説明

排気装置

【課題】吸引流と吐出流との干渉を少なくし、捕集性能を高めることができる排気装置を提供する。
【解決手段】ケーシングと、前記ケーシングへの吸引流を形成する排気ファンと、前記ケーシングから吐出されエアカーテンを生ずる吐出流を形成する吐出ファンと、を備え、前記ケーシングは、前記吸引流が流入する吸引口と、前記吸引流が流れる吸引流路と、前記吐出流が流れる吐出流路と、前記吐出流が吐出する吐出口と、を有し、前記吐出口の下端は、前記吸引口よりも上方に配置され、前記吐出流路の先端部は、前記吸引口から離れる方向に傾斜してなることを特徴とする排気装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、排気装置に関し、具体的にはエアカーテンを形成させることができる排気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
臭気などを吸引捕集し、外部へ排気する排気装置がある。例えば、キッチンに設置されたレンジ等の調理器具の上方に排気装置を設置し、調理器具から立ちのぼる油煙や臭気などを吸引捕集することが行われている。一方、最近では、調理器具が壁に沿って設置される従来型キッチンだけでなく、調理器具が壁から離れたところに設置される、いわゆる、アイランド型キッチンやペニンシュラ型キッチンが普及し始めている。
【0003】
従来型のキッチンでは、消防法の規制に基づいて排気装置と調理器具との間の距離を800mm以上に離したとしても、壁があるため油煙や臭気などが拡散しにくく、油煙や臭気などを比較的簡単に捕集することができた。しかし、アイランド型キッチンやペニンシュラ型キッチンでは、その周囲が開放しているため、油煙や臭気などが拡散しやすく、油煙や臭気などの捕集が困難なものとなる。そのため、アイランド型キッチンやペニンシュラ型キッチンでは、従来よりも高い捕集性能を有する排気装置が要求されるようになってきている。さらに、外乱風(横風)がある場合には、油煙や臭気などがより拡散しやすく、油煙や臭気などの捕集がより困難なものとなる。
【0004】
そこで、排気装置から吹き出される気体流によって形成されるエアカーテンにより、調理器具などから立ち上る油煙や臭気などの拡散を遮断しつつ、その油煙や臭気などを捕集および排気させる装置がある(特許文献1および特許文献2)。
【0005】
しかしながら、特許文献1(特開2007−100978号公報)に記載の排気器具は、排気口と補助噴出口とが近接し、且つ補助気体の噴出向きが排気口の開口面に対して同じ側へ傾斜しているため、排気口から吸引される気体(吸引流)と、補助気体(吐出流)と、が干渉し、拡散を遮断するという効果を得ることができないおそれがある。そのため、吸引性能が十分に発揮できず、捕集性能が不十分となるおそれがある。
【特許文献1】特開2007−100978号公報
【特許文献2】特開2007−292388号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の態様は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、吸引流と吐出流との干渉を少なくし、捕集性能を高めることができる排気装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、ケーシングと、前記ケーシングへの吸引流を形成する排気ファンと、前記ケーシングから吐出されエアカーテンを生ずる吐出流を形成する吐出ファンと、を備え、前記ケーシングは、前記吸引流が流入する吸引口と、前記吸引流が流れる吸引流路と、前記吐出流が流れる吐出流路と、前記吐出流が吐出する吐出口と、を有し、前記吐出口の下端は、前記吸引口よりも上方に配置され、前記吐出流路の先端部は、前記吸引口から離れる方向に傾斜してなることを特徴とする排気装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の態様によれば、吸引流と吐出流との干渉を少なくし、捕集性能を高めることができる排気装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
第1の発明は、ケーシングと、前記ケーシングへの吸引流を形成する排気ファンと、前記ケーシングから吐出されエアカーテンを生ずる吐出流を形成する吐出ファンと、を備え、前記ケーシングは、前記吸引流が流入する吸引口と、前記吸引流が流れる吸引流路と、前記吐出流が流れる吐出流路と、前記吐出流が吐出する吐出口と、を有し、前記吐出口の下端は、前記吸引口よりも上方に配置され、前記吐出流路の先端部は、前記吸引口から離れる方向に傾斜してなることを特徴とする排気装置である。
この排気装置によれば、吸引流と吐出流とが干渉するおそれは少なくなり、捕集性能を高めることができる。さらに、吸引流と吐出流とが干渉しないことで吐出流(エアカーテン)の到達距離がより長くなるため、油煙や臭気などの拡散を遮断する性能を高めることができる。
【0010】
また、第2の発明は、第1の発明において、前記ケーシングは、前記吸引口が設けられた下面と、前記下面の周囲を取り囲む外周面と、を有し、前記吐出口は、前記外周面の少なくともいずれかに配置されてなることを特徴とする排気装置である。
この排気装置によれば、吐出口の下端は吸引口よりも上方に配置されるため、吸引流と吐出流とが干渉するおそれは少なくなる。
【0011】
また、第3の発明は、第1の発明において、前記ケーシングは、前記吸引口が設けられた下面と、前記下面の周囲を取り囲む外周面と、前記下面と前記外周面との間に設けられた斜面と、を有し、前記吐出口は、前記斜面の少なくともいずれかに配置されてなることを特徴とする排気装置である。
この排気装置によれば、吐出口の下端は吸引口よりも上方に配置され、吐出流が吸引流から離れる方向に向かって吐出されやすくなるため、吸引流と吐出流とが干渉するおそれはより少なくなる。また、吐出口の開口面積を小さくすることができるため、排気装置全体の構造をすっきりとしたデザインとすることができる。
【0012】
また、第4の発明は、第1〜3のいずれか1つの発明において、前記吐出流は、斜め下方且つ前記吸引流と干渉しない方向に、前記吐出口から吐出されることを特徴とする排気装置である。
この排気装置によれば、吐出流が吸引流から離れる方向に向かって吐出されるため、吸引流と吐出流とが干渉するおそれはより少なくなる。そのため、捕集性能を高めることができる。また、吸引流と吐出流とが干渉しないことで吐出流(エアカーテン)の到達距離がより長くなるため、油煙や臭気などの拡散を遮断する性能を高めることができる。
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施の形態にかかる排気装置が設置されたキッチンを例示する模式図である。
また、図2は、本実施形態にかかる排気装置を斜め上方から眺めた模式図である。
また、図3は、本実施形態にかかる排気装置を斜め下方から眺めた模式図である。
なお、説明の便宜上、図1に表した排気装置は断面図を表している。また、後に詳述する図4、図5、図7、図8、図12、および図13についても同様に、排気装置は断面図を表す。
【0014】
本実施形態にかかる排気装置10aは、ケーシング12と、排気ファン34と、吐出ファン36と、を備えている。ケーシング12は、略矩形状のケーシング下部12aと、ケーシング下部12aから上方に狭まるように延在するケーシング中間部12bと、ケーシング中間部12bの上方に配置されたケーシング上部12cと、を有している。吐出ファン36は、ケーシング下部12aからケーシング中間部12bにかけてケーシング12の内部に設けられ、室内に空気を吐出している。吐出ファン36としては、例えばクロスフローファンを用いることができる。また、排気ファン34は、ケーシング上部12cの内部に設けられ、外部に空気を排出している。
【0015】
なお、ケーシング12はケーシング中間部12bを有しているが、これだけに限定されず、図9〜図13に関して後述するように、ケーシング12はケーシング中間部12bを有していなくともよい。この場合には、ケーシング下部12aとケーシング上部12cとが連結される。そして、吐出ファン36は、ケーシング下部12aの内部に設けられる。
【0016】
ケーシング12には、吸引口20と、吸引流路22と、排気口24と、吸気口26と、吐出流路28と、吐出口30と、が設けられている。吸引口20は、ケーシング下部12aの下端部に設けられ、上昇してくる気体(吸引流)を流入させている。また、吸引流路22は、ケーシング下部12a及びケーシング上部12cの内部に設けられ、吸引口20から吸引された気体を排気ファン34へ導いている。排気口24は、排気ファン34の上方部に設けられている。排気ファン34から排出された気体は、この排気口24を通過し、外部へ排気される。
【0017】
一方、吸気口26は、吐出ファン36の上方部に設けられている。室内の空気は、この吸気口26を通過して、吐出ファン36に取り入れられる。また、吐出流路28は、吸引流路22と隔離されて設けられており、吐出ファン36から吹き出された空気を室内へ導いている。吐出ファン36から吹き出された空気は、吐出流路28を通り、吐出口30から室内へ吐出される。
【0018】
本実施形態にかかる排気装置10aは、図2に表したように、3台の吐出ファン36がケーシング12の内部に設けられている。また、図2および図3に表したように、吐出口30は略矩形の形状を有しており、ケーシング下部12aの外周面12dに、3箇所に設けられている。それぞれの吐出口30は、それぞれの吐出ファン36に対応している。吐出ファン36を設ける方向は、調理者が立つ側(前方側)ではなく、その左右側方および後方側であることがより好ましい。これは、吐出口30から吐出された気体(吐出流)が調理者に直接当たると、その使用者に不快感を与えるおそれがあるためである。
【0019】
なお、吐出口30は、それぞれが連続した1つの吐出口であってもよい。また、吐出口30は、ケーシング下部12aのいずれかの外周面12dに、1箇所または2箇所に設けられていてもよい。さらに本実施形態では、3台の吐出ファン36を設けて、それぞれに対応した吐出口30から吹き出す場合を説明しているが、これだけに限定されず、吐出ファン36の数を減らして(例えば、一台の吐出ファンとして)風路を分岐させて、吐出流をそれぞれの吐出口30から吐出するようにしてもよい。このようにすることで、部品点数を減少させることができる。
【0020】
排気装置10aの下方には、図1に表したように、例えば調理器具70が設けられ、調理器具70上には鍋72などが載置される。鍋72などから発生した油煙や臭気などの吸引流は、排気ファン34に吸い込まれるようにして、矢印Cに表したように吸引口20から吸引流路22へ流入する。吸引口20から吸い込まれた吸引流は、吸引流路22を通って、排気ファン34に吸い込まれる。その後、排気ファン34は、吸い込んだ吸引流を排気口24から矢印Dに表したように外部へ排気する。
【0021】
一方、ケーシング中間部12bの上方部にある空気は、吐出ファン36に吸い込まれるようにして、吸気口26から流入する。吐出ファン36は、矢印Aに表したように、吸い込んだ空気を吐出流路28の方向へ吹き出す。吐出ファン36から吹き出された空気は、吐出流路28を通って、矢印Bに表したように、吐出口30から吐出流として斜め下方へ吐出される。吐出口30から斜め下方へ吐出された吐出流は、いわゆるエアカーテンを形成する。
【0022】
図4は、排気装置の吐出口の近傍を表す拡大模式図である。
本実施形態にかかる排気装置10aの吐出口30は、前述したように、ケーシング下部12aの外周面12dに設けられている。吐出口30の下端30aは、吸引口20よりも上方に配置されている。また、吐出口30の近傍の吐出流路28の先端部28bは、排気装置10aの外側へ向かい、且つ斜め下方へ向かう斜面28aを有している。すなわち、斜面28aは、吸引流路22の側面22aに対して離れる方向に傾斜している。
【0023】
吸引口20の中央部の吸引流は、図1に表したように、ケーシング下部12aの下面よりも上方に位置する吸引流路22に向かって流れる。一方、吐出口30の近傍(吸引口20の周辺部の近傍)の吸引流は、図4の領域44に表したように、ケーシング下部12aの下面から吸引流路22に向かって流れる。
【0024】
そのため、吐出口30の下端30aがケーシング下部12aの下面に配置された場合や、下端30aがケーシング下部12aの下面と、ケーシング下部12aの外周面12dと、が接する部分に配置された場合には、吐出流(矢印B)と吸引流(矢印C)とが領域44において干渉するおそれがある。吐出流と吸引流とが干渉すると、吸引性能が十分に発揮できず、捕集性能が不十分となる。さらに、エアカーテンを形成する吐出流が吸引流と干渉すると、その吐出流(エアカーテン)の到達距離はより短くなるため、油煙や臭気などの拡散を遮断する性能も低下する。
【0025】
これに対して、本実施形態にかかる排気装置10aにおいては、吐出口30の下端30aは吸引口20よりも上方に配置され、吐出流は排気装置10aの外側且つ斜め下方に向かって吐出されるため、吐出流(矢印B)と吸引流(矢印C)とが領域44において干渉するおそれは少ない。これは、吐出口30がケーシング下部12aの外周面12d、すなわち吐出口30の下端30aが吸引口20よりも上方に配置されているため、ケーシング下部12aの下面から吸引流路22に向かって流れる吸引流と、吐出口30から吐出された吐出流と、が領域44において干渉するおそれは少ないためである。またさらに、吐出口30から吐出された吐出流は、吸引流あるいは吸引口20から離れる方向に向かって吐出されるためである。
【0026】
これにより、本実施形態にかかる排気装置10aにおいては、吸引流と吐出流とが干渉するおそれは少ないため、捕集性能を高めることができる。さらに、吸引流と吐出流とが干渉しないことで吐出流(エアカーテン)の到達距離がより長くなるため、油煙や臭気などの拡散を遮断する性能を高めることができる。
【0027】
次に、本実施形態の変形例について、図面を参照しつつ説明する。
図5は、本実施形態の変形例にかかる排気装置を表す模式図である。
また、図6は、本変形例にかかる排気装置を斜め下方から眺めた模式図である。
【0028】
本具体例にかかる排気装置10bは、図1〜図4に表した排気装置10aに対して、整流板48をさらに備えている。整流板48は、図6に表したように、排気装置10bを斜め下方から眺めたとき、吸引口20の面積よりも小さい面積を有する略矩形状をしており、吸引口20の略中央部に設けられている。また、整流板48は、図5に表したように、整流板48の下面がケーシング下部12aの下面よりも上方に位置するように設けられている。その他の構造については、図1〜図4に表した排気装置10aと同様である。
【0029】
本変形例の排気装置10bは、整流板48を備えているため、吸引流は整流板48と吸引流路22の側面22aとの間の狭い隙間22bから吸引される。隙間22bは、整流板48の周縁に沿って存在している。隙間22bの面積は、吸引口20の面積よりも十分に狭いため、鍋72などから発生した油煙や臭気などの吸引流は、より速い流速で隙間22bに流入する。そのため、矢印Cに表したように、整流板48に当たった吸引流であっても、隙間22bの方へ吸い寄せられ、捕集性能を向上させることができる。
【0030】
一方、整流板48に当たった吸引流が隙間22bに吸い寄せされたときに、隙間22bに流入することができなかった吸引流は、側面22aに当たることになる。そのため、吸引流が、吐出口30の方向に流れる可能性は少なく、吸引流と吐出流との干渉を防止しつつ、捕集性能を向上させることができる。さらに、図1〜図4に表した排気装置10aと同様に、吐出口30の下端30aは吸引口20よりも上方に配置され、吐出流は排気装置10bの外側且つ斜め下方に向かって吐出されるため、吐出流と吸引流とが干渉するおそれは少ない。そのため、図1〜図4に表した排気装置10aと同様の効果を得ることができる。
【0031】
なお、吸引流の多くは、まず整流板48に当たるため、鍋72などから発生した油などは、排気装置10bの中で整流板48に付着することが多い。そのため、整流板48を清掃すれば足りることが多く、排気装置10bの清掃の容易性を向上させる効果も得られる。また、後に詳述するように整流板48の下面と、ケーシング下部12aの下面と、は略同一面であってもよい。
【0032】
図7は、本実施形態の他の変形例にかかる排気装置を表す模式図である。
本変形例にかかる排気装置10cのケーシング下部12aは、図7に表したように、排気装置10cの外側且つ斜め下方を臨む斜面12eを外周面12dの下方部に有している。ここで、排気装置10cの外側且つ斜め下方を臨む斜面とは、その斜面に対する垂直方向(法線方向)が排気装置10cの外側且つ斜め下方へ向かっている斜面を意味している。したがって、斜面12eの法線方向は、吸引流路22の側面22a(図4参照)に対して離れる方向である。
【0033】
吐出口30は、図7に表したように、斜面12eに配置されている。本変形例にかかる排気装置10cにおいても、吐出口30の下端30aは、吸引口20よりも上方に配置されている。また、吐出口30の近傍の吐出流路28の先端部28bは、排気装置10cの外側へ向かい、且つ斜め下方へ向かっている。すなわち、吐出口30の近傍の吐出流路28の先端部28bは、斜面12eに対して垂直な方向に向かっている。その他の構造については、図5および図6に表した排気装置10bと同様である。
【0034】
そのため、図1〜図4に表した排気装置10a、および図5〜図6に表した排気装置10bと同様に、吸引流と吐出流とが干渉するおそれは少なくなり、捕集性能を高めることができる。さらに、吐出口30の近傍の吐出流路28の先端部28bは、斜面12eに対して垂直な方向に向かっているため、図7に表した吐出口30の開口面積は、図1および図5に表した吐出口30の開口面積よりも小さい。そのため、排気装置10c全体の構造をすっきりとしたデザインとすることができる。
【0035】
図8は、本実施形態のさらに他の変形例にかかる排気装置を表す模式図である。
本変形例にかかる排気装置10dの吐出流路28は、図8に表したように、吐出口30に向かって狭まるような構造を有している。その他の構造については、図7に表した排気装置10cの構造と同様である。
【0036】
そのため、吐出口30から吐出された吐出流の流速はより速い。したがって、より勢いのあるエアカーテンを形成させることができ、吐出流の到達距離はより長くなる。これにより、鍋72などから発生した吸引流が、調理器具70の周辺に拡散することをより確実に遮断することができ、捕集性能を高めることができる。また、吐出口30の下端30aは吸引口20よりも上方に配置され、吐出流は排気装置10dの外側且つ斜め下方に向かって吐出されるため、図1〜図4に表した排気装置10aと同様の効果を得ることができる。さらに、ケーシング下部12aは斜面12eを有し、吐出口30は斜面12eに配置されているため、図7に表した排気装置10cと同様の効果を得ることができる。
【0037】
次に、本発明の実施の形態にかかる排気装置の具体例について、図面を参照しつつ説明する。
図9は、本発明の実施の形態の具体例にかかる排気装置を例示する模式図である。
また、図10は、本具体例にかかる排気装置を上面から眺めた上面模式図である。
また、図11は、本具体例にかかる排気装置を底面から眺めた底面模式図である。
【0038】
本具体例にかかる排気装置10eのケーシング下部12aは、図7および図8に表した排気装置と同様に、外周面12dと斜面12eとを有している。吐出口30は、図11に表したように、後方および左右側方に位置する斜面12eに配置されている。また、前方に位置する斜面12eには、各種の操作スイッチ50が設けられている。操作スイッチ50は、例えば、排気装置10eの基本的操作である吸引動作の「入/切」、吸引動作の「強/弱の切替」、手元照明の「入/切」、動作タイマーの「設定」などを行うためのものである。
【0039】
また、本具体例の排気装置10eは、図5〜図8に表した排気装置と同様に、整流板48を備えている。この整流板48は、その下面がケーシング下部12aの下面と略同一面となるように設けられている。ケーシング12は、図1〜図8に表した排気装置のようなケーシング中間部12bを有していない。そのため、吸気口26は、図10に表したように、ケーシング下部12aの上面に設けられている。なお、吸気口26は複数の小さな孔を有し、前方および左右側方に位置するケーシング下部12aの上面に設けられている。
【0040】
図12は、本具体例にかかる排気装置の内部構造を表す模式図である。
また、図13は、排気装置の吐出口の近傍を表す拡大模式図である。
本具体例にかかる排気装置10eの吐出口30は、図7に表した排気装置10cと同様に、斜面12eに配置されている。そして、図13に表したように、吐出口30の下端30aは、吸引口20よりも上方に配置されている。また、吐出口30の近傍の吐出流路28の先端部28bは、排気装置10eの外側へ向かい、且つ斜め下方へ向かっている。すなわち、吐出口30の近傍の吐出流路28の先端部28bは、斜面12eに対して垂直な方向に向かっている。
【0041】
そのため、吸引流と吐出流とが干渉するおそれは少なくなり、捕集性能を高めることができる。これは、図1〜図4に関して前述したように、吐出口30の下端30aが吸引口20よりも上方に配置されているため、ケーシング下部12aの下面から吸引流路22に向かって流れる吸引流と、吐出口30から吐出された吐出流と、が干渉するおそれは少ないためである。さらに、吐出口30から吐出された吐出流は、吸引流あるいは吸引口20から離れる方向に向かって吐出されるためである。
【0042】
一方、吐出ファン36は、吐出口30により近い位置であって、ケーシング下部12aの内部に設けられている。そのため、吐出流路28による圧力損失は、図1〜図8に表した排気装置よりも小さくなり、吐出口30から吐出される吐出流の流速はより速くなる。そのため、より勢いのあるエアカーテンを形成させることができ、吐出流の到達距離はより長くなる。これにより、鍋72などから発生した吸引流が、調理器具70の周辺に拡散することをより確実に遮断することができ、捕集性能を高めることができる。
【0043】
以上説明したように、本実施形態によれば、吐出口30の下端30aは吸引口20よりも上方に配置され、吐出流は排気装置の外側且つ斜め下方に向かって吐出される。そのため、吸引流と吐出流とが干渉するおそれは少なくなり、捕集性能を高めることができる。さらに、吸引流と吐出流とが干渉しないことで吐出流(エアカーテン)の到達距離がより長くなるため、油煙や臭気などの拡散を遮断する性能を高めることができる。
【0044】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、ケーシング12などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などや排気ファン34、吐出ファン36、整流板48の設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施の形態にかかる排気装置が設置されたキッチンを例示する模式図である。
【図2】本実施形態にかかる排気装置を斜め上方から眺めた模式図である。
【図3】本実施形態にかかる排気装置を斜め下方から眺めた模式図である。
【図4】排気装置の吐出口の近傍を表す拡大模式図である。
【図5】本実施形態の変形例にかかる排気装置を表す模式図である。
【図6】本変形例にかかる排気装置を斜め下方から眺めた模式図である。
【図7】本実施形態の他の変形例にかかる排気装置を表す模式図である。
【図8】本実施形態のさらに他の変形例にかかる排気装置を表す模式図である。
【図9】本発明の実施の形態の具体例にかかる排気装置を例示する模式図である。
【図10】本具体例にかかる排気装置を上面から眺めた上面模式図である。
【図11】本具体例にかかる排気装置を底面から眺めた底面模式図である。
【図12】本具体例にかかる排気装置の内部構造を表す模式図である。
【図13】排気装置の吐出口の近傍を表す拡大模式図である。
【符号の説明】
【0046】
10a、10b、10c、10d、10e 排気装置、 12 ケーシング、 12a ケーシング下部、 12b ケーシング中間部、 12c ケーシング上部、 12d 外周面、 12e 斜面、 20 吸引口、 22 吸引流路、 22a 側面、 22b 隙間、 24 排気口、 26 吸気口、 28 吐出流路、 28a 斜面、 30 吐出口、 30a 下端、 34 排気ファン、 36 吐出ファン、 44 領域、 48 整流板、 50 操作スイッチ、 70 調理器具、 72 鍋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングと、
前記ケーシングへの吸引流を形成する排気ファンと、
前記ケーシングから吐出されエアカーテンを生ずる吐出流を形成する吐出ファンと、
を備え、
前記ケーシングは、
前記吸引流が流入する吸引口と、
前記吸引流が流れる吸引流路と、
前記吐出流が流れる吐出流路と、
前記吐出流が吐出する吐出口と、
を有し、
前記吐出口の下端は、前記吸引口よりも上方に配置され、
前記吐出流路の先端部は、前記吸引口から離れる方向に傾斜してなることを特徴とする排気装置。
【請求項2】
前記ケーシングは、前記吸引口が設けられた下面と、前記下面の周囲を取り囲む外周面と、を有し、
前記吐出口は、前記外周面の少なくともいずれかに配置されてなることを特徴とする請求項1記載の排気装置。
【請求項3】
前記ケーシングは、前記吸引口が設けられた下面と、前記下面の周囲を取り囲む外周面と、前記下面と前記外周面との間に設けられた斜面と、を有し、
前記吐出口は、前記斜面の少なくともいずれかに配置されてなることを特徴とする請求項1記載の排気装置。
【請求項4】
前記吐出流は、斜め下方且つ前記吸引流と干渉しない方向に、前記吐出口から吐出されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の排気装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2009−236431(P2009−236431A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−84793(P2008−84793)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【出願人】(000237374)富士工業株式会社 (112)
【Fターム(参考)】