説明

捕虫用器具

【課題】さまざまな既設の光源に対して適用でき虫類を捕獲できる捕虫用器具を提供する。
【解決手段】捕虫用器具101は、天井302や蛍光灯器具301の筐体304等の取付対象物に固定させるための取付部103を備える。取付部103からは、複数のアーム104が、取付部103の長手方向に並んで延びる。アーム104の第1の端部112側には、取付部103に対向する対向面113を有するトレイ105が位置付けられる。トレイ105の対向面113には、捕虫シート102が配置される。取付部103とアーム104の第2の端部111とは、回動自在に連結される。この連結箇所には、アーム104を回動させる外力が所定値以下である場合にアーム104の回動をロックするロック部123が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井や壁面、蛍光灯等の光源の近傍等に設置され、虫類を捕獲する捕虫用器具に関する。
【背景技術】
【0002】
蝿、蚊、羽虫及び蛾等の虫類は、蛍光灯等の光源に集まりやすい。光源からの光を利用する者(以下、「利用者」と呼ぶことがある)は、光源やその近傍に集まった虫類を見ると、不快感を覚える。そこで、光源やその近傍に集まる虫類を捕獲するために、天井や壁面、光源の近傍等に捕虫用器具を設置して虫類を捕捉することが行われている。ここで、厨房、工場のバックヤード、美術館、スーパーマーケット等に捕虫用器具を設置する場合、どこに設置すれば効率的に虫類を除去できるかという点のみならず、その器具をどこに設置するか、器具を視認したときに利用者がどのような印象を受けるのか、という点も重要となる。これは、虫類が付着したまま何日も放置される捕虫用器具を見ると、不快感を覚える利用者が多いためである。特に、利用者は、捕虫用器具に付着した虫類を視認してしまうと、多大なる不快感を覚える。また、捕虫用器具に虫類が付着していなくても、捕虫用器具を見るだけで不快感を覚える者もいる。
【0003】
特許文献1には、捕虫シート4を上面に載せる矩形状のトレー6の長手方向の側部からホルダー5を延ばし、長尺の誘虫ランプ1を内在させる直方体状の本体カバー3の長手方向の側面の開口部にホルダー5を取り付け、本体カバー3の底面に対しトレー6を対面させて位置付ける捕虫器の発明が開示されている。特許文献1によれば、この捕虫器では、捕虫シートの交換時期の遅れた場合又捕虫シートの交換時にも、一旦捕虫シートにより捕獲した飛翔昆虫を捕虫器外部に落下させることがない、とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−247346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の捕虫器では、誘虫ランプ1を内在させる本体カバー3の構造が、トレー6を取り付けるための独自のものとなっている。このため、この捕虫器を設置するには、電源を確保して給電用の配線を行い、既設の蛍光灯等の光源との位置関係を熟考する必要がある。
【0006】
本発明は、上記の点を鑑みてなされたものであり、さまざまな既設の光源に対して適用でき虫類を捕獲できる捕虫用器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の捕虫用器具は、取付対象物に固定される長尺の取付部と、前記取付部の長手方向に並ぶ複数のアームと、前記取付部に対向する対向面を有し、各前記アームから延びるトレイと、前記対向面に配置された捕虫シートを保持する保持部と、前記長手方向に直交する平面内で前記アームが回動自在となるよう、前記アームと前記取付部とを連結する第1の連結部と、前記第1の連結部に設けられ、前記アームを回動させる外力が所定値以下である場合に前記アームの回動をロックするロック部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、アームを動かすことで、トレイを取付部に対して旋回させて所望の位置に停止させることができる。このため、捕虫用器具の取り付け方の自由度は高くなる。また、捕虫シートを光源に対面する位置に配置でき、誘虫ランプを用いずに、光源に集まる虫類を捕虫シートに捕捉することができる。したがって、さまざまな既設の光源に対して適用でき虫類を捕獲できる捕虫用器具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第一の実施の形態における、蛍光灯器具に取り付けられた捕虫用器具の斜視図である。
【図2】第一の実施の形態における、天井に取り付けられた捕虫用器具の斜視図である。
【図3】第一の実施の形態における、図1とは異なる方向から見た、蛍光灯器具に取り付けられた捕虫用器具の斜視図である。
【図4】第一の実施の形態における、フックに掲示物を吊り下げた状態の捕虫用器具の斜視図である。
【図5】第一の実施の形態における、第1の連結部及びロック部を示す斜視図である。
【図6】第一の実施の形態における、アームが回転する様子を示す第1の連結部及びロック部の斜視図である。
【図7】第一の実施の形態における、トレイの長手方向から見た捕虫用器具の側面図である。
【図8】第二の実施の形態における、捕虫用器具の斜視図である。
【図9】第三の実施の形態における、捕虫用器具の平面図である。
【図10】第四の実施の形態における、蛍光灯器具に取り付けられた捕虫用器具の斜視図である。
【図11】第四の実施の形態における、第1の連結部及びロック部を示す斜視図である。
【図12】第五の実施の形態における、捕虫用器具の分解斜視図である。
【図13】第五の実施の形態における、図12とは異なる方向から見た、底面側から見た捕虫用器具の分解斜視図である。
【図14】第五の実施の形態における、捕虫用器具の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照し説明する。ここで、各実施の形態の説明において、先行する実施の形態と同じ部分には同一の符号を付し、説明を省略する。また、各実施の形態において、構成の一部のみが説明されている場合、構成の他の部分は、先行する実施の形態と同様とする。そして、各実施の形態で具体的に説明されている部分を、他の実施の形態と適宜組み合わせることができるのは、言うまでもない。
【0011】
実施の一形態を、図1ないし図7に基づいて説明する。説明の便宜上、本実施の形態を第一の実施の形態と呼ぶ。図1は、蛍光灯器具301に取り付けられた捕虫用器具101の斜視図である。捕虫用器具101は、天井302に蛍光灯器具301が設置された空間RMで、この蛍光灯器具301の近傍に配置される。蝿、蚊、羽虫及び蛾等の虫類(図示せず)は、この蛍光灯器具301に取り付けられた光源としての蛍光灯303に集まりやすい。ここで、捕虫用器具101には、捕虫シート102を配置できる。捕虫シート102の表面には、粘着性を有する物質が塗布されている。捕虫シート102を蛍光灯303に対面させると、捕虫シート102には、点灯している蛍光灯303に集まって蛍光灯器具301の周囲を飛翔している虫類が付着する。虫類は、捕虫シート102に付着すると、もはや飛翔できない。
【0012】
蛍光灯器具301について説明する。蛍光灯器具301は、細長い直方体形状の筐体304を備える。筐体304の下面で、この筐体304の両短辺のそれぞれの近傍には、ソケット(図示せず)を収納したソケットプレート305が突出する。蛍光灯303は、その両端から突出する端子(図示せず)を各ソケットに連結され、蛍光灯器具301の下面に位置付けられてソケットプレート305に保持される。なお、筐体304の下面でソケットプレート305に保持された蛍光灯303の上方にあたる箇所には、断面略半円状の反射板306(図4参照)が設けられる。また、筐体304の内部には、回路等の、蛍光灯303を点灯させるための各種の部品が収納される。このような蛍光灯器具301は、筐体304の上面を天井302に接しさせて、空間RMの天井302に設置される。また、蛍光灯303に給電を行う配線(図示せず)は、空間RMにあらわれる天井302の表面やこの天井302の裏面に這わせて設けられる。なお、蛍光灯器具301は、トラフ型のものであっても、笠型のものであってもよい。
【0013】
このような蛍光灯器具301に対して、捕虫用器具101は設置される。捕虫用器具101は、取付部103と、アーム104と、トレイ105と、フック106と、ブラケット107とを備える。捕虫用器具101を蛍光灯器具301に取り付けるとき、取付部103を蛍光灯303の近傍に位置付け、トレイ105を取付部103よりも下方に位置づけて、トレイ105の対向面113(後述)に配置された捕虫シート102を蛍光灯303に対向させる。以下、各部について説明する。
【0014】
取付部103は、長尺の基部108と、基部108の一方の面から直交して突出する第1の突部109とにより構成される。第1の突部109は、基部108の短手方向に延びる板状をなし、基部108の長手方向に複数並ぶ。基部108は、第1の突部109を突出させない他方の面を蛍光灯器具301の筐体304の側面に接しさせて、蛍光灯器具301に取り付けられる。一例として、基部108と筐体304とは、接着剤や粘着テープを用いて固定される。別の一例として、基部108において第1の突部109に挟まれる箇所に設けられるネジ孔110にネジ(図示せず)を挿通し、このネジを蛍光灯器具301の筐体304に嵌め込むことにより、基部108と筐体304とは固定される。
【0015】
アーム104は、長尺の板状をなす。アーム104の中央部分は、幅方向に狭められている。アーム104の一方の端部(第2の端部111)側には、取付部103の第1の突部109が位置する。アーム104の他方の端部(第1の端部112)側には、トレイ105が位置する。捕虫用器具101は、アーム104を第1の突部109に対応させて複数有する。これら複数のアーム104は、取付部103の長手方向に並ぶ。
【0016】
トレイ105は、基部108やアーム104よりも幅広の長尺の板状をなす。トレイ105は、それ自身の長手方向が取付部103の長手方向に一致する向きに向けられる。そして、トレイ105の一方の面(対向面113)は、取付部103に向けられる。この対向面113には、捕虫シート102が配置される。
【0017】
トレイ105は、曲面部114を形成する。曲面部114は、トレイ105の長手方向から見たときに円弧状に見える。曲面部114は、取付部103から離反する方向に突出する。これにより、対向面113は、凹状になっている。トレイ105の長手方向から見た曲面部114の両端からは、平坦部114aが延びる。トレイ105の長手方向から見た各平坦部114aのそれぞれの端からは、縁部114bが、平坦部114aに直交して対向面113の方向に延びる。また、平坦部114aからは、ブラケット107を取り付けるための爪部114cが、対向面113側に突出する。
【0018】
トレイ105には、フック取付孔115が設けられる。フック取付孔115は、トレイ105の幅方向の中央で、両短辺のそれぞれの近傍に設けられる。また、トレイ105における対向面113とは反対側の面には、意匠面121(図3参照)が形成される。意匠面121は、トレイ105の長手方向に延びる複数の長突起121aにより形成される。
【0019】
フック106は、フック取付孔115に取り付けられる。フック106は、取付部103から離反する方向にトレイ105から突出する。
【0020】
ブラケット107は、矩形の枠部116を有する。枠部116は、トレイ105の幅方向に掛け渡される。平坦部114aに接する枠部116の一対の辺のそれぞれには、爪受孔117が設けられる。爪受孔117には、爪部114cが係合する。また、枠部116の残りの辺の中央からは、第2の突部118が突出する。第2の突部118は、第1の突部109と平行な板状をなす。捕虫用器具101は、このようなブラケット107をアーム104に対応させて複数有する。
【0021】
上記のような取付部103、アーム104、トレイ105、フック106、ブラケット107は、一例として、熱可塑性樹脂を射出成形して形成される。
【0022】
図2は、天井302に取り付けられた捕虫用器具101の斜視図である。捕虫用器具101は、第1の連結部120を備える。第1の連結部120は、取付部103の第1の突部109とアーム104における第2の端部111とを、矢印R1の方向に回動自在に連結する。これにより、アーム104は、取付部103の長手方向に直交する平面内で回動自在となる。このため、捕虫用器具101は、図2に示すように、取付部103を天井302に接しさせて蛍光灯器具301の近傍に配置することができる。この場合であっても、トレイ105を取付部103よりも下方に位置づけて、トレイ105の対向面113に配置された捕虫シート102を蛍光灯303に対向させることになる。
【0023】
図3は、図1とは異なる方向から見た、蛍光灯器具301に取り付けられた捕虫用器具101の斜視図である。なお、図3では、蛍光灯器具301について、その一側面のみを一点鎖線で示している。空間RMに滞在し蛍光灯303(図1及び図2参照)からの光を利用する者(以下、「利用者」と呼ぶことがある)は、蛍光灯器具301や天井302に取り付けられた捕虫用器具101を下方から見ることになる。このとき、利用者は、トレイ105が存在することによって、捕虫シート102(図1及び図2参照)、及び、この捕虫シート102に捕捉された虫類(図示せず)を視認することがなく、不快感を覚えることはない。そして、利用者は、意匠面121と、トレイ105から突出するフック106とを視認できる。意匠面121と曲面部114とは、利用者に対して、意匠的に優しい印象を与える。
【0024】
図4は、フック106に掲示物を吊り下げた状態の捕虫用器具101の斜視図である。捕虫用器具101が蛍光灯器具301や天井302に取り付けられると、フック106は、フック106から下方に突出する。ここで、このフック106に糸351を取り付け、糸351の先端に掲示物352を取り付けることもできる。掲示物352には、空間RMの性質に応じた様々なものを用いることができる。一例として、掲示物352は、非常口の案内表示、美術館における順路の案内表示、会社における部署の表示、店舗における販売物の表示である。
【0025】
図5は、第1の連結部120及びロック部123を示す斜視図である。ところで、捕虫用器具101では、第1の連結部120が、取付部103の第1の突部109とアーム104における第2の端部111とを、回動自在に連結している。しかしながら、アーム104や取付部103に加えられるアーム104を回動させるための外力が所定値以下である場合には、アーム104は回動できない。この点について、図5及び図6に基づいて説明する。
【0026】
第1の連結部120は、第1の回動軸124と、第1のストッパ125と、第2のストッパ126とを備える。第1の回動軸124は、第1の突部109に形成された貫通孔(図示せず)と第2の端部111に形成された貫通孔(図示せず)との両方に挿通される。第1のストッパ125及び第2のストッパ126は、第1の回動軸124の両端に位置する。
【0027】
このような第1の連結部120は、一例として、図5に示すような第1のノブ体127と第2のノブ体128とを組み付けて構成される。ここで、第1のノブ体127は、第1のストッパ125となる第1の握り部129を有し、この第1の握り部129の一方の面から大径円筒部130(後述)に入り込む小径円筒部131を突出させたものである。また、第2のノブ体128は、第2のストッパ126となる第2の握り部132を有し、この第2の握り部132の一方の面から大径円筒部130を突出させたものである。
【0028】
第1の連結部120は、第1の突部109に形成された貫通孔(図示せず)と第2の端部111に形成された貫通孔(図示せず)との両方に第2のノブ体128の大径円筒部130を挿通し、大径円筒部130に第1のノブ体127の小径円筒部131を挿入し、長ボルト133を第1のストッパ125の他方の面から小径円筒部131に挿通し、第2の握り部132の他方の面から長ボルト133の先端にナット134を螺合して構成される。
【0029】
ここで、第1の回動軸124の外周に巻き付くように、スプリング135が配置される。スプリング135は、第1のノブ体127と第2のノブ体128とを組み付けるときに第1の突部109から突出した大径円筒部130の外周に位置付けられる。また、第1の突部109には、第1のフェイスギア136が設けられる。また、第2の端部111において第1の突部109と接する箇所は、第2のフェイスギア137が設けられる。スプリング135は、第1のストッパ125を第1の突部109から離反させる方向に押す。これにより、第2のストッパ126は第2の端部111を第1の突部109に近づける方向に押し、第1のフェイスギア136と第2のフェイスギア137は噛み合う。この状態では、アーム104や取付部103に加えられるアーム104を回動させるための僅かな外力を加えても、アーム104は回転しない。ここに、スプリング135と第1のフェイスギア136と第2のフェイスギア137とは、ロック部123を構成する。
【0030】
なお、磨耗防止のために、第1の連結部120と第2の握り部132との間、スプリング135と第1の突部109との間、及び、スプリング135と第1の握り部129との間のそれぞれ、ワッシャ(図示せず)を挟み込んでも良い。
【0031】
図6は、アームが回転する様子を示す第1の連結部120及びロック部123の斜視図である。ここで、アーム104や取付部103に、所定値以上の大きさのアーム104を回動させるための外力が加えられると、第2のフェイスギア137は第1のフェイスギア136に対して滑りを生じ、第2の端部111が第2のストッパ126を第1の突部109から離反する方向に押す。これにより、第1のストッパ125がスプリング135を縮ませる。そして、第2のフェイスギア137が第1のフェイスギア136の一の歯に対応する回転角だけ回転すると、スプリング135が第1のストッパ125を第1の突部109から離反させる方向に押す力によって第2のストッパ126が第2の端部111を第1の突部109に近づけ、第1のフェイスギア136と第2のフェイスギア137とが再び噛み合う。このため、捕虫用器具101では、簡易な操作で、取付部103とアーム104との間の角度を所望の大きさに設定し、その角度を維持することができる。
【0032】
図7は、トレイ105の長手方向から見た捕虫用器具101の側面図である。図1及び図7を参照する。捕虫用器具101は、第2の連結部138を備える。第2の連結部138は、ブラケット107の第2の突部118とアーム104における第1の端部112とを、矢印R2の方向に回動自在に連結する。第2の連結部138の構成は、第1の連結部120の構成と同じである。なお、第2の連結部138によるアーム104やブラケット107、トレイ105の回動中心は、第1の回動軸124と平行な第2の回動軸124aである。
【0033】
第2の連結部138には、第1の連結部120と同様にスプリングと二つのフェイスギアとを備えるロック部123も設けられる。このため、捕虫用器具101では、簡易な操作で、アーム104とトレイ105の間の角度を所望の大きさに設定し、その角度を維持することができる。
【0034】
捕虫用器具101において、ブラケット107は、対向面113に配置された捕虫シート102を保持する保持部139としても機能する。詳細に述べると、捕虫用器具101では、トレイ105とブラケット107とによって、捕虫シート102を受け入れる開口140が形成される。また、ブラケット107において平坦部114aに接する辺は、枠部116よりも下方に突出して段部141を形成している。また、枠部116の下面には、平坦部114aと平行に延びる垂下部142が垂下している。
【0035】
捕虫シート102は、トレイ105の対向面113に沿うように撓ませた状態で開口140から導入される。捕虫シート102は、トレイ105の長手方向にスライドされて、トレイ105とブラケット107との間に位置付けられる。このとき、段部141は、捕虫シート102の端部を案内する。また、捕虫シート102がそれ自身のコシによって戻ろうとすると、垂下部142が捕虫シート102の表面に接触する。このようにして、捕虫シート102は、トレイ105とブラケット107とに挟まれて動かなくなる。このため、トレイ105が水平面に対してどのような角度に位置付けられても、捕虫シート102がトレイ105から滑り落ちることはない。
【0036】
このように構成される捕虫用器具101を、天井302に蛍光灯器具301が設置された空間RMで、取付部103を天井302や筐体304に取り付けてこの蛍光灯器具301の近傍に配置すると、虫類が、トレイ105の対向面113に配置された捕虫シート102に付着して捕捉される。空間RMに滞在し蛍光灯303からの光を利用する利用者は、この捕捉された虫類を視認することはなく、捕捉された虫類を見て不快感を覚えるようなことはない。また、捕虫用器具101では、取付部103とアーム104との角度、及び、アーム104とトレイ105との角度を任意に設定して固定させることができるため、捕虫用器具101をどのような取付対象物に対しても取り付けることができる。例えば、捕虫用器具101を壁面に取り付けることもできる。また、捕虫用器具101を設置するときに新たな給電を必要としない。このように、本実施の形態の捕虫用器具101は、さまざまな既設の光源に対して適用でき、効果的に虫類を捕獲できる。
【0037】
図8に基づいて、別の実施の形態を述べる。説明の便宜上、本実施の形態を第二の実施の形態と呼ぶ。図8は、捕虫用器具101の斜視図である。上記に述べた第一の実施の形態とは別に、図8に示すように、アーム104とブラケット107とが一体形成されていてもよい。この場合、アーム104とブラケット107とトレイ105とは、一体で動いて、取付部103に対して回動自在となる。
【0038】
図9に基づいて、さらに別の実施の形態を述べる。説明の便宜上、本実施の形態を第三の実施の形態と呼ぶ。図9は、捕虫用器具101の平面図である。また、図9に示すように、アーム104の第1の端部112に連結される第2の突部118(図1、図7等参照)を、トレイ105の対向面113から突出させて設けてもよい。
【0039】
また、図9に示すように、捕虫シート102をトレイ105の長辺側から短手方向に導入できるように捕虫シート102の長辺から幅方向に切れ込み143を入れてもよい。
【0040】
また、図9に示すように、トレイ105の対向面113に配置された捕虫シート102の縁領域を、対向面113から突出する保持爪部144に引っ掛けるようにしてもよい。この場合、保持爪部144が、保持部139として機能する。
【0041】
図10及び図11に基づいて、さらに別の実施の形態を述べる。説明の便宜上、本実施の形態を第四の実施の形態と呼ぶ。図10は、蛍光灯器具301に取り付けられた捕虫用器具の斜視図である。説明のため、図10では、蛍光灯器具301を一点鎖線で示している。
【0042】
本実施の形態の捕虫用器具101は、蛍光灯器具301の筐体304の下面に取り付けられる場合に、特に有用である。詳細に述べると、本実施の形態では、取付部103を構成する基部108が、ソケットプレート305に保持されている蛍光灯303に対して平行をなすように、筐体304の下面に取り付けられる。このとき、基部108の一方の長辺(第1の長辺108a)は、筐体304の下面の一方の長辺304aに沿う。基部108の他方の長辺(第2の長辺108b)は、第1の長辺108aよりも蛍光灯303の近くに位置する。
【0043】
本実施の形態では、取付部103は、二つの規制部108cを含む。規制部108cは、いずれも、板状をなす。規制部108cは、いずれも、基部108の第1の長辺108aから基部108に直交する向きに延びている。そして、第1の突部109は、規制部108cから、第2の長辺108bとは反対側に延びている。
【0044】
図11は、第1の連結部120及びロック部123を示す斜視図である。本実施の形態では、規制部108cから離反させる方向R3にアーム104を回動させるための所定値以上の大きさの外力がアーム104に加えられた場合、アーム104は、何によっても阻止されない。これに対し、規制部108cに近づける方向R4にアーム104を回動させるための所定値以上の大きさの外力がアーム104に加えられた場合、アーム104は、規制部108cにより阻止される。つまり、本実施の形態では、アーム104が基部108に近づくことはない。
【0045】
再び図10を参照する。基部108の第1の長辺108aを筐体304の長辺304aに沿わせて捕虫用器具101を筐体304の下面に取り付けた場合、アーム104は規制部108cに阻止される。つまり、本実施の形態の捕虫用器具101では、アーム104が蛍光灯303に接触する事態は生じず、安全である。
【0046】
図12ないし図14に基づいて、さらに別の実施の形態を述べる。説明の便宜上、本実施の形態を第五の実施の形態と呼ぶ。図12は、捕虫用器具の分解斜視図である。図13は、図12とは異なる方向から見た、捕虫用器具の分解斜視図である。説明のため、図12では、第2の連結部138に含まれるスプリングやスプリング、ストッパ等を省略している。
【0047】
本実施の形態のトレイ105には、三つの第1の採光孔119(孔部)が開口する。三つの第1の採光孔119は、いずれも長円形状をなし、二つのフック取付孔115の間に列状に並んでいる。第1の採光孔119には、蓋材119aが着脱自在に取り付けられる。蓋材119aとは、第1の採光孔119と同じ形状を有する。蓋材119aは、爪部119bを有する。爪部119bは、第1の採光孔119の縁部に引っ掛かって、第1の採光孔119を塞ぐ。
【0048】
さらに、本実施の形態のトレイ105には、第2の採光孔119d(孔部)が開口する。第2の採光孔119dは、各フック取付孔115からトレイ105の幅方向に複数並んでいる。
【0049】
図14は、捕虫用器具の平面図である。説明のため、図14では、アーム104、アームより上方の各部、並びに、第2の連結部138に含まれるスプリングやスプリング、ストッパ等を省略している。
【0050】
本実施の形態において、捕虫シート102には、第1の採光孔119に対応させて設けられた開口102aが設けられる。この捕虫シート102は、トレイ105の対向面113に沿うように撓ませた状態で開口140(図7参照)から導入され、トレイ105の長手方向にスライドされ、トレイ105とブラケット107との間に位置付けられる。その結果、開口102aは、第1の採光孔119に対面する。換言すると、第1の採光孔119が捕虫シート102により覆い隠されない。また、捕虫シート102は、トレイ105とブラケット107との間に位置付けられた場合、第2の採光孔119dを覆い隠さない。
【0051】
本実施の形態の捕虫用器具101が蛍光灯器具301や天井302に設置されると、蛍光灯303の光の一部は、捕虫シート102の開口102a及び第1の採光孔119を通過する。また、蛍光灯303の光の別の一部は、第2の採光孔119dを通過する。このため、利用者が捕虫用器具101に捕捉された虫類を視認することはない。そして、利用者は、空間RMに滞在して、蛍光灯303からの光を十分に利用することができる。
【0052】
さらに、本実施の形態の捕虫用器具101では、トレイ105の第1の採光孔119に対して蓋材119aを着脱できる。このため、利用者は、捕虫用器具101から漏れる蛍光灯303の光の量を調節することができる。
【符号の説明】
【0053】
101 捕虫用器具
102 捕虫シート
103 取付部
104 アーム
105 トレイ
106 フック
108c 規制部
111 第2の端部
112 第1の端部
113 対向面
114 曲面部
119 第1の採光孔(孔部)
119d 第2の採光孔(孔部)
120 第1の連結部
123 ロック部
124 第1の回動軸
124a 第2の回動軸
138 第2の連結部
139 保持部
144 保持爪部(保持部)
302 天井(取付対象物)
304 蛍光灯器具の筐体(取付対象物)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付対象物に固定される長尺の取付部と、
前記取付部の長手方向に並ぶ複数のアームと、
前記取付部に対向する対向面を有し、各前記アームの第1の端部側に位置するトレイと、
前記対向面に配置された捕虫シートを保持する保持部と、
前記長手方向に直交する平面内で前記アームが回動自在となるよう、前記取付部と前記アームにおける前記第1の端部とは反対側の第2の端部とを連結する第1の連結部と、
前記第1の連結部に設けられ、前記アームを回動させる外力が所定値以下である場合に前記アームの回動をロックするロック部と、
を備える捕虫用器具。
【請求項2】
前記アームと前記トレイとは別体であり、
前記第1の連結部による第1の回動軸と平行な第2の回動軸の軸回りに前記トレイが回動自在となるよう、前記トレイと前記アームの前記第1の端部とを連結する第2の連結部を更に備え、
前記ロック部は、前記第2の連結部に設けられる、
請求項1記載の捕虫用器具。
【請求項3】
前記取付部から離反する方向に前記トレイから突出するフックを更に備える、
請求項1又は2記載の捕虫用器具。
【請求項4】
前記トレイは、前記長手方向から見たときに前記取付部から離反する方向に突出する曲面を形成する、
請求項1から3のいずれか一に記載の捕虫用器具。
【請求項5】
前記第1の連結部による前記アームの回動領域を規制する規制部を更に備える、
請求項1から4のいずれか一に記載の捕虫用器具。
【請求項6】
前記トレイには、孔部が形成される、
請求項1から5のいずれか一に記載の捕虫用器具。
【請求項7】
前記孔部は、蓋材により選択的に塞がれる、
請求項6記載の捕虫用器具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−16345(P2012−16345A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−25824(P2011−25824)
【出願日】平成23年2月9日(2011.2.9)
【出願人】(594063670)株式会社SHIMADA (12)
【Fターム(参考)】