説明

接着剤塗布装置及びカートニングマシン

【課題】接着剤を安定して塗布することができる接着剤塗布装置及びカートニングマシンを提供する。
【解決手段】接着剤塗布装置80は、カートンCの外フラップCcfの内面側に接着剤を塗布する塗布ローラ81と、塗布ローラ81を回転させる回転軸82を保持する回転軸保持ケース83と、外フラップCcfを塗布ローラ81との間に挟むことにより充填孔81h内の接着剤が外フラップCcfに転写されるガイド85と、ガイド85を保持するガイド保持具84とを備える。ガイド85は、着脱時に作用する外力による変形が弾性変形の範囲となる曲げ剛性を有する。積重方向Qに延びたケース締結用部材挿通孔83j、84jにケース締結用部材86が挿通されることによりガイド保持具84に対する回転軸保持ケース83の位置が固定される。カートニングマシンは、カートンCを搬送するカートンコンベアと、カートンCに収容物Rを挿入する挿入装置とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は接着剤塗布装置及びカートニングマシンに関し、特に収容物が収容されたカートンを封止する際の接着剤を安定して塗布することができる接着剤塗布装置及びカートニングマシンに関する。
【背景技術】
【0002】
食品包装等に用いられる合成樹脂製のラップフィルムやアルミホイル等の長尺物は、巻回されたうえで紙製の直方体形状のカートンに収容されて販売されている。長尺物の巻回体を収容するカートンとして、長方形の底板と、底板の4辺に立設された前板、後板及び2枚の脇板とを有し、一面が開口された箱本体と、後板に回動可能に連接されて箱本体の開口を塞ぐ蓋板と、蓋板に対して直角に折り曲げられた掩蓋片及び掩蓋片の先端に連続して設けられて使用時に除去される切取片であって販売時は箱本体の前板を覆っている掩蓋片及び切取片とを備えるものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−280076号公報(段落0013−0023等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の巻回体が収容されたカートンは、カートニングマシンによって、脇板部分が開口したカートンに対して巻回体を開口から挿入した後に脇板部分を閉じて製造することができる。カートニングマシンでは、脇板部分が開口した筒状のカートンをカートンコンベアによって適宜間隔を空けて複数連続して搬送すると共に、カートンに収容される巻回体をカートンコンベアに並走する被収容物コンベアによって適宜間隔を空けて複数連続して搬送し、被収容物コンベアで搬送されている巻回体を挿入装置によってカートンに挿入した後、脇板部分を閉じることで、製品とすることができる。脇板部分を閉じる前には、脇板部分の最外面を形成する外フラップの内面側に接着剤を塗布して、脇板部分を封止する。接着剤を塗布する際、カートンはカートンコンベアに搬送されて動いているので、円柱状の側面に接着剤の充填孔が形成されて回転軸まわりに回転する塗布ローラと、ガイドとの間に、移動している外フラップを通過させることで、接着剤が塗布される。
【0005】
上述のガイドは、塗布ローラのメンテナンスのために、着脱可能に構成される。外フラップの厚さの変更に対応できるように、塗布ローラとガイドとの隙間の間隔を可変にするため、ガイドにはボルトを挿通する長孔が、塗布ローラとガイドとが並ぶ方向(鉛直方向)に長く形成されていた。しかしながら、長孔で隙間の間隔を調節しようとすると、メンテナンスのたびに隙間の間隔が変わってしまい、加えてガイドを着脱するときにガイドが変形してしまう場合があり、外フラップの塗布される接着剤の量が不安定になりがちであった。
【0006】
本発明は上述の課題に鑑み、接着剤を安定して塗布することができる接着剤塗布装置及びカートニングマシンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様に係る接着剤塗布装置は、例えば図1乃至図3に示すように、折り曲げられることにより側面の最外面を形成する外フラップCcfを有するカートンCの、外フラップCcfの内面側に接着剤を塗布する接着剤塗布装置80であって;外フラップCcfが開かれた状態でカートンコンベア31により搬送されているカートンCの外フラップCcfの内面側に接着剤を塗布する円柱状の塗布ローラ81であって、円柱の側面に接着剤が充填される充填孔81hが形成され、円柱の側面の接線方向Tの速度がカートンコンベア31によるカートンCの搬送速度と同じになる角速度で円柱の軸線81aまわりに回転する塗布ローラ81と;塗布ローラ81を回転させる回転軸82を保持する回転軸保持ケース83と;カートンコンベア31により搬送されているカートンCの外フラップCcfを、塗布ローラ81との間に挟むことにより充填孔81hに充填された接着剤が外フラップCcfに転写される、着脱可能に固定されたガイド85であって、着脱時に作用する外力による変形が弾性変形の範囲となる曲げ剛性を有するガイド85と;ガイド85に固着されてガイド85を保持するガイド保持具84とを備え;回転軸保持ケース83及びガイド保持具84のそれぞれに、ケース締結用部材86が挿通されるケース締結用部材挿通孔83j、84jが、ガイド85と外フラップCcfと塗布ローラ81とが重なる方向である積重方向Qに延びるように形成され;ケース締結用部材挿通孔83j、84jにケース締結用部材86が挿通されることによりガイド保持具84に対する回転軸保持ケース83の位置が固定されるように構成されている。
【0008】
このように構成すると、着脱時に作用する外力による変形が弾性変形の範囲となる曲げ剛性を有するガイドを備えるので、ガイドの着脱時にかかる負荷によるガイドの変形を回避することができると共に、積重方向に延びるケース締結用部材でガイド保持具に対する回転軸保持ケースの位置が固定されるので、塗布ローラとガイドとの間隔を一定にすることができ、安定した量の接着剤を外フラップに塗布することができる。
【0009】
また、本発明の第2の態様に係る接着剤塗布装置は、例えば図1及び図2に示すように、上記本発明の第1の態様に係る接着剤塗布装置80において、ガイド85及びガイド保持具84が別体に構成され、ガイド85及びガイド保持具84のそれぞれに、ガイド締結用部材87が挿通されるガイド締結用部材挿通孔85k、84kが、積重方向Qに延びるように形成され;ガイド締結用部材挿通孔85k、84kにガイド締結用部材87が挿通されることによりガイド保持具84に対するガイド85の位置が固定され;ガイド85の積重方向Qの厚さが、ガイド85におけるガイド締結用部材挿通孔85kの深さよりも大きく形成されている。
【0010】
このように構成すると、ガイドとガイド保持具とが別体に構成されているのでメンテナンスが容易となり、積重方向に延びるガイド締結用部材でガイド保持具に対するガイドの位置が固定されるので、ガイドを外して再度取り付ける際に、取付位置を容易に再現することができ、安定した量の接着剤を外フラップに塗布することができる。
【0011】
また、本発明の第3の態様に係るカートニングマシンは、例えば図3に示すように、外フラップCcfを有するカートンCを搬送するカートンコンベア31と;外フラップCcfが開かれてカートンCの側面が開口した状態でカートンコンベア31により搬送されているカートンCに、開口から収容物Rを挿入する挿入装置41と;収容物Rが収容されたカートンCの外フラップCcfの内面側に接着剤を塗布する、上記本発明の第1の態様又は第2の態様に係る接着剤塗布装置80とを備える。
【0012】
このように構成すると、内容物が収容されたカートンの外フラップに、安定した塗布量の接着剤を塗布することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、着脱時に作用する外力による変形が弾性変形の範囲となる曲げ剛性を有するガイドを備えるので、ガイドの着脱時にかかる負荷によるガイドの変形を回避することができると共に、積重方向に延びるケース締結用部材でガイド保持具に対する回転軸保持ケースの位置が固定されるので、塗布ローラとガイドとの間隔を一定にすることができ、安定した量の接着剤を外フラップに塗布することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る接着剤塗布装置の概略構成を示す図である。(A)は平面図、(B)は側面図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る接着剤塗布装置の概略構成を示す正面図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係るカートニングマシンの概略構成を示す概念図である。
【図4】(A)は本発明の第2の実施の形態に係るカートニングマシンで製造される製品の使用状態を示す斜視図、(B)はカートンの展開図、(C)は扁平カートンの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において互いに同一又は相当する部材には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0016】
まず図1及び図2を参照して、本発明の第1の実施の形態に係る接着剤塗布装置80を説明する。図1(A)は接着剤塗布装置80の概略構成を示す平面図、図1(B)は接着剤塗布装置80の概略構成を示す側面図である。図2は、接着剤塗布装置80の概略構成を示す正面図である。接着剤塗布装置80は、図3に示されていて後述する本発明の第2の実施の形態に係るカートニングマシン1の構成要素となる装置である。接着剤塗布装置80は、収容物としてのロールR(図3参照)が収容されたカートンCの開口を塞ぐために、カートンCに接着剤を塗布する装置である。
【0017】
図4(A)に、カートニングマシン1(図3参照)で製造される製品Pの使用状態を示す。製品Pは、カートンCの中にロールRが収容されて構成されている。ロールRは、本実施の形態では、合成樹脂製のラップフィルムFが巻回されたものである。カートンCは、紙製の箱であり、細長い直方体の箱の一面が開口Chとなった本体部Cbと、開口Chまわりの本体部Cbを覆うようにして開口Chを塞ぐ蓋部Ccとから構成されている。図4(B)には、カートンCの展開図を示している。ロールRが挿入される前のカートンCは、本体部Cbの前板Cbfに蓋部Ccの切取片Cccが重ねられて接着され、両端が開口した四角筒状に形成されている。この筒状のカートンCを対向する稜線で折り畳んで扁平にしたものが、図4(C)に示す扁平カートンCfである。カートンCは、扁平カートンCfの状態でカートニングマシン1(図3参照)に充填される。製品Pは、まず、扁平カートンCfが起こされて側面が開口した四角筒状とされ、この四角筒状のカートンCに側面の開口からロールRが挿入され、ロールRが挿入されたカートンCの側面が閉じられ、最後に外フラップCcfが接着されることにより製造される。外フラップCcfは、カートンCの側面の最外面を形成する片である。
【0018】
図1、図2に戻って、接着剤塗布装置80の構成を説明する。接着剤塗布装置80は、接着剤を外フラップCcfに塗布する塗布ローラ81と、塗布ローラ81を回転させる回転軸82を保持する回転軸保持ケース(以下、単に「保持ケース」という。)83と、接着剤が塗布される外フラップCcfを案内するガイド85と、ガイド85を保持するガイド保持具84とを備えている。接着剤は、典型的にはホットメルト接着剤が用いられる。
【0019】
塗布ローラ81は、円柱状に形成されており、接着剤が充填される充填孔81hが側面に形成されている。塗布ローラ81は、カートンコンベア31(図3参照)によって連続して搬送されて来るカートンCが載置されている間隔を勘案して、大きさが決められている。本実施の形態では、カートンコンベア31(図3参照)上にあらかじめ決められた間隔で載置されているカートンCのうち、1つのカートンCの基準位置(例えば最上流側の端部)から、2つ先のカートンCの対応する基準位置までの長さXが塗布ローラ81の円周の長さとなる大きさに形成されている。このような大きさに形成されていると、塗布ローラ81が軸線81aまわりに1回転するたびに、カートンコンベア31(図3参照)に搬送されているカートンCのうちの2つの外フラップCcfが塗布ローラ81の上を通過することとなる。この点に対応して、充填孔81hは、塗布ローラ81の直径の両端に2箇所が形成されている。
【0020】
充填孔81hは、外フラップCcfに塗布される量の接着剤を収容できる大きさの窪みで形成されている。充填孔81hは、塗布ローラ81の側面の1箇所につき、複数個に分割されている。本実施の形態では、1箇所につき4個の充填孔81hが形成されている。1箇所にある複数の充填孔81hは、外フラップCcfの面積に相当する平面内に、接着剤を塗布したい間隔で配列されて形成されている。接着剤の塗布量を増やすために、複数(本実施の形態では1列につき4個)の充填孔81hを2列以上に配列してもよい。塗布ローラ81の厚さ(軸線81aに沿った長さ)は、充填孔81hの直径を超えており、接着剤塗布時の安定性の観点からは大きくするとよく、塗布ローラ81へ付着させる接着剤の経済性の観点からは小さい方がよいところ、本実施の形態では外フラップCcfの長さLf(図4参照)と同程度に形成されている。塗布ローラ81は、一方の端面(円形の面)に対して、直角に延びる回転軸82が取り付けられている。
【0021】
保持ケース83は、回転軸82を軸線まわりに回転可能に保持する本体83Bと、本体83Bの上部に取り付けられたアダプタ83Aとを有している。本体83Bは、断面矩形の筒状に形成されており、回転軸82を水平方向に延びる状態で保持することができるように構成されている。本体83B内には、本実施の形態では回転軸82を軸線まわりに回転させるモータ(不図示)が収容されているが、モータ(不図示)は本体83Bの外に設置されていてもよい。アダプタ83Aは、矩形の板状に形成された部材であり、本体83Bに固定されている。アダプタ83Aは、本実施の形態では本体83Bと別体で形成されたうえで本体83Bに固定されているが、本体83Bと一体に形成されていてもよい。アダプタ83Aには、本体83Bとは反対側に突出する位置決めピン83pが設けられている。位置決めピン83pは、平面視(図1(A)参照)において、2本が回転軸82に平行な線上に設けられている。また、アダプタ83Aには、ケース締結用部材としてのケースボルト86を螺合するためのケースねじ穴83jが形成されている。ケースねじ穴83jは、保持ケース83側のケース締結用部材挿通孔に相当する。本実施の形態では、ケースねじ穴83jが5箇所に形成されている。
【0022】
ガイド保持具84は、想定される外力が加わっても外フラップCcfへの接着剤の塗布に影響を与えない厚さの矩形の板状に形成されている。ガイド保持具84は、保持ケース83から突出した位置決めピン83pに嵌合する位置決め孔84pが2つ(位置決めピン83pに対応する本数)形成されている。また、ガイド保持具84は、位置決め孔84pが位置決めピン83pに嵌合されたときにアダプタ83Aに形成されているケースねじ穴83jと連絡する位置に、ケースボルト86が挿通するケース締結用部材挿通孔としてのケース挿通孔84jが形成されている。また、ガイド保持具84は、位置決め孔84pが位置決めピン83pに嵌合されたときに塗布ローラ81の上方を覆う大きさに形成されている。さらに、ガイド保持具84には、位置決めピン83pに嵌合されたときの塗布ローラ81の上方に、ガイド締結用部材としてのガイドボルト87が挿通するガイド締結用部材挿通孔としてのガイド挿通孔84kが形成されている。
【0023】
ガイド85は、塗布ローラ81との間に外フラップCcfを挟むことで塗布ローラ81の充填孔81hに充填されている接着剤を外フラップCcfに転写するための部材である。ガイド85は、基本形状が、断面矩形の細長い四角柱状に形成され、後述するような加工が施されている。ガイド85の長さは、典型的には塗布ローラ81の円周長と同程度の長さに形成されている。ガイド85は、ガイド保持具84に対する着脱時に作用する外力による変形が弾性変形の範囲となる曲げ剛性を有しており、典型的には実用上変形していると認識できない程度の曲げ剛性を有している。ガイド85は、1つの面の中央に、ガイド保持具84が嵌合する嵌合溝85g(図2参照)が形成されている。嵌合溝85gが形成された部分には、ガイド保持具84が嵌合されたときにガイド挿通孔84kと連絡するガイドねじ穴85kが形成されている。ガイドねじ穴85kは、ガイド締結用部材挿通孔に相当する。
【0024】
ガイド85は、嵌合溝85gが形成された面の裏側の面の中央に、塗布ローラ81の円周(側面)に沿った窪み85dが形成されている。窪み85dの深さは、塗布ローラ81との間に挟まれた外フラップCcfを腰がつくようにわずかにしならせることができれば足り、本実施の形態では3〜5mm程度になっている。窪み85dが形成された面は、両端が、それぞれガイド85の長さの概ね1/4程度の長さに渡って、先端にいくにつれて薄くなる傾斜が形成されている。この傾斜は、外フラップCcfの導入を円滑にするために設けられているもので、わずかな傾斜で足り、概ね6〜10°、本実施の形態では8°に形成されている。また、外フラップCcfの導入を円滑にするための構成として、搬送方向D上流側のガイド85の先端には、先端部材85eが取り付けられている。先端部材85eは、円柱状の部材を半割にしたような形状となっており、丸みを帯びた面が搬送方向D上流側を向き、円柱の軸線が水平になる態様で、ガイド85の先端に取り付けられている。ガイド85は、ガイド保持具84に取り付けられたとき、塗布ローラ81と窪み85dとの隙間Sが、外フラップCcfの厚さと概ね同じになるように構成されている。換言すれば、隙間Sが外フラップCcfの厚さと概ね同じになるようにアダプタ83Aの厚さが決められている。アダプタ83Aの厚さは、適切な厚さのシム(スペーサ)と合わせて定まるものでもよい。
【0025】
塗布ローラ81と、ガイド85と、ガイド保持具84とは、鉛直方向に配列されている。外フラップCcfは、塗布ローラ81とガイド85との間に挟まれるので、塗布ローラ81及びガイド85に対して鉛直方向に重なることとなる。つまり、本実施の形態では、鉛直方向が積重方向Qとなる。塗布ローラ81とガイド85との隙間Sは、積重方向Qの隙間といえる。保持ケース83の本体83B及びアダプタ83A並びにガイド保持具84についても、積重方向Qに配列されている。そして、ケースねじ穴83j、ケース挿通孔84j、ガイド挿通孔84k、ガイドねじ穴85kは、それぞれ積重方向Qに延びるように形成されている。このように構成されていることで、ガイド85が取り付けられたガイド保持具84を保持ケース83に取り付けることで隙間Sの距離が一義的に決まり、保持ケース83に対してガイド85の着脱を繰り返しても隙間Sの距離を安定させることができる。
【0026】
塗布ローラ81の下方には、接着剤が収容された接着剤槽88が設置されている。接着剤槽88は、上面が開口した直方体形状を呈している。接着剤槽88は、塗布ローラ81の下端から直径の約1/3の長さの部分までが、内部に収容されている接着剤に浸かる大きさに形成されている。また、塗布ローラ81よりも搬送方向D上流側に(回転する塗布ローラ81が接着剤槽88からガイド85に向かう間に)、塗布ローラ81に付着した接着剤のうちの余分なものを除去するドクターブレード89(図2参照)が設けられている。ドクターブレード89は、塗布ローラ81の幅(側面)全体に渡って線接触する態様で、ステー89sを介して接着剤槽88に取り付けられている。
【0027】
次に図3を参照して、カートニングマシン1の構成を説明する。カートニングマシン1は、扁平カートンCfを所定の場所に搬送する搬送コンベア13と、扁平カートンCfが広げられて形成されたカートンCを搬送するカートンコンベア31と、ロールRを搬送するロールコンベア21と、ロールRをカートンCに挿入する挿入装置41と、上述した接着剤塗布装置80と、制御装置60とを備えている。制御装置60は、搬送コンベア13、カートンコンベア31、ロールコンベア21、挿入装置41の発停及び移動速度を制御することができるように構成されている。
【0028】
搬送コンベア13は、扁平カートンCfを筒状に広げる場所の近傍まで搬送する装置である。搬送コンベア13は、2つのプーリ13pに張架された無端ベルト13vを有している。本実施の形態では、プーリ13pとしてスプロケットが、無端ベルト13vとしてローラーチェーンが、それぞれ用いられている。無端ベルト13vには、突起としての爪13cが、無端ベルト13vの外側に突き出る態様で、所定の間隔ごとに複数設けられている。本実施の形態では、扁平カートンCfが搬送される方向(搬送方向D)に直交する方向に間を空けて無端ベルト13vが2つ対になって設けられており、一対の無端ベルト13vの爪13cを結んだ仮想線が、搬送方向Dに直交するように調節されている。無端ベルト13vは、プーリ13pが駆動源(不図示)に回転させられることにより、扁平カートンCfが載置される面が搬送方向Dに移動するように構成されている。
【0029】
搬送コンベア13の、搬送方向D上流側の端部の上方には、扁平カートンCfを上下に重ねて収容するカートンマガジン11が配設されている。カートンマガジン11は、鉛直線に対して搬送方向D上流側に傾いて設置されている。カートンマガジン11の下方には、カートンマガジン11の底部から扁平カートンCfを取り出して搬送コンベア13に載置するサクションカップ12が配設されている。サクションカップ12は、上下に揺動運動をすることで、カートンマガジン11内に収容されている最下部の扁平カートンCfを取り出して搬送コンベア13に載置するように構成されている。
【0030】
搬送コンベア13に対して搬送方向D下流には、位置決めガイド14が設けられている。位置決めガイド14は、搬送コンベア13によって直線運動させられてきた扁平カートンCfの移動を止めて、扁平カートンCfを筒状に広げる位置を決定する部品である。位置決めガイド14は、断面が矩形(長方形又は正方形)の四角柱状に形成された柱部14bと、梁状に形成された突部14pとを有している。位置決めガイド14は、2つの柱部14bが搬送方向Dに直交する水平方向に間隔を空けてそれぞれ鉛直に延びるように設けられており、突部14pが2つの柱部14bの下端をつなぐように水平に延びている。突部14pは、柱部14bよりも搬送コンベア13側に突き出る態様で取り付けられている。また、扁平カートンCfが位置決めガイド14に衝突した位置における扁平カートンCfの下方には、扁平カートンCfを吸着可能で上下に往復動する吸引棒(不図示)が配設されている。扁平カートンCfは、位置決めガイド14に衝突したときに上昇した吸引棒(不図示)に吸着され、吸引棒(不図示)の下降に伴って下方に引かれる際に、位置決めガイド14の突部14pに引っかかった部分が残ろうとすることにより、箱形(筒状)に開くこととなる。
【0031】
カートンコンベア31は、扁平カートンCfが箱形に開かれたカートンCを搬送する装置であり、扁平カートンCfが位置決めガイド14に衝突する位置の下方から、搬送方向Dに水平に延びている。カートンコンベア31は、搬送コンベア13よりも低い位置で、吸引棒(不図示)を跨ぐように配設されている。カートンコンベア31に搬送されるカートンCは、筒状の両端面が開口している。カートンコンベア31は、カートンCの開口面が搬送方向Dに対して側面となる状態でカートンCを搬送するように、カートン抑え32が設けられている。カートン抑え32は、搬送されるカートンCの間隔(搬送方向Dにおける距離)が、ロールコンベア21に搬送されるロールRの間隔と同じになるピッチで設けられている。
【0032】
ロールコンベア21は、ロールRが前工程で準備される場所(不図示)からカートンコンベア31の側近までロールRを搬送する装置である。ロールコンベア21は、少なくとも位置決めガイド14の下方の位置から所定の距離は、カートンコンベア31と並走するように設けられている。ここでの所定の距離は、ロールRをカートンCに挿入するのに必要な距離である。ロールコンベア21は、カートンコンベア31と並走する部分はカートンコンベア31と同じ高さに設けられている。ロールコンベア21には、ロールRが落ち込むことによりロールRの揺れを防ぐ支持窪み22dが形成されている。支持窪み22dは、カートンコンベア31に載置されるカートンCのピッチと同じピッチで形成されている。ロールコンベア21の表面(ロールRが載置される面)には、ロールRの損傷を防ぎつつロールRの意図しない軸回りの回転を抑制するために、モケットが貼付されている。本実施の形態では、ロールコンベア21とカートンコンベア31とが、同一の駆動軸(不図示)にそれぞれ取り付けられた同一規格かつ同一歯数のスプロケット(不図示)でそれぞれ駆動されるように構成されていることにより、同じ搬送速度でかつ同期するようになっている。
【0033】
挿入装置41は、ロールコンベア21に搬送されているロールRを、カートンコンベア31に搬送されているカートンCに挿入する装置である。挿入装置41は、ロールRをカートンCに向けて押す挿入棒42を有している。図3では、挿入棒42が、二次元の紙面に表している都合上、上下に延びるように示されているが、実際には、ロールR及びカートンCの長手方向に対して平行で、水平に延びるように配設されている。挿入棒42は、環状に周回する周回チェーン(不図示)に、支持窪み22dのピッチと同じピッチで取り付けられている。挿入棒42は、カートンコンベア31との間にロールコンベア21を挟むように配設されている。挿入棒42は、ロールコンベア21とカートンコンベア31とが並走する部分では、ロールコンベア21に並走する軌跡を描くように設けられている。挿入装置41は、周回チェーン(不図示)の移動速度が、あらかじめ定められた範囲内で任意に設定することができるように可変に構成されており、本実施の形態では、ロールコンベア21及びカートンコンベア31の搬送速度と同じ移動速度でかつ同期するように設定されている。
【0034】
接着剤塗布装置80は、挿入装置41に対して搬送方向D下流側に配設されている。接着剤塗布装置80は、ロールRが収容されたカートンCの、閉じられていない外フラップCcfを、塗布ローラ81とガイド85との隙間S(図2参照)に受け入れることができる位置に配設されている。接着剤塗布装置80は、ロールRが収容されたカートンCの両側の外フラップCcfに接着剤を塗布するため、2台がカートンコンベア31を挟むように配設されている。
【0035】
引き続き図1乃至図3を参照して、カートニングマシン1の作用を説明する。接着剤塗布装置80の作用は、カートニングマシン1の作用の一環として説明する。カートニングマシン1を作動させるに際し、カートンマガジン11に扁平カートンCfを充填しておく。搬送コンベア13が搬送方向Dに動いている状態で、サクションカップ12が上下に揺動することにより、カートンマガジン11の最下部にある扁平カートンCfが、カートンマガジン11から取り出され、搬送コンベア13に載置される。このとき、扁平カートンCfが、搬送方向Dに所定の間隔で設けられている爪13cの間に順次載置されるように、サクションカップ12の揺動の周期及びタイミングが調節されている。搬送コンベア13に載置された扁平カートンCfは、爪13cによって搬送方向Dに押される。
【0036】
扁平カートンCfが搬送コンベア13の末端に至ると、扁平カートンCfから爪13cが外れ、位置決めガイド14へ向けて慣性で送り出される。扁平カートンCfは、位置決めガイド14の柱部14bに当接すると、下方から上昇してきた吸引棒(不図示)に吸着されて下方に引き寄せられる。そして、吸引棒(不図示)によって下方へ引かれた扁平カートンCfは、搬送方向D下流側の端部が突部14pに当たることで下降を阻害されるため、搬送方向D上流側の端部片側が下方に移動することで、箱形に開かれてカートンCとなる。カートンCは、カートンコンベア31に載置され、搬送方向Dに搬送される。このとき、カートンコンベア31に載置されたカートンCの蓋部Cc(図4参照)が上方になるように、あらかじめカートンマガジン11に充填される扁平カートンCfの向きが調節されている。カートンCは、蓋部Ccが上向きになるようにカートンコンベア31に載置されると、外フラップCcfは、外面側が上向きに、内面側が下向きとなる。
【0037】
カートンコンベア31に搬送されるカートンCの横には、ロールRがロールコンベア21に搬送されて来ている。搬送されているロールR及びカートンCは、挿入装置41の位置まで来ると、挿入棒42によってロールRがカートンCの方向に押され、カートンCの側面の開口からロールRが挿入される。ロールRが挿入されたカートンCは、さらに搬送方向D下流側に搬送され、接着剤塗布装置80に至る。カートンコンベア31に搬送されているカートンCは、さらに搬送方向Dに進み、これに伴って外フラップCcfがガイド85の下面に沿って進む。このとき、ガイド85の先端に先端部材85eが取り付けられていると共に下面に傾斜がついているので、外フラップCcfは円滑にガイド85の中央部に向かって侵入していくこととなる。
【0038】
外フラップCcfがガイド85の中央に向かって移動していく一方で、塗布ローラ81は、上側が搬送方向D(外フラップCcfの移動方向)と並行する向きで、軸線81aまわりに回転している。このとき、塗布ローラ81は、塗布ローラ81の円周の接線方向Tの速度が、カートンコンベア31によるカートンCの搬送速度と同じになる角速度で回転している。塗布ローラ81は、軸線81aまわりの回転によって接着剤槽88内に入った部分に順次接着剤が付着していく。充填孔81hが形成された部分が接着剤槽88に入ると、充填孔81hに接着剤が充填される。塗布ローラ81の接着剤槽88から出た部分は、上昇する途中でドクターブレード89に接触する。塗布ローラ81は、ドクターブレード89に接触すると、側面に付着した接着剤は取り除かれるが、充填孔81hに充填されている接着剤は除去されずにドクターブレード89を通過してガイド85の方へと向かう。ドクターブレード89に取り除かれた接着剤は、接着剤槽88の中に落下して戻る。
【0039】
塗布ローラ81の充填孔81hが形成されている部分がガイド85に対向する位置まで来ると、カートンコンベア31に搬送されているカートンCの外フラップCcfも丁度充填孔81hの部分に合うようにガイド85の窪み85dの下方に来る。移動している外フラップCcfは、ガイド85と塗布ローラ81とに挟まれて、ややガイド85側に凸になるようにたわみながら、隙間Sを通過する。隙間Sを通過する外フラップCcfは、塗布ローラ81とガイド85とに挟まれた際に厚さ方向の圧縮力が加わり、充填孔81h内の接着剤が外フラップCcfの内面側に写って付着する。内部の接着剤が流出した充填孔81hが形成されている塗布ローラ81の部分は、外フラップCcf及びガイド85から徐々に離れ、接着剤槽88に向かって移動し、再び接着剤槽88内に入って充填孔81hに接着剤が充填されたうえで、ドクターブレード89を通過した後に、新たに搬送されて来る外フラップCcfに接触するというように、上述の作用を繰り返す。
【0040】
他方、接着剤が塗布された外フラップCcfは、引き続き搬送方向Dに移動し、接着剤塗布装置80から導出される。接着剤が塗布された外フラップCcfを持つカートンCは、接着剤塗布装置80よりも下流側で、各フラップが折り曲げられ、最後に外フラップCcfが折り曲げられて先に折り曲げられていたフラップに付着することでカートンCの側面が閉じられて製品P(図4参照)となる。
【0041】
以上で説明したカートニングマシン1では、接着剤塗布装置80について、清掃等のメンテナンスのために、ガイド85を外すことがある。仮に、ガイドが厚さ3mm程度の板状部材で形成されている場合は、着脱する際に変形してしまい、再度装着したときに塗布ローラ81との隙間が変わることによって、外フラップCcfへの安定した接着剤の塗布が阻害されることとなってしまう。また、外フラップCcfへの安定した接着剤の塗布が阻害されることは、ガイドの固定部分のボルト挿通孔が、ガイドと塗布ローラ81とが並ぶ方向に長い長孔である場合も、ガイドと塗布ローラ81との隙間の変化を招来することによって生じ得る。しかし、本実施の形態に係る接着剤塗布装置80では、ガイド85が、着脱時に作用する外力による変形が弾性変形の範囲となる曲げ剛性を有しており、また、積重方向Qに着脱することにより隙間Sの距離が一義的に決まるので、着脱に伴って隙間Sが変化することがなく、外フラップCcfへの接着剤塗布量を、ガイド85の着脱前後で安定させることができる。
【0042】
以上の説明では、アダプタ83Aが、保持ケース83の構成部材の1つであるとしたが、ガイド保持具84の構成部材の1つとしてもよい。このとき、アダプタ83Aとガイド保持具84とは、一体に形成されていてもよく、別体で構成されていてもよい(別体で構成される場合は、結果として保持ケース83の構成部材の1つとして別体で構成されている場合と同じになる)。アダプタ83Aをいずれの構成要素とするかは、部材製造の効率を考慮して、適切に決定するとよい。
【符号の説明】
【0043】
1 カートニングマシン
31 カートンコンベア
41 挿入装置
80 接着剤塗布装置
81 塗布ローラ
81a 軸線
81h 充填孔
82 回転軸
83 回転軸保持ケース
83j ケースねじ穴
84 ガイド保持具
84j ケース挿通孔
84k ガイド挿通孔
85 ガイド
85k ガイドねじ穴
86 ケースボルト
87 ガイドボルト
C カートン
Ccf 外フラップ
Q 積重方向
R ロール
T 接線方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
折り曲げられることにより側面の最外面を形成する外フラップを有するカートンの、前記外フラップの内面側に接着剤を塗布する接着剤塗布装置であって;
前記外フラップが開かれた状態でカートンコンベアにより搬送されている前記カートンの前記外フラップの内面側に接着剤を塗布する円柱状の塗布ローラであって、前記円柱の側面に前記接着剤が充填される充填孔が形成され、前記円柱の側面の接線方向の速度が前記カートンコンベアによる前記カートンの搬送速度と同じになる角速度で前記円柱の軸線まわりに回転する塗布ローラと;
前記塗布ローラを回転させる回転軸を保持する回転軸保持ケースと;
前記カートンコンベアにより搬送されている前記カートンの前記外フラップを、前記塗布ローラとの間に挟むことにより前記充填孔に充填された接着剤が前記外フラップに転写される、着脱可能に固定されたガイドであって、着脱時に作用する外力による変形が弾性変形の範囲となる曲げ剛性を有するガイドと;
前記ガイドに固着されて前記ガイドを保持するガイド保持具とを備え;
前記回転軸保持ケース及び前記ガイド保持具のそれぞれに、ケース締結用部材が挿通されるケース締結用部材挿通孔が、前記ガイドと前記外フラップと前記塗布ローラとが重なる方向である積重方向に延びるように形成され;
前記ケース締結用部材挿通孔に前記ケース締結用部材が挿通されることにより前記ガイド保持具に対する前記回転軸保持ケースの位置が固定されるように構成された;
接着剤塗布装置。
【請求項2】
前記ガイド及び前記ガイド保持具が別体に構成され、前記ガイド及び前記ガイド保持具のそれぞれに、ガイド締結用部材が挿通されるガイド締結用部材挿通孔が、前記積重方向に延びるように形成され;
前記ガイド締結用部材挿通孔に前記ガイド締結用部材が挿通されることにより前記ガイド保持具に対する前記ガイドの位置が固定され;
前記ガイドの前記積重方向の厚さが、前記ガイドにおける前記ガイド締結用部材挿通孔の深さよりも大きく形成された;
請求項1に記載の接着剤塗布装置。
【請求項3】
外フラップを有するカートンを搬送するカートンコンベアと;
前記外フラップが開かれて前記カートンの側面が開口した状態で前記カートンコンベアにより搬送されている前記カートンに、前記開口から収容物を挿入する挿入装置と;
前記収容物が収容された前記カートンの前記外フラップの内面側に接着剤を塗布する、請求項1又は請求項2に記載の接着剤塗布装置とを備える;
カートニングマシン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−240725(P2012−240725A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−114180(P2011−114180)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(000001100)株式会社クレハ (477)
【Fターム(参考)】