説明

掘削流体製造用のマスターバッチ

【課題】掘削流体製造用マスターバッチ。
【解決手段】本発明はカーボンナノチューブを含む油性マスターバッチと、その製造方法と、地下層を掘削するための水性または有機粘弾性流体の製造でのその使用とに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーボンナノチューブを含む油性マスターバッチと、その製造方法と、地下層掘削用粘弾性流体の製造でのその使用とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
掘削流体 (fluid forage) は掘削泥水 (boues de forage、ドリリングマッド) ともよばれ、石油採掘で用いられる複合流体である。これは通常はドリルロッドストリングを介して掘削孔中に連続的に注入される。その多面的機能の一つの例は岩石の屑を地表へ運搬し、掘削した掘削孔を十分に高い静水圧に維持して岩層が崩壊しないようにし、ドリルヘッドを潤滑/冷却することである。
掘削泥水は主として2つのグループすなわち油性泥水(一般に油相中に海水が逆エマルション化したもの)と水性泥水とに分けられる。
【0003】
掘削孔が開けた岩の層の横方向圧力を補償するのに十分な静水圧を維持するためには、掘削孔を深く掘り進むのにつれて掘削流体の密度を徐々に増大させる必要がある。この密度の増加は掘削流体中に不溶性の高密度増量剤(weighting agent)すなわち微粉末の固形物を添加して行なう。油井の深さが深くなる程、用いる増量剤の量および/または密度が増大するので、増量剤を掘削流体中で懸濁状態に維持する系もより効果的であることが要求される。
【0004】
すなわち、例えば泥水の注入を一時的に停止したときに増量剤が沈殿すると油井が塞がれたり、流体柱の静水圧が局部的に減少して油井が崩壊する等の壊滅的な結果をもたらす危険性がある。
【0005】
一般に、上記増量剤を懸濁状態に維持するために粘性剤が使用される。この粘性剤は通常、有機親和性または非有機親和性のクレーおよび掘削流体に可溶な有機ポリマーの中から選択される。所定掘削深度を超えた時に、上記増量剤を懸濁状態に維持するための系は特に効果的でなければならないが、有機ポリマーはこのような深度での高温のために分解して、部分的または完全に効果がなくなることがある。
【0006】
有機ポリマーのこの熱分解の問題は有機ポリマーの代わりにクレーを用いることでは解決できない。すなわち、増粘剤として通常用いられているクレー(ベントナイト、モンモリロナイト、アタパルジャイト、有機親和性クレー)は有機ポリマーよりはるかに高温度に耐えられるが、深い深度での掘削に使用する大量の高密度増量剤を懸濁状態に維持するのに必要なクレーの量は相当な量になり、掘削泥水の固形分が過剰に高くなる。その結果、過剰に高い粘度となるため、泥水の循環を維持させるのに問題が生じる。
【0007】
残念なことに、現在使用されている系は、ベースがポリマーかクレーかにかかわらず約250℃を超える温度では増量剤を懸濁状態に維持できない。
【0008】
一般的な増量剤の欠点を減らすために、本発明者は特許文献1(国際特許出願第WO 2009/030868号公報)で、一般的な増量剤を、特定の平均直径および特定の比表面積を有するカーボンナノチューブ(CNT)で完全にまたは部分的に置換することを提案した。CNTは優れた熱的安定性を示し、それと同時に、掘削流体の粘性を特にポンプ能力を損なうほど過剰に高くせずに大量の高密度増量剤、例えば重晶石または方解石を懸濁状態に維持することができる。
【0009】
上記文献で勧められているように、この掘削流体の組成は、掘削深度、掘削温度および/または掘削圧力が増加するのに従ってCNT含有量を徐々に増加させることによって、掘削過程で変更するのが望ましい。しかし、CNTは掘削流体に粉末形態で導入される。この形態は掘削泥水製造業者にとってあまり扱い易くない。しかも、CNTの計量は難しく、CNTの取り扱いは環境への分散を防ぐ必要があり、フードやフィルタという複雑なシステム、減圧室、その他の分散を制限するシステムを使用する必要がある。
【0010】
特許文献2(米国特許出願第US 4 735 733号明細書)には、高いCNT含有量の油性組成物が記載されているが、この組成物は5〜15重量%のカーボンナノチューブを含むグリースである。このカーボンナノチューブは平均直径が50〜200nmで、比表面積が190m2/g以下であり、潤滑油、例えば鉱油に添加され、動粘性率が少なくとも25mm2/秒である。室温で粘弾性ゲルの形態になるこのグリースは、掘削流体の製造でCNTマスターバッチとして用いることを明確に意図していないし、そうするように適合されてもいない。
【0011】
CNTを油と組み合わせて含むその他の組成物は特許文献3〜10に記載されている。しかし、これらの文献は石油採掘の分野を対象としてはおらず、CNT含有量の高い組成物は顆粒の形ではないか、CNTと油(シリコン油またはクロロパラフィン油)の他に樹脂を含んでいる。従って、この組成物は掘削流体の製造でのマスターバッチとしての使用に適していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】国際特許出願第WO 2009/030868号公報
【特許文献2】米国特許出願第US 4 735 733号
【特許文献3】フランス国特許第2 893 946号
【特許文献4】国際特許第WO 03/050332号
【特許文献5】国際特許第WO 2005/060648号
【特許文献6】国際特許第WO 2005/037966号
【特許文献7】国際特許第WO 2006/076728号
【特許文献8】欧州特許第1 995 274号
【特許文献9】日本国特許第2007−231219号
【特許文献10】米国特許第2007/293405号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従って、上記の欠点が克服でき、それと同時にカーボンナノチューブを掘削流体の液体ベース中に容易に分散できる手段を得ることが望ましい。
本発明者は、この要求を満たす多量のカーボンナノチューブと少なくとも一種の油とを含む固体形態のマスターバッチを開発できた。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の第1の対象は、下記リストの中から選択される少なくとも一種の油と、平均直径が5〜30nmで、比表面積が200m2/g以上、好ましくは200〜350m2/gである3重量%以上のカーボンナノチューブとを含む顆粒の形をしたマスターバッチにある。本発明で使用可能な油は下記の中から選択される:脂肪酸とグリセロールのエステルとから成るトリグリセリドの含有量が高い植物油;式R5COOR6(R5はアリール基または7〜30の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖を有する高級脂肪酸の残基を表し、R6は3〜30個の炭素原子を含む分岐鎖を有していてもよく、ヒドロキシル化されていてもよい炭化水素鎖を表す)の合成油;合成エーテル;直鎖または分岐鎖を有する飽和または不飽和のC6〜C26脂肪アルコール;鉱油;環状炭化水素、例えば(アルキル)シクロアルカンおよび(アルキル)シクロアルケン(このアルキル鎖は直鎖または分岐鎖を有する飽和または不飽和で、1〜30の炭素原子を有する);芳香族炭化水素;フッ素化油、例えばC8〜C24のペルフルオロアルカン;フルオロシリコン油;およびこれらの混合物。
【0015】
本発明の第2の対象は、少なくとも一種の油と、平均直径が5〜30nmで、比表面積が200m2/g以上、好ましくは200〜350m2/gである3重量%以上のカーボンナノチューブとで構成される顆粒の形をしたマスターバッチにある。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のマスターバッチは上記の欠点を解決できる。CNTは泥水製造業者が正確に計量でき、複雑な分散防止システムを用いないので取り扱いが容易である。
本発明で用いるカーボンナノチューブは公知で、管状の中空結晶構造を有し、平均長さ/平均直径比は1以上であり、ナノチューブの縦軸に同軸に巻かれた一枚または複数のグラファイトシートから成る。単一壁ナノチューブ(SWNT)と多重壁ナノチューブ(MWNT)に区別できる。本発明では例えば3〜15枚、さらに好ましくは5〜10枚のシートを含む多重壁CNTを用いるのが有利である。
【0017】
本発明で用いるCNTは透過電子顕微鏡法で測定した平均直径が5〜30nm、好ましくは8〜15nmである。平均長さは0.1〜10μmであるのが有利であり、平均長さ/平均直径比は10以上、大抵は100以上であるのが有利である。
【0018】
本発明で用いるCNTの比表面積はBET法を用いた窒素吸着で求め、200m2/g以上、好ましくは200〜350m2/g、例えば200〜250m2/gである。非圧縮状態での嵩密度は0.03〜0.5g/cm3、特に0.05〜0.2g/cm3であるのが好ましい。この嵩密度はカーボンナノチューブの所定質量とこのナノチューブを含む試験片を3回連続で反転した後に測定したこれと同じ質量の容積との比である。
【0019】
本発明で用いるような平均直径が小さく且つ比表面積が大きいカーボンナノチューブは下記文献に記載の合成法を用いて製造できる。
【特許文献4】国際特許出願第WO2006/082325号公報
【0020】
上記の技術特性を示す粗カーボンナノチューブすなわち化学的に改質されていないカーボンナノチューブはアルケマ(ARKEMA)社から商品名グラフィストレングス(Graphistrength、登録商標)C100で入手可能である。
本発明では、、本発明のマスターバッチに混和する前にこれらのナノチューブを精製および/または酸化および/または粉砕することができる。
【0021】
CNTの粉砕は低温または高温で行うことができ、ボールミル、ハンマーミル、グラインディングホイールミル、ナイフミル、ガスジェットミルや、絡み合ったCNT網の寸法を縮小できるその他任意の粉砕設備で実施できる。この粉砕はガスジェット粉砕、特にエアジェットミルで行なうのが好ましい。
【0022】
粗CNTまたは粉砕済みCNTの精製は、硫酸の溶液を用いて洗浄して製造プロセスで生じる全ての残留無機および金属不純物をナノチューブから除去することができる。この洗浄に用いるCNT/硫酸重量比は1/2〜1/3にすることができる。さらに精製操作を90〜120℃の温度で例えば5〜10時間行なうことができる。この操作の後に精製CNTを水で洗浄し、乾燥する段階を行なうのが有利である。
【0023】
粗CNT、粉砕済みCNTおよび/または精製したCNTの酸化は、ナノチューブをCNT/次亜塩素酸ナトリウム重量比が例えば1/0.1〜1/1の次亜塩素酸ナトリウム溶液と好ましくは室温で接触させて行なうのが有利である。この酸化操作後に酸化CNTを濾過および/または遠心分離、洗浄および乾燥する段階を行なうのが有利である。
【0024】
本発明で用いるCNTは、共有結合を介した官能基の導入によって化学的に改質できる。これらの官能基、例えば硫酸塩、スルホン酸塩、カルボキシ、ベンゼンスルホネートおよびアミン(場合によっては四級化)基またはCNTの表面でモノマーの重合によって得られる基は一般に水または有機溶剤中のナノチューブの分散を改善する。
【0025】
さらに、存在する可能性のある合成触媒の金属痕跡を除去するために、CNTを少なくとも900℃、さらには少なくとも1000℃で熱処理することができる。
本発明では、未改質CNTを用いるのが好ましい。
本発明のマスターバッチは、マスターバッチの全重量に対して3重量%以上、一般に10〜60重量%のカーボンナノチューブ、好ましくは10〜55重量%、さらに好ましくは15〜50重量%のカーボンナノチューブを含む。
【0026】
本発明のマスターバッチに含まれる油は室温(25℃)および大気圧で液体であり且つ水と混和しない(すなわち、室温および大気圧で肉眼で確認できる二相を形成する)媒体として定義される。この液体媒体は特に、OECD TG 105法に従って測定する水溶解度が1mg/l以下である。この液体媒体はかなり粘性が高いことがある。特に、この液体媒体は室温での動的粘度が0.1cP〜500cP、好ましくは0.3〜300cPである。
本発明では一種以上の互いに混和可能な油を使用できる。これらの油は極性油、より好ましくは非極性油にすることができる。
【0027】
本発明での使用に適した油の例は下記を含む:
(1)脂肪酸とグリセロールのエステルとから成るトリグリセリドの含有量が高い(例えば少なくとも50重量%)の植物油。脂肪酸は各種長さの鎖を有し、この鎖は直鎖または分岐鎖を有する飽和または不飽和にすることができる。この油としては特に下記が挙げられる:小麦胚種油、トウモロコシ油、ヒマワリ油、アマニ油、シア油、ヒマシ油、甘扁桃油、マカダミア油、アンズ油、大豆油、綿実油、アルファルファ油、ケシ油、カボチャ種子油、ゴマ油、キュウリ油、アボカド油、ヘーゼルナッツ油、ブドウ種子油、ブラックカラント種子油、月見草油、粟油、大麦油、キノア油、オリーブ油、ライムギ油、サフラワー油、ケンダルナッツ油、トケイソウ油またはジャコウバラ油またはカプリル/カプリン酸のトリグリセリド;
(2)式R5COOR6(R5はアリール基または7〜30の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖を有する高級脂肪酸の残基を表し、R6は3〜30の炭素原子を含む分岐鎖を有していてもよく、ヒドロキシル化されていてもよい炭化水素鎖を表す)の合成油、例えばPurCellin(登録商標)油(ケトステアリールアルコールのオクタン酸塩)、イソノナン酸イソノニル、C12〜C15アルコールの安息香酸エステル、安息香酸イソステアリル、ミリスチン酸イソプロピル、アルコールまたはポリアルコールのオクタン酸塩、デカン酸塩またはリシノール酸塩;
(3)合成エーテル、例えば石油エーテル;
(4)直鎖または分岐鎖を有する飽和または不飽和のC6〜C26脂肪アルコール、例えばオレイン酸アルコールまたはオクチルドデカノール;
(5)任意成分のシリコン油、例えば:室温で液体であるポリジメチルシロキサン、シリコン鎖の末端に、2〜24の炭素原子を有するペンダントアルキルまたはアルコキシ基および/またはアルキルまたはアルコキシ基を有するポリジメチルシロキサン、フェニル化シリコン、例えばフェニルトリメチコン、フェニルジメチコン、フェニル(トリメチルシロキシ)ジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコンおよびジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン、
(6)鉱油、例えば直鎖または分岐鎖を有する炭化水素、例えばパラフィン油およびその誘導体(これらは精製されていてもよい)、ワセリン、ポリデセン、水素化ポリイソブテン、例えばParleam(登録商標)、スクアラン;
(7)環状炭化水素、例えば(アルキル)シクロアルカンおよび(アルキル)シクロアルケンであってアルキル鎖が直鎖または分岐鎖を有する飽和または不飽和で、1〜30の炭素原子を有するもの、例えばシクロヘキサン、ジオクチルシクロヘキサン、2,4−ジメチル−3−シクロヘキセンおよびジペンテン;
(8)芳香族炭化水素、例えばベンゼン、トルエン、p−シメン、ナフタレンおよびアントラセン;
(9)フッ素化油、例えばC8〜C24のペルフルオロアルカン;
(10)フルオロシリコン油;
およびこれらの混合物。
【0028】
鉱油、例えばパラフィン油、例えばシェル社から市販の製品Sarapar(登録商標)またはトタルから市販の製品EDC99−DW(登録商標)またはEDC95−11(登録商標)を用いるのが好ましい。この油は粘度が3.5cPsである。変形例として、多環式芳香族化合物の含有量が3重量%以下(IP 346法に従ってDMSO抽出で測定)でガラス遷移温度が−45℃、例えば−58℃±3℃(ASTM E 1356規格に従って測定)である精製パラフィン油を用いることができる。
【0029】
このタイプの精製油としては特に下記が挙げられる:
(1)重質石油蒸留物の溶媒抽出またはこの蒸留物を触媒の存在下で水素処理(水素化処理)して製造されるMES油。
(2)処理された蒸留芳香族抽出物であるTDAE。
【0030】
このような油の例としては特にシェル社から市販の製品Catenex(登録商標)SNR、エクソン・モービル社から市販の製品Flexon(登録商標)683、トタル社から市販の製品Plaxolene(登録商標)MSまたはH&R European社から市販の製品Vivatec(登録商標)500が挙げられる。
【0031】
上記の油が好ましいが、必要に応じて、通常グリースとよばれるより粘度の高い油を用いることもできる。本発明のCNTの寸法およびその比表面積から、従来技術で勧められているCNTとは違った石油採掘に適したグリースベースのマスターバッチを製造できる。
【0032】
グリースの例としては特に下記が挙げられる:
(1)産業用グリース、例えば複合スルホン酸カルシウムグリース、特にトタル社のCERANシリーズまたはAXA GR1製品番号で入手可能なもの、
(2)特殊グリース、例えば半合成グリース、ベントンベースのグリース、場合によってフッ素化化合物を含むもの、リチウム/カルシウム石鹸グリースおよび銅含有グリース、特にトタル社から市販の製品MARSON SY 00およびSY 2、SPECIS CU、CALORIS 23およびMS 23、STATERMIC XHTおよびNR、TIFORA PG、BIOMULTIS SEP 2、MULTIS COMPLEX HV2、
(3)これらの混合物。
【0033】
油はマスターバッチの重量に対して40〜96.9重量%、好ましくは45〜90重量%、さらに好ましくは50〜70重量%にすることができる。
本発明の第1実施例では、本発明のマスターバッチはCNTおよび油以外に、少量で存在する(すなわちマスターバッチの重量に対して全部で例えば0〜10重量%の)添加剤、例えば増粘剤、塩類、特にトリエタノールアミン塩を含むことができる。変形例では、本発明の第2実施例で、マスターバッチはCNTおよび一種以上の油でのみ構成される。
【0034】
増粘剤は増粘ホモポリマーおよびコポリマーの中から選択できる。このコポリマーはランダムまたはブロックコポリマー、増粘オリゴマー、界面活性剤およびこれらの混合物にすることができる。
【0035】
増粘ポリマーの例は掘削流体に通常用いるものであり、例としては下記のものが挙げられる:グアーガム、ヒドロキシプロピルグアー、カルボキシメチルグアー、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、キサンタンガム、でんぷん、ポリアクリレート、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロライド)およびこれらの混合物が挙げられる。
【0036】
界面活性剤は、臨界ミセル濃度とよばれる所定濃度以上のミセル(球状、円筒状、管状またはその他の形態)を形成できる任意のノニオン性、アニオン性、カチオン性、両性または両性イオン性の界面活性剤の中から選択できる。この界面活性剤の例は特許文献11に示されている。
【特許文献11】欧州特許出願第1,634,938号公報
【0037】
本発明の別の対象は、本発明の第1または第2実施例に従ってマスターバッチを製造する方法にある。
本発明方法は下記の段階を含む:
(a)ナノチューブと上記の少なくとも一種の油とをコンパウンディング装置に導入し、混練してコンポジットを得る段階、
(b)上記コンポジットを押し出し、冷却して固体形態でマスターバッチを得る段階、
(c)上記マスターバッチを成形して顆粒を得る段階。
【0038】
上記プロセスは、上記の段階に加えて、その他の予備段階、中間段階または後続段階を含むことができることは理解できよう。すなわち、上記プロセスはコンパウンディング装置内または分離ミキサーを用いてナノチューブを油に混合する予備段階を含むことができる。
【0039】
コンパウンディング装置は当業者に周知である。コンパウンディング装置は一般にプラスチック工業で熱可塑性ポリマーおよび添加剤を溶融ブレンドしてコンポジットを製造するのに使用される。この装置は一般に供給手段、特に、微粉末材料(ここではCNT)用の少なくとも一つのホッパおよび/または液体材料(ここでは油)用の少なくとも一つの注入ポンプ;高剪断混合または混練手段、例えば共回転または逆回転二軸押出機(例えばDSMマイクロ押出機)またはコニーダであって通常、加熱されたバレル(または管)中に供給スクリューを配置したもの;押出物にその形状を与える出口ヘッド;および空冷または水の循環によって押出物を冷却する手段を有する。押出物は一般に、ストランドの形で装置から連続的に出て、冷却され、顆粒にカットまたは成形される。しかし、出口ヘッドに所望の形状のダイを取り付けることによってその他の形態を得ることもできる。
【0040】
本発明者は、CNTによって油が吸着されることによって固体形態となると考える。
本発明で使用可能なコニーダの例はBUSS AG社から市販のBUSS(登録商標)MDK 46コニーダおよびBUSS(登録商標)MKSまたはMXシリーズのコニーダである。いずれのコニーダも、必要に応じて複数の部品から成る加熱されたバレル中に入れたフライト(羽根)を備えたスクリューシャフトで構成され、コニーダの内壁にはフライと協働して混練材料を剪断する混練歯が設けられている。スクリューシャフトはモータによって回転され、軸線方向に振動運動が与えられる。これらのコニーダには造粒装置を設けることができ、この造粒装置は例えばコニーダの出口に取り付けられ、押出スクリューで構成できる。
【0041】
本発明で使用可能なコニーダはL/Dスクリュー比が7〜22、例えば10〜20であるのが好ましく、共回転押出機はL/D比が15〜56、例えば20〜50であるのが有利である。
コンパウンディング段階は一般に室温(25℃)に近い温度(例えば±5℃の範囲内)で実施する。
【0042】
上記の方法を用いて得られた本発明のマスターバッチは掘削流体を製造するために液体ベースに希釈できる。
従って、本発明の別の対象は、マスターバッチを水性および/または有機液体ベースおよび任意成分の少なくとも一種の微粒子型増量剤と混合する地下岩層掘削用の粘弾性流体の製造での、上記マスターバッチの使用にある。
本発明のさらに別の対象は、上記マスターバッチと水性および/または有機液体ベースと任意成分の少なくとも一種の微粒子型増量剤とを混合することを含む、地下岩層掘削用の粘弾性流体の製造方法にある。
【0043】
マスターバッチは、増量剤を懸濁状態で必要に応じて含むこともできる液体ベース中に導入できる。本発明の一実施例ではマスターバッチを粘弾性掘削流体の最終配合物中に直接混和する。しかし、マスターバッチを液体ベースに導入した後に、増量剤を液体ベースに添加するのが好ましい。
CNTを掘削流体に直接導入するのとは違って、本発明のマスターバッチを用いると、掘削流体(または泥水)用の液体ベースにCNTを導入するのを容易に実施でき、特に実際の掘削現場で容易に実施できる。
【0044】
液体ベースは原則として、掘削流体で通常用いられる任意のベースにすることができ、例えば、水性ベースにすることができる。水性ベースは経済的および生態学的理由で特に有利である。この水性ベースは主としてベースの密度を増大させるための水溶性塩を含むことは公知である。好ましい塩としてはナトリウム、カリウム、カルシウム、亜鉛およびセシウムのハロゲン化物およびギ酸塩およびこれらの組合せが挙げられる。特に好ましい塩としては塩化カルシウム、臭化カルシウム、ギ酸カリウム、ギ酸セシウム/カリウムおよびこれらの組合せが挙げられる。これらの水性ベースはごく少量の水溶性および/または非水溶性の有機溶剤をさらに含むことができる。これらの溶剤は必要に応じて、分散体/懸濁液または油中水(O/W)エマルションを形成するために、水性ベース中に粒子状に分散できる。
【0045】
上記の場合、水性ベースにマスターバッチを導入することによって懸濁液、分散体またはエマルション、特に油中水(O/W)エマルションの形をした掘削流体が形成される。
【0046】
場合によっては掘削流体の含水量を制限することが有益、さらには必要になることもある。例えば、流体によって運ばれやすい多量の水溶性または水分散性の成分を含む岩層を油井が通っている場合である。この場合には、液体ベースを油、または懸濁液、分散体または好ましくは最大でも50重量%、特に20重量%以下の水を含む油中水(O/W)エマルションにする。これらのベースにマスターバッチを導入することによって、それぞれ油、分散体または油中水中油(O/W/O)多重エマルションの形をした掘削流体が得られる。
【0047】
液体ベースが分散体またはW/OまたはO/Wエマルションの形をしている場合には、粘弾性流体の製造に少なくとも一種の界面活性剤(それぞれW/OまたはO/W乳化剤)を液体ベースに導入するか、このエマルションまたは分散体をそれぞれ安定化できる分散剤を導入する工程がさらに含まれる。この界面活性剤はノニオン性またはアニオン性の界面活性剤の中から選択でき、掘削流体の全重量に対して例えば1〜5重量%にすることができる。
【0048】
液体ベースを形成する油または分散体または水中油エマルションの連続相または分散体または油中水エマルションの不連続相を形成する油は鉱油、フッ素化油、ディーゼル油または合成油であるのが好ましく、鉱油、特に炭化水素混合物または合成油であるのが好ましい。一般に、極性油より非極性油の方が好ましい。液体ベースの油はマスターバッチの油と同一であるのが有利である。通常用いられる油の一つは例えばパラフィン油、例えばトタル社から市販の製品EDC99−DW(登録商標)である。
【0049】
上記の液体ベースは必要に応じて少なくとも一種の増量剤をさらに含む。理論上は液体ベースの密度より高い密度を有する、好ましくは少なくとも2g/cm3の密度で、深い深度での掘削時は好ましくは3g/cm3以上、さらには4g/cm3以上の密度である任意の粒子状固体を増量剤として使用できる。これらの増量剤は周知であり、例えば重晶石(BaSO4)、方解石(CaCO3)、白雲石(CaCO3・MgCO3)、赤鉄鉱(Fe23)、磁鉄鉱(Fe34)、イルメナイト(FeTiO3)および菱鉄鉱(FeCO3)の中から選択される。特に好ましい増量剤は重晶石である。
【0050】
増量剤の量は基本的に所望の掘削流体密度に依存する。この密度、従って、用いる増量剤の量は、一般に掘削孔の深度とともに徐々に増加する。本発明の掘削流体は深層掘削を目的とするのが好ましく、従って、かなり高い密度を有し、好ましくは全体密度が少なくとも1.5、好ましくは2.5を超える。増量剤含有量の上限は基本的に過剰固形分によって引き起こされる粘度の問題によって決まる。一般に、増量剤は本発明の掘削流体中で10〜70重量%の濃度、例えば20〜50重量%で用いる。用いる増量剤の比率は所望の密度に応じて広範囲に変えることができる。
【0051】
本発明の掘削流体に導入されるマスターバッチの量は、用いる増量剤の量および密度、掘削深度、液体ベースの種類および掘削流体中のその他の増粘剤の有無に依存する。
このマスターバッチの量は掘削流体の全重量に対して0.1〜6重量%、例えば0.1〜3重量%であるのが好ましい。
【0052】
また、本発明では、マスターバッチおよび液体ベースを、好ましくは増量剤と混合する前に、機械的処理することも好ましい。この処理はCNTを液体ベース中に均一に分散できる限り、どんな型にしてもよい。本発明では、この処理は超音波処理またはロータ−ステータシステムを用いたまたはブレードニーダを用いたマスターバッチ分散体の剪断を含むのが好ましい。
【0053】
このようなロータ−ステータシステムは一般にロータとステータとを有し、ロータはモータで駆動され、ロータ軸線に対して垂直な流体案内システム、例えばほぼ放射方向に配置されたパドルまたはブレード、または外周歯を備えた平らなディスクを備え、このロータは必要に応じてリングギアを備え、ステータはロータに対して同心状に配置され且つロータの外側までの距離が短く、その外周の少なくとも一部にわたって、例えばグリッド内に設けられた開口部または一つまたは複数の歯列の間を規定する開口部を備え、この開口部は流体を通すのに適しており、この流体はロータに引き込まれ、案内システムによって放出されて開口部へ向かって流れる。一つまたは複数の上記の歯には、鋭い刃を設けることができる。従って、流体はロータとステータとの間隙内と、ステータに形成された開口部内の両方で高剪断を受ける。
【0054】
ロータ−ステータシステムの一例は、特に、SILVERSON社から市販の製品Silverson(登録商標)L4RTである。別の型のロータ−ステータシステムは、IKA-WERKE社から市販の製品Ultra-Turrax(登録商標)である。さらに別の型のロータ−ステータシステムは、コロイドミル、凝集防止タービンおよびロータ−ステータ型の高剪断ミキサから成る。例えば、IKA-WERKE社またはADMIX社から市販の機械である。
【0055】
本発明では、ロータの速度は例えば5〜15分間、少なくとも1000回転/分、好ましくは少なくとも3000回転/分、さらには少なくとも5000回転/分に設定するのが好ましい。さらに、ロータとステータとの間隙の幅は1mm以下、好ましくは200μm以下、さらに好ましくは100μm以下、さらには50μm以下、さらには40μm以下であるのが好ましい。さらに、本発明で用いるロータ−ステータシステムは103〜109-1の剪断速度を適用するのが有利である。
【0056】
本発明の一実施例ではCNTが唯一の増粘剤である。すなわち、掘削流体は基本的にその他の任意の周知な増粘剤、例えば上記特許文献11(欧州特許第1,634,938号公報)に記載のような有機ポリマー、脂肪酸、クレーまたは界面活性剤および電解質をベースにした増粘剤系は含まない。掘削流体中のCNTの濃度はこの場合はかなり高く、粘弾性掘削流体の重量に対して好ましくは1〜6重量%、特に1.5〜3重量%である。すなわち、他の増粘剤が全く存在しないときに、最低限の約1重量%を上回るCNTで掘削流体の降伏応力が飛躍的に増大するということが実験から分かっている。
【0057】
カーボンナノチューブは通常の増粘剤系、例えばポリマーベースの増粘剤系の効果を高めるのにも有用である。従って、本発明の別の実施例では、本発明の掘削流体は液体ベースの水相および/または油性相に可溶な一種以上の有機ポリマーをさらに含む。この場合、CNT濃度は粘弾性掘削流体の重量に対して0.1〜1重量%であるのが好ましい。
【0058】
本発明のマスターバッチから得られる掘削流体は地下岩層の掘削方法で用いるものである。
本発明で用いるCNTの優れた耐熱性によって、深い深度、すなわち高温(一般に200℃以上、特に250℃以上)および高圧条件(HTHP油井の場合には一般に10 000psi以上、さらに極HTHP油井の場合は30 000psi以上)下での掘削にCNTは特に適している。
【0059】
掘削中に、例えばクレー(ベントナイト、モンモリロナイト、アタパルジャイト、有機親和性クレー)または有機ポリマーの中から選択される流体中に存在する一種以上の増粘剤を、掘削深度、掘削温度および/または掘削圧力が増加するのに応じて徐々にカーボンナノチューブで置換することができる。すなわち、主として掘削流体の製造コストの理由から、掘削開始時に周知の安価な増粘剤、例えば有機ポリマーおよび/または増粘クレーを用い、有機ポリマーの熱分解またはクレーの過剰な固形分に起因する上記の問題が生じ始める所定深度以降に、CNTのみを導入するのが有利である。
本発明は下記の実施例の説明からより良く理解できよう。しかし、下記実施例は単に説明のためのもので、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明は添付の請求の範囲によってのみ限定されるものである。
【実施例】
【0060】
実施例1
マスターバッチの製造
BUSS(登録商標)MDK 46(11 L/D)コニーダの帯域1の供給口に、カーボンナノチューブ(アルケマ社のグラフィストレングス(Graphistrength)、登録商標)C100)を導入した。当量の鉱油(トタルから市販の製品EDC99 DW、登録商標)すなわちCNTと同じ重量の鉱油を、コニーダの第1制限リングの前にある第1帯域の注入ポンプに導入した。混練は室温で実施した。コニーダの出口で、ウォータージェットを用いずに切断された固体ストランドが得られ、50重量%のCNTと50重量%の油とを含む固体顆粒の形をしたマスターバッチを得た。
【0061】
実施例2
マスターバッチの製造
BUSS(登録商標)MDK 46(11 L/D)コニーダの帯域1の供給口に、カーボンナノチューブ(アルケマ社のグラフィストレングス(Graphistrength)、登録商標)C100)を導入した。当量の鉱油(トタルから市販の製品EDC99 DW、登録商標)すなわちCNTと同じ重量の鉱油を、コニーダの第1制限リングの前にある第1帯域の注入ポンプに導入した。混練は室温で実施した。コニーダの出口で、ウォータージェットを用いずに切断された固体ストランドが得られ、20重量%のCNTと80重量%の油とを含む固体顆粒の形をしたマスターバッチを得た。
【0062】
実施例3
掘削流体の製造
実施例2のマスターバッチに、その製造で用いた鉱油と同じ鉱油を、2重量部の油に対して1重量部のマスターバッチの量で少なくとも8時間含浸した。次いで、懸濁液を同じ油に再希釈し、CNT含有量を1重量%にした。この懸濁液を次いでロータ−ステータシステム(SILVERSON社から市販の製品Silverson(登録商標)L4RT)で10分間機械的処理し、安定なCNT分散体、すなわち、24時間後に目に見える沈殿を全く示さないCNT分散体を得る。次いで、重晶石のような増量剤をこの分散体に導入して掘削流体を得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一種の油と3重量%以上のカーボンナノチューブとを含む顆粒の形をしたマスターバッチであって、カーボンナノチューは5〜30nmの平均直径と、200m2/g以上、好ましくは200〜350m2/gの比表面積を有し、上記油が脂肪酸とグリセロールとのエステルとから成るトリグリセリドの含有量が高い植物油;式R5COOR6(R5はアリール基または7〜30個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖を有する高級脂肪酸の残基を表し、R6は3〜30個の炭素原子を有する分岐鎖を有していてもよく、ヒドロキシル化されていてもよい炭化水素鎖を表す)の合成油;合成エーテル;直鎖または分岐鎖を有する飽和または不飽和のC6〜C26脂肪アルコール;鉱油;環状炭化水素、例えば(アルキル)シクロアルカンおよび(アルキル)シクロアルケン(このアルキル鎖は直鎖または分岐鎖を有する飽和または不飽和の1〜30個の炭素原子を有する);芳香族炭化水素;フッ素化油、例えばC8〜C24ペルフルオロアルカン;フルオロシリコン油およびこれらの混合物の中から選択されるマスターバッチ。
【請求項2】
少なくとも一種の油と、平均直径が5〜30nmで、比表面積が200m2/g以上、好ましくは200〜350m2/gである3重量%以上のカーボンナノチューブとから成る顆粒の形をしたマスターバッチ。
【請求項3】
少なくとも一種の油を、室温での動的粘度が0.1cP〜500cP、好ましくは0.3〜300cPである油の中から選択する請求項2に記載のマスターバッチ。
【請求項4】
10〜60重量%のカーボンナノチューブを含む請求項1〜3のいずれか一項に記載のマスターバッチ。
【請求項5】
10〜55重量%、好ましくは15〜50重量%のカーボンナノチューブを含む請求項1〜4のいずれか一項に記載のマスターバッチ。
【請求項6】
下記(a)〜(c)の段階を含む請求項1〜5のいずれか一項に記載のマスターバッチの製造方法:
(a)ナノチューブと、上記の少なくとも一種の油とをコンパウンディング装置、例えばコニーダまたは共回転または逆回転二軸押出機に導入し、混練してコンポジットを得る段階、
(b)上記コンポジットを押し出し、冷却して固体形態でマスターバッチを得る段階、
(c)上記マスターバッチを成形して顆粒を得る段階。
【請求項7】
上記マスターバッチを水性および/または有機液体ベースおよび任意成分の少なくとも一種の微粒子型増量剤と混合する地下岩層掘削用の粘弾性流体の製造での、請求項1〜5のいずれか一項に記載または請求項6に記載の方法で得られるマスターバッチの使用。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれか一項に記載または請求項6に記載の方法で得らるマスターバッチを水性および/または有機液体ベースおよび任意成分の少なくとも一種の微粒子型増量剤と混合する、地下岩層掘削用粘弾性流体の製造方法。
【請求項9】
上記増量剤の密度が少なくとも2g/cm3、好ましくは少なくとも3g/cm3、さらには少なくとも4g/cm3である請求項8に記載の方法。
【請求項10】
増量剤が重晶石(barite)である請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
粘弾性流体が0.1〜6重量%のカーボンナノチューブを含む請求項8〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
マスターバッチおよび液体ベースを、超音波またはロータ−ステータシステムまたはブレードミキサを用いて機械的処理する請求項8〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
粘弾性掘削流体の最終配合物中にマスターバッチを直接混和する請求項8〜12のいずれか一項に記載の方法。

【公表番号】特表2013−506025(P2013−506025A)
【公表日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−530318(P2012−530318)
【出願日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【国際出願番号】PCT/FR2010/051996
【国際公開番号】WO2011/036411
【国際公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(505005522)アルケマ フランス (335)
【Fターム(参考)】