説明

排紙積載装置及び画像形成装置

【課題】画像形成装置による印刷済み用紙をカールを抑制して、充分な量の用紙を積載できるようにする。
【解決手段】印刷済み用紙4Pの下面を受ける排紙トレイ21と、印刷済み用紙4Pの排出方向と直交する幅方向の両端部をガイドする一対のサイドフェンス28a,28bとを有しており、その一対のサイドフェンス28a,28bは用紙サイズに応じて幅方向に移動可能であり、そのサイドフェンス28a,28bのそれぞれ対向する内面側に、排紙トレイ21上に排出されて積載された印刷済み用紙4Pの側部上面を上方から所定の押し力で押さえながら、新たに排出される印刷済み用紙をガイドするガイド兼押さえ部材30aを、積載された印刷済み用紙4Pを押し付ける方向に揺動可能に保持して設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、プリンタ、プロッタ、印刷装置、複写装置、デジタル複合機、ファクシミリ装置等の各種画像形成装置、特にインクジェット式画像形成装置と、その印刷済み用紙を積載する排紙積載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上述のような各種の画像形成装置には、その画像形成部(手段)における画像形成方法により、電子写真方式、ワイヤドット方式、インクジェット方式、感熱方式、熱転写方式、孔版印刷方式等、各種の方式のものがある。
いずれの場合にも、一般に用紙(記録媒体)を画像形成部へ供給し、そこで文字や写真又は図形等の画像を形成した後、その記録媒体を搬送して機外へ排出する。
【0003】
そのうち、インクジェット式画像形成装置は、インクジェットヘッドを用いて水性インクを用紙の表面に吐出させて画像を形成する。そして、カラー印刷が可能なインクジェット式画像形成装置として、従来低価格な装置では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)の各色のインクを1ドット分ずつ吐出するシリアル型インクジェットヘッドを用紙の搬送方向に直交する方向(主走査方向)に並べて設け、それを主走査方向移動させながら、副走査方向に搬送される用紙に画像を形成するシリアル型インクジェット式画像形成部を備えた、シリアル型インクジェット式画像形成装置が主に使用されていた。
【0004】
しかし、近年では高速化に対応するために、主走査方向の全長に対応する長さを有し、1ライン分の画像を同時に形成できるライン型インクジェットヘッドを色数分だけ用紙の搬送方向(副走査方向)に並べて固定して設けた、ライン型インクジェット式画像形成部を備えた、ライン型インクジェット式画像形成装置が多用されるようになってきた。
このライン型インクジェット式画像形成装置は、シリアル型インクジェット式画像形成装置に比べて印刷速度を圧倒的に高速化できるが、同時にいくつかの重要な課題も有している。
【0005】
その一つが水性インクを用いることにより、画像形成後の印刷物にカールが発生してしまうというものである。用紙の画像面がインクの水分によって膨張して伸びるためにカールが起こることである。
従来のシリアル型インクジェット式画像形成装置の場合には、低速なので画像形成をしながら印刷済み用紙を水平状態に保持して所定時間保持する効果によって、カールの成長をある程度抑えてその後に排出することが可能であった。
しかし、ライン型インクジェット式画像形成装置の場合には、高速搬送・高速排出のために、短時間で次々と排紙トレイ上に印刷済み用紙が排出積載されてしまうので、どんどんカールが進行することになる。
【0006】
水性インクを用いたライン型インクジェット式画像形成装置で、従来の排紙積載装置を用いた場合に、印刷済み用紙がどのような積載状態になるかを、図7と図8に略図で示す。
画像面が下の場合が図7であり、画像面が上の場合が図8である。そのいずれの場合も、(a)は搬送方向に直交する側方から見た場合、(b)は搬送方向の上流側から見た場合を示している。
これらの図において、50は排出ローラ対(排紙ローラ対)、60は排紙トレイ、61a,61bは左右のサイドフェンス、62はエンドフェンス、70は印刷済み用紙である。
【0007】
このように画像面によって印刷済み用紙70のカール方向は決まってしまうが、排紙トレイ60上で印刷済み用紙70がカールすることによって、積載された用紙の周辺部又は中央部が異常に高くなってしまい、そこに次の印刷済み用紙70がぶつかってジャムになってしまう。
つまり、排紙トレイ60上に印刷済み用紙70を充分な枚数だけ積載する前に、積載された印刷済み用紙のカールが成長して、次の印刷済み用紙の排出を邪魔するために排紙ジャムになってしまうことになる。
【0008】
インクジェット式画像形成装置において、排紙トレイ上に排出される印刷済み用紙のカールを抑えることに関する従来技術は見当らないが、一般的な画像形成装置において排紙された用紙(シート)を押さえる技術としては、特許文献1〜3に記載されているようなものがある。
【0009】
特許文献1には、画像形成されたシートが急勾配に立ち上がったシート載置台に排出される画像形成装置において、排出ローラ対によって排出されたシートの後端部近くを、可撓性を有するシート押さえ部材によってシート載置台に押さえ付けて保持することが開示されている。
【0010】
また、特許文献2には、折りを施されたシートを排出するシート積載装置であって、下トレイ上に排出され積載される折りを施されたシートの上面を、先端部にガイドコロを有するバネで付勢された加圧アームによって押さえ、そのアームの荷重をシート積載高さが低いほど低下させることが開示されている。
【0011】
さらに、特許文献3には、印刷済み用紙が排紙ローラ対によってスタックテーブル上に排出された後、弾性部材によって構成されて用紙幅方向に複数個配置された搬送力伝達部(パドル)によって、ストッパに突き当たるまで搬送されるようにした排紙装置と、その搬送力伝達部の改良構造が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
これらの特許文献に開示されているものは、画像形成装置によって画像が形成された印刷済み用紙(シート)が排紙トレイに相当する部材上に排出された後、その積載された用紙を上から押さえる機能を有するので、用紙の端部あるいは中央部のカール押さえ効果もないとはいえない。
【0013】
しかし、特許文献1に記載のものは、載置台に排出されたシートを一旦取り出した後再び載置台に戻しても、シートの積載順の狂いやジャムが発生しないようにすることを、特許文献2に記載のものは、折りを施されたシートの積載性を向上させることを、特許文献3に記載のものは、パドルの摩耗による搬送力の低下が生じることなく、安定した用紙搬送を可能にすることを、それぞれ意図しており、印刷済み用紙のカールを抑制することは殆ど意図されていない。
【0014】
特に、インクジェット式画像形成装置のように、水性インクによって一方の面に画像が形成された用紙は前述したようにカールし易く、印刷済み用紙の排出時の画像面の向きによってカール状態が異なるが、そのようなカールを効果的に抑制できるような構成は開示されていない。
【0015】
また、画像形成装置には種々のサイズの用紙が使用されるが、上述した各特許文献に記載されている装置は、排出された用紙を押さえる部材の配置が固定されており、用紙サイズに応じて、カールを抑制するのに最適な位置を押さえるようなことはできなかった。
【0016】
この発明はこのような現状に鑑みてなされたものであり、画像形成装置における印刷済み用紙が、順次排紙されて載置面(排紙トレイ)上に積載される際に、カールしながら排出される印刷済み用紙を確実に排紙トレイ上に案内するとともに、排紙トレイ上において印刷済み用紙のカールが進行するのを抑えて、ユーザがそれを取り出した時にほとんどカールしていない状態にすることを目的とする。
そのための排紙積載装置と、それを備えた画像形成装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この発明による排紙積載装置は、画像形成装置における印刷済み用紙が順次排紙されて積載される排紙積載装置であって、上記の目的を達成するため次のように構成したものである。
すなわち、印刷済み用紙の下面を受ける載置面と、印刷済み用紙のそれが排紙される方向と直交する幅方向の両端部をガイドする一対のサイドフェンスとを有しており、その一対のサイドフェンスは用紙サイズに応じて上記幅方向に移動可能であり、その一対のサイドフェンスのそれぞれ対向する内面側に、上記載置面上に排出されて積載された印刷済み用紙の側部上面を上方から所定の押し力で押さえながら、新たに排出される印刷済み用紙をガイドするガイド兼押さえ部材を、上記積載された印刷済み用紙を押し付ける方向に揺動可能に保持して設けたことを特徴とする。
【0018】
上記ガイド兼押さえ部材を、上記一対のサイドフェンスのそれぞれ対向する内面側に、印刷済み用紙の排出方向に間隔を置いて複数対設けるとよい。
上記各ガイド兼押さえ部材には、積載された印刷済み用紙を上方から押さえる押し力を可変する押し力可変機構を設けるのが望ましい。
その押し力可変機構は、上記ガイド兼押さえ部材の揺動支点付近から該ガイド兼押さえ部材に一体に固定されて印刷済み用紙の排出方向に延びるアーム部材と、そのアーム部材に上記揺動支点からの距離を可変に設けられた重り部材とからなるとよい。
【0019】
上記各ガイド兼押さえ部材には、上記一対のサイドフェンスの一方の内面から他方のサイドフェンス方向への突出距離を可変調整する押し位置可変機構を設けるのが望ましい。
上記各ガイド兼押さえ部材は、その揺動支点から印刷済み用紙と当接する部分までの長さを調節可能に保持されているとよい。
【0020】
この発明による画像形成装置は、用紙に画像を形成する画像形成部とその画像形成部によって画像が形成された印刷済み用紙を排出する排出部とを有する画像形成装置本体と、その排出部によって順次排出される印刷済み用紙を積載するための上記いずれかの排紙積載装置とを備えたことを特徴とする。
上記排出部は、画像が形成された印刷済み用紙を腰付けしながら上記排紙積載装置へ排出する排出ローラ対を備えるのが望ましい。
上記排出ローラ対は、下排出ローラと上排出ローラとを有し、その各回転軸にそれぞれ複数のコロが交互にその軸線方向の位置をずらして、上記下排出ローラのコロと上記上排出ローラのコロとが径方向に一部重なり合うように設けられているとよい。
【0021】
上記下排出ローラと上排出ローラに設けられた複数のコロが、上記各回転軸の軸線方向に移動及び固定可能であるとよい。
上記上排出ローラの回転軸の軸線方向の中央部に、その回転軸に対して相対回転可能な保持部材を設け、上記排紙積載装置に積載される印刷済み用紙の上記幅方向の中央部を案内しながら、該用紙を上から押さえる中央のガイド兼押さえ部材を、上記保持部材に一体的に設けるとなおよい。
上記画像形成部が、1個以上のインクジェットヘッドを備えたインクジェットヘッド方式の画像形成部である場合、さらにそのインクジェットヘッドが、ライン型インクジェットヘッドである場合に特に有効である。
【0022】
なお、上記「用紙」とは、普通紙、記録紙、記録シート、転写紙などを含んでいる。また、紙に限るものではなく、樹脂等のシートやフィルム、布、皮革など、インク等の記録剤によって画像を形成できるシート状のものも含む。
上記「印刷」とは、画像形成、記録、印字、印写、描画等を含み、インク等の記録剤による用紙上への文字や写真、図形等の形成をいう。
【発明の効果】
【0023】
この発明による排紙積載装置は、画像形成装置において画像が形成された印刷済み用紙が順次排紙されて積載される際に、載置面(排紙トレイ)上にカールして積載された印刷済み用紙の上面を、用紙サイズに応じた適切な位置で上方から所定の押し力で押さえながら、新たに排出される印刷済み用紙をガイドすることが可能になる。
それによって、排紙トレイ上に積載されて印刷済み用紙がカールによって用紙端部や中央部が異常に高くなって、そこに次の印刷済み用紙がぶつかってジャムになってしまうといったトラブルの発生を防止して、充分な枚数の印刷済み用紙を正常に排紙して積載することが可能になる。
したがって、高速印刷が可能なライン型インクジェット式画像形成装置にも充分対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明による画像形成装置の一実施形態の主要部を示す概略図である。
【図2】図1における排紙積載装置の印刷済み用紙排出方向の上流側半部を拡大して示す図である。
【図3】図1における排紙積載装置をエンドフェンス側からエンドフェンスを取り外して見た拡大図である。
【図4】図3と同じ側からガイド兼押さえ部材及びその関連部材を取り外した排紙積載装置を通して画像形成装置本体側の排出ローラ対を見た概略図である。
【図5】この発明の他の実施形態の図3と同様な図である。
【図6】同じくその排紙積載装置を排出ローラ対と共に上方から見た平面図である。
【図7】従来の排紙積載装置を用いた画像面が下の場合の印刷済み用紙の積載状態を示す略図である。
【図8】従来の排紙積載装置を用いた画像面が上の場合の印刷済み用紙の積載状態を示す略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、この発明を実施するための形態を図面に基づいて具体的に説明する。
図1は、この発明による画像形成装置の一実施形態の主要部を示す概略図である。この図1に示す画像形成装置は、用紙に画像を形成する画像形成部とその画像形成部によって画像が形成された印刷済み用紙を排出する排出部とを有する画像形成装置本体1、およびその排出部によって順次排出される印刷済み用紙を積載するための排紙積載装置3を備えている。
なお、図1では、画像形成装置本体1は、その内部の以下の説明に必要な部分の構成のみを模式的に示しており、排紙積載装置3は手前側のサイドフェンス等を除去した状態で示している。
【0026】
画像形成装置本体1内には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)の4色のライン型インクジェットヘッド13〜16を有する画像形成用ヘッドユニット2が、画像形成部のメインユニットとして設けられている。
そして、図示しない給紙装置から順次給紙される用紙4が搬送ローラ対5,6によって搬送され、さらに無端広幅ベルト7によって画像形成用ヘッドユニット2と対向する画像形成位置へ搬送される。
【0027】
無端広幅ベルト7は、駆動ローラ8と2本の従動ローラ9、10とテンションローラ11に巻きつけられて所定の張力を与えられて、矢印A方向に回動される。
無端広幅ベルト7には多数の孔が形成されており、その孔を通してエアー吸引ダクト12によって空気が吸引されることにより用紙4の裏面を吸着して搬送する。エアー吸引ダクト12は、図示しない吸引用ブロア装置によってエアー吸引力を発生する。
【0028】
画像形成用ヘッドユニット2は、用紙先端検知センサ33による用紙先端の検出時点からタイミングをとって、図示しないヘッド駆動装置によって各色のインクジェットヘッド13〜16を駆動して、用紙4の矢示方向への搬送に伴って、インクジェットヘッド13〜16の各先端のノズルからそれぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)の水性インクを用紙4の表面に順次吐出させて、フルカラーの画像を形成する。その間、無端広幅ベルト7は速度変動がないように駆動され、用紙4を安定して搬送する。
これらによって、インクジェットヘッド方式の画像形成部を構成している。この実施形態では、フルカラーのライン型インクジェットヘッド方式の画像形成部である。
【0029】
画像形成用ヘッドユニット2によって画像が形成された印刷済み用紙4Pは、搬送ローラ対17,18によって搬送され、画像面が上向き積載の場合には、経路切替爪部材22、27がいずれも搬送ローラ対17,18と排出ローラ対19,20間の水平な搬送路より下方の位置に退避しており、そのままストレートに搬送され、排出ローラ対19,20によって腰付けされて排出力を付与され、排紙積載装置3の排紙トレイ21上に向けて排出される。これらによって、画像形成部によって画像が形成された印刷済み用紙を排出する排出部を構成している。
なお、印刷済み用紙4Pの画像面側に接触する搬送ローラ18と排出ローラ20は、インク転写汚れ防止のために砥粒ローラ等の点接触ローラにするとよい。
【0030】
一方、画像面が下向き積載の場合には、経路切替爪部材22を点線で示した位置に、経路切替爪部材27を実線で示す位置にそれぞれ移動させる。それによって、搬送ローラ対17,18によって搬送される印刷済み用紙4Pは、経路切替爪部材22にガイドされて上向き方向に搬送され、第1反転ローラ対23,24によって垂直方向に搬送し、その先端が用紙先端検知センサ35によって検知された後、さらに第2反転ローラ対25,26まで搬送されて一時停止される。その後、第1反転ローラ対23と24と第2反転ローラ対25,26を逆転駆動させることによって、印刷済み用紙4Pは下向きに搬送されるが、経路切替爪部材27にガイドされて排出方向に向きを変え、排出ローラ対19,20で腰付けされて排出力を付与され、排紙積載装置3の排紙トレイ21上に向けて排出される。
【0031】
これは、ページ順に印刷される印刷済み用紙4Pを積載時にページ順になるようにする場合に必要な積載方法である。つまり、印刷済み用紙4Pは画像面を下向きにして、排紙積載装置3の排紙トレイ21上に順次積載されることになる。
これ以外に、用紙4の両面に印刷をした後に排紙積載装置3に排出する場合もあるが、図1ではそのための両面印刷用搬送経路の図示を省略しているので、その説明も省略する。
【0032】
次に、排紙積載装置3について図2及び図3も参照して説明する。これらは、この発明による排紙積載装置の一実施形態である。
この排紙積載装置3の排紙トレイ21は載置面を有する板状部材であり、その上には印刷済み用紙4Pのそれが排紙される方向(矢示B方向)と直交する方向(幅方向と云う)の両端部(両側端)を案内して、幅方向の位置決めを行うための一対のサイドフェンス28a及び28bと、印刷済み用紙4Pの先端を受け止めて、その排出方向の位置決めを行うためのエンドフェンス29とが設けられている。
【0033】
一対のサイドフェンス28aと28bは、図3に示す対向する内面aとbの間隔Hの寸法を、用紙サイズに応じた最適値に調整できるように、幅方向(図3の左右方向)にスライド可能になっている。同様にエンドフェンス29の用紙排出方向の位置も用紙サイズに応じた最適位置に調整できるように、用紙排出方向にスライド可能になっている。これらのスライド構造は従来と同様であるので、その説明を省略する。
【0034】
一方のサイドフェンス28aの内面側に、排紙トレイ21上に排出されて積載された印刷済み用紙4Pの側部上面を上方から所定の押し力で押さえながら、新たに排出される印刷済み用紙4Pをガイドするガイド兼押さえ部材30aを、積載された印刷済み用紙4Pを押し付ける方向に揺動可能に保持して設けている。この実施形態では、ガイド兼押さえ部材30aが印刷済み用紙4Pの排出方向に間隔を置いて2個設けられている。
【0035】
その各ガイド兼押さえ部材30aは、それぞれサイドフェンス28aに回動可能に設けられた軸32aの周りに揺動可能に保持され、且つ図1で時計周り方向に所定の押し力が作用するように付勢されている。
【0036】
このサイドフェンス28aと対向するもう一方のサイドフェンス28bの内面側にも、同様な2個のガイド兼押さえ部材が設けられており、図3にそのガイド兼押さえ部材30a,30bとその軸32a,32bが示されている。このガイド兼押さえ部材30a,30bとその軸32a,32bも、印刷済み用紙4Pの排出方向に間隔を置いて2組設けられている。
したがって、ガイド兼押さえ部材30a,30bは、一対のサイドフェンス28a,28bのそれぞれ対向する内面側に、印刷済み用紙4Pの排出方向に間隔を置いて複数対(この例では2対)設けられている。このガイド兼押さえ部材30a,30bを3対以上設けてもよい。
【0037】
図2は、図1における排紙積載装置3の印刷済み用紙排出方向の上流側部分を拡大して示す図である。図3は、図1における排紙積載装置3をエンドフェンス29側から見た拡大図であるが、エンドフェンス29は取り外して仮想線で示している。印刷済み用紙4Pは画像面が下向きに積載されており、画像面側が水性インクによって膨張して延び幅方向の両端部が持ち上がるようにカールしている。
【0038】
これらの図に示すように、サイドフェンス28aには、回動可能な軸32aがサイドフェンス28aを貫通して設けられ、その軸32aのサイドフェンス28aの内側に突出する部分の端部付近に径方向に形成された透孔を、ガイド兼押さえ部材30aが貫通して保持されている。
【0039】
ガイド兼押さえ部材30aは、例えば直径1〜3mm程度のステンレス棒から作られており、軸32aから印刷済み用紙の排出方向(矢示B方向)の斜め下方へ略直線状に延びているが、印刷済み用紙4Pと接触する部分は上方に屈曲している。その屈曲部cは円弧状に屈曲させるのが望ましい。
【0040】
そのガイド兼押さえ部材30aの揺動支点である軸32aの中心から印刷済み用紙と当接する屈曲部cまでの有効長さLは調整可能である。すなわち、ガイド兼押さえ部材30aは、軸32aの透孔をスライド可能に貫通しており、その軸32aには透孔に直交する径方向にねじ込まれるツマミネジ34aが設けられていて、ガイド兼押さえ部材30aを軸32aの透孔内をスライドさせて最適位置に調整した後、ツマミネジ34aをねじ込んで固定できるようになっている。
【0041】
軸32aのサイドフェンス28aの外側に突出する部分の端部付近には、印刷済み用紙4Pの排出方向(矢示B方向)の斜め上方へ延びるアーム部材36aが固定されていて、そのアーム部材36aには重り部材37aが移動可能に貫通されており、その重り部材37aの位置をずらすことによって、ガイド兼押さえ部材30aの押し付け力を可変できるようになっている。この重り部材37aの重力が、ガイド兼押さえ部材30aを図2で時計周り方向に付勢する作用を有している。
【0042】
操作者が重り部材37aを移動させることによって、アーム部材36aの揺動支点である軸32aの中心から重り部材37aの重心までの距離が変化し、それによって軸32aの回転モーメントが変化して、ガイド兼押さえ部材30aの図2に矢示Dで示す押し付け力が変化する。
例えば、重り部材37aを図2に破線で示す位置から仮想線で示す位置へ移動させれば、軸32aの回転モーメントが小さくなるため、ガイド兼押さえ部材30aの押し付け力が弱くなる。
【0043】
したがって、これらの軸32aとアーム部材36aと重り部材37aとによって、排紙トレイ21上の積載された印刷済み用紙4Pをガイド兼押さえ部材30aが上方から押さえる押し力を可変する押し力可変機構を構成している。アーム部材36aと重り部材37aとの摺動部における摺動方向の複数箇所にクリック機構を設けておけば、アーム部材36aに対して重り部材37aを複数の位置で固定することができ、上記押し力を多段階に調整することができる。
【0044】
また、図3に示すように、軸32aはサイドフェンス28aに固定された軸受部38aをスライド可能に貫通しており、その軸受部38aに径方向にねじ込まれるツマミネジ39aを設け、そのツマミネジ39aをねじ込むことによって、軸32aを任意のスライド位置でサイドフェンス28aに固定することができる。
【0045】
したがって、その軸32aの内側への突出量を調節することでき、それによってガイド兼押さえ部材30aのサイドフェンス28aの内面から他方のサイドフェンス28b方向への突出距離M(図3)を可変調整することができる。
すなわち、これらの軸32aと軸受部38aとツマミネジ39aとによって、上記突出距離Mを可変調整する押し位置可変機構を構成している。
【0046】
図3に示す左側のサイドフェンス28bにも、上述したガイド兼押さえ部材30a及びそれに関連する各部材と同じ部材が全て対称的に設けられている。
すなわち、回動可能な軸32bがサイドフェンス28bを貫通して設けられ、その軸32bのサイドフェンス28bの内側に突出する部分の端部付近に径方向に形成された透孔を、ガイド兼押さえ部材30bが貫通して保持されている。
そのガイド兼押さえ部材30bの揺動支点である軸32bの中心から印刷済み用紙と当接する屈曲部までの有効長さ(図2に示したLに相当する)は、ツマミネジ39bを緩めることにより調整可能である。
【0047】
軸32bのサイドフェンス28bの外側に突出する部分の端部付近にはアーム部材36bが固定されていて、そのアーム部材36bには重り部材37bが移動可能に貫通されており、その重り部材37bの位置をずらすことによって、ガイド兼押さえ部材30bの押し付け力を可変できるようになっている。
さらに、軸32bと軸受部38bとツマミネジ39bとによって、ガイド兼押さえ部材30bのサイドフェンス28bの内面から他方のサイドフェンス28a方向への突出距離Mを可変調整する機構を構成している。
【0048】
一対のサイドフェンス28a,28bには、一対のガイド兼押さえ部材30a,30bとそれに関連する上記各部材と同じものが、印刷済み用紙4Pの排出方向(矢示B方向)に間隔を置いてもう一組設けられている。図1では、そのサイドフェンス28a側のガイド兼押さえ部材30aと軸32aだけを示している。
【0049】
このように、この実施形態の排紙積載装置3では、合計4個のガイド兼押さえ部材が印刷済み用紙4Pの排出搬送をガイドしながら、カールするのを防止すべく上方から押さえている。
印刷済み用紙4Pは図1及び図2における矢示Bの方向に、2対のガイド兼押さえ部材30a,30bによって案内されながら排紙トレイ21上に排出され、さらに上からカール形成を抑えるように下方へ押さえ付けられる。
【0050】
この例では、印刷済み用紙4Pは画像面を下向きにして、排紙トレイ21上に順次積載されるので、図3に示すように幅方向の両端部付近が持ち上がるようにカールし易い。そのため、各ガイド兼押さえ部材30a,30bによって、印刷済み用紙4Pの幅方向の両端部付近を押さえるようにするのが、カールを抑制するために望ましい。
【0051】
排紙トレイ21上の一対のサイドフェンス28aと28bは、その間隔を用紙サイズに合わせて可変できるように、図3で左右方向にスライド可能に保持されている。したがって、サイドフェンス28aと28bの内面a,bの間隔である内側スパン寸法Hは、用紙サイズに合わせて最適に設定される。
また、サイドフェンス28a,28bの内面a,bからガイド兼押さえ部材30a,30bまでの距離(前述した突出距離)Mも、印刷済み用紙の厚さやカール状態に応じて、前述したように最適な値に調整できる。
【0052】
なお、このように各ガイド兼押さえ部材30a,30bを一対のサイドフェンス28a,28bに保持させているので、印刷済み用紙4Pの幅方向の端部からガイド兼押さえ部材30a,30bに押さえられる位置までの距離に相当する前述した距離Mを一定に保ったまま、用紙サイズに応じてサイドフェンス28a,28bの間隔を調整できる。
それによって、用紙サイズに関わらずその幅方向の端部から押さえ位置までの距離Mを一定にすることができる。
【0053】
排紙トレイ21上に積載された印刷済み用紙4Pを取り出す際には、エンドフェンス29を倒して、図1で右方へ引き出すようにすれば、各ガイド兼押さえ部材30a,30bが邪魔にならずに容易に取り出すことができる。
印刷済み用紙の取り出し時には、各ガイド兼押さえ部材30a,30bは自然に上方に逃げるので邪魔をしない。
【0054】
次に、図1に示したインクジェット式画像形成装置本体1側の排出ローラ対の詳細を、図2及び図4を参照して説明する。
図4は、図3と同じ側からガイド兼押さえ部材及びその関連部材を取り外した排紙積載装置を通して、画像形成装置本体側の排出ローラ対を見た概略図である。
【0055】
排紙部の要部を構成する排出ローラ対は、駆動ローラである下排出ローラ19と従動ローラである上排出ローラ20とからなり、その各回転軸191と201が、画像形成装置本体1内の固定フレームに設けられた一対の支持部材100aと100bに回転可能に支持され、印刷済み用紙4Pの排出方向に直交する幅方向に平行に配設されている。
【0056】
下排出ローラ19の回転軸191には、その軸線方向の中央に対して図4で左右対称な位置に少なくとも2個の下排出コロ192と、その各下排出コロ192を挟んで両側に所定の間隔を置いてそれぞれ一対ずつの腰付け用コロ193,194を設けている。
そして、腰付け用コロ193と194の径は同等であるが、下排出コロ192の径はそれより小さい。これらの各下排出コロ192及び腰付け用コロ193,194は、回転軸191と一体に回転するが、その軸線方向には移動(スライド)及び固定可能に、例えばスプライン嵌合と強めのクリック機構やツマミネジ機構等によって装着されている。
【0057】
一方、上排出ローラ20の回転軸201には、その軸線方向の中央に対して図4で左右対称で下排出コロ192と対応する位置に、少なくとも2個の上排出コロ202が設けられている。そして、この上排出ローラ20の上排出コロ202と下排出ローラ19の下排出コロ192とによって搬送ニップを形成する。
【0058】
上排出コロ202は下排出ローラ19の腰付け用コロ193,194と同等の径を有し、これらの各コロの半径は、一対の回転軸191と201の間隔の1/2より大きく、上排出コロ202と腰付け用コロ193,194とが、回転軸191と201に交互にその軸線方向の位置をずらして、径方向に一部重なり合うように設けられている。
【0059】
そして、下排出コロ192が、図示していない駆動機構によって図2の矢示E方向に回転駆動されると、上排出コロ202が矢示F方向に従動回転する。印刷済み用紙4Pがその下排出コロ192と上排出コロ202によって挟持されて搬送され、矢示B方向へ排出される。
このとき、上排出コロ202と腰付け用コロ193,194とによって、印刷済み用紙4Pを幅方向に波状に曲げて腰付けし、剛性を高めながら排出する。
これは印刷済み用紙4Pをガイド兼押さえ部材30a、30bの押さえ力に抗して搬送するためには、用紙の搬送方向の剛性を大きくすることが必要になるためである。
【0060】
このように印刷済み用紙4Pに腰付けをすることによって、印刷済み用紙4Pは垂れ下がりを起こすことなく、排紙積載装置3の排紙トレイ21上に確実に排出される。
また、上排出コロ202は、回転軸201の軸線方向に移動(スライド)させて用紙サイズに応じて最適な位置に調整して固定でき、排紙積載装置3のサイドフェンス28a,28bの内面からの距離Mを最適に調整することができる。下排出コロ192及び腰付け用コロ193,194も、前述したように回転軸191の軸線方向にスライドさせて用紙サイズに応じて最適な位置に調整して固定できる。
【0061】
次に、この発明の他の実施形態について図5及び図6によって説明する。
図5は、この実施形態の前述の実施形態における図3と同様な図であるが、印刷済み用紙4Pが画像面を上向きに排出される場合の例を示している。図6はその排紙積載装置3を排出ローラ対と共に上方から見た平面図である。これらの図において、図1〜図4と対応する部分には同一の符号を付してあり、それらの説明は省略する。なお、図6では、サイドフェンス28a,28bに設けられた4個のガイド兼押さえ部材30a,30bとその関連部材が全て示されている。これらは、前述の実施例と同じである。
【0062】
印刷済み用紙4Pが幅方向から見て上に凸状にカールして排出される場合には、そのカールを押さえるにはサイドフェンス28a,28bからガイド兼押さえ部材30a,30bまでの距離Mを大きくとってやる必要がある。また、中央のガイド兼押さえ部材40を設けるのが望ましい。
【0063】
図5にはその中央のガイド兼押さえ部材40を示しているが、下排出ローラ19及び上排出ローラ20は図示していない。図6には下排出ローラ19及び上排出ローラ20を図示しているが、下排出ローラ19の回転軸191は上排出ローラ20の回転軸201の下側に重なっていて見えていない。
【0064】
この実施形態の排紙積載装置3における中央のガイド兼押さえ部材40は、図6に示すように、上排出ローラ20の回転軸201の軸線方向の中央部に回転軸201に対して相対回転可能に設けた保持部材41に一体的に設けられ、印刷済み用紙4Pの排出方向に延びている。したがって、この中央のガイド兼押さえ部材40は、回転軸201の回転に関わらず回転せず、排出される印刷済み用紙4Pの中央部を案内しながら自重によって上から押さえる働きを有している。それによって、排紙トレイ21上で印刷済み用紙4Pの中央部分のカールによる浮きを押さえる。
【0065】
図6における左側から右方向に向けて、下排出ローラ19と上排出ローラ20によって排出される印刷済み用紙4Pは、一対のサイドフェンス28a,28bによって案内されてエンドフェンス29に衝突して停止する。その際に中央のガイド兼押さえ部材40と左右のガイド兼押さえ部材30a,30bによって上方にカールすることを上面から押さえられながら案内される。
【0066】
また、排紙トレイ21上に積載された後にも、これらのガイド兼押さえ部材30a,30b,40がその後のカール増大を防止する働きをする。この排紙積載装置3では、印刷済み用紙4Pはサイドフェンス28a,28bに設けられた合計4個のガイド兼押さえ部材30a,30bによって案内されてカールを押さえられる。各ガイド兼押さえ部材30a,30bの押し圧力Pと有効長さL(図2参照)と用紙の側端面からの距離Mの値は、印刷済み用紙4Pの画像面によるカール形成の方向と印字率(インク吐出量)と用紙の種類と厚さ等に応じて最適に可変調整することが望ましい。
【0067】
その一例を表1に示す。画像面が上の場合には印字率が大きいと印刷物は中央部が盛り上がる方向にカールする。そこで中央のガイド兼押さえ部材40を有効に作用させて、さらに、サイドフェンス28a,28bのガイド兼押さえ部材30a,30bも寸法Mを大きく(60mm)設定して作用させると効果的になる。
画像面が下の場合には印字率が大きいと印刷物は両端部が盛り上がる方向にカールする。そこで両端部を押さえる両サイドフェンス28a,28bのガイド兼押さえ部材30a,30bを有効に作用させる。この場合寸法Mを小さく(30mm)設定して作用させると効果的になる。
【0068】
いずれの場合も、薄紙であればガイド兼押さえ部材30a,30bの押し力Pは小さくて(10gf)すむが、厚紙になればその押し力Pを大きく(30gf)しないと効果がない。但し、あまり大きな力で押すと擦れ汚れが発生してしまうことや、印刷済み用紙4Pの搬送力のブレーキになって途中で停止してしまうことになるので注意が必要である。
また、薄紙の場合にはガイド兼押さえ部材30a,30bの有効長さLを長め(100mm)にした方がよく、厚紙の場合にはその有効長さLを短め(60mm)にした方がよい。ここで、薄紙とは80g/mまでの用紙、厚紙とは81g/m以上の用紙とする。
【0069】
【表1】

【0070】
この発明による排紙積載装置は、上述した各実施形態について説明したように、印刷済み用紙の下面を受ける載置面を有する排紙トレイ21と、印刷済み用紙の幅方向の両端部をガイドする一対のサイドフェンス28a,28bとを有しており、そのサイドフェンス28a,28bは用紙サイズに応じて印刷済み用紙の排出方向と直交する方向(幅方向)に移動可能になっている。
そして、その一対のサイドフェンス28a,28bに、排紙トレイ21上に排出積載された印刷済み用紙の上面部を上方から所定の押し力で押さえながら、新たに排出される印刷済み用紙の上面端部をガイドするように形成されたガイド兼押さえ部材30a,30bが、その用紙を押しつ付ける方向に揺動可能に保持して設けられている。
【0071】
そのため、この排紙積載装置3を備えた画像形成装置は、その画像形成部によって画像が形成された印刷済み用紙が順次排紙されて積載される際に、画像面によって印刷済み用紙にカールが発生した場合にも、そのカールを押さえながら印刷済み用紙を排紙トレイ上に導いてやることが可能になり、排紙トレイ上で印刷済み用紙がカールによって用紙端部や中央部が異常に高くなって、そこに次の印刷済み用紙がぶつかってジャムになってしまうといったトラブルの発生を防止して、充分な枚数の印刷済み用紙を正常に排紙積載することが可能になる。
したがって、インクジェット式画像形成装置に特に有効であり、高速印刷が可能なライン型インクジェット式画像形成装置にも充分対応できる。
【0072】
また、各サイドフェンス28a,28bに、それぞれガイド兼押さえ部材30a,30bを印刷済み用紙の排出方向の先頭側から後流側に複数個並んで設けることによって、
印刷物の用紙サイズが大きい場合であっても、印刷済み用紙の幅方向の両端部側だけでなく、用紙の先頭側と後流側で全体に亘って用紙のカールを押さえながらガイドしてジャム発生を確実に防止し、さらに排紙トレイ上においても多くのポイントで用紙を押さえることによって、カールが増大するのを防止して平坦な印刷物を得ることが可能になる。
【0073】
各ガイド兼押さえ部材30a,30bの用紙を上方から押さえる押し力を多段階に可変調整する押し力可変機構を設けることによって、印字率及び用紙の種類や厚さ等によってカール度合いが異なるのに応じて、最適な押し力でガイド兼押さえ部材を印刷済み用紙に押し当てることが可能になり、カール押さえ効果を発揮しながらも、押さえ力が大きい場合に懸念される画像面の擦り汚れの発生や搬送抵抗の増加を最小にすることができる。
【0074】
さらに、上記ガイド兼押さえ部材30a,30bには、左右それぞれのサイドフェンス28a,28bの内面からの突出距離を可変調整する押し位置可変機構を設けているので、画像面が上の場合の凸状カールの場合にも画像面が下の場合の凹状カールの場合にも、ガイド兼押さえ部材30a,30bのサイドフェンス28a,28bの内面からの距離を調整することによって、効果的に用紙のカールを押さえてジャムが発生することなく印刷済み用紙を正常に積載することが可能になる。
【0075】
上述した実施形態のインクジェット式画像形成装置は、画像形成部に4色のライン型インクジェットヘッドを設けたフルカラーの画像形成用ヘッドユニット2を備えているが、シリアル型インクジェットヘッドを設けたフルカラーの画像形成部を備えてもよいし、ライン型又はシリアル型の2色あるいは単色のインクジェットヘッドを設けた画像形成部を備えてもよい。
さらに、この発明による排紙積載装置及び画像形成装置は、他の方式の画像形成装置に適用しても、印刷済み用紙にカールが発生する場合にそれを抑制して排紙及び積載することができる。
【0076】
また、上述した各実施形態は最良の形態を説明したが、そのすべての構成が必須なわけではないので、請求項1に記載した部材以外の各部材等は用途に応じて適宜省略することができる。さらに、各実施形態に記載した部材や機構の形状や構造等は適宜変更でき、それら以外のものを追加することもできることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0077】
この発明は、インク等の記録剤を用いて用紙に画像を形成する画像形成装置に該当する、プリンタ、プロッタ、印刷装置、複写装置、デジタル複合機、ファクシミリ装置等の各種画像形成装置に適用でき、特にインクジェット式画像形成装置に好適であり、高速印刷が可能なライン型インクジェット式画像形成装置にも適用するとことができる。
【符号の説明】
【0078】
1:画像形成装置本体 2:画像形成用ヘッドユニット
3:排紙積載装置 4:用紙 4P:印刷済み用紙 5,6:搬送ローラ対
7:無端広幅ベルト 12:エアー吸引ダクト 17,18:搬送ローラ対
19:排出ローラ対の下排出ローラ 20:排出ローラ対の上排出ローラ
21:排紙トレイ(載置面を有する) 22,27:経路切替爪部材
23,24:第1反転ローラ対 25,26:第2反転ローラ対
28a,28b:サイドフェンス 29:エンドフェンス
30a,30b:ガイド兼押さえ部材 32a,32b:軸
33,35:用紙先端検知センサ 34a,34b:ツマミネジ
36a,36b:アーム部材 37a,37b:重り部材
38a,38b:軸受部 39a,39b:ツマミネジ
40:中央のガイド兼押さえ部材 41:保持部材
100a,100b:支持部材 191:下排出ローラの回転軸
192:下排出コロ 193,194:腰付け用コロ
201:上排出ローラの回転軸 202:上排出コロ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0079】
【特許文献1】特開平11−79519号公報
【特許文献2】特開2006−137571号公報
【特許文献3】特開2002−20024号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置における印刷済み用紙が順次排紙されて積載される排紙積載装置であって、
印刷済み用紙の下面を受ける載置面と、印刷済み用紙のそれが排紙される方向と直交する幅方向の両端部をガイドする一対のサイドフェンスとを有しており、
該一対のサイドフェンスは用紙サイズに応じて前記幅方向に移動可能であり、
該一対のサイドフェンスのそれぞれ対向する内面側に、前記載置面上に排出されて積載された印刷済み用紙の側部上面を上方から所定の押し力で押さえながら、新たに排出される印刷済み用紙をガイドするガイド兼押さえ部材を、前記積載された印刷済み用紙を押し付ける方向に揺動可能に保持して設けたことを特徴とする排紙積載装置。
【請求項2】
前記ガイド兼押さえ部材は、前記一対のサイドフェンスのそれぞれ対向する内面側に、前記印刷済み用紙の排出方向に間隔を置いて複数対設けられていることを特徴とする請求項1に記載の排紙積載装置。
【請求項3】
前記各ガイド兼押さえ部材には、前記積載された印刷済み用紙を上方から押さえる押し力を可変する押し力可変機構が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の排紙積載装置。
【請求項4】
前記押し力可変機構は、前記ガイド兼押さえ部材の揺動支点付近から該ガイド兼押さえ部材に一体に固定されて前記印刷済み用紙の排出方向に延びるアーム部材と、該アーム部材に前記揺動支点からの距離を可変に設けられた重り部材とからなることを特徴とする請求項3に記載の排紙積載装置。
【請求項5】
前記各ガイド兼押さえ部材には、前記一対のサイドフェンスの一方の内面から他方のサイドフェンス方向への突出距離を可変調整する押し位置可変機構が設けられていることを特徴とする請求項1から4いずれか一項に記載の排紙積載装置。
【請求項6】
前記各ガイド兼押さえ部材は、その揺動支点から前記印刷済み用紙と当接する部分までの長さを調節可能に保持されていることを特徴とする請求項1から5いずれか一項に記載の排紙積載装置。
【請求項7】
用紙に画像を形成する画像形成部と該画像形成部によって画像が形成された印刷済み用紙を排出する排出部とを有する画像形成装置本体と、該排出部によって順次排出される印刷済み用紙を積載するための請求項1から6のいずれか一項に記載の排紙積載装置とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
前記排出部は、前記画像が形成された印刷済み用紙を腰付けしながら前記排紙積載装置へ排出する排出ローラ対を備えていることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記排出ローラ対は、下排出ローラと上排出ローラとを有し、その各回転軸にそれぞれ複数のコロが交互にその軸線方向の位置をずらして、前記下排出ローラのコロと前記上排出ローラのコロとが径方向に一部重なり合うように設けられていることを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記下排出ローラと上排出ローラに設けられた前記複数のコロが、前記各回転軸の軸線方向に移動及び固定可能であることを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の画像形成装置において、
前記上排出ローラの回転軸の軸線方向の中央部に、該回転軸に対して相対回転可能な保持部材を設け、
前記排紙積載装置に積載される印刷済み用紙の前記幅方向の中央部を案内しながら、該用紙を上から押さえる中央のガイド兼押さえ部材を、前記保持部材に一体的に設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
前記画像形成部が、1個以上のインクジェットヘッドを備えたインクジェットヘッド方式の画像形成部であることを特徴とする請求項7から11のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記インクジェットヘッドが、ライン型インクジェットヘッドであることを特徴とする請求項12に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−188210(P2012−188210A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−52099(P2011−52099)
【出願日】平成23年3月9日(2011.3.9)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】