供給材を収容部15の内部へ収納するようにしているが、揺動の代わりに振動させることでも同様の機能を持たせることができる。また、揺動と振動の双方を与えるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0043】
100…振込式収納装置、101…フレーム、102…基体部、103…収容体保持部、103a…回動軸、104…供給パレット、104b…開口部、110…駆動機構、114…揺動軸、120…支持位置制御機構、121…支持部、10…被収容材供給装置、15…収容体、15A…収容構造、15Aa…収容部、15Ab…支持部材、15Ac…取付部、15c…収容口、15s…支持面、15t…基端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納すべき被収容材を収容する収容体と、揺動若しくは振動可能に構成された基体部と、該基体部を揺動若しくは振動させる駆動機構と、前記基体部に取り付けられ、前記収容体を前記被収容材の収納の向きを自身から離れる向きとした姿勢でその離れる側から取り付け可能かつ同側へ取り外し可能に構成してなる収容材供給部と、を具備し、前記収容材供給部は、前記収容体を取り付けたときに前記収容体における前記被収容材の前記収納の向きが上向きとなる取付姿勢と前記収納の向きが下向きとなる振込姿勢とにおいてそれぞれ保持されるとともに、前記取付姿勢と前記振込姿勢との間で反転可能に構成されることを特徴とする振込式収納装置。
【請求項2】
前記収容材供給部は、前記収容体を取り付け可能かつ取り外し可能に構成された収容体保持部と、該収容体保持部に取り付けられた前記収容体の収容口を開口させる開口部を底部に備え、前記基体部、前記収容体又は前記収容体保持部に対して着脱可能に構成された供給パレットと、を有することを特徴とする請求項1に記載の振込式収納装置。
【請求項3】
前記収容体は、前記収納の向きとは逆側から前記被収容材を支持する支持面を備え、前記収納の向きに沿って移動可能に取り付けられた支持部材を内部に有し、振込時において前記支持面が前記収納の向きに漸次移動するように前記支持部材を制御する支持位置制御機構をさらに具備することを特徴とする請求項1又は2に記載の振込式収納装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−168207(P2010−168207A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−14567(P2009−14567)
【出願日】平成21年1月26日(2009.1.26)
【出願人】(592026901)マルゴ工業株式会社 (4)
【Fターム(参考)】