説明

排藁搬送構造

【課題】排藁メイン搬送装置及び排藁補助搬送装置の双方の清掃作業及びメンテナンス作業の効率化を図り得る構造簡単な排藁搬送構造を提供する。
【解決手段】排藁メイン搬送装置61及び排藁補助搬送装置62を支持する排藁フレーム63は、少なくとも一部が機体幅方向に関し排藁補助搬送装置62よりもフィードチェーン装置20から離間配置された第1回動軸65回り回動可能に機体本体2に直接又は間接的に支持されている。また、排藁メイン搬送装置61及び排藁補助搬送装置62の上方を覆うように排藁フレーム63に装着される排藁カバー64は、機体幅方向に関し排藁補助搬送装置62よりもフィードチェーン装置20に近接配置された第2回動軸66回り回動可能に排藁フレーム63に支持されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバイン等に備えられた排藁搬送構造に関する。
【背景技術】
【0002】
脱穀装置によって脱穀処理された後の排藁をフィードチェーン装置から受け継いで機体後方側へ搬送する排藁メイン搬送装置及び前記排藁メイン搬送装置を基準にして前記フィードチェーン装置とは機体幅方向反対側において前記排藁メイン搬送装置と略平行に配設され、排藁の穂先側を搬送する排藁補助搬送装置に対する清掃作業やメンテナンス作業の容易化を図るための構造が提案されている(下記特許文献1及び2参照)。
【0003】
詳しくは、前記特許文献1には、前記排藁メイン搬送装置及び前記排藁補助搬送装置を前記機体本体に固定された排藁フレームに上下動可能に且つ上方へ付勢された状態で支持させるとともに、前記排藁カバーを前記排藁メイン搬送装置及び前記排藁補助搬送装置を基準にして前記フィードチェーン装置とは反対側において機体前後方向に沿って配置された回動軸回り回動可能に支持させた排藁搬送構造が開示されている。
【0004】
前記特許文献1に記載の構造は、前記排藁カバーを前記回動軸回りに閉塞位置に位置させることにより、前記排藁メイン搬送装置及び前記排藁補助搬送装置を上方への付勢力に抗して作動位置に保持することができるとともに、前記排藁カバーを前記回動軸回りに開放位置に位置させることにより、前記排藁メイン搬送装置が共働する挟扼ガイドから上方へ移動された状態で機体幅方向に関し前記フィードチェーン装置が位置する側から前記排藁メイン搬送装置へアクセスすることができる点で有用であるが、その一方で下記不都合を有している。
【0005】
即ち、前記特許文献1に記載の構造においては、前記排藁カバーを前記回動軸回り回動可能とするための構成とは別に、前記排藁メイン搬送装置及び前記排藁補助搬送装置を上下動可能とするための構成が必要となるため、構造が複雑になる。
また、前記排藁カバーを開放位置に位置させることにより、前記フィードチェーン装置に近接する側の前記排藁メイン搬送装置へは容易にアクセスできるが、前記排藁メイン搬送装置を基準にして前記フィードチェーン装置とは反対側に配置されている前記排藁補助搬送装置へのアクセスは困難であるという問題がある。特に、前記排藁メイン搬送装置に排藁が詰まった状態においては、前記排藁補助搬送装置へのアクセスが非常に困難となる。
【0006】
一方、前記特許文献2には、扱室を形成する上部ケースをフィードチェーン装置とは機体幅方向反対側において機体前後方向に沿った回動軸回り回動可能にするとともに、前記上部ケースから機体後方側へ延出されたフレームに前記排藁メイン搬送装置の中間部を揺動自在に吊り下げ支持させた排藁搬送構造が開示されている。
【0007】
前記特許文献2に記載の構造は、前記上部ケースを回動することにより、前記排藁メイン搬送装置及び前記排藁補助装置が上方へ移動するため、構造簡略化が図れるが、その一方で、搬送方向下流側へ行くに従って機体後方且つ機体幅方向に関し前記フィードチェーン装置とは反対側に位置するように傾斜配置された前記排藁メイン搬送装置の中間部が機体前後方向に沿った前記フレームに支持される構成であるため、前記上部フレームを回動軸回りに開放位置に位置させても前記排藁メイン搬送装置の全体が挟扼ガイドに対して等間隔に離間されないという問題がある。
【特許文献1】特開2004−275134号公報
【特許文献2】特開平9−154382号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記従来技術に鑑みなされたものであり、搬送方向上流側から下方側へ行くに従って後方側且つ機体幅方向に関しフィードチェーン装置とは反対側に位置するように傾斜配置された排藁メイン搬送装置及び前記排藁メイン搬送装置を基準にして前記フィードチェーン装置とは機体幅方向反対側において前記排藁メイン搬送装置と略平行に配設された排藁補助搬送装置を有する排藁搬送構造であって、前記排藁メイン搬送装置及び前記排藁補助搬送装置の双方の清掃作業及びメンテナンス作業の効率化を図り得る構造簡単な排藁搬送構造の提供を一の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明に係る排藁搬送構造は、脱穀装置によって脱穀処理された後の排藁をフィードチェーン装置から受け継いで機体後方側且つ機体幅方向に関し前記フィードチェーン装置とは反対側へ搬送する排藁メイン搬送装置と、前記排藁メイン搬送装置を基準にして前記フィードチェーン装置とは機体幅方向反対側において前記排藁メイン搬送装置と略平行に配設され、排藁の穂先側を搬送する排藁補助搬送装置と、前記排藁メイン搬送装置及び前記排藁補助搬送装置を支持する排藁フレームと、前記排藁メイン搬送装置及び前記排藁補助搬送装置の上方を覆うように前記排藁フレームに装着される排藁カバーとを備えている。
前記排藁フレームは、機体幅方向に関し前記排藁補助搬送装置よりも前記フィードチェーン装置から離間配置された第1回動軸回り回動可能に機体本体に直接又は間接的に支持されている。
また、前記排藁カバーは、機体幅方向に関し前記排藁補助搬送装置よりも前記フィードチェーン装置に近接配置された第2回動軸回り回動可能に前記排藁フレームに支持されている。
【0010】
好ましくは、前記第1及び第2回動軸は機体前後方向に沿っている。
【0011】
好ましくは、前記排藁メイン搬送装置は前記脱穀装置における扱胴駆動軸に動力伝達機構を介して作動連結されており、前記動力伝達機構は、前記排藁フレームを前記第1回動軸回りに開方向へ回動させる動作に連動して動力遮断状態へ移行する。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る排藁搬送構造によれば、前記排藁メイン搬送装置及び前記排藁補助搬送装置を支持する前記排藁フレームが前記第1回動軸回り回動可能とされているので、排藁メイン搬送装置へアクセスするための構造として排藁カバーを開閉可能とするとともに排藁メイン搬送装置を上下動させる構造を有する構成に比して、構造簡略化を図ることができる。
さらに、前記構成によれば、前記排藁フレームを前記第1回動軸回りに開放位置に位置させることにより前記排藁メイン搬送装置の側を大きく開放させることができるとともに、前記排藁カバーを前記第2回動軸回りに開放位置に位置させることにより前記排藁補助搬送装置の側を大きく開放させることができる。従って、前記排藁メイン搬送装置及び前記排藁補助搬送装置の双方の清掃作業やメンテナンス作業の効率化を図ることができる。
【0013】
また、前記第1及び第2回動軸が機体前後方向に沿っている場合には、前記排藁カバーを前記第2回動軸回りに回動させることによって、前記排藁フレームを前記第1回動軸回りに回動させた際にアクセスし難い前記排藁補助搬送装置側を最も大きく開放させることができる。
【0014】
さらに、前記排藁メイン搬送装置が前記脱穀装置における扱胴駆動軸に動力伝達機構を介して作動連結されており、前記動力伝達機構が前記排藁フレームを前記第1回動軸回りに開方向へ回動させる動作に連動して動力遮断状態へ移行する構成を有する場合には、前記排藁フレームを開放した際に必ず前記排藁メイン搬送装置及び前記排藁補助搬送装置への動力伝達が遮断されるため、前記排藁フレームを開放して前記排藁メイン搬送装置及び前記排藁補助搬送装置の清掃作業やメンテナンス作業を行う際に、別途動力伝達の遮断操作を行う必要がなくなる。従って、前記排藁メイン搬送装置及び前記排藁補助搬送装置の双方の清掃作業やメンテナンス作業の効率化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図1から図4は本発明の一実施形態に係る排藁搬送構造が適用されたコンバイン1の側面図、正面図、背面図及び平面図である。
【0016】
<全体構成>
本実施の形態において、前記コンバイン1は、図1から図4に示すように、機体本体2と、前記機体本体2に支持された駆動源としてのエンジン(図示せず)と、前記機体本体2に連結された左右一対の走行装置(本実施の形態においては、クローラ式走行装置)10と、前記機体本体2の前方において該機体本体2に支持された刈取・搬送装置30と、前記刈取・搬送装置30によって刈り取られた穀稈を後方へ搬送するフィードチェーン装置20と、前記フィードチェーン装置20によって搬送される穀稈に対して脱穀処理する脱穀装置40と、前記脱穀装置40の下方に配設された選別装置50と、前記脱穀装置40によって脱穀処理された後の排藁を後方へ搬送する排藁搬送構造60とを備えている。
さらに、前記コンバイン1は、前記機体本体2の右前方部分に配設された運転席3と、前記選別装置50によって選別された穀粒を収容するグレンタンク4であって、前記運転席3の後方に配設されたグレンタンク4と、前記グレンタンク4の後部から延出され、グレンタンク4内の穀粒を外部に排出する排出オーガ5とを備えている。
【0017】
前記刈取・搬送装置30は、穀稈を刈り取る刈取部31と、該刈取部31によって刈り取られた穀稈を前記フィードチェーン装置20へ搬送する搬送部35とを備えている。
前記刈取部31は、引起ケース及び引起タインを含む引起機構32と、前記引起ケースの下方部から前方へ突出された分草板33と、前記引起ケースの後方に配設された刈刃34とを有している。
前記搬送部35は、上部搬送機構及び縦搬送機構を含み、刈り取られた穀稈の株元を前記フィードチェーン装置20へ受け継ぐように構成されている。
【0018】
前記フィードチェーン装置20は、穀稈の穂先が前記脱穀装置40に配設される扱胴41(後述する図6参照)によって脱穀処理される状態で、該穀稈を後方へ搬送するように構成されている。
【0019】
前記排藁搬送構造60は、前記フィードチェーン装置20の後端部に配設され、前記フィードチェーン装置20により搬送された脱穀処理後の排藁を受け継いで後方へ搬送する。
本実施の形態においては、前記排藁搬送構造60の後端部下方には、排藁カッター装置及び拡散コンベア等を有する排藁処理装置90が設けられており、前記排藁処理装置90は、前記排藁搬送構造60により搬送された排藁を細かく切断し、機外に排出する。
【0020】
前記脱穀装置40は、後述する図6に示すように、前記機体本体2に支持される脱穀機枠42によって画される扱室43と、該扱室43内において機体前後方向に略沿った扱胴駆動軸44に相対回転不能に支持され、前記扱胴駆動軸44の軸線回りに回転することにより前記フィードチェーン装置20によって搬送される穀稈の穂先側を脱穀する前記扱胴41と、前記扱胴41の少なくとも最下点を覆うように該扱胴41と略同心状に配設された受網45とを備えている。
前記扱胴駆動軸44は、前記エンジンからの動力により軸線回りに回転駆動される。
前記脱穀装置40には、前記扱室43の上方を開閉可能な扱室カバー46が設けられている。
【0021】
前記選別装置50は、前記脱穀装置40の下方に前記受網を介して連通された状態で配設され、前記脱穀装置40において脱穀された脱穀物に対して比重選別を行う揺動選別機構(図示せず)及び前記揺動選別機構に対して前下方から後上方へ抜ける選別風を送出する風選別機構(図示せず)とを有している。
【0022】
前記グレンタンク4は、前記選別装置50によって選別された一番穀粒を貯留するように構成されている。
前記グレンタンク4内に貯留された一番穀粒は、前記グレンタンク4の底部に設けられた下部コンベア(図示せず)と、該下部コンベアから穀粒を受け継いで上方へ搬送するように前記排出オーガ5内に内挿された排出コンベア(図示せず)とを介して、機外に排出されるようになっている。
【0023】
前記排出オーガ5は、図1から図4に示すように、機体幅方向に関し前記グレンタンク4側(右側)の端部且つ前記グレンタンク4の後方に立設された縦排出オーガ5aと、前記縦排出オーガの上端部より水平方向に延出された横排出オーガ5bとを有している。
【0024】
<排藁搬送構造>
図5及び図6に、図1から図4に示すコンバイン1における排藁搬送構造60の平面図及び背面図を示す。
本実施の形態において、前記排藁搬送構造60は、図5に示すように、前記脱穀装置40によって脱穀処理された後の排藁を前記フィードチェーン装置20から受け継いで機体後方側且つ機体幅方向に関し前記フィードチェーン装置20とは反対側へ搬送する排藁メイン搬送装置61と、前記排藁メイン搬送装置61を基準にして前記フィードチェーン装置20とは機体幅方向反対側において前記排藁メイン搬送装置61と略平行に配設され、排藁の穂先側を搬送する排藁補助搬送装置62とを備えている。
さらに、前記排藁搬送構造60は、前記排藁メイン搬送装置61及び前記排藁補助搬送装置62を支持する排藁フレーム63と、前記排藁メイン搬送装置61及び前記排藁補助搬送装置62の上方を覆うように前記排藁フレーム63に装着される排藁カバー64とを備えている。
【0025】
前記排藁フレーム63は、図5及び図6に示すように、機体幅方向に関し前記排藁補助搬送装置62よりも前記フィードチェーン装置20から離間配置された第1回動軸65回り回動可能に前記機体本体2に直接又は間接的に支持されている。
図7に、図5及び図6に示す排藁搬送構造60の前記排藁フレーム63が開放位置に位置したときの背面図を示す。
前記排藁フレーム63は、図6及び図7に示すように、前記第1回動軸65回りに回動し、機体幅方向に関して水平となる閉塞位置(図6)と、機体幅方向に関して前記フィードチェーン装置20に近接するに従って高くなる開放位置(図7)とを選択的に取り得るように構成されている。
【0026】
また、前記排藁カバー64は、図5及び図6に示すように、機体幅方向に関し前記排藁補助搬送装置62よりも前記フィードチェーン装置20に近接配置された第2回動軸66回り回動可能に前記排藁フレーム63に支持されている。
図8に、図5及び図6に示す排藁搬送構造60の前記排藁カバー64が開放位置に位置したときの背面図を示す。
前記排藁カバー64は、図6及び図8に示すように、前記第2回動軸66回りに回動し、機体幅方向に関して水平となる閉塞位置(図6)と、機体幅方向に関して前記フィードチェーン装置20から離間するに従って高くなる開放位置(図8)とを選択的に取り得るように構成されている。
【0027】
上記構成を備えた排藁搬送構造60によれば、前記排藁メイン搬送装置61及び前記排藁補助搬送装置62を支持する前記排藁フレーム63が前記第1回動軸65回り回動可能とされている。
【0028】
これに対し、前記特許文献1においては、前記排藁メイン搬送装置及び前記排藁補助搬送装置を前記機体本体に固定された排藁フレームに上下動可能に且つ上方へ付勢された状態で支持させるとともに、前記排藁カバーを前記排藁メイン搬送装置及び前記排藁補助搬送装置を基準にして前記フィードチェーン装置とは反対側において機体前後方向に沿って配置された回動軸回り回動可能に支持させた排藁搬送構造が開示されている。
【0029】
前記特許文献1に記載の構造は、前記排藁カバーを前記回動軸回りに閉塞位置に位置させることにより、前記排藁メイン搬送装置及び前記排藁補助搬送装置を上方への付勢力に抗して作動位置に保持することができるとともに、前記排藁カバーを前記回動軸回りに開放位置に位置させることにより、前記排藁メイン搬送装置が共働する挟扼ガイドから上方へ移動された状態で機体幅方向に関し前記フィードチェーン装置が位置する側から前記排藁メイン搬送装置へアクセスすることができる点で有用であるが、その一方で下記不都合を有している。
【0030】
即ち、前記特許文献1に記載の構造においては、前記排藁カバーを前記回動軸回り回動可能とするための構成とは別に、前記排藁メイン搬送装置及び前記排藁補助搬送装置を上下動可能とするための構成が必要となるため、構造が複雑になる。
【0031】
一方、本実施の形態に係る排藁搬送構造60によれば、前述の通り、前記排藁メイン搬送装置61及び前記排藁補助搬送装置62を支持する前記排藁フレーム63が前記第1回動軸65回り回動可能とされているので、排藁カバーを開閉させる構造とは別に排藁メイン搬送装置を上下動させる構造を有する前記構造に比して、構造簡略化を図ることができる。
さらに、前記排藁搬送構造60によれば、前記排藁フレーム63を前記第1回動軸65回りに開放位置に位置させることにより前記排藁メイン搬送装置61の側を大きく開放させることができるとともに、前記排藁カバー64を前記第2回動軸66回りに開放位置に位置させることにより前記排藁補助搬送装置62の側を大きく開放させることができる。従って、前記排藁メイン搬送装置61及び前記排藁補助搬送装置62の双方の清掃作業やメンテナンス作業の効率化を図ることができる。
【0032】
本実施の形態において、前記第1回動軸65及び第2回動軸66は、図5から図8に示すように、機体前後方向に沿っている。
上記構成によれば、前記排藁カバー64を前記第2回動軸66回りに回動させることによって、前記排藁フレーム63を前記第1回動軸65回りに回動させた際にアクセスし難い前記排藁補助搬送装置62側を最も大きく開放させることができる。
前記第1回動軸65は、前記フィードチェーン装置20に対し可及的に離間した位置に位置されることが好ましく、前記第2回動軸66は、前記フィードチェーン装置20に対し可及的に近接した位置に位置されることが好ましい。
このように、前記第1回動軸65を前記フィードチェーン装置20に対し可及的に離間した位置に位置させることで、前記開放位置において、前記排藁メイン搬送装置61及び前記排藁補助搬送装置62の下方にできるスペースをより大きくすることができる。
また、前記第2回動軸66を前記フィードチェーン装置20に対し可及的に近接した位置に位置させることで、前記開放位置において、前記排藁メイン搬送装置61及び前記排藁補助搬送装置62の上方にできるスペースをより大きくすることができる。
【0033】
さらに、本実施の形態において、前記排藁メイン搬送装置61は、図5に示すように、前記脱穀装置40における前記扱胴駆動軸44に動力伝達機構67を介して作動連結されている。そして、前記動力伝達機構67は、前記排藁フレーム63を前記第1回動軸65回りに開方向へ回動させる動作に連動して動力遮断状態へ移行するように構成されている。詳しくは後述する。
上記構成によれば、前記排藁フレーム63を開放した際に必ず前記排藁メイン搬送装置61及び前記排藁補助搬送装置62への動力伝達が遮断されるため、前記排藁フレーム63を開放して前記排藁メイン搬送装置61及び前記排藁補助搬送装置62の清掃作業やメンテナンス作業を行う際に、別途動力伝達の遮断操作を行う必要がなくなる。従って、前記排藁メイン搬送装置61及び前記排藁補助搬送装置62の双方の清掃作業やメンテナンス作業の効率化を図ることができる。
【0034】
<排藁搬送構造詳細>
本実施の形態において、前記排藁フレーム63は、図5に示すように、機体幅方向に沿った第1メインフレーム631と、前記第1メインフレーム631の後方に位置し、前記第1メインフレーム631に略平行な第2メインフレーム632と、前記第1メインフレーム631の前方に位置し、前記第1メインフレーム631に略平行な前方フレーム633と、前記第1メインフレーム631、前記第2メインフレーム632及び前記前方フレーム633を連結する第1連結フレーム634及び第2連結フレーム635とを備えている。
【0035】
前記第2メインフレーム632は、前記排藁フレーム63の後端を画し、前記前方フレーム633は、前記排藁フレーム63の前端を画している。
また、前記第1連結フレーム634が機体幅方向に関して前記フィードチェーン装置20から離間する側の側方端(右端)を画し、前記第2連結フレーム635が機体幅方向に関して前記フィードチェーン装置20に近接する側の側方端(左端)を画している。
なお、本実施の形態において、前記第2連結フレーム635及び前記前方フレーム633は、一体的に形成されている。
【0036】
本実施の形態において、前記第1連結フレーム634は、図5に示すように、機体前後方向中央領域において機体後方側に行くに従って前記第2連結フレーム635より離間するように形成されている。
【0037】
前記排藁フレーム63は、図4から図7に示すように、軸受部材636を介して前記グレンタンク4の後方において前記機体本体2から上方に立設された支持フレーム70に支持されている。
本実施の形態においては、前記排藁フレーム63に前記第1回動軸65が固定され、且つ、前記支持フレーム70に前記軸支持部材636が固定されており、前記第1回動軸65が前記排藁フレーム63に挿通された状態で前記軸支持部材636に前記第1回動軸65が固定されることにより、前記排藁フレーム63が前記支持フレーム70に対して前記第1回動軸65回り揺動可能に支持される。
なお、上記構成に代えて、前記排藁フレーム63に前記軸支持部材636が固定され、且つ、前記支持フレーム70に前記第1回動軸65が挿通された状態で前記軸支持部材636に前記第1回動軸65が固定される構成としてもよい。
【0038】
本実施の形態において、前記支持フレーム70は、図3に示すように、前記排藁フレーム63を支持するとともに、前記コンバイン1の機体幅方向に関して前記フィードチェーン装置20とは反対側の端部に立設される前記排出オーガ5(前記縦排出オーガ5a)を支持している。
【0039】
上記構成を有することにより、前記第1回動軸65が前記排出オーガ5近傍に配置されることとなるため、前記排藁フレーム63の支持部として前記排出オーガ5の支持部を兼用させることができ、別途支持フレームを設けることなく本構造を容易に適用することができる。
さらに、前記第1回動軸65が機体幅方向に関して前記フィードチェーン装置20から可及的に離間した位置に配置されるため、前記排藁フレーム63を可及的に大きく開放させ得る構造とすることができる。
【0040】
本実施の形態において、前記グレンタンク4は、図4に示すように、前記グレンタンク4の後方端部且つ外側方端部(右側方端部)において略垂直に配置された回動軸回り回動可能に構成されている。即ち、前記グレンタンク4は、前記縦排出オーガ5aに近接した位置に配置された前記回動軸回りに回動可能に構成されている。
上記構成を有することにより、前記グレンタンク4を前記回動軸回りに回動させることで、作業者が前記排藁搬送構造60に機体幅方向に関して前記フィードチェーン装置20から離間する側(進行方向右側)から容易にアクセスすることができる。従って、前記排藁カバー64を前記第2回動軸66回りに開放位置に位置させた際のメンテナンス作業をより効率的に行うことができる。
【0041】
本実施の形態において、前記排藁搬送構造60は、図5に示すように、基端部が前記排藁フレーム63の機体幅方向に関し前記第1回動軸65とは反対側に支持され、自由端部が排藁カバー64より外側方に延出された操作レバー68を有している。前記操作レバー68は、前記排藁フレーム63の開閉操作手段として用いられる。
【0042】
さらに、前記排藁搬送構造60は、図5に示すように、前記排藁フレーム63を閉塞位置に保持するロック機構69を有している。
本実施の形態において、前記ロック機構69は、前記排藁フレーム63の前方側に配設された第1ロック機構691と、前記排藁フレーム63の後方側に配設された第2ロック機構692とを有している。
【0043】
前記第1ロック機構691は、前記第1回動軸65に平行な第1軸693と、基端部が前記第1軸693の前記前方フレーム633に近接する位置において前記第1軸693に相対回転不能に支持され、自由端部が前記機体本体2に直接又は間接的に連結可能に構成された第1ロック片694と、前記排藁フレーム63の閉塞位置において前記第1ロック片694を前記第1軸693の軸線回りに関して前記機体本体2に連結する方向へ付勢する第1付勢部材695とを有している。
本実施の形態において、前記第1軸693は、一端部が前記前方フレーム633に軸線回り回転可能に支持され、他端部が前記第1メインフレーム631に軸線回り回転可能に支持されている。
【0044】
前記第2ロック機構692は、前記第1回動軸65に平行な第2軸696と、基端部が前記第2軸696の前記第2メインフレーム632に近接する位置において前記第2軸696に相対回転不能に支持され、自由端部が前記機体本体2に直接又は間接的に連結可能に構成された第2ロック片697と、前記排藁フレーム63の閉塞時に前記第2ロック片697を前記第2軸696の軸線回りに関して前記機体本体2に連結する方向へ付勢する第2付勢部材698とを有している。
本実施の形態において、前記第2軸696は、一端部が前記第2メインフレーム632に軸線回り回転可能に支持され、他端部が前記第1メインフレーム631に軸線回り回転可能に支持されている。
【0045】
本実施の形態において、前記ロック機構69は、図5に示すように、前記第1ロック機構691及び前記第2ロック機構692を作動連結する連結部699と、前記第1ロック片694及び前記第2ロック片697を前記第1軸693及び前記第2軸696の軸線回りに関して前記機体本体2との連結を解除する方向へ作動させるロックレバー700とを有している。
なお、図6から図8においては、前記第1ロック機構691及び前記第2ロック機構692は図示を省略している。
前記連結部699は、前記第1軸693及び前記第2軸696間を作動連結する連結アームを有している。
また、前記ロックレバー700は、前記第2軸696に相対回転不能に支持されている。
従って、前記ロックレバー700を前記第2付勢部材698の付勢力に抗して前記第2軸696の軸線回りに関して前記機体本体2との連結を解除する方向へ操作することにより、前記第2軸696とともに前記第2ロック片697が軸線回りに回動し、前記機体本体2との連結が解除される。さらに、前記第2軸696が軸線回りに回動することにより前記第2軸696と作動連結された前記第1軸693も軸線回りに回動するため、前記第1ロック片694が前記第1軸693の軸線回りに関して前記機体本体2との連結を解除する方向へ回動し、前記機体本体2との連結が解除される。
【0046】
<排藁メイン搬送装置及び排藁補助搬送装置>
本実施の形態において、前記排藁メイン搬送装置61は、図5に示すように、前記フィードチェーン装置20に近接配置された駆動スプロケット611と、前記フィードチェーン装置20から離間配置された従動スプロケット612と、前記駆動スプロケット611及び前記従動スプロケット612に巻回された搬送チェーン613とを有している。
【0047】
また、前記排藁補助搬送装置62は、駆動スプロケット621及び従動ローラ622と、複数のタインを備え、前記駆動スプロケット621及び前記従動ローラ622に巻回されたタインチェーン623とを有している。
本実施の形態において、前記排藁補助搬送装置62の前記駆動スプロケット621は、図5に示すように、機体幅方向に関し前記従動ローラ622より前記フィードチェーン装置20から離間配置されている。
詳しくは、前記排藁補助搬送装置62の前記駆動スプロケット621は、前記排藁メイン搬送装置61の前記従動スプロケット612と同軸配置され、前記従動スプロケット612と連動連結されている。前記排藁補助搬送装置62の前記駆動スプロケット621は、前記排藁メイン搬送装置61の前記従動スプロケット612を相対回転不能に支持する伝動軸614に相対回転不能に支持されている。
【0048】
前記排藁メイン搬送装置61は、前記駆動スプロケット611及び前記従動スプロケット612をそれぞれ軸線回り回転可能に支持し、前記搬送チェーン613をガイドするガイドフレーム615を有している。
また、前記排藁補助搬送装置62は、前記駆動スプロケット621及び前記従動ローラ622をそれぞれ軸線回り回転可能に支持し、前記タインチェーン623をガイドするタインケース624を有している。
【0049】
以下に、前記排藁メイン搬送装置61及び前記排藁補助搬送装置62の支持構造について説明する。
本実施の形態において、前記排藁メイン搬送装置61及び前記排藁補助搬送装置62は、図5に示すように、互いに作動連結された状態で前記排藁フレーム63に支持されている。
詳しくは、前記排藁補助搬送装置62の前記タインケース624は、前記排藁メイン搬送装置61の前記ガイドフレーム615に支持され、前記メイン搬送装置61は、支持ステー616を介して前記排藁フレーム63に支持されている。
従って、前記排藁メイン搬送装置61及び前記排藁補助搬送装置62は、前記排藁フレーム63の前記第1回動軸65回りの回動に応じて上下動する。
【0050】
前記支持ステー616は、図5に示すように、前記メイン搬送装置61の前記ガイドフレーム615の搬送方向上流側近傍に固定された第1支持ステー617と、前記メイン搬送装置61の前記ガイドフレーム615の搬送方向下流側近傍に固定された第2支持ステー618とを有している。
前記第1支持ステー617は、前記前方フレーム633に支持され、前記第2支持ステー618は、前記第1メインフレーム631に支持されている。
【0051】
前記支持ステー616は、図5に示すように、前記搬送チェーン613と前記タインチェーン623とが平面視において略平行となるように、前記排藁メイン搬送装置61及び前記排藁補助搬送装置62を連結している。
【0052】
また、前記排藁メイン搬送装置61の下方には、前記機体本体2に支持された排藁挟扼ガイド(図示せず)が設けられており、前記排藁搬送構造60と前記排藁挟扼ガイドとで前記フィードチェーン装置20によって搬送されてきた排藁を挟持しつつ後方へ搬送するように構成されている。
前記搬送チェーン613は、前記排藁挟扼ガイドとともに穀稈の株元側を保持・搬送し、前記タインチェーン623は、穀稈の穂先側を保持・搬送する。
【0053】
<排藁カバー>
図9に、図5から図8に示す排藁搬送構造60における排藁カバー64の斜視図を示す。
本実施の形態において、前記排藁カバー64は、図6に示すように、前記閉塞位置において略水平配置されている。前記排藁カバー64は、前記排藁フレーム63の形状に応じて後端が幅広の略台形状を有している。
また、前記排藁搬送構造60は、図5から図9に示すように、前記排藁カバー64の機体幅方向に関して前記フィードチェーン装置20に近接する側の側方端部から下方に延びる側方カバー80を有している。前記側方カバー80は、前記排藁フレーム63に固定されている。
【0054】
本実施の形態において、前記排藁カバー64は、図6、図8及び図9に示すように、前記側方カバー80に対して、前記第2回動軸66回りに回動するように構成されている。
即ち、前記第2回動軸66は、前記側方カバー80に支持されている。
本実施の形態において、前記第2回動軸66は、前記側方カバー80の上端部に支持されるとともに、前記排藁カバー64の機体幅方向に関して前記フィードチェーン装置20に近接する側の側方端部に支持されている。
【0055】
本実施の形態において、前記排藁カバー64は、図9に示すように、前記閉塞位置において第3ロック機構641により前記排藁フレーム63に固定される。なお、図7においては、前記第3ロック機構641は図示を省略している。
前記第3ロック機構641は、前記排藁カバー64に前記第2回動軸66に平行な軸線回り回動可能に支持された回動軸6411と、基端部が前記回動軸6411に相対回転不能に支持され、自由端部が前記排藁フレーム63に直接又は間接的に連結可能に構成された第3ロック片6412と、前記第3ロック片6412を前記排藁フレーム63に連結する方向に付勢する付勢部材6413と、前記回動軸6411に相対回転不能に支持されたロックレバー6414とを有している。
さらに、前記第3ロック機構641は、前記排藁フレーム63に支持された受け部材6415を有し、前記第3ロック片6412が前記受け部材6415と係合することにより、前記排藁カバー64が前記排藁フレーム63に対してロックされるように構成されている。
上記構成によれば、前記排藁カバー64の閉塞位置においては、前記第3ロック片6412と前記受け部材6415とが係合した状態となり、前記付勢部材6414によって前記係合状態が保持される。前記ロックレバー6414を前記付勢部材6414の付勢力に抗して前記第3ロック片6412が前記受け部材6415との係合を解除する方向に回動させることにより、前記第3ロック片6412と前記受け部材6415との係合が解除され、前記排藁カバー64が前記第2回動軸66回り回動可能となる。
上記構成を備えることにより、前記排藁カバー64を前記排藁フレーム63に対して独立して回動可能とした本実施の構成においても、前記排藁カバー64の閉塞位置において、前記排藁カバー64が前記排藁フレーム63に確実にロックされるため、前記コンバイン1の走行時等において前記排藁カバー64がばたついたりすることを防止することができる。
【0056】
本実施の形態において、前記排藁カバー64は、前記動力伝達機構67の上方を覆うように構成されている。
上記構成を備えることにより、前記排藁カバー64を前記第2回動軸66回りに回動させて開放位置とすることにより、前記動力伝達機構67のメンテナンスをも容易に行うことができる。
【0057】
なお、前記排藁カバー64は、以下に例示するように、前記排藁フレーム63に対して前記第2回動軸66回り回動可能に直接又は間接的に前記排藁フレーム63に支持された種々の態様を取り得る。
図10に、本実施の形態に係る排藁搬送構造における排藁カバーの他の例を説明するための斜視図を示す。
図10(a)の例における前記排藁搬送構造60aは、前記排藁カバー64aの機体幅方向に関して前記フィードチェーン装置20に近接する側の側方端部から下方に延びる側方カバー80aと、前記排藁カバー64aの周囲を囲繞するように形成され、前記側方カバー80aに連結された枠体81aとを有している。
前記側方カバー80a及び前記枠体81aは、前記排藁フレーム63に固定されている。
【0058】
本例において、前記排藁カバー64aは、第2回動軸66a回りに回動することにより、前記枠体81aによって形成された開口部82aを開閉し得る蓋体として作用する。
【0059】
即ち、前記排藁カバー64aは、図10(a)に示すように、前記側方カバー80aに対して、前記第2回動軸66a回りに回動するように構成されている。
即ち、前記第2回動軸66aは、前記側方カバー80aに支持されている。
本実施の形態において、前記第2回動軸66aは、前記側方カバー80aの上端部に支持されるとともに、前記排藁カバー64aの機体幅方向に関して前記フィードチェーン装置20に近接する側の側方端部に支持されている。
【0060】
また、図10(b)の例における排藁搬送構造60bは、排藁カバー64bと、前記排藁カバー64bの機体幅方向に関して前記フィードチェーン装置20に近接する側の側方端部から下方に延びる側方カバー80bとを有しており、前記排藁カバー64bは、前記側方カバー80bの下端部において機体前後方向に沿って配設された第2回動軸66b回りに回動可能に前記排藁フレーム63に支持されている。
前記排藁カバー64bは、前記側方カバー80bと一体的に形成されている。
【0061】
<動力伝達機構>
本実施の形態において、前記動力伝達機構67は、図5及び図6に示すように、前記扱胴駆動軸44の後端部に相対回転不能に支持された扱胴プーリ671と、前記扱胴駆動軸44と略平行に配設された排藁入力軸672と、前記排藁入力軸672に相対回転不能に支持された排藁プーリ673とを備えており、前記扱胴プーリ671から前記排藁プーリ673へ前記扱胴駆動軸44の回転動力を前記排藁入力軸672に伝達可能に構成されている。
【0062】
本実施の形態において、前記動力伝達機構67は、図5及び図6に示すように、前記扱胴駆動軸44と略平行なカウンタ軸674と、前記カウンタ軸674に支持されたカウンタプーリ675とをさらに備えている。前記カウンタプーリ675は、互いに供回りする第1プーリ675a及び第2プーリ675bを有している。
図6に示すように、前記第1プーリ675a及び前記排藁プーリ673には、第1伝達ベルト676が巻回され、前記第2プーリ675b及び前記扱胴プーリ671には、第2伝達ベルト677が巻回されている。
以上の構成を有することにより、前記動力伝達機構67は、前記扱胴駆動軸44から前記扱胴プーリ671、前記第2伝達ベルト677、前記カウンタプーリ675、前記第1伝達ベルト676及び前記排藁プーリ673を順に介して前記排藁入力軸672に回転動力を伝達可能としている。
【0063】
本実施の形態において、前記カウンタプーリ675は、前記扱胴プーリ671の略直上に配設されている。また、前記排藁プーリ673は、前記扱胴プーリ671の上方且つ平面視において前記扱胴プーリ671より前記フィードチェーン装置20に近接する側に配設されている。
【0064】
前記カウンタ軸674は、前記機体本体2に直接又は間接的に支持されている。
また、前記排藁入力軸672は、前記排藁フレーム63に直接又は間接的に支持されている。本実施の形態において、前記排藁入力軸672は、前記第1支持ステー617を介して前記排藁フレーム63に支持されている。
即ち、前記排藁プーリ673は、前記排藁フレーム63の前記第1回動軸65回りの回動に伴って前記第1回動軸65回りに回動可能とされている。
【0065】
前記排藁メイン搬送装置61は、図5に示すように、前記駆動スプロケット611が相対回転不能に支持される搬送駆動軸619を有している。
前記排藁入力軸672及び前記搬送駆動軸619には、それぞれベベルギヤ620a,620bが相対回転不能に支持されており、前記ベベルギヤ620a,620bが互いに噛合されることにより、前記排藁入力軸672と前記搬送駆動軸619とが作動連結されている。
【0066】
<排藁フレームの開放による動力遮断構造>
前記動力伝達機構67は、図6に示すように、前記第1伝達ベルト676にテンションを付加し得る第1テンションプーリ678をさらに備えている。
前記動力伝達機構67は、前記第1テンションプーリ678が前記第1伝達ベルト676に付加するテンションを強めることにより前記カウンタプーリ675の回転を前記排藁プーリ673に伝達する動力伝達状態(図6)と、前記第1テンションプーリ678が前記第1伝達ベルト676に付加するテンションを弱めることにより前記カウンタプーリ675の回転を前記排藁プーリ673に伝達しない動力遮断状態(図7)とを選択的に取り得るように構成されている。
【0067】
本実施の形態において、前記第1テンションプーリ678は、図6及び図7に示すように、前記カウンタプーリ675及び前記排藁プーリ673の間において上方から下方に向けてテンションを付加し得るように構成されている。
詳しくは、前記動力伝達機構67は、前記第1テンションプーリ678と、前記排藁フレーム64及び前記第1テンションプーリ678を連結する第1リンク機構679とを有し、前記排藁フレーム63を前記第1回動軸65回りに開方向へ回動させる動作に連動して前記第1テンションプーリ678が前記第1伝達ベルト676に付加するテンションを弱くする方向へ移動することにより、前記動力遮断状態へ移行するように構成されている。
【0068】
前記第1リンク機構679は、前記カウンタ軸675回り回動可能に支持された第1テンションアーム6791であって、前記第1テンションプーリ678を支持する第1テンションアーム6791と、一端部が前記排藁フレーム63に前記扱胴駆動軸44に対して略平行な第1枢支軸6792回り回動自在に支持された第1リンク6793と、一端部が前記第1リンク6793の他端部に対して前記第1枢支軸6792に略平行な第2枢支軸6794回り回動自在に支持され且つ他端部が前記機体本体2に直接又は間接的に支持された第3枢支軸6795回り回動自在に支持された第2リンク6796と、前記第1テンションアーム6791と前記第2リンク6796とを作動連結する第3リンク6797と、前記排藁フレーム63の閉塞位置において前記第1テンションプーリ678を前記第1伝達ベルト676にテンションを付加する方向へ付勢する付勢部材6798とを有している。
本実施の形態において、前記付勢部材6798は、前記第3リンク6797に介装されている。
より詳しくは、前記第2リンク6796の前記第3リンク6797との連結部及び前記第1テンションアーム6791の前記第3リンク6797との連結部間の距離は、前記排藁フレーム63が前記第1回動軸65回り閉方向へ回動されるに従って離間されるように構成されている。
【0069】
上記構成によれば、図6に示すように、前記排藁フレーム63の閉塞位置において前記排藁フレーム63が保持されることにより、前記第1リンク6793及び前記第2リンク6796の位置も保持される。このため、前記第2リンク6796の前記第3リンク6797との連結部は、前記第1テンションアーム6791の前記第3リンク6797との連結部に対し最も離間した位置に保持される。これにより、前記第3リンク6797に介装された前記付勢部材6798は、一端部が前記第2リンク6796により引っ張られた状態で保持されることとなり、前記第1テンションアーム6791に支持された前記第1テンションプーリ678が前記カウンタ軸674回り動力伝達方向に付勢され、動力伝達状態が保持される。
一方、前記排藁フレーム63を前記閉塞位置から前記第1回動軸65回りに開方向へ回動させると、前記第1、第2及び第3リンク6793,6796,6797が連動し、前記第1テンションアーム6791が前記カウンタ軸674回り動力遮断方向へ回動する。このとき、前記付勢部材6798は、図7に示すように、前記第2リンク6796に押し付けられた状態となるため、前記第1テンションプーリ678により前記第1伝達ベルト676へ付加されるテンションは弱められ、動力遮断状態となる。
【0070】
なお、前記第1リンク機構679は、前記排藁フレーム63が前記第1回動軸65回りに開方向へ回動した際に、前記第1テンションアーム6791の回動量が前記排藁プーリ673の回動量より大きくなるように調整されている。
これにより、前記排藁フレーム63の前記第1回動軸65回り開方向への回動により、前記排藁プーリ673が前記第1回動軸65回りに回動しても前記第1伝達ベルト676に付加されるテンションを確実に弱めることができる。
【0071】
本実施の形態において、前記第2リンク6796の前記第3リンク6797との連結部は、前記第2枢支軸6796であり、前記第1テンションアーム6791の前記第3リンク6797との連結部は、前記第1テンションプーリ678の支持部より前記カウンタ軸674回りにおいて前記第1伝達ベルト676へテンションを付加する側に位置している。
【0072】
本実施の形態においては、前記第1伝達ベルト676のテンションは、図7に示すように、前記排藁フレーム63の開放位置においても完全には解除されない。即ち、前記排藁フレーム63の開放位置においても前記第1テンションプーリ678により閉塞位置におけるより弱い所定のテンションが付加される。
上記構成によれば、本実施の形態のように前記排藁搬送構造60の一部に前記タインチェーン623を用いている場合において、メンテナンス時に作業者が誤って前記タインチェーン623を逆転させることを有効に防止することができるため、メンテナンス時にタインを破損することを有効に防止することができる。
というのも、タインチェーンは一方向にしか回転できないため、逆方向に無理に回転させるとタインを破損してしまうおそれがある。
そこで、本実施の形態における前記動力伝達機構67は、前記排藁フレーム63の開放位置において前記第1テンションプーリ678が前記第1伝達ベルト676へのテンションを付加した状態で、前記扱胴プーリ671の回転に伴う順方向の動力伝達が遮断されるように構成されている。
上記構成を有することにより、前記排藁フレーム63の開放位置において、前記扱胴プーリ671の回転に伴って前記カウンタプーリ675が回転しても前記排藁プーリ673がスリップすることにより、動力伝達が遮断されるとともに、前記第1伝達ベルト676には所定のテンションが付加されているため、前記タインチェーン623が逆回転することを有効に防止することができる。
【0073】
本実施の形態においては、図6に示すように、前記第1リンク6793の前記第2枢支軸6794及び前記第3枢支軸6795を結ぶ線分と前記第1テンションアーム6791の前記第3リンク6797との連結部及び前記カウンタ軸674を結ぶ線分とは、前記排藁フレーム63の閉塞位置において略平行とされる。
さらに、前記第2枢支軸6794は、前記排藁フレーム63の閉塞位置において前記第1テンションアーム6791の前記第3リンク6797との連結部より下方に位置する。
また、前記第3枢支軸6795は、前記脱穀機枠42の機体幅方向に関して前記カウンタ軸674より前記フィードチェーン装置20から離間する側に支持され、前記第1枢支軸6792は、前記排藁フレーム63の機体幅方向に関して前記カウンタ軸674と前記第3枢支軸6795との間に配置されている。
【0074】
なお、本実施の形態においては、前記排藁カバー64の開閉によっては前記動力伝達機構67の動力伝達は遮断されないが、動力伝達機構が、排藁カバーを開方向へ回動させる動作に連動して動力遮断状態へ移行するように構成してもよい。
【0075】
図11に、本実施の形態に係る排藁搬送構造において排藁カバーに動力伝達機構の動力伝達が連動する例を説明するための背面図を示す。
なお、図11に示す例においては、図8に示す実施の形態と同様の構成については同じ符号を付し、説明を省略する。
図11の例に係る排藁搬送構造60cにおいて、動力伝達機構67cの第1リンク機構679cは、一端部が排藁カバー64cに前記扱胴駆動軸44に略平行な第1枢支軸6792c回り回動自在に支持された第1リンク6793cを有している。
【0076】
上記構成によれば、前記排藁カバー64cを前記第2回動軸66回り開方向へ回動させた際、前記排藁カバー64cに支持された前記第1リンク6793cが引き上げられる。これにより、前記第1テンションプーリ678が前記第1伝達ベルト676に付加するテンションを弱める方向に移動し、前記第1リンク機構679cは、動力遮断状態となる。
また、前記排藁フレーム63を前記第1回動軸65回り開方向へ回動させた際、前記排藁フレーム63とともに前記排藁カバー64cも前記第1回動軸65回り開方向へ回動されるため、前記排藁カバー64cに連結された前記第1リンク6793cが引き上げられる。これにより、前記第1テンションプーリ678が前記第1伝達ベルト676に付加するテンションを弱める方向に移動し、前記第1リンク機構679cは、動力遮断状態となる。
このように、上記構成によれば、前記排藁フレーム63及び前記排藁カバー64cの何れか一方でも開放位置に位置している限り、前記排藁搬送構造60への動力伝達は行われない。従って、前記排藁フレーム63及び前記排藁カバー64cの何れかを開方向へ回動させるだけで、別途動力伝達の遮断操作を行う必要がなくなる。従って、前記排藁搬送構造60の清掃作業やメンテナンス作業の効率化をより向上させることができる。
【0077】
<扱室カバーの開放による動力遮断構造>
図12に、図5及び図6に示す排藁搬送構造60の前記扱室カバー46が開放位置に位置したときの背面図を示す。
本実施の形態において、前記動力伝達機構67は、図6及び図12に示すように、前記扱室カバー46を開方向へ回動させる動作に連動して動力遮断状態へ移行するように構成されている。
本実施の形態において、前記扱室カバー46は、前記脱穀機枠42に機体前後方向に沿った回動支軸47回り回動可能に支持されている。
【0078】
前記動力伝達機構67は、図6に示すように、前記第2伝達ベルト677にテンションを付加し得る第2テンションプーリ680をさらに備えている。
前記動力伝達機構67は、前記第2テンションプーリ680が前記第2伝達ベルト677に付加するテンションを強めることにより前記扱胴プーリ671の回転を前記カウンタプーリ675に伝達する動力伝達状態(図6)と、前記第2テンションプーリ680が前記第2伝達ベルト677に付加するテンションを弱めることにより前記扱胴プーリ671の回転を前記カウンタプーリ675に伝達しない動力遮断状態(図12)とを選択的に取り得るように構成されている。
【0079】
本実施の形態において、前記第2テンションプーリ680は、図6に示すように、前記扱胴プーリ671及び前記カウンタプーリ675の間において機体幅方向に関し前記フィードチェーン装置20へ近接する方向へテンションを付加し得るように構成されている。
詳しくは、前記動力伝達機構67は、前記第2テンションプーリ680と、前記扱室カバー46及び前記第2テンションプーリ680を連結する第2リンク機構681とを有し、前記扱室カバー46を前記回動支軸47回りに開方向へ回動させる動作に連動して前記第2テンションプーリ680が前記第2伝達ベルト677に付加するテンションを弱くする方向へ移動することにより、前記動力遮断状態へ移行するように構成されている。
【0080】
前記第2リンク機構681は、図6に示すように、前記第1テンションプーリ680を支持する第2テンションアーム6811であって、前記扱胴駆動軸44回り回動可能に支持された第2テンションアーム6811と、前記第2テンションアーム6811と前記扱室カバー46の機体幅方向に関して前記第2テンションアーム6811より前記フィードチェーン装置20から離間する側とをワイヤにより接続するワイヤリンク6812と、前記第2テンションアーム6811を前記扱胴駆動軸44回り前記フィードチェーン装置20に近接する方向へ付勢する付勢部材6813とを有している。
【0081】
上記構成によれば、図6に示すように、前記扱室カバー46の閉塞位置において前記扱室カバー46が保持された際、前記第2テンションアーム6811は、前記付勢部材6813の付勢力により、前記第2テンションプーリ680が前記第2伝達ベルト677にテンションを付加する方向に付勢され、動力伝達状態が保持される。
一方、前記扱室カバー46を前記閉塞位置から前記回動支軸47回りに開方向へ回動させると、前記ワイヤリンク6812により、前記付勢部材6813の付勢力に抗して前記第2テンションアーム6811が前記扱胴駆動軸44回り動力遮断方向へ回動する。これにより、図12に示すように、前記第2テンションプーリ680により前記第2伝達ベルト677に付加されるテンションが弱められ、動力遮断状態となる。
このように、上記構成によれば、前記排藁フレーム63及び前記扱室カバー46の何れか一方でも開放位置に位置している限り、前記排藁搬送構造60への動力伝達は行われない。従って、前記扱室カバー46及び前記排藁フレーム63の何れかを開方向へ回動させるだけで、別途動力伝達の遮断操作を行う必要がなくなる。従って、前記脱穀装置40及び前記排藁搬送構造60の双方の清掃作業やメンテナンス作業の効率化を図ることができる。
【0082】
以上、本発明に係る実施の形態を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更、修正が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る排藁搬送構造が適用されたコンバインの側面図である。
【図2】図2は、図1に示すコンバインの正面図である。
【図3】図3は、図1及び図2に示すコンバインの背面図である。
【図4】図4は、図1から図3に示すコンバインの平面図である。
【図5】図5は、図1から図4に示すコンバインにおける排藁搬送構造の平面図である。
【図6】図6は、図5に示す排藁搬送構造の背面図である。
【図7】図7は、図5及び図6に示す排藁搬送構造の排藁フレームが開放位置に位置したときの背面図である。
【図8】図8は、図5及び図6に示す排藁搬送構造の排藁カバーが開放位置に位置したときの背面図である。
【図9】図9は、図5から図8に示す排藁搬送構造における排藁カバーの斜視図である。
【図10】図10は、本実施の形態に係る排藁搬送構造における排藁カバーの他の例を説明するための斜視図である。
【図11】図11は、本実施の形態に係る排藁搬送構造において排藁カバーに動力伝達機構の動力伝達が連動する例を説明するための背面図である。
【図12】図12は、図5及び図6に示す排藁搬送構造の扱室カバーが開放位置に位置したときの背面図である。
【符号の説明】
【0084】
20 フィードチェーン装置
40 脱穀装置
60,60a,60b,60c 排藁搬送構造
61 排藁メイン搬送装置
62 排藁補助搬送装置
63 排藁フレーム
64,64a,64b,64c 排藁カバー
65 第1回動軸
66,66a,66b 第2回動軸
67,67c 動力伝達機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱穀装置によって脱穀処理された後の排藁をフィードチェーン装置から受け継いで機体後方側且つ機体幅方向に関し前記フィードチェーン装置とは反対側へ搬送する排藁メイン搬送装置と、前記排藁メイン搬送装置を基準にして前記フィードチェーン装置とは機体幅方向反対側において前記排藁メイン搬送装置と略平行に配設され、排藁の穂先側を搬送する排藁補助搬送装置と、前記排藁メイン搬送装置及び前記排藁補助搬送装置を支持する排藁フレームと、前記排藁メイン搬送装置及び前記排藁補助搬送装置の上方を覆うように前記排藁フレームに装着される排藁カバーとを備えた排藁搬送構造であって、
前記排藁フレームは、機体幅方向に関し前記排藁補助搬送装置よりも前記フィードチェーン装置から離間配置された第1回動軸回り回動可能に機体本体に直接又は間接的に支持されており、
前記排藁カバーは、機体幅方向に関し前記排藁補助搬送装置よりも前記フィードチェーン装置に近接配置された第2回動軸回り回動可能に前記排藁フレームに支持されていることを特徴とする排藁搬送構造。
【請求項2】
前記第1及び第2回動軸は機体前後方向に沿っていることを特徴とする請求項1に記載の排藁搬送構造。
【請求項3】
前記排藁メイン搬送装置は前記脱穀装置における扱胴駆動軸に動力伝達機構を介して作動連結されており、
前記動力伝達機構は、前記排藁フレームを前記第1回動軸回りに開方向へ回動させる動作に連動して動力遮断状態へ移行することを特徴とする請求項1又は2に記載の排藁搬送構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図11】
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【図12】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−88306(P2010−88306A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−258381(P2008−258381)
【出願日】平成20年10月3日(2008.10.3)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】