説明

排尿補助装置

【課題】 患者の残尿によるかぶれ防止の為、排尿受け器内部を湿潤状態にさせない。病室で使用されるので、静かである必要がある。更に、特定患者では排尿量を記録させる必要がある。
【解決手段】 排尿受け器よりの排尿はチューブを経由して蓄尿され、吸引空気をポンプより消音器を介して排気する。排尿受け器には複数の空気吸引孔とその内部に複数の突起を有する構造とし、ダイヤフラムポンプにより吸引する空気で、患部と排尿受け器との間に空気層を形成させて、残尿による湿潤状況を解消する。漏水センサーにより排尿を検知すると自動的に吸引量を増加させ、排尿を吸引補助させる。蓄尿タンクの質量を計測することにより患者の排尿量を取得する。常時装着する場合は、少量の空気を常時吸引させておき、排尿時には排尿を識別し空気吸引量を増し蓄尿させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は患者が排尿受け器を常時装着していても、残尿による患部のかぶれを防止 する為に、患部と排尿受け器内部との間に空気層を形成させる構造を備えた排尿受け器を有する排尿補助装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の排尿補助装置は患者の尿意により、本人又は介護者がその都度、排尿受け器を装着し、排尿器本体の吸引装置で吸引させる構造としており、その吸引装置には回転翼が使用され、その発生音は大きく病室等の静寂性が要求される場所での使用には難がある。
【0003】
又、自然滴下によりパックに蓄尿させるものもあるが、排尿受け器を装着するものでは、患部が残尿により湿潤となりかぶれ等の発生の要因となる。
【0004】
更に、カテーテルを尿道に挿入する方法も採られる場合や、いわゆるオムツを使用する場合もあるが、その取扱いは本人及び介護者にとって、多大の労力を要し、その費用も多額となっている。
【0005】
特定患者では、排尿量データを必要とし、使用済みオムツの計量及び記録が必要な場合もあり、作業も面倒なものである。

【特許文献1】特開2000−316917号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
寝たきりを余儀なくされる患者が排尿に伴う残尿によるかぶれを防止する為、排尿受け器を常時装着していても、患部と排尿器の間に空気層を形成させ、湿潤状態にさせないことと、病室等室内で使用されるので、静寂である必要がある。更に 特定患者では排尿量を記録または表示させる必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
排尿受け器は固定部に複数の空気吸引孔を設け、さらに内部に複数の 突起又は溝を有する構造とし、導尿チューブを介してダイヤフラムポンプにより吸引 する空気により、患部と排尿受け器との間に空気層を形成させる。又、患部の大小等に 対応させる為、固定部に柔軟性に富んだ材料による仕切り膜を設ける。排尿受け器の 装着時、常時少量の空気をダイヤフラムポンプにより吸引させる。排尿時には、排尿受け器の内部に設置する漏水センサーにより排尿を検知し、自動的に吸引量を増加させ、排尿を吸引補助させる。蓄尿タンクの質量を計量装置により計測することにより患者の排尿量を取得する。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、従来の医療・介護現場での課題である排尿処理にかかる以下の問題点を解決出来る。(1)患部のかぶれ防止がはかれ、衛生的に向上される。(2)寝たきり患者の排尿処理にかかるオムツ等の取替作業の大幅な低減が可能となる。(3)医療行為のカテーテルの尿道への挿入作業の一部は代用が可能となる。 (4)排尿量の自動記録及び表示が出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明にかかる排尿補助装置は複数の吸気孔と内側に複数の突起又は溝を有する排尿受け器と排尿及び吸入空気を吸引する導尿管、排尿補助装置本体に内蔵する蓄尿タンク、空気を吸引するダイヤフラムポンプおよび排気音を低減させる消音器 及びその制御と蓄尿タンク質量より排尿量を自動記録及び表示機能を有する制御装置 より構成する。
【実施例1】
【0010】
図−1は本発明の排尿補助装置の構成図である。排尿は患者に装着する排尿受け器1より負圧室4に接続する導尿管2を経由して、負圧室3内に設置する蓄尿タンク4に導かれる。負圧室3はシールしており、管を介してダイヤフラムポンプ6により吸引され、負圧に維持される。
【0011】
負圧に維持する吸引空気はダイヤフラムポンプ6より排気空気として、消音器7を介して遮音材付排気口8より排気される。
【0012】
蓄尿タンク4の満水状態を自動認識させること、負圧室3に計量装置5を設置し、制御装置9により演算、記憶させ、操作表示器11に排尿量を表示させる。排尿による質量増加を計量装置5によりその質量を検出し、制御装置11に設けた演算器より、その質量信号を排尿量へ変換し、その記録及び表示させる。さらに、蓄尿タンクの満水状態の質量と比較させ、満水の警報を発信させる。
【0013】
負圧室4はダイヤフラムポンプ6により常時負圧に維持され、排尿受け器1の空気吸引孔2より吸引されて いる。排尿の場合には排尿受け器内部に設置する漏水センサー4により、制御装置9を介して、排尿を認識し、ダイヤフラムポンプ6の吸引量を増加させ、負圧を増大させる。
【0014】
図−2は排尿受け器1の詳細図である。又、その断面を図−3に示す。
図−2、3は男性用排尿受け器を示すものである。先端の固定部円周に複数の空気吸入孔2を設け外気の導入を図る。内部面には複数の突起1を設け、患部5と排尿受け器の間に外気の導入路を形成させ、負圧室に接続する導尿管により、空気吸入孔2より空気を吸引し空気層を形成させる。さらに、固定部円周には柔軟性のある仕切り膜3を設けて、患部の大、小に対しても患部5との接触面でのシール性を確保できる構造として いる。排尿受け器の内部には漏水センサー4を設け排尿の有無を検出させる。排尿受け器の離脱を防止の為、紐掛けフック6を設けている。
【0015】
図−4は女性用の構成を示す。
【産業上の利用可能性】
【0016】
病院、介護施設及び家庭において、ベッドに寝たきりを与儀なくされる患者、老人等の排尿処理はほとんど人手で作業となっており、本人及び看護師、介護者の負担は大きい。即ちオムツ交換、尿道へのカテーテルの挿入などの作業が必要となっている。また、現状の採尿器を使用しても、その排尿受け器の煩雑な交換が必要となる。 本発明により、上記作業の代替となり衛生的にも向上し、その効果は大きい。従って この発明による製品はその経済的効果も期待できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明にかかる排尿受け器を有する排尿補助装置の構成を示す概略構成図である。
【図2】男性用排尿受け器の構成図である。
【図3】図2に示す排尿受け器の断面図である。
【図4】女性用排尿受け器の構成図である。
【符号の説明】
【0018】
1 排尿受け器
2 導尿管
3 負圧室
4 蓄尿タンク
5 計量装置
6 ダイヤフラムポンプ
7 消音器
8 遮音材付排気口
9 制御装置
10 操作表示器
11 電源
21 突起
22 空気吸入孔
23 仕切り膜
24 漏水センサー
25 紐掛けフック
26 患部






【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に装着した排尿受け器よりの排尿及び吸引空気は導尿チューブを経由して、排尿は蓄尿タンクへ蓄尿され、吸引空気は排尿補助装置本体に内蔵するダイヤフラムポンプより消音器を介して排気される。排尿受け器には、接触部位のかぶれを防止する為複数の吸気孔を設け、その内面には複数の突起又は溝を設けた構造とし、空気層を形成させ残尿による湿潤状況を除去する。常時装着する場合は、少量の空気を常時吸引させておき、排尿時には内部に設置する漏水センサ−により排尿の有無を識別し空気吸引量を増大させ、排尿をスムーズに蓄尿させる。上記機能を備えた排尿補助装置
【請求項2】
患者に装着した排尿受け器よりの排尿及び吸引空気は導尿チューブを経由して、排尿は蓄尿タンクへ蓄尿され、吸引空気は排尿補助装置本体に内蔵するダイヤフラムポンプより消音器を介して排気される。排尿受け器には、接触部位のかぶれを防止する為複数の吸気孔を設け、その内面には複数の突起又は溝を設けた構造とし、空気層を形成させ残尿による湿潤状況を除去する。常時装着する場合は、少量の空気を常時吸引させておき、排尿時には内部に設置する漏水センサ−により排尿の有無を識別し空気吸引量を 増大させ、排尿をスムーズに蓄尿させる。その蓄尿量は負圧室に設置する計量装置にて蓄尿タンクにかかる質量を計測することにより患者の排尿量を記録及び表示させる。 上記機能を備えた排尿補助装置
【請求項3】
患者に装着した排尿受け器よりの排尿及び吸引空気は導尿チューブを経由して、排尿は蓄尿タンクへ蓄尿され、吸引空気は排尿補助装置本体に内蔵するポンプより排気される。その排尿受け器において、複数の吸気孔を設け、その内面には複数の突起又は溝を設け、受け口装着部に患部の大きさに対応させる為の仕切り膜を設ける構造とし、患部と排尿受け器間に空気層を形成させて、残尿による湿潤状況の除去を可能とする 排尿受け器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−130023(P2006−130023A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−321541(P2004−321541)
【出願日】平成16年11月5日(2004.11.5)
【出願人】(399119550)関西セイキ工業株式会社 (10)
【Fターム(参考)】