採取用の毛嚢ユニットを選択するシステム及び方法
画像処理技術を用いて毛髪採取用の毛嚢ユニットを選択するためのシステム及び方法が提供される。毛嚢ユニットを採取する順番を選択する方法は、一般的には採取プロセスの速度、品質及び効率を改善するように設計される1以上の手段及び/又はフィルタの組合せに基づいている。本発明の方法は、多様な毛髪採取及び移植のシステムで実装でき、手動式、部分自動式、及び完全自動式のシステムを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的には毛髪移植手順に関し、特に、画像処理技術を用いて毛髪採取用の毛嚢ユニットを選択するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪移植手順は公知であり、一般的にはドナー領域、例えば患者の頭皮の側方及び後方周辺領域又は毛髪を含む他の表面から目的のドナーの毛髪を採取するステップと、それを脱毛領域(レシピエント領域)に移植するステップとを具える。歴史的には、採取される移植片は比較的大きかった(3ないし5mm)が、近年ドナーの移植片は単一の毛嚢ユニットとなっている。特に、「毛嚢ユニット(follicular unit)」(FUと称される)は、1ないし3(及び、通常4ないし5よりかなり少ない)の、間隔が密な毛髪の、頭皮といった体表にわたってランダムに分布する毛嚢の天然の凝集体である。
【0003】
毛嚢ユニットは、ユニットにおける毛髪の数に基づいて分類又は「種類分け(type)」し、手短に言うと、1本の毛髪の毛嚢ユニットについて「F1」と、2本の毛髪の毛嚢ユニットについて「F2」と同定でき、3ないし5の毛髪を有する毛嚢ユニットについても同様である。毛嚢ユニットにおいて毛髪の数に基づいて毛嚢ユニットを同定することが所望される。一例としては、特定の分類の毛嚢ユニットを特定の頭皮の領域に移植することが好ましい。例えば、1本の毛髪の毛嚢ユニット(F1)は顔を形成する髪際部に沿って通常移植される。2以上の毛髪を有する毛嚢ユニット(F2、F3等)は頭皮の中央及び頂部に通常移植される。毛嚢ユニットの分布のこの構成は、より自然に見える美的な結果を生成するように考えられている。更に、毛嚢ユニットの多様な分類(「種類(type)」とも称される)を用いて、移植した毛髪の出現のために所望の属性を提供することが所望される。このような属性は、他の可能な属性の中でも、毛髪の密度、毛髪の方向又は配向、毛嚢ユニットの種類の特定の混合、及び/又はランダム性の出現を含む。
【0004】
毛髪移植のための多様な手段は以前に開示されており、手動式及び特定のある程度の自動化まで機械化の双方を含む。1の公知の手動式のプロセスにおいて、頭皮の線形性の部分はメスの皮下脂肪組織への切開によってドナー領域から除外されている。条片は構成成分である毛嚢ユニットに切開され(顕微鏡下で)、次いで、針によって生成される各々の穿孔孔のレシピエント領域に移植される。ピンセットは一般的に針の穿孔位置に毛嚢ユニットの移植片を把持及び配置するのに用いられるが、そのようにする他の器具及び方法は周知である。別の手動式のプロセスにおいては、手持ち式の穿孔器又はカニューレは、別の場所における次の移植のために一度に体表から毛嚢ユニットを抽出するのに用いられる。この技術はFUE(毛嚢ユニット抽出)技術として周知である。
【0005】
米国特許第6,585,746号はロボットを用いた自動式の毛髪移植システムを開示し、ロボットアームと、ロボットアームに付随する毛髪の毛嚢用の誘導針を具える。毛髪移植のために手動式又は自動式のシステム及び方法のいずれかを用いて、手順の速度及び効率を改善することが所望される。システムが用いられるにも拘わらず、特定の時間が多くの場合、採取すべき次の毛嚢ユニットを選択し、かつ、毛髪採取ツールを以前に採取された毛嚢ユニットの位置から次に選択された毛嚢ユニットの位置まで移動させるのに必要なために失われる。従って、採取用の毛嚢ユニットを選択し、かつ、全体としてプロセスの効率を改善する自動選択機構のためのシステム及び方法に対するニーズが存在する。
【発明の概要】
【0006】
本明細書中で開示される本発明の一般的態様によると、自動式システムを用いて採取すべき毛嚢ユニットを選択するためのシステム及び方法が提供される。本発明のシステム及び方法は、毛髪の毛嚢ユニットの体表上での移植のためのシステム及び方法で利用してもよい。本発明のシステム及び方法は、毛髪移植用の自動式システムで移植するか、あるいはそれと一体化する場合に特に有用である。
【0007】
本発明の一態様によると、毛嚢ユニットを採取する順番を選択する方法が提供される。いくつかの実施形態においては、その方法は1以上の手段に基づいて候補の毛嚢ユニットの溜部を自動的に選別するステップと、次に採取すべき特定の毛嚢ユニットを自動的に選択するステップとを具える。1以上の手段は一般的には、毛髪採取の速度、品質、及び効率のうちの1つ又は総てを改善するように設計される。選択された毛嚢ユニットは少なくとも1以上の更なる手段によって、最も都合よく利用可能な毛嚢ユニットのうちの1つとなる。1のみの手段又は複数の所定の手段であってもよく、複数の手段が用いられる場合に、毛嚢ユニットを選別及び/又は選択するステップは、これらの複数の手段を具える変数の加重和に基づいて評価するステップを具えるように、各々の1つに特定の重みが与えられる。いくつかの例示的な手段は毛嚢ユニットの種類、採取ツールへの距離、毛嚢ユニットの方向、体表からの出現角、毛嚢ユニットの形状の単純性を具える。本発明の方法において有用な手段の更なる実施例は、候補の毛嚢ユニットの溜部における毛嚢ユニットをN番目おきにスキップするステップを具え、Nは特定の状況に基づいて選択され、任意の将来の採取計画を含む。
【0008】
特定の実施形態においては、本発明の方法は所定の判断基準に基づいた候補の毛嚢ユニットの溜部からの毛嚢ユニットの自動選別を提供する。更なる実施形態においては、次に採取すべき特定の毛嚢ユニットの自動選択は複数のフィルタ及び手段の組合せに基づいている。フィルタ及び手段の各々は臨床上の状況に応じて励起又は停止できる。選別又は本発明により適用される手段のいくつかの実施例は、別の毛嚢ユニット、あるいは画像の視野の縁部、あるいは血液を含む位置に対して 特定の最小距離内に配置される毛嚢ユニットを破棄するステップを具える。更なる実施例は所定の幅未満であるか、あるいは複雑な形状を有するか、あるいは毛嚢ユニットにおける毛髪の数に基づいて所望される所定の判断基準に合致しないか、あるいは直前の所定の時間間隔で1以上の画像において連続して現れない毛嚢ユニットを破棄することによって選別するステップを具えてもよい。本発明による選別は、所定のパラメータ又は判断基準の内外にある特定の毛髪を排除することによって「消極的(negatively)」に;あるいは所定のパラメータ又は判断基準の内外のいずれかにある毛髪のみを含むことによって「積極的(positively)」に;のいずれかでなされうる
【0009】
本発明の方法は手持ち式の装置で医者によって行われる手動式の手順で用いてもよく、あるいはいくつかの自動式システムで用いてもよく、ロボット式の毛髪採取システムで特に有用である。ロボット式の毛髪採取システムで用いられる場合、本発明の方法の一実施例は、毛髪採取の速度、品質及び効率のうちの1以上を改善するように設計される1以上の手段に基づいて採取用の候補の毛嚢ユニットの溜部を自動的に選別するステップと;自動的に選別された中から、次に採取すべき特定の毛嚢ユニットを自動的に選択するステップであって、選択された毛嚢ユニットは、1以上の更なる手段に基づいた最も都合よく利用可能な毛嚢ユニットのうちの1つとなるステップと;採取すべきFUの選択に次いで、ロボットアームに動作可能に連結される毛髪採取ツールを配置するようロボットシステムのロボットアームを操作するステップと;を具えてもよい。採取用の候補の毛嚢ユニットの溜部は、毛嚢ユニットを含む表面の1以上の画像において同定してもよい。
【0010】
本発明の別の態様によると、自動式システムを用いて毛嚢ユニットを選択するためのシステムが提供される。システムは画像プロセッサを具え、画像プロセッサは、画像収集装置から取得される1以上の画像において採取用の候補の毛嚢ユニットの溜部を同定し;1以上の手段(毛髪採取の速度、及び/又は品質、及び/又は効率を改善するように設計されるような)に基づいて候補の毛嚢ユニットの溜部におけるFUを自動的に選別し;自動的に選別された中から、次に採取すべき特定の毛嚢ユニットを自動的に選択するように構成され、選択された毛嚢ユニットは少なくとも1以上の更なる手段に基づく最も都合よく利用可能な毛嚢ユニットのうちの1つである。システムは更に画像収集装置を具えてもよく、更にロボットアームを有するロボットシステムであってもよい。
【0011】
画像収集装置の一実施例は、任意の商業上入手可能なカメラといった、1以上のカメラである。カメラの代わりに、映像記録装置(カメラレコーダといった)又はその他の画像収集装置であってもよい。画像プロセッサは本発明によって毛嚢ユニットを選択する方法を提供するようにプログラム及び構成される任意の装置を具えてもよい。好適な画像プロセッサの1の限定されない実施例は任意の型のパーソナルコンピュータ (PC)である。
【0012】
毛嚢ユニットを選択するための画像プロセッサは、多様な手動式、及び自動式(ロボット式を含む)の毛髪移植及び処理システム及び装置と協働して用いられ、限定しないが毛髪採取又は毛髪移植用のシステム、あるいは毛髪分類又は毛髪処理計画システムを含む。
【0013】
本発明の更に別の態様によると、機械によってアクセスされた場合に:画像収集装置から取得される1以上の画像における採取用の候補の毛嚢ユニットの溜部を同定し;毛髪採取の速度、品質及び/又は効率を改善するように設計されるような1以上の手段に基づいて、候補の毛嚢ユニットの溜部における毛嚢ユニットを自動的に選別し;自動的に選別された中から、次に採取すべき特定の毛嚢ユニットを自動的に選択する;といった動作を機械に実行させるデータを含む、製造物品が提供され、機械でアクセス可能な媒体を含んでもよく、選択された毛嚢ユニットは、少なくとも1以上の更なる手段に基づく最も都合よく利用可能な毛嚢ユニットのうちの1つである。
【0014】
従って、毛嚢ユニットを選択するためのシステム及び方法が提供される。本発明の他の及び更なる実施形態、目的及び利点は添付の図面に照らして読む場合に、以下の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明は実施例によって例示され、かつ添付図面の形状に限定されず、同様の引用番号は同様の要素を示す。
【0016】
【図1】図1は、本発明の例示的な自動型毛嚢ユニット選択プロセスのブロック線図である。
【図2】図2は、本発明の方法による1の例示的な選別判断基準のディジタル画像の印刷物である。
【図3】図3は、本発明の方法による別の例示的な選別判断基準の概略図である。
【図4】図4は、本発明の更に別の選別判断基準による血液領域の検出及び近接性検査の例示的なブロック線図である。
【図5】図5A及び5Bは、赤色光/白色光の下での(図4の)血液領域の例示的なディジタル画像の印刷物である。
【図6】図6は、分散フィルタを用いた血液検出を介した、候補の毛嚢ユニットの例示的な選別を示すディジタル画像の印刷物である。
【図7】図7は、本発明の方法による別の例示的な選別判断基準の概略図である。
【図8A】図8Aは本発明による例示的な選択手段の概略図である。
【図8B】図8Bは本発明による代替的で例示的な選択手段の概略図である。
【図8C】図8Cは本発明による代替的で例示的な選択手段の概略図である。
【図9】図9は、ロボット式の毛髪採取手順で実装される本発明の例示的な実施形態の表示である。
【図10】図10は、ロボット式ではない毛髪採取手順で実装される本発明の例示的な実施形態の表示である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の詳細な説明においては、発明が実施できるいくつかの例示的な実施形態を例示によって図示する添付の図面の引用がなされる。この関連で、「頂部(top)」、「底部(bottom)」、「遠位(distal)」、「近位(proximal)」等といった方向の定義は、1以上の図面の方向が記載されることによって用いられる。本発明の構成又は実施形態は多数の異なる方向に配置されうるため、方向の定義は例示の目的のために用いられ、決して限定しない。他の実施形態を用いることができ、構造上又は論理上の変形が本発明の範囲から離れることなくなされうることは理解されよう。従って、以下の記載は限定の意味で取るべきではなく、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって規定される。
【0018】
全体としてのシステム又はプロセスに関する形容詞「自動化される(automated)」は、プロセス中の特定のシステム又はステップの一部又は総てが自律性の機構又は機能を含むこと、すなわち、機構又は機能が手動動作を要求しないことを意味する。最終的には手順中の1以上のステップが自動的又は自律性であり、一部分が手動入力を要求してもよい。この定義は、ONスイッチを押下すること、あるいは手術を計画することを操作者に要求するのみの自動式システムと、更には、手持ち式のツールが用いられるが、システムの一部の機構が自律的に、すなわち、人による入力なく作用して機能するシステムとを包含する。本明細書中に記載の自動式システムの一部は更にロボット工学的に補助され、あるいはコンピュータ/ソフトウェア/機械の命令で制御されてもよい。本発明の装置及び方法は手動式の手順及びシステム、ならびに自動的な手順及びシステムに有用であり、ロボット工学的な補助によるシステム及び手順で特に有益である。システムの構成又はプロセス中の特定のステップの使用に言及する場合の副詞「自動的に(automatically)」は、このようなステップが自律的に、すなわち実時間での手動的な補助なく実現されることを意味する。
【0019】
本明細書中で用いられる用語「ツール(tool)」又は「採取ツール(harvesting tool)」は、体表から毛嚢ユニット(FU)を除去又は採取することができる任意の多数のツール又はエンドエフェクタのことである。体表は毛髪を有する領域であるか、身体に所属させることができるか、あるいは身体から脱離される皮膚又は体組織の組織弁であってもよいことは理解されよう。このようなツールは多くの異なる形状及び構成を有していてもよい。多くの実施形態においては、ツールは中空の管状シャフトを具え、ひいては例えば、カニューレ、針、又は穿孔器と標識されてもよい。本明細書中で用いられる用語「連結される(coupled)」、「付着される(attached)」、又は「取付けられる(mounted)」は、1以上の介在する構成を介して直接的又は間接的に連結されるか、付着されるか、あるいは取付けられることを意味する。
【0020】
本発明の方法の実施形態はコンピュータソフトウェアを用いて実装してもよい。多様なプログラミング言語及びオペレーティングシステムは本発明を実装するのに用いてもよい。
【0021】
個々の毛嚢ユニットがFUE技術を用いて採取される手動式の毛髪採取手順は、各々の個々のFUが別個に体表から採取されるため、時間浪費型の手順である。部分自動式又は完全自動式の採取手順及びシステムを有していても、採取すべき次のFUを選択する際に、多様な選択決定をして実行するのに特定の時間が要求される。本発明の自動式選択システムは、手動式及び自動式の双方の手順において採取プロセスの効率を増加させるように設計され、例えばロボット式の毛髪採取手順において特に有用である。
【0022】
ロボット式毛髪移植システム及び方法は同一出願による米国特許出願第2007/0078466号公報(Bodduluriらの公報)に記載される。上述の出願は毛髪採取ツールが移動可能な(例えばロボット式の)アームで担持され、アームは、毛嚢ユニットが採取された後に毎回再配置されて、画像システムの誘導の下で採取すべき次の毛嚢ユニットに採取ツールを移動及び整列させることを説明している。当然ながら、移動可能なアームの各々のこのような移動、再配置及び再整列(ひいては、アームによって担持されるツール)は時間がかかり、全体として手順の帰還を増加させる。従って、一方のFUから別のFUへのアーム(及びツール)の移動及び再配向が最小化される有効な計画を設計することが非常に所望される。
【0023】
毛髪の毛嚢を採取する場合、採取すべき毛嚢ユニットに採取ツールを整列させることが所望される。毛嚢ユニットに対する針の整列が良好になるにつれて、毛髪切断の確率が少なくなり、従って、針と毛嚢ユニットとの間のほぼ完全な整列を目指す(例えば、互いに平行か、あるいは特定の所望される小さな角度の各々の軸を有する)ことが理想である。この目的を実現するために、1の可能な用いるべき手段又はストラテジーは前に採取されたFUの方向と最も密接に合致する方向の候補のFUの集団の中にあるFUを選択すべきである。この方法においては、ツールを担持するロボットアームの全体的な移動は最小化され、更には整列の時間が最小化され、結果的に全体的な処理時間が低減される。更に別の代替的な可能性は、単純に針やカニューレといった採取ツールの現在の位置に最も近いFUを選択することである。
【0024】
採取ツールの移動の距離の単なる考慮事項に加えて、手順全体のスループットは更に、画像処理の効率や採取された毛嚢ユニットの品質といった、考慮されうる多様な更なる因子に依存する。例えば、採取の可能性のあるFUの候補は、一般的には距離/タイミングの観点から非常に良好な候補として示唆される直近の採取部位に非常に近くてもよい。しかしながら、その領域での直近の採取のためにそのいずれかの周りに過剰な出血がある場合に、過剰な量の血液が関連する画像処理を混乱させる高いリスクを冒すため、この領域を避けることが結果的に好ましい。同様に、以前の採取部位に近く都合のよい位置にあるが、可能な候補の毛嚢ユニットが、候補のFUを採取することによって隣接するFUが損傷又は切除されうるほど別の毛嚢ユニットに非常に近くなりうる。更に、将来的に可能な更なる採取手順又は瘢痕を低減するニーズといった臨床上の関心のために、最も近くにある毛嚢ユニットは所望されない。従って、このような候補のFUは、原則的に好適な以前の採取部位に対する近接性にもかかわらず、回避(除外)されなければならない。
【0025】
患者の変動性ならびに手順及び可能な将来に予測される追跡手順に影響を与える多数の因子のために、最良のストラテジーは異なるフィルタ(filter)及び手段(policy)の組合せに関与しうることが留意されよう。例えば、本方法は、採取に利用可能な毛嚢ユニットを選別するための1又は数個の主要手段を具えてもよく、加えて、候補のFUの集団は更に1又は数個の判断基準によって選別してもよい。例えば、頭皮の血液部分に近接近するFUは選別してもよい。残余のFUは現行の針の位置に近いFUを選択する手段を介して選別してもよく、その方向は直近に採取したFUに合致する。当該技術分野の当業者によって理解されるように、手段はフィルタとして設定及び/又は記述してもよい。しかしながら、どのように称されるかに拘わらず、手段が採取のために1以上の毛嚢ユニットを選択することに関連する場合には、本発明の範囲内にあるべきであり、ある手段であると見なされる。システムは実行時に構成可能であり、フィルタ及び手段の各々が臨床上の状況に応じて励起又は停止されうることは留意すべきである。
【0026】
図1は、本発明の自動型毛嚢ユニット選択プロセスの実施例のブロック線図である。最初にステップ100では、採取用の候補の毛嚢ユニットの溜部が同定される。例えば、前もって、あるいは選択プロセスの一部として、のいずれかで、毛嚢ユニットを含む表面の1以上の画像から同定してもよい。ステップ110では、溜部からの毛嚢ユニットは1または数個の手段によって自動的に選別される。1の手段のみであってもよく、代替的に数個の異なる所定の手段であってもよく、いくつかは手順の速度を改良するように設計してもよく、いくつかは以下により詳細に述べるように効率、毛髪処理の低減、及び多様な更なる目的に関連づけてもよい。ステップ120では、次に採取すべき特定の毛嚢ユニットは、上の、あるいは他の更なる手段により最も都合よく利用可能な毛嚢ユニットのうちの1つとして自動的に選択される。ブロック130は破線によって図示され、一般的形態においては本方法に対する任意のステップである。ステップ130では、いくつかの判断基準に基づく毛嚢ユニットの自動選別が行われ、例えば1以上の判断基準に合致しない毛嚢ユニットは候補のFUの溜部から自動的に選別される。選別は例えば:所定のパラメータ又は判断基準の内外にある特定の毛髪を排除することによって「消極的(negatively)」に;あるいは所定のパラメータ又は判断基準の内外のいずれかにある毛髪のみを含むことによって「積極的(positively)」に;のいずれかでなされうることに留意すべきである。これらのアプローチのいずれかは本発明によって熟慮され、ひいては、特定の判断基準によって毛嚢ユニットを破棄することによる選別に関する、本記載における、及び/又は特許請求の範囲における任意の引用は、特定の判断基準の外側又は逆位で毛嚢ユニットを保持することによって選別するステップを自動的に具える。多くの多様なフィルタは、以下によって詳細に記載されるように各々の状況の特異性に依存して用いられうる。
【0027】
図2では、ディジタル画像の印刷物が視野(FOV)を離れうるFUを選別することによって、対象の領域を選択する実施例を示す。より特異的には図2に示すように、FOVの縁部に非常に近いFU10、12、及び14は、患者の移動が原因でこれらのFUがFOVを離れることにより破棄される可能性が十分にあるため、無視/選別される。図2においては、対象の領域(ROI)の選択は患者の移動の量により上下に調整されうることに留意されたい。この「ROIの選択(selection ROI)」のための一般的な数値は、画像フレームの領域全体の75%である。
【0028】
代替的な選別判断基準の別の実施例は、最小量の時間、例えば直前の所定の時間間隔で、画像プロセッサに登録されなかった毛嚢ユニットである。次の毛嚢ユニットが選択される領域に、近傍の創傷からの血液(別の毛嚢ユニットの以前の採取により生成される)が浸出している場合、多くの場合、少なくとも画像処理の一部分又は特定のフレームを破損させる。結果として、画像プロセッサにより連続して登録される毛嚢ユニットは「安定(stable)」であると見なされ、ひいては確実な採取に対する高い信頼度を提供する。従って、いくつかの状況においては、「不安定(not stable)」なFUを除去し、言い換えると、上に説明したような「安定」なFUを選別することが所望されうる。
【0029】
更に別の有用な選別判断基準又は手段は、採取用に所望されるか、あるいはそれとは反対に回避すべき特定の型の毛嚢ユニットである。例えば、毛嚢ユニットF1及びF2は一般的には非常に所望され、そのためフィルタはF3及び上述を無視するように設定され(「除外(don’t care)」型のフィルタ)るか、F1及びF2のみを選択するように設定されうる。同様に、最小の内径又は幅(一般的には少なくとも75um)に及ばない毛髪を除外するフィルタは、小型化又は小束化したFUを回避するのに有用である。「小束化(wispy)」した毛髪は標準値未満の内径によって特徴づけられ、切除される場合に問題がある。更に小束化した毛髪はつねに変化しかつ多忙な場面中に見失う傾向が大きいため、より大きな画像処理の問題を有する傾向にある。
【0030】
選別する判断基準のいくつかの更なる実施例を以下に列挙する。多くの場合において、頭皮表面に対しFUを強調する手段を測定することは、FUに対する採取ツールの方向付けにおいて主要な因子である。この測定がノイズが多くなりうる特定のケースが存在する(例えば、血液、又は明色又は白色の毛髪による画像ノイズが原因)。結果として、特定の方向付けの安定性判断基準に合致しないFUを選別することが所望されうる。他の場合においては、選別判断基準は一方のFUが他方のFUに非常に近いかどうかである。「非常に近い(too close)」は採取用の針の直径の機能であってもよい。2のFUが互いに十分に近い場合、一方の抽出は近傍の切除を生じさせる可能性が非常に高い。これは最良に回避すべき状況であり、ひいては対応するフィルタ/手段は実装されうる。
【0031】
いくつかのFUは複雑な形状を有し、採取ツールで整列中に問題を生じさせうるFUを示す。整列が良好になると、より精密なFUの抽出及びFU切除率の低減を引き起こす。それに照らして、複雑な形状及び構成を有するFUよりも「単純(simple)」なF1又はF2が好適となりうる。「単純(simple)」は単純な形状を有するFUのことである。例えば、「V」字形状はF2形状の中では相当に単純であると見なされる。図3は、4つの各々の断片化されたFU(図の上段)と、その対応する「骨格(skeleton)」(下段)を示す。骨格又は「骨格化(skeletonization)」を生成するステップは断片化した画像における表面領域を、画像の元の領域の範囲及び結合性を主として保持する骨格のレムナントに低減する一方、元の表面の画素の多くを破棄するプロセスである。この表面領域の低減は対象が画像化される一般的形状に影響を与えることなく、可能な限り多くの画素のパターンを脱離させることによって生じる。断片化された画像の骨格をコンピュータ処理する様々な方法が存在する。1の例示的なアプローチは細線化アプローチであり、それ以上の細線化が不可能となるまで、境界部から画素を連続的に除去する一方、線分の終点を保存する(その時点で残ったものが骨格である)。図3に示されるように、断片化された画像(d)は、未切除の毛髪がF2の一部を閉塞するために「循環(cycle)」を含む骨格のF2である。断片化されたFU画像から得られる循環及びその他のノイズを有する骨格形状によって、FUの主軸を識別することが困難になり、FUに対するツールの整列を妨害する。従って、直線若しくは曲線、V字形状、又は逆V字形状のうちの1つの形態ではないFUを除外することが所望されうる。本発明のある実施形態の一実施例においては、骨格をまず剪定(枝部(twig)を除去)し、次いでFUを「単純(simple)」及び「複雑(complex)」という容器に貯蔵部(bin)に分類することによって得られる。
【0032】
本発明の選択方法で熟慮される更なる選別判断基準又は手段は、頭皮のような体表の血液領域又は創傷領域の非常に近くにあるか、あるいはその中にあるFUである。このことは一般的には問題となるFUが直近の採取部位に非常に近いことを意味する。切除率を最小化するために、採取部位の所定の密度を維持することが所望され、この密度は採取する穿孔径に密に関連する。従って、画像処理を通して以前の採取部位を同定することによって、ドナー領域内に均一にFUを延在させることが可能となる。更に、血液は画像処理の測定に混入する傾向があり、そのため、血液に非常に近い毛髪を排除する多くの多様な理由が存在する。図4は、画像化された頭皮のどの部分が回避すべき血液領域であるかを本発明の画像処理システムがどのようにして確認するかの一実施例を示す血液領域の検出及び近接性検査のブロック線図の実施例である。図4に示されるような例示的なプロセスでは、ステップ200で、白色光を用いた対象の領域又はFOVの1以上の画像が撮影され、血液を強調している(過剰なグレア及び反射によって毛髪を犠牲にする)。この「白色の閃光(white flash)」の刺激は図5A及び5Bに記載され、血液は赤色光よりも白色光の下で更に明確になる。更に、赤色光を用いた対象の領域又はFOVの1以上の画像は図5Aに示されるように、毛嚢ユニットを強調するために撮影される。当然ながら、白色光及び赤色光を用いて写真を撮る順番は重要ではない。ステップ210では、ステップ200で撮影された画像が処理される。赤色光の下で撮影された画像は、例えば同一出願人による同時係属中の公開された出願である国際公開第2008/024954号及び国際公開第2008/024955号に記載のFUの計数及び分類技術によって処理してもよい。白色光の下で撮影された画像の処理は例えば、(当該技術分野で周知のような)多様な断片化技術及びステップを具えてもよく、例であり限定しないが、閾値化の固定と、その後の事後処理のバイナリ除去(binary erosion)を含む。ステップ220では、血液を含む領域が決定され、例えば血液領域のリストを生成してもよい。同時に、毛嚢ユニットを含む画像の処理の結果として、FOVの対象の同一領域内の毛嚢ユニットのリストを同様に生成してもよい。ステップ230では、近接性検査が行われる。候補のFUの溜部から、「血液領域(blood region)」に対して非常に近くなる(一般的には10画素数以内)ことが見出される毛髪が選択プロセスから除外される。更にこの選別は、血液領域から特定の画素の範囲内にある毛髪を除外することによって「消極的」に;あるいは、上述の範囲外にある毛髪のみを含むことによって「積極的」に;のいずれかで為すことができる。近接性検査を通過するFUのみが、採取されるか、更に用いられうる、更なる手段及び選択判断基準の下での採取において考慮される。
【0033】
「白色閃光」画像において血液が行き渡っている場合に測定可能な機構の一実施例は分散フィルタを介するものである。図6は分散フィルタを用いたこのような血液検出の実施例を示す。図6で示されうるように、血液領域は組織がわずか、ないし無い(画像の分散が小さい)ことによって特徴づけられる一方、頭皮のような体表の画像化部分の血液のない領域は比較的大きな量の組織(分散が大きい)を含んでいる。更に、「白色閃光」の画像と標準的な赤色光の領域の画像との間にいくつかの遅延がある(例えば、約3分の2秒程度になりうる)ため、患者は短時間移動できる。従って、測定の精度を増加させるために、赤色光の領域の画像に対する白色閃光画像を登録することが推奨される。
【0034】
図7は、本発明による選択方法で用いられうる更なる選別判断基準を示す。時には、2の異なる視野(例えば、立体カメラが用いられる場合の左右のカメラ)における対象の画像は同様に現れない。このような状況の一実施例は図7に示され、2の別個のFUは立体の対となる1の画像において簡単に同定でき(この場合においては、左の画像)、対応する他の立体画像においては2の断片化されたFU画像が単一の対象に変形される。このシナリオは一般的には、毛髪が2ないし3mmより長くなりうる頭皮の高密度領域に生じ、ツールの有効な地点(にいてはカメラ軸)と画像ノイズとの組合せによって、FUが左右双方の立体像で完全な分離で画像化されるのを防ぐ。一般的にはより進歩した画像システムはFUを「仮想分割すること(virtually splitting)」を可能にし、互いに変形されるが、このような毛髪の追跡は左右のカメラからの非対称な視野のため更に厄介であり、問題となりうる。結果、毛髪採取のプロセスを単純化し高速にするために、同時に(何らかの複雑な形状を有する)これらのFUを除外するのを選択し、更に単純な形状を採取することを選んでもよい。当該技術分野の当業者によって理解されるように、多くの他の選別判断基準が本発明の方法で実装されうる。これらの様々な判断基準は各々の採取の場合における特定のニーズ及び条件によって、別個、あるいは多数の組合せで用いてもよい。以前に述べたように、選別判断基準のいずれも、所望のように「励起(on)」又は「停止(off)」してもよい。
【0035】
図1に戻って、FUフィルタが適用された後で、採取用の特定の数を選択できる選別された候補のFUの集合が残る。この選択ブロックは手段のうちの1以上に基づいて候補を選別することによってこのタスクを実現する。本発明の方法において選択できる多数の異なる手段がある。いくつかの状況においては、1の手段(N=1)のみを選択してもよく、他の状況においては複数の手段(N>1)であってもよい。手段が「励起」又は「停止」されうる場合、活性状態の手段(「励起」状態のもの)のみが後に続けられる。以下に、いくつかの有用な手段の限定しない実施例が列挙される。
【0036】
速度を改善し、手順の時間を低減するために、忠実に候補のFUと採取ツールの位置との間の距離に基づく手段を選択できる。言い換えると、その手段は採取ツール(針、カニューレ、穿孔器、及びその他の好適なツールにできる)の先端部に最も近いFUを選択すべきである。別の代替的な手段は、システムが直前に採取されたFUの方向に最も密に合致する方向のFUを選択すべく、ツールをFUと整列させるのに必要な調整量に基づいてもよい。このように、プロセス全体を促進するツールの方向は、変える必要がない。上に提供される代表的な手段はシステムのスループットを最大化することのみに基づいているが、他の考慮事項によって、同様に手段の選択を管理してもよい。例えば、その手段は採取された毛髪の品質を改善することに基づいてもよく、切除率と同様の考慮事項とを低減してもよい。このような手段の一実施例は、候補の溜部の中で最も大きい頭皮又は他の関連する体表から離れた出現角のFUの選択である。この手段の前提は、対象点のFUが表面に沿ってあるか、あるいは非常に小さな出現角を有するのではなく、体表に対して垂直である場合に、切除率が最も小さいことが知られているということである。針又は他の採取ツールは通常は、問題となるFUが平らである場合に、頭皮にわたってスキップ又はスライドされる傾向があり、ひいては上述の手段は、大きな出現角を有するFUを採取する場合に、正確なツールの整列及び操作の機会を増加させる。
【0037】
本発明のいくつかの実施形態においては、上述の手段の3つの実施例のうちのいずれかの組合せ、又はその他の手段を選択してもよい。これは、各々の手段に対し特定の重みを割り当てて、次いで変数の加重和として候補のFUを評価することによって実現される。特定の手段は考察しないように例えば0の重みを割り当ててもよいことは留意されよう。総ての3の上述の手段が考慮される場合、この実施例においては各々の考慮されるFUの評価は以下のように決定される。
FUの評価=α*針に対する距離+β*前のFUの方向との差Δ(デルタ)+γ*出現角
ここで、α、β、及びγは各々の手段に割り当てられる重み(weight)である。
【0038】
自動化が多数のFUで行われる場合、体表の多様な位置の複数の画像が撮影され、複数の視野に含まれ、候補のFUの上位集合が生成されうる。この上位集合は次いで図1のブロック100で入力「候補のFU」として用いられ、次のプロセスは単一のFOVのみが用いられたかのように、図1によって記載されたものと同様になる。
【0039】
本発明の別の態様によると、毛嚢ユニットの採取の順番を選択する方法は、同一患者に要求されうる将来の毛髪採取手順の任意の可能性のために前もって計画を立てるように設計される別の手段に基づく。特定の個体がその寿命の間にいくつかの毛髪移植手段を要求することが決定される。いくつかの状況においては、毛髪を失い続け、特定年数後に繰り返すのを必要とするために、更なる手順が必要となりうる。いくつかの場合においては、特定の期間にわたって拡げられる複数の手段は医者及び患者によって前もって計画される。更なる毛髪は同一の通常の領域から採取する必要がある将来の手順を考慮して、良好な審美的結果のために、最初の手順の時に採取された毛嚢ユニットの間隔を開ける(space out)ことが所望されうる。このように、より多くの毛髪が後の次の手順の間に採取される場合に、ドナー領域はそれでも十分、均一、及び自然に見える。この手段の前の前提は、現行の手順での所望の収量を考察する一方、任意の将来の手順の認識を残すことである。
【0040】
図8AないしCでは、手段を計画する複数の手順に基づく本発明の方法の実施例が記載される。上述の問題を解決するために、例えばその手段は、所定の候補の毛嚢ユニットの溜部において毛嚢ユニットをN番目おきにスキップすることでありうる。図8Aは頭皮といったドナー領域上の「スキップ手段(skip policy)」を示す。ここでN=1である。言い換えると、総ての他の毛嚢ユニットは採取用に選択されている。円形が付されたFUは所定の髪際領域における総ての他のFUの選択を示す。図8Aの実施例においては、線形性の髪際領域1、2、及び3である。図8Aから示されるように、採取されるFUの全数は9つである。この実施例においては、最初の手順が完了した後で、選択された髪際領域における総ての他のFUが採取される。この手段は顕著な更なる採取が同一の髪際領域で予想されない場合に機能する。
【0041】
将来的に同一のゾーン又は領域から毛髪を除去する必要がある場合、残りのFU間に大きな間隙を提供するように各々の採取されたFU間で、複数のFUをスキップすることが得策である。図8Bは医者が同一ドナー領域での将来の手順を考慮し、代わりにN=2でこの手段を調整するように選択される。結果として、総ての2のFUは、採取のために選択されるFUの数が図8Aの9つの代わりに7つとなるようにスキップされる。図8A又はBの実施例においては、FUの空間群は線形性の形態、及び髪際領域1、2、及び3に対して同一方向で行われたが、本発明はこのような線形性の端方向性の選択に限定されない。例えば、毛嚢ユニットのスキップパターンは、1以上の多様な計画テンプレートから選択してもよい。いくつかの例示的なスキップパターンは、髪際部における毛嚢をN番目おきに選択する単方向性及び線形性の一方及び双方のテンプレートを含んでもよい。しかしながら、複数方向及び非線形性の選択を用いたこの手段の適応を避けるものではなく、図8Cの実施例によって示されるように、3の例示的な方向x、y、及びzに沿って他の群、例えばパッチやクラスタを含んでもよい。
【0042】
本明細書中に記載のように採取のために毛嚢ユニットを選択するシステム及び方法のいずれかは、Bodduluriらの刊行物に記載のものと同様の毛髪採取及び移植用のロボットシステムと協働して用いることができる。例えば、Bodduluriらの刊行物に記載のシステムはプログラムされ、本発明による毛嚢ユニットを選択する方法を行うように構成してもよい。図9は毛髪採取(及び選択的に移植)のためのロボットシステム20の1のこのような実施例の概略的な斜視図である。システム20はロボットアーム22と、例えばロボットアームの下向きチューブ26での回転用に取り付けられるアセンブリ24とを具える。多様な矢印がシステム20の移動性能を示すために図示される。多様なモータ及び他の移動装置がアセンブリ24に組み込まれて、複数方向におけるツール28の操作先端部の精密な移動を可能にする。例示的なロボットシステム20は更に少なくとも1の画像収集装置29を含み、以下に詳細に記載される。画像収集装置は固定位置に取り付けられてもよく、あるいはロボットアーム又は他の制御可能な動作装置に(直接的又は間接的に)連結されてもよい。ツール28の動作先端部は体表30の上方に配置されるように示され、この場合においては、患者の頭皮の一部はその上に毛髪の毛嚢を有する。ツール28は体表30から毛嚢ユニットを除去するのに有用な任意の数の採取ツールである。
【0043】
図9のプロセッサ32は、画像収集装置29から取得される処理画像のための画像プロセッサを具える。プロセッサ32は更に、採取ツールを含むロボットアーム22及びアセンブリ24の多様な移動装置に命令してもよく、例えば図9に概略的に示されるようなロボット制御34を介して動作する。ロボット制御34はロボットアームに動作可能に連結し、ロボットアームの動作を制御するように構成してもよく、画像収集装置によって取得される画像又はデータに基づく動作を含む。代替的に、ロボット制御34はプロセッサ32の一部として組み込まれてもよく、採取ツールを含む総てのツール、ロボットアーム、及び画像収集装置によって取得される画像又はデータに基づくものを含むアセンブリのその他の移動可能な部分の総ての移動の総ての処理及び制御は1つの場所に集中させる。システム20は更に、モニタ35、キーボード36、及びマウス38を具えてもよい。体表30の拡大画像はモニタ35で見ることができる。更には、システムはFUの採取及び/又は移植に、あるいは毛髪処理計画に有用な他のツール、装置、及び部品を具えてもよい。
【0044】
図9に示されるいくつかの限定されない画像収集装置29の実施例は、任意の商業上入手可能なカメラといった1以上のカメラを含む。画像収集装置は更に画像を撮影することができ、あるいは映像記録装置(カメラレコーダといった)又はその他の画像収集装置にできる。立体又は多視点画像装置は本発明で非常に有用であるが、このような形状又は構成を用いる必要はなく、本発明は限定されない。同様に画像収集装置はディジタル装置であることが好ましいが、必要ではない。例えば、画像収集装置は、本発明の方法での更なる使用のために、(例えば、商用の市販品のフレームグラッバのようなアナログディジタル式の装置を介して)ディジタル画像に処理される初期画像を取得するアナログTVカメラであってもよい。画像収集装置は処理システムに連結してもよく、プロセッサ32に組み込まれて図9に示されて、画像処理動作及び処理画像データを制御してもよい。本発明で用いられる画像プロセッサは、本発明による採取用のFUを選択する方法を行うように、プログラミング及び構成される任意の好適な装置を具えてもよい。ある実施形態の一実施例においては、FUを選択するための画像プロセッサは、画像収集装置から取得される1以上の画像において採取用の候補の毛嚢ユニットの溜部を同定し;1以上の手段(毛髪採取の速度、品質、又は効率を改善するように設計されるような)に基づいて候補の毛嚢ユニットの溜部におけるFUを自動的に選別し;次に採取すべき特定の毛嚢ユニットを自動的に選択するように構成され、選択された毛嚢ユニットは少なくとも1以上の手段に基づく最も都合よく利用可能な毛嚢ユニットのうちの1つである。
【0045】
例によるもので限定されないが、好適な画像プロセッサは、1以上のプロセッサを具えるディジタル処理システム又は他の型の装置であってもよい。例えば、画像プロセッサはコントローラ又は任意の型のパーソナルコンピュータ(PC)であってもよい。代替的に、画像プロセッサは特定用途向け集積回路(ASIC)、又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を具えてもよい。画像プロセッサは更に、メモリ、ストレージデバイス、及び当該分野に公知の他の部品を具えてもよく、ひいてはここには詳細には説明する必要はないであろう。
【0046】
毛嚢ユニットを選択するための画像プロセッサは、多様な手動式、部分自動式、及び完全自動式(ロボット式を含む)の毛髪移植及び処理システム及び装置と協働して用いられ、限定しないが毛髪採取又は毛髪移植用のシステムを含む。同様に本発明の画像プロセッサは、毛髪分類システムで、あるいは毛髪処理計画システムで用いることができよう。
【0047】
本発明の別の態様によると、自動式の毛嚢ユニットの選択は更に、毛髪採取用のいくつかの手持ち式のツールを用いて医者によって行われる手順で実装してもよい。1のこのような実装が図10で実施例として示される。この実施形態においては、医者は手持ち式の採取ツール44を用い、かつ高倍率のルーペを有する一般的な眼鏡50を着用して、患者で手動で手術を行っている。1以上のカメラといった画像収集装置52は眼鏡に取付けられてもよい。1以上のカメラは、眼鏡に取り付けられたときに、カメラが撮像するものを医者が正確に見ることが可能なように、ビューファインダを有してもよい。代替的に、カメラ52’は医者が毛髪採取のために用いている手持ち式の器具又はツールに取付けてもよい。いくつかの更なる実施形態においては、スタンドアロン型の画像収集装置であってもよい。図10は、ツール44上に符号52(眼鏡上)及び52’として、画像収集装置の代替的な実施例のうちの2つを示す。コンピュータ42といった画像プロセッサは、本発明の選択方法を実行し、かつ情景分析を実行でき、特定の手段及び/又はフィルタに基づいた毛嚢ユニットの強調を含む。モニタ40は強調された1以上の毛嚢ユニット、ならびに正確な毛髪の計数、おおよその密度、毛嚢ユニットの種類等といった、他の有用なデータ/統計値を表示する。モニタに表示された情報によって誘導されるように、医者は採取用の次の毛嚢ユニットを選択できる。
【0048】
当該技術分野の当業者によって理解されるように、本発明の方法は少なくとも部分的にはソフトウェアで具現化し、コンピュータシステム又は他のデータ処理システムで実行してもよい。従って、いくつかの例示的な実施形態においては、ハードウェアは本発明を実装するためにソフトウェア命令と組合わせて用いてもよい。例えば、本発明の製造の技術物品は、機械によってアクセスされた場合に:画像収集装置から取得される1以上の画像における採取用の候補の毛嚢ユニットの溜部を同定し;毛髪採取の速度、品質及び効率のうちの1以上を改善するように設計される1以上の手段に基づいて、候補の毛嚢ユニットの溜部における毛嚢ユニットを自動的に選別し;次に採取すべき特定の毛嚢ユニットを自動的に選択する;といった動作を機械に実行させるデータを含む、機械でアクセス可能な媒体を含んでもよく、選択された毛嚢ユニットは、少なくとも1以上の更なる手段に基づく最も都合よく利用可能な毛嚢ユニットのうちの1つである。
【0049】
機械で読取可能な媒体はシステムが本発明の方法を行うべくソフトウェア及びデータを保存するのに用いてもよい。上述の機械で読取可能な媒体は、処理装置、例えばコンピュータによってアクセス可能な形態で、情報を保存及び伝達することが可能な好適な媒体を含んでもよい。機械で読取可能な媒体は限定しないが、磁気ディスク記憶装置、フラッシュメモリデバイス、光学記憶装置、ランダムアクセスメモリ等を含む。
【0050】
本発明の前述の例示及び記載した実施形態は多様な変更及び代替的な形態を受けやすく、本発明は一般的には、本明細書中に記載の特定の実施形態と同様に、開示された特定の形態又は実施形態に限定されず、逆に添付の特許請求の範囲にある変形物、等価物、及び代替物の総てをカバーすることは理解すべきである。限定しない実施例によって、1の図面又は実施形態によって記載された特定の特性又は特徴は、別の図面又は実施形態によって記載された特定の特性又は特徴と好適に連結できる。同様に、本発明はロボットアームを含むロボットシステムの使用に限定されず、他の自動式及び半自動式のシステムが利用可能である。更に、本発明の採取用の毛嚢ユニットを選択するシステム及び方法は別個の自動式の移植システムに沿って、あるいは手動式の移植手順で用いる別個のシステムであってもよい。
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的には毛髪移植手順に関し、特に、画像処理技術を用いて毛髪採取用の毛嚢ユニットを選択するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪移植手順は公知であり、一般的にはドナー領域、例えば患者の頭皮の側方及び後方周辺領域又は毛髪を含む他の表面から目的のドナーの毛髪を採取するステップと、それを脱毛領域(レシピエント領域)に移植するステップとを具える。歴史的には、採取される移植片は比較的大きかった(3ないし5mm)が、近年ドナーの移植片は単一の毛嚢ユニットとなっている。特に、「毛嚢ユニット(follicular unit)」(FUと称される)は、1ないし3(及び、通常4ないし5よりかなり少ない)の、間隔が密な毛髪の、頭皮といった体表にわたってランダムに分布する毛嚢の天然の凝集体である。
【0003】
毛嚢ユニットは、ユニットにおける毛髪の数に基づいて分類又は「種類分け(type)」し、手短に言うと、1本の毛髪の毛嚢ユニットについて「F1」と、2本の毛髪の毛嚢ユニットについて「F2」と同定でき、3ないし5の毛髪を有する毛嚢ユニットについても同様である。毛嚢ユニットにおいて毛髪の数に基づいて毛嚢ユニットを同定することが所望される。一例としては、特定の分類の毛嚢ユニットを特定の頭皮の領域に移植することが好ましい。例えば、1本の毛髪の毛嚢ユニット(F1)は顔を形成する髪際部に沿って通常移植される。2以上の毛髪を有する毛嚢ユニット(F2、F3等)は頭皮の中央及び頂部に通常移植される。毛嚢ユニットの分布のこの構成は、より自然に見える美的な結果を生成するように考えられている。更に、毛嚢ユニットの多様な分類(「種類(type)」とも称される)を用いて、移植した毛髪の出現のために所望の属性を提供することが所望される。このような属性は、他の可能な属性の中でも、毛髪の密度、毛髪の方向又は配向、毛嚢ユニットの種類の特定の混合、及び/又はランダム性の出現を含む。
【0004】
毛髪移植のための多様な手段は以前に開示されており、手動式及び特定のある程度の自動化まで機械化の双方を含む。1の公知の手動式のプロセスにおいて、頭皮の線形性の部分はメスの皮下脂肪組織への切開によってドナー領域から除外されている。条片は構成成分である毛嚢ユニットに切開され(顕微鏡下で)、次いで、針によって生成される各々の穿孔孔のレシピエント領域に移植される。ピンセットは一般的に針の穿孔位置に毛嚢ユニットの移植片を把持及び配置するのに用いられるが、そのようにする他の器具及び方法は周知である。別の手動式のプロセスにおいては、手持ち式の穿孔器又はカニューレは、別の場所における次の移植のために一度に体表から毛嚢ユニットを抽出するのに用いられる。この技術はFUE(毛嚢ユニット抽出)技術として周知である。
【0005】
米国特許第6,585,746号はロボットを用いた自動式の毛髪移植システムを開示し、ロボットアームと、ロボットアームに付随する毛髪の毛嚢用の誘導針を具える。毛髪移植のために手動式又は自動式のシステム及び方法のいずれかを用いて、手順の速度及び効率を改善することが所望される。システムが用いられるにも拘わらず、特定の時間が多くの場合、採取すべき次の毛嚢ユニットを選択し、かつ、毛髪採取ツールを以前に採取された毛嚢ユニットの位置から次に選択された毛嚢ユニットの位置まで移動させるのに必要なために失われる。従って、採取用の毛嚢ユニットを選択し、かつ、全体としてプロセスの効率を改善する自動選択機構のためのシステム及び方法に対するニーズが存在する。
【発明の概要】
【0006】
本明細書中で開示される本発明の一般的態様によると、自動式システムを用いて採取すべき毛嚢ユニットを選択するためのシステム及び方法が提供される。本発明のシステム及び方法は、毛髪の毛嚢ユニットの体表上での移植のためのシステム及び方法で利用してもよい。本発明のシステム及び方法は、毛髪移植用の自動式システムで移植するか、あるいはそれと一体化する場合に特に有用である。
【0007】
本発明の一態様によると、毛嚢ユニットを採取する順番を選択する方法が提供される。いくつかの実施形態においては、その方法は1以上の手段に基づいて候補の毛嚢ユニットの溜部を自動的に選別するステップと、次に採取すべき特定の毛嚢ユニットを自動的に選択するステップとを具える。1以上の手段は一般的には、毛髪採取の速度、品質、及び効率のうちの1つ又は総てを改善するように設計される。選択された毛嚢ユニットは少なくとも1以上の更なる手段によって、最も都合よく利用可能な毛嚢ユニットのうちの1つとなる。1のみの手段又は複数の所定の手段であってもよく、複数の手段が用いられる場合に、毛嚢ユニットを選別及び/又は選択するステップは、これらの複数の手段を具える変数の加重和に基づいて評価するステップを具えるように、各々の1つに特定の重みが与えられる。いくつかの例示的な手段は毛嚢ユニットの種類、採取ツールへの距離、毛嚢ユニットの方向、体表からの出現角、毛嚢ユニットの形状の単純性を具える。本発明の方法において有用な手段の更なる実施例は、候補の毛嚢ユニットの溜部における毛嚢ユニットをN番目おきにスキップするステップを具え、Nは特定の状況に基づいて選択され、任意の将来の採取計画を含む。
【0008】
特定の実施形態においては、本発明の方法は所定の判断基準に基づいた候補の毛嚢ユニットの溜部からの毛嚢ユニットの自動選別を提供する。更なる実施形態においては、次に採取すべき特定の毛嚢ユニットの自動選択は複数のフィルタ及び手段の組合せに基づいている。フィルタ及び手段の各々は臨床上の状況に応じて励起又は停止できる。選別又は本発明により適用される手段のいくつかの実施例は、別の毛嚢ユニット、あるいは画像の視野の縁部、あるいは血液を含む位置に対して 特定の最小距離内に配置される毛嚢ユニットを破棄するステップを具える。更なる実施例は所定の幅未満であるか、あるいは複雑な形状を有するか、あるいは毛嚢ユニットにおける毛髪の数に基づいて所望される所定の判断基準に合致しないか、あるいは直前の所定の時間間隔で1以上の画像において連続して現れない毛嚢ユニットを破棄することによって選別するステップを具えてもよい。本発明による選別は、所定のパラメータ又は判断基準の内外にある特定の毛髪を排除することによって「消極的(negatively)」に;あるいは所定のパラメータ又は判断基準の内外のいずれかにある毛髪のみを含むことによって「積極的(positively)」に;のいずれかでなされうる
【0009】
本発明の方法は手持ち式の装置で医者によって行われる手動式の手順で用いてもよく、あるいはいくつかの自動式システムで用いてもよく、ロボット式の毛髪採取システムで特に有用である。ロボット式の毛髪採取システムで用いられる場合、本発明の方法の一実施例は、毛髪採取の速度、品質及び効率のうちの1以上を改善するように設計される1以上の手段に基づいて採取用の候補の毛嚢ユニットの溜部を自動的に選別するステップと;自動的に選別された中から、次に採取すべき特定の毛嚢ユニットを自動的に選択するステップであって、選択された毛嚢ユニットは、1以上の更なる手段に基づいた最も都合よく利用可能な毛嚢ユニットのうちの1つとなるステップと;採取すべきFUの選択に次いで、ロボットアームに動作可能に連結される毛髪採取ツールを配置するようロボットシステムのロボットアームを操作するステップと;を具えてもよい。採取用の候補の毛嚢ユニットの溜部は、毛嚢ユニットを含む表面の1以上の画像において同定してもよい。
【0010】
本発明の別の態様によると、自動式システムを用いて毛嚢ユニットを選択するためのシステムが提供される。システムは画像プロセッサを具え、画像プロセッサは、画像収集装置から取得される1以上の画像において採取用の候補の毛嚢ユニットの溜部を同定し;1以上の手段(毛髪採取の速度、及び/又は品質、及び/又は効率を改善するように設計されるような)に基づいて候補の毛嚢ユニットの溜部におけるFUを自動的に選別し;自動的に選別された中から、次に採取すべき特定の毛嚢ユニットを自動的に選択するように構成され、選択された毛嚢ユニットは少なくとも1以上の更なる手段に基づく最も都合よく利用可能な毛嚢ユニットのうちの1つである。システムは更に画像収集装置を具えてもよく、更にロボットアームを有するロボットシステムであってもよい。
【0011】
画像収集装置の一実施例は、任意の商業上入手可能なカメラといった、1以上のカメラである。カメラの代わりに、映像記録装置(カメラレコーダといった)又はその他の画像収集装置であってもよい。画像プロセッサは本発明によって毛嚢ユニットを選択する方法を提供するようにプログラム及び構成される任意の装置を具えてもよい。好適な画像プロセッサの1の限定されない実施例は任意の型のパーソナルコンピュータ (PC)である。
【0012】
毛嚢ユニットを選択するための画像プロセッサは、多様な手動式、及び自動式(ロボット式を含む)の毛髪移植及び処理システム及び装置と協働して用いられ、限定しないが毛髪採取又は毛髪移植用のシステム、あるいは毛髪分類又は毛髪処理計画システムを含む。
【0013】
本発明の更に別の態様によると、機械によってアクセスされた場合に:画像収集装置から取得される1以上の画像における採取用の候補の毛嚢ユニットの溜部を同定し;毛髪採取の速度、品質及び/又は効率を改善するように設計されるような1以上の手段に基づいて、候補の毛嚢ユニットの溜部における毛嚢ユニットを自動的に選別し;自動的に選別された中から、次に採取すべき特定の毛嚢ユニットを自動的に選択する;といった動作を機械に実行させるデータを含む、製造物品が提供され、機械でアクセス可能な媒体を含んでもよく、選択された毛嚢ユニットは、少なくとも1以上の更なる手段に基づく最も都合よく利用可能な毛嚢ユニットのうちの1つである。
【0014】
従って、毛嚢ユニットを選択するためのシステム及び方法が提供される。本発明の他の及び更なる実施形態、目的及び利点は添付の図面に照らして読む場合に、以下の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明は実施例によって例示され、かつ添付図面の形状に限定されず、同様の引用番号は同様の要素を示す。
【0016】
【図1】図1は、本発明の例示的な自動型毛嚢ユニット選択プロセスのブロック線図である。
【図2】図2は、本発明の方法による1の例示的な選別判断基準のディジタル画像の印刷物である。
【図3】図3は、本発明の方法による別の例示的な選別判断基準の概略図である。
【図4】図4は、本発明の更に別の選別判断基準による血液領域の検出及び近接性検査の例示的なブロック線図である。
【図5】図5A及び5Bは、赤色光/白色光の下での(図4の)血液領域の例示的なディジタル画像の印刷物である。
【図6】図6は、分散フィルタを用いた血液検出を介した、候補の毛嚢ユニットの例示的な選別を示すディジタル画像の印刷物である。
【図7】図7は、本発明の方法による別の例示的な選別判断基準の概略図である。
【図8A】図8Aは本発明による例示的な選択手段の概略図である。
【図8B】図8Bは本発明による代替的で例示的な選択手段の概略図である。
【図8C】図8Cは本発明による代替的で例示的な選択手段の概略図である。
【図9】図9は、ロボット式の毛髪採取手順で実装される本発明の例示的な実施形態の表示である。
【図10】図10は、ロボット式ではない毛髪採取手順で実装される本発明の例示的な実施形態の表示である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下の詳細な説明においては、発明が実施できるいくつかの例示的な実施形態を例示によって図示する添付の図面の引用がなされる。この関連で、「頂部(top)」、「底部(bottom)」、「遠位(distal)」、「近位(proximal)」等といった方向の定義は、1以上の図面の方向が記載されることによって用いられる。本発明の構成又は実施形態は多数の異なる方向に配置されうるため、方向の定義は例示の目的のために用いられ、決して限定しない。他の実施形態を用いることができ、構造上又は論理上の変形が本発明の範囲から離れることなくなされうることは理解されよう。従って、以下の記載は限定の意味で取るべきではなく、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって規定される。
【0018】
全体としてのシステム又はプロセスに関する形容詞「自動化される(automated)」は、プロセス中の特定のシステム又はステップの一部又は総てが自律性の機構又は機能を含むこと、すなわち、機構又は機能が手動動作を要求しないことを意味する。最終的には手順中の1以上のステップが自動的又は自律性であり、一部分が手動入力を要求してもよい。この定義は、ONスイッチを押下すること、あるいは手術を計画することを操作者に要求するのみの自動式システムと、更には、手持ち式のツールが用いられるが、システムの一部の機構が自律的に、すなわち、人による入力なく作用して機能するシステムとを包含する。本明細書中に記載の自動式システムの一部は更にロボット工学的に補助され、あるいはコンピュータ/ソフトウェア/機械の命令で制御されてもよい。本発明の装置及び方法は手動式の手順及びシステム、ならびに自動的な手順及びシステムに有用であり、ロボット工学的な補助によるシステム及び手順で特に有益である。システムの構成又はプロセス中の特定のステップの使用に言及する場合の副詞「自動的に(automatically)」は、このようなステップが自律的に、すなわち実時間での手動的な補助なく実現されることを意味する。
【0019】
本明細書中で用いられる用語「ツール(tool)」又は「採取ツール(harvesting tool)」は、体表から毛嚢ユニット(FU)を除去又は採取することができる任意の多数のツール又はエンドエフェクタのことである。体表は毛髪を有する領域であるか、身体に所属させることができるか、あるいは身体から脱離される皮膚又は体組織の組織弁であってもよいことは理解されよう。このようなツールは多くの異なる形状及び構成を有していてもよい。多くの実施形態においては、ツールは中空の管状シャフトを具え、ひいては例えば、カニューレ、針、又は穿孔器と標識されてもよい。本明細書中で用いられる用語「連結される(coupled)」、「付着される(attached)」、又は「取付けられる(mounted)」は、1以上の介在する構成を介して直接的又は間接的に連結されるか、付着されるか、あるいは取付けられることを意味する。
【0020】
本発明の方法の実施形態はコンピュータソフトウェアを用いて実装してもよい。多様なプログラミング言語及びオペレーティングシステムは本発明を実装するのに用いてもよい。
【0021】
個々の毛嚢ユニットがFUE技術を用いて採取される手動式の毛髪採取手順は、各々の個々のFUが別個に体表から採取されるため、時間浪費型の手順である。部分自動式又は完全自動式の採取手順及びシステムを有していても、採取すべき次のFUを選択する際に、多様な選択決定をして実行するのに特定の時間が要求される。本発明の自動式選択システムは、手動式及び自動式の双方の手順において採取プロセスの効率を増加させるように設計され、例えばロボット式の毛髪採取手順において特に有用である。
【0022】
ロボット式毛髪移植システム及び方法は同一出願による米国特許出願第2007/0078466号公報(Bodduluriらの公報)に記載される。上述の出願は毛髪採取ツールが移動可能な(例えばロボット式の)アームで担持され、アームは、毛嚢ユニットが採取された後に毎回再配置されて、画像システムの誘導の下で採取すべき次の毛嚢ユニットに採取ツールを移動及び整列させることを説明している。当然ながら、移動可能なアームの各々のこのような移動、再配置及び再整列(ひいては、アームによって担持されるツール)は時間がかかり、全体として手順の帰還を増加させる。従って、一方のFUから別のFUへのアーム(及びツール)の移動及び再配向が最小化される有効な計画を設計することが非常に所望される。
【0023】
毛髪の毛嚢を採取する場合、採取すべき毛嚢ユニットに採取ツールを整列させることが所望される。毛嚢ユニットに対する針の整列が良好になるにつれて、毛髪切断の確率が少なくなり、従って、針と毛嚢ユニットとの間のほぼ完全な整列を目指す(例えば、互いに平行か、あるいは特定の所望される小さな角度の各々の軸を有する)ことが理想である。この目的を実現するために、1の可能な用いるべき手段又はストラテジーは前に採取されたFUの方向と最も密接に合致する方向の候補のFUの集団の中にあるFUを選択すべきである。この方法においては、ツールを担持するロボットアームの全体的な移動は最小化され、更には整列の時間が最小化され、結果的に全体的な処理時間が低減される。更に別の代替的な可能性は、単純に針やカニューレといった採取ツールの現在の位置に最も近いFUを選択することである。
【0024】
採取ツールの移動の距離の単なる考慮事項に加えて、手順全体のスループットは更に、画像処理の効率や採取された毛嚢ユニットの品質といった、考慮されうる多様な更なる因子に依存する。例えば、採取の可能性のあるFUの候補は、一般的には距離/タイミングの観点から非常に良好な候補として示唆される直近の採取部位に非常に近くてもよい。しかしながら、その領域での直近の採取のためにそのいずれかの周りに過剰な出血がある場合に、過剰な量の血液が関連する画像処理を混乱させる高いリスクを冒すため、この領域を避けることが結果的に好ましい。同様に、以前の採取部位に近く都合のよい位置にあるが、可能な候補の毛嚢ユニットが、候補のFUを採取することによって隣接するFUが損傷又は切除されうるほど別の毛嚢ユニットに非常に近くなりうる。更に、将来的に可能な更なる採取手順又は瘢痕を低減するニーズといった臨床上の関心のために、最も近くにある毛嚢ユニットは所望されない。従って、このような候補のFUは、原則的に好適な以前の採取部位に対する近接性にもかかわらず、回避(除外)されなければならない。
【0025】
患者の変動性ならびに手順及び可能な将来に予測される追跡手順に影響を与える多数の因子のために、最良のストラテジーは異なるフィルタ(filter)及び手段(policy)の組合せに関与しうることが留意されよう。例えば、本方法は、採取に利用可能な毛嚢ユニットを選別するための1又は数個の主要手段を具えてもよく、加えて、候補のFUの集団は更に1又は数個の判断基準によって選別してもよい。例えば、頭皮の血液部分に近接近するFUは選別してもよい。残余のFUは現行の針の位置に近いFUを選択する手段を介して選別してもよく、その方向は直近に採取したFUに合致する。当該技術分野の当業者によって理解されるように、手段はフィルタとして設定及び/又は記述してもよい。しかしながら、どのように称されるかに拘わらず、手段が採取のために1以上の毛嚢ユニットを選択することに関連する場合には、本発明の範囲内にあるべきであり、ある手段であると見なされる。システムは実行時に構成可能であり、フィルタ及び手段の各々が臨床上の状況に応じて励起又は停止されうることは留意すべきである。
【0026】
図1は、本発明の自動型毛嚢ユニット選択プロセスの実施例のブロック線図である。最初にステップ100では、採取用の候補の毛嚢ユニットの溜部が同定される。例えば、前もって、あるいは選択プロセスの一部として、のいずれかで、毛嚢ユニットを含む表面の1以上の画像から同定してもよい。ステップ110では、溜部からの毛嚢ユニットは1または数個の手段によって自動的に選別される。1の手段のみであってもよく、代替的に数個の異なる所定の手段であってもよく、いくつかは手順の速度を改良するように設計してもよく、いくつかは以下により詳細に述べるように効率、毛髪処理の低減、及び多様な更なる目的に関連づけてもよい。ステップ120では、次に採取すべき特定の毛嚢ユニットは、上の、あるいは他の更なる手段により最も都合よく利用可能な毛嚢ユニットのうちの1つとして自動的に選択される。ブロック130は破線によって図示され、一般的形態においては本方法に対する任意のステップである。ステップ130では、いくつかの判断基準に基づく毛嚢ユニットの自動選別が行われ、例えば1以上の判断基準に合致しない毛嚢ユニットは候補のFUの溜部から自動的に選別される。選別は例えば:所定のパラメータ又は判断基準の内外にある特定の毛髪を排除することによって「消極的(negatively)」に;あるいは所定のパラメータ又は判断基準の内外のいずれかにある毛髪のみを含むことによって「積極的(positively)」に;のいずれかでなされうることに留意すべきである。これらのアプローチのいずれかは本発明によって熟慮され、ひいては、特定の判断基準によって毛嚢ユニットを破棄することによる選別に関する、本記載における、及び/又は特許請求の範囲における任意の引用は、特定の判断基準の外側又は逆位で毛嚢ユニットを保持することによって選別するステップを自動的に具える。多くの多様なフィルタは、以下によって詳細に記載されるように各々の状況の特異性に依存して用いられうる。
【0027】
図2では、ディジタル画像の印刷物が視野(FOV)を離れうるFUを選別することによって、対象の領域を選択する実施例を示す。より特異的には図2に示すように、FOVの縁部に非常に近いFU10、12、及び14は、患者の移動が原因でこれらのFUがFOVを離れることにより破棄される可能性が十分にあるため、無視/選別される。図2においては、対象の領域(ROI)の選択は患者の移動の量により上下に調整されうることに留意されたい。この「ROIの選択(selection ROI)」のための一般的な数値は、画像フレームの領域全体の75%である。
【0028】
代替的な選別判断基準の別の実施例は、最小量の時間、例えば直前の所定の時間間隔で、画像プロセッサに登録されなかった毛嚢ユニットである。次の毛嚢ユニットが選択される領域に、近傍の創傷からの血液(別の毛嚢ユニットの以前の採取により生成される)が浸出している場合、多くの場合、少なくとも画像処理の一部分又は特定のフレームを破損させる。結果として、画像プロセッサにより連続して登録される毛嚢ユニットは「安定(stable)」であると見なされ、ひいては確実な採取に対する高い信頼度を提供する。従って、いくつかの状況においては、「不安定(not stable)」なFUを除去し、言い換えると、上に説明したような「安定」なFUを選別することが所望されうる。
【0029】
更に別の有用な選別判断基準又は手段は、採取用に所望されるか、あるいはそれとは反対に回避すべき特定の型の毛嚢ユニットである。例えば、毛嚢ユニットF1及びF2は一般的には非常に所望され、そのためフィルタはF3及び上述を無視するように設定され(「除外(don’t care)」型のフィルタ)るか、F1及びF2のみを選択するように設定されうる。同様に、最小の内径又は幅(一般的には少なくとも75um)に及ばない毛髪を除外するフィルタは、小型化又は小束化したFUを回避するのに有用である。「小束化(wispy)」した毛髪は標準値未満の内径によって特徴づけられ、切除される場合に問題がある。更に小束化した毛髪はつねに変化しかつ多忙な場面中に見失う傾向が大きいため、より大きな画像処理の問題を有する傾向にある。
【0030】
選別する判断基準のいくつかの更なる実施例を以下に列挙する。多くの場合において、頭皮表面に対しFUを強調する手段を測定することは、FUに対する採取ツールの方向付けにおいて主要な因子である。この測定がノイズが多くなりうる特定のケースが存在する(例えば、血液、又は明色又は白色の毛髪による画像ノイズが原因)。結果として、特定の方向付けの安定性判断基準に合致しないFUを選別することが所望されうる。他の場合においては、選別判断基準は一方のFUが他方のFUに非常に近いかどうかである。「非常に近い(too close)」は採取用の針の直径の機能であってもよい。2のFUが互いに十分に近い場合、一方の抽出は近傍の切除を生じさせる可能性が非常に高い。これは最良に回避すべき状況であり、ひいては対応するフィルタ/手段は実装されうる。
【0031】
いくつかのFUは複雑な形状を有し、採取ツールで整列中に問題を生じさせうるFUを示す。整列が良好になると、より精密なFUの抽出及びFU切除率の低減を引き起こす。それに照らして、複雑な形状及び構成を有するFUよりも「単純(simple)」なF1又はF2が好適となりうる。「単純(simple)」は単純な形状を有するFUのことである。例えば、「V」字形状はF2形状の中では相当に単純であると見なされる。図3は、4つの各々の断片化されたFU(図の上段)と、その対応する「骨格(skeleton)」(下段)を示す。骨格又は「骨格化(skeletonization)」を生成するステップは断片化した画像における表面領域を、画像の元の領域の範囲及び結合性を主として保持する骨格のレムナントに低減する一方、元の表面の画素の多くを破棄するプロセスである。この表面領域の低減は対象が画像化される一般的形状に影響を与えることなく、可能な限り多くの画素のパターンを脱離させることによって生じる。断片化された画像の骨格をコンピュータ処理する様々な方法が存在する。1の例示的なアプローチは細線化アプローチであり、それ以上の細線化が不可能となるまで、境界部から画素を連続的に除去する一方、線分の終点を保存する(その時点で残ったものが骨格である)。図3に示されるように、断片化された画像(d)は、未切除の毛髪がF2の一部を閉塞するために「循環(cycle)」を含む骨格のF2である。断片化されたFU画像から得られる循環及びその他のノイズを有する骨格形状によって、FUの主軸を識別することが困難になり、FUに対するツールの整列を妨害する。従って、直線若しくは曲線、V字形状、又は逆V字形状のうちの1つの形態ではないFUを除外することが所望されうる。本発明のある実施形態の一実施例においては、骨格をまず剪定(枝部(twig)を除去)し、次いでFUを「単純(simple)」及び「複雑(complex)」という容器に貯蔵部(bin)に分類することによって得られる。
【0032】
本発明の選択方法で熟慮される更なる選別判断基準又は手段は、頭皮のような体表の血液領域又は創傷領域の非常に近くにあるか、あるいはその中にあるFUである。このことは一般的には問題となるFUが直近の採取部位に非常に近いことを意味する。切除率を最小化するために、採取部位の所定の密度を維持することが所望され、この密度は採取する穿孔径に密に関連する。従って、画像処理を通して以前の採取部位を同定することによって、ドナー領域内に均一にFUを延在させることが可能となる。更に、血液は画像処理の測定に混入する傾向があり、そのため、血液に非常に近い毛髪を排除する多くの多様な理由が存在する。図4は、画像化された頭皮のどの部分が回避すべき血液領域であるかを本発明の画像処理システムがどのようにして確認するかの一実施例を示す血液領域の検出及び近接性検査のブロック線図の実施例である。図4に示されるような例示的なプロセスでは、ステップ200で、白色光を用いた対象の領域又はFOVの1以上の画像が撮影され、血液を強調している(過剰なグレア及び反射によって毛髪を犠牲にする)。この「白色の閃光(white flash)」の刺激は図5A及び5Bに記載され、血液は赤色光よりも白色光の下で更に明確になる。更に、赤色光を用いた対象の領域又はFOVの1以上の画像は図5Aに示されるように、毛嚢ユニットを強調するために撮影される。当然ながら、白色光及び赤色光を用いて写真を撮る順番は重要ではない。ステップ210では、ステップ200で撮影された画像が処理される。赤色光の下で撮影された画像は、例えば同一出願人による同時係属中の公開された出願である国際公開第2008/024954号及び国際公開第2008/024955号に記載のFUの計数及び分類技術によって処理してもよい。白色光の下で撮影された画像の処理は例えば、(当該技術分野で周知のような)多様な断片化技術及びステップを具えてもよく、例であり限定しないが、閾値化の固定と、その後の事後処理のバイナリ除去(binary erosion)を含む。ステップ220では、血液を含む領域が決定され、例えば血液領域のリストを生成してもよい。同時に、毛嚢ユニットを含む画像の処理の結果として、FOVの対象の同一領域内の毛嚢ユニットのリストを同様に生成してもよい。ステップ230では、近接性検査が行われる。候補のFUの溜部から、「血液領域(blood region)」に対して非常に近くなる(一般的には10画素数以内)ことが見出される毛髪が選択プロセスから除外される。更にこの選別は、血液領域から特定の画素の範囲内にある毛髪を除外することによって「消極的」に;あるいは、上述の範囲外にある毛髪のみを含むことによって「積極的」に;のいずれかで為すことができる。近接性検査を通過するFUのみが、採取されるか、更に用いられうる、更なる手段及び選択判断基準の下での採取において考慮される。
【0033】
「白色閃光」画像において血液が行き渡っている場合に測定可能な機構の一実施例は分散フィルタを介するものである。図6は分散フィルタを用いたこのような血液検出の実施例を示す。図6で示されうるように、血液領域は組織がわずか、ないし無い(画像の分散が小さい)ことによって特徴づけられる一方、頭皮のような体表の画像化部分の血液のない領域は比較的大きな量の組織(分散が大きい)を含んでいる。更に、「白色閃光」の画像と標準的な赤色光の領域の画像との間にいくつかの遅延がある(例えば、約3分の2秒程度になりうる)ため、患者は短時間移動できる。従って、測定の精度を増加させるために、赤色光の領域の画像に対する白色閃光画像を登録することが推奨される。
【0034】
図7は、本発明による選択方法で用いられうる更なる選別判断基準を示す。時には、2の異なる視野(例えば、立体カメラが用いられる場合の左右のカメラ)における対象の画像は同様に現れない。このような状況の一実施例は図7に示され、2の別個のFUは立体の対となる1の画像において簡単に同定でき(この場合においては、左の画像)、対応する他の立体画像においては2の断片化されたFU画像が単一の対象に変形される。このシナリオは一般的には、毛髪が2ないし3mmより長くなりうる頭皮の高密度領域に生じ、ツールの有効な地点(にいてはカメラ軸)と画像ノイズとの組合せによって、FUが左右双方の立体像で完全な分離で画像化されるのを防ぐ。一般的にはより進歩した画像システムはFUを「仮想分割すること(virtually splitting)」を可能にし、互いに変形されるが、このような毛髪の追跡は左右のカメラからの非対称な視野のため更に厄介であり、問題となりうる。結果、毛髪採取のプロセスを単純化し高速にするために、同時に(何らかの複雑な形状を有する)これらのFUを除外するのを選択し、更に単純な形状を採取することを選んでもよい。当該技術分野の当業者によって理解されるように、多くの他の選別判断基準が本発明の方法で実装されうる。これらの様々な判断基準は各々の採取の場合における特定のニーズ及び条件によって、別個、あるいは多数の組合せで用いてもよい。以前に述べたように、選別判断基準のいずれも、所望のように「励起(on)」又は「停止(off)」してもよい。
【0035】
図1に戻って、FUフィルタが適用された後で、採取用の特定の数を選択できる選別された候補のFUの集合が残る。この選択ブロックは手段のうちの1以上に基づいて候補を選別することによってこのタスクを実現する。本発明の方法において選択できる多数の異なる手段がある。いくつかの状況においては、1の手段(N=1)のみを選択してもよく、他の状況においては複数の手段(N>1)であってもよい。手段が「励起」又は「停止」されうる場合、活性状態の手段(「励起」状態のもの)のみが後に続けられる。以下に、いくつかの有用な手段の限定しない実施例が列挙される。
【0036】
速度を改善し、手順の時間を低減するために、忠実に候補のFUと採取ツールの位置との間の距離に基づく手段を選択できる。言い換えると、その手段は採取ツール(針、カニューレ、穿孔器、及びその他の好適なツールにできる)の先端部に最も近いFUを選択すべきである。別の代替的な手段は、システムが直前に採取されたFUの方向に最も密に合致する方向のFUを選択すべく、ツールをFUと整列させるのに必要な調整量に基づいてもよい。このように、プロセス全体を促進するツールの方向は、変える必要がない。上に提供される代表的な手段はシステムのスループットを最大化することのみに基づいているが、他の考慮事項によって、同様に手段の選択を管理してもよい。例えば、その手段は採取された毛髪の品質を改善することに基づいてもよく、切除率と同様の考慮事項とを低減してもよい。このような手段の一実施例は、候補の溜部の中で最も大きい頭皮又は他の関連する体表から離れた出現角のFUの選択である。この手段の前提は、対象点のFUが表面に沿ってあるか、あるいは非常に小さな出現角を有するのではなく、体表に対して垂直である場合に、切除率が最も小さいことが知られているということである。針又は他の採取ツールは通常は、問題となるFUが平らである場合に、頭皮にわたってスキップ又はスライドされる傾向があり、ひいては上述の手段は、大きな出現角を有するFUを採取する場合に、正確なツールの整列及び操作の機会を増加させる。
【0037】
本発明のいくつかの実施形態においては、上述の手段の3つの実施例のうちのいずれかの組合せ、又はその他の手段を選択してもよい。これは、各々の手段に対し特定の重みを割り当てて、次いで変数の加重和として候補のFUを評価することによって実現される。特定の手段は考察しないように例えば0の重みを割り当ててもよいことは留意されよう。総ての3の上述の手段が考慮される場合、この実施例においては各々の考慮されるFUの評価は以下のように決定される。
FUの評価=α*針に対する距離+β*前のFUの方向との差Δ(デルタ)+γ*出現角
ここで、α、β、及びγは各々の手段に割り当てられる重み(weight)である。
【0038】
自動化が多数のFUで行われる場合、体表の多様な位置の複数の画像が撮影され、複数の視野に含まれ、候補のFUの上位集合が生成されうる。この上位集合は次いで図1のブロック100で入力「候補のFU」として用いられ、次のプロセスは単一のFOVのみが用いられたかのように、図1によって記載されたものと同様になる。
【0039】
本発明の別の態様によると、毛嚢ユニットの採取の順番を選択する方法は、同一患者に要求されうる将来の毛髪採取手順の任意の可能性のために前もって計画を立てるように設計される別の手段に基づく。特定の個体がその寿命の間にいくつかの毛髪移植手段を要求することが決定される。いくつかの状況においては、毛髪を失い続け、特定年数後に繰り返すのを必要とするために、更なる手順が必要となりうる。いくつかの場合においては、特定の期間にわたって拡げられる複数の手段は医者及び患者によって前もって計画される。更なる毛髪は同一の通常の領域から採取する必要がある将来の手順を考慮して、良好な審美的結果のために、最初の手順の時に採取された毛嚢ユニットの間隔を開ける(space out)ことが所望されうる。このように、より多くの毛髪が後の次の手順の間に採取される場合に、ドナー領域はそれでも十分、均一、及び自然に見える。この手段の前の前提は、現行の手順での所望の収量を考察する一方、任意の将来の手順の認識を残すことである。
【0040】
図8AないしCでは、手段を計画する複数の手順に基づく本発明の方法の実施例が記載される。上述の問題を解決するために、例えばその手段は、所定の候補の毛嚢ユニットの溜部において毛嚢ユニットをN番目おきにスキップすることでありうる。図8Aは頭皮といったドナー領域上の「スキップ手段(skip policy)」を示す。ここでN=1である。言い換えると、総ての他の毛嚢ユニットは採取用に選択されている。円形が付されたFUは所定の髪際領域における総ての他のFUの選択を示す。図8Aの実施例においては、線形性の髪際領域1、2、及び3である。図8Aから示されるように、採取されるFUの全数は9つである。この実施例においては、最初の手順が完了した後で、選択された髪際領域における総ての他のFUが採取される。この手段は顕著な更なる採取が同一の髪際領域で予想されない場合に機能する。
【0041】
将来的に同一のゾーン又は領域から毛髪を除去する必要がある場合、残りのFU間に大きな間隙を提供するように各々の採取されたFU間で、複数のFUをスキップすることが得策である。図8Bは医者が同一ドナー領域での将来の手順を考慮し、代わりにN=2でこの手段を調整するように選択される。結果として、総ての2のFUは、採取のために選択されるFUの数が図8Aの9つの代わりに7つとなるようにスキップされる。図8A又はBの実施例においては、FUの空間群は線形性の形態、及び髪際領域1、2、及び3に対して同一方向で行われたが、本発明はこのような線形性の端方向性の選択に限定されない。例えば、毛嚢ユニットのスキップパターンは、1以上の多様な計画テンプレートから選択してもよい。いくつかの例示的なスキップパターンは、髪際部における毛嚢をN番目おきに選択する単方向性及び線形性の一方及び双方のテンプレートを含んでもよい。しかしながら、複数方向及び非線形性の選択を用いたこの手段の適応を避けるものではなく、図8Cの実施例によって示されるように、3の例示的な方向x、y、及びzに沿って他の群、例えばパッチやクラスタを含んでもよい。
【0042】
本明細書中に記載のように採取のために毛嚢ユニットを選択するシステム及び方法のいずれかは、Bodduluriらの刊行物に記載のものと同様の毛髪採取及び移植用のロボットシステムと協働して用いることができる。例えば、Bodduluriらの刊行物に記載のシステムはプログラムされ、本発明による毛嚢ユニットを選択する方法を行うように構成してもよい。図9は毛髪採取(及び選択的に移植)のためのロボットシステム20の1のこのような実施例の概略的な斜視図である。システム20はロボットアーム22と、例えばロボットアームの下向きチューブ26での回転用に取り付けられるアセンブリ24とを具える。多様な矢印がシステム20の移動性能を示すために図示される。多様なモータ及び他の移動装置がアセンブリ24に組み込まれて、複数方向におけるツール28の操作先端部の精密な移動を可能にする。例示的なロボットシステム20は更に少なくとも1の画像収集装置29を含み、以下に詳細に記載される。画像収集装置は固定位置に取り付けられてもよく、あるいはロボットアーム又は他の制御可能な動作装置に(直接的又は間接的に)連結されてもよい。ツール28の動作先端部は体表30の上方に配置されるように示され、この場合においては、患者の頭皮の一部はその上に毛髪の毛嚢を有する。ツール28は体表30から毛嚢ユニットを除去するのに有用な任意の数の採取ツールである。
【0043】
図9のプロセッサ32は、画像収集装置29から取得される処理画像のための画像プロセッサを具える。プロセッサ32は更に、採取ツールを含むロボットアーム22及びアセンブリ24の多様な移動装置に命令してもよく、例えば図9に概略的に示されるようなロボット制御34を介して動作する。ロボット制御34はロボットアームに動作可能に連結し、ロボットアームの動作を制御するように構成してもよく、画像収集装置によって取得される画像又はデータに基づく動作を含む。代替的に、ロボット制御34はプロセッサ32の一部として組み込まれてもよく、採取ツールを含む総てのツール、ロボットアーム、及び画像収集装置によって取得される画像又はデータに基づくものを含むアセンブリのその他の移動可能な部分の総ての移動の総ての処理及び制御は1つの場所に集中させる。システム20は更に、モニタ35、キーボード36、及びマウス38を具えてもよい。体表30の拡大画像はモニタ35で見ることができる。更には、システムはFUの採取及び/又は移植に、あるいは毛髪処理計画に有用な他のツール、装置、及び部品を具えてもよい。
【0044】
図9に示されるいくつかの限定されない画像収集装置29の実施例は、任意の商業上入手可能なカメラといった1以上のカメラを含む。画像収集装置は更に画像を撮影することができ、あるいは映像記録装置(カメラレコーダといった)又はその他の画像収集装置にできる。立体又は多視点画像装置は本発明で非常に有用であるが、このような形状又は構成を用いる必要はなく、本発明は限定されない。同様に画像収集装置はディジタル装置であることが好ましいが、必要ではない。例えば、画像収集装置は、本発明の方法での更なる使用のために、(例えば、商用の市販品のフレームグラッバのようなアナログディジタル式の装置を介して)ディジタル画像に処理される初期画像を取得するアナログTVカメラであってもよい。画像収集装置は処理システムに連結してもよく、プロセッサ32に組み込まれて図9に示されて、画像処理動作及び処理画像データを制御してもよい。本発明で用いられる画像プロセッサは、本発明による採取用のFUを選択する方法を行うように、プログラミング及び構成される任意の好適な装置を具えてもよい。ある実施形態の一実施例においては、FUを選択するための画像プロセッサは、画像収集装置から取得される1以上の画像において採取用の候補の毛嚢ユニットの溜部を同定し;1以上の手段(毛髪採取の速度、品質、又は効率を改善するように設計されるような)に基づいて候補の毛嚢ユニットの溜部におけるFUを自動的に選別し;次に採取すべき特定の毛嚢ユニットを自動的に選択するように構成され、選択された毛嚢ユニットは少なくとも1以上の手段に基づく最も都合よく利用可能な毛嚢ユニットのうちの1つである。
【0045】
例によるもので限定されないが、好適な画像プロセッサは、1以上のプロセッサを具えるディジタル処理システム又は他の型の装置であってもよい。例えば、画像プロセッサはコントローラ又は任意の型のパーソナルコンピュータ(PC)であってもよい。代替的に、画像プロセッサは特定用途向け集積回路(ASIC)、又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を具えてもよい。画像プロセッサは更に、メモリ、ストレージデバイス、及び当該分野に公知の他の部品を具えてもよく、ひいてはここには詳細には説明する必要はないであろう。
【0046】
毛嚢ユニットを選択するための画像プロセッサは、多様な手動式、部分自動式、及び完全自動式(ロボット式を含む)の毛髪移植及び処理システム及び装置と協働して用いられ、限定しないが毛髪採取又は毛髪移植用のシステムを含む。同様に本発明の画像プロセッサは、毛髪分類システムで、あるいは毛髪処理計画システムで用いることができよう。
【0047】
本発明の別の態様によると、自動式の毛嚢ユニットの選択は更に、毛髪採取用のいくつかの手持ち式のツールを用いて医者によって行われる手順で実装してもよい。1のこのような実装が図10で実施例として示される。この実施形態においては、医者は手持ち式の採取ツール44を用い、かつ高倍率のルーペを有する一般的な眼鏡50を着用して、患者で手動で手術を行っている。1以上のカメラといった画像収集装置52は眼鏡に取付けられてもよい。1以上のカメラは、眼鏡に取り付けられたときに、カメラが撮像するものを医者が正確に見ることが可能なように、ビューファインダを有してもよい。代替的に、カメラ52’は医者が毛髪採取のために用いている手持ち式の器具又はツールに取付けてもよい。いくつかの更なる実施形態においては、スタンドアロン型の画像収集装置であってもよい。図10は、ツール44上に符号52(眼鏡上)及び52’として、画像収集装置の代替的な実施例のうちの2つを示す。コンピュータ42といった画像プロセッサは、本発明の選択方法を実行し、かつ情景分析を実行でき、特定の手段及び/又はフィルタに基づいた毛嚢ユニットの強調を含む。モニタ40は強調された1以上の毛嚢ユニット、ならびに正確な毛髪の計数、おおよその密度、毛嚢ユニットの種類等といった、他の有用なデータ/統計値を表示する。モニタに表示された情報によって誘導されるように、医者は採取用の次の毛嚢ユニットを選択できる。
【0048】
当該技術分野の当業者によって理解されるように、本発明の方法は少なくとも部分的にはソフトウェアで具現化し、コンピュータシステム又は他のデータ処理システムで実行してもよい。従って、いくつかの例示的な実施形態においては、ハードウェアは本発明を実装するためにソフトウェア命令と組合わせて用いてもよい。例えば、本発明の製造の技術物品は、機械によってアクセスされた場合に:画像収集装置から取得される1以上の画像における採取用の候補の毛嚢ユニットの溜部を同定し;毛髪採取の速度、品質及び効率のうちの1以上を改善するように設計される1以上の手段に基づいて、候補の毛嚢ユニットの溜部における毛嚢ユニットを自動的に選別し;次に採取すべき特定の毛嚢ユニットを自動的に選択する;といった動作を機械に実行させるデータを含む、機械でアクセス可能な媒体を含んでもよく、選択された毛嚢ユニットは、少なくとも1以上の更なる手段に基づく最も都合よく利用可能な毛嚢ユニットのうちの1つである。
【0049】
機械で読取可能な媒体はシステムが本発明の方法を行うべくソフトウェア及びデータを保存するのに用いてもよい。上述の機械で読取可能な媒体は、処理装置、例えばコンピュータによってアクセス可能な形態で、情報を保存及び伝達することが可能な好適な媒体を含んでもよい。機械で読取可能な媒体は限定しないが、磁気ディスク記憶装置、フラッシュメモリデバイス、光学記憶装置、ランダムアクセスメモリ等を含む。
【0050】
本発明の前述の例示及び記載した実施形態は多様な変更及び代替的な形態を受けやすく、本発明は一般的には、本明細書中に記載の特定の実施形態と同様に、開示された特定の形態又は実施形態に限定されず、逆に添付の特許請求の範囲にある変形物、等価物、及び代替物の総てをカバーすることは理解すべきである。限定しない実施例によって、1の図面又は実施形態によって記載された特定の特性又は特徴は、別の図面又は実施形態によって記載された特定の特性又は特徴と好適に連結できる。同様に、本発明はロボットアームを含むロボットシステムの使用に限定されず、他の自動式及び半自動式のシステムが利用可能である。更に、本発明の採取用の毛嚢ユニットを選択するシステム及び方法は別個の自動式の移植システムに沿って、あるいは手動式の移植手順で用いる別個のシステムであってもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛嚢ユニットを採取する順番を選択する方法であって、
毛髪採取の速度、品質及び効率のうちの1以上を改善するように設計される1以上の手段に基づいて、採取用の候補の毛嚢ユニットの溜部を自動的に選別するステップと;
自動的に選別された中から、次に採取すべき特定の毛嚢ユニットを自動的に選択するステップと;
を具え、選択された毛嚢ユニットが、1以上の更なる手段によって最も都合よく利用可能な毛嚢ユニットのうちの1つであることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法が、所定の判断基準に基づいて毛嚢ユニットを自動的に選別するステップを更に具えることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、前記特定の毛嚢ユニットを自動的に選択するステップが複数のフィルタ及び手段の組合せに基づいていることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の方法が、毛嚢ユニットを含む表面の1以上の画像における前記採取用の候補の毛嚢ユニットの溜部を同定するステップを更に具え、自動的に選別するステップが直前の所定の時間間隔において前記1以上の画像に連続して現れる毛嚢ユニットのみを保持するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の方法が、前記選択された毛嚢ユニットを採取するステップを更に具えることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれかに記載の方法において、自動的に選別及び選択するステップが連続的に反復されることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の方法において、前記1以上の手段又は前記1以上の更なる手段が、
1)別の毛嚢ユニット、前記画像の視野の縁部、及び血液を含む位置のうちの1以上を具える要素に対し特定の最小距離内に配置される毛嚢ユニットを破棄するステップ;あるいは、
2)別の毛嚢ユニット、前記画像の視野の縁部、及び血液を含む位置のうちの1以上を具える要素に対し特定の最小距離外に配置される毛嚢ユニットを保持するステップ;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法において、前記血液を含む位置が分散フィルタを用いて決定されることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載の方法において、前記1以上の手段若しくは前記1以上の更なる手段、又は選別するステップが、
1)所定の幅未満の毛嚢ユニットを破棄するステップ;あるいは、
2)所定の幅以上の毛嚢ユニットを保持するステップ;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかに記載の方法において、前記1以上の手段若しくは前記1以上の更なる手段、又は選別するステップが、
1)所望される所定の判断基準に合致しない毛嚢ユニットを破棄するステップ;あるいは、
2)毛嚢ユニットにおける毛髪の数に基づいて、所望される所定の判断基準に合致する毛嚢ユニットを保持するステップ;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれかに記載の方法において、前記1以上の手段若しくは前記1以上の更なる手段、又は選別するステップが、複雑な形状を有するFUを破棄するステップ、あるいは単純な形状を有するFUを保持するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれかに記載の方法において、毛嚢ユニットを自動的に選択するステップが、毛嚢ユニットの種類、採取ツールに対する毛嚢ユニットの距離、前記採取ツールの方向に対する毛嚢ユニットの方向、体表からの毛嚢ユニットの出現角、及び毛嚢ユニットの形状の単純性のうちの1以上を含む変数の加重和に基づいて、毛嚢ユニットを評価するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項1ないし12のいずれかに記載の方法において、毛嚢ユニットを自動的に選別するステップが、前記候補の毛嚢ユニットの溜部における毛嚢ユニットをN番目おきにスキップするステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法が、1以上の計画テンプレートから選択されるスキップパターンを具えることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法において、スキップパターンが髪際部における毛嚢をN番目おきに選択し、単方向性及び線形性のうちの一方及び双方を有するテンプレートを具えることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項14に記載の方法において、前記スキップパターンが毛嚢ユニットのパッチ又はクラスタにおける毛嚢をN番目おきに選択する多方向性のテンプレートを具えることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項1ないし16のいずれかに記載の方法が、採取すべきFUの前記選択に次いで、ロボット式毛髪移植システムのロボットアームを、当該ロボットアームに動作可能に連結される毛髪採取ツールを配置するよう操作するステップを更に具えることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項3に記載の方法において、前記フィルタ及び手段の組合せが表面上の血液に対する近接性を具え、選択すべき毛嚢ユニットが、毛髪採取ツールに対し最小距離内に配置される毛嚢ユニット、及び現行の選択の直前に採取された毛嚢ユニットの方向と合致する方向の毛嚢ユニットのうちの1以上を具えることを特徴とする方法。
【請求項19】
採取用の毛嚢ユニットを選択するためのシステムであって、
画像プロセッサであって、
画像収集装置から取得される1以上の画像における採取用の候補の毛嚢ユニットの溜部を同定し;
1以上の手段に基づいて採取用の候補の毛嚢ユニットの溜部を自動的に選別し;
自動的に選別された中から、次に採取すべき特定の毛嚢ユニットを自動的に選択する;
ように構成される画像プロセッサ;
を具え、選択された毛嚢ユニットが、1以上の更なる手段によって最も都合よく利用可能な毛嚢ユニットのうちの1つであることを特徴とするシステム。
【請求項20】
請求項19に記載のシステムが画像収集装置を更に具え、当該画像収集装置が少なくとも1のカメラを具えることを特徴とするシステム。
【請求項21】
請求項19に記載のシステムにおいて、前記画像プロセッサがパーソナルコンピュータであることを特徴とするシステム。
【請求項22】
請求項19に記載のシステムにおいて、当該システムがロボットシステムであり、当該システムがロボットアームを更に具えることを特徴とするシステム。
【請求項1】
毛嚢ユニットを採取する順番を選択する方法であって、
毛髪採取の速度、品質及び効率のうちの1以上を改善するように設計される1以上の手段に基づいて、採取用の候補の毛嚢ユニットの溜部を自動的に選別するステップと;
自動的に選別された中から、次に採取すべき特定の毛嚢ユニットを自動的に選択するステップと;
を具え、選択された毛嚢ユニットが、1以上の更なる手段によって最も都合よく利用可能な毛嚢ユニットのうちの1つであることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法が、所定の判断基準に基づいて毛嚢ユニットを自動的に選別するステップを更に具えることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、前記特定の毛嚢ユニットを自動的に選択するステップが複数のフィルタ及び手段の組合せに基づいていることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の方法が、毛嚢ユニットを含む表面の1以上の画像における前記採取用の候補の毛嚢ユニットの溜部を同定するステップを更に具え、自動的に選別するステップが直前の所定の時間間隔において前記1以上の画像に連続して現れる毛嚢ユニットのみを保持するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の方法が、前記選択された毛嚢ユニットを採取するステップを更に具えることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1ないし4のいずれかに記載の方法において、自動的に選別及び選択するステップが連続的に反復されることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の方法において、前記1以上の手段又は前記1以上の更なる手段が、
1)別の毛嚢ユニット、前記画像の視野の縁部、及び血液を含む位置のうちの1以上を具える要素に対し特定の最小距離内に配置される毛嚢ユニットを破棄するステップ;あるいは、
2)別の毛嚢ユニット、前記画像の視野の縁部、及び血液を含む位置のうちの1以上を具える要素に対し特定の最小距離外に配置される毛嚢ユニットを保持するステップ;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法において、前記血液を含む位置が分散フィルタを用いて決定されることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載の方法において、前記1以上の手段若しくは前記1以上の更なる手段、又は選別するステップが、
1)所定の幅未満の毛嚢ユニットを破棄するステップ;あるいは、
2)所定の幅以上の毛嚢ユニットを保持するステップ;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかに記載の方法において、前記1以上の手段若しくは前記1以上の更なる手段、又は選別するステップが、
1)所望される所定の判断基準に合致しない毛嚢ユニットを破棄するステップ;あるいは、
2)毛嚢ユニットにおける毛髪の数に基づいて、所望される所定の判断基準に合致する毛嚢ユニットを保持するステップ;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれかに記載の方法において、前記1以上の手段若しくは前記1以上の更なる手段、又は選別するステップが、複雑な形状を有するFUを破棄するステップ、あるいは単純な形状を有するFUを保持するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれかに記載の方法において、毛嚢ユニットを自動的に選択するステップが、毛嚢ユニットの種類、採取ツールに対する毛嚢ユニットの距離、前記採取ツールの方向に対する毛嚢ユニットの方向、体表からの毛嚢ユニットの出現角、及び毛嚢ユニットの形状の単純性のうちの1以上を含む変数の加重和に基づいて、毛嚢ユニットを評価するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項1ないし12のいずれかに記載の方法において、毛嚢ユニットを自動的に選別するステップが、前記候補の毛嚢ユニットの溜部における毛嚢ユニットをN番目おきにスキップするステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法が、1以上の計画テンプレートから選択されるスキップパターンを具えることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法において、スキップパターンが髪際部における毛嚢をN番目おきに選択し、単方向性及び線形性のうちの一方及び双方を有するテンプレートを具えることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項14に記載の方法において、前記スキップパターンが毛嚢ユニットのパッチ又はクラスタにおける毛嚢をN番目おきに選択する多方向性のテンプレートを具えることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項1ないし16のいずれかに記載の方法が、採取すべきFUの前記選択に次いで、ロボット式毛髪移植システムのロボットアームを、当該ロボットアームに動作可能に連結される毛髪採取ツールを配置するよう操作するステップを更に具えることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項3に記載の方法において、前記フィルタ及び手段の組合せが表面上の血液に対する近接性を具え、選択すべき毛嚢ユニットが、毛髪採取ツールに対し最小距離内に配置される毛嚢ユニット、及び現行の選択の直前に採取された毛嚢ユニットの方向と合致する方向の毛嚢ユニットのうちの1以上を具えることを特徴とする方法。
【請求項19】
採取用の毛嚢ユニットを選択するためのシステムであって、
画像プロセッサであって、
画像収集装置から取得される1以上の画像における採取用の候補の毛嚢ユニットの溜部を同定し;
1以上の手段に基づいて採取用の候補の毛嚢ユニットの溜部を自動的に選別し;
自動的に選別された中から、次に採取すべき特定の毛嚢ユニットを自動的に選択する;
ように構成される画像プロセッサ;
を具え、選択された毛嚢ユニットが、1以上の更なる手段によって最も都合よく利用可能な毛嚢ユニットのうちの1つであることを特徴とするシステム。
【請求項20】
請求項19に記載のシステムが画像収集装置を更に具え、当該画像収集装置が少なくとも1のカメラを具えることを特徴とするシステム。
【請求項21】
請求項19に記載のシステムにおいて、前記画像プロセッサがパーソナルコンピュータであることを特徴とするシステム。
【請求項22】
請求項19に記載のシステムにおいて、当該システムがロボットシステムであり、当該システムがロボットアームを更に具えることを特徴とするシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9】
【図10】
【公表番号】特表2011−522601(P2011−522601A)
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−512533(P2011−512533)
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際出願番号】PCT/US2009/045500
【国際公開番号】WO2009/148922
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(510308779)レストレーション ロボティクス,インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】RESTORATION ROBOTICS,INC.
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際出願番号】PCT/US2009/045500
【国際公開番号】WO2009/148922
【国際公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【出願人】(510308779)レストレーション ロボティクス,インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】RESTORATION ROBOTICS,INC.
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]