説明

接点状態検出装置

【目的】 接点数に関係なく最小限の信号線で全ての接点のオン/オフ状態を検出することを目的とする。
【構成】 チェック信号発生回路5に接続した第1の信号線2に複数の接点11〜1n の一端を接続し、この接点11 〜1n の他端を第2の信号線3に接続する。第1の信号線2にはチェック信号発生回路5からのチェック信号を一定時間ずつ遅延して各接点11 〜1n に順番に供給する遅延回路41 〜4n-1 を縦続接続し、第2の信号線3に現われる各接点信号をCPU6に取り込んで各接点11 〜1n のオン/オフ状態を検出する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は多数の接点のオン/オフ状態を外部から検出するのに好適な接点状態検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、例えば、多関節アームにおける各関節部の伸びあるいは曲げを外部から電気的検出する方法としては、各関節部内に関節部曲げあるいは伸びに応じてオン/オフする接点(スイッチ)を設け、この各接点と信号処理システム間を各接点専用の信号線によりそれぞれ接続し、各接点のオン/オフ情報をそれぞれの信号線を通して信号処理システムで受信することにより、各接点のオン/オフ状態を検出することで行なっていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述のような従来の接点状態検出方式では、各接点毎に信号線を設ける必要があるため、接点数が増加すると、これに比例して信号線も増加し、配線束が太くなって多関節アームを重量化してしまうほか、多関節アームの動作に支障を来すおそれがあり、さらに、配線作業も繁雑になるという問題があった。本発明は上述のような事情に鑑みなされたもので、その目的とするところは、接点数の関係なく最小限(2本)の信号線で全ての接点のオン/オフ状態を検出することができる接点状態検出装置を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために本発明は、多数の接点の一端が接続される第1の信号線と、前記多数の接点の他端が接続される第2の信号線と、前記第1あるいは第2の信号線の一方の信号線に接点チェック用の信号を供給するチェック信号発生回路と、前記一方の信号線に縦続接続され、前記チェック信号発生回路からのチェック信号を一定時間ずつ遅延して前記各接点に順番に供給する前記接点数に対応する数の遅延回路と、前記第1および第2の信号線の他方の信号線に現われる前記接点のオン/オフ状態に応じた接点信号を取り込んで処理し接点のオン/オフ状態を検出する信号処理手段とを備えたことを特徴とする。
【0005】
【実施例】図1および図2により本発明の実施例について説明する。図1は本発明による接点状態検出装置の全体の構成図である。図1において、11 〜1n は、例えば多関節アームの各々の関節部内に設けられた曲げ検出用の接点である。この各接点11 〜1n の一端は、接点11 〜1nの配列方向に敷設した第1の信号線2に接続され、そして、各接点11 〜1n の他端は、接点11 〜1n の配列方向に敷設した第2の信号線3に接続されている。
【0006】また、第1の信号線2には、これに接続された接点11 〜1n の相隣接するそれぞれの接点間に位置して遅延回路41 〜4n-1 が直列に接続されている。この各遅延回路41 〜4n-1 は、ワンショットマルチバイブレータ等から構成されるもので、第1段目の遅延回路41 は、後述するチェック信号発生回路5からのチェック信号(パルス信号)によりトリガーされて所定時間後に、接点チェック信号(パルス信号)を発生する。第2段目以後の遅延回路42 〜4n-1 は、それぞれ前後の遅延回路から出力されるチェック信号によりトリガーされて所定時間後に接点チェック信号(パルス信号)を発生する。すなわち、第1の信号線2に遅延回路41 〜4n-1 を縦続接続することにより、チェック信号発生回路5から出力されるチェック信号を接点11 〜1n に対し一定時間間隔で順番に供給する。
【0007】チェック信号発生回路5のチェック信号発生間隔は、接点11 〜1n のオン/オフ状態を全てチェックするのに要する時間幅に相当し、このチェック信号発生回路5の出力端には第1の信号線2が接続されている。また、接点11 〜1n にチェック信号を供給することにより得られる接点のオンまたはオフ時の接点信号は第2の信号線3を通して後述するCPU(中央処理装置)6に取り込まれる。
【0008】CPU6は、検出装置全体を管理し制御するとともに接点のオン/オフ状態を検出処理するもので、マイクロコンピュータから構成される。このCPU6には、インタフェース7を介して第2の信号線3が接続されているとともに、チェック信号発生回路5およびクロック発生回路8が接続されている。クロック発生回路8は、チェック信号発生回路5のチェック信号および各遅延回路41 〜4n-1 から順番に出力されるチェック信号に同期したクロック信号を発生するもので、このクロック信号によって各接点11 〜1n の接点信号をCPU6に取り込むようになっている。
【0009】次に、上記のように構成された本実施例の動作を図2に示すタイミングチャートを参照して説明する。CPU6が接点の検出動作モードに設定されると、CPU6からチェック信号発生回路5に発振指令が出力され、これによりチェック信号発生回路5からチェック信号CSが送出される(図2(a)参照)。これと同時にクロック発生回路8も動作して、図2(b)に示すクロック信号CLKがCPU6に出力される。
【0010】チェック信号発生回路5からのチェック信号CSが第1の信号線2に出力されると、このチェック信号CSの立上りで1段目の遅延回路41 をトリガーし、一定時間ΔT後に該遅延回路41 から図2(c)に示すタイミングで接点チェック信号CS1 を出力する。一方、チェック信号CSは接点11 にも供給される。ここで、接点11 がオフ状態にあれば、第2の信号線3にはチェック信号CSが現われないので、接点11 の接点信号は図2(f)に示すように「L」レベルとなり、その接点信号Sはクロック発生回路8からのクロック信号CLKによってCPU6に取り込まれる。CPU6では、取り込んだ接点信号を処理することによって接点11 がオフ状態にあることを検出する。この検出結果はCPU6に内蔵した記憶装置または外部記憶装置(いずれも不図示)に記憶され保存される。
【0011】接点11 のオン/オフ状態の検出が終了した後、遅延回路41 からその時定数に応じて遅延されたチェック信号CS1 が出力されると、このチェック信号CS1 の立上りで2段目の遅延回路42 がトリガーされ、一定時間ΔT後に図2(d)に示すタイミングで接点チェック信号CS2 を出力する。また、遅延回路42 のチェック信号CS2 に対応する接点11 に供給される。ここで、接点12 がオンしていれば、第2の信号線3にはチェック信号CS2が現われるので、接点12 の信号は図2(g)に示すように「H」レベルとなり、その接点信号はクロック発生回路8のクロック信号CLKによってCPU6に取り込まれる。CPU6では、取り込んだ接点信号を処理することによって接点12 がオン状態にあることを検出する。
【0012】以下同様にして、3段目以下の遅延回路43 〜4n-1 が順番に遅延動作してチェック信号が出力される毎に、それぞれに対応する接点13 〜1n の接点信号を第2の信号線3を通してCPU6に順次取り込み、信号処理することによって接点13 〜1n のオン/オフ状態を検出する。
【0013】上述のような本実施例においては、接点チェック信号を遅延回路により一定時間ずっと遅延しながら各接点に順番に加えることで接点のオン/オフ状態を検出できるようにしたので、多数の接点があっても、これに要する信号線の数が2本で済む。その結果、信号線の配線に要するコストを大幅に低減できるほか、従来のような配線の繁雑性をなくすることができる。また、2本の信号線と接点数より1個少ない数の遅延回路との組合せにより構成できるから、遅延回路をIC化することにより、信号線を含む全体の重量が軽量化でき、低コスト化できる。
【0014】なお、本発明の適用範囲は、実施例に示す多関節アームに限らず、種々のものに利用できる。例えば、一定長さのリンク材を多数連結しこの各リンク結合部に接点を設けて山留めの変位分布を測定する測量条にも適用できる。また、本発明における接点は、機械的スイッチに限らず、光電式の接点、電子式の接点であってもよい。
【0015】
【発明の効果】以上説明したように本発明は、多数の接点の一端が接続される第1の信号線と、前記多数の接点の他端が接続される第2の信号線と、前記第1あるいは第2の信号線の一方の信号線に接点チェック用の信号を供給するチェック信号発生回路と、前記一方の信号線に縦続接続され、前記チェック信号発生回路からのチェック信号を一定時間ずつ遅延して前記各接点に順番に供給する前記接点数に対応する数の遅延回路と、前記第1および第2の信号線の他方の信号線に現われる前記接点のオン/オフ状態に応じた接点信号を取り込んで処理し接点のオン/オフ状態を検出する信号処理手段とから構成したので、接点数に関係なく最小限(2本)の信号線で全ての接点のオン/オフ状態を容易に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す全体の構成図である。
【図2】本実施例における動作説明用のタイミングチャートである。
【符号の説明】
1 〜1n 接点
2 第1の信号線
3 第2の信号線
1 〜4n-1 遅延回路
5 チェック信号発生回路
6 CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】 多数の接点の一端が接続される第1の信号線と、前記多数の接点の他端が接続される第2の信号線と、前記第1あるいは第2の信号線の一方の信号線に接点チェック用の信号を供給するチェック信号発生回路と、前記一方の信号線に縦続接続され、前記チェック信号発生回路からのチェック信号を一定時間ずつ遅延して前記各接点に順番に供給する前記接点数に対応する数の遅延回路と、前記第1および第2の信号線の他方の信号線に現われる前記接点のオン/オフ状態に応じた接点信号を取り込んで処理し接点のオン/オフ状態を検出する信号処理手段と、を備えたことを特徴とする接点状態検出装置。

【図1】
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【図2】
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