説明

接着剤組成物

【課題】耐溶剤性、耐薬品性、耐熱性、低温特性、低透湿性、電気絶縁性に優れ、短時間の加熱で基材に対して良好な接着性を示し、耐酸性が向上した硬化物を与える接着剤組成物を提供する。
【解決手段】(A)分子中に芳香環と直結しないケイ素原子結合ビニル基を2個以上、主鎖中にポリフルオロ構造を有する含フッ素アミド化合物、(B)分子中にパーフルオロアルキル基、パーフルオロオキシアルキル基、パーフルオロアルキレン基又はパーフルオロオキシアルキレン基を1個以上、ケイ素原子直結水素原子を2個以上有し、これら以外の基がアルキル基、アリール基又はアラルキル基である含フッ素有機ケイ素化合物、(C)白金族化合物及び(D)分子中にケイ素原子直結水素原子と、炭素原子又は炭素原子と酸素原子を介してケイ素原子に結合したエポキシ基あるいはトリアルコキシシリル基とをそれぞれ1個以上有するオルガノシロキサンを含有する接着剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化後に含フッ素エラストマーを形成し、硬化時に金属やプラスチック等の各種基材に対して強固に接着する接着剤組成物に関する。特に、耐溶剤性、耐油性、耐薬品性、耐熱性、低温特性、低透湿性、電気絶縁性だけでなく、耐酸性にも優れた硬化物を与える接着剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、アルケニル基とヒドロシリル基との付加反応を利用した硬化性含フッ素エラストマー組成物は公知であり、更に第3成分として、ヒドロシリル基とエポキシ基及び/又はトリアルコキシシリル基を有するオルガノポリシロキサンを添加することにより、自己接着性を付与した組成物も提案されている(特許第3239717号公報、特許第3567973号公報:特許文献1,2参照)。当該組成物は、短時間の加熱により硬化させることができ、得られた硬化物は、耐溶剤性、耐油性、耐薬品性、耐熱性、低温特性、低透湿性、電気絶縁性に優れているので、これらの特性が要求される各種工業分野の接着用途に使用される。特に、自動車工業において電装部品の接着シール用途に多用されている。
【0003】
しかしながら、該組成物から得られる硬化物は、過酷な条件下、例えば、自動車のガソリンエンジンやディーゼルエンジンの排気ガス等の高温かつ強酸性雰囲気に曝された場合、或いは、高温の酸敗劣化オイル(エンジンオイル、トランスミッションオイル等)に接触、浸漬された場合、短期間の内に変色や分解劣化が生じ、シール機能が著しく低下してしまうという難点があった。近年、電気・電子部品の接着シール用途でも過酷な環境下で使用されるケースが増えてきており、上記特性を有するだけでなく、耐酸性が更に向上した硬化物を与える接着剤組成物の出現が望まれていた。
【0004】
なお、特許第2990646号公報(特許文献3)に記載された、ポリマー末端構造が[芳香環−Si原子−ビニル基]であるポリマーは、[Si原子−ビニル基]を有するため速硬化性に優れているが、芳香環とSi原子との結合部位は耐酸性に劣ることが知られている。一方、ポリマー末端に[芳香環−Si原子−ビニル基]構造がないポリマー(例えば、ポリマー末端構造が[芳香環−アルキレン基−ビニル基]構造であるポリマーや、ポリマー末端構造が[側鎖に芳香環置換基を有するアミド基−アルキレン基−ビニル基]構造であるポリマー等)は、耐酸性に優れるものの、速硬化性に劣るという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3239717号公報
【特許文献2】特許第3567973号公報
【特許文献3】特許第2990646号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、耐溶剤性、耐薬品性、耐熱性、低温特性、低透湿性、電気絶縁性に優れ、短時間の加熱によって金属やプラスチック等の幅広い種類の基材に対して良好な接着性を示し、かつ耐酸性が更に向上した硬化物を与えることができる接着剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、(A)1分子中に芳香環と直結しないケイ素原子結合ビニル基を、好ましくは分子鎖末端に2個以上有し、かつ主鎖中にポリフルオロ構造(例えば、パーフルオロアルキレン構造やパーフルオロオキシアルキレン構造等の2価のパーフルオロ構造など)を有する含フッ素アミド化合物、(B)1分子中に1価のパーフルオロアルキル基、1価のパーフルオロオキシアルキル基、2価のパーフルオロアルキレン基又は2価のパーフルオロオキシアルキレン基を1個以上有し、かつケイ素原子に直結した水素原子を2個以上有し、これら以外のケイ素原子に結合した1価の置換基が炭素数1〜20の非置換又はハロゲン原子置換のアルキル基、アリール基又はアラルキル基である含フッ素有機ケイ素化合物、及び(C)白金族化合物を含有してなる付加反応型硬化性組成物に、(D)1分子中にケイ素原子に直結した水素原子と、炭素原子又は炭素原子と酸素原子を介してケイ素原子に結合したエポキシ基及び/又はトリアルコキシシリル基とをそれぞれ1個以上有するオルガノシロキサンを添加した組成物が、耐溶剤性、耐薬品性、耐熱性、低温特性、低透湿性、電気絶縁性に優れ、短時間の加熱によって金属やプラスチック等の幅広い種類の基材に対して良好な接着性を示し、かつ耐酸性が更に向上した硬化物を与えることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
【0008】
従って、本発明は、下記の接着剤組成物を提供する。
〔請求項1〕
(A)下記一般式(1)で示される含フッ素アミド化合物: 100質量部、
【化1】


(式中、R1は互いに独立にビニル基又は炭素数1〜4のアルキル基、R2は互いに独立に炭素数1〜6のアルキレン基、R3は互いに独立に水素原子又はフッ素置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、Rf1はパーフルオロアルキレン基又は2価のパーフルオロポリエーテル基である。)
(B)1分子中に1価のパーフルオロアルキル基、1価のパーフルオロオキシアルキル基、2価のパーフルオロアルキレン基又は2価のパーフルオロオキシアルキレン基を1個以上有し、かつケイ素原子に直結した水素原子を2個以上有し、これら以外のケイ素原子に結合した1価の置換基が炭素数1〜20の非置換又はハロゲン原子置換のアルキル基、アリール基又はアラルキル基である含フッ素有機ケイ素化合物:
(A)成分中のビニル基1モルに対してSiH基として0.5〜3.0モルとなる量、
(C)触媒量の白金族化合物、
(D)1分子中にケイ素原子に直結した水素原子と、炭素原子又は炭素原子と酸素原子を介してケイ素原子に結合したエポキシ基及び/又はトリアルコキシシリル基とをそれぞれ1個以上有するオルガノシロキサン: 0.1〜10質量部
を含有することを特徴とする接着剤組成物。
〔請求項2〕
(D)成分のオルガノシロキサンが、更に炭素原子又は炭素原子と酸素原子を介してケイ素原子に結合した1価のパーフルオロアルキル基又は1価のパーフルオロオキシアルキル基を1個以上有するものである請求項1記載の接着剤組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明の接着剤組成物によれば、耐溶剤性、耐薬品性、耐熱性、低温特性、低透湿性、電気絶縁性に優れ、比較的低温かつ短時間の加熱によって金属やプラスチック等の幅広い種類の基材に対して良好な接着性を有する硬化物を与えることができると共に、強酸類に対する耐久性に優れた硬化物を与えるので、過酷な条件に曝される各種電気・電子部品の接着剤として好適に使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
〔(A)成分〕
本発明の(A)成分は、1分子中に2個以上のビニル基を有する直鎖状ポリフルオロアミド化合物であり、下記一般式(1)で表される、ポリマー末端構造として、ケイ素原子に結合したビニル基[Si原子−ビニル基]を有すると共に、なおかつ、芳香環とケイ素原子が結合した部位[芳香環−Si原子]を有さない特定のポリマー末端構造を有するものである。
【化2】


(式中、R1は互いに独立にビニル基又は炭素数1〜4のアルキル基、R2は互いに独立に炭素数1〜6のアルキレン基、R3は互いに独立に水素原子又はフッ素置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、Rf1はパーフルオロアルキレン基又は2価のパーフルオロポリエーテル基である。)
【0011】
上記式(1)中、R1はビニル基又は炭素数1〜4のアルキル基であり、具体的には、ビニル基、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が挙げられる。R2は炭素数1〜6、好ましくは炭素数3〜6のアルキレン基であり、具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基(トリメチレン基、メチルエチレン基)、ブチレン基(テトラメチレン基、メチルプロピレン基)、ヘキサメチレン基等が挙げられる。R3は水素原子又はフッ素置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基であり、フッ素置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基として、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、これらの基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基、例えばトリフルオロメチル基等が挙げられる。なお、R1としては、メチル基、ビニル基が好ましく、R2としては、エチレン基、トリメチレン基が好ましい。
【0012】
Rf1はパーフルオロアルキレン基又は2価のパーフルオロポリエーテル基であり、パーフルオロアルキレン基としては、炭素数2〜10、好ましくは炭素数2〜6程度の直鎖状又は分岐状のパーフルオロアルキレン基が挙げられる。
【0013】
また、2価のパーフルオロポリエーテル基としては、
−Ce2eO−
(式中、eは1〜6の整数である。)
の多数の繰り返し単位を含むもので、該繰り返し単位としては、例えば、下記一般式(2)で示されるものなどが挙げられる。
−(Ce2eO)f− (2)
(式中、eは上記と同じ、fは20〜600、好ましくは30〜400、より好ましくは30〜200の整数である。)
【0014】
上記式−Ce2eO−で示される繰り返し単位は、例えば下記の単位等が挙げられる。なお、パーフルオロポリエーテル構造は、これらの繰り返し単位の1種単独で構成されていてもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。
−CF2O−
−CF2CF2O−
−CF2CF2CF2O−
−CF(CF3)CF2O−
−CF2CF2CF2CF2O−
−CF2CF2CF2CF2CF2CF2O−
−C(CF32O−
これらの中では、特に下記単位が好適である。
−CF2O−
−CF2CF2O−
−CF2CF2CF2O−
−CF(CF3)CF2O−
【0015】
かかるパーフルオロポリエーテル構造としては、下記のものが例示される。
【化3】


(Yは、F又はCF3基であり、p,q及びrは、p≧0、q≧0、0≦p+q≦200、特に2≦p+q≦150、及び0≦r≦6を満たす整数である。)
【化4】


(Yは、F又はCF3基であり、v及びwは、各々1≦v≦20、1≦w≦20を満たす整数である。)
−CF2CF2−(OCF2CF2CF2z−OCF2CF2
(zは、1≦z≦100を満たす整数である。)
【0016】
Rf1の具体例としては、下記のものが例示される。
−C48− −C612
【化5】


(s,t及びuは、s≧0、t≧0、0≦s+t≦200、特に2≦s+t≦150、及び0≦u≦6を満たす整数である。)
【化6】

(式中、m、nはそれぞれ上記範囲の整数である。)
【0017】
次に、上記一般式(1)で示される含フッ素アミド化合物の具体例としては、例えば、下記のものが挙げられる。
【化7】


(式中、mは1〜100の整数、nは1〜100の整数、m+nは2〜200の整数である。)
【0018】
上記一般式(1)の含フッ素アミド化合物の粘度(23℃)は、100〜100,000mPa・s、より好ましくは500〜50,000mPa・s、更に好ましくは1,000〜20,000mPa・sの範囲内にあることが、本組成物をシール、ポッティング、コーティング、含浸等に使用する際に、硬化においても適当な物理的特性を有するので望ましい。当該粘度範囲内で、用途に応じて最も適切な粘度を選択することができる。なお、粘度は、ブルックフィールド型回転粘度計により測定した値である(以下、同じ)。
【0019】
〔(B)成分〕
(B)成分は、1分子中に1価又は2価の含フッ素有機基を1個以上、好ましくは1〜10個有し、かつケイ素原子に直結した水素原子(即ち、SiHで示されるヒドロシリル基)を2個以上(通常、2〜200個程度)、好ましくは2〜50個有する、例えば分子中にシロキサン構造及び/又はシルアルキレン構造等を有する、含フッ素有機ケイ素化合物である。本発明の(B)成分は、上記(A)成分の架橋剤乃至鎖長延長剤として機能するものであり、また、(A)成分との相溶性、分散性、硬化後の均一性等の観点から、1分子中に1個以上の1価又は2価の含フッ素有機基(具体的には、1価のパーフルオロアルキル基、1価のパーフルオロオキシアルキル基(1価のパーフルオロポリエーテル基)、2価のパーフルオロアルキレン基又は2価のパーフルオロオキシアルキレン基(2価のパーフルオロポリエーテル基)を有するものである。
【0020】
この1価又は2価の含フッ素有機基としては、例えば、下記一般式で表されるもの等を挙げることができる。
g2g+1
(式中、gは1〜20、好ましくは2〜10の整数である。)
F−[CF(CF3)CF2O]h−Ci2i
(式中、hは1〜200、好ましくは2〜100の整数、iは1〜3の整数である。)
−Cg2g
(式中、gは1〜20、好ましくは2〜10の整数である。)
【化8】


(式中、j及びkは1以上の整数、j+k(平均)=2〜200、好ましくは2〜100である。)
−CF2O−(CF2CF2O)x−(CF2O)y−CF2
(式中、xは1〜200の整数、yは1〜50の整数である。)
【0021】
また、これらパーフルオロアルキル基、パーフルオロオキシアルキル基、パーフルオロアルキレン基又はパーフルオロオキシアルキレン基とケイ素原子とは2価の連結基により繋がれていることが好ましく、該2価の連結基としては、アルキレン基、アリーレン基及びそれらの組み合わせ、或いはこれらの基にエーテル結合酸素原子、アミド結合、カルボニル結合、シリレン基、エステル結合等を介在させたものであってもよく、例えば、
−CH2CH2
−CH2CH2CH2
−CH2CH2CH2OCH2
−CH2CH2CH2−NH−CO−
−CH2CH2CH2−N(Ph)−CO−
−CH2CH2CH2−N(CH3)−CO−
−CH2CH2CH2−N(CH2CH3)−CO−
−CH2CH2−Si(CH32−CH2CH2CH2−N(Ph)−CO−
−CH2CH2−Si(CH32−Ph−N(CH3)−CO−
−CH2CH2−Si(CH32−Ph−N(C25)−CO−
−CH2CH2CH2−Si(CH32−Ph−N(CH3)−CO−
−CH2CH2CH2−O−CO−
(但し、Phはフェニル基又はフェニレン基である。)
等の、好ましくは炭素数2〜12のものが挙げられる。
【0022】
また、この(B)成分の有機ケイ素化合物における上記1価又は2価の含フッ素有機基及びケイ素原子に結合した水素原子以外のケイ素原子に結合した1価の置換基は、炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜12の非置換又はハロゲン原子置換のアルキル基、アリール基又はアラルキル基である。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル等のアラルキル基や、これらの基の水素原子の一部又は全部をフッ素等のハロゲン原子で置換した、炭素数1〜20の非置換又は置換炭化水素基が挙げられる。
【0023】
更に、(B)成分の有機ケイ素化合物の形状は、環状、鎖状、分岐状のいずれでもよく、1分子中のケイ素原子数は特に制限されないが、通常2〜60、特に3〜30程度が好ましい。
【0024】
このような1価又は2価の含フッ素有機基及びケイ素原子結合水素原子を有する(B)成分としては、例えば下記のような、シロキサン構造及び/又はシルアルキレン構造を有する有機ケイ素化合物が挙げられる。なお、これらの化合物は、1種単独で用いても2種以上併用してもよい。また、下記式において、Meはメチル基、Phはフェニル基を示す。
【0025】
【化9】

【0026】
【化10】

【0027】
【化11】

【0028】
【化12】

【0029】
【化13】

【0030】
【化14】

【0031】
【化15】

【0032】
【化16】

【0033】
【化17】

【0034】
【化18】

【0035】
【化19】

【0036】
【化20】

【0037】
【化21】

【0038】
【化22】

【0039】
【化23】

【0040】
【化24】

【0041】
【化25】

【0042】
上記(B)成分の配合量は、上記(A)成分中のビニル基1モルに対し、(B)成分中のヒドロシリル基(SiH基)が0.5〜3モル、好ましくは0.8〜2モルとなる量である。SiH基が少なすぎると、架橋度合が不十分となる結果、硬化物が得られず、また多すぎると硬化時に発泡してしまう。
なお、本発明においては、上記(A)成分中のビニル基1モルに対し、(B)成分と後述する(D)成分との合計のSiH基が、0.55〜3.2モル、特に0.85〜2.2モルとなる量で使用することが好ましい。
【0043】
〔(C)成分〕
本発明の(C)成分の白金族化合物は、(A)成分中のビニル基と(B)成分中のヒドロシリル基との付加反応を促進する触媒である。この白金族化合物(白金族金属触媒)としては、入手が比較的容易である点から、白金化合物がよく用いられる。該白金化合物としては、例えば、塩化白金酸又は塩化白金酸とエチレン等のオレフィンとの錯体、アルコール、ビニルシロキサンとの錯体、及びシリカ、アルミナ、カーボン等に担持された金属白金を挙げることができる。白金化合物以外の白金族金属触媒としては、ロジウム、ルテニウム、イリジウム及びパラジウム系化合物、例えば、RhCl(PPh33、RhCl(CO)(PPh32、Ru3(CO)12、IrCl(CO)(PPh32、Pd(PPh34等を例示することができる。なお、前記式中、Phはフェニル基である。
【0044】
これらの触媒の使用にあたっては、それが固体触媒であるときには固体状で使用することも可能であるが、より均一な硬化物を得るためには塩化白金酸や錯体を適切な溶剤に溶解したものを(A)成分の含フッ素アミド化合物に相溶させて使用することが好ましい。
【0045】
(C)成分の使用量は、触媒量でよいが、例えば(A)及び(B)成分の合計質量に対して0.1〜500ppm(白金族金属原子換算)を配合することが好ましい。
【0046】
〔(D)成分〕
本発明の(D)成分であるオルガノシロキサンは、これを配合することによって本発明の組成物に自己接着性を十分に発現させるためのものである。該オルガノシロキサンは、1分子中にケイ素原子に直結した水素原子(SiH基)と、炭素原子又は炭素原子と酸素原子を介してケイ素原子に結合したエポキシ基及び/又はトリアルコキシシリル基とをそれぞれ1個以上有するものであり、好ましくは、更に加えて炭素原子又は炭素原子と酸素原子を介してケイ素原子に結合したパーフルオロアルキル基又はパーフルオロオキシアルキル基を1個以上有するものである。
【0047】
このオルガノシロキサンのシロキサン骨格は、環状、鎖状、分岐状などのいずれでもよく、またこれらの混合形態でもよい。(D)成分のオルガノシロキサンとしては、下記一般式で表わされるものを用いることができる。
【0048】
【化26】


(式中、R4は非置換又は置換の1価炭化水素基であり、Aは炭素原子又は炭素原子と酸素原子を介してケイ素原子に結合したエポキシ基又はトリアルコキシシリル基を示し、Bは炭素原子又は炭素原子と酸素原子を介してケイ素原子に結合したパーフルオロアルキル基又はパーフルオロオキシアルキル基を示す。w’は0〜100の整数、x’は1〜100の整数、y’は1〜100の整数、z’は0〜100の整数を示す。)
【0049】
4の非置換又は置換の1価炭化水素基としては、炭素数1〜10、特に炭素数1〜8のものが好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基などや、これらの基の水素原子の一部又は全部をフッ素等のハロゲン原子で置換した置換1価炭化水素基などが挙げられ、この中で特にメチル基が好ましい。
【0050】
w’は0〜20の整数であることが好ましく、x’は1〜20の整数であることが好ましく、y’は1〜20の整数であることが好ましく、z’は1〜20の整数であることが好ましく、w’+x’+y’+z’は3〜50の整数であることが好ましい。
【0051】
Aは、炭素原子又は炭素原子と酸素原子を介してケイ素原子に結合したエポキシ基又はトリアルコキシシリル基を示し、具体的には、下記の基を挙げることができる。
【化27】


[式中、R5は酸素原子が介在してもよい炭素数1〜10、特に炭素数1〜5の2価炭化水素基(メチレン基、エチレン基、プロピレン基等のアルキレン基、シクロへキシレン基等のシクロアルキレン基、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基等のオキシアルキレン基など)を示す。]
【0052】
【化28】


[式中、R6は炭素数1〜10、特に炭素数1〜4の2価炭化水素基(メチレン基、エチレン基、プロピレン基等のアルキレン基など)を示し、R7は炭素数1〜8、特に炭素数1〜4の1価炭化水素基(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基など)を示し、R8は水素原子又はメチル基、k’は2〜10、好ましくは3〜8の整数を示す。]
【0053】
Aとして、具体的には、下記に示すものが例示できる。
【化29】

【0054】
Bは、炭素原子又は炭素原子と酸素原子を介してケイ素原子に結合した1価のパーフルオロアルキル基又はパーフルオロオキシアルキル基を示す。1価のパーフルオロアルキル基又はパーフルオロオキシアルキル基の例としては、例えば、下記一般式で表されるもの等を挙げることができる。
【0055】
【化30】


[式中、R9は炭素数1〜10、特に炭素数1〜4の2価炭化水素基(メチレン基、エチレン基、プロピレン基等のアルキレン基など)を示し、R10は水素原子、メチル基又はフェニル基を示し、gは1〜20、好ましくは2〜10の整数、hは1〜200、好ましくは1〜100の整数、iは1〜3の整数である。]
【0056】
Bとして、具体的には、下記に示すものが例示できる。なお、下記式において、Phはフェニル基である。
【化31】

【0057】
(D)成分のオルガノシロキサンは、1分子中にケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)を2個以上、好ましくは3個以上有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンに、ビニル基、アリル基等の脂肪族不飽和基とエポキシ基又はトリアルコキシシリル基とを含有する化合物、更に必要により脂肪族不飽和基とパーフルオロアルキル基又はパーフルオロオキシアルキル基とを含有する化合物を、常法に従って部分付加反応させることにより得ることができる。なお、(D)成分のオルガノシロキサンは、SiH基を有することが必須であるため、上記脂肪族不飽和基の数は、SiH基の数より少ない必要がある。
このオルガノシロキサンの製造に際しては、反応終了後に目的物質を単離してもよいが、未反応物及び付加反応触媒を除去しただけの混合物を使用することもできる。
【0058】
(D)成分のオルガノシロキサンとして、具体的には、下記の構造式で示されるものが例示される。これらの化合物は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。なお、下記式において、Meはメチル基、Phはフェニル基である。
【0059】
【化32】

【0060】
【化33】


(o’、q’、r’は正の整数、p’は0以上の整数である。)
【0061】
【化34】

【0062】
【化35】

【0063】
【化36】

【0064】
【化37】


(o’、q’、r’は正の整数、p’は0以上の整数である。)
【0065】
【化38】

【0066】
【化39】

【0067】
(D)成分の使用量は、(A)成分100質量部に対し、0.1〜10質量部、好ましくは0.2〜5質量部の範囲である。0.1質量部未満の場合には十分な接着性が得られず、10質量部を超えると組成物の流動性が悪くなり、得られる硬化物の物理的強度が低下し、また硬化性を阻害することが多くなる。
【0068】
[その他の成分]
本発明の組成物においては、その実用性を高めるために上記の(A)〜(D)成分以外にも、可塑剤、粘度調節剤、可撓性付与剤、ヒドロシリル化反応触媒の制御剤、無機質充填剤、接着促進剤、(D)成分以外の接着助剤、シランカップリング剤等の各種配合剤を必要に応じて添加することができる。これら添加剤の配合量は、本発明の目的を損なわない範囲、及び組成物の特性及び硬化物の物性を損なわない限りにおいて任意である。
【0069】
可塑剤、粘度調節剤、可撓性付与剤として、下記一般式(2)で表されるポリフルオロモノアルケニル化合物及び/又は下記一般式(3)、(4)で表される直鎖状ポリフルオロ化合物を用いることができる。
【0070】
Rf2−(X’)a−CH=CH2 (2)
[式中、Rf2は下記一般式(i)
F−[CF(CF3)CF2O]h'−Ci'2i'− (i)
(式中、h’は1〜200、好ましくは1〜150の整数であり、i’は1〜3の整数である。)
で示される基であり、X’は−CH2−、−OCH2−、−CH2OCH2−又は−CO−NR’−Y’−(但し、R’は水素原子、メチル基、フェニル基又はアリル基であり、Y’は−CH2−、下記構造式(Z’)で示される基又は下記構造式(Z”)で示される基である。)
【化40】


(o,m又はp−ジメチルシリルフェニレン基)
【化41】


であり、aは0又は1である。]
【0071】
D−O−(CF2CF2CF2O)b−D (3)
(式中、DはCg'2g'+1−(g’は1〜3)で示される基であり、bは1〜200の整数である。)
D−O−(CF2O)c−(CF2CF2O)d−D (4)
(式中、Dは上記と同じであり、c及びdはそれぞれ1〜200の整数であり、かつ、2≦c+d≦200を満たす整数である。)
【0072】
上記一般式(2)で表されるポリフルオロモノアルケニル化合物の具体例としては、下記式で表されるものが挙げられる。
【化42】


(ここで、m=1〜100である。)
【0073】
上記一般式(3)、(4)で表される直鎖状ポリフルオロ化合物の具体例としては、例えば、下記のものが挙げられる。
CF3−O−(CF2CF2CF2O)n−CF2CF3
CF3−O−[(CF2O)m−(CF2CF2O)n]−CF3
(ここで、m=1〜200、n=1〜200、m+n=2〜200である。)
【0074】
また、上記一般式(2)〜(4)で表されるポリフルオロ化合物の粘度(23℃)は、50〜50,000mPa・s、特に100〜20,000mPa・sの範囲であることが望ましい。
上記一般式(2)〜(4)で表されるポリフルオロ化合物を添加する場合の配合量は、(A)成分100質量部に対して1〜100質量部、特に5〜50質量部であることが好ましい。
【0075】
また、ヒドロシリル化反応触媒の制御剤としては、例えば、1−エチニル−1−ヒドロキシシクロヘキサン、3−メチル−1−ブチン−3−オール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、3−メチル−1−ペンテン−3−オール、フェニルブチノール等のアセチレン性アルコールや、上記の1価含フッ素置換基を有するクロロシランとアセチレン性アルコールとの反応物、3−メチル−3−ペンテン−1−イン、3,5−ジメチル−3−ヘキセン−1−イン、トリアリルイソシアヌレート等、あるいはポリビニルシロキサン、有機リン化合物等が挙げられ、その添加により硬化反応性と保存安定性を適度に保つことができる。
【0076】
無機質充填剤としては、例えば、BET法による比表面積が50m2/g以上(通常、50〜400m2/g)、特には100〜300m2/g程度の、煙霧質シリカ、沈降シリカ、それらのシラン、シラザン又はシロキサン処理物、石英粉末、溶融石英粉末、珪藻土、炭酸カルシウム等の補強性又は準補強性充填剤、酸化チタン、酸化鉄、カーボンブラック、アルミン酸コバルト等の無機顔料、酸化チタン、酸化鉄、カーボンブラック、酸化セリウム、水酸化セリウム、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウム、炭酸マンガン等の耐熱向上剤、アルミナ、窒化硼素、炭化ケイ素、金属粉末等の熱伝導性付与剤、カーボンブラック、銀粉末、導電性亜鉛華等の導電性付与剤等を添加することができる。これらの無機質充填剤は、通常、(A)成分100質量部に対して0.5〜20質量部、特には1〜20質量部程度の配合量で添加することが好ましい。
【0077】
また、カルボン酸無水物、チタン酸エステル、ジルコン酸エステル等の接着促進剤、(D)成分以外の接着付与剤、例えば、トリス−(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、トリス−(3−トリエトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸、3−トリエトキシシリルプロピルコハク酸、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤を添加することができる。
【0078】
[接着剤組成物」
本発明の接着剤組成物は、上記した(A)〜(D)成分とその他の任意成分とをプラネタリーミキサー、ロスミキサー、ホバートミキサー等の混合装置、必要に応じてニーダー、三本ロール等の混練装置を使用して均一に混合することによって製造することができる。
【0079】
本発明の接着剤組成物は、用途に応じて前記(A)〜(D)成分の混合物を1つの組成物として取り扱う、いわゆる一液タイプとして構成してもよいし、或いは、例えば前記(A)、(C)成分の混合物を一方の組成物とし、(B)、(D)成分の混合物を他方の組成物とする、いわゆる二液タイプとして構成し、使用にあたってこれらを混合してもよい。
【0080】
製造された接着剤組成物は、(A)成分の含フッ素アミド化合物の官能基、(C)成分の触媒の種類により室温硬化も可能であるが、硬化を促進するためには加熱することが好ましく、特に各種基材に対して良好な接着性を発揮させるためには60℃以上、好ましくは100〜200℃にて数分〜数時間程度の時間で硬化させることが好ましい。
【0081】
なお、本発明の接着剤組成物を使用するに当たり、その用途、目的に応じて該組成物を適当なフッ素系溶剤、例えば1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、パラキシレンヘキサフルオライド、フロリナート(3M社製)、パーフルオロブチルメチルエーテル、パーフルオロブチルエチルエーテル、或いはそれらの混合物等に所望の濃度に溶解して使用してもよい。
【0082】
本発明の接着剤組成物は、短時間の加熱によって金属やプラスチック等の幅広い種類の基材に対して良好な接着性を示すものである。このような金属としては、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケル、クロム、銅、亜鉛や、これら2種以上の合金などが挙げられ、またプラスチックとしては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂、PBT(ポリブチレンテレフタレート)樹脂等のポリエステル樹脂、PC(ポリカーボネート)樹脂、PPS(ポリフェニレンスルフィド)樹脂、PA(ポリアミド)樹脂、PI(ポリイミド)樹脂、LCP(液晶ポリマー)樹脂などが挙げられる。
【0083】
本発明の接着剤組成物は、自動車関連部品、各種電気・電子部品などの接着剤として有用である。例えば、自動車の制御系に使用される各種圧力センサー、VVTセンサー、ガス濃度検知器、温度センサーなどの検知器・センサーの半導体チップの固定用接着剤(ダイアタッチ剤又はダイボンディング剤)、ケース用シール剤や電子回路保護用コーティング剤として好適であり、また、各種ガス、温水、薬品などに曝されるセンサーなどの保護用封止剤、インクジェットプリンター用の接着剤、プリンターヘッド用の接着剤・封止剤、レーザープリンターや複写装置のロールやベルトのコーティング剤、各種回路基板の接着シール剤・コーティング剤などに好適に用いることができる。
【実施例】
【0084】
以下、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において部は質量部を示す。また、粘度、接着力等は23℃における測定値を示す。
【0085】
[実施例1]
下記式(5)で示されるポリマー(粘度12,000mPa・s、ビニル基量0.0128モル/100g)100部をプラネタリーミキサー内に仕込み、そこへジメチルジクロロシランで表面処理された煙霧質シリカ(BET比表面積250m2/g)10部を添加し、加熱せずに1時間混練した。引き続き混練しながら装置を加熱し、内温が150℃に達してから150〜170℃に保持しながら2時間減圧下(60Torr)で熱処理した。次に、内容物を40℃以下に冷却後、三本ロールを2回通してベースコンパウンドを得た。このベースコンパウンド16.5部に対して下記式(5)で示されるポリマー85.0部をプラネタリーミキサー内に仕込み、均一になるまで混合した。これに白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体のトルエン溶液(白金濃度0.5質量%)0.20部、エチニルシクロヘキサノールの60質量%トルエン溶液0.25部、下記式(6)で示される含フッ素有機ケイ素化合物2.0部、下記式(7)で示される含フッ素有機ケイ素化合物1.3部、下記式(8)で示される接着付与剤1.0部を順次添加し、均一になるように混合した。その後、脱泡操作を行うことにより組成物を調製した。
【0086】
【化43】

【0087】
接着試験
得られた組成物をカートリッジに充填した後、表1に記載の各種被着体の50mm×25mmのテストパネル2枚をそれぞれの端部が10mmずつ重複するように厚さ80μmの上記組成物の層を挟んで重ね合わせ、150℃で1時間加熱することにより該組成物を硬化させ、接着試験片を作製した。次いで、これらの試料について引張剪断接着試験(引張速度50mm/分)を行い、接着強度及び凝集破壊率を評価した。それらの結果を表1に示す。
【0088】
耐酸性試験
上記組成物を2mm厚の長方形の型枠(105mm×85mm)に置き、100kg/cm2、150℃で10分プレスキュアー、更に150℃で50分のオーブンキュアーを行ってシート状硬化物を作製した。このシート片から酸浸漬前後の硬さ測定用試験片(25mm×50mm)を12枚作製した。まずブランクとして得られた試験片の中から3枚を重ねて、A型硬度計を用いて硬さ測定を行った(JIS K6253に準拠)。残りの試験片は、相互に接触しないようにして3枚ずつ各3種類の酸性液に40℃で7日間浸漬した後、表面をアルカリ水及び純水を使用して洗浄し、水分を十分に拭きとってから3枚を重ねて硬さ測定を行った(JIS K6253に準拠)。また、表面状態を目視観察した。それらの結果を表2に示す。
【0089】
[実施例2]
実施例1の式(8)で示される接着付与剤1.0部の代わりに、下記式(9)で示される接着付与剤0.5部及びγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.2部を用いた以外は、実施例1と同様の方法で組成物を調製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1及び表2に示す。
【0090】
【化44】

【0091】
[実施例3]
実施例1の式(7)で示される有機ケイ素化合物の代わりに、下記式(10)で示される有機ケイ素化合物2.0部を用いた以外は、実施例1と同様の方法で組成物を調製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1及び表2に示す。
【0092】
【化45】

【0093】
[比較例1〜3]
実施例1〜3において、上記式(5)で示されるポリマーの代わりに、下記式(11)で示されるポリマー(粘度12,500mPa・s、ビニル基量0.0124モル/100g)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で組成物を調製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1及び表2に示す。
【0094】
【化46】

【0095】
【表1】

【0096】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記一般式(1)で示される含フッ素アミド化合物: 100質量部、
【化1】


(式中、R1は互いに独立にビニル基又は炭素数1〜4のアルキル基、R2は互いに独立に炭素数1〜6のアルキレン基、R3は互いに独立に水素原子又はフッ素置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基、Rf1はパーフルオロアルキレン基又は2価のパーフルオロポリエーテル基である。)
(B)1分子中に1価のパーフルオロアルキル基、1価のパーフルオロオキシアルキル基、2価のパーフルオロアルキレン基又は2価のパーフルオロオキシアルキレン基を1個以上有し、かつケイ素原子に直結した水素原子を2個以上有し、これら以外のケイ素原子に結合した1価の置換基が炭素数1〜20の非置換又はハロゲン原子置換のアルキル基、アリール基又はアラルキル基である含フッ素有機ケイ素化合物:
(A)成分中のビニル基1モルに対してSiH基として0.5〜3.0モルとなる量、
(C)触媒量の白金族化合物、
(D)1分子中にケイ素原子に直結した水素原子と、炭素原子又は炭素原子と酸素原子を介してケイ素原子に結合したエポキシ基及び/又はトリアルコキシシリル基とをそれぞれ1個以上有するオルガノシロキサン: 0.1〜10質量部
を含有することを特徴とする接着剤組成物。
【請求項2】
(D)成分のオルガノシロキサンが、更に炭素原子又は炭素原子と酸素原子を介してケイ素原子に結合した1価のパーフルオロアルキル基又は1価のパーフルオロオキシアルキル基を1個以上有するものである請求項1記載の接着剤組成物。

【公開番号】特開2011−219692(P2011−219692A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−93104(P2010−93104)
【出願日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】