排泄物配送装置
【課題】 自立的に排泄不能な使用者が、ベッドや車椅子などで使用でき、固い排泄物であっても目詰まり無く配送できる排泄物配送装置を提供する。
【解決手段】 人体の局所に装着可能に形成された受け部2を、可撓性のある導管5の一端部に接続し、導管5の他端部を、導管5の内容物を吸引する吸引部9に接続し、らせん状に旋回し可撓性を有するスパイラル芯材6を、導管5内部へ回転可能に挿入し、スパイラル芯材6に複数の羽根部7を植設し、スパイラル芯材6に駆動部8の回転力を印加してなる排泄物配送装置1により、固い固形の排泄物などであっても、スムーズに配送される。この排泄物配送装置1が組み込まれた排泄物処理装置などにより、自立的な排泄が困難な使用者にとって、ベッドや車椅子での簡易的な排泄が容易となる。
【解決手段】 人体の局所に装着可能に形成された受け部2を、可撓性のある導管5の一端部に接続し、導管5の他端部を、導管5の内容物を吸引する吸引部9に接続し、らせん状に旋回し可撓性を有するスパイラル芯材6を、導管5内部へ回転可能に挿入し、スパイラル芯材6に複数の羽根部7を植設し、スパイラル芯材6に駆動部8の回転力を印加してなる排泄物配送装置1により、固い固形の排泄物などであっても、スムーズに配送される。この排泄物配送装置1が組み込まれた排泄物処理装置などにより、自立的な排泄が困難な使用者にとって、ベッドや車椅子での簡易的な排泄が容易となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病人や介護を必要とする患者にとって、ベッドや車椅子などでも使用できる簡易型トイレなどに用いられる排泄物配送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
病気や怪我、あるいは加齢によりトイレで自立的に排泄不能な病人や、高齢者にとって、ベッドや車椅子などで使用できる簡易型トイレなどが利用されている。また、このような簡易型トイレでは、別に設けられたタンクなどに、排泄物を配送する装置が用いられる。配送装置により排泄物が配送され、利用者の衛生環境や清潔感が維持される。
【0003】
特許文献1は、このような自動排泄物処理装置を開示する。特許文献1で開示される自動排泄処理装置では、吸引ポンプにより吸引用配管を通じて排泄物が配送される。
【0004】
しかしながら、特許文献1で開示される自動排泄物処理装置では、吸引されるだけであるので、固い排泄物などは、十分に配送されず、吸引用配管に詰まるなどする不具合がある。このように排泄物が吸引用配管に詰まると、装置の故障などが生じ、使用者にとって非常に不便である。特に、使用者は病人など、自分で種々の作業ができない者が通常であり、吸引用配管の目詰まりや、これに伴う装置の故障などに対処することができない問題もある。また、衛生状態も悪くなる。
【0005】
特許文献2、3、4、5は、排泄物の処理装置や、簡易型トイレについて開示する。特許文献2などは、排泄物を配送する装置について開示する。
【0006】
しかしながら、特許文献2、3、4、5に開示される簡易型トイレなどは、建物や戸外に固定的に設置され、自立的に排泄できる使用者に利用される。すなわち、これらの簡易型トイレなどは、可撓性を有さない構造のため、ベッドや車椅子などでの設置が困難である問題を有している。特許文献2などに開示される簡易型トイレなどは、屈曲や湾曲などが困難であり、ベッドから床などに向けて設置できない。このため、自立的に排泄が困難な使用者にとっての適用は困難である問題がある。
【特許文献1】特開2002−58692号公報
【特許文献2】実開昭64−53736号公報
【特許文献3】実開昭62−100097号公報
【特許文献4】実開平2−17539号公報
【特許文献5】実開平2−33232号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は、自立的に排泄不能な使用者が、ベッドや車椅子などで使用でき、固い排泄物であっても目詰まり無く配送できる可撓性のある排泄物配送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明に係る排泄物配送装置は、人体の股部に装着可能に形成された受け部を、可撓性のある導管の一端部に接続し、導管の他端部を、導管の内容物を吸引する吸引部に接続し、らせん状に旋回し可撓性を有するスパイラル芯材を、導管内部へ回転可能に挿入し、スパイラル芯材に複数の羽根部を植設し、スパイラル芯材に駆動部の回転力を印加してなる。
【0009】
この構成により、排泄物配送装置は、屈曲や湾曲などの可撓性をもって、設置場所の形状に柔軟に対応して設置される。また、固い固形物の排泄物であっても、導管内部が目詰まりを起こすことなく、確実に配送される。
【0010】
第2の発明に係る排泄物配送装置では、複数の羽根部は、隣接する羽根部との間に空隙を有する。
【0011】
この構成により、羽根部が植設されたスパイラル芯材は、屈曲し、湾曲する。
【0012】
第3の発明に係る排泄物配送装置では、複数の羽根部の少なくとも一部を、千鳥配列に植設してなる。
【0013】
この構成により、羽根部が植設されたスパイラル芯材は、屈曲し、湾曲する。また、排泄物が残されること無く、配送される。
【0014】
第4の発明に係る排泄物配送装置では、複数の羽根部少なくとも一部を、くしの歯状に植設してなる。
【0015】
この構成により、排泄物が、細かく粉砕されて、配送されやすくなる。
【0016】
第5の発明に係る排泄物配送装置では、複数の羽根部の少なくとも一部を、スパイラル芯材の形成する仮想円周の内周に植設してなる。
【0017】
この構成により、羽根部が植設されたスパイラル芯材の回転により生じる搬送力が高まる。
【0018】
第6の発明に係る排泄物配送装置では、複数の羽根部の外縁の少なくとも一部を尖らせてなる。
【0019】
この構成により、排泄物が確実に粉砕され、排泄物が容易に配送される。
【0020】
第7の発明に係る排泄物配送装置では、導管内部に、可撓性のある導光管を挿入し、導光管に光線を照射する光源を設け、導管内部を光触媒処理してなる。
【0021】
この構成により、導管内部が、衛生的かつ清潔に保たれる。
【0022】
第8の発明に係る排泄物配送装置では、導光管をスパイラル芯材のらせんの軸心に装着し、導光管をスパイラル芯材の回転軸としてなる。
【0023】
この構成により、スパイラル芯材の回転が容易になる。
【0024】
第9の発明に係る排泄物配送装置では、導光管に間接部を設けてなる。
【0025】
この構成により、導光管が容易に屈曲し、湾曲する。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、病人や高齢者のように自立的に排泄行為が困難な者にとっても、ベッドや車椅子などに簡易型の排泄処理装置が容易に設置される。特に、本発明による排泄物配送装置は可撓性を有しているため、ベッドや車椅子などに設置する場合に、屈曲、湾曲させることが容易であり、設置場所の形状などに適した設置が可能となる。
【0027】
特に、導管やスパイラル芯材が可撓性を有していることに加えて、複数の羽根部により、屈曲に対応する。
【0028】
また、導管内部に回転可能なスパイラル芯材が設けられているので、固い固形の排泄物などであっても目詰まりを起こすことなく配送される。特に、設置場所によって導管が水平になってしまった場合でも、スパイラル芯材の搬送力により、排泄物は滞りなく配送される。このため、配送が困難になることによる使用者の不快感も生じない。
【0029】
更に、導光管と光触媒処理により、導管内部も清潔に保たれ、使用者にとっての衛生状態が好適に維持される。
【0030】
目詰まりや汚濁の防止が適切に図られることにより、排泄物配送装置の修理や交換に必要なコストも低減し、介護などに適している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0032】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における排泄物配送装置の斜視図である。図2は、本発明の実施の形態1における受け部付近の斜視図である。図3は、本発明の実施の形態1における受け部の側断面図である。図4は、本発明の実施の形態1における受け部が人体に装着された状態を示す図である。
【0033】
排泄物配送装置1は、次の要素を備えている。
【0034】
排泄物を受ける受け部2の一端部に、可撓性のある導管5が接続されている。導管5の他端部には、吸引部9が接続されている。導管5の内部に、らせん状に旋回し可撓性があるスパイラル芯材6が、回転可能に挿入されている。更に、スパイラル芯材6には、複数の羽根部7が植設されている。更に、スパイラル芯材6を回転させる駆動部8が設けられ、さらに導管5を経由して配送された排泄物を溜めるタンク11も設けられている。
【0035】
なお、駆動部8と吸引部9は、タンク11内部に一体的に形成されても良い。
【0036】
まず、受け部2について説明する。
【0037】
受け部2は、人体の股部に装着可能に形成されており、人体からの排泄物を受ける。受け部2の形状は、様々であるが、好ましくは排泄物を受けやすいよう、人体の股部にフィットする形状である。例えば、図2に示されるように、股部の前後を覆うような、「略くの字」の形状などが好適である。また、人体装着時の不快感を低減するために、人体に触れる部分が軟質の樹脂やゴム、あるいは繊維などで形成されるのも良い。
【0038】
受け部2は、窪み部3を更に備える。窪み部3は、人体装着時に、股部との間の空隙を形成し、この空隙に人体からの排泄物が受け止められる。窪み部3は、導管5の入り口を備えており、窪み部3に溜まった排泄物は、この入り口から導管5に送出される。窪み部3が設けられることにより、人体装着時に排泄物が人体と密着することが防止され、使用者の不快感が低減される。また、排泄物の受け部2からのあふれ出しが防止される。
【0039】
なお、図3、図4に示されるように、受け部2は、人体の排泄器官を洗浄する洗浄ノズル14を備えることもよい。また、受け部2や窪み部3は、排泄物などが付着しにくいように、高分子ポリマーシリコンコーティングなどが施されていることも好適である。
【0040】
また、受け部2は、導管5から取り外し可能である。取り外し可能であることで、容易に洗浄され、また取替え部品との交換もなされる。
【0041】
受け部2には、装着バンド4が設けられ、人体15への装着が容易に行われる。図4に、人体15に受け部2が装着されている状態が示されている。
【0042】
次に、導管5について説明する。
【0043】
導管5は、可撓性のある素材で形成され、受け部2に接続されて、排泄物をタンク11まで配送する。
【0044】
導管5は、例えば、ナイロン(登録商標)、ポリウレタン、ナイロン(登録商標)とポリウレタンの混合材、ポリエチレンナフタレート(PEN)などの素材で形成される。あるいは、軟性樹脂などで形成される。また、これらの素材は低摩擦であり、排泄物がスムーズに配送される。
【0045】
このような可撓性のあるやわらかい素材で形成されることで、設置場所に応じて、導管5は、容易に折り曲げ、屈曲、湾曲される。すなわち、ベッドや車椅子など、排泄が行われる人体の股部の位置と、排泄物が溜められるタンク11との間の形状や障害物などに合わせて、配送を行う導管5が設置される。
【0046】
また、導管5は抗菌加工されることも好適である。抗菌加工により、衛生状態が維持される。
【0047】
次に、スパイラル芯材6について説明する。
【0048】
スパイラル芯材6は、らせん形状を有しており、導管5と同様に可撓性を有し、回転可能に導管5内部に挿入されている。また、スパイラル芯材6は、ナイロン(登録商標)やポリウレタン、これらの合成素材などの軟性樹脂、あるいはゴム、ビニール樹脂などで形成される。このような可撓性を有し、摩擦の低い素材で形成されることで、導管5内部に挿入されている場合でも、容易に折り曲げられ、屈曲され、あるいは湾曲される。結果として、スパイラル芯材6が挿入された導管5は、設置場所の形状や障害物に合わせて、柔軟に設置される。
【0049】
また、スパイラル芯材6は、駆動部8による駆動力の印加を受けて回転する。すなわち、スパイラル芯材6は、回転による搬送力を生じ、導管5内部の排泄物を効率的且つ強力に配送する。
【0050】
また、導管5などと同様に、スパイラル芯材6も高分子ポリマーシリコンコーティング加工や抗菌処理が行われることで、排泄部などの付着が防止され、衛生状態が維持される。
【0051】
なお、スパイラル芯材6は、導管5全長において、少なくとも一部に挿入されておけばよい。
【0052】
次に、図5〜図8をもちいて、羽根部7について説明する。
【0053】
図5、図6は、本発明の実施の形態1における導管内部の斜視図である。図7(a)〜図7(e)は、本発明の実施の形態1における羽根部の正面図である。図8は、本発明の実施の形態1における羽根部の側面図である。
【0054】
まず、複数の羽根部7が、スパイラル芯材6に植設されている。羽根部7は、スパイラル芯材6からの凸部であり、スパイラル芯材6の回転に伴って排泄物を粉砕し、配送する。スパイラル芯材6だけでは粉砕しきれない排泄物も、スパイラル芯材6から突出した羽根部7により、容易に粉砕される。このため、導管5を介した排泄物の配送は、より容易となる。更に羽根部7は、スパイラル芯材6の回転により生じる渦流をさらに強力にするので、搬送力を高める役割を果たす。
【0055】
すなわち、複数の羽根部7がスパイラル芯材6に植設されることで、排泄物はより確実に粉砕されて配送され、導管5内部での排泄物などの目詰まりが防止される。
【0056】
スパイラル芯材6には、複数の羽根部7が設けられており、複数の羽根部7は、それぞれ独立に植設されている。このため、一つ一つの羽根部7のスパイラル芯材6に沿った幅は小さく、個々の羽根部7は、隣接する羽根部7との間の応力に柔軟に対応する。このため、導管5やスパイラル芯材6が湾曲される場合でも、これに応じて湾曲する。例えば、羽根部7は、その隣接する羽根部7との間に空隙を有している。スパイラル芯材6が湾曲されたり、屈曲されたりする場合に生ずる応力が、この空隙により逃がされて、羽根部7が植設されていてもスパイラル芯材6は、柔軟に屈曲され、湾曲される。
【0057】
例えば、図5や図7(c)に示されるように、複数の羽根部7は、隣接する羽根部7との間に隙間を有して、整列して植設される。このように植設されることで、羽根部7が植設されたスパイラル芯材6(スパイラル芯材6が挿入された導管5)は、柔軟に屈曲され、湾曲される。
【0058】
また、図6や図7(a)に示されるように、複数の羽根部7は、千鳥配列で植設されてもよい。千鳥配列で植設されることで、複数の羽根部7が交互に並ぶ。このため、導管5の軸心方向から見て、羽根部7の隣接部には隙間がなくなり、排泄物が残されること無く配送される。更に、千鳥配列であることで、隣接する羽根部7同士は分離しているため、スパイラル芯材6の屈曲や湾曲により生じる応力は、逃がされる。結果として、千鳥配列で複数の羽根部7が植設されているスパイラル芯材6は、柔軟に屈曲され、湾曲される。
【0059】
あるいは、図7(d)に示されるように、複数の羽根部7は、くしの歯状に植設されてもよい。くしの歯状に植設されていることで、排泄物、特に固い排泄物の粉砕力が高まる。また、くしの歯状に植設される場合に、個々の羽根部7が細身に形成され、非常に多くの羽根部7が植設されることで、固形の排泄物が、非常に細かく粉砕される。細かく粉砕されることで、粉砕された排泄物の配送が容易となる。
【0060】
なお、複数の羽根部7は、スパイラル芯材6のある部分では整列状態で植設されてもよく、別の部分では千鳥配列に植設されてもよく、他の部分ではくしの歯状に植設されても良い。すなわち、スパイラル芯材6には、整列状態の羽根部7と、千鳥配列の羽根部7と、くしの歯状の羽根部7が、混在して植設されていてもよい。また、複数の羽根部7は、それぞれの形状や大きさが異なっていても良い。
【0061】
例えば、スパイラル芯材6において、受け部2に近接する部分では、羽根部7がくしの歯状に植設され、中間部においては、羽根部7が千鳥配列に植設され、タンク11に近接する部分では、羽根部7が整列状態で植設されることも好適である。このように植設されることで、排泄物が最初に細かく粉砕され、次いで粉砕された排泄物が強力に配送され、最後に残留することなくタンク11に送り出される。
【0062】
なお、図8に示されるように、羽根部7の外縁の少なくとも一部が尖っていることも好適である。外縁が尖らされていることで、排泄物の粉砕力が高まるからである。
【0063】
また、図5などに示されるように羽根部7は、スパイラル芯材6が形成する仮想円周の内周に植設されることが好適であるが、図7(e)に示されるように仮想円周の外周に植設されても良い。外周に植設される場合には、導管5の内部壁との衝突や摩擦を考慮する必要がある。
【0064】
なお、羽根部7が仮想円周の内周に植設される場合には、搬送力はより高まる。
【0065】
次に、図9を用いて駆動部8について説明する。
【0066】
図9は、本発明の実施の形態1における筐体内部の断面図である。
【0067】
駆動部8は、スパイラル芯材6を回転させる。駆動部8は、モータなどが用いられる。駆動部8やその接続部品などは、タンク11を備える筐体10に格納される。また、電源や電池なども、必要に応じて格納される。
【0068】
駆動部8が、スパイラル芯材6の端部に直接的に接続されて、スパイラル芯材6の回転が実現されてもよく、駆動部8のシャフトとスパイラル芯材6の端部が歯車やプーリー16などで接続されて、スパイラル芯材6の回転が実現されても良い。
【0069】
図9には、駆動部8が、プーリー16によりスパイラル芯材6に駆動力を与える構成が示されている。
【0070】
また、駆動部8に減速モータが使用されることで、スパイラル芯材6の回転が、排泄物の配送に適したものとされる。
【0071】
次に、吸引部9について説明する。
【0072】
吸引部9は、導管5の他端部に接続され、導管5内部の内容物を吸引する。吸引部9は、圧縮ポンプなどが用いられる。
【0073】
なお、排泄物は、吸引部9からの吸引作用と、スパイラル芯材6の回転による搬送力により導管5を経由して配送される。
【0074】
タンク11は、導管5を介して配送された排泄物が溜められる。タンク11は、一時的に排泄物を蓄積し、必要に応じて蓄積された排泄物は、タンク11から廃棄される。また、タンク11の大きさは、設置場所や使用状況に応じて、適宜決められればよい。
【0075】
更に、駆動部8やこれの周辺部品などは、タンク11を形成する筐体に合わせて格納されても良い。
【0076】
以上の構成により、受け部2に排泄された排泄物は、導管5に入り、羽根部7の植設されたスパイラル芯材6の回転により、粉砕される。更に、スパイラル芯材6の回転により生じる搬送力により、粉砕された排泄物は導管5を介して配送されて、タンク11に溜められる。このとき、固い排泄物などであっても、羽根部7により十分に粉砕される上、押し流されるように配送されるので、導管5内部で目詰まりが生じることがない。すなわち、排泄物が確実に配送され、使用者にとっての不快感がなく、衛生状態も保たれ、取替えや修理のコストも低減される。
【0077】
更に、導管5とスパイラル芯材6は、軟性樹脂などの可撓性のある素材で形成され、スパイラル芯材6には複数の羽根部7が植設され(更に、羽根部7同士は、隣接部に空隙をもって植設される)るので、容易に屈曲され、湾曲される。結果として、ベッドや車椅子などにおいて、可撓性を有した設置が可能となる。結果として、自立的に排泄行為が困難な老齢者や病人の排泄行為が容易となる。
【0078】
次に、本発明の排泄物配送装置の使用態様について説明する。
【0079】
受け部2が、装着バンド4により人体の股部に装着される。装着された受け部2に接続された導管5は、途中で湾曲しながら設置され、タンク11に接続する。使用者がベッドに寝ている場合などには、股部からタンクまでは高低差などがあるので、導管5などが柔軟に湾曲することが必要である。
【0080】
使用者が、受け部2に対して排泄を行うと、排泄物は導管5内部を配送される。このとき、羽根部7で固形の排泄物は粉砕され、スパイラル芯材6の回転により生じる搬送力で配送される。また、導光管20からの拡散光による光触媒作用で、壁面などに排泄物がこびりつかず、導管5内部は、清潔かつ衛生的に保たれる。
【0081】
配送された排泄物はタンク11内部に溜められ、任意にタンク内部が交換される。
【0082】
このように、本発明における排泄物配送装置1は、病人や高齢者など自立的に排泄を行うのが困難な使用者にとって、容易に使用される。
【0083】
なお、羽根部7が植設されたスパイラル芯材6が挿入された導管5としてのユニットにより、流通されてもよい。あるいは、導管5に受け部2が接続されたユニットにより流通されても良い。
【0084】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。
【0085】
実施の形態2における排泄物配送装置は、導光管を備えている。
【0086】
図10、図11は、本発明の実施の形態2における排泄物配送装置の側面図である。なお、図10では、光源21や駆動部8がボックス22に格納されており、排泄物は、導管5に設けられた分岐23から排出される。分岐23の先には、図11に示されるようにタンク11が設けられる。なお、図11には示されていないが、タンク11と分岐23の接続部分近辺に、吸引部9が備えられる。スパイラル芯材6には、図10に示されるように、複数の羽根部7が植設されている。
【0087】
導管5内部に挿入されたスパイラル芯材6の軸心に、導光管20が備えられている。導光管20は、光源21から照射される光を伝達し、導管5内部に光を照射する。なお、導光管20は、導管5内部に光を照射するために、導光管20の各部から拡散光がもれる構造であることが好ましい。また、導管5やスパイラル芯材7と同じく、導光管20も可撓性のある素材で形成されている。例えば、透明や半透明の軟性樹脂やビニール素材などが用いられる。
【0088】
また、導光管20は、スパイラル芯材6の軸心に設けられても良い。このとき、スパイラル芯材6は、導光管20に接続される。このため、スパイラル芯材6の軸心に設けられた導光管20が、駆動部8により回転されることで、スパイラル芯材6も回転する。このように、導光管20が、スパイラル芯材6の軸心として兼用されることで、スパイラル芯材6は、容易に回転される。
【0089】
さらに、図12に示されるように、導光管20は、複数の部位から組み立てられても良い。図12は、本発明の実施の形態2における導光管の一部の拡大図である。
【0090】
複数の部位から組み立てられて、導光管20が複数の間接部を備えることで、導光管20の湾曲などの可撓性が向上する。また、間接部にレンズが設けられることで、光の拡散効果を高めることも好適である。
【0091】
導管5内部は、光触媒処理がなされている。例えば、導管5内部の壁面には、酸化チタンが塗布されており、導光管20から照射される光による光触媒作用により、汚れの分解、消臭、脱臭、抗菌、殺菌、有害物質の除去などが行われる。導管5内部は、排泄物の配送により汚れや細菌の付着がおきやすい。このため、光触媒処理が施された内壁に、導光管20により光が照射されて光触媒作用が生じ、壁面に排泄物がこびりつきにくくなり、衛生状態が維持される。また、光触媒作用により、導管5の曇りなども防止され、内部観察が容易になる。
【0092】
なお、導管5の内壁のみでなく、スパイラル芯材6、羽根部7などの表面も、酸化チタンなどによる光触媒処理がなされていても良い。
【0093】
光源21は、導光管20の一方の端部から、光を照射する。光源21には、紫外線ランプや赤外線ランプなどが使用される。特に、照射効力の高い光源が使用される。紫外線ランプから受けた紫外線が、導管5内部で拡散されることで、光触媒作用が効果的に生じる。
【0094】
このように、実施の形態2における排泄物配送装置1は、導管5内部が光触媒作用により、清潔且つ衛生的に保たれる。更に、実施の形態1と同様に、固い固形の排泄物なども目詰まり無く配送され、ベッドや車椅子などにおいても、設置場所の形状などに合わせた柔軟な設置がされる。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明は、例えば、自立的な排泄行為が困難な使用者にとっての簡易型のトイレや排泄物処理装置などに好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の実施の形態1における排泄物配送装置の斜視図
【図2】本発明の実施の形態1における受け部付近の斜視図
【図3】本発明の実施の形態1における受け部の側断面図
【図4】本発明の実施の形態1における受け部が人体に装着された状態を示す図
【図5】本発明の実施の形態1における導管内部の斜視図
【図6】本発明の実施の形態1における導管内部の斜視図
【図7】(a)本発明の実施の形態1における羽根部の正面図 (b)本発明の実施の形態1における羽根部の正面図 (c)本発明の実施の形態1における羽根部の正面図 (d)本発明の実施の形態1における羽根部の正面図 (e)本発明の実施の形態1における羽根部の正面図
【図8】本発明の実施の形態1における羽根部の側面図
【図9】本発明の実施の形態1における筐体内部の断面図
【図10】本発明の実施の形態2における排泄物配送装置の側面図
【図11】本発明の実施の形態2における排泄物配送装置の側面図
【図12】本発明の実施の形態2における導光管の一部の拡大図
【符号の説明】
【0097】
1 排泄物配送装置
2 受け部
3 窪み部
4 装着バンド
5 導管
6 スパイラル芯材
7 羽根部
8 駆動部
9 吸引部
11 タンク
20 導光管
21 光源
【技術分野】
【0001】
本発明は、病人や介護を必要とする患者にとって、ベッドや車椅子などでも使用できる簡易型トイレなどに用いられる排泄物配送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
病気や怪我、あるいは加齢によりトイレで自立的に排泄不能な病人や、高齢者にとって、ベッドや車椅子などで使用できる簡易型トイレなどが利用されている。また、このような簡易型トイレでは、別に設けられたタンクなどに、排泄物を配送する装置が用いられる。配送装置により排泄物が配送され、利用者の衛生環境や清潔感が維持される。
【0003】
特許文献1は、このような自動排泄物処理装置を開示する。特許文献1で開示される自動排泄処理装置では、吸引ポンプにより吸引用配管を通じて排泄物が配送される。
【0004】
しかしながら、特許文献1で開示される自動排泄物処理装置では、吸引されるだけであるので、固い排泄物などは、十分に配送されず、吸引用配管に詰まるなどする不具合がある。このように排泄物が吸引用配管に詰まると、装置の故障などが生じ、使用者にとって非常に不便である。特に、使用者は病人など、自分で種々の作業ができない者が通常であり、吸引用配管の目詰まりや、これに伴う装置の故障などに対処することができない問題もある。また、衛生状態も悪くなる。
【0005】
特許文献2、3、4、5は、排泄物の処理装置や、簡易型トイレについて開示する。特許文献2などは、排泄物を配送する装置について開示する。
【0006】
しかしながら、特許文献2、3、4、5に開示される簡易型トイレなどは、建物や戸外に固定的に設置され、自立的に排泄できる使用者に利用される。すなわち、これらの簡易型トイレなどは、可撓性を有さない構造のため、ベッドや車椅子などでの設置が困難である問題を有している。特許文献2などに開示される簡易型トイレなどは、屈曲や湾曲などが困難であり、ベッドから床などに向けて設置できない。このため、自立的に排泄が困難な使用者にとっての適用は困難である問題がある。
【特許文献1】特開2002−58692号公報
【特許文献2】実開昭64−53736号公報
【特許文献3】実開昭62−100097号公報
【特許文献4】実開平2−17539号公報
【特許文献5】実開平2−33232号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は、自立的に排泄不能な使用者が、ベッドや車椅子などで使用でき、固い排泄物であっても目詰まり無く配送できる可撓性のある排泄物配送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明に係る排泄物配送装置は、人体の股部に装着可能に形成された受け部を、可撓性のある導管の一端部に接続し、導管の他端部を、導管の内容物を吸引する吸引部に接続し、らせん状に旋回し可撓性を有するスパイラル芯材を、導管内部へ回転可能に挿入し、スパイラル芯材に複数の羽根部を植設し、スパイラル芯材に駆動部の回転力を印加してなる。
【0009】
この構成により、排泄物配送装置は、屈曲や湾曲などの可撓性をもって、設置場所の形状に柔軟に対応して設置される。また、固い固形物の排泄物であっても、導管内部が目詰まりを起こすことなく、確実に配送される。
【0010】
第2の発明に係る排泄物配送装置では、複数の羽根部は、隣接する羽根部との間に空隙を有する。
【0011】
この構成により、羽根部が植設されたスパイラル芯材は、屈曲し、湾曲する。
【0012】
第3の発明に係る排泄物配送装置では、複数の羽根部の少なくとも一部を、千鳥配列に植設してなる。
【0013】
この構成により、羽根部が植設されたスパイラル芯材は、屈曲し、湾曲する。また、排泄物が残されること無く、配送される。
【0014】
第4の発明に係る排泄物配送装置では、複数の羽根部少なくとも一部を、くしの歯状に植設してなる。
【0015】
この構成により、排泄物が、細かく粉砕されて、配送されやすくなる。
【0016】
第5の発明に係る排泄物配送装置では、複数の羽根部の少なくとも一部を、スパイラル芯材の形成する仮想円周の内周に植設してなる。
【0017】
この構成により、羽根部が植設されたスパイラル芯材の回転により生じる搬送力が高まる。
【0018】
第6の発明に係る排泄物配送装置では、複数の羽根部の外縁の少なくとも一部を尖らせてなる。
【0019】
この構成により、排泄物が確実に粉砕され、排泄物が容易に配送される。
【0020】
第7の発明に係る排泄物配送装置では、導管内部に、可撓性のある導光管を挿入し、導光管に光線を照射する光源を設け、導管内部を光触媒処理してなる。
【0021】
この構成により、導管内部が、衛生的かつ清潔に保たれる。
【0022】
第8の発明に係る排泄物配送装置では、導光管をスパイラル芯材のらせんの軸心に装着し、導光管をスパイラル芯材の回転軸としてなる。
【0023】
この構成により、スパイラル芯材の回転が容易になる。
【0024】
第9の発明に係る排泄物配送装置では、導光管に間接部を設けてなる。
【0025】
この構成により、導光管が容易に屈曲し、湾曲する。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、病人や高齢者のように自立的に排泄行為が困難な者にとっても、ベッドや車椅子などに簡易型の排泄処理装置が容易に設置される。特に、本発明による排泄物配送装置は可撓性を有しているため、ベッドや車椅子などに設置する場合に、屈曲、湾曲させることが容易であり、設置場所の形状などに適した設置が可能となる。
【0027】
特に、導管やスパイラル芯材が可撓性を有していることに加えて、複数の羽根部により、屈曲に対応する。
【0028】
また、導管内部に回転可能なスパイラル芯材が設けられているので、固い固形の排泄物などであっても目詰まりを起こすことなく配送される。特に、設置場所によって導管が水平になってしまった場合でも、スパイラル芯材の搬送力により、排泄物は滞りなく配送される。このため、配送が困難になることによる使用者の不快感も生じない。
【0029】
更に、導光管と光触媒処理により、導管内部も清潔に保たれ、使用者にとっての衛生状態が好適に維持される。
【0030】
目詰まりや汚濁の防止が適切に図られることにより、排泄物配送装置の修理や交換に必要なコストも低減し、介護などに適している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0032】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における排泄物配送装置の斜視図である。図2は、本発明の実施の形態1における受け部付近の斜視図である。図3は、本発明の実施の形態1における受け部の側断面図である。図4は、本発明の実施の形態1における受け部が人体に装着された状態を示す図である。
【0033】
排泄物配送装置1は、次の要素を備えている。
【0034】
排泄物を受ける受け部2の一端部に、可撓性のある導管5が接続されている。導管5の他端部には、吸引部9が接続されている。導管5の内部に、らせん状に旋回し可撓性があるスパイラル芯材6が、回転可能に挿入されている。更に、スパイラル芯材6には、複数の羽根部7が植設されている。更に、スパイラル芯材6を回転させる駆動部8が設けられ、さらに導管5を経由して配送された排泄物を溜めるタンク11も設けられている。
【0035】
なお、駆動部8と吸引部9は、タンク11内部に一体的に形成されても良い。
【0036】
まず、受け部2について説明する。
【0037】
受け部2は、人体の股部に装着可能に形成されており、人体からの排泄物を受ける。受け部2の形状は、様々であるが、好ましくは排泄物を受けやすいよう、人体の股部にフィットする形状である。例えば、図2に示されるように、股部の前後を覆うような、「略くの字」の形状などが好適である。また、人体装着時の不快感を低減するために、人体に触れる部分が軟質の樹脂やゴム、あるいは繊維などで形成されるのも良い。
【0038】
受け部2は、窪み部3を更に備える。窪み部3は、人体装着時に、股部との間の空隙を形成し、この空隙に人体からの排泄物が受け止められる。窪み部3は、導管5の入り口を備えており、窪み部3に溜まった排泄物は、この入り口から導管5に送出される。窪み部3が設けられることにより、人体装着時に排泄物が人体と密着することが防止され、使用者の不快感が低減される。また、排泄物の受け部2からのあふれ出しが防止される。
【0039】
なお、図3、図4に示されるように、受け部2は、人体の排泄器官を洗浄する洗浄ノズル14を備えることもよい。また、受け部2や窪み部3は、排泄物などが付着しにくいように、高分子ポリマーシリコンコーティングなどが施されていることも好適である。
【0040】
また、受け部2は、導管5から取り外し可能である。取り外し可能であることで、容易に洗浄され、また取替え部品との交換もなされる。
【0041】
受け部2には、装着バンド4が設けられ、人体15への装着が容易に行われる。図4に、人体15に受け部2が装着されている状態が示されている。
【0042】
次に、導管5について説明する。
【0043】
導管5は、可撓性のある素材で形成され、受け部2に接続されて、排泄物をタンク11まで配送する。
【0044】
導管5は、例えば、ナイロン(登録商標)、ポリウレタン、ナイロン(登録商標)とポリウレタンの混合材、ポリエチレンナフタレート(PEN)などの素材で形成される。あるいは、軟性樹脂などで形成される。また、これらの素材は低摩擦であり、排泄物がスムーズに配送される。
【0045】
このような可撓性のあるやわらかい素材で形成されることで、設置場所に応じて、導管5は、容易に折り曲げ、屈曲、湾曲される。すなわち、ベッドや車椅子など、排泄が行われる人体の股部の位置と、排泄物が溜められるタンク11との間の形状や障害物などに合わせて、配送を行う導管5が設置される。
【0046】
また、導管5は抗菌加工されることも好適である。抗菌加工により、衛生状態が維持される。
【0047】
次に、スパイラル芯材6について説明する。
【0048】
スパイラル芯材6は、らせん形状を有しており、導管5と同様に可撓性を有し、回転可能に導管5内部に挿入されている。また、スパイラル芯材6は、ナイロン(登録商標)やポリウレタン、これらの合成素材などの軟性樹脂、あるいはゴム、ビニール樹脂などで形成される。このような可撓性を有し、摩擦の低い素材で形成されることで、導管5内部に挿入されている場合でも、容易に折り曲げられ、屈曲され、あるいは湾曲される。結果として、スパイラル芯材6が挿入された導管5は、設置場所の形状や障害物に合わせて、柔軟に設置される。
【0049】
また、スパイラル芯材6は、駆動部8による駆動力の印加を受けて回転する。すなわち、スパイラル芯材6は、回転による搬送力を生じ、導管5内部の排泄物を効率的且つ強力に配送する。
【0050】
また、導管5などと同様に、スパイラル芯材6も高分子ポリマーシリコンコーティング加工や抗菌処理が行われることで、排泄部などの付着が防止され、衛生状態が維持される。
【0051】
なお、スパイラル芯材6は、導管5全長において、少なくとも一部に挿入されておけばよい。
【0052】
次に、図5〜図8をもちいて、羽根部7について説明する。
【0053】
図5、図6は、本発明の実施の形態1における導管内部の斜視図である。図7(a)〜図7(e)は、本発明の実施の形態1における羽根部の正面図である。図8は、本発明の実施の形態1における羽根部の側面図である。
【0054】
まず、複数の羽根部7が、スパイラル芯材6に植設されている。羽根部7は、スパイラル芯材6からの凸部であり、スパイラル芯材6の回転に伴って排泄物を粉砕し、配送する。スパイラル芯材6だけでは粉砕しきれない排泄物も、スパイラル芯材6から突出した羽根部7により、容易に粉砕される。このため、導管5を介した排泄物の配送は、より容易となる。更に羽根部7は、スパイラル芯材6の回転により生じる渦流をさらに強力にするので、搬送力を高める役割を果たす。
【0055】
すなわち、複数の羽根部7がスパイラル芯材6に植設されることで、排泄物はより確実に粉砕されて配送され、導管5内部での排泄物などの目詰まりが防止される。
【0056】
スパイラル芯材6には、複数の羽根部7が設けられており、複数の羽根部7は、それぞれ独立に植設されている。このため、一つ一つの羽根部7のスパイラル芯材6に沿った幅は小さく、個々の羽根部7は、隣接する羽根部7との間の応力に柔軟に対応する。このため、導管5やスパイラル芯材6が湾曲される場合でも、これに応じて湾曲する。例えば、羽根部7は、その隣接する羽根部7との間に空隙を有している。スパイラル芯材6が湾曲されたり、屈曲されたりする場合に生ずる応力が、この空隙により逃がされて、羽根部7が植設されていてもスパイラル芯材6は、柔軟に屈曲され、湾曲される。
【0057】
例えば、図5や図7(c)に示されるように、複数の羽根部7は、隣接する羽根部7との間に隙間を有して、整列して植設される。このように植設されることで、羽根部7が植設されたスパイラル芯材6(スパイラル芯材6が挿入された導管5)は、柔軟に屈曲され、湾曲される。
【0058】
また、図6や図7(a)に示されるように、複数の羽根部7は、千鳥配列で植設されてもよい。千鳥配列で植設されることで、複数の羽根部7が交互に並ぶ。このため、導管5の軸心方向から見て、羽根部7の隣接部には隙間がなくなり、排泄物が残されること無く配送される。更に、千鳥配列であることで、隣接する羽根部7同士は分離しているため、スパイラル芯材6の屈曲や湾曲により生じる応力は、逃がされる。結果として、千鳥配列で複数の羽根部7が植設されているスパイラル芯材6は、柔軟に屈曲され、湾曲される。
【0059】
あるいは、図7(d)に示されるように、複数の羽根部7は、くしの歯状に植設されてもよい。くしの歯状に植設されていることで、排泄物、特に固い排泄物の粉砕力が高まる。また、くしの歯状に植設される場合に、個々の羽根部7が細身に形成され、非常に多くの羽根部7が植設されることで、固形の排泄物が、非常に細かく粉砕される。細かく粉砕されることで、粉砕された排泄物の配送が容易となる。
【0060】
なお、複数の羽根部7は、スパイラル芯材6のある部分では整列状態で植設されてもよく、別の部分では千鳥配列に植設されてもよく、他の部分ではくしの歯状に植設されても良い。すなわち、スパイラル芯材6には、整列状態の羽根部7と、千鳥配列の羽根部7と、くしの歯状の羽根部7が、混在して植設されていてもよい。また、複数の羽根部7は、それぞれの形状や大きさが異なっていても良い。
【0061】
例えば、スパイラル芯材6において、受け部2に近接する部分では、羽根部7がくしの歯状に植設され、中間部においては、羽根部7が千鳥配列に植設され、タンク11に近接する部分では、羽根部7が整列状態で植設されることも好適である。このように植設されることで、排泄物が最初に細かく粉砕され、次いで粉砕された排泄物が強力に配送され、最後に残留することなくタンク11に送り出される。
【0062】
なお、図8に示されるように、羽根部7の外縁の少なくとも一部が尖っていることも好適である。外縁が尖らされていることで、排泄物の粉砕力が高まるからである。
【0063】
また、図5などに示されるように羽根部7は、スパイラル芯材6が形成する仮想円周の内周に植設されることが好適であるが、図7(e)に示されるように仮想円周の外周に植設されても良い。外周に植設される場合には、導管5の内部壁との衝突や摩擦を考慮する必要がある。
【0064】
なお、羽根部7が仮想円周の内周に植設される場合には、搬送力はより高まる。
【0065】
次に、図9を用いて駆動部8について説明する。
【0066】
図9は、本発明の実施の形態1における筐体内部の断面図である。
【0067】
駆動部8は、スパイラル芯材6を回転させる。駆動部8は、モータなどが用いられる。駆動部8やその接続部品などは、タンク11を備える筐体10に格納される。また、電源や電池なども、必要に応じて格納される。
【0068】
駆動部8が、スパイラル芯材6の端部に直接的に接続されて、スパイラル芯材6の回転が実現されてもよく、駆動部8のシャフトとスパイラル芯材6の端部が歯車やプーリー16などで接続されて、スパイラル芯材6の回転が実現されても良い。
【0069】
図9には、駆動部8が、プーリー16によりスパイラル芯材6に駆動力を与える構成が示されている。
【0070】
また、駆動部8に減速モータが使用されることで、スパイラル芯材6の回転が、排泄物の配送に適したものとされる。
【0071】
次に、吸引部9について説明する。
【0072】
吸引部9は、導管5の他端部に接続され、導管5内部の内容物を吸引する。吸引部9は、圧縮ポンプなどが用いられる。
【0073】
なお、排泄物は、吸引部9からの吸引作用と、スパイラル芯材6の回転による搬送力により導管5を経由して配送される。
【0074】
タンク11は、導管5を介して配送された排泄物が溜められる。タンク11は、一時的に排泄物を蓄積し、必要に応じて蓄積された排泄物は、タンク11から廃棄される。また、タンク11の大きさは、設置場所や使用状況に応じて、適宜決められればよい。
【0075】
更に、駆動部8やこれの周辺部品などは、タンク11を形成する筐体に合わせて格納されても良い。
【0076】
以上の構成により、受け部2に排泄された排泄物は、導管5に入り、羽根部7の植設されたスパイラル芯材6の回転により、粉砕される。更に、スパイラル芯材6の回転により生じる搬送力により、粉砕された排泄物は導管5を介して配送されて、タンク11に溜められる。このとき、固い排泄物などであっても、羽根部7により十分に粉砕される上、押し流されるように配送されるので、導管5内部で目詰まりが生じることがない。すなわち、排泄物が確実に配送され、使用者にとっての不快感がなく、衛生状態も保たれ、取替えや修理のコストも低減される。
【0077】
更に、導管5とスパイラル芯材6は、軟性樹脂などの可撓性のある素材で形成され、スパイラル芯材6には複数の羽根部7が植設され(更に、羽根部7同士は、隣接部に空隙をもって植設される)るので、容易に屈曲され、湾曲される。結果として、ベッドや車椅子などにおいて、可撓性を有した設置が可能となる。結果として、自立的に排泄行為が困難な老齢者や病人の排泄行為が容易となる。
【0078】
次に、本発明の排泄物配送装置の使用態様について説明する。
【0079】
受け部2が、装着バンド4により人体の股部に装着される。装着された受け部2に接続された導管5は、途中で湾曲しながら設置され、タンク11に接続する。使用者がベッドに寝ている場合などには、股部からタンクまでは高低差などがあるので、導管5などが柔軟に湾曲することが必要である。
【0080】
使用者が、受け部2に対して排泄を行うと、排泄物は導管5内部を配送される。このとき、羽根部7で固形の排泄物は粉砕され、スパイラル芯材6の回転により生じる搬送力で配送される。また、導光管20からの拡散光による光触媒作用で、壁面などに排泄物がこびりつかず、導管5内部は、清潔かつ衛生的に保たれる。
【0081】
配送された排泄物はタンク11内部に溜められ、任意にタンク内部が交換される。
【0082】
このように、本発明における排泄物配送装置1は、病人や高齢者など自立的に排泄を行うのが困難な使用者にとって、容易に使用される。
【0083】
なお、羽根部7が植設されたスパイラル芯材6が挿入された導管5としてのユニットにより、流通されてもよい。あるいは、導管5に受け部2が接続されたユニットにより流通されても良い。
【0084】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。
【0085】
実施の形態2における排泄物配送装置は、導光管を備えている。
【0086】
図10、図11は、本発明の実施の形態2における排泄物配送装置の側面図である。なお、図10では、光源21や駆動部8がボックス22に格納されており、排泄物は、導管5に設けられた分岐23から排出される。分岐23の先には、図11に示されるようにタンク11が設けられる。なお、図11には示されていないが、タンク11と分岐23の接続部分近辺に、吸引部9が備えられる。スパイラル芯材6には、図10に示されるように、複数の羽根部7が植設されている。
【0087】
導管5内部に挿入されたスパイラル芯材6の軸心に、導光管20が備えられている。導光管20は、光源21から照射される光を伝達し、導管5内部に光を照射する。なお、導光管20は、導管5内部に光を照射するために、導光管20の各部から拡散光がもれる構造であることが好ましい。また、導管5やスパイラル芯材7と同じく、導光管20も可撓性のある素材で形成されている。例えば、透明や半透明の軟性樹脂やビニール素材などが用いられる。
【0088】
また、導光管20は、スパイラル芯材6の軸心に設けられても良い。このとき、スパイラル芯材6は、導光管20に接続される。このため、スパイラル芯材6の軸心に設けられた導光管20が、駆動部8により回転されることで、スパイラル芯材6も回転する。このように、導光管20が、スパイラル芯材6の軸心として兼用されることで、スパイラル芯材6は、容易に回転される。
【0089】
さらに、図12に示されるように、導光管20は、複数の部位から組み立てられても良い。図12は、本発明の実施の形態2における導光管の一部の拡大図である。
【0090】
複数の部位から組み立てられて、導光管20が複数の間接部を備えることで、導光管20の湾曲などの可撓性が向上する。また、間接部にレンズが設けられることで、光の拡散効果を高めることも好適である。
【0091】
導管5内部は、光触媒処理がなされている。例えば、導管5内部の壁面には、酸化チタンが塗布されており、導光管20から照射される光による光触媒作用により、汚れの分解、消臭、脱臭、抗菌、殺菌、有害物質の除去などが行われる。導管5内部は、排泄物の配送により汚れや細菌の付着がおきやすい。このため、光触媒処理が施された内壁に、導光管20により光が照射されて光触媒作用が生じ、壁面に排泄物がこびりつきにくくなり、衛生状態が維持される。また、光触媒作用により、導管5の曇りなども防止され、内部観察が容易になる。
【0092】
なお、導管5の内壁のみでなく、スパイラル芯材6、羽根部7などの表面も、酸化チタンなどによる光触媒処理がなされていても良い。
【0093】
光源21は、導光管20の一方の端部から、光を照射する。光源21には、紫外線ランプや赤外線ランプなどが使用される。特に、照射効力の高い光源が使用される。紫外線ランプから受けた紫外線が、導管5内部で拡散されることで、光触媒作用が効果的に生じる。
【0094】
このように、実施の形態2における排泄物配送装置1は、導管5内部が光触媒作用により、清潔且つ衛生的に保たれる。更に、実施の形態1と同様に、固い固形の排泄物なども目詰まり無く配送され、ベッドや車椅子などにおいても、設置場所の形状などに合わせた柔軟な設置がされる。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明は、例えば、自立的な排泄行為が困難な使用者にとっての簡易型のトイレや排泄物処理装置などに好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の実施の形態1における排泄物配送装置の斜視図
【図2】本発明の実施の形態1における受け部付近の斜視図
【図3】本発明の実施の形態1における受け部の側断面図
【図4】本発明の実施の形態1における受け部が人体に装着された状態を示す図
【図5】本発明の実施の形態1における導管内部の斜視図
【図6】本発明の実施の形態1における導管内部の斜視図
【図7】(a)本発明の実施の形態1における羽根部の正面図 (b)本発明の実施の形態1における羽根部の正面図 (c)本発明の実施の形態1における羽根部の正面図 (d)本発明の実施の形態1における羽根部の正面図 (e)本発明の実施の形態1における羽根部の正面図
【図8】本発明の実施の形態1における羽根部の側面図
【図9】本発明の実施の形態1における筐体内部の断面図
【図10】本発明の実施の形態2における排泄物配送装置の側面図
【図11】本発明の実施の形態2における排泄物配送装置の側面図
【図12】本発明の実施の形態2における導光管の一部の拡大図
【符号の説明】
【0097】
1 排泄物配送装置
2 受け部
3 窪み部
4 装着バンド
5 導管
6 スパイラル芯材
7 羽根部
8 駆動部
9 吸引部
11 タンク
20 導光管
21 光源
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の股部に装着可能に形成された受け部を、可撓性のある導管の一端部に接続し、
前記導管の他端部を、前記導管の内容物を吸引する吸引部に接続し、
らせん状に旋回し可撓性を有するスパイラル芯材を、前記導管内部へ回転可能に挿入し、
前記スパイラル芯材に複数の羽根部を植設し、前記スパイラル芯材に駆動部の回転力を印加してなる排泄物配送装置。
【請求項2】
前記複数の羽根部は、隣接する羽根部との間に空隙を有する請求項1記載の排泄物配送装置。
【請求項3】
前記複数の羽根部の少なくとも一部を、千鳥配列に植設してなる請求項1から2のいずれか記載の排泄物配送装置。
【請求項4】
前記複数の羽根部の少なくとも一部を、くしの歯状に植設してなる請求項1から2のいずれか記載の排泄物配送装置。
【請求項5】
前記複数の羽根部の少なくとも一部を、前記スパイラル芯材の形成する仮想円周の内周に植設してなる請求項1から4のいずれか記載の排泄物配送装置。
【請求項6】
前記複数の羽根部の外縁の少なくとも一部を尖らせてなる請求項1から5のいずれか記載の排泄物配送装置。
【請求項7】
前記導管内部に、可撓性のある導光管を挿入し、前記導光管に光線を照射する光源を設け、前記導管内部を光触媒処理してなる請求項1から6のいずれか記載の排泄物配送装置。
【請求項8】
前記導光管を前記スパイラル芯材のらせんの軸心に装着し、前記導光管を前記スパイラル芯材の回転軸としてなる請求項7記載の排泄物配送装置。
【請求項9】
前記導光管に間接部を設けてなる請求項7から9のいずれか記載の排泄物配送装置。
【請求項10】
人体の股部に装着可能に形成された受け部を、可撓性のある導管の一端部に接続し、らせん状に旋回し可撓性を有するスパイラル芯材を、前記導管内部へ回転可能に挿入し、スパイラル芯材に複数の羽根部を植設してなる排泄物配送装置用ユニット。
【請求項1】
人体の股部に装着可能に形成された受け部を、可撓性のある導管の一端部に接続し、
前記導管の他端部を、前記導管の内容物を吸引する吸引部に接続し、
らせん状に旋回し可撓性を有するスパイラル芯材を、前記導管内部へ回転可能に挿入し、
前記スパイラル芯材に複数の羽根部を植設し、前記スパイラル芯材に駆動部の回転力を印加してなる排泄物配送装置。
【請求項2】
前記複数の羽根部は、隣接する羽根部との間に空隙を有する請求項1記載の排泄物配送装置。
【請求項3】
前記複数の羽根部の少なくとも一部を、千鳥配列に植設してなる請求項1から2のいずれか記載の排泄物配送装置。
【請求項4】
前記複数の羽根部の少なくとも一部を、くしの歯状に植設してなる請求項1から2のいずれか記載の排泄物配送装置。
【請求項5】
前記複数の羽根部の少なくとも一部を、前記スパイラル芯材の形成する仮想円周の内周に植設してなる請求項1から4のいずれか記載の排泄物配送装置。
【請求項6】
前記複数の羽根部の外縁の少なくとも一部を尖らせてなる請求項1から5のいずれか記載の排泄物配送装置。
【請求項7】
前記導管内部に、可撓性のある導光管を挿入し、前記導光管に光線を照射する光源を設け、前記導管内部を光触媒処理してなる請求項1から6のいずれか記載の排泄物配送装置。
【請求項8】
前記導光管を前記スパイラル芯材のらせんの軸心に装着し、前記導光管を前記スパイラル芯材の回転軸としてなる請求項7記載の排泄物配送装置。
【請求項9】
前記導光管に間接部を設けてなる請求項7から9のいずれか記載の排泄物配送装置。
【請求項10】
人体の股部に装着可能に形成された受け部を、可撓性のある導管の一端部に接続し、らせん状に旋回し可撓性を有するスパイラル芯材を、前記導管内部へ回転可能に挿入し、スパイラル芯材に複数の羽根部を植設してなる排泄物配送装置用ユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−29286(P2007−29286A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−214714(P2005−214714)
【出願日】平成17年7月25日(2005.7.25)
【出願人】(393028449)
【出願人】(505280624)
【出願人】(505280565)
【出願人】(505280587)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月25日(2005.7.25)
【出願人】(393028449)
【出願人】(505280624)
【出願人】(505280565)
【出願人】(505280587)
【Fターム(参考)】
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