説明

採光装置

【課題】光ダクトから太陽光を採り入れつつ、窓からも太陽光を採り入れることができる採光装置を提供する。
【解決手段】建物Tの外壁面から外側へ突出した出窓ユニット2と、一端が建物T外に開口されている光ダクト3と、を備えた採光装置1であって、前記出窓ユニット2は、建物Tの躯体から張り出す上部5及び下部6と、前記上部5と前記下部6との間に設置された窓部7B及び側部7Aと、を備えており、前記光ダクト3が前記上部5、前記下部6、または前記側部7Aのうち少なくとも一つに開口されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物内に光を採り入れる採光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物外に光ダクトを設置するとともに、建物の窓から離間した場所に光ダクトの放光口を設置して、建物内へ太陽光を入射させる採光装置が開示されており(特許文献1参照。)、また、建物の窓に光ダクトの放光口を密着させて設置して、建物内へ太陽光を入射させる採光装置が開示されている(特許文献2参照。)。
【特許文献1】実開昭51−106135号公報
【特許文献2】実開昭51−93113号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載の採光装置では、放光口が窓から離間して設置されているため、放光口から窓に入射する間に光が拡散し、窓から建物内へ入射する太陽光の量が減少していた。
また、特許文献2に記載の採光装置では、放光口が窓に密着して設置されているため、光ダクトからしか太陽光を採り入れることができず、窓から太陽光を採り入れることができなかった。
【0004】
本発明は、かかる問題を解決するために創案されたものであり、光ダクトから太陽光を採り入れつつ、窓からも太陽光を採り入れることができる採光装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、本発明は、建物の外壁面から外側へ突出した出窓ユニットと、一端が建物外に開口されている光ダクトと、を備えた採光装置であって、前記出窓ユニットは、前記建物の躯体から張り出す上部及び下部と、前記上部と前記下部との間に設置された窓部及び側部と、を備えており、前記光ダクトが前記上部、前記下部、または前記側部のうち少なくとも一つに開口されていることを特徴とする。
【0006】
本発明によれば、光ダクトが出窓ユニットの上部、下部、または側部のうち少なくとも一つに開口されているので、光ダクトから太陽光を採り入れつつ、窓からも太陽光を採り入れることができる。
【0007】
また、前記出窓ユニットには、前記光ダクトから前記出窓ユニット内に入射する光を、建物の室内側に向けて反射させる反射部材が備えられており、前記反射部材は、前記窓部または前記側部のうち少なくとも一つが通風可能になるように設置されていることが好ましい。このようにすると、窓の通風性を確保しつつ、室内に光ダクトから入射する太陽光を効率良く導くことができる。
【0008】
また、前記反射部材は、通風可能な形状に形成されていることが好ましい。このようにすると、窓の通風性を確保しつつ、室内に光ダクトから入射する太陽光を効率良く導くことができる。
【0009】
また、前記光ダクトは、建物の外壁に取り付けられていることが好ましい。このようにすると、光ダクトが建物の外壁に取り付けられているので、既設建物にも容易に設置することができる。
【0010】
また、前記反射部材は、拡散反射板から成ることが好ましい。このようにすると、光ダクトから出窓ユニット内に入射して、拡散反射板に反射した太陽光が、室内に向かって均一に広がるため、太陽光のムラをなくすことができ、室内全体を均一に明るくすることができる。
【0011】
また、前記光ダクトは、ハニカムパネルで構成されていることが好ましい。このようにすると、光ダクトの軽量化を図ることが可能になるので、取扱いが容易となり、採光装置設置時の作業効率が向上する。また、既設建物の耐荷重にも十分対応することができるため、既設建物への設置の自由度が高まる。
【0012】
また、前記光ダクトは、断熱パネルで構成されていることが好ましい。このようにすると、光ダクトの反射面での結露を防止することが可能になり、採光効率の低下を抑制することができる。
【0013】
前記反射部材及び前記光ダクトの内面は、金属素材又は樹脂素材から成ることが好ましい。このようにすると、金属素材や樹脂素材のうち特に反射率の高い素材を使用すれば、光ダクトで採り入れた太陽光を減衰させることなく、室内まで導くことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る採光装置によれば、光ダクトから太陽光を採り入れつつ、窓からも太陽光を採り入れることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら説明する。本実施形態では、本発明を戸建て住宅の出窓に適用した場合を例にして説明する。尚、以下の記載において、戸建て住宅のことを、「建物T」という。
【0016】
第1の実施形態に係る採光装置1は、図1に示すように、出窓ユニット2と、光ダクト3とから主に構成されている。
【0017】
出窓ユニット2は、図1及び図2に示すように、平面視台形状を呈し、建物Tの外壁面から突出して形成されている。すなわち、出窓ユニット2は、図2に示すように、建物の躯体に設けられた開口部Kから建物外側に突出するように設けられており、建物の躯体から張り出す枠4と、この枠4の上面に取り付けられる上部5と、この枠4の下面に取り付けられる下部6と、この枠4の側面に取り付けられるとともに、上部5と下部6との間に設置された側部7Aと、この枠4の正面に取り付けられるとともに、上部5と下部6との間に設置された窓部7Bと、から主に構成されている。尚、本実施形態では、建物の躯体とは、建物の壁体、柱、梁などである。以下、単に「躯体」という。
【0018】
枠4は、図2に示すように、アルミニウム合金製の押出形材から成り、建物Tの躯体に形成された開口部Kを囲むようにして、躯体に固定されており、一対の袖枠ユニットU1,U1と、正面枠ユニットU2とから主に構成されている。
【0019】
袖枠ユニットU1は、図2に示すように、開口部Kに沿って躯体に取り付けられた縦枠4Aと、縦枠4Aから離間して設置された方立4Bと、縦枠4A及び方立4Bの上端間に架け渡された袖上枠4Cと、縦枠4A及び方立4Bの下端間に架け渡された袖下枠4Dとから構成されており、四角枠状に組み合わされている。縦枠4Aは、袖上枠4C及び袖下枠4Dを介して、方立4Bと連結している。縦枠4A及び方立4Bは、ネジ止めなどにより機械的に袖上枠4C及び袖下枠4Dに接合されるとともに、縦枠4Aは、ネジ止めなどにより機械的に躯体に固定されている。
【0020】
正面枠ユニットU2は、一対の方立4B,4Bの上端間及び下端間にそれぞれ架け渡された正面上枠4E及び正面下枠4Fとから構成されており、四角枠状に組み合わされている。正面上枠4E及び正面下枠4Fは、方立4B,4Bに接合されている。尚、本実施形態では、袖枠ユニットU1の方立4Bは、正面枠ユニットU2の縦枠として兼用されている。
【0021】
上部5は、平面視台形状を呈し、例えば、天板や屋根カバーなどから成る。上部5は、枠4の上面を覆うように設けられていて、例えば、ネジ止めなどにより機械的に枠4に固定されている。また、上部5には、上下方向に貫通する開口部5Aが設けられている。開口部5Aは、本実施形態では、平面視四角形状を呈している。
【0022】
下部6は、平面視台形状を呈し、例えば、受台カバーや地板などから成る。下部6は、枠4の下面を覆うように設けられていて、例えば、ネジ止めなどにより機械的に枠4に固定されている。尚、本実施形態の下部6は、上部5と対向して平行に設けられている。
【0023】
側部7Aは、本実施形態では、窓であり、正面視略矩形状を呈し、例えば、ガラス板などから形成されている。本実施形態の側部7Aは、開き窓であり、開閉可能に設けられている。また、側部7Aは、上部5と下部6との間に設置されるとともに、窓部7Bの両側に配置されており、躯体の開口面を挟んでハ字状に対向している。
【0024】
窓部7Bは、正面視略矩形状を呈し、例えば、ガラス板などから形成されている。本実施形態の窓部7Bは、引き違い窓であり、開閉可能に設けられている。また、窓部7Bは、上部5と下部6との間に設置されるとともに、一対の側部7A,7A間に配置されており、躯体の開口面に対して平行に設置されている。
【0025】
光ダクト3は、太陽光を建物T内に導く役割を果している。光ダクト3は、図1に示すように、建物Tの高さ方向に沿って、外壁に取り付けられている。光ダクト3は、固定部材Rを介して、建物Tの外壁に固定されている。光ダクト3の内面には、反射面が設けられている。当該反射面は、例えば、金属素材や樹脂素材などから形成されており、特に、軽量化や耐食性という観点からアルミニウム合金を用いるのが好ましい。
【0026】
また、光ダクト3は、採光口3A及び放光口3Bを備えている。すなわち、光ダクト3の採光口3A(一端)は、建物外の場所に開口しており、放光口3B(他端)は、上部5に設けられた開口部5Aに連通している。図示は省略するが、光ダクトの採光口3Aおよび放光口3Bは、透光性素材からなる透光カバーで覆われる。光ダクト3の出窓ユニット2への取り付けは、例えば、ネジ止めなどの機械的接合もしくは接着剤などの手段により接合すればよい。かかる構成により、光ダクト3の採光口3Aに入射した太陽光は、反射を繰り返しながら光ダクト3内を進み、放光口3Bを通じて出窓ユニット2内へ放光され、建物T内へ入射する。
【0027】
以上説明した第1の実施形態に係る採光装置1によれば、光ダクト3が出窓ユニット2の開口部5Aに連結しているので、光ダクト3から太陽光を採り入れつつ、側部7A及び窓部7Bからも太陽光を採り入れることができる。
【0028】
また、室内側から側部7A及び窓部7Bを見たときに光ダクト3が視界に入らないため、側部7A及び窓部7Bからの眺望が損なわれない。
【0029】
また、光ダクト3は、建物Tの外壁に取り付けられており、既設建物にも容易に設置することができる。すなわち、光ダクト3は、建物Tの外壁に取り付け可能であるので、既設建物にも設置することが可能となる。
また、光ダクト3の内面を、金属素材や樹脂素材などのうち特に反射率の高い素材で構成することで、光ダクト3で採り入れた太陽光を減衰させることなく、室内まで導くことができる。
【0030】
尚、本実施形態では、枠4は、アルミニウム合金から形成されているが、これに限定されることなく、適宜変更してもよい。例えば、その他の非鉄金属やステンレスなどの金属材から形成されてもよいし、合成樹脂や合成木材などのようなアルミニウム合金に比べて断熱効果の高いものから形成されても構わない。
【0031】
また、上部5の開口部5Aの形状及び数は、光ダクト3の形状及び数などに一致すれば、適宜変更してもよい。
【0032】
また、本実施形態では、開口部5Aを上部5の長手方向の略中央に設置したが、これに限定されることなく、側部7A,7Aのどちらか一方の近傍に設置してもよい。
【0033】
また、本実施形態では、上部5の一部に開口部5Aを設けたが、上部5全体を開口してもよい。すなわち、出窓ユニット2の上面に天板などを設置せずに開放して、その開口面に適合するように放光口3Bを設置してもよい。このようにすると、建物T内へ太陽光をより多く採り入れることができる。
【0034】
また、下部6に開口部を設けて、下部6に光ダクト3を連結してもよいし、側部7Aに開口部を設けて、側部7Aに光ダクト3を連結しても構わない。また、上部5、下部6、側部7Aへの開口部の設置を組み合わせてもよい。例えば、上部5と下部6の両方に開口部を設けて、両方の開口部に光ダクト3を連結してもよいし、上部5、下部6、側部7Aの全てに開口部を設けて、全ての開口部に光ダクト3を連結しても構わない。また、側部7A,7Aの両方に開口部を設けてもよいし、どちらか一方に開口部を設けても構わない。
【0035】
また、開口部5Aに開閉自在な蓋を設けてもよい。このようにすると、光ダクト3から太陽光を室内に採り入れたいときには、蓋を開けて採り入れ、光ダクト3から太陽光を室内に採り入れたくないときには、蓋を閉めて遮光することができるため、光ダクト3からの採光の自由度が高まる。
【0036】
また、本実施形態の側部7A,7Aは、窓であるが、壁にしてもよい。また、側部7Aのうちいずれか一方を窓にして、側部7Aのうちいずれか他方を壁にしてもよい。
【0037】
また、本実施形態では、側部7A,7Aは、開き窓であり、窓部7Bは、引き違い窓であるが、これに限定されることなく、公知の窓形式を適宜選択して用いることができる。例えば、引き違い窓、開き窓、上げ下げ窓(縦辷り出し窓)、FIX窓(嵌め殺し窓)などの中から適宜選択して、全ての側部7A及び窓部7Bを同一の窓形式にしてもよいし、異なる窓形式を組み合わせても構わない。また、一対の側部7A,7Aをそれぞれ異なる窓形式にしても構わない。例えば、一方の側部7Aを開き窓として、他方の側部7Aを上げ下げ窓などにしても構わない。また、側部7A及び窓部7Bに、障子、網戸、面格子、装飾格子などを設けても構わない。
【0038】
また、光ダクト3の採光口3Aまたは放光口3Bと透光カバーとの間にシール材を介設してもよいし、光ダクト3の放光口3B側の透光カバーと出窓ユニット2との間にシール材を介設してもよい。
【0039】
また、光ダクト3は、ハニカムパネルで構成されてもよい。このようにすると、光ダクト3の軽量化を図ることが可能になるので、取扱いが容易となり、採光装置1設置時の作業効率が向上する。また、既設建物の耐荷重にも十分対応することができるため、既設建物への設置の自由度が高まる。
【0040】
また、光ダクト3は、断熱パネルで構成されてもよい。このようにすると、光ダクト3の反射面での結露を防止することが可能になり、採光効率の低下を抑制することができる。
【0041】
また、図示は省略するが、光ダクト3の採光口3Aに太陽追尾装置を設けても構わないし、光ダクト3を建物Tの内部に取り付けても構わない。
【0042】
また、本実施形態では、建物Tに出窓ユニット2が1つ設置されている場合について述べたが、出窓ユニット2が複数ある場合には、出窓ユニット2ごとに光ダクト3を設置してもよいし、1つの光ダクト3の端部を分岐させて、複数の放光口3Bを形成し、複数の出窓ユニット2の開口部に連通しても構わない。このようにすると、光ダクト3の数を減らすことができるため、光ダクト3の施工コスト及び施工手間を低減することができる。
【0043】
次に、本発明の第2の実施形態について、図3を用いて説明する。尚、第2の実施形態に係る採光装置1の説明においては、第1の実施形態に係る採光装置1と重複する部分については、説明を省略する。
【0044】
第2の実施形態に係る採光装置1は、反射部材8を設置した点で第1の実施形態と相違する。
【0045】
反射部材8は、光ダクト3から出窓ユニット2内に入射する太陽光を建物Tの室内側に向けて反射させる役割を果たす。反射部材8は、図3に示すように、正面視矩形状を呈し、例えば、ガラス板の片面にアルミニウムや銀などの金属を蒸着したものや、プラスチックやポリエステルフィルムなどの樹脂素材の両面に金属を蒸着したものなどから成る。また、反射部材8の反射面は、本実施形態では、光を拡散反射するように形成されている。すなわち、本実施形態の反射部材8は、その反射面に微細な凹凸が形成されている拡散反射板から成る。
【0046】
ここで、拡散反射板の形成方法について説明する。まず、反射面が平滑な反射部材を用意し、その反射面にブラスト処理などを施し、微細な凹凸を形成する。次に、当該凹凸を形成後に反射面(層)を蒸着やスパッタリングなどで形成するか、又は、当該凹凸を形成後に反射面(層)に白色調の塗膜を形成する。以上の工程を経て、反射面に当たった太陽光が拡散する拡散反射板が完成する。尚、その他の公知の方法で、拡散反射板を形成しても差し支えない。
【0047】
かかる反射部材8は、出窓ユニット2内に設置されており、窓部7Bの全域を覆うとともに、窓部7Bに対して傾倒して設置されている。すなわち、反射部材8は、上部5と下部6との間に設置されており、光ダクト3から出窓ユニット2内に入射する太陽光を室内側へ反射できるように傾斜して設置されている。反射部材8の上端は、開口部5Aの開口縁部に固定され、その下端は、下部6の上面に固定されており、例えば、ネジ止め等の機械的接合や接着剤などにより固定されている。
【0048】
以上説明した第2の実施形態に係る採光装置1によれば、光ダクト3が出窓ユニット2の開口部5Aに連結しているので、光ダクト3から太陽光を採り入れつつ、側部7Aからも太陽光を採り入れることができる。
また、反射部材8は、側部7Aが通風可能になるように出窓ユニット2内に設置されているので、側部7Aの通風性を確保しつつ、光ダクト3から出窓ユニット2内に入射する太陽光を建物Tの室内に効率良く導くことができる。
【0049】
また、反射部材8は、拡散反射板から成るので、光ダクト3から出窓ユニット2内に入射して、拡散反射板に反射した太陽光が、室内に向かって均一に広がるため、太陽光のムラをなくすことができ、室内全体を均一に明るくすることができる。
【0050】
また、反射部材8は、金属素材や樹脂素材のうち反射率の高い素材で構成されており、光ダクト3で採り入れた太陽光を減衰させることなく、室内まで導くことができる。
【0051】
尚、本実施形態では、反射面に微細な凹凸が形成されている拡散反射板を用いたが、これに限定されることなく、例えば、その反射面が平滑な反射部材8を用いても構わない。
【0052】
また、反射部材8の形状は、本実施形態に限定されることなく、適宜変更してもよい。例えば、図4に示すように、正面視台形状等に形成してもよい。このようにすると、窓部7Bからも外部の拡散光を採り入れることや窓部7Bからの眺望を確保することが可能となる。また、窓部7Bの通風性を確保しつつ、光ダクト3から出窓ユニット2内に入射する太陽光を建物Tの室内に効率良く導くことができる。尚、反射部材8と窓部7Bとの間には、隙間が形成されているため、窓部7Bの鍵Gを操作することができ、開閉を行うことが可能となる。
【0053】
また、図5(a)に示すように、反射部材8に複数の貫通孔8A,8A・・・を形成してもよい。このようにすると、窓部7Bの通風性をより確保しつつ、室内に光ダクト3から入射する太陽光を効率良く導くことができる。尚、貫通孔8Aの形状、大きさ、数は、これに限定されることなく、適宜変更してもよい。
【0054】
また、図5(b)に示すように、反射部材8の形状をブラインド形状にしてもよい。このようにすると、窓部7Bの通風性をより確保しつつ、室内に光ダクト3から入射する太陽光を効率良く導くことができる。また、ブラインド形状にすると、お洒落な雰囲気を醸し出すことができるため、意匠的にも好適である。
【0055】
また、その他の通風可能な形状として、例えば、反射部材8にスリット状の隙間を形成してもよいし、ルーバー形状などに形成しても構わない。これらのようにしても、窓部7Bの通風性をより確保しつつ、室内に光ダクト3から入射する太陽光を効率良く導くことができる。
【0056】
また、図6(a)に示すように、窓部7Bの上下方向の高さの半分以下に、反射部材8を形成してもよい。このようにすると、窓部7Bの通風性をより確保しつつ、室内に光ダクト3から入射する太陽光を効率良く導くことができるとともに、窓部7Bからの眺望も損なわれない。
【0057】
また、反射部材8の設置場所は、本実施形態に限定されることなく、適宜変更してもよい。例えば、図6(b)に示すように、側部7Aの近傍に開口部5Aを設けた場合であれば、窓部7Bの片方の窓だけに反射部材8を設置しても構わない。このようにすると、窓部7Bの通風性を確保しつつ、室内に光ダクト3から入射する太陽光を効率良く導くことができるとともに、窓部7Bの開閉をより簡易に行うことができる。尚、下部6または側部7Aに開口部5Aを設けた場合には、室内側へ太陽光を反射できるように、反射部材8の設置場所を適宜変更する。
【0058】
また、反射部材8を接着剤などで上部5及び下部6に固定せずに、設置してもよい。例えば、反射部材8の背面にスタンドを設けて、当該スタンドで反射部材8を支持しても構わない。このようにすると、反射部材8の設置及び撤去が容易となり、設置の自由度が高まる。
【0059】
次に、本発明の第3の実施形態について、図7及び図8を用いて説明する。尚、第3の実施形態に係る採光装置1の説明においては、第1及び第2の実施形態に係る採光装置1と重複する部分については、説明を省略する。また、図8(a)は、図7の採光装置1の平面図であり、(b)は、室内側から見たときの正面図である。
【0060】
第3の実施形態に係る採光装置1は、光ダクト3を横にして、出窓ユニット2,2の上に取り付けた点に特徴がある。
【0061】
図7に示すように、第3の実施形態に係る採光装置1は、一つの光ダクト3を複数の出窓ユニット2,2に連結している。光ダクト3の一端は、図7に示すように、太陽光Lを採り入れやすいように、玄関側の外壁面より突出されるとともに、斜めに切り落としたような形状に形成されている。光ダクト3の他端は、図8に示すように、閉塞されており、胴体に放光口3B,3Bが設けられている。放光口3B,3Bは、それぞれ出窓ユニット2,2の開口部5A,5Aに連通している。図8(b)に示すように、各放光口3B,3Bには、反射板3C,3Cが傾倒して設けられている。反射板3Cは、その上端が光ダクト3内の上面と隙間を空けて設けられており、下端が放光口3Bの開口端に固定されている。尚、出窓ユニット2の数は、これに限定されることなく、3つ以上でも構わない。
【0062】
かかる構成により、図8(b)に示すように、採光口3Aに入射した太陽光Lは、反射を繰り返しながら光ダクト3内を進み、太陽光Lの一部が、反射板3Cに反射して、開口部5Aを介して、放光口3Bから出窓ユニット2内へ放光される。また、残りの太陽光Lも、反射を繰り返しながら光ダクト3内を進み、光ダクト3の他端側の反射板3Cに反射して、開口部5Aを介して、放光口3Bから出窓ユニット2内へ放光される。
【0063】
以上説明した第3の実施形態に係る採光装置1によれば、出窓ユニット2に光ダクト3を設けたことにより、光ダクト3を横付け(横架)することが可能となり、その結果、出窓ユニット2が複数ある場合でも、1つの光ダクト3を設置するだけで済むので、施工コスト及び施工手間を低減することができる。
また、一階の出窓からの眺望だけでなく、二階の窓からの眺望も損なうことがない。すなわち、図7に示すように、建物Tの一階に出窓ユニット2があり、出窓ユニット2の真上に二階の窓がある場合において、光ダクト3を縦に取り付けると、二階の窓からの眺望を損なうことになるが、かかる構成にすれば、二階の窓からの眺望も損なわれない。
【0064】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実施できるのはいうまでもない。本実施形態では、本発明を戸建て住宅に用いたが、例えば、マンションやアパートなどに用いても構わない。
【0065】
また、本実施形態では、本発明を平面視台形状の出窓ユニット2に用いたが、例えば、平面視三角形状、平面視四角形状、平面視多角形状(ベイウィンドウ)、平面視弓形状(ボウウィンドウ)などの出窓ユニット2に用いても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本実施形態に係る採光装置の設置状態を示す全体斜視図である。
【図2】第1の実施形態に係る採光装置の構成を示す斜視図である。
【図3】第2の実施形態に係る採光装置の構成を示す斜視図である。
【図4】第1の変形例に係る反射部材の構成を示す斜視図である。
【図5】(a)は、第2の変形例に係る反射部材の構成を示す斜視図であり、(b)は、第3の変形例に係る反射部材の構成を示す斜視図である。
【図6】(a)は、第4の変形例に係る反射部材の構成を示す正面図であり、(b)は、第5の変形例に係る反射部材の構成を示す正面図である。
【図7】第3の実施形態に係る採光装置の設置状態を示す全体斜視図である。
【図8】(a)は、図7の採光装置の平面図であり、(b)は、室内側から見たときの正面図である。
【符号の説明】
【0067】
1 採光装置
2 出窓ユニット
3 光ダクト
3A 採光口
3B 放光口
4 枠
5 上部
5A 開口部
6 下部
7A 側部
7B 窓部
8 反射部材
T 建物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の外壁面から外側へ突出した出窓ユニットと、一端が建物外に開口されている光ダクトと、を備えた採光装置であって、
前記出窓ユニットは、前記建物の躯体から張り出す上部及び下部と、前記上部と前記下部との間に設置された窓部及び側部と、
を備えており、
前記光ダクトが前記上部、前記下部、または前記側部のうち少なくとも一つに開口されていることを特徴とする採光装置。
【請求項2】
前記出窓ユニットには、前記光ダクトから前記出窓ユニット内に入射する光を、建物の室内側に向けて反射させる反射部材が備えられており、
前記反射部材は、前記窓部または前記側部のうち少なくとも一つが通風可能になるように設置されていることを特徴とする請求項1に記載の採光装置。
【請求項3】
前記反射部材は、通風可能な形状に形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の採光装置。
【請求項4】
前記光ダクトは、建物の外壁に取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の採光装置。
【請求項5】
前記反射部材は、拡散反射板から成ることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の採光装置。
【請求項6】
前記光ダクトは、ハニカムパネルで構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の採光装置。
【請求項7】
前記光ダクトは、断熱パネルで構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の採光装置。
【請求項8】
前記反射部材及び前記光ダクトの内面は、金属素材又は樹脂素材から成ることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の採光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−259543(P2009−259543A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−106123(P2008−106123)
【出願日】平成20年4月15日(2008.4.15)
【出願人】(000004743)日本軽金属株式会社 (627)
【Fターム(参考)】