説明

授乳兼用乳幼児用ケープ

【課題】1つのケープを乳幼児の防寒・雨風除けと授乳時の胸部隠しとに兼用するに際し、どちらの用途にも不都合なく使用できるケープを提供する。
【解決手段】 ケープ本体(10)の上部左右に装着用止着具(16)が取り付けられたケープ(1)であって、前記ケープ本体(10)に開閉自在の貫頭用開口部(20)が設けられている。乳幼児用ケープとして用いる時は、前記貫頭用開口部(20)を閉じ、止着具(16)を子守帯等に止め付けて乳幼児の身体を覆う。授乳用ケープとして用いる時は、前記貫頭用開口部(20)を開いて頭を通し、ケープ本体(10)をポンチョのように着用することで、胸側に垂れ下がった部分(10b)で胸部を隠す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乳幼児の防寒・雨風除けと授乳時に胸部隠しとに兼用できるケープに関する。
【背景技術】
【0002】
子守帯でおんぶした乳幼児を覆う防寒用ケープとして、特許文献1に記載したものがある。この乳幼児用ケープは、長方形のケープ本体の上方左右両端部にクリップ等の止着具を取り付けたものであって、止着具で子守帯やベビーカーに止め付けるものである。このタイプのケープは、幼児の身体のみを覆うことを目的として製作されているため、いわゆるママコートと称される親子の身体を覆う防寒具に比べるとコンパクトで嵩張らず、横抱き、縦抱き、ベビーカー、車載用チャイルドシートでも使用できるという長所がある。
【0003】
また、乳幼児に関連するケープ類には、特許文献2〜4、非特許文献1、2に記載されたような、使用者(母親)が人前で授乳する際に胸部を隠すための授乳用カバー(ケープ)がある。特許文献2,3および非特許文献1の授乳用カバーは、長方形本体の上端縁の中間部または左右端に紐を掛け渡したものであり、紐を首に掛けて本体を吊り下げて使用する。これらのうち、非特許文献1の授乳用カバーは使用者の肩が露出するので、横からの視線を遮るためにカバー本体の左右端部を脇に挟んで使用するものである。また、特許文献4や非特許文献2に記載されている授乳用カバーは、本体シートの中央部に頭を通す円形孔を設け、ポンチョのようにかぶって使用するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−3084号公報
【特許文献2】特許第4203864号公報
【特許文献3】実用新案登録第3115775号公報
【特許文献4】特開2000−8207号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】授乳用カバー、2009年3月4日検索、インターネット〈URL:http://www.baby-rose.jp/benri/bebeaulait.html〉
【非特許文献2】授乳用カバー、2009年3月30日検索、インターネット〈URL:http://item.rakuten.co.jp/cielbleu/c/0000000283/〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の乳幼児用ケープ、特許文献2,3および非特許文献1の授乳用カバーはいずれもいずれも略長方形の本体に止着具や紐を取り付けて乳幼児や母親の身体を覆うようにしたものであり、共通点を有している。
【0007】
しかしながら、これらのケープを乳幼児用と授乳用とで兼用しようとすると、次のような不都合が生じる。
【0008】
特許文献1の乳幼児用ケープは、クリップで子守帯やベビーカーに装着するように構成されているので、授乳用カバーとして用いる場合は使用者の身体または衣服にクリップで装着することになる。ケープ本体で胸部をしっかりと隠すには、使用者の首元、肩、袖等にクリップを止め付けることになるが、使用者がクリップ止めに適した衣服を着用しているとは限らないし、衣服の襟あき等によっては止め付けたい位置に衣服が無い場合がある。しかも左右の2カ所でのクリップ止めをするので装着に手間がかかる。
【0009】
逆に、特許文献2,3および非特許文献1の授乳用ケープは、紐を首に掛けてケープ本体を吊り下げて使用するものであるから、紐を使用者の首、子守帯、ベビーカーに掛けてもきっちりと乳幼児の身体を覆うことは難しい。また、ポンチョタイプの授乳用カバーは子守帯やベビーカーに装着することすらできない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上述した状況に鑑み、1つのケープを乳幼児の防寒・雨風除けと授乳時の胸部隠しとに兼用するに際し、上述した不都合を解消してどちらの用途にも不都合なく使用できるケープを提供する。
【0011】
即ち、本発明の授乳兼用乳幼児用ケープは、下記[1]〜[6]に記載の構成を有する。
【0012】
[1]ケープ本体の上部左右に装着用止着具が取り付けられたケープであって、
前記ケープ本体に開閉自在の貫頭用開口部が設けられていることを特徴とする授乳兼用乳幼児用ケープ。
【0013】
[2]前記貫頭用開口部はケープ本体の中心から周縁側に寄った位置に設けられている前項1に記載の授乳兼用乳幼児用ケープ。
【0014】
[3]前記貫頭用開口部はスリット状である前項1または2に記載の授乳兼用乳幼児用ケープ。
【0015】
[4]前記貫頭用開口部はスライドファスナーによって開閉自在となされている前項1〜3のいずれかに記載の授乳兼用乳幼児用ケープ。
【0016】
[5]前記ケープ本体は裾の中央部にスリットが形成されるとともに係脱可能な係合具によって開閉自在となされ、かつ裾の左右端部に前記スリット開閉用の係合具と係脱可能な係合具が取り付けられている前項1〜4のいずれかに記載の授乳兼用乳幼児用ケープ。
【0017】
[6]前記ケープ本体の上縁部に伸縮自在領域を有する前項1〜5のいずれかに記載の授乳兼用乳幼児用ケープ。
【発明の効果】
【0018】
上記[1]に記載の授乳兼用乳幼児用ケープは、ケープ本体に開閉自在の貫頭用開口部が設けられているので、乳幼児用ケープとして用いる時は、前記貫頭用開口部を閉じ、止着具を子守帯やベビーカーに止め付けてケープ本体で乳幼児の身体を覆う。また、授乳用ケープとして用いる時は、前記貫頭用開口部を開いて頭を通し、ケープ本体をポンチョのように着用することで、ケープ本体の胸側に垂れ下がった部分で胸部を隠すことができる。また、ケープ本体は背中側にも垂れるので、肩がすっぽりと覆われ、上、横、背後からの視線をも遮ることができる。
【0019】
上記[2]に記載の授乳兼用乳幼児用ケープにおいては、貫頭用開口部がケープ本体の中心から周縁側に寄った位置に設けられているので、ケープ本体の1/2を超える広い領域が胸部側に垂れ下がる。このため、ケープ本体の寸法を過度に拡大することなく胸部隠しとして必要な寸法と面積を確保することができる。
【0020】
上記[3]に記載の授乳兼用乳幼児用ケープは、貫頭用開口部がスリット状であるから、簡単な構造で開閉させることができ、開閉手段の取り付けも容易である。
【0021】
上記[4]に記載の授乳兼用乳幼児用ケープは、貫頭用開口部がスライドファスナーによって開閉自在となされているため、簡単に開閉することができ、かつ開口寸法および開口位置の調節も簡単に行える。
【0022】
上記[5]に記載の授乳兼用乳幼児用ケープにおいては、裾を筒状に形成することでケープ本体が風で翻ることがなく、防寒・雨風除け機能が向上する。
【0023】
上記[6]に記載の授乳兼用乳幼児用ケープによれば、フィット性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態の授乳兼用乳幼児用ケープの正面図である。
【図2A】ケープの裾を1本の筒にした状態を示す背面図である。
【図2B】ケープの裾を2本の筒にした状態を示す背面図である。
【図3】図1のケープを乳幼児の防寒着として使用した状態を示す斜視図である。
【図4】図1のケープを授乳時の胸部隠しとして使用した状態を示す斜視図である。
【図5】本発明の授乳兼用乳幼児用ケープの他の実施形態を示す正面図である。
【図6】本発明の授乳兼用乳幼児用ケープのさらに他の実施形態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1〜図2Bに、本発明の授乳兼用乳幼児用ケープ(以下、「ケープ」と略称する)の一実施形態を示す。
【0026】
ケープ(1)は、フード(11)付きのケープ本体(10)、ケープ本体(10)を装着対象に止めつけるための左右のクリップ(16)(16)により構成されている。
【0027】
ケープ本体(10)は略長方形であり、上縁部の中央にフード(11)が縫着され、フード(11)の左右は、フード縫着端部からケープ本体(10)の左右端までの領域が、ゴムテープの挿通により伸縮自在に縮まった伸縮自在領域(12)(12)となされている。
【0028】
前記ケープ本体(10)には、中心から上縁側に寄った位置に、上縁に平行なスリット状の貫頭用開口部(20)が設けられている。この貫頭用開口部(20)はスライドファスナー(21)によって開閉自在となされ、左右の開き止まり(22)(22)間の距離が最大開口寸法となされている。また、前記スライドファスナー(21)は、2個のスライダー(23a)(23b)の開閉方向が逆向きであるため、貫頭用開口部(20)の開口寸法はもとより、開口位置も任意に調節することができる。即ち、2個のスライダー(23a)(23b)間の距離が開口寸法となり、2個スライダーの位置(23a)(23b)が左右の開口端となって開口位置が設定される。
【0029】
また、前記ケープ本体(10)の裾側中央にはスナップ(13a)(13b)によって開閉自在となされたスリット(14)が設けられている。前記スナップ(13a)(13b)は、ケープ本体(10)の左右の縁部に取り付けたスナップ(15a)(15b)とも係合することができ、さらに、左右縁部のスナップ(15a)(15b)同士の係合も可能である。従って、ケープ本体(10)の裾は、中央のスナップ(13a)(13b)を係合してスリット(14)を閉じるとともに左右縁のスナップ(15a)(15b)を係合させない状態(図1)、中央のスナップ(13a)(13b)を係合してスリット(14)を閉じるとともに左右縁部のスナップ(15a)(15b)を係合して1本の筒を形成した状態(図2A)、中央のスナップ(13a)(13b)の係合を解除してスリット(14)を開くとともに、中央のスナップ(13a)(13b)と左右端部のスナップ(15a)(15b)とを係合してズボンのように2本の筒を形成した状態(図2B)の3通りで使用することができる。
【0030】
なお、前記スリット(14)の開閉および裾の筒状形成に用いる係合具はスナップの他、面ファスナー、釦等任意のものを使用できる。
【0031】
クリップ(16)(16)は本発明における装着用止着具であり、ケープ本体(10)の上部左右端に取り付けられている。これらのクリップ(16)(16)は子守帯、ベビーカー、衣服等に止め付けることができる。なお、本発明は止着具の取り付け位置をケープ本体(10)左右端に限定するものではなく、左右端から中央方向に退入した位置に取り付けた場合も本発明に含まれる。また、本発明は止着具をクリップに限定するものではないが、装着対象に止め付け用の相手部材が不要である点でクリップを推奨できる。
【0032】
次に、ケープ(1)の使用方法について、図3および図4を参照しつつ説明する。
【0033】
(使用例1)
図3は、子守帯を用いておんぶした乳幼児に対して防寒・雨風除け用ケープとして使用する例を示している。
【0034】
前記ケープ本体(10)の貫頭用開口部(20)は閉じておく。そして、左右のクリップ(16)(16)を子守帯のショルダーベルト(30)に止めつけ、ケープ本体(10)で乳幼児の身体をすっぽりと覆う。
【0035】
裾のスリット(14)は閉じて左右端のスナップ(15a)(15b)の係合により1本の筒状にして両足を一緒に覆っても良いし(図2A参照)、左右のスナップ(15a)(15b)を係合することなく使用しても良い(図3参照)。また、スリット(14)を開いて2本の筒状にし、片足ずつ覆うこともできる(図2B参照)。このように裾を筒状にするとケープ本体(10)が風で翻ることがないので、防寒・雨風除け機能が向上する。
【0036】
さらに、乳幼児を使用者の胸側で抱持する対面だっこおよび前向きだっこ、乳幼児を寝かせて抱持する横抱きの場合にも、クリップ(16)(16)を子守帯に止め付けて乳幼児の身体を覆うことができる。さらに、ベビーカーのフレーム等に止め付けて使用することもできる。
【0037】
(使用例2)
図4は、授乳時の胸部隠しとして使用する例を示している。
【0038】
ケープ本体(10)の貫頭用開口部(20)は使用者(母親)の頭が入る程度に開いておく。そして、ケープ本体(10)の裾が胸側に位置する方向に被り、貫頭用開口部(20)に頭を通す。即ち、ケープ本体(10)をポンチョのように着用する。着用後、必要に応じて貫頭用開口部(20)の開口寸法および開口位置を調節する。これにより、ケープ本体(10)の貫頭用開口部(20)よりも下側部分(10a)が胸側に垂れ下がって胸部を隠すことができる。しかも、ケープ本体(10)の貫頭用開口部(20)よりも上側部分(10b)は前記下側部分(10a)と左右両脇で繋がっており、かつ上側部分(10b)が背中側に垂れるので、肩がすっぽりと覆われ、上、横、背後からの視線も確を実に遮ることができる。非特許文献1に参照されるような紐を首に掛けるタイプの授乳用カバーでは、肩が露出するのでカバー本体の左右端部を脇に挟んで横からの視線を遮るという面倒な着用方法であるが、本発明のケープ(1)は貫頭用開口部(20)に頭を通すという簡単な着用方法で横からの視線を遮ることができ、さらに上および背後からの視線をも遮ることができる。
【0039】
また、貫頭用開口部(20)の縁と使用者との間には貫頭用開口部(20)の開口寸法に応じた隙間が形成されるので、その隙間を覗き口として幼児の様子を見守りながら授乳することができる。開口寸法を大きくするほど覗き口が拡大されて乳幼児の様子がよく見え、開口寸法を小さくするほど視線を遮る効果が大きいので、使用者および乳幼児の体格、所望する覗き口の大きさに応じて開口寸法を適宜調節すれば良い。また、開口位置も調節できるので、授乳の方向に応じて適宜左右にずらせば良い。貫頭用開口部(20)の開口寸法および開口位置の調節はスライダー(23a)(23b)の移動のみで簡単に行えるから、着用後の調節も簡単である。
【0040】
また、本実施形態では貫頭用開口部(20)の開閉手段としてスライドファスナー(21)を用いているため、開口した貫頭用開口部(20)はスライドファスナー(21)の務歯の列で縁取られて開口縁が補強された状態となる。これにより、覗き口が保形されて柔軟素材で形成されたケープ本体(10)の倒れ込みが防がれるので、支障なく乳幼児を見守ることができる。
【0041】
本発明のケープは上記実施形態に限定されるものではなく、以下のような種々の変更が可能である。
【0042】
ケープ本体の貫頭用開口部の位置や形状は任意に設定することができる。ただし、ケープのコンパクト性を維持するために、ケープ本体の寸法を過度に拡大することなく胸部隠しとして必要な寸法と面積を確保するには、ケープ本体の中心から周縁側に寄った位置に貫頭用開口部を設けて、ケープ本体の1/2を超える広い領域が胸部側に垂れ下がるようにすることが好ましい。かかる観点に基づいて、上記実施形態ではスリット状の貫頭用開口部(20)をケープ本体(10)の中心から上縁側に寄った位置に設けている。例えば、図1に示したケープ本体(10)は、丈:70cm、上部の幅(伸長時):90cmの略長方形であり、上端から10cm下がった位置に貫頭用開口部(10)を設け、下方60cmの領域で胸部側を覆い、上方10cmの領域が背中側に垂れるように設計されている。
【0043】
貫頭用開口部はケープ本体の裾側または左右の側縁側に寄った位置に設けても胸部側に垂れ下がる領域が広くなり、同様の効果が得られる。ただし、上縁側に寄った位置に設ければ、ケープを乳幼児用と授乳用とで同一方向で使用できるので使い勝手が良い。また、上縁寄りに設ければ、裾にスリットを設ける場合にも支障がなく、左右対称形となるので左右に寄せたものに比べて外観も良い。本発明において、中心から貫頭用開口部までの寸法はケープ本体の寸法や形状に応じて適宜設定すべきものであり、上述した寸法に限定されない。
【0044】
また、貫頭用開口部はケープ本体の周縁と平行に設けることにも限定されず、縁に対して斜め方向に設けても良い。図5のケープ(2)は、矩形のケープ本体(10)の対角線から左上のコーナー部側に寄った位置に設けたスリット状の貫頭用開口部(25)であり、右下のコーナー部を頂点とする略三角形の部分が胸部側に垂れ下がるように使用する。このような斜め方向の貫頭用開口部(25)を設けた場合は、ケープ本体(10)の対角線寸法を授乳用ケープの最大幅として利用できるので、幅の狭いケープでも胸部を隠すことができる。略三角形の垂れ下がり部分は裾に向かって幅が狭くなるが、胸部と対角線の位置が略一致し、胸部近傍ではケープ幅が確保されているため、胸部隠しとしての使用に支障はない。
【0045】
また、貫頭用開口部は直線状スリットであることにも限定されない。図6のケープ(3)は、ケープ本体(10)に円弧状に切り込んだスリットにスライドファスナー(21)を取り付けて開閉するようにした貫頭用開口部(26)である。このような円弧形の貫頭用開口部(26)は、開口して着用してすると弓形部分(27)が起き上がるので、この弓形部分(27)を視線を遮るための目隠しとして利用できる。
【0046】
さらに、貫頭用開口部はスリット状であることにも限定されず、ケープ本体の所要部分を切り欠いて形成した穴であっても良い。このような切り欠いた穴に対してしては、別布を追加して穴を覆うようにすれば、開閉自在にすることができる。ただし、簡単な構造で開閉させることができ、開閉手段の取り付けも容易である点で、スリット状の貫頭用開口部を推奨できる。
【0047】
貫頭用開口部の開口寸法は、少なくとも使用者の頭が通れば足り、それ以上に拡大することは任意である。図1に示した実施形態では、貫頭用開口部(20)の最大開口寸法を、使用者の頭周り寸法に覗き口を形成するためのゆとりを加え、さらに使用者の体格差および授乳方向による開口位置の変更等を勘案し、スライドファスナー(21)の開き止まり(22)を左右の側縁から中心側に退入した位置に設定している。また、開口寸法や開口位置の調節機能の有無も任意に設定することができ、これらの調節機能が無いものも本発明に含まれる。
【0048】
貫頭用開口部の開閉手段は、フライドファスナーに限定されない。他の開閉手段として、面ファスナー、スナップ止め、釦止めなどを例示できる。スライドファスナーは、開閉が簡単であり、開口寸法や開口位置の調節も簡単に行える点で推奨できる。また、スライダーは、金属や硬質樹脂等の硬質材料で形成されているが、ケープ本体の裏面側に布などの柔軟素材でファスナーを覆うカバーを取り付けておけば、乳幼児の身体に直接スライダーが触れることを防止できる。なお、図4に参照されるように、授乳用ケープとして使用する場合はスライダー(23a)(23b)が使用者の首元から肩口に位置するので、乳幼児に触れるおそれは殆ど無い。このため、図2Bに示すように、スライドファスナー(21)を閉じるときは2つのスライダー(23a)(23b)をどちらか一方の開き止まり(22)に寄せることとし、ケープ本体(10)の裏面において、開き止まり(22)の近傍にスライダー(23a)(23b)を格納するカバー(28)を取り付ければ乳幼児への接触を防ぐことができる。このようにすれば、少ない材料と簡単な構造でスライダー(23a)(23b)の乳幼児への接触を防止することができる。なお、前記カバー(28)の機能を説明するために、図2Aはスライダー(23a)(23b)をカバー(28)内に格納していない状態を示し、図2Bはスライダー(23a)(23b)をカバー(28)内に格納した状態を示している。
【0049】
本発明はケープ本体の幅(左右方向の寸法)や丈を規定するものではないが、乳幼児の防寒・雨風除け用に必要なケープ幅よりも授乳時の胸部隠しに必要なケープ幅の方が大きいので、授乳用に適した寸法に形成することが好ましく、具体的にはケープ幅として90cm以上であることが好ましい。また、授乳時に適した寸法に形成したことで、乳幼児の防寒・雨風除け用ケープとして使用する際のゆとり量が大きくなり過ぎる場合は、本実施形態のように上縁部に伸縮自在領域(12)を設けて縮み勝手とすることによって、フィット性を高めることができる。また、フード縫着位置から左右の端部までの全域を伸縮自在領域とすることには限定されず、一部のみを伸縮自在としても良い。
【0050】
また、ケープ本体の材質も限定されず、各種布帛、ニット、フリース、中綿入り合わせ材、キルティング地等を例示できる。また雨除け用ケープとして防水性や撥水性を有する生地を用いることもできる。
【0051】
ケープ本体の裾のスリットの有無、裾を筒にするためのスナップ等の係合部材の有無は任意に設定することができる。
【0052】
また、フードの有無も任意であるから、フード無しのケープでは伸縮自在領域を中央部側に拡大することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明のケープは、乳幼児の防寒・雨風除けと授乳時の胸部隠しに兼用できる。
【符号の説明】
【0054】
1、2、3…ケープ(授乳兼用乳幼児用ケープ)
10…ケープ本体
10a…貫頭用開口部よりも下側の部分
10b…貫頭用開口部よりも上側の部分
11…フード
12…伸縮自在領域
13a、13b、15a、15b…スナップ(係合具)
14…スリット
16…クリップ(止着具)
20、25、26…貫頭用開口部
21…スライドファスナー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケープ本体の上部左右に装着用止着具が取り付けられたケープであって、
前記ケープ本体に開閉自在の貫頭用開口部が設けられていることを特徴とする授乳兼用乳幼児用ケープ。
【請求項2】
前記貫頭用開口部はケープ本体の中心から周縁側に寄った位置に設けられている請求項1に記載の授乳兼用乳幼児用ケープ。
【請求項3】
前記貫頭用開口部はスリット状である請求項1または2に記載の授乳兼用乳幼児用ケープ。
【請求項4】
前記貫頭用開口部はスライドファスナーによって開閉自在となされている請求項1〜3のいずれかに記載の授乳兼用乳幼児用ケープ。
【請求項5】
前記ケープ本体は裾の中央部にスリットが形成されるとともに係脱可能な係合具によって開閉自在となされ、かつ裾の左右端部に前記スリット開閉用の係合具と係脱可能な係合具が取り付けられている請求項1〜4のいずれかに記載の授乳兼用乳幼児用ケープ。
【請求項6】
前記ケープ本体の上縁部に伸縮自在領域を有する請求項1〜5のいずれかに記載の授乳兼用乳幼児用ケープ。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−242267(P2010−242267A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−93717(P2009−93717)
【出願日】平成21年4月8日(2009.4.8)
【出願人】(592238515)ラッキー工業株式会社 (24)
【Fターム(参考)】