説明

掘削攪拌装置の共回り防止翼

【課題】挿入時や引き抜き時に、翼体全体に大きな抵抗をかけることなく、しかも、掘削軸との間に生じる摩擦によっても共回りしにくいような共回り防止翼を提供する。
【解決手段】下端近傍に固化材スラリーを吐き出す吐出口23を備えた掘削軸2と、掘削軸2とともに回転する掘削翼3と、掘削翼3の上方に取り付けられて掘削軸2とともに回転する撹拌翼4と、撹拌翼4と前記掘削翼3との間に設けられて前記掘削軸2に対して回転自在に取り付けられる共回り防止翼5を備えてなる掘削撹拌装置1において、共回り防止翼5を、掘削軸2に回転可能に取り付けられる環状体51と、環状体51に対して掘削軸2の軸方向と平行となるように取り付けられる翼体50とを設けて構成し、翼体50の外周部に、掘削時もしくは抜き出し時に地盤と接触して撹拌翼4とは逆方向に自由回転する傾斜部54u、54d、54sを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤改良に用いられる掘削撹拌装置の共回り防止翼の構造に関し、より詳しくは、掘削軸との摩擦によっても共回りを生じにくい共回り防止翼の構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、建物の施工前に地盤改良を行う場合、地盤を鉛直方向に掘削する掘削撹拌装置が用いられる。この掘削撹拌装置は、クローラー型三点支持機やラフター型支持機や簡易三点支持機などの改良機本体に上端を支持した状態で使用されるもので、中空棒状の掘削軸の下端部分に掘削翼を取り付けるとともに、その掘削翼の上方に共回り防止翼や撹拌翼を取り付けて構成されるものである。そして、このような掘削撹拌装置を使用する場合、図6に示すように、次のような工程で掘削や撹拌の作業が行われる。
【0003】
すなわち、地盤を掘削する場合、地盤の表面に対して掘削翼3の中心軸を合わせた状態でセットし、掘削軸2を地盤に対して垂直な状態となるように調整していく(図6(a))。そして、調整が終わった後に、掘削軸2を正方向に回転させながら掘削していき、この際、所定流量の固化材スラリーを先端から吐き出して掘削と撹拌を行っていく(図6(b))。そして、掘削翼3が所定の深度に達したら(図6(c))掘削および固化材スラリーの吐き出しを停止するとともに、今度は、掘削軸2を逆方向に回転させながら、所定の速度で撹拌して引き抜きと撹拌を行っていく(図6(d))。そして、今度は、掘削軸2を正方向に回転させながら所定の速度で掘削方向に撹拌していき(図6(c))、所定の深度に再度到着した後に、再び、掘削軸2を逆方向に回転させながら所定の速度で引き抜いていく(図6(e))。
【0004】
ところで、このような掘削撹拌装置に使用される共回り防止翼は、掘削した円柱状の穴(コラム)内に土塊が含まれてしまうことを防止するもので、掘削翼と共回り防止翼とによって強制的に土を切り刻むようにしたものである。
【0005】
また、このような共回り防止翼に関しては、近年多くの特許文献における提案が行われている(特許文献1や特許文献2など)。
【0006】
このうち、下記の特許文献1には、共回り防止翼に関するものとして、掘削軸との摩擦などによって共回りしないような構造のものが開示されている。より具体的には、掘削翼によって削られる地盤の外径よりも大きくすることによって先端部分を地盤に食い込ませ、これによって、掘削軸との摩擦によっても共回りしないようにした共回り防止翼の構造が開示されている。
【0007】
また、下記の特許文献2にも、共回り防止翼に関するものとして、掘削軸との摩擦などによって共回りしないような構造のものが開示されており、具体的には、翼体全体をプロペラ状に傾けることによって掘削翼とは逆方向に回転させるようにした共回り防止翼が開示されている。
【特許文献1】特開2005−105736号公報
【特許文献2】特開平07−138935公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、このような従来の共回り防止翼においては、次のような問題が指摘されている。
【0009】
すなわち、上記特許文献1に示すように外側端部を地盤に若干食い込ませるようにしたものでは、外周部分への地盤の食い込み量によって共回り防止翼に大きな抵抗がかかり、挿入時や引き抜き時に掘削軸と共回り防止翼との間に大きな抵抗が生じてしまう。そして、この抵抗によって、共回り防止翼に回転方向への力が伝わり、共回りを生じてしまうことがある。
【0010】
また、特許文献2に示すような全体を傾けて取り付けた共回り防止翼を使用する場合は、その傾斜角によっては地盤との間で極端に抵抗が高くなり、同様に、掘削時や引き抜き時に大きな負荷がかかってしまう。さらに、挿入時や引き抜き時に、翼体全体にも大きな負荷がかかるため、変形や付け根部分での破損を生じさせる可能性がある。さらには、特許文献2に示されるような傾斜した共回り防止翼を製造する場合、傾斜角度を設定した状態で溶接して取り付けなければならず、非常に手間がかかるという問題も生ずる。
【0011】
そこで、本発明は上記課題に着目してなされたもので、挿入時や引き抜き時に、翼体全体に大きな抵抗をかけることなく、しかも、掘削軸との間に生じる抵抗によっても共回りしにくいような共回り防止翼を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
すなわち、本発明は上記課題を解決するために、下端近傍に固化材スラリーを吐き出す吐出口を備えた掘削軸と、当該掘削軸の下端近傍に取り付けられて当該掘削軸とともに回転する掘削翼と、当該掘削翼の上方に取り付けられて当該掘削軸とともに回転する撹拌翼と、当該撹拌翼と前記掘削翼との間に設けられて前記掘削軸に対して回転自在に取り付けられる共回り防止翼を備えてなる掘削撹拌装置において、当該共回り防止翼を、掘削軸に回転可能に取り付けられる環状体と、当該環状体に対して掘削軸の軸方向と平行となるように取り付けられる翼体とを設けて構成し、当該翼体の外周部に、掘削時もしくは抜き出し時に地盤と接触することによって撹拌翼とは逆方向に自由回転する傾斜部を設けるようにしたものである。
【0013】
このようにすれば、共回り防止翼を軸方向に沿った平面状(地盤に対して鉛直状)とすることによって、掘削時や抜き出し時にかかる抵抗を減らすことができるとともに、地盤との接触によって上下方向に圧力がかかった場合であっても、その圧力に沿った上下方向に共回り防止翼を取り付けているため、付け根部分から翼体が外れてしまうといった不具合を防止することができる。さらには、その鉛直状に取り付けられた平面の外周部分に傾斜部を設けているだけの構成であるため、製造が容易となり、簡単な構成で共回り防止翼を逆方向に回転させることができるようになる。
【0014】
また、このような発明において、鉛直状に設けられる平面状の翼体の上辺部もしくは下辺部を削って傾斜部を形成する。
【0015】
このようにすれば、一定の厚みを有する翼体の外周部を削るだけで傾斜部を形成することができ、簡単に傾斜部を形成することができる。また、現在市場に流通している共回り防止翼に対しても、簡単にこのような傾斜部を設けることができるようになる。
【0016】
さらには、鉛直状に設けられる平面状の翼体の最外周部を削ることによって傾斜部を形成する。
【0017】
このようにすれば、掘削翼よりも外側に張り出した部分における地盤と接触抵抗を減らすことができるとともに、その接触によって共回りと逆方向に回転させることができるようになる。
【0018】
加えて、このような傾斜部を、鉛直状に設けられる平面状の翼体に固着して取り付けるようにする。
【0019】
このようにすれば、現在市場に流通している共回り防止翼に対しても、後から傾斜部を取り付けることができる。また、傾斜部を着脱可能に取り付けるようにした場合は、使用によって摩耗した傾斜部を別途新たな傾斜部に付け替えることができ、さらには、傾斜部を硬度の異なる部材で形成することによって耐久性を持たせることもできるようになる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の共回り防止翼によれば、掘削軸に回転可能に取り付けられる環状体と、当該環状体に対して掘削軸の軸方向と平行となるように取り付けられる翼体とを設けて構成し、当該翼体の外周部に、掘削時もしくは抜き出し時に地盤と接触することによって撹拌翼とは逆方向に自由回転する傾斜部を設けるようにしたようにしたので、掘削時や抜き出し時にかかる抵抗を減らすことができる。また、地盤との接触によって上下方向に圧力がかかった場合であっても、その圧力に沿った上下方向に共回り防止翼を取り付けているため、付け根部分から翼体が外れてしまうといった不具合を防止することができる。さらには、その平面の外周部分に傾斜部を設けているだけの構成であるため、製造が容易となり、簡単な構成で共回り防止翼を逆方向に回転させることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施の形態である掘削撹拌装置1の全体構成を示したものであり、図2は、その下端部近傍の拡大図を示したものである。
【0022】
この掘削撹拌装置1は、クローラー型三点支持機やラフター型支持機や簡易三点支持機などの改良機本体に取り付けられて使用されるものであって、軸方向に沿って固化材スラリーを吐き出すための中空部を備えた掘削軸2と、この掘削軸2の下端側に取り付けられて地盤を掘削していく掘削翼3と、その掘削翼3の上部に取り付けられ掘削軸2とともに回転する2つの撹拌翼4と、これら掘削翼3や撹拌翼4との間であって掘削軸2に対して回転自由に取り付けられる共回り防止翼5とを備えて構成されるものである。
【0023】
このうち、この中空部を備えた掘削軸2は、内側を中空状とした複数の中空ロッド21を連結することで一定の長さに設定できるようにしたもので、地盤改良に必要な長さに設定される。そして、この連結された掘削軸2に対して上端側を改良機本体の回転駆動機構に接続し、掘削時の進行方向に対して時計回りに回転できるようにするとともに、プラントから送出された固化材スラリーを上端部近傍から注入して、下端側の吐出口23でその固化材スラリーを吐き出すことができるようにしている。
【0024】
一方、掘削翼3は、複数の翼体31によって構成されて地盤を掘削していくもので、その翼体31の下側に、櫛状の掘削刃32を斜め方向に取り付けて構成される。そして、この掘削刃32によって地盤を掘削して土砂を上方へ吐き出せるようにしている。
【0025】
また、この掘削翼3の上方に設けられる撹拌翼4は、掘削翼3の径とほぼ同じ半径を有する矩形板状の翼体41によって構成されるもので、この2枚の翼体41を掘削軸2に対して軸対称となるように取り付けて設けられる。この翼体41は、全体として板状体を傾斜させるように取り付けられるもので、掘削時に掘削穴内の土砂を上方へ吐き出す方向にして取り付けられる。そして、上下2対設けられた撹拌翼4によって土砂を上方へ吐き出すとともに、その傾斜した翼体41によって地盤の土砂と固化材スラリーを撹拌できるようにしている。なお、この撹拌翼4は、掘削軸2に対して固定した状態で取り付けられるが、この固定状態としては、掘削軸2に円筒状部材を介して取り付けるようにしてもよく、あるいは、クラッチなどを介して固定できるようにしてもよい。
【0026】
そして、このように構成された掘削撹拌装置1において、本実施の形態では、図2から図4に示すように外周部を削った共回り防止翼5を設けるようにしている。
【0027】
この共回り防止翼5は、掘削軸2に取り付けられる環状体51に対して2枚もしくは4枚の翼体50を取り付けて構成されるものであって、掘削軸2に対して回転自由な状態で取り付けられる。
【0028】
この環状体51は、掘削軸2を包むような円筒状に構成されるもので、掘削軸2のリング部22によって上下方向の動きを規制した状態で回転可能に取り付けられる。この環状体51は、その上下のリング部22との間にパッキン52を設けて摩擦を低減させるよう設けられる。このパッキン52は、C型状の合成樹脂などによって構成され、掘削時や引き抜き時に環状体51とリング部22との間に大きな摩擦が発生するのを防止する。
【0029】
そして、この環状体51の外周部分に、鉛直方向(すなわち、掘削軸2の軸方向)に沿って平面板状の翼体50が取り付けられる。この翼体50は一定の厚みを有する矩形状の平面板体であって、環状体51の外周面に溶接や、あるいは、ベースなどを介したボルトによる締め付けなどによって固着される。なお、図2においては、溶接で翼体50を取り付けた状態を示している。
【0030】
この翼体50は、掘削翼3や撹拌翼4よりも若干半径方向に長くなるように設けられるものであって、しかも、その上辺部53uおよび下辺部53dや、最も外側の辺部に地盤に接触して掘削翼3と反対方向に回転させるための傾斜部54u、54d、54sを設けるようにしている。
【0031】
この傾斜部54u、54d、54sは平面板状の翼体50を削り取ることによって設けられる。この傾斜部54u、54d、54sを設ける場合、下辺部53dに対しては図2に表されている側の面を第一の面50aとし、かつ、その反対側の面を第二の面50b(図3参照)とした場合に、第一の面50aの下辺部53d側を嶺部531dとするとともに、第二の面50bの下方に傾斜面55を形成して下側傾斜部54dを設けるようにしている。また、上辺部53u側に設けられる上側傾斜部54uについては、第一の面50aの上辺部53u側に傾斜面55を形成するとともに、第二の面50bの上辺部53uを嶺部531uとして上側傾斜部54uを形成するようにしている。また、最外辺側に設けられる外側傾斜部54sについては、図4に示すように、第一の面50aの下辺最外部分から第二の面50bの上辺最外部分にわたって直線状の嶺部531sを形成し、その両側に傾斜面55を設けることによって外側傾斜部54sを設けるようにしている。
【0032】
なお、このような傾斜部54u、54d、54sについては、製造工程において平面板の状態でグラインダーなどの研磨装置を用いて形成される。あるいは、比較的厚みがあったり比較的硬度を有している場合は、平面板の上辺部53uや下辺部53dや最外辺部に、溶接によって同様の傾斜面55を有する傾斜体を溶接し、これによって一体的に傾斜部54u、54d、54sを設けるようにする。このとき、傾斜部54u、54d、54sについては、翼体50の外周全体にわたって設けるようにしてもよいし、あるいは、各辺の一部分にのみ設けるようにしてもよい。また、この下側傾斜部54dや上側傾斜部54u、外側傾斜部54sについては、すべてを翼体50に設けるにようにしてもよく、あるいは、下側傾斜部54d・上側傾斜部54u・外側傾斜部54sのいずれか一つだけもしくは、任意の二つだけを設けるようにしてもよい。
【0033】
次に、このように構成された掘削撹拌装置1を用いて地盤改良を行う場合について説明する。
【0034】
まず、地盤改良を行う場合、掘削したい位置に掘削翼3の中心軸を合わせ、この状態で掘削軸2の鉛直性を調整する。そして、鉛直性が調整された後、掘削攪拌装置1を正方向(本実施の形態では、進行方向に対して時計回り)に回転させながら掘削していき、定流量の固化材スラリーを吐出口23から吐き出して掘り進めていく。このとき、共回り防止翼5は、掘削方向と反対方向に抵抗を受けて環状体51とパッキン52やリング部22との間で摩擦を生じ、この摩擦抵抗によって共回りを生じようとするが、共回り防止翼5の翼体50の下側傾斜部54dや外側傾斜部54sに土砂やスラリーが接触するため、反時計方向に回転しようとする力が生じる。これにより、掘削翼3によって分断できなかった土塊を分断することができる。また、最外辺部や下辺部53dが鋭角になっているため、掘削時に大きな抵抗を受けることがなく、また、仮に大きな抵抗を受けたとしても、その翼体50を上下方向(すなわち、抵抗を受ける方向と同じ方向)に溶接しているため、その大きな抵抗に耐えることができる。これにより、大きな抵抗を受けたとしても翼体50の変形や付け根部分における破損を防止することができる。
【0035】
そして、このように掘削を進めていき、所定の深度に達したら、掘削および固化材スラリーの吐き出しを停止し、今度は掘削攪拌装置1を逆方向に回転させながら引き抜いていく。
【0036】
このとき、今度は、翼体50の上側傾斜部54uと外側傾斜部54sが土砂や固化材スラリーと接触し、これによって掘削軸2の回転方向とは逆方向に回転力を付与していく。しかして、共回り防止翼5の共回りを抑制することによって土塊を分断できるようにするとともに固化材スラリーをより強く撹拌できるようにする。
【0037】
そして、このように引き抜きや撹拌作業を行った後は、再度、正方向に掘削翼3を回転させて掘削方向に掘り進んでいき、固化材スラリーの撹拌を行うとともに、再引き抜きや撹拌を行った後に、最終的に掘削攪拌装置1の引き抜きを行う。
【0038】
このように上記実施の形態によれば、下端近傍に固化材スラリーを吐き出す吐出口23を備えた掘削軸2と、当該掘削軸2の下端近傍に取り付けられて当該掘削軸2とともに回転する掘削翼3と、当該掘削翼3の上方に取り付けられて当該掘削軸2とともに回転する撹拌翼4と、当該撹拌翼4と前記掘削翼3との間に設けられて前記掘削軸2に対して回転自在に取り付けられる共回り防止翼5を備えてなる掘削撹拌装置1において、共回り防止翼5を、掘削軸2に回転可能に取り付けられる環状体51と、当該環状体51に対して掘削軸2の軸方向と平行となるように取り付けられる翼体50とを設けて構成し、当該翼体50の外周部に、掘削時もしくは抜き出し時に地盤と接触することによって撹拌翼4とは逆方向に自由回転する傾斜部54u、54d、54sを設けるようにしたので、掘削時や抜き出し時にかかる抵抗を減らすことができる。また、地盤との接触によって上下方向に圧力がかかった場合であっても、その圧力に沿った上下方向に翼体50を取り付けているため、付け根部分から翼体50が外れてしまうといった不具合を防止することができる。さらには、その平面の外周部分に傾斜部54u、54d、54sを設けているだけの構成であるため、製造が容易となり、簡単な構成で共回り防止翼5を逆方向に回転させることができるようになる。
【0039】
また、鉛直状に設けられる平面状の翼体50の上辺部53uもしくは下辺部53dを削って傾斜部54u、54d、54sを設けるようにしたので、簡単に傾斜部54u、54d、54sを形成することができる。また、現在市場に流通している共回り防止翼に対しても、このような傾斜部54u、54d、54sを設けることができるようになる。
【0040】
さらには、最外周部についても、鉛直状に設けられる平面状の翼体50の最外側部を削って傾斜部54sを形成するようにしたので、掘削翼3よりも外側に張り出した部分における地盤と接触する部分の抵抗を低減させつつ、共回りと逆方向に回転させることができるようになる。
【0041】
加えて、図5に示すように、このような傾斜部54u、54d、54sを、鉛直状に設けられる平面状の翼体50に固着して取り付けるようにもしたので、現在市場に流通している共回り防止翼5に対して、後付けで傾斜部を設けることができる。また、地盤と接触することによって摩耗を生じやすい傾斜部を硬度の異なる部材で形成することで耐久性を持たせることもできるようになる
【0042】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。
【0043】
例えば、上記実施の形態では、直線状をなすように傾斜面55を設けるようにしたが、曲面をなすように傾斜部を設けるようにしてもよい。
【0044】
また、上記実施の形態では、矩形平面状の翼体50によって共回り防止翼5を構成するようにしたが、これに限らず、楕円形状をなす平面板の翼体によって共回り防止翼5を構成するようにしてもよい。この場合、上側傾斜部54uや下側傾斜部54d、外側傾斜部54sは境界のないような状態で外周部分に設けられることになる。
【0045】
さらには、上記実施の形態では、共回り防止翼5の翼体50の数については限定していないが、環状体51に対して2枚以上であればどのような枚数であってもよい。
【0046】
また、この際、翼体50の長さを種々変更するようにしてもよく、掘削翼3よりも半径方向に長い翼体や、掘削翼3よりも半径方向に短い翼体を設けるようにしてもよい。
【0047】
また、上記実施の形態では、掘削時の進行方向に対して時計回りに掘削翼3を回すようにしたが、これとは逆方向に掘削翼3を回せるようにしてもよい。この場合、共回り防止翼5の傾斜部は、上述した方向とは逆側に設けられることになる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の一実施の形態を示す掘削撹拌装置の全体を示す図
【図2】同形態における掘削撹拌装置の下端近傍を示す斜視図
【図3】図2におけるA−A断面図
【図4】図2におけるB−B断面図
【図5】本発明の他の実施の形態を示す共回り防止翼の構造を示す図
【図6】一般的な地盤改良工程を示す図
【符号の説明】
【0049】
1・・・掘削撹拌装置
2・・・掘削軸
21・・・中空ロッド
22・・・リング部
23・・・吐出口
3・・・掘削翼
31・・・翼体
32・・・掘削刃
4・・・撹拌翼
41・・・翼体
5・・・共回り防止翼
50・・・翼体
51・・・環状体
52・・・パッキン
53u・・・上辺部
53d・・・下辺部
531u・・・嶺部
531d・・・嶺部
531s・・・嶺部
54d・・・下側傾斜部
54u・・・上側傾斜部
54s・・・外側傾斜部
55・・・傾斜面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下端近傍に固化材スラリーを吐き出す吐出口を備えた掘削軸と、当該掘削軸の下端近傍に取り付けられて当該掘削軸とともに回転する掘削翼と、当該掘削翼の上方に取り付けられて当該掘削軸とともに回転する撹拌翼と、当該撹拌翼と前記掘削翼との間に設けられて前記掘削軸に対して回転自在に取り付けられる共回り防止翼を備えてなる掘削撹拌装置において、当該共回り防止翼を、
掘削軸に回転可能に取り付けられる環状体と、当該環状体に対して掘削軸の軸方向と平行となるように取り付けられる翼体とを設けて構成し、当該翼体の外周部に、掘削時もしくは抜き出し時に地盤と接触することによって撹拌翼とは逆方向に自由回転する傾斜部を設けるようにしたことを特徴とする掘削撹拌装置。
【請求項2】
前記傾斜部が、鉛直状に設けられる平面状の翼体の上辺部もしくは下辺部を削ることによって形成されたものである請求項1に記載の掘削撹拌装置。
【請求項3】
前記傾斜部が、鉛直状に設けられる平面状の翼体の最外側部を削ることによって形成されたものである請求項1に記載の掘削撹拌装置。
【請求項4】
前記傾斜部が、鉛直状に設けられる平面状の翼体に固着して取り付けられるものである請求項1に記載の掘削撹拌装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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