説明

排出シート格納装置およびリライタブルシート洗浄機

【課題】シート表面とシート先端との間の摩擦が大きいシートを多量に排出する場合であっても、排出されたシートを整然と積載する。
【解決手段】排出中のリライタブルシート400が大きく撓む前に、そのシートにおける排出方向と垂直な方向の一方の縁端部近傍を排出ガイド32の上部に滑らせ、シート全体が排出されるまで支持し、それからスタッカ33に落下させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば洗浄を終えて排出されたシートなど、排出されたシートを格納する排出シート格納装置およびリライタブルシート洗浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、例えばリライタブルシート洗浄機など、所定のシートに所定の処理を施した後その処理部分から排出し、排出されたシートを格納する各種の装置がある。
【0003】
また、用紙搬送処理装置として、プリントされて排出された用紙を案内する排出ガイド部を備え、その排出ガイドの取り付け方向と位置を付け替えることにより、記録面を下面にする状態と、非記録面を下面にする状態とを切り換えるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−151593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、リライタブルシートのようにシートにコシがあまり無い場合、図7に示すように、排出されたシートが垂れてしまい、排出ローラによる排出中にシート先端がスタッカに接触してしまう。このように、排出されたシートがスタッカにない場合であれば、スタッカは金属であるのでシートはスタッカ表面を滑り、スタッカに正常に収納される。
【0006】
ここで、2枚目以降のシート排出では、上述のように排出ローラによる排出中にシート先端がスタッカ上のシートに接触してしまうと、図8に示すように、シート表面とシート先端との間の摩擦が大きいため、排出されていくシートがスタッカ上に収納されているシート表面を滑らず、斜めに収納されてしまう虞があった。
こうしてシートが斜めに収納されてしまうと、その後に排出されていくシートも順次斜めに収納されていき、やがてスタッカの外にあふれてしまう問題があった。
【0007】
また、上述した特許文献1のものは、排出ガイドを付け替えることにより用紙の収納方向を切り換えるものであり、排出されたシートをより整然と積載させることに付いてまで考慮されたものではなかった。
【0008】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、シート表面とシート先端との間の摩擦が大きいシートを多量に排出する場合であっても、排出されたシートを整然と積載することができる排出シート格納装置およびリライタブルシート洗浄機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するために、本発明に係る排出シート格納装置は、排出手段により排出されたシートを格納する排出シート格納装置であって、排出手段により排出中のシートを、該シートの排出方向と垂直な方向における一方の縁端部近傍で支持するガイド手段を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係るリライタブルシート洗浄機は、上述した本発明に係る排出シート格納装置と、シート洗浄部と、を備え、上記したシートはリライタブルシートであり、上記の排出シート格納装置は、シート洗浄部により洗浄されたリライタブルシートを格納することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明によれば、シート表面とシート先端との間の摩擦が大きいシートを多量に排出する場合であっても、排出されたシートを整然と積載することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態としてのリライタブルシート洗浄機の構成例を示す図である。
【図2】排出シート格納部300の要部構成を説明する側面図である。
【図3】排出シート格納部300の要部構成を説明する平面図である。
【図4】排出シート格納部300の要部構成を説明する正面図である。
【図5】排出ガイド32の構成例を示す斜視図である。
【図6】排出ガイド32の他の構成例を示す斜視図である。
【図7】従来の排出シート格納部による1枚目のシート排出例を示す図である。
【図8】従来の排出シート格納部によるシート排出での問題発生例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明に係る排出シート格納装置をリライタブルシート洗浄機に適用した一実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0014】
まず、本実施形態の概略について説明する。
本実施形態は、排出されたリライタブルシートが垂れる前にシート片側に設けた排出ガイドによりすくい上げ、シート全体が排出ローラから排出されてから自重により落下させるようにしたものである。
このため、排出中のリライタブルシートが、先に排出されて積載されているリライタブルシート表面に接触することがなく、排出ローラによる排出動作が済んだ後で落下するため、シートが斜めに収納されてしまうことなく、整然と収納することができる。
【0015】
図1は、本発明の実施形態としてのリライタブルシート洗浄機の構成例を示す図である。図1に示すように、本実施形態としてのリライタブルシート洗浄機は、リライタブルシート400を供給するシート供給部100と、シート洗浄部200と、排出シート格納部300とを備えて構成される。
【0016】
シート洗浄部200は、シート供給部100から供給されたリライタブルシート400を、各種の洗浄用ローラ等を用いて洗浄する。このシート供給部100、シート洗浄部200の構成については公知のものと同様であってよく、説明を省略する。
【0017】
排出シート格納部300は、シート洗浄部200から排出されたリライタブルシート400を格納する。この排出シート格納部300の構成について、以下に図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
図2〜図4に、排出シート格納部300の要部構成と、リライタブルシート400の排出状態例を示す。図2は側面図、図3は平面図、図4は正面図である。
【0019】
本実施形態による排出シート格納部300では、図2に示すように、排出ローラ(排出手段)31から排出されたリライタブルシート400を一時的に支持する排出ガイド32が、壁面34に固定されて設けられている。また、排出ローラ(排出手段)31から排出されたリライタブルシート400を積載させるスタッカ(積載手段)33が、壁面34の間に、排出ローラ31による排出位置よりも下方の高さで設けられる。
【0020】
排出ガイド32の壁面34における高さは、排出ローラ31による排出位置からリライタブルシート400が排出され、そのシートが撓んで先端が下方に垂れてきても、そのシート先端を排出ガイド32の上部に滑らせていくことができる高さに設置されている。
【0021】
このように、本実施形態の排出シート格納部300は、排出中のリライタブルシート400が大きく撓む前に、そのシートにおける排出方向と垂直な方向の一方の縁端部近傍を排出ガイド32の上部に滑らせ、シート全体が排出されるまで支持し、それからスタッカ33に落下させる構成となっている。
【0022】
図5に、排出ガイド32の例を示す。排出ガイド32は、排出中のリライタブルシート400に対して、ガイド面321により一時的に上に載せて支持する。
【0023】
排出ローラ31は、上下セットのローラから構成され、シート洗浄部200で洗浄されたリライタブルシートを上下から押圧し、上下それぞれのローラが逆方向に回転することにより、押圧しているリライタブルシート400を排出方向へと排出する。
【0024】
排出ローラ31は、図3に示すように、長方形のリライタブルシート400を、シートの長手方向に排出する。
【0025】
シート洗浄部200が、洗浄したリライタブルシート400をこのように長手方向に排出する構成であるため、シート洗浄時に洗浄液につけておく時間を長く取れるなど、洗浄作業をより確実に行うことができる。
また、洗浄作業のための各種部品をシートの短手方向の幅(短辺の長さ)に合わせて設計できるため、シート洗浄部200やリライタブルシート洗浄機全体としてコストダウン、および省スペース化することができる。
【0026】
図3に示すように、リライタブルシート400が排出ローラ31の回転により長手方向に排出されている間、排出シート格納部300は、2組の排出ローラ31と、排出ガイド32のガイド面321との3点で支持する。
【0027】
本実施形態で格納対象とするリライタブルシート400は、図3に示すように、85mm×200mmの大きさであるため、排出されたリライタブルシート400を格納するスタッカ33における排出方向と垂直な方向の両側に設けられた各壁面34の間の距離は89mmとして構成されている。
【0028】
こうしたリライタブルシート400の大きさに対して、図5に示す排出ガイド32の排出方向と垂直な方向における水平面での幅Xは、各壁面34の間の距離と、リライタブルシート400の短辺の長さとの差よりも長いことが必要である。図3に示す寸法例に合わせる場合、6〜7mmが最適である。
【0029】
図5の幅Xが6mm未満であると、排出されたリライタブルシート400が熱で反っている場合、排出ガイド32のガイド面321に乗らずにそのままスタッカ33に落ちてしまう問題があった。
【0030】
8mm以上であると、例えば数百枚のシートをシート洗浄部200で洗浄した場合など、スタッカ33に積載されているシート枚数が増えている場合に、先に落ちる方のシート端がスタッカ33上に積載されたシート表面に当たってしまい、排出ガイド32から落ちない問題があった。
【0031】
図5の幅Xを6〜7mmとすることにより、上述のような問題を発生させることなく、リライタブルシート400の排出中に縁端部近傍を確実に支持し、排出後に排出ガイド32の反対側の端部から確実に落下させることができる。
【0032】
また、排出ガイド32の排出方向における水平面での奥行きYは、リライタブルシート400の長辺の長さの半分よりも長いことが好ましく、壁面34からはみ出さない範囲でなるべく長い奥行きを確保できることがより好ましい。図3の例では、奥行きYを110mmとしている。
【0033】
リライタブルシート400の全体が排出ローラ31により排出されると、図4に示すように、排出ガイド32により一端を支持された状態からシートの自重により下方に落下する。
この時、排出されるリライタブルシート400における排出方向と垂直な方向について、排出ガイド32により支持されていない側は撓んで下方に垂れているので先に落下していき、排出ガイド32により支持されている側はその後から落下していく。
【0034】
このため、排出ローラ31から離れたリライタブルシート400は、長方形のシートにおける短手方向からスタッカ33に落下することとなる。
【0035】
また、水平面に対して垂直な2つの壁面34の間が、上述のようにリライタブルシート400の短辺の長さよりもわずかに長いだけの距離となるよう配置され、その2つの壁面34の間にスタッカ33が配置されている。このため、短手方向から落下したリライタブルシート400は、先に落下していくシート端部が壁面34に沿って落下していき、スタッカ33上に整然と順次積載されていくこととなる。
【0036】
以上のように、上述した実施形態によれば、排出ガイド32がシート排出中に、シート片側の縁端部近傍を支持することにより、多量のシートを排出する場合であっても、排出されたリライタブルシート400をスタッカ33上に整然と収納できる。
【0037】
すなわち、排出されたリライタブルシート400が撓んで長手方向に垂れないように、排出方向と垂直な方向におけるシート片側を支える排出ガイド32を備えることにより、排出ローラ31による排出動作中、排出ガイド32がそのシート片側の縁端部近傍をガイド面321により支持する。
こうしてシート全体が排出ローラ31から排出されてから下方に落下するので、排出ローラ31による排出動作中に、すでに排出されたシート表面に接触して斜めに積載されたり、シートがスタッカ33の外部に滑ってあふれることがない。
【0038】
また、排出ガイド32の排出方向と垂直な方向における水平面での幅Xが上述のように6〜7mmとされ、かつ、排出方向における水平面での奥行きYがリライタブルシート400の長辺の長さの半分よりも長い110mmとされている。このため、排出されたリライタブルシート400が排出ガイド32の位置から落下中に反転したり、斜めに収納されたりすることがない。
【0039】
また、シート洗浄部200としては、上述のように、洗浄されたリライタブルシート400をシートの長手方向に排出した方が低コスト、省スペースかつ、シートの洗浄をより確実に行うことができる。
このため、リライタブルシート400を長手方向に排出させ、シート長辺側の一辺の縁端部近傍を排出ガイド32で排出動作中に支持しておくことにより、シート全体が排出された後、排出されたリライタブルシート400をその排出ガイド32に支持されていた位置から撓み量の小さい短手方向に落下させる。
【0040】
このため、コシの弱いシートを多量に排出する場合であっても、スタッカ33に整然と順次積載していくことができる。
【0041】
ユーザは、リライタブルシート洗浄機に、様々な用途で用いられた数百枚のリライタブルシート400を一度にセットし、順次洗浄させる場合もある。こうした場合であっても、シート洗浄部200から排出されたリライタブルシート400を、スタッカ33に整然と積載していくことができる。
【0042】
また、上述のように、シート長辺側の一辺の縁端部近傍を排出ガイド32で支持したリライタブルシート400を短手方向に落下させ、スタッカ33上に積載するため、排出ローラ31による排出位置の高さから、スタッカ33の高さまでの高低差がある場合であっても、シートの撓みによる影響を受けることなく、整然と積載させることができる。
【0043】
このため、例えばスタッカ33の高さを排出済みシートの厚みに応じて移動させる構成とする必要もなく、排出されたシートをスタッカ33上に整然と積載することができる。
このため、例えばシート洗浄部200内部にスタッカ33などの実装スペースの余裕があまりない場合であっても、スタッカ33の高さを移動させるための移動機構を組み込む必要がない。
【0044】
このため、例えばスタッカ33をバネで高さ方向に伸縮可能としてつり下げる構成としてもよい。この場合、スタッカ33上に多量のシートが積載されていくと、シートの自重によりバネが伸び、スタッカ33が下方に移動することとなる。
【0045】
なお、上述した各実施形態は本発明の好適な実施形態であり、本発明はこれに限定されることなく、本発明の技術的思想に基づいて種々変形して実施することが可能である。
【0046】
例えば、上述した実施形態と同様のガイド面321を形成することができれば排出ガイド32の形状は各種のものであってよく、例えば図6に示すように、板状部材を折り曲げることでガイド面321を形成した場合であっても、本発明は同様に実現することができる。
【0047】
また、図4には、排出ガイド32のガイド面321を鉛直面から60度傾いた角度として示しているが、この角度はシート端をスムーズに落下させるためであり、ガイド面321が水平面と平行であっても同様の効果が得られる。
また、図3、図4中の寸法は一例であり、装置やシートに応じて設計されるものであってよい。
【0048】
また、上述した実施形態では、排出ガイド32が、排出ローラ31による排出方向に対して左側の壁面34に配置されることとして説明したが、右側の壁面34に配置される構成であっても本発明は同様に実現することができる。
【0049】
また、本発明で排出対象とするシートはリライタブルシートに限定されず、各種のシートに対して適用することができる。特に、コシの弱い各種のシートについて、大量に排出する場合、上述した実施形態と同様の効果が得られる。
また、シート表面とシート先端との間の摩擦が大きいシートの場合、特に顕著な効果を得ることができる。
【0050】
このように、リライタブルシートの洗浄機に限定されず、例えばプリンタで用紙を一気に落とす構成などにも、本発明は同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0051】
100 シート供給部
200 シート洗浄部
300 排出シート格納部
31 排出ローラ
32 排出ガイド
321 ガイド面
33 スタッカ
34 壁面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排出手段により排出されたシートを格納する排出シート格納装置であって、
前記排出手段により排出中のシートを、該シートの排出方向と垂直な方向における一方の縁端部近傍で支持するガイド手段を備えたことを特徴とする排出シート格納装置。
【請求項2】
前記排出手段は、略長方形のシートを長手方向に排出することを特徴とする請求項1記載の排出シート格納装置。
【請求項3】
前記ガイド手段は、前記排出手段による排出方向における水平面での奥行きが、排出されるシートの長辺の長さの半分よりも長くなるよう設けられたことを特徴とする請求項2記載の排出シート格納装置。
【請求項4】
前記排出手段によるシートの排出位置に対して、該排出手段による排出方向と垂直な方向の両側に水平面と略垂直な壁面を備え、
前記ガイド手段は、前記排出手段による排出方向と垂直な方向における水平面での幅が、前記両側に設けられた壁面間の距離と、前記排出手段により排出されるシートの短辺の長さとの差よりも長くなるよう設けられたことを特徴とする請求項2または3記載の排出シート格納装置。
【請求項5】
前記排出手段によるシートの排出位置の下方に、排出されたシートを積載させる積載手段を備え、
前記壁面は、少なくとも前記積載手段の高さから前記排出位置の高さまで設けられ、前記両側に設けられた壁面の何れか一方に前記ガイド手段が配置されたことを特徴とする請求項4記載の排出シート格納装置。
【請求項6】
前記排出手段は、上下からローラでシートを押圧しながら該ローラの回転により該シートを排出する排出ローラであり、
前記排出ローラの回転により排出中のシートを、前記排出ローラおよび前記ガイド手段により支持し、シートが前記排出ローラから離れることで該シートが排出方向と垂直な方向における前記ガイド手段の反対側へと落下するよう構成されたことを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の排出シート格納装置。
【請求項7】
前記ガイド手段は、水平方向について、前記排出手段による排出方向と垂直な方向よりも、該排出方向に長い形状に形成されたことを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の排出シート格納装置。
【請求項8】
請求項1から7の何れか1項に記載の排出シート格納装置と、シート洗浄部と、を備え、
前記シートはリライタブルシートであり、
前記排出シート格納装置は、前記シート洗浄部により洗浄されたリライタブルシートを格納することを特徴とするリライタブルシート洗浄機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−71976(P2012−71976A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−219914(P2010−219914)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(302069930)NECエンベデッドプロダクツ株式会社 (738)
【Fターム(参考)】