説明

授乳用ブラジャー

【課題】長時間の着用に際しても、母乳吸収用パッドがずれてしまうことがなく、母乳を確実に母乳吸収用パッドに吸収させることのできる授乳用ブラジャーの提供。
【解決手段】左右の乳房をそれぞれ覆うための左右のカップ部11a、11bの乳房の配置側に母乳を吸収する為の母乳吸収用パッド21を設置して保持するための保持部19a等を有しており、保持部19a等は、装着時に少なくとも乳房の中心領域である乳首M1部分が母乳パッド21に当接するための開口部18a等を形成している授乳用ブラジャー10等。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、妊娠から出産し、乳幼児の育児を行う期間に使用するブラジャーであって、特に出産後における授乳期に用いる授乳用ブラジャーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
授乳用ブラジャーを用いている母親等の装着者は、授乳の際、授乳用ブラジャーの乳房を覆っているカップ部から乳房を露出して、乳児に対し授乳を行う必要がある。そのため、授乳用ブラジャーのカップ部から乳房が露出し易いように工夫されているような授乳用ブラジャーの構造が従来から提案されてきている。
【0003】
例えば、カップ部と、装着者の背面側の後身頃部と、後身頃部に接続されており、カップ部の両脇近傍に着脱自在な連結部を介して取付けられている肩紐部とを有している授乳用ブラジャーが提案されている。この従来の授乳用ブラジャーによれば、連結部でカップ部を肩紐部から取り外すと、カップ部がめくれ、前側に倒れるため、容易に乳首が露出されて授乳ができるようになっている(例えば、特許文献1図)。
また、左右のカップ部を係合する係合部が略中央に設けられており、この係合部の係合を解除すると、カップ部は左右(横)に開閉可能となる授乳用ブラジャーも提案されている(例えば、特許文献2、3、4)。
【0004】
ところで、通常、授乳用ブラジャーは、カップ部の内側(乳房が当たる側)に母乳吸収用パッドなどを設置して使用されている。すなわち、授乳期の妊産婦は、乳幼児への授乳時以外において、母乳が出てしまうことがある。このため、染み出した母乳が衣服等に付着しないように、母乳を吸収するための母乳吸収用パッドをカップ部内に設置しておく。
そして、この母乳吸収用パッドは、使い捨てのものが一般的であるので、数時間毎に取替えられるように、通常、カップ部の内側に両面テープなどの取外し可能な部材によって固定されて使用されている。
【特許文献1】実願昭61−119807号(実開昭63−27409号)のマイクロフィルム
【特許文献2】実願昭62−61212号(実開昭63−14509号)のマイクロフィルム
【特許文献3】特開平08−127904号公報
【特許文献4】特開2004−169209号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、このような母乳吸収用パッドに使用されている両面テープは、ブラジャーの貼り付け位置の生地等を傷めない程度に考慮された貼り付け強度をもつものである為、使用中に母乳吸収用パッドがずれてしまうことがある。そして、ずれてしまうと、母乳吸収用パッドの役割を果たさない状態となってしまうという問題がある。
また、使用中に母乳を吸収したり、湿気を含んだりして、母乳吸収用パッドの重みが増すことなども、母乳吸収用パッドのずれの原因と思われる。
そこで、本発明は、長時間の着用に際しても、母乳吸収用パッドがずれてしまうことがなく、母乳を確実に母乳吸収用パッドに吸収させることのできる授乳用ブラジャーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、請求項1の発明によれば、左右の乳房をそれぞれ覆うための左右のカップ部と、前記左右の前記カップ部と連結されており装着時に装着者の胸囲部分に配置される身頃部と、前記左右の前記カップ部と前記身頃部の背面側に連結されている肩紐部と、を有しており、前記左右の前記カップ部の内側には母乳を吸収する為の母乳吸収用パッドの少なくとも一部を覆い保持するための保持部が形成されており、前記保持部は、装着時に少なくとも前記乳房の乳首部分を前記母乳吸収用パッドに当接するように前記母乳吸収用パッドを露出するための開口部を有すること、を特徴とする授乳用ブラジャーにより達成される。
【0007】
請求項1の構成によれば、授乳用ブラジャーのカップ部の内側には、母乳吸収用パッドの少なくとも一部を覆い保持するための保持部を有している。このため、両面テープなどの接着手段による保持に比べて使用中の母乳吸収用パッドのズレを有効に防止できる。
さらに保持部には母乳吸収用パッドが露出するような開口部が形成されている。従って、装着者が授乳用ブラジャーを装着すると、保持部に設けられている開口部により装着者の乳房の中心領域である乳首部分が母乳吸収用パッドと当接するようになるので、母乳吸収用パッドへの母乳の吸収をスムーズに行うことができる。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の発明の構成において、前記保持部は、前記左右の前記カップ部の周縁部分に略沿うように形成されていること、を特徴とする。
【0009】
請求項2の構成によれば、前記保持部が、前記カップ部の内側において、カップ部の周縁部分と略沿うように形成されているので、母乳吸収用パッドの周囲の動きが規制されて保持性はさらに良好となり、装着者の動きに対して母乳吸収用パッドのずれが起こる事態を効果的に防止できる。
このため、装着者である妊産婦は、乳幼児への授乳に際し、片手で乳幼児を支え、もう一方の手で、授乳用ブラジャーのカップ部から乳房を露出するようにする。この際に、カップ部の内側に固定された母乳吸収用パッドが、カップ部の内側のカップ部周辺に形成されている保持部によって、保持されるため、片手で操作しても母乳吸収用パッドが外れたり、ずれたりしてしまうことが低減できるので、装着者にとって、使い勝手の良いものとなっている。
【0010】
請求項3の発明は、請求項2の発明の構成において、前記保持部と前記乳房の間には、装着した際に装着者の前記乳房を下側から支えて前記乳首部分を前記開口部に誘導するための誘導部が配置されており、前記装着者の正面側には、前記乳房が外部に露出するように前記カップ部を開閉可能とする係合部が設けられている、ことを特徴とする。
【0011】
請求項3の構成によれば、保持部と乳房の間には、装着した際に装着者の乳房を下側から支えて乳首部分を開口部に誘導するための誘導部が配置されている。このため、装着者が授乳用ブラジャーを装着する際、この誘導部がガイドとなって、確実に乳首部分を保持部の開口部から露出した母乳吸収用パッドに当接させて、母乳を確実に吸収することが可能となる。
また、装着者の正面側には、乳房が外部に露出するようにカップ部を開閉可能とする係合部が設けられているため、授乳の際に、この係合部の係合を解除してカップ部を開くことができるようになっている。このため、係合部の係合を解除してカップ部を開いて乳首を露出させ、授乳することができる。そして、このようにカップ部を開いても、乳房を下支えする誘導部は、カップ部の開閉作業に連動して開閉しないため、左右のカップ部を開いた場合においても、乳首部分が下がってしまうことが無く、授乳し易いようになっている。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかの発明の構成において、少なくとも前記保持部の前記母乳吸収用パッドとの当接側は、撥水性を有する材料で構成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項4の構成によれば、授乳用ブラジャーは、保持部の母乳吸収用パッドとの当接側が撥水性を有する材料で構成されているので、母乳吸収用パッドに一度、吸収された母乳が、保持部の当接面から保持部に染みてきても保持部の当接側から染み出して来ることがない。このため、例えば、長時間、母乳吸収用パッドが交換できない環境であっても、装着者が授乳用ブラジャーを装着している際に、保持部側までが濡れてしまい、不快な感じを与えることもない。また、母乳吸収用パッド交換時に当接部が濡れていて不快な思いをすることもない。
【0014】
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれかの発明の構成において、前記肩紐部は、前記左右の前記カップ部と前記身頃部の前記背面側にそれぞれ着脱可能に連結されていることを特徴とする。
【0015】
請求項5の構成によれば、肩紐部は、左右のカップ部と身頃部の背面側とそれぞれ着脱可能になっている。このため、カップ部と身頃部の両方からこの肩紐部を取り外して使用することもできるようになっており、いわゆるストラップレスの授乳用ブラジャーとしての使用もできる。そして、このように、肩紐部が取り外せるので、装着者にとって便利である。
【0016】
請求項6の発明は、請求項1または請求項2の発明の構成において、前記左右の前記カップ部は、前記肩紐部に着脱可能に連結されていることを特徴とする。
【0017】
請求項6の発明の構成によれば、左右のカップ部は、肩紐部に着脱可能に連結されており、左右のカップ部を肩紐部から外すと、カップ部が前側に捲れて、装着者の乳房が露出され、授乳することができるようになっている。
【発明の効果】
【0018】
本発明の授乳用ブラジャーによれば、装着者がこの授乳用ブラジャーを着用する際には、カップ部内の内側に袋状の保持部を有しているので、授乳の際や着用の際に、この保持部により、母乳吸収用パッドの保持が確実に行えるようになっている。また、この保持部には、母乳吸収用パッドを露出するための開口部が形成されているので、乳首部分は確実に母乳吸収用パッドと当接できるようになっている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の好適な実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下に述べる実施例は本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限りこれらに限られるものではない。
【0020】
(第1の実施形態)
図1乃至図6は、本発明の授乳用ブラジャーの一例である第1の実施形態に係る授乳ブラジャー10を説明するための概略図であり、図1は、装着者Mが、授乳ブラジャー10を着用した状態を示す概略図である。
図2は、装着者Mが授乳するために、一方の乳房M2を露出している状態の一例を示す概略図である。
図3は、授乳ブラジャー10を表側からみた場合の展開図となっており、かつ、右カップ部11aと左カップ部11bが仮想中心線CLで開いていない状態を示しており、図面上は表面(閉)と記している。
図4は、図3の状態の授乳ブラジャー10を裏側からみた場合の展開図となっており、着用に際しては、装着者Mの身体側と接する側であり、図面上は裏面と記している。図3、図4の状態で、装着者が着用すると図1のようになる。
図5は、図3の状態から、右カップ部11aと左カップ部11bを仮想中心線CLの部分に配置される右開閉部15a及び左開閉部15bの係合を解除して、観音開きした状態の展開図となっている。以下では、右カップ部11aと左カップ部11bを合わせて左右カップ部11a、11bともいう。また、右開閉部15aと左開閉部15bを合わせて左右開閉部15a、15bともいう。
【0021】
図6は、右カップ部11a又は左カップ部11bがそれぞれ対応する乳房M2を覆っている状態であって、授乳ブラジャー10の各部と左右の乳房M2の略中心領域にある乳首M1部分とその周辺の関係の位置状態を示す概略説明図となっている。つまり、後述するように、左右カップ部11a、11bの内側には、それぞれ母乳パッド21が配置されている。そして、この左右それぞれの母乳パッド21は、左右カップ部11a、11bの内側にそれぞれ形成されている母乳パッド保持部19a、19bにより保持されている。そして、各母乳パッド21は、各母乳パッド保持部19a、19bの各開口部18a、18bから露出されるようになっている。また、さらにその内側にある装着者Mの乳房M2側には、左右の各乳房M2に対応するように右支持部23aと左支持部23bとが配置されている。ここで、母乳パッド21は、母乳吸収用パッドの一例となっている。
なお、図6では、乳房M2等と授乳ブラジャー10との各部が、空間を空けて配置しているようになっているが、実際に装着者Mが授乳ブラジャー10を着用している状態では、これらの空間は、それぞれ狭くなる方向に移動し、装着者Mの乳房M2と接触するようになっている。
【0022】
これら図1乃至図6に示される授乳ブラジャー10は、マタニティ用ブラジャーとも呼ばれるものである。
図1乃至図3を参照すると、授乳ブラジャー10は、胸部に巻かれる帯状の身頃部(右前身頃14a、左前身頃14b、右後身頃14c、左後身頃14d、右脇支持部32a、左脇支持部32b)と、この身頃部に縫合されて乳房を覆う右カップ部11aおよび左カップ部11bと、身頃部および左右カップ部11a、11bに接続された肩紐部(右ストラップ部12a、左ストラップ部12b)等の各部を有している。
そして、図3を参照すると、右カップ部11aは右前身頃14aと、左カップ部11bは左前身頃14bと、それぞれ繋がっている。また、右前身頃14aは、右脇支持部32aを介して右後身頃14cと繋がっており、左前身頃14bは、左脇支持部32bを介して左右後身頃14dと繋がっている。
以下、それぞれ合わせて、右前身頃14aと左前身頃14bは左右前身頃14a、14bといい、右後身頃14cと左後身頃14dは左右後身頃14c、14dと、右脇支持部32aと左脇支持部32bは左右脇支持部32a、32bと、右ストラップ部12aと左ストラップ部12bは左右ストラップ部12a、12bともいう。
【0023】
そして、図3及び図4を参照すると、この授乳ブラジャー10は、左後身頃14d及び右後身頃14cの前身頃側の一方の端部がそれぞれ左右脇支持部32a、32bと繋がっている。また、左後身頃14d及び右後身頃14cは、背中側の他方の端部のいずれか一方にフック状の係止部27bが設けられ、いずれか他方にループ27aが設けられている。これにより、装着者Mが、装着者Mの背面側でループ27aに係止部27bをかけると、授乳ブラジャー10は装着者Mの乳房M2下側の胸囲部分で止まり、装着者Mの左右の乳房M2をそれぞれ左右カップ部11a、11bで覆うように装着される。
このループ27aは、長手方向に列設されており、段階的な長さ調節が可能な長さ調整部30となっている。図面上では、ループ27は、長さ調整部30に縦に二つ設けられて1組となっており、その組が長さ方向に沿って4列程度設けられ、胸囲部に巻かれる身頃部(図4の支持部台前中心部29aを含む支持部台前身頃29及び左右後身頃部14c,14d)の長さが調整できるようになっている。ここで、長さ調整とは、装着者Mが授乳ブラジャー10を着用した際に胸囲部分に配置される支持台前身頃部29と左右後身頃14c、14dのいわゆる身頃部分の長さ調整である。そして、乳房M2の下側近傍の胸囲部分の寸法、いわゆるアンダーバスト部20の寸法の調整ができるようになっている。アンダーバスト部20は、図1及び図2に示されるように、装着者Mが授乳ブラジャー10を装着(着用ともいう)した際に、乳房M2の下側近傍の胸囲部分(アンダーバスト)に配置される部分となっている。つまり、長さ調整部30によって、アンダーバスト部20の調整を行うことができる。
以上のように、授乳ブラジャー10は、支持部台前身頃部29と左右後身頃14c、14d身頃部分が、それぞれ左右脇支持部32a、32bを介して縫合され連結された部分を、装着者Mの胸囲部分に配置し、装着者Mの胸囲部分に合うように、装着者Mの背面側で、ループ27aに係止部27bをかけて、装着者Mのアンダーバスト部20の長さを調整して装着することができるようになっている。
【0024】
また、左右カップ部11a、11bは、いわゆるモールドタイプといわれるパッドで構成されたカップとなっている。
このモールドタイプのカップは、まず、その芯材となるパッドを形成する。このパッドは、乳房M2の形状に近い御椀状の丸みを有する金型等をクッション性の良い材質からなるシートに当て、熱等でその形状をシートに転写させた後、乳房M2を覆うことが出来る程度の大きさとなるように周辺を切断して形成される。このクッション性の良い材質からなるシートは、例えば、ウレタンなどの材質からなるシートが使用される。そして、モールドタイプのカップは、このパッドを芯材として、そのパッドの両面に布地を張り、この布地をパッドの周囲部分で縫合して固定し、形成される。
このように、左右カップ部11a、11bを構成するパーツであるモールドタイプのカップが形成される。
そして、この縫合する布地には2通りの立体成形方法がある。1つは、カップの成形と同様熱を用いて立体成形しパッドに縫合する方法である。この場合熱によって立体に成形する必要があるため、エステル素材もしくはエステル混素材が適している。もう1つの方法は、ダーツをとることにより立体成形する方法で、この場合は特に生地の素材は選ばない。
いずれの方法で成形した場合でも左右のカップ部11a、11bの裏側(装着者Mが着用した際に内側)には、肌触りの良い綿や綿混紡素材等の生地を使用することが好ましい。
このように形成された左右カップ部11a、11bには、その中心部分、つまり、ちょうど乳首M1部分が配置されている領域に縫合跡となる縫い目が無い。
このため、装着者Mが、この授乳ブラジャー10を着用して、アウターとして薄い衣服を着用した際に、縫合部分が目立たず好ましい。
【0025】
この授乳ブラジャー10の左右ストラップ部12a、12bには、それぞれ調整部13が配置されている。そして、この調整部13によって、左右ストラップ部12a、12bの長さ調整が可能となっている。これらの調整部13は、プラスチック製となっている。そして、装着者Mは、これらの調整部13により、着用の際に左右の肩部分との当りを調整することができる。
ここで、この左右ストラップ部12a、12bは、長手方向に伸縮性のある材料で構成されることが好ましく、例えば、博多織やニードル等のポリウレタン等の弾性体を含む紐状の織物である。このような左右ストラップ部12a、12bは、肩紐部の一例となっている。
【0026】
また、この左右ストラップ部12a、12bは、左右カップ部11a、11bの部分、及び左右後身頃14c、14dに対して、それぞれ着脱可能に連結されている。つまり、左右ストラップ部12a、12bは、長手方向の両端側に設けられた取外し部24を介して、左右カップ部11a、11bおよび左右後身頃14c、14dに連結されている。この取外し部24は、詳細には図示はしないが、例えば、プラスチック製や金属製等からなる輪状部分と、この輪状部分の一端部側から伸びる返し部であるL字状部分とを有するようになっている。そして、取外し部24の輪状部分は、左右ストラップ部12a、12bのそれぞれの両端側に取り付けられ、取外し部24のL字状部分は、左右カップ部11a、11b及び左右後身頃14c、14dにそれぞれ設けられたループ状の連結部分に通して引っ掛けるようにすると、左右ストラップ部12a、12bは、取外し部24を介して、左右カップ部11a、11bおよび左右後身頃14c、14dに連結される。
従って、この取外し部24のL字状部分は、左右カップ部11a、11b及び左右後身頃14c、14dにそれぞれ設けられた筒状の連結部分から引き抜くと、左右ストラップ部12a、12bは、左右カップ部11a、11bおよび左右後身頃14c、14dから容易に取り外すことができる。
このため、装着者Mは、左右ストラップ部12a、12bを取り外して、いわゆるストラップレスの授乳ブラジャー10として、使用することもできる。
【0027】
また、図4及び図5を参照すると、左右カップ部11a、11b及びこれらと繋がるそれぞれの左右前身頃14a、14bの内側には、それぞれ右支持部23aと左支持部23bとが備えられている。右支持部23a及び左支持部23bは、乳房M2を下側から支えると共に、後述する誘導部としての機能も発揮する部分となっている。また、図4に示される支持部台前身頃部29と繋がるように構成されている。以下、右支持部23aと左支持部23bとを合わせて左右支持部23a、23bともいう。
この左右支持部23a、23bは、左右の乳首M1部分より下側の乳房M2の湾曲形状と略沿うようになっている。そして、この左右支持部23a、23bの右支持部下縁部33a及び左支持部下縁部33bは、それぞれ左右の乳房M2の下側周縁の形状と略沿うようになっている。また、この右支持部下縁部33a及び左支持部下縁部33bには、それぞれワイヤー26が配置されているが、これらのワイヤー26は、左右の乳房M2の間、前中心部(仮想中心線CLの近傍)までは配置されていない。つまり、左のワイヤー26は、前中心部(仮想中心線CLの近傍)より左にずれた位置まで延伸されており、この位置に左のワイヤー端部22が配置されている。そして、右のワイヤー26は、前中心部より右にずれた位置まで延伸されており、この位置まで右のワイヤー端部22が配置されている。従って、本実施形態では、これらのワイヤー26は、係合台座部16が配置されている部分までは延伸されていないようになっている。
このため、後述するように、左右カップ部11a、11bを開閉する際に使い勝手の良いものとなっている。ここで、これらのワイヤー26は、弾性変形可能なプラスチック樹脂や、金属等で形成されている。
【0028】
そして、右支持部23aの下端周辺部には、ワイヤー26が配置されており、乳房M2の下側周縁の形状と略沿うようになっている。この右支持部23aの下端周辺部は、右支持部下縁部33aとなっている。また、同じく左支持部23bの下端周辺部には、ワイヤー26が配置されており、乳房M2の下側周縁の形状と略沿うようになっている。この左支持部23bの下端周辺部は、左支持部下縁部33bとなっている。
そして、左右支持部23a、23bと支持部台前身頃部29とは、右支持部下縁部33a又は左支持部下縁部33bをそれぞれ介して縫合され連結されている。
【0029】
また、図4を参照すると、右支持部下縁部33a及び左支持部下縁部33bとは、仮想中心線CLの近傍で、互いに交差しており、クロス部28となっている。
そして、支持部台前身頃部29は、左脇支持部32bと左支持部下縁部33bの間の領域と、右脇支持部32aと右支持部下縁部33aの間の領域、及び、クロス部28とアンダーバスト部20で囲まれた領域とを有するようになっている。
また、支持部台前身頃部29の内で、アンダーバスト部20で囲まれた領域である支持部台前中心部29aは、左右支持部23a、23bが左右どちらか一方にずれるのを防止するために、例えば、マーキゼット等の伸縮性の少ない材質で構成されている。
また、この支持部台前中心部29a以外の支持部台前身頃部29は、伸縮性のある材料が好ましい。また、同様に、左右前身頃14a、14b及び左右後身頃14c、14dも、伸縮性の良い材料が好ましい。従って、例えば、これらは、いわゆるサテンネット、ストレッチサテン、パワーネット等の伸縮性の良い材料が好ましい。
そして、左右カップ部11a、11bと縫合され一体化されている左右前身頃14a、14bは、左右支持部23a、23bと縫合され一体化されている支持部台前身頃部29と重なるように配置されている。
【0030】
また、図5を参照すると、この支持台前身頃部29の係合台座部16には、仮想中心CLを挟んで左右に、それぞれ1つずつ係合凹部16aが設けられている。そして、それぞれの係合凹部16aは、右開閉部15aと左開閉部15bにそれぞれ備わる係合凸部16bと係合させる。すると、左右前身頃14a、14bと支持部台前身頃部29とは、固定され、一体化される。この係合凹部16aと係合凸部16bは、例えば、プラスチック製のホック等で構成されている。
つまり、この授乳ブラジャー10は、左右カップ部11a、11bと左右前身頃14a、14bの内側には、左右支持部23a、23bと支持部台前身頃部29が配置されるようになっている。そして、装着者Mがこの授乳ブラジャー10を着用すると、装着者Mの正面側は、二重となっている部分を有するようになる(図2、図4、図6参照)。
【0031】
また、図4を参照すると、左右前身頃14a、14bと支持部台前身頃部29は、それぞれ右脇支持部32a及び左脇支持部32bで縫合され一体化されている。以下、右脇支持部32aと左脇支持部32bをまとめて左右脇支持部32a、32bともいう。
この左右脇支持部32a、32bは、装着者Mが着用した際に、装着者Mの両脇線上の胴体部分に配置されるようになっている。そして、左右脇支持部32a、32bは、装着者Mの乳房M2を左右カップ部11a、11b内に収める為に、両脇線上の胴体部分でしっかりと押さえ、左右にずれないようにしている。そのため、この左右脇支持部32a、32bは、ある程度形状が保持できるように硬く弾力性のある材料が望ましく、例えば、平ボーン等である。
本実施形態の授乳ブラジャー10は、以上のように構成されている。
【0032】
ここで、図2を参照しつつ更に説明する。装着者Mがこの授乳ブラジャー10を着用すると、上述したように各ワイヤー26の各ワイヤー端部22は装着者Mの左右の乳房M2の間まで配置されていない。従って、左右のワイヤー26のワイヤー端部22は、前中心部を空けるように配置されている。
このため、装着者Mがこの授乳ブラジャー10を着用した際に、ワイヤー26の端部が左右乳房M2の間の皮膚に当たらず、痛くならず、着け心地の良いものとなっている。
【0033】
授乳の際には、装着者Mは、授乳ブラジャー10の左右カップ部11a、11bのどちらかを開き、乳房M2を露出させる必要がある。
そのため、装着者Mは、左右カップ部11a、11bの左右開閉部15a、15bのどちらかを摘まみ、いずれか一方を係合台座部16から解除して、左右カップ部11a、11bのどちらか一方を開き、乳房M2を露出させる。
この場合、上述したように、各ワイヤー26が前中心部を空けるようにされているので、装着者Mの指が左右開閉部15a、15bを摘みやすく、係合台座部16から解除し易いため、装着者Mは片手で容易に操作ができるので、使い勝手の良いものとなっている。
【0034】
また、左右支持部23a、23bは、乳房M2の下側の湾曲形状に合うような立体的な形状となっている。このため、左右カップ部11a、11bを開いた場合には、左右支持部23a、23bが、装着者Mの左右の乳房M2をそれぞれ下側から支えることができるようになっている。
つまり、右支持部23aの右支持部上縁部34aは上側に凸のR形状となっており、右支持部下縁部33aは乳房M2の下側の周縁形状に沿うような形状となっている。そして、右支持部下縁部33aに沿うようにワイヤー26が配置されている。
また、右支持部23aは、右支持上縁部34aと右支持下縁部33aとが交わる係合台座部16と連結部25の近傍の二点を起点として、右支持上縁部34aと右支持下縁部33aとで形成される曲面で乳房M2を支えるようになっている。
同様に、左支持部23bは、右支持部23aと左右対称となるような形状となっており、左支持上縁部34bと左支持下縁部33bとが交わる係合台座部16と連結部25の近傍の二点を起点として、左支持上縁部34bと左支持下縁部33bとで形成される曲面で乳房M2を支えるようになっているとなっている。
【0035】
また、図6で示すように、装着者Mが授乳ブラジャー10を装着している場合において、この授乳ブラジャー10と装着者Mとの関係を横から観察すると、左右支持部23a、23bは、支持部台前身頃部29の位置から前側である装着者Mの乳房M2の膨らみの出ている側にやや傾斜して、乳房M2を下から支えるようになっている。そして、上述したように、右支持部上縁部34a及び左支持上縁部34bは、上側に凸のR形状となっているので、左右支持部23a、23bによって各乳房M2を下側から支える面積が大きくなっている。このため、左右支持部23a、23bは、乳房M2の下側の形状に沿いつつ、大きい面積で下側から乳房M2を確実に支えることが可能となっている(図2、図5参照)。また、右支持部上縁部34a及び左支持上縁部34bは、そのR形状によって、乳房M2の乳首M1を開口部18a、18bに確実に誘導することが可能な誘導部の一例となっている。
【0036】
そして、左右カップ部11a、11bが、それぞれの乳房M2を覆っている際には、この左右支持部23a、23bは、左右の乳房M2のそれぞれの乳首M1部分を左右カップ部11a、11bの内側にそれぞれ形成されている開口部18a、18bまで、ガイドするようになっている。このため、乳首M1部分は、開口部18a、18bから露出される配置されている母乳パッド21と当接されるようになっている。
【0037】
また、図2で示すように、この左右支持部23a、23bによって、授乳の際に、左右カップ部11a、11bを開いても乳首M1部分の位置がずれないので、装着者Mは、片手で授乳をし易く、使い勝手の良いものとなっている。
従って、この授乳ブラジャー10は、通常のブラジャーの機能である乳房M2の保護と形状保持性等を保ちつつ、授乳の際には簡単に乳房M2を露出することができる。そして、左右カップ部11a、11bで乳房M2が覆われている状態では、乳首M1部分が確実に母乳パッド21と当接され、母乳は、母乳パッド21にスムーズに吸収される。
【0038】
しかも、この左右支持部23a、23bは、装着者Mの乳房M2等との当たりをソフトにするために、柔らかい材質で構成されている。
例えば、左右支持部23a、23bは、クッション性の良い不織布等を布地で挟んだものが使用されている。そして、左右支持部23a、23bの装着者Mの乳房M2と接触する側である内側は、肌触りの良い材質である綿天竺や綿トリコット等の布地が使用されることが好ましい。また、左右支持部23a、23bの母乳パッド21側には、母乳パッド21に吸収された母乳が滲入するのを防止するため、撥水性を有する材質や防水性処理を施されている布地等が使用されることが好ましい。
このように、左右支持部23a、23bは、肌触りの良い布地と撥水性の良い布地で、クッション性の良い不織布等を挟んだ3層構造のものとなっていることが好ましい。
このため、左右支持部23a、23bは、柔らかい材質のものを使用しつつも、装着者Mの乳房M2は確実に支えることができる構成となっている。
従って、左右カップ部11a、11bのどちらかを開いて乳房M2を露出させた授乳の際においても、乳首M1の位置がずれることないので、装着者Mは乳幼児に母乳を与え易くなっている。
【0039】
ここで、図5を用いて授乳ブラジャー10に母乳パッド21を配置している状態等と母乳パッド21を取付ける方法について更に説明する。
図5の表面(開)は、上述したように、図1及び図2の授乳ブラジャー10の左右カップ部11a、11bが左右開閉部15a、15bの各係合凸部16bとそれぞれに対応するように係合台座部16に設けられた係合凹部16aとの係合を解除して、左右開閉部15a、15bのそれぞれをめくり、観音開き状に開いた状態の展開図である。
図5で示すように、これらの母乳パッド21は、左右カップ部11a、11bの内側にそれぞれ配置されるようになっている。そして、左右カップ部11a、11bの内側には、左右カップ部11a、11bの左右カップ周縁部17a、17bにそれぞれ沿うように袋状の母乳パッド保持部19a、19bが形成されており、これらの母乳パッド21はこの母乳パッド保持部19a、19bによって、左右カップ部11a、11b内に保持するように配置されている。母乳パッド21の少なくとも一部、つまり、母乳パッド21の周縁が、母乳パッド保持部19a、19bで覆われるようになっている。そして、母乳パッド保持部19a、19bにはそれぞれ開口部18a、18bが形成されており、これらの母乳パッド21はこの開口部18a、18bからそれぞれ露出するようになっている。
【0040】
つまり、各母乳パッド21が、この左右カップ部11a、11bとその左右カップ周縁部17a、17bに沿うように形成されている母乳パッド保持部19a、19bとの間に収容されて、左右カップ部11a、11bに配置されている状態となっている。
ここでは、これらの母乳パッド保持部19a、19bは、左右カップ周縁部17a、17bで左右カップ部11a、11bと縫合され一体となっている。そして、これらの母乳パッド保持部19a、19bは、上下で分離されており、上側の母乳パッド保持部19a、19bが下側の母乳パッド保持部19a、19bと左右開閉部15a、15b及び連結部25の付近で一部分を重なり合うようにして縫合され、袋状とされている。
【0041】
次に、装着者Mが、この授乳ブラジャー10に母乳パッド21を取付ける方法の一例を説明する。左右カップ部11a、11bにそれぞれ母乳パッド21を配置して、母乳パッド保持部19a、19bに収容する際には、装着者Mは、まず、左右カップ部11a、11bのどちらか一方を開く。
つまり、装着者Mは、左右カップ部11a、11bの左右開閉部15a、15bのどちらか一方の係合を解除する。そして、左右カップ部11a、11bのどちらか一方を開く。ここでは、例えば、左カップ部11bを開いた場合を説明する。
装着者Mは、開いた方のカップである左カップ部11bの上下どちらか一方の母乳パッド保持部19bを片手で広げる。装着者Mは、下側の母乳パッド保持部19bをめくり広げる。そして、装着者Mは、もう一方の手で、母乳パッド21の周囲の一部を左カップ部11bと下側の母乳パッド保持部19bの間に挿入する。次に、装着者Mは、上側の母乳パッド保持部19bを広げて母乳パッド21の残りの周囲を挿入し、挿入した部分を母乳パッド保持部19bで覆う。そして、左カップ部11bの左開閉部15bの係合凸部16bと係合台座部16の係合凹部16aとを合わせて、左カップ部11bを閉じて元の状態に戻す。一方、右カップ部11aにも同様に母乳パッド21を配置して、保持する。
【0042】
このように、左右カップ部11a、11bの内側にそれぞれ母乳パッド21を配置することができる。
また、この母乳パッド21の裏側には、固定手段としての両面テープ31が配置されている。このため、母乳パッド21は、左右カップ部11a、11b内に両面テープ31で貼り付けることにより、左右カップ部11a、11b内における各母乳パッド21の位置決めが容易に行える。
ここで、母乳パッド21の裏側とは、乳房M2の乳首M1との当接面とは反対側であり、左右カップ部11a、11bの内側の面と対面する側である。
【0043】
つまり、母乳パッド21は、左右カップ部11a、11b内に両面テープ31で貼り付けて固定され、その周囲を左右カップ部11a、11bと母乳パッド保持部19a、19bの間に挿入され、母乳パッド保持部19a、19bでその周囲を覆われるように配置される。すると、各母乳パッド21の中心部領域が各母乳パッド保持部19a、19bの各開口部18a、18bから、露出されるようになる。
【0044】
このため、装着者Mがこの授乳ブラジャー10を着用すると、各開口部18a、18bから露出する各母乳パッド21に左右それぞれの乳首M1部分が確実に接するようになる。従って、母乳パッド21への母乳の吸収が、スムーズに行われ、確実に吸収される。
また、各母乳パッド21は、各母乳パッド保持部19a、19bにより、その周囲が覆われて保持されている。このため、長時間の使用であっても、装着者Mの動きに対応し、母乳パッド21が、ずれることを低減できる。
【0045】
ここで、右カップ部11a及び左カップ部11bは、左右の乳房をそれぞれ覆うための左右のカップ部の一例となっている。
また、右前身頃14a、左前身頃14b、支持台前身頃部29、右後身頃14c、左後身頃14dは、装着時(着用時)に装着者の胸囲部分に配置される身頃部の一例となっている。
そして、右ストラップ部12aと左ストラップ部12bは、肩紐部の一例となっており、左右カップ部11a、11bと身頃部の背面側である左右後身頃14c、14dに連結されている。
また、各母乳パッド保持部19a、19bは、保持部の一例となっており、このそれぞれの母乳パッド保持部19a、19bにより左右カップ部の内側に母乳を吸収する為の母乳パッド21がそれぞれ保持できるようになっている。
そして、これらの母乳パッド保持部19a、19bは(保持部の一例)は、装着時に少なくとも乳房M2の中心領域である乳首M1部分が母乳パッド21と当接するために、それぞれの母乳パッド21を露出させる開口部18a、18bを有している。
【0046】
このため、母乳パッド保持部19a、19b(保持部の一例)により母乳パッド21が保持されるので、ずれてしまうことを低減でき、また、開口部18a、18bから露出した母乳パッド21が装着者Mの乳首M1領域に当接されるので、母乳パッド21への母乳の吸収がスムーズとなる。
【0047】
また、これらの母乳パッド保持部19a、19b(保持部の一例)は、左右カップ部11a、11bの周辺である左右カップ周縁部17a、17bと略沿うように配置されている。
このため、母乳パッド21の周縁の動きが規制されるので、保持性はさらに良好となる。装着者Mの動きに対して母乳パッド21のずれが起こること自体を効果的に防止できる。また、装着者Mは、乳幼児への授乳の際に、乳幼児を片手で支え、もう一方の手で、授乳ブラジャー10の左右カップ部11a、11bのどちらか一方から乳房M2を露出する。この際にも、母乳パッド21は、母乳パッド保持部19a、19bによって保持されているので、片手で操作しても母乳パッド21が外れたり、ずれたりしてしまうことを低減できる。このため、使い勝手の良いものとなっている。
【0048】
しかも、母乳パッド保持部19a、19bと乳房M2の間には、装着した際に装着者Mの乳房M2を下側から支えて乳首M1部分を開口部18a、18bに誘導するための誘導部の一例である左右支持部23a、23bが配置されている。
この左右支持部23a、23bは、装着者Mの乳房M2を下側から支えて、乳首M1部分を左右カップ部11a、11bの母乳パッド保持部19a、19bに形成されている開口部18a、18bに導くようなガイド部材となり、確実に乳首M1部分は、開口部18a、18bから露出した母乳パッド21に当接できる。
【0049】
従って、装着者Mが、授乳ブラジャー10を装着して、左右カップ部11a、11bで左右の乳房M2を覆っている状態においては、装着者Mの乳首M1部分は、開口部18a、18bを介して、左右カップ部11a、11bの内側に配置されている母乳パッド21と当接される。このため、母乳は、母乳パッド21にスムーズに吸収される。
また、装着者Mが、授乳の際に左右カップ部11a、11bのいずれか一方を開いた場合においては、装着者Mの乳房M2は、左右支持部23a、23bによって、下側から支えられる。このため、乳首M1部分が下がってしまうことが無く、装着者Mは、乳幼児に対し授乳をし易い。
【0050】
そして、装着者Mの正面側であって、左右カップ部11a、11bの仮想中心線CL近傍の略中心部には、開閉可能な係合部の一例である係合凹部16aを有する左右開閉部15a、15bが設けられており、左右カップ部11a、11bは装着者Mの両脇方向に開くようになっている。つまり、左右カップ部11a、11bは、左右開閉部15a、15bで開くと、観音開き上に開くことができ、装着者Mは片手で容易に乳房M1を露出できる。
【0051】
また、母乳パッド保持部19a、19bの母乳パッド21との当接側は、撥水性を有する材料で構成されている。このため、母乳パッド21に吸収された母乳は、母乳パッド保持部19a、19b側に染みてきても保持部側まで濡れて不快な感じを与えることもない。従って、例えば、装着者Mが、長時間、母乳パッド21を交換できない環境であっても、母乳パッド保持部19a、19b側まで濡れてしまうことが無く、装着者Mは不快感を与えない。また、母乳パッド交換時に当接部が濡れていて不快な思いをすることもない。
【0052】
肩紐部の一例である左右ストラップ部12a、12bは、左右のカップ部の一例である左右カップ部11a、11bと身頃部の背面側の一例である右後身頃14c、左後身頃14dとにそれぞれ着脱可能に連結されている。
このため、装着者Mは、左右カップ部11a、11bと左右後身頃14c、14dの両方から左右ストラップ部12a、12bを取り外すと、いわゆるストラップレスの授乳ブラジャー10として使用できる。このため、装着者Mにとって便利である。
【0053】
(第2の実施形態)
図7乃至図9は、第2の実施形態に係る授乳ブラジャー10aの一例となっている。
図7は、装着者Mが、授乳ブラジャー10aを着用した状態を示す概略図であり、図8は、装着者Mが授乳するために、一方の乳房を露出している状態の一例を示す概略図となっている。図9は、授乳ブラジャー10aを裏側からみた場合の展開図の一部となっており、右カップ部101aの裏側、つまり、着用に際しては、装着者Mの身体側と接する側となる一部の概略拡大図となっている。
【0054】
この授乳ブラジャー10aは、第1の実施形態と同様に、左右後身頃14c,14dは、図示はしないものの、ループ27a、係止部27b及び長さ調整部30を有しており、長さ調整可能となっている。また、各部の材質等は、第1の実施形態と同様となっている。そして、第1の実施形態と同様の構成は、同一の符号を付しており、説明は、省略し、ここでは、異なる点を中心に説明する。
【0055】
第2の実施形態に係る授乳ブラジャー10aが、第1の実施形態に係る授乳ブラジャー10と異なる点は、左右支持部23a、23bを有していない点と、前身頃部104は、仮想中心線CLで左右に分かれることなく一体となっており、二重とはなっていない点にある(図7参照)。
また、右カップ部101a、左カップ部101b(以下、左右カップ部101a、101bともいう)と右ストラップ部102a、左ストラップ部102b(以下、左右ストラップ部102a、102bともいう)の連結部分には、それぞれ開閉式留具204が設けられており、左右カップ部101a、101bは、この開閉式留具204部分で、左右ストラップ部102a、102bに着脱可能に連結されている。そして、授乳の際に、右カップ部101a又は左カップ部101bが、開閉式留具204で開放され、開放された左右カップ部101a、101bは、下側にめくれ、アンダーバスト側20に倒れるようになっている点にある(図8参照)。
【0056】
また、左右ストラップ部102a、102bは、左右後身頃14c、14dとは着脱可能に連結されておらず、取外しが出来ないようになっている(図9参照)。
しかし、各母乳パッド保持部109a、109bが、左右カップ部101a、101bの左右カップ周縁部107a、107bに略沿うように設けられている点と、各開口部18a、18bを有する点は同様となっている。従って、それぞれの母乳パッド21が、この各開口部18a、18bから装着者Mの乳房M2の乳首M1部分と当接するように露出されている点は同様となっている(図8及び図9参照)。
【0057】
図7を参照すると、第2の実施形態に係る授乳ブラジャー10aの、右カップ部101a及び左カップ部101bは、左右の乳房M2をそれぞれ覆うように設けられている。そして、この右カップ部101aは、前身頃104と右カップ周縁部107aの下側と縫合され、左カップ部101bは、左カップ周縁部107bの下側と縫合され、連結されている。
この右カップ周縁部107a及び左カップ周縁部107bの下側は、乳房M2の下側周縁に沿うようになっており、それぞれワイヤー206(図9参照)が配置されている。
そして、図9を参照すると、このワイヤー206は、右カップ周縁部107aの下側及び左カップ周縁部107bの下側と前身頃104とが縫合されて連結されている部分に沿って、それぞれ配置されており、仮想中心CLで左右対称となるように配置されている。
そして、左右ストラップ部102a、102bにそれぞれ備わっている開閉式留具204によって、左右カップ部101a、101bが着脱可能に連結されている。
つまり、右ストラップ部102aに設けられた開閉式留具204によって、右カップ部101aは、着脱可能にされており、同様に、左ストラップ部102bに設けられた開閉式留具204によって、左カップ部101bは、着脱可能にされている。
【0058】
そして、例えば、図9を参照すると、この右ストラップ部102aの一端側は、右後身頃14cに対して、縫合されており、その他端側は、右カップ部101aの内側において、右カップ周縁部107aの下側の部分で縫合されている。同様に、この左ストラップ部102bの一端側は、左後身頃14dに対して、縫合されており、その他端側は、左カップ部101bの内側において、左カップ周縁部107bの下側の部分で縫合されている。
【0059】
そして、例えば、図8で示すように、授乳の際には、片側の乳房を露出させる為に、開閉式留具204から、右カップ部101aの上部を外すと、右カップ部101aは、下側にめくれるようになっている。そして、乳房M2が露出され、授乳することが出来るようになっている。左カップ部101aも同様に、閉式留具204から左カップ部101bの上部を外すと、左カップ部101bは、下側にめくれて、乳房が露出できるようになっている。
【0060】
また、図8及び図9を参照すると、右カップ部101aの内側には、母乳パッド保持部109aが形成されている。同様に、左カップ部101bの内側には、母乳パッド保持部109bが形成されている。
従って、この授乳ブラジャー10aに母乳パッド21を取付けると、母乳パッド21が、母乳パッド保持部109a、109bで保持され、母乳パッド21の周縁が、母乳パッド保持部109a、109bで覆われる。このため、装着者Mが、授乳ブラジャー10aに母乳パッド21を取り付けて着用している際に、母乳パッド21の周縁が、母乳パッド保持部109a、109bで覆われ、母乳パッド21の周囲の動きが規制され、保持性はさらに良好となり、母乳パッド21がずれることが無い。このため、母乳パッド21で、母乳の吸収がスムーズに行われる。
【0061】
母乳パッド保持部109a、109bの開口部18a、18bから母乳パッド21の中央部が露出されるようになっている。このため、開口部18a、18bから露出する母乳パッド21に乳房M2の乳首M1部分が容易に当たるので、母乳を母乳パッド21にスムーズに吸収でき、母乳パッド21で吸収されないということを低減できる。
そして、この授乳ブラジャー10aは、授乳の際に、左右カップ部101a、101bを開閉式留具204から外し、下側にめくるようにして、乳房を露出するが、この場合でも、母乳パッド保持部109a、109bがあるので母乳パッド21が下に落ちたりすることが無い。
このため、母乳パッド21を取り付けてもずれたり、落ちたりすることが無く、また、片手で容易に授乳することができる。
【0062】
ところで、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲で種々の変更を行うことができる。例えば、第1の実施形態と第2の実施形態の左右カップ部を相互に変更してもよい。つまり、上記実施形態の各構成は、その一部を省略し、あるいは上記と異なるように任意に組み合わせることもできる。
以上、説明したように、本発明によれば、開口部から露出される母乳パッドが装着者の乳首領域に当接され、母乳パッドが保持部により保持されるので、使用の際にずれてしまうことを低減できるようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の授乳ブラジャーの好ましい実施の形態の装着者が装着している状態を示す概略説明図である。
【図2】図1の授乳ブラジャーの授乳可能の状態を示す概略説明図である。
【図3】図1の授乳ブラジャーの全体を説明するための表側の概略展開図である。
【図4】図1の授乳ブラジャーの全体を説明するための裏側の概略展開図である。
【図5】図1の授乳ブラジャーの全体を説明するための表側の概略展開図である。
【図6】図1の授乳ブラジャーの左右カップ部等の構造を説明するための概略断面図である。
【図7】本発明の別の授乳ブラジャーの好ましい実施の形態の装着者が装着している状態を示す概略説明図である。
【図8】図7の授乳ブラジャーの授乳可能の状態を示す概略説明図である。
【図9】図7の授乳ブラジャーの左右カップ部を説明するための裏側を示す一部概略図である。
【符号の説明】
【0064】
10、10a・・・授乳ブラジャー、11a、101a・・・右カップ部、11b、101b・・・左カップ部、12a、102a・・・右ストラップ部、12b、102b・・・左ストラップ部、13・・・調整部、14a・・・右前身頃、14b・・・左前身頃、14c・・・右後身頃、14d・・・左後身頃、15a・・・右開閉部、15b・・・左開閉部、16a・・・係合凹部、16b・・・係合凸部、17a、107a・・・右カップ周縁部、17b,107b・・・左カップ周縁部、18a、18b・・・開口部、19a、19b、109a、109b・・・母乳パッド保持部、20・・・アンダーバスト部、21・・・母乳パッド、22a・・・右ワイヤー端部、22b・・・左ワイヤー端部、23a・・・右支持部、23b・・・左支持部、24・・・取外し部、25・・・連結部、26、206・・・ワイヤー、27a・・・ループ、27b・・・係止部、28・・・クロス部、29・・・支持部台前身頃部、104・・・前身頃、29a・・・支持部台前中心部、30・・・長さ調整部、31・・・両面テープ、32a・・・右脇支持部、32b・・・左脇支持部、33a・・・右支持部下縁部、33b・・・左支持部下縁部、34a・・・右支持部上縁部、34b・・・左支持部上縁部、204・・・開閉式留具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の乳房をそれぞれ覆うための左右のカップ部と、
前記左右の前記カップ部と連結されており装着時に装着者の胸囲部分に配置される身頃部と、
前記左右の前記カップ部と前記身頃部の背面側に連結されている肩紐部と、を有しており、
前記左右の前記カップ部の内側には母乳を吸収する為の母乳吸収用パッドの少なくとも一部を覆い保持するための保持部が形成されており、
前記保持部は、装着時に少なくとも前記乳房の乳首部分を前記母乳吸収用パッドに当接するように前記母乳吸収用パッドを露出するための開口部を有すること、
を特徴とする授乳用ブラジャー。
【請求項2】
前記保持部は、前記左右の前記カップ部の周縁部分に略沿うように形成されていること、を特徴とする請求項1に記載の授乳用ブラジャー。
【請求項3】
前記保持部と前記乳房の間には、装着した際に装着者の前記乳房を下側から支えて前記乳首部分を前記開口部に誘導するための誘導部が配置されており、
前記装着者の正面側には、前記乳房が外部に露出するように前記カップ部を開閉可能とする係合部が設けられている、
ことを特徴とする請求項2に記載の授乳用ブラジャー。
【請求項4】
少なくとも前記保持部の前記母乳吸収用パッドとの当接側は、撥水性を有する材料で構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の授乳用ブラジャー。
【請求項5】
前記肩紐部は、前記左右の前記カップ部と前記身頃部の前記背面側にそれぞれ着脱可能に連結されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の授乳用ブラジャー。
【請求項6】
前記左右の前記カップ部は、前記肩紐部に着脱可能に連結されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の授乳用ブラジャー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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