説明

排水利用システム

【課題】浴室に取り付けられるミスト発生器においてミスト化されなかった水を有効に活用することが可能な排水利用システムを提供する。
【解決手段】排水利用システムS1は、洗濯槽41を有する洗濯機40と、ミスト浴が可能な浴室10とを備えた居住空間に適用されるシステムであって、浴室10に取り付けられており、水WLからミストを発生させ、ミストを浴室10に供給するミスト発生器1と、ミスト発生器1に水WLを供給する水供給系統と、ミスト発生器1と洗濯機40の洗濯槽41とを連通させて、ミスト発生器1においてミストにならなかった水WLを洗濯槽41に導く連通管7とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭から出る排水、例えば浴室に備えられたミスト発生器から出る排水を有効に活用する排水利用システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、環境面を考慮して水資源を有効に活用するために、家庭から出る排水を浄化して再利用する技術が提案されている(例えば特許文献1)。特許文献1の生活排水利用装置は、トイレ、浴槽から出る排水や、洗濯機や食器洗浄器等の家電製品から出る排水を浄化して、浄化した排水を洗濯機等に再利用するものである。
【0003】
ところで、近年、一般家庭の浴室用のミスト発生器が人気を得ている。ミスト発生器は、所定のミスト発生機構によって水からミストを発生させ、そのミストを浴室に供給するものである。浴室内へのミストの供給により、浴室は低温かつ高湿度の環境となり、ユーザは所謂湿式サウナを家庭で楽しむことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−117257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
水からミストを発生させる前記ミスト発生機構として、様々なものが知られているが、ミスト発生機構によっては、水からミストを発生させるミスト化率が比較的低くなる。ミストにならなかった水は、清浄度が高いにもかかわらず、排水されている。
【0006】
そこで、本発明は、上記事情に鑑み、浴室に取り付けられるミスト発生器においてミスト化されなかった水を有効に活用することが可能な排水利用システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る排水利用システムは、洗濯槽を有する洗濯機と、ミスト浴が可能な浴室とを備えた居住空間に適用される排水利用システムであって、前記浴室に取り付けられており、水からミストを発生させ、前記ミストを前記浴室に供給するミスト発生器と、前記ミスト発生器に前記水を供給する水供給系統と、前記ミスト発生器と前記洗濯機の前記洗濯槽とを連通させて、前記ミスト発生器において前記ミストにならなかった水を前記洗濯槽に導く連通管とを含む。
【0008】
本発明に係る排水利用システムによれば、ミスト発生器と洗濯機の洗濯槽とを連通させる連通管が設けられているので、ミスト発生器においてミストにならなかった水を、連通管を通して洗濯槽に導くことができる。これにより、洗濯槽に貯えられた水は、排水されずに洗濯のために有効に活用することができる。
【0009】
本発明の好ましい実施形態では、前記ミストにならなかった水が所定のヘッド圧を有するように前記ミスト発生器は前記洗濯槽よりも高い位置に取り付けられている。
【0010】
この構成によれば、ミスト発生器は洗濯槽よりも高い位置に取り付けられているので、言い換えれば、連通管に勾配が付与されているので、ミストにならなかった水に、電動ポンプ等の外部エネルギーを用いることなく洗濯槽に流入させることが可能な程度のヘッド圧を付与することができる。
【0011】
本発明の他の好ましい実施形態では、前記ミスト発生器は、ユーザが該ミスト発生器を動作させるための操作手段を有し、前記洗濯機は、三方弁と、前記洗濯槽に接続された排水管と、前記三方弁を制御する制御部とを含み、前記三方弁は、前記連通管に接続された入力ポートと、前記洗濯槽に連通された第1出力ポートと、前記排水管に接続された第2出力ポートとを有し、前記制御部は、前記ミスト発生器が動作開始したことを検知することが可能に構成されており、前記ミスト発生器の動作開始を検知すると、前記第1出力ポートを開状態とするときは前記第2出力ポートが閉状態となるように、かつ前記第1出力ポートを閉状態とするときは前記第2出力ポートが開状態となるように前記三方弁を制御する。
【0012】
この構成によれば、制御部は、第1出力ポートを開状態とするときは第2出力ポートが閉状態となるように三方弁を制御して、ミストにならなかった水の洗濯槽への流入を許容する一方、第1出力ポートを閉状態とするときは第2出力ポートが開状態となるように三方弁を制御して、ミストにならなかった水の洗濯槽への流入を許容せず、その水を排水管に導く。これにより、洗濯機の運転モード、例えば、洗い、待機、脱水、排水、乾燥の各運転モードに対応させて、ミストにならなかった水の洗濯槽への流入を制御することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る排水利用システムによれば、浴室に取り付けられるミスト発生器においてミスト化されなかった水を有効に活用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】一般的なミスト発生器および給湯システムの構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る排水利用システムを示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
本実施形態に係る排水利用システムは、洗濯槽を有する洗濯機と、ミスト浴が可能な浴室とを備えた居住空間に適用されるものであって、浴室に取り付けられたミスト発生器から出る排水を有効に活用するものである。ミスト発生器は、例えば電気式の給湯システムから水の供給を受け、前記水からミストを発生させて、前記ミストを浴室内に供給するものである。ミストの浴室内への供給により、浴室内は低温かつ高湿度の環境となり、ユーザは所謂湿式サウナを楽しむことができる。
【0017】
ミスト発生器は、水からミストを発生させるためのミスト発生機構を有する。ミスト発生機構として、例えば水破砕ユニットが知られている。水破砕ユニットは、給湯システムから供給された水を、高速で回転するファンまたはファン周辺の壁部に衝突させ、衝撃によってミスト化するものである。
【0018】
しかしながら、ミスト発生機構は、給湯システムから供給された水の全量をミスト化できないため、ミスト化されなかった水(以下、ミスト排水という)は、清浄度が高いものの外部に排出される。ミスト発生機構によっては、水からミストを発生させるミスト化率が低いものがあり、その場合、ミスト排水量は大きくなる。このように、ミスト発生器は、ユーザに快適な浴室環境を提供するものであるが、水資源を無駄にしている。そこで、本実施形態に係る排水利用システムは、清浄度の高いミスト排水を再利用して水資源を有効に活用する手段を提供する。
【0019】
まず、本実施形態に係る排水利用システムの説明に先立ち、図1を参照しながら、従来のミスト発生器に対する水供給系統およびミスト発生器から出たミスト排水の排水系統について説明する。
【0020】
ミスト発生器1に水を供給する給湯システム20は、浴槽11に給湯したり、ミスト発生器1に給水したりする貯湯タンクユニットとして構成されており、貯湯タンク21、第1分岐管22、第2分岐管23、第1配管24、第2配管25、湯水混合三方弁26および給湯制御部27を含む。
【0021】
貯湯タンク21は、300〜560リットル程度の内容量を有する加熱水の貯留タンクであり、ヒートポンプユニット28に接続されている。ヒートポンプユニット28は、貯湯タンク21内の水を加熱するためのものであって、貯湯タンク21の下部から低温の水を吸い込んで所定の温度、例えば60〜90℃程度に昇温し、生成した加熱水を貯湯タンク21の上部に送り返している。これにより、貯湯タンク21の上部には、加熱水が滞留している。また、貯湯タンク21の内部には、サーミスタ等からなる複数の図略の温度センサが上下方向に並ぶように配置されている。前記温度センサは、貯湯タンク21内に貯留されている加熱水の量を計測するために利用される。
【0022】
貯湯タンク21内の加熱水が使用されると、タンク下層部から徐々に水に入れ替わっていくことになるが、水はヒートポンプユニット28により上述のように昇温される。ヒートポンプユニット28による水の昇温は所定の温度になるまで行われる。
【0023】
第1分岐管22は、一端が元配管29に接続され、他端が貯湯タンク21の底部に接続されている。元配管29は、商用の水元供給源に接続された配管であり、水元供給源からの水WLが流通する。元配管29から第1分岐管22に流入した水WLは貯湯タンク21に供給される。
【0024】
第2分岐管23は、水WLの流通方向から見て第1分岐管22よりも下流側に配設された配管であって、水WLを後述するミスト発生器1に供給する。
【0025】
第1配管24は、貯湯タンク21の上部に接続され、貯湯タンク21内の加熱水WHが流通する配管である。
【0026】
第2分岐管23の下流端および第1配管24の下流端には、湯水混合三方弁26が接続されている。湯水混合三方弁26は、第1入力ポート31、第2入力ポート32および出力ポート33を有し、第1入力ポート31および第2入力ポート32の開度調整が可能な三方弁である。第1入力ポート31には、第2分岐管23の下流端が接続され、第2入力ポート32には、第1配管24の下流端が接続されている。そして、出力ポート33には、第2配管25の上流端が接続されている。
【0027】
第1入力ポート31および第2入力ポート32の各開度が適宜調整されることにより、貯湯タンク21から第1配管24で導出される加熱水WHと、第2分岐管23から供給される水WLとが設定温度に応じて混合されると、前記設定温度の湯Hが出力ポート33から第2配管25に導出される。第2配管25に導出された湯Hは浴槽11に供給されたり、後述するパージ温水としてミスト発生器1に供給されたりする。なお、図1および後述する図2では、湯Hを浴槽11に供給するための供給系統を省略している。また、湯水混合三方弁26は、第2入力ポート32を閉状態とすることで、水WLのみを第2配管25に導出させることができる一方、第1入力31ポートを閉状態とすることで、加熱水WHのみを第2配管25に導出させることができる。
【0028】
給湯制御部27は、マイクロプロセッサや各種回路を含み、給湯システム20の各部の動作、例えば、湯水混合三方弁26の第1入力ポート31および第2入力ポート32の開度を制御して設定温度の湯Hの生成を行うものである。
【0029】
ミスト発生器1は、浴室10の天井12や壁部に取り付けることができものであり、図1では天井12に取り付けられている。ミスト発生器1は、ミスト発生機構2と、ミスト発生機構2を制御するミスト発生制御部3と、ミスト発生制御部3にユーザによる操作情報を与える操作手段4とを含む。
【0030】
ミスト発生機構2は、第2配管25の下流端に接続されており、第2配管25から供給された水WLからミストを発生させて、該ミストを矢印で示すように天井12側から洗い場13や浴槽11に向けて供給する。これにより、浴室10は低温かつ高湿度の環境になる。本実施形態では、第2分岐管23、湯水混合三方弁26および第2配管25が水WLをミスト発生機構2に供給する水供給系統を構成する。
【0031】
操作手段4は、例えばリモコン装置であり、洗面脱衣室に設置される。操作手段4は運転開始ボタン等の複数のボタンを有する。操作手段4は、ユーザが運転開始ボタンを押すと、運転開始の指令をミスト発生制御部3に送ると共に、給湯システム20の給湯制御部27にも運転開始の指令を送るように構成されている。
【0032】
浴室10には、浴槽排水管15や洗い場排水管14を通して浴槽11や洗い場13に連通された浴室排水口16が設けられている。浴室排水口16は、浴槽11や洗い場13からの排水を外部に排出するための外部排水管17に連通されている。
【0033】
ミスト発生機構2と浴室排水口16とは、ミスト排水管18によって連通されている。すなわち、ミスト排水管18の上流端はミスト発生器1に接続され、下流端は浴室排水口16に接続されている。ミスト発生機構2においてミスト化されなかった水WLは、ミスト排水管18を通り、浴室排水口16を介して外部排水管17に流入する。
【0034】
ユーザが操作手段4の運転開始ボタンを押すと、給湯制御部27およびミスト発生制御部3は運転開始の指令を受け取り、まず配管パージを行う。すなわち、給湯制御部27は湯水混合三方弁26を制御して所定温度の湯Hを生成する。湯Hは、第2配管25、ミスト発生器1、ミスト排水管18を通り、浴室排水口16を介して外部排水管17にブローされる。
【0035】
所定量の湯Hがブローされた後、湯Hをシャワーノズル6によってシャワー状態に噴霧して浴室10内に供給する。噴霧された湯Hが有する熱量によって浴室10の室温が昇温する。浴室室温の昇温は、例えば電気ヒータによっても行われている。
【0036】
浴室室温が所定の温度に達すると、給湯制御部27は、湯水混合三方弁26を制御して、湯Hの供給を停止すると共に、水WLのみをミスト発生器1に供給する。ミスト発生機構2は水WLからミストを発生させて、該ミストを浴室10内に供給する。ミスト発生機構2が温風ヒータ5を内蔵している場合、水WLを温風ヒータ5によって所定温度の湯にした後、その湯からミストを発生させて浴室10内に供給してもよい。なお、ミストが浴室10内に供給されている間も、前記電気ヒータによって浴室室温の昇温が行われている。
【0037】
ミスト発生機構2は、このように水WLからミストを発生させているが、上述したように、供給された水WLの全量をミスト化していない。そのため、ミスト化されなかった水WL、つまりミスト排水MDは、ミスト排水管18を通して外部に排出される。ミスト排水MDは、ミスト発生機構2によっては、供給された水WLの全量の約85%に達するといわれている。このように、ミスト排水MDは清浄度が高いものの外部に排出されており、水資源の無駄となっている。
【0038】
以下、ミスト排水MDを有効に活用する手段を提供する、本実施形態に係る排水利用システムについて、図2を参照しながら説明する。排水利用システムS1は、そのような手段として、ミスト発生機構2と洗濯機40の洗濯槽41とを連通させる連通管7を採用している。連通管7により、ミスト排水MDは洗濯機40に供給される。本実施形態では、ミスト排水MDを外部に排出する図1に示すミスト排水管18を設けていない。
【0039】
洗濯機40は、一般的に洗面脱衣室に設置される通常タイプのものであって、洗濯槽41、市水手動弁42、給水配管43、給水電磁弁44、洗濯機排水管45、排水電磁弁46、洗濯機排水口47および洗濯制御部48に加え、ミスト排水電磁弁51およびミスト排水バイパス管52を含むように構成されている。
【0040】
洗濯槽41は、所定の容量を有するものであって、ミスト発生器1の設置位置(浴室天井12)よりも低い位置に設置されている。洗濯機40は、通常洗面脱衣室の床に設置されているので、洗濯槽41の位置は自然とミスト発生器1の位置よりも低くなる。
【0041】
市水手動弁42は、元配管29に接続された第3分岐管30と洗濯機40の給水配管43とを連通させる弁体であって、第3分岐管30の下流端が入力ポートに接続され、給水配管43の上流端が出力ポートに接続されている。したがって、ユーザが洗濯を行うときに市水手動弁42を開弁することで、水WLが第3分岐管30から給水配管43に流入する。
【0042】
給水電磁弁44は、洗濯機40のハウジング内において給水配管43に接続された弁体であって、洗濯機40の運転モード、例えば、洗い、待機、脱水、排水、乾燥の各運転モードに対応して開閉弁する。給水電磁弁44の開閉弁により、給水配管43から洗濯槽41に水WLが供給される。
【0043】
洗濯機排水管45は、上流端が洗濯槽41の下部に接続され、下流端が洗濯機排水口47に接続された配管であって、洗濯槽41内の水WLを外部に排水するためのものである。洗濯機排水口47は外部排水管17に接続されている。洗濯機排水管45には、排水電磁弁46が接続されている。排水電磁弁46は、洗濯機40の運転モード、例えば、洗い、待機、脱水、排水、乾燥の各運転モードに対応して開閉弁して、洗濯槽41内の水WLを洗濯機排水口47を介して外部排水管17に導く。
【0044】
ミスト排水電磁弁51は、後述するようにミスト排水MDの洗濯槽41内への流入を許容することが可能に構成された三方弁であって、入力ポート53、第1出力ポート54および第2出力ポート55を有する。入力ポート53には、連通管7の下流端が接続されている。第1出力ポート54には、ミスト排水供給管56の上流端が接続されている。ミスト排水供給管56の下流端は洗濯槽41に接続されている。第2出力ポート55には、ミスト排水バイパス管52の上流端が接続されている。ミスト排水バイパス管52の下流端は洗濯機排水管45に接続されている。ミスト排水バイパス管52は、後述するように、ミスト排水MDが洗濯槽41に供給されない場合にミスト排水MDを洗濯機排水管45に導くための配管である。
【0045】
洗濯制御部48は、給水電磁弁44、排水電磁弁46およびミスト排水電磁弁51を制御して、洗い、待機、脱水、排水、乾燥等の各運転モードを行うものである。また、洗濯制御部48は、ユーザがリモコン装置4の運転開始ボタンを押すことによりミスト発生器1が運転開始したことを検知することが可能に構成されている。これは、ユーザがリモコン装置4の運転開始ボタンを押したとき、リモコン装置4から洗濯制御部48に有線または無線で運転開始したことを知らせる信号を送信することで実行できる。
【0046】
以下、洗濯機40によるミスト排水MDの活用について説明する。
【0047】
ユーザがリモコン装置4の運転開始ボタンを押すと、給湯制御部27およびミスト発生制御部3は運転開始の指令を受け取ると共に、洗濯制御部48は給湯システム20およびミスト発生器1が運転開始したことを検知する。給湯システム20およびミスト発生器1はまず配管パージを行う。給湯制御部27は、湯水混合三方弁26を制御して所定温度の湯Hを生成して湯H(パージ温水)を第2配管25に供給する。パージ温水は、第2配管25およびミスト発生器1を通って連通管7に流入する。
【0048】
連通管7に流入したパージ温水は、そのときの洗濯機40の運転モードに応じて洗濯槽41に供給されるか、再利用されずに外部に排水される。具体的には、洗濯制御部48が待機、洗いの各運転モードを実行しているとき、洗濯制御部48は、ミスト排水電磁弁51を制御して、第1出力ポート54を開状態とする一方、第2出力ポート55を閉状態とする。これにより、パージ温水は洗濯槽41に供給され、貯留される。このとき、排水電磁弁46は洗濯制御部48によって閉弁されており、洗濯槽41内のパージ温水が排水されることを防止している。
【0049】
一方、洗濯制御部48が脱水、排水、乾燥の各運転モードを実行しているとき、パージ温水が洗濯槽41に流入することは不都合を生じさせるので、洗濯制御部48は、ミスト排水電磁弁51を制御して、第1出力ポート54を閉状態とする一方、第2出力ポート55を開状態とする。これにより、パージ温水は、洗濯槽41に供給されずにミスト排水バイパス管52に導かれ、洗濯機排水管45および洗濯機排水口47を通って外部排水管17に排出される。
【0050】
給湯システム20およびミスト発生器1によって所定のパージ温水がブローされた後、ミスト発生機構2は、上述したように水WLからミストを発生させて該ミストを浴室10内に供給する。水WLからミスト化されなかったミスト排水MDは、ミスト発生機構2から連通管7に導かれる。
【0051】
連通管7に流入したミスト排水MDは、パージ温水と同様に、そのときの洗濯機40の運転モードに応じて洗濯槽41に供給されるか、再利用されずに外部に排水される。具体的には、洗濯制御部48が待機、洗いの各運転モードを実行しているとき、洗濯制御部48は、ミスト排水電磁弁51を制御して、第1出力ポート54を開状態とする一方、第2出力ポート55を閉状態とする。これにより、ミスト排水MDは洗濯槽41に供給され、貯留される。このとき、排水電磁弁46は洗濯制御部48によって閉弁されており、洗濯槽41内のミスト排水MDが排水されることを防止している。
【0052】
また、洗濯制御部48は、ミスト排水MDを洗濯槽41に供給しつつ、給水電磁弁44を開状態として、第3分岐管30から水WLを洗濯槽41に供給する。これにより、洗いに必要な分だけの洗濯水が確保される。
【0053】
一方、洗濯制御部48が脱水、排水、乾燥の各運転モードを実行しているとき、ミスト排水MDが洗濯槽41に流入することは不都合を生じさせるので、洗濯制御部48は、ミスト排水電磁弁51を制御して、第1出力ポート54を閉状態とする一方、第2出力ポート55を開状態とする。これにより、ミスト排水MDは、洗濯槽41に供給されずにミスト排水バイパス管52に導かれ、洗濯機排水管45および洗濯機排水口47を通って外部排水管17に排出される。
【0054】
このように、本実施形態に係る排水利用システムS1によれば、給湯システム20およびミスト発生器1によるパージ温水、特にミスト発生機構2から出るミスト排水MDは、洗濯制御部48が待機、洗いの各運転モードを実行しているとき、洗濯槽41に供給される。これにより、清浄度の高いミスト排水MDを洗濯に用いることができるので、従来では捨てられていたミスト排水MDを有効に活用することができる。特に、ユーザがミスト発生器1を運転させ、入浴した後に、つまり、洗濯機40の待機モード中に水WLからなるミスト排水MDとパージ温水とが洗濯槽41に貯留された後に、洗濯機40を運転させることで、ミスト排水MDの全量およびパージ温水の全量を洗濯に用いることができる。また、温かいパージ温水が洗濯槽41に供給されるので、洗濯物の汚れ落ちが一層期待できる。
【0055】
例えば、ミスト発生器1を1週間に2回、それぞれ30分間使用すると想定し、ミスト発生機構2への水WLの各給水量を1分間に1リットル、パージ温水量を2リットル、ミスト化率を15%(言い換えれば、供給された水WLの全量の85%がミスト排水MDとなる)とし、かつミスト排水MDの全量が洗濯機40によって使用されると仮定すると、
(1リットル×30分×0.85+2リットル)×2回/7日×365日
=2.9トン
もの水を有効活用することができる。
【0056】
昨今の洗濯機40は1回あたり100リットルの水を使用する。1日あたりの洗濯回数を1回と仮定すると、
100リットル/1日×365日=36.5トン
の水を年間使用することになる。
【0057】
したがって、本実施形態に係る排水利用システムS1によれば、
2.9トン/36.5トン×100%=約8%
の洗濯水を節約することができる。
また、見方を変えれば、
2.9トン/100リットル=29回分の洗濯水(つまり、ほぼ1ヶ月分の洗濯水)を節約することができる。
【0058】
さらに、本実施形態に係る排水利用システムS1によれば、ミスト発生器1は洗濯槽41よりも高い位置に取り付けられているので、言い換えれば、連通管7に勾配が付与されているので、ミスト排水MDに、電動ポンプ等の外部エネルギーを用いることなく洗濯槽41に流入させることが可能な程度のヘッド圧を付与することができる。これにより、鳥居配管等の複雑な配管工事を省略することができる。
【0059】
なお、以上説明した本実施形態では、ミスト発生器1が給湯システム20から給水を受ける構成の場合につき説明したが、これに限定されず、ミスト発生器1が元配管29から直接給水を受ける構成を採用してもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 ミスト発生器
2 ミスト発生機構
3 ミスト発生制御部
4 操作手段
7 連通管
10 浴室
17 外部排水管
20 給湯システム
40 洗濯機
41 洗濯槽
47 洗濯機排水口
48 洗濯制御部
51 ミスト排水電磁弁
52 ミスト排水バイパス管
MD ミスト排水
S1 排水利用システム
WL 水
WH 湯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯槽を有する洗濯機と、ミスト浴が可能な浴室とを備えた居住空間に適用される排水利用システムであって、
前記浴室に取り付けられており、水からミストを発生させ、前記ミストを前記浴室に供給するミスト発生器と、
前記ミスト発生器に前記水を供給する水供給系統と、
前記ミスト発生器と前記洗濯機の前記洗濯槽とを連通させて、前記ミスト発生器において前記ミストにならなかった水を前記洗濯槽に導く連通管と、
を備えた排水利用システム。
【請求項2】
請求項1に記載の排水利用システムにおいて、前記ミストにならなかった水が所定のヘッド圧を有するように前記ミスト発生器は前記洗濯槽よりも高い位置に取り付けられている排水利用システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の排水利用システムにおいて、前記ミスト発生器は、ユーザが該ミスト発生器を動作させるための操作手段を有し、
前記洗濯機は、三方弁と、前記洗濯槽に接続された排水管と、前記三方弁を制御する制御部とを含み、
前記三方弁は、前記連通管に接続された入力ポートと、前記洗濯槽に連通された第1出力ポートと、前記排水管に接続された第2出力ポートとを有し、
前記制御部は、前記ミスト発生器が動作開始したことを検知することが可能に構成されており、前記ミスト発生器の動作開始を検知すると、前記第1出力ポートを開状態とするときは前記第2出力ポートが閉状態となるように、かつ前記第1出力ポートを閉状態とするときは前記第2出力ポートが開状態となるように前記三方弁を制御する排水利用システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2011−219988(P2011−219988A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−90173(P2010−90173)
【出願日】平成22年4月9日(2010.4.9)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)
【Fターム(参考)】