説明

接続先決定サーバ及び負荷分散方法

【課題】大規模ユーザを複数のサーバに負荷分散させる場合、負荷分散したサーバ間を連携するためのサーバ間通信量を抑制することができ、収容ユーザの増大にもシステム変更を行うことなく対応できるようにすること。
【解決手段】アクセスしてきたクライアント11aを複数の収容サーバ12A,12Bに分散収容してクライアント間でのリアルタイムの情報交換を可能にするプレゼンスシステムにおいて、サービス提供を受けるためにアクセスしてきたクライアント11aのメンバリスト14に登録された他のクライアントが最も多く収容されている収容サーバを収容表13から検索し、その検索した収容サーバを接続先サーバとしてクライアント11aに指示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク経由でアクセスしてきたクライアントがサービス提供を受ける際に接続すべきサーバを決定する接続先決定サーバ及び負荷分散方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多数のクライアント間で一対多型のリアルタイム通信(一定の時間内に要求されたデータの送受信が保証されている狭義のリアルタイム通信に限らず、広義の同時性通信)を行えるようにした種々のサービスが提供されている。例えば、メッセンジャーサービスでは、メッセンジャーサーバへログインした複数のユーザ間で、リアルタイムでメッセージ文書及びプレゼンス情報の交換を行うことができるようにしている。また、多地点遠隔会議システムの場合には、会議サーバへログインしたクライアント間で音声・映像データをリアルタイムで交換すると共にプレゼンテーション用の各種ファイル情報を共有化できるように構成している。
【0003】
ところで、一対多型のリアルタイム通信を行えるようにしたシステムにおいて、大規模ユーザを収容する場合、増大するトランザクション数を複数のサーバに負荷分散することが考えられる。負荷分散の仕組みとして、ユーザ名と収容サーバとを一対一で固定的に割り付ける方法、ユーザのIPアドレスやドメイン名からネットワーク上の距離が最短になるように収容サーバを割り付ける方法(例えば、特許文献1参照)等がある。
【特許文献1】特開2003−296208号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の負荷分散方法は、ユーザの状態に合わせて接続先を柔軟に決定することができなかったので、負荷分散したサーバ間を連携するためにサーバ間通信(トランザクション)が多数発生するといった問題がある。
【0005】
例えば、図8に示すように、接続先サーバAに接続しているクライアントaと他の接続先サーバBに接続しているクライアントb及びcとを含むグループ内で対話型テキスト文書交換(チャット)をしている場合、クライアントaの状態に変化があれば(例えば、在席/不在情報の変更)、その情報を持たない他の接続先サーバBに即座に通知してクライアントb及びcに通知することになる。収容ユーザの増加に応じて上記サーバ間通信(トランザクション)が増加すると予想される。このようなサーバ間通信(トランザクション)の増大は、特許文献1のようにネットワーク上の距離が最短になるように接続先サーバを決めただけでは、根本的な解決とはならない。
【0006】
本発明は、以上のような実情に鑑みてなされたもので、大規模ユーザを複数のサーバに負荷分散するシステムにおいて、負荷分散したサーバ間を連携するためのサーバ間通信量を抑制することができる接続先決定サーバ及び負荷分散方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の接続先決定サーバは、多数のクライアントを複数のサーバに分散収容してクライアント間の情報交換サービスを提供するサービス提供システムにおいて、ネットワークを経由してアクセスしてきたクライアントに対して、前記サーバ間の通信量が抑制されるように接続先サーバを決定し、当該接続先サーバを前記アクセスしてきたクライアントに指示することを特徴とする。
【0008】
このように構成したことにより、サーバ間の通信量が抑制されるように接続先サーバを決定するので、同一グループのクライアント同士のように通信頻度の高いクライアントが異なる収容サーバに分散収容されることが減少し、サーバ間通信(トランザクション)が抑制されることとなる。
【0009】
また本発明は、上記接続先決定サーバにおいて、一のクライアントと同一グループを構成する他のクライアントが当該一のクライアントのメンバリストに登録され、前記一のクライアントの接続先サーバを決定する場合、当該一のクライアントのメンバリストに登録された他のクライアントが最も多く収容されている収容サーバを接続先サーバに決定することを特徴とする。
【0010】
このように構成したことにより、アクセスしてきたクライアントのメンバリストに登録された他のクライアントが最も多く収容されている収容サーバを接続先サーバに決定するので、通信頻度が高い同一グループのクライアント同士が同一の収容サーバに収容されるようになり、サーバ間通信量を抑制することができる。
【0011】
また本発明は、上記接続先決定サーバにおいて、一のクライアントと同一グループを構成する他のクライアントが当該一のクライアントのメンバリストに登録され、前記一のクライアントの接続先サーバを決定する場合、当該一のクライアントのメンバリストに登録された他のクライアントの中で最も通信頻度の高いクライアントの収容サーバを接続先サーバに決定することを特徴とする。
【0012】
このように構成したことにより、一のクライアントのメンバリストに登録された他のクライアントの中で最も通信頻度の高いクライアントの収容サーバを接続先サーバに決定するので、最も通信頻度の高かったクライアントと同じ収容サーバに収容されることとなり、サーバ間通信の発生を抑制することができる。
【0013】
また本発明は、上記接続先決定サーバにおいて、一のクライアントと同一グループを構成する他のクライアントが当該一のクライアントのメンバリストに登録され、前記一のクライアントの接続先サーバを決定する場合、当該一のクライアントのメンバリストに登録された他のクライアントの中で最後に通信したクライアントの収容サーバを接続先サーバに決定することを特徴とする
【0014】
このように構成したことにより、最後に通信したクライアントの収容サーバを接続先サーバに決定することにより、再ログイン時には最後に通信したクライアントと通信する可能性が高いので、サーバ間通信の発生を抑制することが期待できる。
【0015】
また本発明は、上記接続先決定サーバにおいて、クライアント単位で作成され一のクライアントと同一グループを構成する他のクライアントが登録されたメンバリストと、ログインしたクライアントの収容サーバが登録された収容表とを備え、前記メンバリストと前記収容表とを用いて接続先サーバを決定することを特徴とする。
【0016】
このように構成したことにより、前記メンバリストと前記収容表とを用いて接続先サーバを決定するので、収容表を参照して各クライアントの収容サーバを取得でき、各クライアントの収容サーバ情報を用いることでサーバ間通信が抑制されるように接続先サーバを決定することができる。
【0017】
また本発明は、上記接続先決定サーバにおいて、クライアントのログイン時及び又はログアウト時に、当該クライアントのメンバリストを評価して、前記サーバ間の通信量が抑制されるように、前記収容表上における当該クライアントの収容サーバを再配置することを特徴とする。
【0018】
このように構成したことにより、ログイン時及び又はログアウト時にメンバリストの評価による再配置を実施するので、通信が発生する相手が少ないサーバに収容が固定化するのを防止することができる。
【0019】
また本発明は、多数のクライアントを複数のサーバに分散収容してクライアント間の情報交換サービスを提供するサービス提供システムにおいて、サービス提供を受けるためにネットワークを経由してアクセスしてきたクライアントに対して、前記サーバ間の通信量が抑制されるように接続先サーバを決定することを特徴とする負荷分散方法である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、大規模ユーザを複数のサーバに負荷分散させる場合、負荷分散したサーバ間を連携するためのサーバ間通信量を抑制することができ、収容ユーザの増大にもシステム変更を行うことなく対応することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
図1は本発明の接続先決定サーバ10をプレゼンスシステムに適用した一実施の形態の概略構成を示す図である。同図に示すプレゼンスシステムにおいて、接続先決定サーバ10、クライアント11a〜11h及び収容サーバ12A,12Bは、インターネット又はLAN等のネットワークを経由して相互に接続される。
【0022】
各クライアント11a〜11hは、ネットワーク通信機能を備えたコンピュータで構成されるユーザ側情報通信端末である。クライアント11a〜11hには、サービス提供を受けるのに必要なプログラムがインストールされている。本実施の形態のプレゼンスシステムでは、ログインしている各クライアント11a〜11hから各ユーザのプレゼンス情報が収容先サーバに収集されると共に、他のユーザのプレゼンス情報がリアルタイムで各クライアント11a〜11hに配信されて表示されるように構成される。
【0023】
複数の収容サーバ12A,12Bは、負荷分散を図るための負荷分散サーバを構成している。図1には、説明の都合上、2つの収容サーバ12A,12Bが示されているが、ユーザ収容数に応じた多数の収容サーバで本プレゼンスシステムは構築される。収容サーバ12A,12Bは、プレゼンスシステムにログインしているクライアント11b、11f等からプレゼンス情報を収集して管理し、他のメンバー(クライアント)へ変化のあったプレゼンス情報を通知する。プレゼンス情報に変化のあったメンバーが他のサーバに収容されている場合、サーバ間通信を介して他の収容サーバのクライアントへプレゼンス情報を送信する。
【0024】
なお、プレゼンス情報とは、一般に人や物が変化する状態を示す情報のことであり、例えば「在席・離席」、「稼動・停止」、「電話中」、「会議中」等を表す情報を指している。前述したメッセンジャーサーバと本実施の形態のプレゼンスシステムとを組み合わせることで、メッセンジャーシステムにログインしたクライアントのメンバリストに登録された他のメンバーのプレゼンス情報を表示することができる。
【0025】
接続先決定サーバ10は、サービス提供を受けるためにログインして来たクライアントの接続先となる収容サーバを決定する。本実施の形態では、プレゼンス情報の通信が同一収容サーバ内で実行され、できる限りサーバ間通信が発生しないように接続先の収容サーバとなる接続先サーバを決定する。接続先決定サーバ10は、クライアント名と収容サーバとを対応させた収容表13と、クライアントが参加しているグループ毎に他の参加メンバーをリスト化したメンバリスト14とが登録されたデータベース15から接続先決定に必要な情報を取得する。
【0026】
収容表13には、現在ログインして特定の収容サーバに接続されているクライアントだけでなく、未ログインクライアントについても登録して収容サーバを決めて登録しておくことができる。例えば、同一のメンバリストに登録されているクライアントは同一の収容サーバに接続すれば、プレゼンス情報の通信は同一収容サーバ内で実行されることになるので、ログイン前にメンバリストが登録されているクライアントに関しては予め収容表13に登録しても良い。又は、グループ形成されていなくても、ログインすれば高い通信頻度で情報交換することが予想されるクライアント同士についてはログインして来た場合には同一収容サーバに収容されるように事前に収容表13に登録しておくことが望ましい。
【0027】
メンバリスト14は、クライアントからの要求によって収容サーバ12A,12B上で順次作成可能であり、新しく作成されたメンバリストは収容サーバ12A,12Bから接続先決定サーバ10を経由して又は収容サーバ12A,12Bから直接データベース15に登録される。メンバリスト14に登録されるクライアントの追加/削除もクライアントからの要求によって上記同様に逐次実行される。一人のユーザ(クライアント)が複数のメンバリスト14に登録されることもあり得る。
【0028】
次に、以上のように構成された本実施の形態の動作について説明する。
図2(a)に示すように、データベース15の収容表13にはクライアント11b〜11d、11f、11gが登録されており、クライアント11b〜11dは収容サーバ12Aに収容されており、クライアント11f、11gは別の収容サーバ12Bに収容されているものとする。また、図2(b)に示すように、これからログインするクライアント11aのメンバリスト14には一方の収容サーバ12Aに収容されたクライアント11b〜11dが登録されているものとする。または、ログイン要求は接続先決定サーバ10で受け取り、ログインは収容サーバに対して行う。
【0029】
図3は接続先決定サーバ10におけるクライアントログイン時の接続先サーバ決定の処理内容を示すフロー図である。クライアント11aは、プレゼンスシステムにログインしてサービス提供を受ける場合、接続先決定サーバ10に対してネットワーク経由でログイン要求を出す。なお、クライアントがログインする相手及びタイミングについてはこれに限定されるものではなく、接続先決定サーバ10から指示された収容サーバに接続するときであっても良い。この場合、接続先決定サーバ10に対してログイン要求ではなく、単なるアクセス要求となる。
【0030】
接続先決定サーバ10は、クライアント11aからログイン要求を受け取ると(ステップS1)、当該クライアント11aのメンバリスト14がデータベース15に存在するか否か判断する(ステップS2)。クライアント11aがプレゼンス情報のサービスを受ける何らかのグループに属していれば、クライアント11aのメンバリスト14が登録されている可能性がある。本例では、クライアント11aのメンバリスト14として図2(b)に示すものが登録されている。
【0031】
接続先決定サーバ10は、図2(b)に示すメンバリスト14に登録されているクライアント11b〜11dが全員同じ収容サーバに収容されているか否か判断する(ステップS3)。収容表13からメンバーの各クライアント11b〜11dが収容されている収容サーバを特定する。本例では、図2(a)に示すようにクライアント11b〜11dは同じ収容サーバ12Aに収容されている。したがって、他のメンバーであるクライアント11b〜11dと同じ収容サーバ12Aを接続先サーバに決定する(ステップS9)。
【0032】
また、メンバリスト14に登録されている各クライアント11b〜11dが収容されている収容サーバが複数存在する場合もあり得る。この場合は、メンバリスト14に登録されているクライアントが最も多く収容されている収容サーバを接続先サーバに決定する(ステップS4)。なお、ステップS3の判断を経ずにステップS4の判断を行うようにしても良いが、収容表13のクライアント数が多くなった場合には処理時間が長くなる可能性がある。
【0033】
このように、クライアント11aのメンバリスト14に登録された各クライアント11b〜11dと同じ収容サーバ12Aを接続先サーバに決定することにより、クライアント11a及びクライアント11b〜11dの間でプレゼンス情報の交換が発生しても収容サーバ12Aで閉じた通信となり、他の収容サーバ12Bとの間の通信は不要である。
【0034】
また、メンバリスト14に登録されたクライアントのうち最も多くのクライアントが収容されている収容サーバを接続先サーバとすることにより、収容サーバの数を抑えることができ、多数の収容サーバに分散して収容される場合に比べて、サーバ間通信量を抑制する効果が期待される。
【0035】
以上のようにして接続先サーバが決定すると、次に接続先決定サーバ10は、ログイン要求元のクライアント11aに対して接続先サーバ(12A)にアクセスするための情報(IPアドレス又はURL等)を送信する(ステップS5)。このとき、接続先決定サーバ10は、接続先サーバとして1つだけではなく、次候補まで決めてクライアント11aに指示するようにしても良い。
【0036】
クライアント11aは、接続先決定サーバ10から接続すべき収容サーバ12Aのアクセス情報(IPアドレス又はURL等)が指示される。接続先決定サーバ10から指示された収容サーバ12Aに対して上記アクセス情報を用いてアクセスしてログインした後、参加要求を行う。収容サーバ12Aでサービス停止等していなければ、接続に成功してプレゼンスサービスを受けられるようになる。一番目の収容サーバ12Aが過負荷状態やシステム停止等で接続できなかった場合は次候補の収容サーバにアクセスすることになる。収容サーバ12A又は12Bに接続成功してログインが完了したクライアント11aは、接続先決定サーバ10に対して収容サーバを通知する。既に、収容表13に登録されていて同じ収容サーバに収容された場合は、登録内容は変更しない。
【0037】
接続先決定サーバ10は、クライアント11aからいずれの収容サーバにも接続できなかった旨の通知が送られてきた場合(ステップS6)、エラー処理する。また指示した接続先サーバに接続成功した旨の通知が送られてきた場合は、収容表13に当該クライアント11a及びその接続先サーバ(収容サーバ)を登録する(ステップS7)。
【0038】
なお、以上の説明では図3のステップS4において、ログイン時にメンバーが最も多く収容されている収容サーバを接続先サーバに決定したが、本発明はこの条件に限定されるものではない。例えば、当該クライアントのメンバリスト14に登録された他のクライアントの中で最も通信頻度の高いクライアント、又はメンバリスト14に登録された他のクライアントの中で当該クライアントとの通信頻度が最も高いクライアントの収容サーバを接続先サーバに決定する。各クライアントの通信頻度は、メンバリスト14に登録されている各クライアントと対応付けて登録することにより、各クライアントがどのクライアントとの通信頻度が高いかを判断することが可能になる。または、グループ内で最も通信頻度の高いクライアントを特定しておき、その情報をデータベース15で管理するようにしても良い。
【0039】
したがって、所定グループ(メンバー)に含まれる各クライアントの接続先サーバを最も通信頻度の多いクライアントの収容サーバとなるように操作することで、メンバリスト上の各クライアントの接続先サーバが最も通信頻度の多いクライアントの収容サーバに収束されていき、サーバ間通信量を抑制することができる。
【0040】
また、収容表13を検索して一番先にヒットしたクライアントの収容サーバを接続先サーバに決定するようにしても良い。あるいは、当該クライアントと一番最後に通信したクライアントの収容サーバを接続先サーバに決定しても良い。このために、クライアント毎に最後に通信した他のクライアントの情報を管理する。
【0041】
また、ログアウト時に接続先サーバを決定して登録し、次回ログイン時に前回ログアウト時に登録した接続先サーバに接続するようにしても良い。
【0042】
図4は、クライアントのログアウト時に、接続先サーバを決定して登録(更新を含む)するフロー図である。
【0043】
クライアント11a等がプレゼンスシステムからログアウトすると、当該クライアントの収容サーバ又は当該クライアントから接続先決定サーバ10に対してログアウトが通知される(ステップS20)。
【0044】
接続先決定サーバ10は、ログアウトするクライアントのメンバリスト14及び収容表13を参照して、ログアウト時にメンバーが最も多く収容されている収容サーバを検出する(ステップS21)。この検出された収容サーバを次回接続時の接続先サーバに決定して(ステップS22)、現時点で収容表13に登録されている当該クライアントの収容サーバと相違していれば(ステップS23)、今回決定した接続先サーバに書き換える(ステップS24)。
【0045】
上記したように、ログアウト時に接続先サーバを決定する場合、ログイン時にはログイン要求してきているクライアントを収容表13から検索して、前回ログアウト時に収容表13に登録した収容サーバを接続先サーバに決定する。なお、収容表13に登録されていないクライアントのログイン要求に対しては、図3のステップS2〜S4、S8、S9と同様にして接続先サーバに決定することができる。
【0046】
また、ログアウト時に接続先サーバを決定する場合においても、図4のステップS21以外のアルゴリズムにしたがってサーバ間通信量が抑制されるように接続先サーバを決定しても良い。例えば、サービス提供を受けていたクライアントのログアウト時に、当該クライアントと最も通信頻度の高いクライアントを検索し、その検索された通信頻度の最も高いクライアントと同じ収容サーバが接続先サーバとなるようにしても良い。または、当該クライアントと一番最後に通信したクライアントの収容サーバを収容表13から検索して接続先サーバに決定しても良い。
【0047】
図5は、図1に示す接続先決定サーバ及び複数の収容サーバで構築されたプレゼンスシステムの詳細なシステム構成を示す図である。加入者管理サーバCSが加入者ユーザのデータを管理すると共に他のアプリケーションシステム(例えばメッセンジャーシステム)とのインターフェースとして機能する。さらに加入者管理サーバCSは接続先決定サーバ10として機能する。データベースDBには収容表13及びメンバリスト14が登録される。ログイン管理サーバUIS1、UIS2は、ログインしている配下のクライアントの情報を一時的に保持する。プレゼンス情報管理サーバPIS1,PIS2は、配下のクライアントのプレゼンス情報のマスター情報を保持しており、必要に応じてPIS1,PIS2間でプレゼンス情報を交換する。呼接続サーバCCS1,CCS2は配下のクライアントのIPアドレスを一時的に保持すると共に呼接続を行う。呼接続サーバCCS1,CCS2間で必要に応じてクライアントのIPアドレスを交換する。プレゼンスサーバPS1〜PS6は、配下のクライアントのプレゼンス情報を保持すると共に配下のクライアントに配下にないクライアントのプレゼンス情報の配信を行う。
【0048】
プレゼンス情報管理サーバPIS1は、配下のプレゼンスサーバPS1〜PS3に収容されているクライアントのプレゼンス情報を管理しており、もう一方のプレゼンス情報管理サーバPIS2は配下のプレゼンスサーバPS4〜PS6に収容されているクライアントのプレゼンス情報を管理している。
【0049】
呼接続サーバCCS1は、プレゼンス情報管理サーバPIS1配下のプレゼンスサーバPS1〜PS3に収容されているクライアントのIPアドレスを保持し、もう一方の呼接続サーバCCS2は、プレゼンス情報管理サーバPIS2配下のプレゼンスサーバPS4〜PS6に収容されているクライアントのIPアドレスを保持している。
【0050】
以上のように構成されたプレゼンスシステムにおいて、クライアントZが加入者管理サーバCSに対してログイン要求するものとする。図6(a)(b)に示す収容表13及びメンバリスト14がデータベースDB15に登録されていたとする。この場合、クライアントZのメンバリスト14にはクライアントA,B,Cが登録されており、収容表13にはクライアントA,B,Cの全員が同じ呼接続サーバCCS1及びプレゼンスサーバPS1に収容されている。このような場合、呼接続サーバCCS1及びプレゼンスサーバPS1を接続先サーバに決定すれば、クライアントA,B,Cのプレゼンス情報に変化があったとしても他のプレゼンスサーバPS2等との間の通信は発生しない。
【0051】
また、図6(c)(d)に示す収容表13及びメンバリスト14がデータベースDB15に登録されていたとする。この場合、クライアントZのメンバリスト14に登録されているクライアントD,Eの収容サーバが他のクライアントA,B,Cの収容サーバと異なっている。クライアントA,B,Cの収容サーバ(CCS1,PS1)がメンバリスト14中で最も多くのクライアントを収容しているので、呼接続サーバCCS1及びプレゼンスサーバPS1を接続先サーバに決定することが望ましい。少なくとも、同一の収容サーバ(CCS1,PS1)に収容されるクライアントA,B,C、Z間ではプレゼンス情報に変化があったとしてもサーバ間通信は発生しないことになる。
【0052】
また、図7(a)(b)に示すように、クライアントZのメンバリスト14に登録されているクライアントA,B,Cのいずれもが収容表13に登録されていなければ、その時点で収容クライアント数の少ない呼接続サーバCCS及びプレゼンスサーバPSを接続先サーバに決定する。
【0053】
また、異なるサービス提供プロバイダが運営するプレゼンスシステム同士を連携させて複数のプロバイダに跨るシステムを構築することもできる。この場合、異なるプロバイダ同士でネットワーク経由で各加入者管理サーバCS、プレゼンス情報管理サーバPIS及び呼接続サーバCCSを接続して情報を交換するようにする。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、多数のクライアントを収容するために複数の負荷分散サーバを備えるサービス提供システムに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の一実施の形態に係るプレゼンスシステムの概略的な構成図
【図2】図1に示すプレゼンスシステムのデータベースに登録された収容表及びメンバリストを示す図
【図3】上記一実施の形態において接続先サーバを決定するフロー図
【図4】上記一実施の形態においてログアウト時に接続先サーバを決定するフロー図
【図5】上記一実施の形態に係るプレゼンスシステムの詳細なシステム構成を示す図
【図6】図5に示すシステム構成での収容表及びメンバリストの設定例を示す図
【図7】図5に示すシステム構成での収容表及びメンバリストの他の設定例を示す図
【図8】従来のプレゼンスシステムの概略的な構成図
【符号の説明】
【0056】
10…接続先決定サーバ
11a〜11h…クライアント
12A,12B…収容サーバ
13…収容表
14…メンバリスト
15…データベース
CS…加入者管理サーバ
UIS…ログイン管理サーバ
PIS…プレゼンス情報管理サーバ
CCS…呼接続サーバ
PS…プレゼンスサーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数のクライアントを複数のサーバに分散収容してクライアント間の情報交換サービスを提供するサービス提供システムにおいて、ネットワークを経由してアクセスしてきたクライアントに対して、前記サーバ間の通信量が抑制されるように接続先サーバを決定し、当該接続先サーバを前記アクセスしてきたクライアントに指示することを特徴とする接続先決定サーバ。
【請求項2】
一のクライアントと同一グループを構成する他のクライアントが当該一のクライアントのメンバリストに登録され、
前記一のクライアントの接続先サーバを決定する場合、当該一のクライアントのメンバリストに登録された他のクライアントが最も多く収容されている収容サーバを接続先サーバに決定することを特徴とする請求項1記載の接続先決定サーバ。
【請求項3】
一のクライアントと同一グループを構成する他のクライアントが当該一のクライアントのメンバリストに登録され、
前記一のクライアントの接続先サーバを決定する場合、当該一のクライアントのメンバリストに登録された他のクライアントの中で最も通信頻度の高いクライアントの収容サーバを接続先サーバに決定することを特徴とする請求項1記載の接続先決定サーバ。
【請求項4】
一のクライアントと同一グループを構成する他のクライアントが当該一のクライアントのメンバリストに登録され、
前記一のクライアントの接続先サーバを決定する場合、当該一のクライアントのメンバリストに登録された他のクライアントの中で最後に通信したクライアントの収容サーバを接続先サーバに決定することを特徴とする請求項1記載の接続先決定サーバ。
【請求項5】
クライアント単位で作成され一のクライアントと同一グループを構成する他のクライアントが登録されたメンバリストと、ログインしたクライアントの収容サーバが登録された収容表とを備え、前記メンバリストと前記収容表とを用いて接続先サーバを決定することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の接続先決定サーバ。
【請求項6】
クライアントのログイン時及び又はログアウト時に、当該クライアントのメンバリストを評価して、前記サーバ間の通信量が抑制されるように、前記収容表上における当該クライアントの収容サーバを再配置することを特徴とする請求項5記載の接続先決定サーバ。
【請求項7】
多数のクライアントを複数のサーバに分散収容してクライアント間の情報交換サービスを提供するサービス提供システムにおいて、サービス提供を受けるためにネットワークを経由してアクセスしてきたクライアントに対して、前記サーバ間の通信量が抑制されるように接続先サーバを決定することを特徴とする負荷分散方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−129981(P2008−129981A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−316708(P2006−316708)
【出願日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【出願人】(303067478)株式会社 ネクストジェン (12)