説明

排水滅菌装置および排水滅菌方法

【課題】簡易かつ安価に構成することができ、加熱時に十分な滅菌効果を得ることができ、滅菌されていない被処理排水が排出される虞がなく安全性が高く、真空ポンプに付随する滅菌用のフィルターが不要となり尚更コストダウンすることもできる排水滅菌装置および排水滅菌方法を提供する。
【解決手段】滅菌タンク20内に供給された実験排水を、滅菌タンク20内に内装してある電気ヒータ30により加熱して滅菌処理するための排水滅菌装置10において、滅菌タンク20内の圧力に変化を与える真空ポンプ40を有し、電気ヒータ30の作動により実験排水が昇温して滅菌タンク20内の圧力が所定値以上になった後、真空ポンプ40の作動により滅菌タンク20内を一時的に減圧して滅菌タンク20内の圧力に変化を与えることによって、実験排水に強制的に対流を発生させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密閉式のタンク内に供給された被処理排水を、加熱手段により加熱して滅菌処理するための排水滅菌装置および排水滅菌方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の排水滅菌装置としては、例えば、滅菌すべき感染性排水を受け入れる滅菌槽(タンク)と、該滅菌槽内の感染性排水を加熱するための蒸気加熱手段とを有するものが知られている(特許文献1,2参照。)。蒸気加熱手段は、滅菌槽の外周に設置したジャケット内に蒸気を送入することで、蒸気の熱を滅菌槽の壁面を通して内部の感染性排水に作用させるものである。滅菌槽内においては、強制的に熱対流を起こさせるための手段は特別に設けられておらず、感染性排水の昇温だけによる自然対流に任されていた。
【0003】
前記排水滅菌装置において、加熱による滅菌処理後の排水は、滅菌槽の底部に接続されている排水用配管に設けたバルブを開いて排水されていた。また、滅菌槽内には、排水ピット(排水槽)に一旦貯められた感染性排水が、真空ポンプによって真空吸引されるようになっている。真空ポンプと滅菌槽とを連通するためポンプ管には、滅菌槽内の空気を吸引する時に、吸引空気に含まれているかもしれない菌を捕捉するためのフィルターが介装されていた。
【0004】
【特許文献1】特開2003−53326号公報
【特許文献2】特開2004−313979号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述したような従来の排水滅菌装置では、先ず滅菌するための加熱の方式が、滅菌槽の外周に設置したジャケット内に蒸気を送入する蒸気加熱手段による間接加熱方式であるため、装置全体が複雑で大型化し、部品点数も多くなり、組立て工数が増大して、コストアップの要因になるという問題点があった。
【0006】
また、滅菌槽内における加熱時には、たとえ間接加熱方式であっても、滅菌槽内の感染性排水の温度は自然対流によってのみ上昇していた。従って、感染性排水の温度分布が悪く、滅菌槽内の上部は所定の温度まで上昇するのに対し、下部は所定の温度まで十分に上昇せずに温度ムラができ、滅菌効果が減殺されるという問題点があった。
【0007】
特に、前記間接加熱方式ではなく、例えば滅菌槽内にヒータを内装して直接的に加熱するような従来一般の装置の構成の場合には、装置全体の構成の簡易化は可能となるが、滅菌槽内において、ヒータの配置位置よりも上側でなければ温度が上昇しないという問題点があった。これは、滅菌槽内の上部の空気層の圧力が上昇することにより、感染性排水の流れを妨げるため対流が発生しないからであると推測される。
【0008】
また、滅菌処理後の排水は、滅菌槽の底部に接続された排水用配管から排水していたので、滅菌槽底部と排水バルブの配管内に貯まった感染性排水は、加熱時に対流が起こらず、また蒸気加熱手段の熱も伝わらないため、所定の滅菌温度に達しなかった。そのため、滅菌されていない感染性排水が排水されて安全でないという問題点があった。
【0009】
さらに、真空ポンプでは、滅菌槽からの吸引空気に含まれている可能性のある菌を捕捉するためのフィルターを介装するため、余分で高価な部品が必要になると共に、万一フィルターが詰まった場合には、真空ポンプがオーバーロードになり、排水滅菌装置が停止したり故障の原因になるという問題点もあった。
【0010】
本発明は、以上のような従来技術の有する問題点に着目してなされたもので、装置全体を簡易かつ安価に構成することができ、加熱時には強制的に対流を起こさせることにより十分な滅菌効果を得ることができ、また、滅菌されてない被処理排水が排出される虞がなく安全性が高く、さらに、真空ポンプに付随する滅菌用のフィルターが不要となり尚更コストダウンすることが可能な排水滅菌装置および排水滅菌方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述した目的を達成するための本発明の要旨とするところは、以下の各項の発明に存する。
[1]密閉式のタンク(20)内に供給された被処理排水を、加熱手段(30)により加熱して滅菌処理するための排水滅菌装置(10)において、
前記タンク(20)内の圧力に変化を与える圧力変更手段(40)を有し、
前記加熱手段(30)の作動により被処理排水が昇温してタンク(20)内の圧力が所定値以上になった後、前記圧力変更手段(40)の作動により前記タンク(20)内を一時的に減圧してタンク(20)内の圧力に変化を与えることによって、被処理排水に強制的に対流を発生させることを特徴とする排水滅菌装置(10)。
【0012】
[2]前記加熱手段(30)の作動により被処理排水が昇温してタンク(20)内の圧力が所定値以上になった時、該加熱手段(30)の作動を一旦停止して所定時間が経過した後、前記圧力変更手段(40)の作動により前記タンク(20)内を一時的に減圧してタンク(20)内の圧力に変化を与えることで、被処理排水に強制的に対流を発生させ、該圧力変更手段(40)の作動を停止させた後、再び前記加熱手段(30)を作動させて被処理排水を所定温度まで昇温させることを特徴とする[1]に記載の排水滅菌装置(10)。
【0013】
[3]排水槽(1)に貯められた被処理排水を真空吸引して前記タンク(20)内に送り込むための真空ポンプ(40)を有し、
前記真空ポンプ(40)を前記圧力変更手段(40)として兼用することを特徴とする[1]または[2]に記載の排水滅菌装置(10)。
【0014】
[4]前記真空ポンプ(40)は、ケーシングと、その内部に回転可能に配設した羽根車とから構成され、ケーシング内に封液を導入して羽根車を回転させることにより、連続的に吸入が可能な水封式真空ポンプ(40)から成り、
前記ケーシング内にて前記タンク(20)内から吸引した空気と混合した封液を排出する際、フィルターを介さず前記排水槽(1)内に導入することを特徴とする[3]に記載の排水滅菌装置(10)。
【0015】
[5]前記タンク(20)内に、その上部より底部に向かって延びるように排水用配管(55)の上流端側が導入され、該排水用配管(55)の下流端側は、前記上流端側の開口部より低い位置にて開口するように配設され、
前記タンク(20)内にて滅菌処理済みの被処理排水は、前記排水用配管(55)によりサイフォンの原理でタンク(20)外に排出することを特徴とする[1],[2],[3]または[4]に記載の排水滅菌装置(10)。
【0016】
[6]前記サイフォンを始動させるために前記排水用配管(55)に滅菌処理済みの被処理排水を満たす際、前記タンク(20)内の圧力を利用することを特徴とする[5]に記載の排水滅菌装置(10)。
【0017】
[7]密閉式のタンク(20)内に供給された被処理排水を、加熱手段(30)により加熱して滅菌処理するための排水滅菌方法において、
吸引工程と、昇温工程と、滅菌工程と、排水工程とを、少なくとも備え、
前記吸引工程は、排水槽(1)に貯められた被処理排水を、真空ポンプ(40)の作動により真空吸引して前記タンク(20)内に送り込む工程であり、
前記昇温工程は、前記加熱手段(30)の作動により被処理排水が昇温してタンク(20)内の圧力が所定値以上になった時、該加熱手段(30)の作動を一旦停止して所定時間が経過した後、前記真空ポンプ(40)の作動により前記タンク(20)内を一時的に減圧してタンク(20)内の圧力に変化を与えることで、被処理排水に強制的に対流を発生させ、該真空ポンプ(40)の作動を停止させた後、再び前記加熱手段(30)を作動させて被処理排水を所定温度まで昇温させる工程であり、
前記滅菌工程は、前記所定温度を維持して被処理排水を滅菌する工程であり、
前記排水工程は、前記タンク(20)内に、その上部より底部に向かって延びるように上流端側が導入され、該上流端側の開口部より低い位置にて下流端側が開口するように配設された排水用配管(55)により、タンク(20)内の滅菌処理済みの被処理排水をサイフォンの原理でタンク(20)外に排出し、該サイフォンを始動させるために前記排水用配管(55)に滅菌処理済みの被処理排水を満たす際、タンク(20)内の圧力を利用する工程であることを特徴とする排水滅菌方法。
【0018】
次に、前述した解決手段に基づく作用を説明する。
本発明に係る排水滅菌装置(10)において、排水滅菌装置(10)の構成を簡易化してコスト低減を実現するためには、滅菌のための加熱手段(30)を、前述した従来の蒸気加熱手段による間接加熱方式ではなく、例えばタンク(20)内に内装したヒータとすることが有効である。ところが、ヒータを用いた直接加熱方式の場合は、タンク(20)内において被処理排水の自然対流がほとんど生じないため、ヒータの配置位置よりも上側でなければ温度が上昇しなかった。
【0019】
かかる問題を解決するためには、加熱時にタンク(20)内の被処理排水に対流を発生させる必要があるが、発明者らの研究調査によれば、前記[1]に記載の排水滅菌装置(10)のように、加熱手段(30)の作動により被処理排水が昇温してタンク(20)内の圧力が所定値以上になった後、圧力変更手段(40)の作動によりタンク(20)内を一時的に減圧してタンク(20)内の圧力に変化を与えることによって、被処理排水に強制的に対流を発生させることができることが判明した。
【0020】
これにより、前記加熱手段(30)を、例えばタンク(20)内に内装したヒータとして、装置全体の構成を簡易化した場合であっても、加熱手段(30)の種類を問わず強制的に対流を発生させることができるから、コストダウンを実現すると共に、タンク(20)内の水温分布を均一化することができ、被処理排水における温度ムラが生ずることがなく、全域で所望の滅菌温度に加熱することが可能となる。
【0021】
より具体的には、前記[2]に記載の排水滅菌装置(10)のように、加熱手段(30)の作動により被処理排水が昇温してタンク(20)内の圧力が所定値以上になった時、該加熱手段(30)の作動を一旦停止して所定時間が経過した後、圧力変更手段(40)の作動によりタンク(20)内を一時的に減圧してタンク(20)内の圧力に変化を与えることで、被処理排水に強制的に対流を発生させることができる。前記圧力変更手段(40)の作動を停止させた後、再び加熱手段(30)を作動させて被処理排水を所定温度まで昇温させれば良い。
【0022】
ところで、前記[3]に記載の排水滅菌装置(10)のように、排水槽(1)に貯められた被処理排水を、真空ポンプ(40)により真空吸引して前記タンク(20)内に送り込むような場合、この真空ポンプ(40)を前記圧力変更手段(40)として兼用すれば良い。これにより、圧力変更手段(40)を別途用意する必要はなく、元もと必須の構成である真空ポンプ(40)をそのまま利用することにより、さらなる装置全体における構成の簡易化が可能となる。
【0023】
ここで、前記真空ポンプ(40)は、具体的には例えば前記[4]に記載したように、ケーシングと、その内部に回転可能に配設した羽根車とから構成され、ケーシング内に封液を導入して羽根車を回転させることにより、連続的に吸入が可能な水封式真空ポンプ(40)から構成すると良い。
【0024】
この場合に、ケーシング内にてタンク(20)内から吸引した空気と混合した封液を排出する際には、フィルターを介さず前記排水槽(1)内に導入する。これにより、水封用の水は加熱滅菌処理されるため、滅菌のためのフィルターが不要となる。従って、フィルターの目詰りにより排水滅菌装置(10)が停止することや故障の虞もなく、また、フィルターのメンテナンスも不要となる。
【0025】
また、前記[5]に記載の排水滅菌装置(10)によれば、前記タンク(20)内に、その上部より底部に向かって延びるように排水用配管(55)の上流端側を導入し、該排水用配管(55)の下流端側を、前記上流端側の開口部より低い位置にて開口するように配設して、滅菌処理済みの被処理排水は、前記排水用配管(55)によりサイフォンの原理でタンク(20)外に排出する。
【0026】
これにより、従来は一般に、タンク(20)の底部に排水管を連通するように接続したり、この接続部ないし排水管の途中に開閉する排水バルブを設けていたが、これらの構成が不要となる。また、タンク(20)底部と排水管内に貯まった加熱不十分な被処理排水を排出する虞もなくなり、安全性および信頼性を高めることができる。排水はタンク(20)底部より空気を吸ってサイフォン作用が途切れるまでであり、タンク(20)底部の滅菌されていない虞のある被処理排水は排出されない。
【0027】
ここで、前記[6]に記載したように、前記サイフォンを始動させるために前記排水用配管(55)に滅菌処理済みの被処理排水を満たす際、前記タンク(20)内の圧力をそのまま利用すれば、サイフォン始動のための特別な吸引操作ないし装置は不要となる。なお、タンク(20)内の圧力は、加熱による滅菌処理の直後であれば、タンク(20)内の被処理排水ないし上層の空気が熱せられて体積膨張により、通常の大気圧よりも加圧された状態となっている。
【0028】
さらにまた、前記[1]ないし[6]に記載の排水滅菌装置(10)を用いた具体的な処理としては、前記[7]に記載した排水滅菌方法が適している。すなわち、滅菌処理のサイクルとして、少なくとも吸引工程と、昇温工程と、滅菌工程と、排水工程とから成り、全て自動で行うことができるように制御する。
【0029】
前記吸引工程では、排水槽(1)に貯められた被処理排水を、真空ポンプ(40)の作動により真空吸引してタンク(20)内に送り込む。
前記昇温工程では、加熱手段(30)の作動により被処理排水が昇温してタンク(20)内の圧力が所定値以上になった時、該加熱手段(30)の作動を一旦停止して所定時間が経過した後、真空ポンプ(40)の作動によりタンク(20)内を一時的に減圧してタンク(20)内の圧力に変化を与えることで、被処理排水に強制的に対流を生じさせ、該真空ポンプ(40)の作動を停止させた後、再び加熱手段(30)を作動させて被処理排水を所定温度まで昇温させる。
【0030】
前記滅菌工程では、前記所定温度を維持して被処理排水を滅菌する。
前記排水工程は、前記タンク(20)内に、その上部より底部に向かって延びるように上流端側が導入され、該上流端側の開口部より低い位置にて下流端側が開口するように配設された排水用配管(55)により、タンク(20)内の滅菌処理済みの被処理排水をサイフォンの原理でタンク(20)外に排出する。ここで、サイフォンを始動させるために排水用配管(55)に滅菌処理済みの被処理排水を満たす際、タンク(20)内の圧力を利用する。
【発明の効果】
【0031】
本発明に係る排水滅菌装置および排水滅菌方法によれば、圧力変更手段の作動によりタンク内の圧力に変化を与えることによって、加熱手段の種類を問わず被処理排水に強制的に対流を発生させることができるから、コストダウンを実現すると共に、タンク内の水温分布を均一化することができ、被処理排水における温度ムラが生ずることがなく、全域で所望の滅菌温度に加熱することが可能となる。ここで圧力変更手段以外には、強制的に対流を起こさせるための特別な手段(エアー混入、撹拌用プロペラ等)も一切不要となる。
【0032】
また、前記圧力変更手段を兼用する真空ポンプが水封式真空ポンプから成り、該水封式真空ポンプのケーシング内にてタンク内から吸引した空気と混合した封液を排出する際、フィルターを介さず排水槽内に導入することにより、水封用の水は加熱滅菌処理されるため、滅菌のためのフィルターが不要となり、フィルターの目詰りによる装置の停止ないし故障の虞もなく、フィルターのメンテナンスも不要となる。
【0033】
さらに、前記タンク内における滅菌処理済みの被処理排水を、排水用配管によりサイフォンの原理を利用してタンク外に排出することにより、従来一般にタンクの底部に接続した排水管が不要となり、タンク底部に貯まった加熱不十分な被処理排水を排出する虞もなくなり、安全性および信頼性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、図面に基づき、本発明を代表する一の実施の形態を説明する。
図1〜図8は、本発明の一実施の形態を示している。
図1は、本発明の一実施の形態に係る排水滅菌装置の概念図である。図2は、同じく、排水滅菌装置の主要部を模式的に示す斜視図である。図3は、排水滅菌装置の主要部の外観を示す正面図である。
【0035】
本実施の形態に係る排水滅菌装置10は、滅菌タンク(密閉式のタンク)20内に供給された実験排水(被処理排水)を、滅菌タンク20内に内装してあるヒータ(加熱手段)30により加熱して滅菌処理する装置である。以下、遺伝子の組換え実験において出る実験排水(被処理排水)を加熱滅菌するための装置に適用した場合を例に説明する。
【0036】
図1に示すように、排水滅菌装置10は、装置本体を成すハウジング11(図2参照)に内装される滅菌タンク20、電気ヒータ30、真空ポンプ40および図示省略した制御盤等の他、各種配管と、ハウジング11の外部に配設される実験排水槽(排水槽)1および排水樋2を有している。実験排水槽1は、実験室から排水された実験排水を規定水位まで貯留するための水槽であり、排水樋2は、滅菌処理済みの実験排水を受け入れる樋である。
【0037】
滅菌タンク20は、単壁構造の円筒形の缶体として密閉式に構成された簡易圧力容器であり、上面は平板で底部は半球形の鏡板により構成されている。なお、保温のために外周にはグラスウール層を装着すると良い。滅菌タンク20内には、供給される実験排水のそれぞれ別々の高さ位置を検出するための2つの水位センサ21,22が配設されている。また、下方に位置する水位センサ22の直ぐ下側で、滅菌タンク20内の略中間の高さ位置には、電気ヒータ30が略水平に延びる状態で配設されている。
【0038】
電気ヒータ30は、具体的には例えば、丸棒状のフランジヒータやプラグヒータを用いると良い。滅菌タンク20内における電気ヒータ30の配設位置は、加熱効率上はタンク底部に設けることが適するが、電気ヒータ30は定期的に交換する等のメンテナンス上の問題があるので、タンク底部ではなく図1中に示したタンク内の略中間の高さ位置に配設する。また、滅菌タンク20の底部付近には、温度センサ23が配設されている。これにより、滅菌タンク20内の底部付近が所定の温度に達していることを判断することができるようになっている。
【0039】
また、滅菌タンク20には、配管を通じて真空ポンプ40が接続されている。真空ポンプ40は水封式であり、ケーシングと、その内部に回転可能に配設した羽根車とから構成され、羽根車はケーシングと偏心した位置に取り付けられている。ケーシング内に封液を導入して羽根車を回転させることにより、封液は遠心力によりケーシング内壁に押し付けられ水のリング(水環)を形成するように設定されている。
【0040】
ケーシング内において、前記水のリングの内壁と羽根車の羽根によって囲まれた空間の容積は、羽根車はケーシングとは偏心した位置に取り付けられているので、羽根車が回転するにつれて容積が変化する。この容積変化を利用して吸入、圧縮、排気の作用を連続的に行えるように構成されている。
【0041】
さらに、図1に示すように、滅菌タンク20や真空ポンプ40には、様々な配管が連通するように接続されている。本実施の形態に係る排水滅菌装置10を構成する配管としては、給水用配管51、真空ポンプ吸気用配管52、実験排水吸引用配管53、真空ポンプ排水用配管54、滅菌処理済み排水用配管55等が、それぞれ適所に配設されている。また、各種配管の随所には、後述するが電磁弁や手動弁等が配設されている。
【0042】
給水用配管51は、その上流端が装置外部にある市水の給水栓(図示せず。)に接続され、下流側は装置内部に延ばされて途中で2経路に分岐している。分岐した一方の第1給水用配管51Aの下流端は、真空ポンプ40に接続され、他方の第2給水用配管51Bの下流端は、後述する滅菌処理済み排水用配管55の下流側途中に混合弁501を介して接続されている。
【0043】
給水用配管51の途中には、給水栓に接続される上流側から順に、手動弁511、圧力計551、圧力スイッチ561がそれぞれ配設されている。また、第1給水用配管51Aの途中には、手動弁512、電磁弁521が配設されている。また、第2給水用配管51Bの途中には、電磁弁522が配設されている。
【0044】
真空ポンプ吸気用配管52は、真空ポンプ40と滅菌タンク20の上部(空気層)との間を連通するように接続されており、真空ポンプ40の作動によって真空ポンプ吸気用配管52より真空ポンプ40内の空気は吸い出されて減圧される。真空ポンプ吸気用配管52の途中には、真空ポンプ40側から順に逆止弁531、電磁弁523、ストレーナ571、それに圧力計552、圧力スイッチ562〜564がそれぞれ配設されている。圧力計552および圧力スイッチ562〜564によって、滅菌タンク20内の圧力を測定することができるようになっている。
【0045】
実験排水吸引用配管53は、その上流端が実験排水槽1の内部まで延ばされており、下流端は滅菌タンク20の上部に接続されている。実験排水吸引用配管53の途中には、その上流側から順に手動弁513、ストレーナ572、電磁弁524、逆止弁532がそれぞれ配設されている。
【0046】
真空ポンプ排水用配管54は、その上流端が真空ポンプ40に対して前記第1給水用配管51Aと連通するように接続され、下流端は実験排水槽1の内部を臨む位置まで延ばされている。真空ポンプ排水用配管54は、真空ポンプ40で使用した封水を排出するための配管である。このように、真空ポンプ40のケーシング内にて前記滅菌タンク20から吸引した空気と混合した封液を排出する際には、滅菌フィルターを介さず実験排水槽1内に導入するように設定されている。
【0047】
滅菌処理済み排水用配管55は、その上流端が滅菌タンク20の上部より底部に向かって延びるように滅菌タンク20内に導入され、下流端は、前記上流端側の開口部より低い位置にて開口するように、排水樋2を臨む位置まで延ばされている。滅菌処理済み排水用配管55の途中には、その上流側から順にストレーナ573、手動弁514、電磁弁525、前記第2給水用配管51Bの下流端が接続する混合弁501、それに温度センサ581がそれぞれ配設されている。
【0048】
滅菌タンク20内にて滅菌処理済みの実験排水は、滅菌処理済み排水用配管55によりサイフォンの原理で滅菌タンク20外に排出されるように構成されている。ここでサイフォンを始動させるために、滅菌処理済み排水用配管55に滅菌処理済みの実験排水を満たす際、詳しくは後述するが滅菌タンク20内の圧力を利用するようになっている。
【0049】
また、滅菌タンク20の底部には、実験排水戻り用配管56の上流端が接続されている。この実験排水戻り用配管56は本来は不要であるが、滅菌タンク20のメンテナンス用に設けられている。なお、滅菌タンク20の上部には、安全弁逃し用配管57の上流端が接続されている。安全弁逃し用配管57は、滅菌タンク20内が圧力異常の際に、滅菌タンク20内を減圧するためのものである。
【0050】
次に、本実施の形態に係る排水滅菌装置10の作用を説明する。
排水滅菌装置10において、加熱手段として電気ヒータ30を採用したことにより、間接加熱方式の装置に比べて構成を簡易化しコスト低減を実現することができる。ところが、電気ヒータ30を用いた直接加熱方式の場合には、従来一般の装置では、滅菌タンク20内において実験排水の自然対流がほとんど生じなかった。
【0051】
そこで、本排水滅菌装置10では、電気ヒータ30の作動により実験排水が昇温して滅菌タンク20内の圧力が所定値以上になった後、真空ポンプ40の作動により滅菌タンク20内を一時的に減圧して滅菌タンク20内の圧力に変化を与えることによって、実験排水に強制的に対流を発生させる。
【0052】
これにより、前記電気ヒータ30など加熱手段の種類を問わず、強制的に対流を発生させることができるから、コストダウンを実現すると共に、滅菌タンク20内の水温分布を均一化することができ、実験排水における温度ムラが生ずることがなく、実験排水の全域で所望の滅菌温度に加熱することが可能となる。
【0053】
滅菌タンク20内の圧力の変化により実験排水が強制的に対流する原理は、必ずしも明らかではないが、滅菌タンク20内の実験排水ないし上層の空気が熱せられて体積膨張により加圧された状態において、急激に圧力が下がることにより、強制的に対流が発生するものと考えられる。
【0054】
このような原理は、滅菌タンク20の容量に関係なく応用可能であることが発明者らの実験により実証されている。本排水滅菌装置10においては、滅菌タンク20内の圧力に変化を与える真空ポンプ40以外には、強制的に対流を起こさせるための特別な手段(エアー混入、撹拌用プロペラ等)は一切不要となる。
【0055】
詳しくは後述するが、より具体的には、電気ヒータ30の作動により実験排水が昇温して滅菌タンク20内の圧力が所定値以上になった時、該電気ヒータ30の作動を一旦停止して所定時間が経過した後、真空ポンプ40の作動により滅菌タンク20内を一時的に減圧して滅菌タンク20内の圧力に変化を与えることで、実験排水に強制的に対流を発生させることができる。
【0056】
ここで、電気ヒータ30の作動を一旦停止して所定時間が経過してから、滅菌タンク20内の圧力に変化を与えることにより、いっそう確実に実験排水に強制的な対流が発生することが、発明者らの実験により確認されている。その原理としては、電気ヒータ30の作動を一旦停止することで、実験排水が冷えて比重が重くなり、これにより対流がより発生しやすいことが推測される。
【0057】
そして、前記真空ポンプ40の作動を停止させた後、再び電気ヒータ30を作動させて実験排水を所定温度まで昇温させる。これにより、実験排水における温度ムラが生ずることがなく、その全域で所望の滅菌温度に加熱することが可能となる。なお、電気ヒータ30の作動による加熱時には、原則として真空ポンプ40の作動は停止している状態にあり、滅菌タンク20内における圧力変化を発生させる時のみ一時的に作動させることになる。
【0058】
以上のような排水滅菌装置10を用いた具体的な排水滅菌方法としては、1サイクルが待機工程、吸引工程、真空工程、昇温工程、滅菌工程、排水工程、通気工程の全部で7工程の制御から成り、排水滅菌装置10によって全て自動で行うことができる。このうち特に、吸引工程と、昇温工程と、滅菌工程と、排水工程の4つの工程は必須となる。本実施の形態に係る排水滅菌装置10の基本的な仕様としては、処理能力は1サイクルで25リットルであり、最高使用温度は121℃、1サイクルの処理時間は約2時間、排水温度は45℃以下である。
【0059】
以下、各々の工程を図4に示す制御フローチャートに沿って説明する。
先ず待機工程は、排水滅菌装置10が作動せずに待機状態にある工程である。待機工程では、実験排水槽1の水量(水位)が、未だ滅菌処理の規定水量に達していない状態となっている。規定水量であるか否かは、実験排水槽1に付設された外部センサによって判断される。この待機工程では、全ての電動弁521〜525は、それぞれ閉状態にある。なお、待機時には、図示省略した「待機」ランプが点灯するようになっている(図4参照)。
【0060】
次の吸引工程は、実験排水槽1の実験排水を滅菌タンク20に汲み上げる工程である。実験排水槽1の水量が滅菌処理の規定水量に達した場合には、真空ポンプ40が作動し滅菌タンク20内を陰圧にして、実験排水槽1内の実験排水を圧力差によって滅菌タンク20内まで吸い上げる。
【0061】
吸引工程では、給水用配管51にある電磁弁521、真空ポンプ吸気用配管52にある電磁弁523、実験排水吸引用配管53にある電動弁524を、それぞれ開状態にし、第2給水用配管51Bにある電磁弁522は閉状態にする。かかる状態での実際の経路の流れは図6に示す。実験排水が滅菌タンク20内の運転水位(例えば25リットル)まで達すると、水位センサ21によって検知される。なお、吸引時には、図示省略した「吸引」ランプが点灯するようになっている(図4参照)。
【0062】
このように、実験排水槽1に貯められた実験排水を、真空ポンプ40により真空吸引して滅菌タンク20内に送り込むが、真空ポンプ40を前記圧力変更手段として兼用したことにより、圧力変更手段を別途用意する必要はなく、元もと必須の構成である真空ポンプ40をそのまま利用することにより、さらなる装置全体における構成の簡易化が可能となる。
【0063】
真空工程は、滅菌タンク20内の空気抜きを行う工程である。滅菌タンク20内の水量が滅菌処理の規定水量に達した場合には、実験排水吸引用配管53にある電動弁524を閉状態に切り替えて、真空ポンプ40はそのまま作動させて、滅菌タンク20内の上部に貯まっている空気抜きを行う。かかる状態での実際の経路の流れは図7に示す。
【0064】
滅菌タンク20内が真空であるか否かは、真空ポンプ吸気用配管52の途中に接続されている圧力スイッチ562〜564によって検知し、滅菌タンク20内の圧力が、例えば−0.02MPa未満になったら、真空ポンプ40の作動を停止する。滅菌タンク20内の圧力は、真空ポンプ吸気用配管52の途中に接続された圧力計552および圧力スイッチ562〜564によって測定することができる。なお、空気抜き時は、図示省略した「吸引」ランプが点灯するようになっている(図4参照)。
【0065】
ところで、前記吸引工程や前記真空工程において、真空ポンプ40の作動中にケーシング内で滅菌タンク20内から吸引した空気と混合した封液を排出する際には、真空ポンプ排水用配管54によりフィルターを介さず排水槽1内に封水を導入している。これにより、水封用の水は加熱滅菌処理されるため、滅菌のためのフィルターが不要となる。従って、フィルターの目詰りにより排水滅菌装置10が停止することや故障の虞もなく、また、フィルターのメンテナンスも不要となる。
【0066】
昇温工程は、滅菌タンク20内の実験排水を電気ヒータ30により加熱する工程である。昇温工程では、真空ポンプ40の作動は停止しており、給水用配管51にある電磁弁521、真空ポンプ吸気用配管52にある電磁弁523、実験排水吸引用配管53にある電動弁524は、それぞれ閉状態にある。
【0067】
電気ヒータ30の加熱による実験排水の昇温によって、滅菌タンク20内の圧力が高まるが、所定値(例えば0.05MPa)以上になったら、電気ヒータ30の通電を一旦停止する。そして、電気ヒータ30の停止から所定時間(例えば3分)の経過後に、真空ポンプ40を一時的に短時間(例えば15秒)だけ作動させて、滅菌タンク20内の圧力に変化を与える。
【0068】
すなわち、滅菌タンク20内を急激に減圧する。これにより、実験排水に強制的に対流が発生して、滅菌タンク20内の水温分布を均一化することができ、実験排水における温度ムラが生ずることがなく、実験排水の全域で加熱することが可能となる。なお、真空ポンプ40の作動中は、第1給水用配管51Aにある電磁弁521と真空ポンプ吸気用配管52にある電磁弁523を、それぞれ一時的に開状態とする。
【0069】
図5は、実験排水の温度と時間の経過との相関関係を示すグラフである。図5中に示したように、昇温工程の前半では、電気ヒータ30の作動により、該電気ヒータ30よりも上層の実験排水は徐々に昇温するが、電気ヒータ30よりも下層の実験排水ではほとんど温度変化が見られない。
【0070】
電気ヒータ30よりも上層の実験排水の温度(図5中の温度センサ1により検知)が、111℃まで昇温すると滅菌タンク20内の圧力は0.05MPaとなり、この時点で電気ヒータ30の通電を一旦停止する。そして、電気ヒータ30の停止から3分経過後に、真空ポンプ40を一時的に15秒だけ作動させると、滅菌タンク20内の圧力変化により強制的に対流が発生し、電気ヒータ30よりも下層の実験排水の温度(図5中の温度センサ2により検知)も急激に上昇する。
【0071】
電気ヒータ30の上層と下層の実験排水の温度が、101℃で等しくなった時点で再び電気ヒータ30に通電して、実験排水を所定の滅菌温度(例えば121℃)まで昇温させる。なお、昇温時は、図示省略した「昇温」ランプが点灯するようになっている(図4参照)。
【0072】
滅菌工程は、前記滅菌温度(例えば121℃)を維持して、実験排水を滅菌して不活化する工程である。滅菌工程では、前記昇温工程と同様に真空ポンプ40の作動は停止しており、給水用配管51にある電磁弁521、真空ポンプ吸気用配管52にある電磁弁523、実験排水吸引用配管53にある電動弁524は、それぞれ閉状態にある。
【0073】
滅菌工程における滅菌温度と、この温度に対応した滅菌時間は予め設定されている。本実施の形態では、具体的には例えば、滅菌温度が121℃で滅菌時間を20分と設定している。かかる滅菌温度を維持するように、電気ヒータ30のONないしOFFが滅菌時間に亘って制御される。
【0074】
詳しくは、温度センサ23(図1参照)により検知された温度が、121.5℃以下に下がったら電気ヒータ30の通電をONとし、122.5℃以上に上がったら電気ヒータ30の通電をOFFにする制御を、滅菌時間に亘って繰り返すことになる。なお、滅菌時は、図示省略した「滅菌」ランプが点灯するようになっている(図4参照)。
【0075】
排水工程は、前述した滅菌工程の終了後に滅菌タンク20内の実験排水を排水する工程である。排水工程では、滅菌処理済み排水用配管55にある電磁弁525、第2給水用配管51Bにある電磁弁522をそれぞれ開状態とする。詳しくは、第2給水用配管51Bにある電磁弁522を先ず開状態とし、その後例えば5秒間が経過した後、滅菌処理済み排水用配管55にある電動弁525を開状態とすると良い。
【0076】
滅菌タンク20内には、図1に示すように、滅菌処理済み排水用配管55の上流端側がタンク上部より底部に向かって延びるように導入され、該滅菌処理済み排水用配管55の下流端側は、前記上流端側の開口部より低い位置にて開口する。かかる滅菌処理済み排水用配管55によって、滅菌タンク20内の滅菌処理済みの実験排水は、サイフォンの原理で滅菌タンク20外に排出される。
【0077】
滅菌タンク20内の圧力は滅菌時には0.11MPa(11mH20)となり、この圧力をそのまま利用して前記サイフォンを始動させ、滅菌タンク20内の実験排水をタンク内部より押し出すように排水することができる。このように滅菌タンク20内の圧力をそのまま利用することで、サイフォン始動のための特別な吸引操作ないし装置は不要となる。
【0078】
滅菌処理済み排水用配管55による排水は、滅菌タンク20底部に延びた滅菌処理済み排水用配管55の下流端開口より空気を吸ってサイフォン作用が途切れるまでであり、滅菌タンク20底部における実験排水は排水されず、滅菌が不十分な虞のある実験排水は滅菌タンク20内に残ったままとなる。これにより、排水滅菌装置10の安全性および信頼性が高まる。
【0079】
滅菌タンク20から排出された実験排水は、その排出途中で第2給水用配管51Bから供給された冷却水(市水)と混合され、所定の排水温度(例えば45℃)以下に冷却されてから排水樋2に排出される。かかる状態での実際の経路の流れは図8に示す。なお、温度センサ581による検知温度が排水温度(例えば45℃)を越える時は、電動弁525を閉状態として実験排水の排出を中断する。
【0080】
実験排水の排水完了は、滅菌タンク20に連通した真空ポンプ吸気用配管52にある圧力計552により判断する。すなわち、圧力計552により検出した滅菌タンク20内の圧力が0.04MPa以下になったら、排水を完了したと判断する。なお、排水時は、図示省略した「排水」ランプが点灯するようになっている(図4参照)。
【0081】
通気工程は、前述した排水工程の終了後に、滅菌タンク20内に通気して圧力を常圧に戻す工程である。通気工程では、前記排水工程に続いて滅菌処理済み排水用配管55にある電動弁525は開状態とするが、第2給水用配管51Bにある電磁弁522は閉状態とする。なお、通気時は、図示省略した「通気」ランプが点灯するようになっている(図4参照)。
【0082】
前述した7つの工程から成る排水滅菌方法は、排水滅菌装置10の制御盤(図示せず)により全て自動的に実行される。制御盤は、より具体的には、各種制御の中枢的機能を果たすCPU(中央処理装置)と、CPUの実行するプログラムや各種の固定的データを記憶するROMと、プログラムを実行する上で一時的に必要になるデータを記憶するためのRAM等を主要部とする回路により構成されている。
【0083】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は前述した実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。例えば、実験排水吸引用配管53に設けたストレーナ572の目詰まりを事前に把握するため、「目詰」ランプを装備して、ストレーナ572が目詰まりを起こし始めている時に「目詰」ランプを点灯させるように制御しても良い。
【0084】
また、排水滅菌装置10における安全装置として過電流継電器、ヒータリミッタ等を附属させて、機器に異常が生じた場合には、安全装置を作動させて必要な処置を実行すると共に、同時にエラーコード表示により異常を表示し、ブザーを鳴らすように構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】本発明の一実施の形態に係る排水滅菌装置を示す概念図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る排水滅菌装置の主要部を模式的に示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係る排水滅菌装置の主要部の外観を示す正面図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係る排水滅菌方法を説明するためのフローチャートである。
【図5】本発明の一実施の形態に係る排水滅菌装置における実験排水の温度と時間の経過との相関関係を示すグラフである。
【図6】本発明の一実施の形態に係る排水滅菌方法における吸引工程の経路を説明するための概念図である。
【図7】本発明の一実施の形態に係る排水滅菌方法における真空工程の経路を説明するための概念図である。
【図8】本発明の一実施の形態に係る排水滅菌方法における排水工程の経路を説明するための概念図である。
【符号の説明】
【0086】
1…実験排水槽
2…排水樋
10…排水滅菌装置
20…滅菌タンク
21…水位センサ
22…水位センサ
23…温度センサ
30…電気ヒータ
40…真空ポンプ
51…給水用配管
51A…第1給水用配管
51B…第2給水用配管
52…真空ポンプ吸気用配管
53…実験排水吸引用配管
54…真空ポンプ排水用配管
55…滅菌処理済み排水用配管
56…実験排水戻り用配管
57…安全弁逃し用配管
501…混合弁
511…手動弁
512…手動弁
513…手動弁
514…手動弁
521…電磁弁
522…電磁弁
523…電磁弁
524…電磁弁
525…電磁弁
531…逆止弁
532…逆止弁
551…圧力計
552…圧力計
561…圧力スイッチ
562…圧力スイッチ
563…圧力スイッチ
564…圧力スイッチ
571…ストレーナ
572…ストレーナ
573…ストレーナ
581…温度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉式のタンク内に供給された被処理排水を、加熱手段により加熱して滅菌処理するための排水滅菌装置において、
前記タンク内の圧力に変化を与える圧力変更手段を有し、
前記加熱手段の作動により被処理排水が昇温してタンク内の圧力が所定値以上になった後、前記圧力変更手段の作動により前記タンク内を一時的に減圧してタンク内の圧力に変化を与えることによって、被処理排水に強制的に対流を発生させることを特徴とする排水滅菌装置。
【請求項2】
前記加熱手段の作動により被処理排水が昇温してタンク内の圧力が所定値以上になった時、該加熱手段の作動を一旦停止して所定時間が経過した後、前記圧力変更手段の作動により前記タンク内を一時的に減圧してタンク内の圧力に変化を与えることで、被処理排水に強制的に対流を発生させ、該圧力変更手段の作動を停止させた後、再び前記加熱手段を作動させて被処理排水を所定温度まで昇温させることを特徴とする請求項1に記載の排水滅菌装置。
【請求項3】
排水槽に貯められた被処理排水を真空吸引して前記タンク内に送り込むための真空ポンプを有し、
前記真空ポンプを前記圧力変更手段として兼用することを特徴とする請求項1または2に記載の排水滅菌装置。
【請求項4】
前記真空ポンプは、ケーシングと、その内部に回転可能に配設した羽根車とから構成され、ケーシング内に封液を導入して羽根車を回転させることにより、連続的に吸入が可能な水封式真空ポンプから成り、
前記ケーシング内にて前記タンク内から吸引した空気と混合した封液を排出する際、フィルターを介さず前記排水槽内に導入することを特徴とする請求項3に記載の排水滅菌装置。
【請求項5】
前記タンク内に、その上部より底部に向かって延びるように排水用配管の上流端側が導入され、該排水用配管の下流端側は、前記上流端側の開口部より低い位置にて開口するように配設され、
前記タンク内にて滅菌処理済みの被処理排水は、前記排水用配管によりサイフォンの原理でタンク外に排出することを特徴とする請求項1,2,3または4に記載の排水滅菌装置。
【請求項6】
前記サイフォンを始動させるために前記排水用配管に滅菌処理済みの被処理排水を満たす際、前記タンク内の圧力を利用することを特徴とする請求項5に記載の排水滅菌装置。
【請求項7】
密閉式のタンク内に供給された被処理排水を、加熱手段により加熱して滅菌処理するための排水滅菌方法において、
吸引工程と、昇温工程と、滅菌工程と、排水工程とを、少なくとも備え、
前記吸引工程は、排水槽に貯められた被処理排水を、真空ポンプの作動により真空吸引して前記タンク内に送り込む工程であり、
前記昇温工程は、前記加熱手段の作動により被処理排水が昇温してタンク内の圧力が所定値以上になった時、該加熱手段の作動を一旦停止して所定時間が経過した後、前記真空ポンプの作動により前記タンク内を一時的に減圧してタンク内の圧力に変化を与えることで、被処理排水に強制的に対流を発生させ、該真空ポンプの作動を停止させた後、再び前記加熱手段を作動させて被処理排水を所定温度まで昇温させる工程であり、
前記滅菌工程は、前記所定温度を維持して被処理排水を滅菌する工程であり、
前記排水工程は、前記タンク内に、その上部より底部に向かって延びるように上流端側が導入され、該上流端側の開口部より低い位置にて下流端側が開口するように配設された排水用配管により、タンク内の滅菌処理済みの被処理排水をサイフォンの原理でタンク外に排出し、該サイフォンを始動させるために前記排水用配管に滅菌処理済みの被処理排水を満たす際、タンク内の圧力を利用する工程であることを特徴とする排水滅菌方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−200564(P2008−200564A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−36741(P2007−36741)
【出願日】平成19年2月16日(2007.2.16)
【出願人】(390010054)小糸工業株式会社 (136)
【Fターム(参考)】