説明

捲回用シート及びこれを用いた人体部位捲回固定帯

【課題】 人体部位における足関節、手首及び親指等の外傷治療、発生予防、再発防止等のために、当該部位を簡便に捲回固定するために好適な人体部位捲回固定帯を提供することである。具体的には、部品点数を極力少なくしてシンプルでかつ左右同形の足関節部位固定用の捲回固定帯(手首及び親指固定用の捲回固定帯)を提供することである。
【解決手段】 人体の関節部位に装着される捲回用シートからなる足関節部位固定用の捲回固定帯において、
表面側のシート状起毛部材に、裏面側部材としてゴムシート材を張合し、接着剤により貼着した当該捲回用シートを略T定規形に裁断してなり、かつ、捲回用シートが垂直部の中心線Cで左右対称形状であり、L2/L1が2.0以上10.0以下であることを特徴とする足関節部位固定用の捲回固定帯。
ここに、L1:捲回固定帯の水平部の長さ(cm)
L2:捲回固定帯の垂直部の長さ(cm)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、整形外科的治療及び予防等を目的とした装具の分野に属し、捲回用シート及びこれを用いた人体部位捲回固定帯に係り、詳しくは、人体部位における足関節、手首及び親指等の外傷治療、発生予防、再発防止等を目的に、当該部位を捲回固定するために好適な、捲回用シート及びこれを用いた人体部位捲回固定帯に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、人体特に、足関節、手首及び親指等外傷の治療、患部の固定や圧迫等の応急処置又は各種スポーツ、例えば、登山、トレッキング等の比較的静的スポーツをはじめ、サッカー、ラグビー、アメリカンフットボール等競技者間による強烈なコンタクトが多い動的スポーツにいたるまで、骨折、捻挫、肉離れ、アキレス腱断裂、突き指等は頻繁に発生しており、受傷した場合はもちろん、その予防や再発防止のために、ギブス、副木を含み主に、テーピングテープ、バンデージ、サポーター等が使用されている。
【0003】
しかしながら、足関節、手首及び親指等の外傷治療、発生予防、再発防止等を目的とした、人体部位を捲回する固定帯等に好適な捲回用シートは、未だ開発、提案されてはいないというのが現状である。
【0004】
粘着剤付きテーピングテープで捲回、固定するに際しては、足首の固定が強くなりすぎる傾向があり、通常の歩行、運動が困難となるばかりか、体表面に直接捲回すると、粘着剤によるかぶれや、摺擦による苦痛を伴い、バンデージは患部に追従し易く、使用者自身による固定力を調整しながら捲回できるが、その捲回作業に習熟していないと曲面部等特に踵、踝部(くるぶしぶ)の固定は難かしく、歩行中にずれてしまい、足首の保護ができない。足関節用サポーターとしては、足首に対する確実な固定を目的とした種々のものが提案され、例えば、特開2004−147867、特開2004−68194、特開2001−149519、登録実用新案第3073408号等がある。
【0005】
特開2004−147867は、足首全体を覆う柔軟性のある素材からなるサポータと、サポータ本体の上から脚の足首を両側より被覆する円弧状に湾曲した一対の固定部と、固定部に装着される側面に固着部の設けられた足裏付近まで延びたトレンカと、トレンカを固定部に揺動自在に係合させるヒンジ部と、サポータ本体の外側に左右のくるぶしから足裏略中央部に達する袋状に縫いつけられた固着部に設けられた収納保護部と固定部とサポータ本体とを脚に装着するバンド部とからなり、トレンカの固着部と収納保護部の固着部とを固着接合する構成であることを特徴としている。しかしながら、上記、特開2004−147867は、痛みの伴わない装着感と高い保持効果があると思われるが、部品点数も多く、また不使用時には収納スペースを必要とする。また、左右両足それぞれのサポート器具を製作する必要があった。
【0006】
特開2004−68194は、距腿部及び踵部を含め、踝(くるぶし)の上端近傍から舟状骨および立方骨近傍までの領域を覆う本体1と、本体1の踵部に対応する部分に前距腿部近傍への方向の張力を与える手段7,8を備え、本体1の踵部に対応する部分は非伸縮性の領域6を含む、ことを特徴としているが、歩行等によりずれが起きることは否めないし、構造が複雑で製作コストが高価となる。
【0007】
特開2001−149519は、外くるぶしを覆い、足甲と足首を巻いて固定する伸縮性のないバンドで靴下の上から装着し、登山靴と併用することを特徴とする。しかしこの発明では、足甲バンド1、足首バンド2、くるぶし被覆部4a、4bで外果部の捻挫は防止できても、内果部の捻挫は防止できないという欠点がある。また、左右一対の捻挫防止保護バンドを用意しなければならなかった。
【0008】
また登録実用新案第3073408号の足関節用サポーターは、筒状のサポーター本体1の異なった高さの位置に取り付けられた複数の細長帯状固定ベルト2を、サポーター本体1に設けられた固定ベルト挿通孔に挿通され、固定ベルト2の先端部分と、サポーター本体1の外果側部分に設けられたベルベット式ファスナー4により、固定ベルト2を外果側に折り返す際に固定ベルト2の先端部分がサポーター本体1の外果側1の位置で固定できるようになっている。しかしながらこの考案は、複数の細長帯状固定ベルト2を緊張したり緩和しなければならないので、着脱が面倒な上、挿通孔に塵埃等がつまり固定ベルト2の円滑な着脱が困難となり、長期の使用に耐えられない。上記の特開2001−149519と同様に、左右一対の足関節用サポーターが必要であった。
【0009】
手首及び親指等外傷の治療、患部の固定や圧迫等を目的とした、特表2003−530910が開示されている。この発明は、長形でフレキシブルな内側クッション層と、内側クッション層に重ねられ、硬化成型された形状を保持することができる湿気硬化性樹脂材で含浸処理されている布体を含んだ当初フレキシブルな中間層と、中間層に重ねられ、内側層と縁部で接合されて中間層を挟持収容し、中間層及び内側層と共に1体型副木構造体を提供する内側層とを含んだ構成とされている。しかしこの発明は、素材が多岐に亘り、構造が複雑であり、各部材の製作工程が多くまた、コスト高となり、実用的ではない。また、左右別々に製作しなければならなかった。
【特許文献1】特開2004−147867号公報
【特許文献2】特開2004−68194号公報
【特許文献3】特開2001−149519号公報
【特許文献4】登録実用新案第3073408号公報
【特許文献5】特表2003−530910号公報 特許文献1〜特許文献4は、足のサポーターに関する特許文献であり、特許文献5は、手に関するサポーターの特許文献である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、人体部位における足関節、手首及び親指等の外傷治療、発生予防、再発防止等のために、当該部位を簡便に捲回固定するために好適な、捲回用シート及びこれを用いた人体部位捲回固定帯を提供することである。
本発明が解決しようとする第一課題は、具体的には、部品点数を極力少なくしてシンプルでかつ左右同形の足関節部位固定用の捲回固定帯(手首及び親指固定用の捲回固定帯)を提供することである。
発明者は、先行特許文献を読んで気がついたことであるが、サポーターは全て左右対称のサポーターであって、左右同系のサポーターを提供することができれば、2倍の量産効果が発揮されコストダウンに繋がることに気が付いて、上記第一課題を発見することができた。
<本発明に対する阻害要因>
当業者は、足は左右対称形であるので、足に用いるサポーターも、左右対称のサポーターである必要があるいう先入観に捕らわれているので、本発明の特徴的構成要件である左右対称形のT字形のサポーターを1種類作成した上で、右足には、右足のサポーターの巻き方をし、右足には、左足のサポーターの巻き方の工夫をしすれば、T字形のサポーターは1種類で済むということの発想は非常に困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明が解決しようとする課題を解決すべく、鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成させた。
課題を解決するための手段は、特許請求の範囲の各請求項記載の発明をいう。
[請求項1]記載発明
人体の関節部位に装着される捲回用シートからなる足関節部位固定用の捲回固定帯において、
表面側のシート状起毛部材に、裏面側部材としてゴムシート材を張合し、接着剤により貼着した当該捲回用シートを略T定規形に裁断してなり、かつ、捲回用シートが垂直部の中心線Cで左右対称形状であり、L2/L1が2.0以上10.0以下であることを特徴とする足関節部位固定用の捲回固定帯。
ここに、L1:捲回固定帯の水平部の長さ(cm)
L2:捲回固定帯の垂直部の長さ(cm)
[請求項2]記載発明
前記シート状起毛部材が、天然繊維、合成繊維、不織布又はパイル生地を素材としていることを特徴とする、請求項1記載の足関節部位固定用の捲回固定帯。
[請求項3]記載発明
前記ゴムシート材が、ネオプレンゴムシートであることを特徴とする、請求項1記載の足関節部位固定用の捲回固定帯。
[請求項4]記載発明
前記シート状起毛部材とゴムシート材を貼着する接着剤が、ゴム系接着剤又はウレタン系接着剤であることを特徴とする、請求項1〜請求項3記載の足関節部位固定用の捲回固定帯。
[請求項5]記載発明
前記シート状起毛部材の厚さを約0.08mm〜0.2mm、ゴムシート材を約0.4mm〜0.6mmとしたことを特徴とする、請求項1〜請求項4記載の足関節部位固定用の捲回固定帯。
[請求項6]記載発明
前記捲回用シートの全面に微細孔を穿設したことを特徴とする、請求項1〜請求項5記載の足関節部位固定用の捲回固定帯。
[請求項7]記載発明
前記捲回用シートの捲回用シートを略T定規形に裁断してなり、かつ、捲回用シートが垂直部の中心線Cで左右対称形状であり、L2/L1が3.0以上4.0以下であることを特徴とする請求項1〜請求項6記載の足関節部位固定用の捲回固定帯。
ここに、L1:捲回固定帯の水平部の長さ(cm)
L2:捲回固定帯の垂直部の長さ(cm)
[請求項8]記載発明
前記捲回固定帯の水平部四隅と該水平部下端に交叉する垂直部の二隅を円弧状としていることを特徴とする、請求項7記載の足関節部位固定用の捲回固定帯。
[請求項9]記載発明
前記捲回固定帯におけるゴムシート材側の水平部両端及び垂直部下方に設けた終端部に、係着用面ファスナーを貼着又は縫着したことを特徴とする、請求項7及び請求項8記載の足関節部位固定用の捲回固定帯。
[請求項10]記載発明
前記捲回固定帯の垂直部下端までの長さL2を、約83cm〜87cm、終端部を約15cm〜17cmとし、水平部の長さL1を約25cm〜29cmとし、水平部の巾寸法を約6cm〜8cmとし、垂直部の巾寸法を約5cm〜7cm、終端部の巾寸法を垂直部の巾寸法より小としたことを特徴とする、請求項7〜請求項9記載の足関節部位固定用の捲回固定帯。
[請求項11]記載発明
人体の関節部位に装着される捲回用シートからなる手首及び親指固定用の捲回固定帯捲回固定帯において、
表面側のシート状起毛部材に、裏面側部材としてゴムシート材を張合し、接着剤により貼着した当該捲回用シートからなる手首及び親指固定用の捲回固定帯捲回固定帯において、上方部を親指捲回用、下方部を手首捲回用として概略クランク状の平面形に裁断してなり、上方部の長さL10は下方部の長さL20より小とし、手首及び親指固定用の捲回固定帯捲回固定帯の上方部と連結部が交わる角度θ1の数値範囲が、90°〜110°としたことを特徴とする手首及び親指固定用の捲回固定帯捲回固定帯。
[請求項12]記載発明
ゴムシート材側の上端部及び下端部に、係着用面ファスナーを貼着又は縫着し、前記手首及び親指固定用の捲回固定帯の上端部から下端部までの長さを、約22cm〜24cmとし、上方部の長さは下方部の長さより小とし、上方部及び下方部の巾寸法を約3cm〜5cmとし、上方部と下方部の連結部の巾寸法を約4cm〜6cmとしたことを特徴とする、発明13の手首及び親指固定用の捲回固定帯捲回固定帯。
[請求項13]記載発明
前記手首及び親指固定用の捲回固定帯の上方部と連結部、連結部と下方部の結合部における隅部を曲線又は円弧状に形成したことを特徴とする、請求項11〜12記載の手首及び親指固定用の捲回固定帯捲回固定帯。
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[請求項1]記載発明は、「発明1」の捲回用シートを用いた「発明7」の足関節部位固定用の捲回固定帯である。
[請求項2]記載発明は、「発明2」の捲回用シートを用いた「発明7」の足関節部位固定用の捲回固定帯である。
[請求項3]記載発明は、「発明3」の捲回用シートを用いた「発明7」の足関節部位固定用の捲回固定帯である。
[請求項4]記載発明は、「発明4」の捲回用シートを用いた「発明7」の足関節部位固定用の捲回固定帯である。
[請求項5]記載発明は、「発明5」の捲回用シートを用いた「発明7」の足関節部位固定用の捲回固定帯である。
[請求項6]記載発明は、「発明6」の捲回用シートを用いた「発明7」の足関節部位固定用の捲回固定帯である。
[請求項7]記載発明は、「発明1」の捲回用シートを用いた「発明7」の足関節部位固定用の捲回固定帯である。
[請求項8]記載発明は、「発明8」の足関節部位固定用の捲回固定帯である。
[請求項9]記載発明は、「発明9」の足関節部位固定用の捲回固定帯である。
[請求項10]記載発明は、「発明10」の足関節部位固定用の捲回固定帯である。
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[請求項11]記載発明は、「発明13」の手首及び親指固定用の捲回固定帯捲回固定帯である。
[請求項12]記載発明は、「発明14」の手首及び親指固定用の捲回固定帯捲回固定帯である。
[請求項13]記載発明は、「発明15」の手首及び親指固定用の捲回固定帯捲回固定帯である。
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課題を解決するための手段は、具体的には、以下の発明である。
[発明1]
人体の関節部位に装着される捲回用シートであって、
表面側のシート状起毛部材に、裏面側部材としてゴムシート材を張合し、接着剤により貼着したことを特徴とする、捲回用シート。
[発明2]
前記シート状起毛部材が、天然繊維、合成繊維、不織布又はパイル生地を素材としていることを特徴とする、発明1記載の捲回用シート。
[発明3]
前記ゴムシート材が、ネオプレンゴムシートであることを特徴とする、発明1記載の捲回用シート。
[発明4]
前記シート状起毛部材とゴムシート材を貼着する接着剤が、ゴム系接着剤又はウレタン系接着剤であることを特徴とする、発明1〜発明3記載の捲回用シート。
[発明5]
前記シート状起毛部材の厚さを約0.08mm〜0.2mm、ゴムシート材を約0.4mm〜0.6mmとしたことを特徴とする、発明1〜発明4記載の捲回用シート。
上記記載の寸法範囲は、寸断等により適宜変更することが出来るものとする。
[発明6]
前記捲回用シートの全面に微細孔を穿設したことを特徴とする、発明1〜発明5記載の捲回用シート。
[発明7]
前記捲回用シートの捲回用シートを略T定規形に裁断してなり、かつ、捲回用シートが垂直部の中心線Cで左右対称形状であり、L2/L1が3.0以上4.0以下であることを特徴とする足関節部位固定用の捲回固定帯。
ここに、L1:捲回固定帯の水平部の長さ(cm)
L2:捲回固定帯の垂直部の長さ(cm)
[発明8]
前記捲回固定帯の水平部四隅と該水平部下端に交叉する垂直部の二隅を円弧状としていることを特徴とする、発明7記載の足関節部位固定用の捲回固定帯。
[発明9]
前記捲回固定帯におけるゴムシート材側の水平部両端及び垂直部下方に設けた終端部に、係着用面ファスナーを貼着又は縫着したことを特徴とする、発明7及び発明8記載の足関節部位固定用の捲回固定帯。
[発明10]
前記捲回固定帯の水平部上端から垂直部下端までの長さを、約83cm〜87cm、終端部を約15cm〜17cmとし、水平部の長さを約25cm〜29cmとし、水平部の巾寸法を約6cm〜8cmとし、垂直部の巾寸法を約5cm〜7cm、終端部の巾寸法を垂直部の巾寸法より小としたことを特徴とする、発明7〜発明9記載の足関節部位固定用の捲回固定帯。
[発明11]
前記捲回用シートにおいて、上方部を親指捲回用、下方部を手首捲回用として概略クランク状の平面形に裁断してなる、手首及び親指固定用の捲回固定帯。
[発明12]
前記手首及び親指固定用の捲回固定帯におけるゴムシート材側の上端部及び下端部に、係着用面ファスナーを貼着又は縫着したことを特徴とする、発明11記載の手首及び親指固定用の捲回固定帯。
[発明13]
人体の関節部位に装着される捲回用シートであって、
表面側のシート状起毛部材に、裏面側部材としてゴムシート材を張合し、接着剤により貼着した当該捲回用シートからなる手首及び親指固定用の捲回固定帯捲回固定帯において、上方部を親指捲回用、下方部を手首捲回用として概略クランク状の平面形に裁断してなり、上方部の長さL10は下方部の長さL20より小とし、手首及び親指固定用の捲回固定帯捲回固定帯の下方部と連結部が交わる角度θの数値範囲が、70°〜110°としたことを特徴とする手首及び親指固定用の捲回固定帯捲回固定帯。
[発明14]
ゴムシート材側の上端部及び下端部に、係着用面ファスナーを貼着又は縫着し、前記手首及び親指固定用の捲回固定帯の上端部から下端部までの長さを、約22cm〜24cmとし、上方部の長さは下方部の長さより小とし、上方部及び下方部の巾寸法を約3cm〜5cmとし、上方部と下方部の連結部の巾寸法を約4cm〜6cmとしたことを特徴とする、発明13記載の手首及び親指固定用の捲回固定帯捲回固定帯。
上記記載の寸法範囲は、寸断等により適宜変更することが出来るものとする。
[発明15]
前前記手首及び親指固定用の捲回固定帯の上方部と連結部、連結部と下方部の結合部における隅部を曲線又は円弧状に形成したことを特徴とする、発明13〜発明14記載の手首及び親指固定用の捲回固定帯。
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以下、本願特許請求の範囲、本願明細書において用いる用語の解釈上の疑義を解消するべく、以下用語の定義又は説明をすることとする。
○シート状起毛部材とは、天然繊維の綿、合成繊維はポリエステル、アクリル等の素材を織布、編布又は不織布に、パンチニードル等の公知技術により、起毛を生起させたものをいう。捲回用シートの表面前面をシート状起毛部材とすることにより、係着用面ファスナーと任意の場所において噛み合わせることができる。
○捲回用シートとは、捲回固定帯に用いるシートをいう。捲回用シートは、表面側のシート状起毛部材に、裏面側部材としてゴムシート材を張合し、接着剤により貼着されている。
○捲回固定帯とは、いわゆる包帯状のサポーターをいう。
○T定規形とは、平面状であってT字形をしている様をいう(図1を参照)。
○クランク状の平面形とは、平面状であって図5、図6のようにクランク形状をしている様をいう。
○本発明において、表面側とは、人体各部位の体表面(皮膚)に非接触領域をいい、裏面側とは人体各部位の体表面(皮膚)に直接接触するか又は接触する可能性のある領域をいう。
○係着用面ファスナーとは、マジックテープ(登録商標)の鈎状雄部材をいい、シート状起毛部材をメスにして、面的に噛み合わせることができる。
○捲回固定帯の水平部(単に、水平部ともいう。)とは、略T定規形に裁断した捲回用シートのT定規形のT字文字の横棒部分をいう(図2を参照)。
○捲回固定帯の垂直部(単に、垂直部ともいう。)とは、略T定規形に裁断した捲回用シートのT定規形のT字文字の縦棒部分をいう(図2を参照)。
捲回固定帯の重複部とは、捲回固定帯の水平部であり、かつ捲回固定帯の垂直部である重複部分をいう。
○捲回固定帯の水平部の長さL1(単に、水平部の長さL1ともいう。)とは、略T定規形に裁断した捲回用シートのT定規形のT字文字の横棒部分の長さをいう(図2を参照)。
○捲回固定帯の垂直部の長さL2(単に、垂直部の長さL2ともいう。)とは、略T定規形に裁断した捲回用シートのT定規形のT字文字の縦棒部分の長さをいう(図2を参照)。
○捲回固定帯の水平部の巾寸法W1(単に、水平部の巾寸法W1ともいう。)とは、略T定規形に裁断した捲回用シートのT定規形のT字文字の横棒部分の巾寸法をいう(図2を参照)。
○捲回固定帯の垂直部の巾寸法W2(単に、垂直部の巾寸法W2ともいう。)とは、略T定規形に裁断した捲回用シートのT定規形のT字文字の縦棒部分の巾寸法をいう(図2を参照)。
○本願発明においては、L2/L1の下限は、2.0以上、あるいは2.5以上、あるいは3.0以上であり、L2/L1の下限は、10.0以下、あるいは5.0以下、あるいは、4.5以下、あるいは、4.0以下、あるいは3.5以上である。
ここに、L1:捲回固定帯の水平部の長さ(cm)
L2:捲回固定帯の垂直部の長さ(cm)
○終端部とは、捲回固定帯におけるゴムシート材側の水平部両端及び垂直部下方に設けた部分をいい、当該終端部に係着用面ファスナーを貼着又は縫着する。
○L10は、手首及び親指固定用の捲回固定帯捲回固定帯の上方部の長さL10(単に、上方部の長さL10ともいう。)である。
○L20は、手首及び親指固定用の捲回固定帯捲回固定帯の下方部の長さL20(単に、上方部の長さL20ともいう。)である。
○L20/L10の下限は、1以上、あるいは、1.5以上であり、上限は、3.0以下、あるいは2.5以下、あるいは2.0以下である。
ここに、L10:手首及び親指固定用の捲回固定帯捲回固定帯の上方部の長さ(cm)
L20:手首及び親指固定用の捲回固定帯捲回固定帯の下方部の長さ(cm)
○上方部と下方部の連結部(単に、連結部ともいう。)とは、上方部と下方部を連結する部分をいう。
○交点Pとは、手首及び親指固定用の捲回固定帯捲回固定帯の下方部(あるいは上方部)の長手方向と連結部(上方部と下方部の連結部)の長手方向が交わる点をいう。
○角度θとは、手首及び親指固定用の捲回固定帯捲回固定帯の下方部(あるいは上方部)の長手方向と連結部(上方部と下方部の連結部)の長手方向が交わる角度θをいう(図5、図6を参照)。
角度θ(θ1、θ2)の数値範囲は、70°〜110°、あるいは、75°〜105°、あるいは75°〜105°である。上記に置いて両端の数値は上記数値範囲に含まれるものとする。
上記において(以下、図5、図6を参照)、
上方部の長手方向とは、上方部の中心線Lc10(上方部の巾の中心点の軌跡)の方向を表わし、上方部の中心線が曲線Lc10を描くときは、交点P付近の上方部の中心線の方向を表わす。
下方部の長手方向とは、下方部の中心線Lc20(下方部の巾の中心点の軌跡)の方向を表わし、下方部の中心線が曲線Lc20を描くときは、交点P付近の下方部の中心線の方向を表わす(下方部の中心線Lc20は、図示せず。)。
連結部(上方部と下方部の連結部)の長手方向とは、連結部の中心線Lcc(連結部の巾の中心点の軌跡)の方向を表わし、連結部の中心線Lccが曲線を描くときは、交点P付近の連結部の中心線の方向を表わす。
上記において、角度θとは、手首及び親指固定用の捲回固定帯捲回固定帯の上方部(あるいは下方部)の長手方向Lc10(あるいはLc20)と連結部(上方部と下方部の連結部)の長手方向Lccが交わる角度θ1(あるいはθ2)をいう。
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【0012】
○上記の課題を解決するための発明1は、人体の関節部位に装着される捲回用シートであって、表面側のシート状起毛部材に、裏面側部材としてゴムシート材を張合し、接着剤により貼着したことを特徴としている。
【0013】
○発明2は、上記の課題を解決するための発明1において、前記シート状起毛部材が、天然繊維、合成繊維、不織布又はパイル生地を素材としていることを特徴としている。
【0014】
○発明3は、上記の課題を解決するための発明1〜発明2において、前記ゴムシート材が、ネオプレンゴムシートであることを特徴としている。
【0015】
○発明4は、上記の課題を解決するための発明1〜発明3において、前記シート状起毛部材とゴムシート材を貼着する接着剤が、ゴム系接着剤又はウレタン系接着剤であることを特徴としている。
【0016】
○発明5は、上記の課題を解決するための発明1〜発明4において、前記シート状起毛部材の厚さを約0.08mm〜0.2mm、ゴムシート材を約0.4mm〜0.6mmとしたことを特徴としている。
【0017】
○発明6は、上記の課題を解決するための発明1〜発明5において、前記捲回用シートの全面に微細孔を穿設したことを特徴としている。
【0018】
○発明7は、上記の課題を解決するために、当該捲回用シートを略T定規形に裁断してなり、かつ、捲回用シートが垂直部の中心線Cで左右対称形状であり、L2/L1が2.0以上10.0以下であることを特徴とする足関節部位固定用の捲回固定帯であることを特徴としている。
ここに、L1:捲回固定帯の水平部の長さ(cm)
L2:捲回固定帯の垂直部の長さ(cm
【0019】
○発明8は、上記の課題を解決するために、発明7において、前記捲回固定帯の水平部四隅と該水平部下端に交叉する垂直部の二隅を円弧状としていることを特徴としている。
【0020】
○発明9は、上記の課題を解決するために、発明7〜発明8において、前記捲回固定帯におけるゴムシート材側の水平部両端及び垂直部下方に設けた終端部に、係着用面ファスナーを貼着又は縫着したことを特徴としている。
【0021】
○発明10は、上記の課題を解決するために、発明7〜発明9において、
前記捲回固定帯の水平部上端から垂直部下端までの長さを、約83cm〜87cm、終端部を約15cm〜17cmとし、水平部の長さを約25cm〜29cmとし、水平部の巾寸法を約6cm〜8cmとし、垂直部の巾寸法を約5cm〜7cm、終端部の巾寸法を垂直部の巾寸法より小としたことを特徴としている。
【0022】
○発明11は、上記の課題を解決するために、前記捲回用シートにおいて、上方部を親指捲回用、下方部を手首捲回用として概略クランク状の平面形に裁断してなることを特徴としている。
【0023】
○発明12は、上記の課題を解決するために、発明11において、前記手首及び親指固定用の捲回固定帯におけるゴムシート材側の上端部及び下端部に、係着用面ファスナーを貼着又は縫着したことを特徴としている。
【0024】
○発明13は、上記の課題を解決するために、発明11〜発明12において、 人体の関節部位に装着される捲回用シートからなる手首及び親指固定用の捲回固定帯捲回固定帯において、
表面側のシート状起毛部材に、裏面側部材としてゴムシート材を張合し、接着剤により貼着した当該捲回用シートからなる手首及び親指固定用の捲回固定帯捲回固定帯において、上方部を親指捲回用、下方部を手首捲回用として概略クランク状の平面形に裁断してなり、上方部の長さL10は下方部の長さL20より小とし、手首及び親指固定用の捲回固定帯捲回固定帯の上方部と連結部が交わる角度θ1の数値範囲が、90°〜110°としたことを特徴とする手首及び親指固定用の捲回固定帯捲回固定帯。
【0025】
○発明14は、上記の課題を解決するために、発明11〜発明13において、ゴムシート材側の上端部及び下端部に、係着用面ファスナーを貼着又は縫着し、前記手首及び親指固定用の捲回固定帯の上端部から下端部までの長さを、約22cm〜24cmとし、上方部の長さは下方部の長さより小とし、上方部及び下方部の巾寸法を約3cm〜5cmとし、上方部と下方部の連結部の巾寸法を約4cm〜6cmとしたことを特徴としている。
○発明15は、上記の課題を解決するために、発明11〜発明14において、前前記手首及び親指固定用の捲回固定帯の上方部と連結部、連結部と下方部の結合部における隅部を曲線又は円弧状に形成したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0026】
本発明において、表面側とは、人体各部位の体表面(皮膚)に非接触領域をいい、裏面側とは人体各部位の体表面(皮膚)に直接接触するか又は接触する可能性のある領域をいう。
また係着用面ファスナーとは、例えば、マジックテープ(登録商標)のような鈎状雄部材をいう。
【0027】
本発明に係る、捲回用シート及びこれを用いた人体部位捲回固定帯は、以下の効果を奏する。即ち発明1〜発明3によれば、捲回用シートは、表面側を天然繊維、合成繊維、不織布又はパイル生地を素材とした織布、編布又は不織布に公知技術による起毛を生起させたシート状起毛部材とし、裏面側部材としてネオプレンゴムシート等のゴムシート材を重合し、接着剤により貼着した構成であり、これにより、捲回用シートは、適度の柔軟性、延伸性及び弾力性を有するので、人体各部位の体表面に当接したとき、追従感、適度の圧迫感、操作性等を備えたシート体であり、裁断、縫製加工等も容易である。
【0028】
発明4によれば、シート状起毛部材とゴムシート材を貼着する接着剤としてブタジエン・スチレンゴムやプチルゴム等のゴム系接着剤、ウレタン系接着剤としてはポリウレタンを使用するが、どちらの接着剤もシート状起毛部材とゴムシート材に馴染み易く、かつ接着性が非常に良好なので作業効率が高められる。
【0029】
発明5及び発明6によれば、前記シート状起毛部材の厚さを約0.08mm〜0.2mm、ゴムシート材を約0.4mm〜0.6mmとし、シート体の全面に微細孔を穿設しているので、全体の厚みが1mmにも満たない薄厚シート体として、人体の体表面特に曲面に沿って自在に変形するので使用感に優れ、またシート体の全面に微細孔を穿設しているので、軽量化され、通気性が向上する。
【0030】
発明7によれば、捲回用シートを、平面視、略T定規形に裁断してなり、かつ、捲回用シートが垂直部の中心線Cで左右対称形状であり、L2/L1が2.0以上10.0以下であるので、関節部位固定用の捲回固定帯を1種類制作すれば、それは左右両足いずれにも装着可能であるという当業者予測不可能な顕著な効果を奏する。
特に、L2/L1が2.0以上10.0以下の特徴的構成要件は、水平部は足首を捲回するのに用いられ、垂直部は内果部を経て足底から外果部、足甲を捲回して、足首とアキレス腱を捲回して再び足甲と内果部を経て足底を捲回し、さらに外果部を経て足甲を捲回するのに用いられることを表現している。
具体的には、以下の右足巻き方手順で、足関節部位固定用の捲回固定帯を右足に装着することができる(図7を参照)。
(1)足関節特に右足首を固定帯の水平部で捲回し、該水平部の一端に設けた面ファスナーで係着後、
(2)垂直部上端を右足首内側部に当接し、内果部を経て足底から外果部、右足甲を捲回して、右足首とアキレス腱を捲回して再び右足甲と内果部を経て足底を捲回し、さらに外果部を経て右足甲を捲回し、垂直部の下端部に設けた面ファスナーを起毛部材の起毛面に押圧し係着する。
**********************************
具体的には、以下の左足巻き方手順で、足関節部位固定用の捲回固定帯を左足に装着することができる(図7を裏側から透かして見た図(添付省略)を参照))。
(1)足関節特に左足首を固定帯の水平部で捲回し、該水平部の一端に設けた面ファスナーで係着後、
(2)垂直部上端を左足首内側部に当接し、内果部を経て足底から外果部、左足甲を捲回して、左足首とアキレス腱を捲回して再び左足甲と内果部を経て足底を捲回し、さらに外果部を経て左足甲を捲回し、垂直部の下端部に設けた面ファスナーを起毛部材の起毛面に押圧し係着する。
<本発明に対する阻害要因>
当業者は、足は左右対称形であるので、足に用いるサポーターも、左右対称のサポーターである必要があるいう先入観に捕らわれているので、本発明の特徴的構成要件である左右対称形のT字形のサポーターを1種類作成した上で、右足には、右足のサポーターの巻き方をし、右足には、左足のサポーターの巻き方の工夫をしすれば、T字形のサポーターは1種類で済むということの発想は非常に困難であった。
かかる阻害要因があったのであるが、右足には、右足のサポーターの巻き方をし、右足には、左足のサポーターの巻き方の工夫をしすれば、T字形のサポーターは1種類で済むことが実証された。
上記から、本発明は、関節部位固定用の捲回固定帯を1種類制作すれば、それは左右両足いずれにも装着可能であるという当業者予測不可能な顕著な効果を奏することができた。
【0031】
発明8〜発明10によれば、水平部四隅と該水平部下端に交叉する垂直部の二隅を円弧状としているので、捲回作業が円滑に一人で行うことができ、使用頻度が多くなっても水平部四隅が解れたり、反り返ることがないので、体裁上も美麗で、また垂直部下端部に設けた、係着用面ファスナーを介して使用者が所望の部位に係着することができ、また不使用時は、該下端部から表面部を内側にして順次上方に巻き上げ、水平部の一端に設けた係着用面ファスナーで、表面側の起毛部に押圧して係着し、コンパクトなロール状にして収納可能になるとともに、携行に簡便であり、さらに洗濯機等で容易に洗浄することができ、常に清潔さを保持できる。
【0032】
○発明11によれば、全体の形状が、平面視概略クランク状に裁断されてなり、親指の捲回及び手首の捲回作業が一人で円滑に、かつ短時間ででき、部材の特性である柔軟性、伸縮性等による快適なフィット感を与える。
○発明12によれば、前記手首及び親指固定用の捲回固定帯におけるゴムシート材側の上端部及び下端部に、係着用面ファスナーを貼着又は縫着したので、サポーターを一人で簡単に装着・脱着することが可能である。
【0033】
○発明13によれば、上方部を親指捲回用、下方部を手首捲回用として概略クランク状の平面形に裁断してなり、上方部の長さL10は下方部の長さL20より小とし、手首及び親指固定用の捲回固定帯捲回固定帯の下方部と連結部が交わる角度θ1の数値範囲が、70°〜110°としたことを特徴とする手首及び親指固定用の捲回固定帯捲回固定帯としているので、特に、手首及び親指固定用の捲回固定帯捲回固定帯の下方部と連結部が交わる角度θ1の数値範囲が、70°〜110°すなわち、90°に近い値としているので、親指の長手方向に力が作用し、親指の横方向(親指の長手方向の垂直方向)から力を受けないので、親指を捻じ曲げるような力が働くのを防止するという顕著な効果を有する。
また、上端部及び下端部に、係着用面ファスナーを縫着しているので、左右の両手首及び左右手の親指いずれにも装着が可能であり、また上方部と下方部の長さ寸法に差異があるので、手首用と親指用の装着を間違えることがない。
○発明14は、手首及び親指固定用の捲回固定帯捲回固定帯の寸法関係を具体的に記載したもので、手首及び親指固定用の捲回固定帯捲回固定帯の制作が容易になった。
○発明15によれば、隅部を曲線又は円弧状に形成しているので、サポーターのエッジが当って人体に痛みを感じさせることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明に係る、捲回用シート及びこれを用いた人体部位捲回固定帯の、好適な実施形態について添付の図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係る捲回用シートの構造を示す断面図、図2は人体部位捲回固定帯における、足関節用捲回固定帯の平面図、図3は図2におけるA部の拡大側面図、図4は同図2におけるB部の拡大側面図、図5は人体部位捲回固定帯における、右手首及び親指固定用捲回固定帯の実施態様を示す平面図、図6図は左手首及び左親指固定用捲回固定帯の実施態様を示す平面図、図7(イ)〜(リ)は、足関節用捲回固定帯の装着手順説明図、図8(オ)〜(レ)は、右手首及び右親指固定用捲回固定帯の装着手順説明図、図9(ソ)〜(ム)は、左手首及び左親指固定用捲回固定帯の装着手順説明図である。
【0035】
図1に示す、Sは捲回用シートであり、1はシート状起毛部材で、その素材としては天然繊維の綿、合成繊維はポリエステル、アクリル等が好適で、これを織布、編布又は不織布に、パンチニードル等の公知技術により、起毛1aを生起させたもので、該起毛1aと反対面にゴム系接着剤2、例えば、ブタジエン・スチレンゴムやプチルゴム等を、全面に塗布し、これにネオプレンゴムシート等のゴムシート材3を重合して貼着した後、パンチングマシン(不図示)等により、該ゴムシート材3の上面からシート状起毛部材1に貫通する無数の微細な通気孔4が穿設されている。またシート状起毛部材1の厚さhは、約0.08mm〜0.2mm、好適には0.1mmとし、ゴムシート材3の厚さHは約0.4mm〜0.6mm、好適には0.5mmとしている。
【0036】
図2、図3及び図4に示す捲回固定帯10は、足関節部の固定用として、捲回用シートSを、裁断機等で平面視、略T定規形に裁断して製作されるもので、水平部11及び垂直部12からなり、垂直部12の中心線Cで左右を対称として一体的に形成され、水平部11の長さL1(水平部の長さL1)は、少なくとも大人の足首を1周以上する、約25cm〜29cm、好適には約27cmとし、その巾寸法W1は、約6cm〜8cm、好適には約7cmとし、水平部11の四隅11a、11b、11c及び11dは円弧状に形成されると共に、その一端には係着用面ファスナー14がシート状起毛部材1側にそれぞれ接着剤を介して貼着するか又は縫着14aされている。なお、図3に示すように係着用面ファスナー14は、鈎状の雄部材14bが基材14cに植設されている。
【0037】
垂直部12は、水平部11の下端11eから垂直状に延設され、その長さL2(垂直部の長さL2)は、水平部11の上端11fから約83cm〜87cm、好適には約85cmとし、その巾寸法W2は、約5cm〜7cm、好適には約6cmとし、水平部11の下端11eに交叉する垂直部12の上端は、円弧状に形成されている。
【0038】
垂直部12の下端部12aには、係着用面ファスナー15が接着剤を介して貼着するか又は縫着15aされている。なお、図4に示すように係着用面ファスナー15は、鈎状の雄部材15bが基材15cに植設されている。
【0039】
図5に示すのは捲回用シートSを、右手首及び右親指固定用捲回固定帯20として裁断したもので、平面視、略クランク状を呈し、上方部21を親指捲回用、下方部22を手首捲回用とし、上方部21の長さL10は下方部22の長さL20より小とし、上方部21の上端21aには、鈎状の雄部材である係着用面ファスナー23が接着剤を介して貼着するか又は縫着23aされ、また下方部22の下端22aには鈎状の雄部材である係着用面ファスナー24が接着剤を介して貼着するか又は縫着24aされている。
【0040】
図6は、図5に示す右手首及び右親指固定用捲回固定帯20と対称をなす左手首及び左親指固定用捲回固定帯30で、図5と同様に上方部31を親指捲回用、下方部32を手首捲回用とし、上方部31の長さL10は下方部32の長さL20より小とし、上方部31の上端31aには、鈎状の雄部材である係着用面ファスナー33が接着剤を介して貼着するか又は縫着33aされ、また下方部32の下端32aには鈎状の雄部材である係着用面ファスナー34が接着剤を介して貼着するか又は縫着34aされている。
【0041】
次に、足関節用捲回固定帯10を右足へ装着する手順を、図1〜図4及び図7に基づいて説明する。図7(イ)に示すように、先ず足関節用捲回固定帯10の水平部11の裏面側(ゴムシート材3)の垂直部の中心線部C(図2、参照)を足首内側F1に向けて当接し、次に水平部11の両端を足首外側F2に捲回して(ロ)、面ファスナー14取付部を足首内側F1まで牽引し、水平部11と垂直部12が交叉する部位の表面側(シート状起毛部材1)の起毛1a部に面ファスナー14を押圧して係着する(ハ)。続いて垂直部12の中程又は下端部12aを把持し、(ニ)に示すようにこれを内果部F3を経て足底F4から外果部F5に捲き上げ、さらにこれを足首内側F1に向けて捻り返し(ホ)、垂直部12の中程と下端部12aはアキレス腱F6を経て足首外側F2に反転され(ヘ)、さらに足甲F7を経て(ト)足底F4を再度捲回し(チ)、垂直部12の下端部12aは外果部F5を経て内果部F3に戻され、面ファスナー15をシート状起毛部材1の起毛1a部に押圧して、足関節用捲回固定帯10の右足へ装着作業は、終了する。
【0042】
足関節用捲回固定帯10を、左足へ装着する手順は、右足へ装着する手順とほぼ同一作業となるので図示及びその説明は省略する。
【0043】
右手首及び右親指固定用捲回固定帯20の装着作業を、図5及び図8に基づいて説明する。先ず図8(オ)に示すように、略クランク形状になっている上方部21の上端21aと下端21bを裏面側(ゴムシート材3)が内側になるようにリングRを形成し、面ファスナー23を起毛1a部に押圧して仮係着する。次に右手親指Y1を外側に拡開(ワ)し、該右手親指Y1にリングRを挿入(カ)した後、(ヨ)に示すように、右手の差し指Y2、中指Y3及び薬指Y4で下方部22の上端22bを固定する。続いて下方部22の下端22a近傍を左手で把持し、(タ)に示すように矢印P方向に手首Hを巻回し、面ファスナー24を下方部22に押圧すれば、鈎状の雄部材が起毛1aに係着され、右手首Hは固定される。最後にリングRを形成し上方部21で仮係着している面ファスナー23の鈎状雄部材を起毛1a部からいったん解放し、改めて面ファスナー23を牽引しながら適宜部位に押圧して係着し、右手首及び右親指固定用捲回固定帯20の装着作業は終了する(レ)。
【0044】
左手首及び左親指固定用捲回固定帯30の装着作業は、図5の右手首及び右親指固定用
捲回固定帯20の装着作業とは逆の動作となり、これを図6及び図9に基づいて説明する。
先ず図9(ソ)に示すように、略クランク形状になっている上方部31の上端31aと下端31bを裏面側(ゴムシート材3)が内側になるようにリングRを形成し、面ファスナー33を起毛1a部に押圧して仮係着する。次に右手親指Y10を外側に拡開(ツ)し、該左手親指Y10にリングRを挿入(ネ)した後、(ナ)に示すように、左手の差し指Y20、中指Y30及び薬指Y40で下方部32の上端32bを固定する。続いて下方部32の下端32a近傍を右手で把持し、(ラ)に示すように矢印P1方向に手首Hを巻回し、面ファスナー34を下方部32に押圧すれば、鈎状の雄部材が起毛1aに係着され、右手首Hは固定される。最後にリングRを形成し上方部31で仮係着している面ファスナー33の鈎状雄部材を起毛1a部からいったん解放し、改めて面ファスナー33を牽引しながら適宜部位に押圧して係着して、右手首及び親指固定用捲回固定帯30の装着作業は終了する(ム)。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】は本発明に係る、捲回用シートの構造を示す断面図である。
【図2】は同、足関節用捲回固定帯の平面図である。
【図3】は同、図2におけるA部の拡大側面図である。
【図4】は同、図2におけるB部の拡大側面図である。
【図5】は同、右手首及び右親指固定用捲回固定帯の平面図である。
【図6】は同、左手首及び左親指固定用捲回固定帯の平面図である。
【図7】(イ)〜(リ)は、足関節用捲回固定帯の装着手順説明である。
【図8】(オ)〜(レ)は、右手首及び右親指固定用捲回固定帯の装着手順説明図である。
【図9】(ソ)〜(ム)は、左手首及び左親指固定用捲回固定帯の装着手順説明図である。
【符号の説明】
【0046】
S 捲回用シート
1 シート状起毛部材
1a 起毛
2 ゴム系接着剤
3 ゴムシート材
4 通気孔
10 足関節用捲回固定帯
11 水平部
11a、11b、11c、11d 四隅
12 垂直部
12a 下端部
12c、12d 二隅
14、15 係着用面ファスナー
14a、15a 逢着
20 右手首及び右親指固定用捲回固定帯
21 上方部
21a 上端部
22 下方部
22a 下端部
23、24 係着用面ファスナー
23a、24a 縫着
25 連結部
30 左手首及び左親指固定用捲回固定帯
31 上方部
31a 上端部
32 下方部
32a 下端部
33、34 係着用面ファスナー
33a、34a 縫着
35 連結部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の関節部位に装着される捲回用シートからなる足関節部位固定用の捲回固定帯において、
表面側のシート状起毛部材に、裏面側部材としてゴムシート材を張合し、接着剤により貼着した当該捲回用シートを略T定規形に裁断してなり、かつ、捲回用シートが垂直部の中心線Cで左右対称形状であり、L2/L1が2.0以上10.0以下であることを特徴とする足関節部位固定用の捲回固定帯。
ここに、L1:捲回固定帯の水平部の長さ(cm)
L2:捲回固定帯の垂直部の長さ(cm)
【請求項2】
前記シート状起毛部材が、天然繊維、合成繊維、不織布又はパイル生地を素材としていることを特徴とする、請求項1記載の足関節部位固定用の捲回固定帯。
【請求項3】
前記ゴムシート材が、ネオプレンゴムシートであることを特徴とする、請求項1記載の足関節部位固定用の捲回固定帯。
【請求項4】
前記シート状起毛部材とゴムシート材を貼着する接着剤が、ゴム系接着剤又はウレタン系接着剤であることを特徴とする、請求項1〜請求項3記載の足関節部位固定用の捲回固定帯。
【請求項5】
前記シート状起毛部材の厚さを約0.08mm〜0.2mm、ゴムシート材を約0.4mm〜0.6mmとしたことを特徴とする、請求項1〜請求項3記載の足関節部位固定用の捲回固定帯。
【請求項6】
前記捲回用シートの全面に微細孔を穿設したことを特徴とする、請求項1〜請求項5記載の足関節部位固定用の捲回固定帯。
【請求項7】
前記捲回用シートの捲回用シートを略T定規形に裁断してなり、かつ、捲回用シートが垂直部の中心線Cで左右対称形状であり、L2/L1が3.0以上4.0以下であることを特徴とする足関節部位固定用の捲回固定帯。
ここに、L1:捲回固定帯の水平部の長さ(cm)
L2:捲回固定帯の垂直部の長さ(cm)
【請求項8】
前記捲回固定帯の水平部四隅と該水平部下端に交叉する垂直部の二隅を円弧状としていることを特徴とする、請求項7記載の足関節部位固定用の捲回固定帯。
【請求項9】
前記捲回固定帯におけるゴムシート材側の水平部両端及び垂直部下方に設けた終端部に、係着用面ファスナーを貼着又は縫着したことを特徴とする、請求項7及び請求項8記載の足関節部位固定用の捲回固定帯。
【請求項10】
前記捲回固定帯の水平部上端から垂直部下端までの長さを、約83cm〜87cm、終端部を約15cm〜17cmとし、水平部の長さを約25cm〜29cmとし、水平部の巾寸法を約6cm〜8cmとし、垂直部の巾寸法を約5cm〜7cm、終端部の巾寸法を垂直部の巾寸法より小としたことを特徴とする、請求項7〜請求項9記載の足関節部位固定用の捲回固定帯。
【請求項11】
人体の関節部位に装着される捲回用シートからなる手首及び親指固定用の捲回固定帯捲回固定帯において、
表面側のシート状起毛部材に、裏面側部材としてゴムシート材を張合し、接着剤により貼着した当該捲回用シートからなる手首及び親指固定用の捲回固定帯捲回固定帯において、上方部を親指捲回用、下方部を手首捲回用として概略クランク状の平面形に裁断してなり、上方部の長さL10は下方部の長さL20より小とし、手首及び親指固定用の捲回固定帯捲回固定帯の下方部と連結部が交わる角度θの数値範囲が、70°〜110°としたことを特徴とする手首及び親指固定用の捲回固定帯捲回固定帯。
【請求項12】
ゴムシート材側の上端部及び下端部に、係着用面ファスナーを貼着又は縫着し、前記手首及び親指固定用の捲回固定帯の上端部から下端部までの長さを、約22cm〜24cmとし、上方部の長さは下方部の長さより小とし、上方部及び下方部の巾寸法を約3cm〜5cmとし、上方部と下方部の連結部の巾寸法を約4cm〜6cmとしたことを特徴とする、請求項11記載の手首及び親指固定用の捲回固定帯捲回固定帯。
【請求項13】
前前記手首及び親指固定用の捲回固定帯の上方部と連結部、連結部と下方部の結合部における隅部を曲線又は円弧状に形成したことを特徴とする、請求項11〜12載の手首及び親指固定用の捲回固定帯捲回固定帯。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−14747(P2007−14747A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−76566(P2006−76566)
【出願日】平成18年3月20日(2006.3.20)
【出願人】(505218214)
【Fターム(参考)】