説明

掘削又は建設作業用リグのブーム用回転装置、前記回転装置を備えたリグ及び前記回転装置を有するブーム

ブーム(9,11)の末端部領域に固定された装置(13)を回転するための回転装置(12)は、前記ブーム(9,11)が長手方向軸線を有し、前記ブーム(9,11)が、掘削又は建設作業用リグ用のキャリア(2)に固定可能なブーム装置(3)の一部であり、ブームの長手方向軸線と本質的に平行な軸線(A1)を中心に装置(13)を回転させるよう構成された第一回転ユニット(R1)と、ブームの長手方向軸線に対して、ある角度を成す軸線(A2)を中心に装置(13)を回転させるよう構成された第二回転ユニット(R2)とを備えている。回転ユニット(R1,R2)は、回転装置(12)に設けられた角度付きユニット(12’)に固定され、前記角度付きユニット(12’)は、相互に、ある角度を成して伸びる回転軸線(A1,21;A2,22)を有し、かつ、前記角度付きユニット(12’)は、ブーム(9,11)に加えて前記装置(13)に連結可能である。また、本発明は、掘削又は建設作業用リグ及びブームにも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に記載の掘削又は建設作業用リグのブーム用回転装置に関する。また、本発明は、そのような回転装置を有するリグ及びブームに関する。
【背景技術】
【0002】
欧州特許第0,434,652号(特許文献1)から、このような回転装置は、入れ子式ブーム構造において既に公知であり、公知の構造では、第一ブーム部分の後端部にある回転モータが、第二ブーム部分を回転するように構成されている。回転モータは、第二ブーム部分の外側端に配置されており、削岩機用送りビームを回転させる。
【0003】
この構成により削岩ブームは、作業者が、6段階の自由度を持って送りビームを所望の位置及び方向に比較的容易に位置決めできるように操作できる。しかし、公知の装置において、高い精度で送りビームの位置決めを可能にすることは、比較的困難である。高い精度での送りビームの位置決めは、昨今の使用者にはますます必要とされている。第一回転モータの位置決めと配置のために、遊びや変形による無視できない回転の狂いが生じることになり、このため、実際に、高い精度で調節できなくなる。
【0004】
【特許文献1】欧州特許第0,434,652号
【発明の開示】
【0005】
本発明の目的は、従来技術の問題点を除去するか、又は、少なくとも本質的に低減させる上記した回転装置を提供することにある。
【0006】
本発明のさらなる目的は、柔軟で経済的に実現される解決手段が得られ、かつ、高い精度での調節を可能にする上記した回転装置を提供することにある。
【0007】
これらの目的は、請求項1の特徴部分を通して本発明により達成される。
【0008】
これにより、入れ子式ブーム、従って、リグ全体がコンパクトに製造でき、かつ、標準的な回転作動装置及び標準的なブームのような標準的な構成部品を使用してモジュール化できるという多大な利点がある。
【0009】
第一回転ユニットが、その出力回転軸線の位置に分離面を備えている本発明の一実施例によれば、ブームを取外し可能に連結することが可能になり、同じブーム及び同じ掘削又は建設作業用リグを異なる用途に簡単に使用でき、即ち、使用すべき装置を前記分離面に連結できるという利点が得られる。
【0010】
また、第二回転ユニットに分離面を設けることによって、類似の利点が得られ、さらに、回転装置全体が、ブーム及び装置から分離可能になり、それにより、保守のために簡単に交換可能で、及び/又は取外し可能になる。
【0011】
回転装置/角度付き装置に、開放した又は開放可能な中間部分を設けることによって、保守や交換等のために各回転作動装置に外部から簡単にアクセスすることが可能になる。
【0012】
各回転作動装置の運動伝達のために歯付き変速ユニット、特に、遊星ギヤ変速ユニットを設けることによって、装置の簡単化及び小型化が際立つ。
【0013】
本発明によれば、有利には、ブーム部分の断面は非円形に製造され得る。それにより、完成したブームの剛性がより高くなり、かつ、より高い積載能力が得られ、遊びの影響が減る。
【0014】
本発明によれば、このような回転装置を有するリグ及びブームにおいても、類似の利点が得られる。
【0015】
本発明は、添付図面を参照した実施例により以下に説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1において、符号1は、掘削機械の形態のリグ全体を示している。この実施例では、掘削機械は、発破孔の穿孔と岩盤補強との各々を行う機械である。掘削機械1は、従来の駆動構造と運転室とを有するキャリア2を備えており、ブーム装置3がキャリア2に取り付けられている。ブーム装置3は、昇降可能な入れ子式ブーム4を備え、前記ブーム4の外側端部には、例えば、送り装置6及び削岩機7を有する削岩装置13が固定されている。Z1及びZ2は、ブーム装置3の回転軸線を示している。以下に、回転軸線について詳細に説明する。
【0017】
図2は、ブーム装置3を詳細に示している。ブーム装置3は、キャリア取付部8と入れ子式ブームとを有する。入れ子式ブームは、第一ブーム部分9と第二ブーム部分11とを有する。第二ブーム部分11は、図2においては殆ど完全に引っ込められている(図1では、ブーム部分は図2よりも引き出されている。)。ブーム9及び11は、二つの昇降シリンダ10(図3に最も良く示されている。)によって昇降させられる。
【0018】
第二ブーム部分11の先端部には回転装置12が設けられている。この回転装置12は、破線15で示された第一分離部分の位置で分離可能である。また、この回転装置12は、破線16で示された第二分離部分の位置で送りビームホルダ13に対して分離可能である。
【0019】
図示されたブームは、5段階の回転自由度と、1段階の移動自由度とを持つ。削岩機の送り移動は含まれていない。特に、ブームの長手方向軸線を中心として360°を超えて回転できることが好ましい。また、ブームの長手方向軸線に対してある角度を成す軸線を中心として約90°を超えて回転できることがさらに好ましい。特に、この軸線を中心とした、少なくとも一方向への回転が、送りビームの外側端部をキャリア車両の運転室まで持ってくるように送りビームを殆ど完全に揺動させることを可能にする程大きいことが好ましい。その結果、作業者は、運転室から出る必要なしに、交換や検査のためにドリルビットに直接アクセスすることが可能になる。このことは、以下に説明する方法で設けられた回転ユニットを有する回転装置2によって、本発明により可能になる。
【0020】
図3には、回転装置12がより詳細に示されている。図3においては、作業中は回転装置12をカバーしているカバー14が回転装置12から取り外れている。カバー14を外すことにより、回転装置12の中間部24が露出され、それにより、二つの回転ユニット(図4参照)に外側からアクセスができる。第一回転ユニットは、ブーム9,11の長手方向軸線A1を中心として回転するために設けられている。第二回転ユニットは、ブーム9,11の長手方向軸線A1に対して本質的に直角な軸線A2を中心とする回転のための他の分離部分16に取り付けられる装置(送りビームホルダ)13の回転のために配置されている。
【0021】
装置13は、従来どおり、旋回ジョイント25を備えている。旋回ジョイント25は、軸線A3を中心にフィーダー(送り装置)を旋回させるための油圧シリンダ(図示せず)を有する。
【0022】
図4には、分離部分15の位置でブーム9,11から分離された回転装置12が示されている。図面には装置13の固定ブラット26が示されており、この固定ブラケット26は、第二分離部分16の位置で回転装置に取り付けられている。より詳細には、回転装置12は、角度付きユニット12’の形態の本体を有する。この本体12’は、二つの回転モータ17,18を中間部24に位置させるようにする相互に角度がつけられた二つの回転モータ取付部を有する。別の方法として、これらの回転モータは、中間部24に対して別の方法でも取り付けられ得る。より詳細には、第一回転モータは符号17で示され、第二回転モータは符号18で示されている。これらの回転モータ17,18は、相互に角度が付けられた回転モータ取付部23及び25上で、各々角度付きユニット12’に固定されている。各回転モータ17,18は、詳細には図示されていないが各々所望の数の変速段を備える遊星ギヤ変速ユニット19,20に各々取り付けられ、各遊星ギヤ変速ユニット19,20は、回転リング21,22の形態の外部軸線A1及びA2に接続されている。回転リング21(外部軸線A1)は、ブーム9,11に固定可能であり、回転リング22(外部軸線A2)は、装置13のブラケット26に固定可能である。各外部軸線A1(21)及びA2(22)についての取り付けのために、これらの回転リングは、円周上に配置された複数のネジ継手によって固定される締め付けリングの形態で構成され、第二ブーム部分11の末端部及び装置13の固定ブラケット26にある対応する固定フランジに固定される。詳細には、締め付けリング21,22は同一の構成である。
【0023】
本発明は、特許請求の範囲の範囲内で変形され得る。従って、たとえ、上記した実施例が好ましいとしても、回転装置及び角度付きユニットは他の方法でも構成され得、また、第一回転ユニットR1及び第二回転ユニットR2の各々の回転装置への取り付けも他の方法で行われ得る。
【0024】
回転装置は、他のタイプの掘削又は建設作業装置に使用され得る。例えば、有利には、回転装置は、ロックボルト打設装置に使用され得る。分離部分で簡単に分離可能な構造によって、リグに設けられた装置の交換が容易になり、同一のキャリア及びリグに、様々なタイプの掘削及び建設作業用装置を適用することができる。
【0025】
図面に示したように、ブーム9,11の断面は非円形であり、詳細には、丸くされた長方形であるが、ブームの断面は他の形態でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明による採掘リグの概略を示している。
【図2】本発明によるリグの一部の側面図を示している。
【図3】図2に示した装置の斜視図である。
【図4】本発明による回転装置の部分断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブーム(9,11)の末端部領域に固定された装置(13)を回転するための回転装置(12)であって、
前記ブーム(9,11)が長手方向軸線を有し、
前記ブーム(9,11)が、掘削又は建設作業用リグ用のキャリア(2)に固定可能なブーム装置(3)の一部であり、
ブームの長手方向軸線と本質的に平行な軸線(A1)を中心に装置(13)を回転させるよう構成された第一回転ユニット(R1)と、
ブームの長手方向軸線に対して、ある角度を成す軸線(A2)を中心に装置(13)を回転させるよう構成された第二回転ユニット(R2)と
を備えている回転装置(12)において、
回転ユニット(R1,R2)が、回転装置(12)に設けられた角度付きユニット(12’)に固定され、
前記角度付きユニット(12’)が、相互に、ある角度を成して伸びる回転軸線(A1,21;A2,22)を有し、かつ、
前記角度付きユニット(12’)が、ブーム(9,11)に加えて前記装置(13)に連結可能である
ことを特徴とする回転装置。
【請求項2】
第一回転ユニット(R1)が、その外部回転軸線の位置に分離面(15)を有し、それにより、ブーム(9,11)に取外し可能に固定され得る
ことを特徴とする請求項1に記載の回転装置。
【請求項3】
第二回転ユニット(R2)が、その外部回転軸線の位置に分離面(16)を有し、それにより、装置(13)に取外し可能に固定可能にする
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の回転装置。
【請求項4】
前記回転軸線(A1,21;A2,22)が相互に成す角度が、本質的に90°であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の回転装置。
【請求項5】
前記角度付きユニット(12’)が、各回転ユニット(R1,R2)に設けられた回転モータ(17,18)に対する外側からのアクセスを可能にする、開放している又は開放可能な中間部分(24)を有する
ことを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の回転装置。
【請求項6】
中間部分(24)が、相互に角度付けされた二つの回転モータ取付部(23,25)によって制限され、
回転モータ(17,18)が、中間部分(24)の内部に又は中間部分(24)に関連して位置するように、前記回転モータ取付部(23,25)に固定される
ことを特徴とする請求項5に記載の回転装置。
【請求項7】
各回転モータ(17,18)が、歯付きギヤユニット(19,20)を介して回転運動を伝達するように配置されている
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の回転装置。
【請求項8】
前記歯付きギヤユニット(19,20)が遊星ギヤ変速ユニットである
ことを特徴とする請求項7に記載の回転装置。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか一項に記載の回転装置(12)とブーム(9,11)とを有する
ことを特徴とする掘削又は建設作業用リグ。
【請求項10】
ブームが、
前記キャリア(2)に旋回可能に連結された第一ブーム部分(9)と、
第一ブーム部分(9)に対して入れ子式に移動可能な第二ブーム部分(11)と
を有する
ことを特徴とする請求項9に記載のリグ。
【請求項11】
第一ブーム部分(9)及び第二ブーム部分(11)の少なくとも一方が、少なくとも部分的に非円形の断面を有する
ことを特徴とする請求項10に記載のリグ。
【請求項12】
前記断面が長方形である
ことを特徴とする請求項11に記載のリグ。
【請求項13】
装置(13)が、ピボットモータを備えたピボット連結部(25)を有する
ことを特徴とする請求項9〜12の何れか一項に記載のリグ。
【請求項14】
請求項1〜8の何れか一項に記載の回転装置(12)を有する
ことを特徴とする掘削又は建設作業用リグ用ブーム(9,11)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−533330(P2008−533330A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−500668(P2008−500668)
【出願日】平成18年2月17日(2006.2.17)
【国際出願番号】PCT/SE2006/000217
【国際公開番号】WO2006/096110
【国際公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【出願人】(398056193)アトラス コプコ ロツク ドリルス アクチボラグ (66)
【Fターム(参考)】