説明

接続構造

【課題】 接触面積を大きくするとともに、接続部での接触強度を高めて接続を安定なものとし、電気信号を効率良く流すことのできる接続構造を提供すること。
【解決手段】 接続構造10は、一主面2aと他主面2bとを有する第1リード2と、一主面3aと、第1リード2の一主面2aと対向する他主面3bとを有する第2リード3と、相対する2面を有し、2面で第1リード2の他主面2bと第2リード3の一主面3aとを押圧する押圧手段4と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、大電流素子と端子部材とを接続するために、例えば、大電流素子の端子部と端子部材のそれぞれにねじ止め用の孔を設けておき、大電流素子の端子部と端子部材とをねじ止め固定する接続構造が採られていた(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】実開平7−115554号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の接続構造は、端子部材にねじ止め用の孔を設ける構造であるため、孔の周辺では端子部材の幅が狭くなる。端子部と端子部材との接触は、孔の周辺で行われるため、端子部と端子部材との接触面積が小さいものとなる。それゆえ、接続部に電流を流すと接続部は発熱する。その結果、接続部に不具合が生じるおそれがあった。
【0004】
また、従来の接続構造は、ねじ止め部で局所的に応力が加わるため、ねじ止め部以外では、端子部と端子部材とが離間し易く、接続部における接触抵抗が増加するおそれがあった。
【0005】
そこで、端子部と端子部材との接触面積を大きくするとともに、接続部における接触抵抗を抑制し、電気信号を効率良く流すことのできる接続構造を提供することが望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施態様にかかる接続構造は、一主面と他主面とを有する第1リードと、一主面と、前記第1リードの一主面と対向する他主面とを有する第2リードと、相対する2面を有し、該2面で前記第1リードの他主面と前記第2リードの一主面とを押圧する押圧手段と、を具備する。
【発明の効果】
【0007】
本実施形態にかかる接続構造は、一主面と他主面とを有する第1リードと、一主面と、前記第1リードの一主面と対向する他主面とを有する第2リードと、相対する2面を有し、該2面で前記第1リードの他主面と前記第2リードの一主面とを押圧する押圧手段と、を具備することから、押圧手段の使用により、従来のボルト及びナットを用いた接続構造のように、第1リード及び第2リードに孔を設けなくともよいため、第1リードと第2リードとの接触面積を増加できる。
【0008】
その上、従来の接続構造よりも、第1リードの一主面、及び第2リードの他主面に均等に荷重を加え易いため、端子部と端子部材とが離間することを抑制できる。その結果、接続部における接触抵抗を低減し、電気信号を効率良く流すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の一実施形態を示す接続構造10について、以下に詳細に説明する。
【0010】
図1に示すように、本実施形態にかかる接続構造10は、一主面2aと他主面2bとを有する第1リード2と、一主面3aと、前記第1リード2の一主面2aと対向する他主面3bとを有する第2リード3と、相対する2面を有し、該2面で前記第1リード2の他主面2bと前記第2リード3の一主面3aとを押圧する押圧手段4と、を具備する。
【0011】
この場合、押圧手段4を用いることで、従来のボルト及びナットを用いた接続構造のように、第1リード2及び第2リード3に孔を設けなくともよいため、第1リード2と第2リード3との接触面積を増加できる。
【0012】
その上、従来の接続構造よりも、第1リード2の一主面2a、及び第2リード3の他主面3bに均等に荷重(押圧力)を加え易いため、第1リード2と第2リード3とが離間することを抑制できる。その結果、第1リード2と第2リード3との接続部における接触抵抗を低減し、電気信号を効率良く流すことができる。また、本実施形態によれば、第1リード2と第2リードとの離間に伴って、第1リード2の一主面2a及び第2リード3の他主面3bに、酸化膜が形成されることを抑制できるため、長期信頼性の高い接続構造を提供することができる。
【0013】
図1に示すように、本実施形態にかかる接続構造10は、例えば電子装置1のリード端子(第1リード2)を外部リード端子(第2リード3)に接続させる箇所に適用される。
【0014】
電子装置1は、例えば、光通信分野や無線通信分野で使用される半導体装置や、大電流を制御するために使用される電力変換装置等が挙げられる。勿論、これらの電子装置1の接続に限定されることはなく、電気的接続がなされる様々の用途の電気的な接続箇所に本発明の接続構造10を採用することができる。
(第1リード、第2リード)
第1リード2及び第2リード3の材質は、例えば、銅(Cu),銀(Ag),アルミニウム(Al),鉄(Fe)−ニッケル(Ni)−コバルト(Co)合金,Fe−Ni合金,Fe,ステンレス鋼(SUS)等の金属からなる。なお、第1リード2又は第2リード3の表面には、従来周知のめっき処理等を施すことにより、第1リード2と第2リード3の表面の硬度を小さくしたり、電気抵抗を小さくすることができる。特に、第1リード2と第2リード3の表面に金(Au)めっきを施すのが好ましい。この構成により、硬度が小さく、且つ、電気抵抗が小さい金属層を形成することができることから、第1リード2と第2リード3とを押圧した時の密着性を向上させ、且つ、接触抵抗を低減させるとともに導電性を向上させることができる。
【0015】
特に、第1リード2及び第2リード3は、銅(Cu)又は銀(Ag)から成ることが好ましい。銅(Cu)及び銀(Ag)は、他の材料よりも電気抵抗が小さいため、電気信号を伝送させる用途の第1リード2及び第2リード3には好適な材料である。それゆえ、電気抵抗が小さく、伝送される電気信号の抵抗損失を小さなものとすることができる第1リード2及び第2リード3とできる。
【0016】
また、第1リード2及び第2リード3を上記銅(Cu)又は銀(Ag)で構成すれば、他の材料と比較して、リード自体の放熱性が高いため、特に大電流の用途で、第1リード2及び第2リード3において発生する熱を第1リード2及び第2リード3の表面から外部に放熱させることができる。
【0017】
それゆえ、熱による第1リード2及び第2リード3の破断を防止することができるだけではなく、熱により第1リード2及び第2リード3に接続される電子部品の作動性が低下することを抑制できる。
【0018】
第1リード2及び第2リード3の形成方法は、上記金属のインゴットに引き抜き加工や圧延加工を施して柱状体又は板状体を形成し、さらにプレス加工やエッチング加工等の金属加工を施すことによって、四角平板状等の所定形状に形成される。又は、金属線材を所定長さに切断するとともにプレスフォーミングすることによって、所定形状に形成される。
【0019】
このように形成された第1リード2及び第2リード3は、例えば図1に示すように、電子装置1のリード端子とそれに接続される外部リード端子となる。
【0020】
ここで、電子装置1と第1リード2との接続方法は、例えば、貫通孔を有する容器の内外を挿通するように第1リード2を載置し、その後、第1リード2と貫通孔とをAg−Cuロウ等のロウ材やガラス,樹脂接着剤等の接合材を介して接合させる。若しくは、第1リード2と電子部品とを電気的に接続させた後、樹脂モールド成型によって電子装置1を形成すると同時に電子装置1へ第1リード2を取り付けてもよい。
(押圧手段)
本実施形態にかかる押圧手段4は、第1リード2の一主面2aと第2リード3の他主面3bとを押圧するものである。
【0021】
第1リード2と第2リード3との接合部に押圧手段4を取り付けて接続固定させることにより、従来の第1リード2,第2リード3に孔をあける必要がある固定部材(ボルト、ナット)を使用する接続固定構造に比べ、接触面積を増加できるだけではなく、第1リード2の一主面2a、及び第2リード3の他主面3bは、押圧手段4によって押し付けられて変形する。それゆえ、第1リード2と第2リード3との接触面積が増加し、接触抵抗を低減することができる。その結果、第1リード2及び第2リード3に電気信号を効率良く流すことができる。
(本実施形態)
本実施形態にかかる押圧手段4の形状は、図2(a)に示すクリップ状のものである。この場合、任意の箇所に押圧手段4を容易に取付けることができるため、従来のボルト及びナットを使用した接続構造と比較して作業性が向上する。
【0022】
また、図2(b)に示すように、複数の押圧手段4を備え、両者が対向するように取付ければ、第1リード2と第2リード3との接続部に歪みが生じることを抑制できるため、
さらに接続部における接触抵抗を低減し、第1リード2及び第2リード3に電気信号を効率良く流すことができる。
【0023】
本実施形態にかかる押圧手段4の材質は、エポキシ樹脂,アクリル樹脂,シリコーン樹脂等の樹脂、フッ素ゴム,ニトリルゴム,エチレンプロピレンゴム,ブタジエンゴム等のゴム、Cu,Ag,Al,Fe−Ni−Co合金,Fe−Ni合金,Fe,SUS等の金属、アルミナ(Al)質セラミックス,窒化アルミニウム(AlN)質セラミックス,ムライト(3Al・2SiO)質セラミックス,ジルコニア(ZrO)質セラミックス,窒化珪素(Si)質セラミックス,炭化珪素(SiC)質セラミックス等のセラミックス、ガラス等を用いることができる。また、Cu,Ag,Al,Fe−Ni−Co合金,Fe−Ni合金,Fe,SUS等の金属を用いても良い。
【0024】
押圧手段4が弾性体からなる場合は、弾性体の弾性力により第1リード2の他主面2bと第2リード3の一主面3aとを押圧することができる。すなわち、押圧手段4の弾性力によって第1リード2と第2リード3とを押圧し続けることができ、より確実に押圧することができる。その結果、第1リード2と第2リード3との接続の信頼性をさらに向上させることができる。
【0025】
また、図1に示すように、押圧手段4は、第1リード2と第2リード3とが重なる領域の全面で、相対する2面を押圧することが好ましい。
【0026】
この構成により、第1リード2と第2リード3との接続される面積を最大限確保するとともに、第1リード2と第2リード3の跳ね返りによる接触面積低減を抑制することができ、電気信号をさらに効率良く流すことができる。
(第1変形例)
また、接続構造10の第1変形例を図3(a)、図3(b)に示す。
【0027】
第1変形例において、押圧手段4は、筐体状のものである。また、筐体4aは、第1リード2又は第2リード3の長手方向にスライド可能な開口部を有する。
【0028】
第1変形例にかかる押圧手段4は、クリップ形状のものよりも第1リード2と第2リード3との接続を強固なものとすることができる。その上、衝撃によってもリードどうしが位置ずれしにくくなる。
【0029】
また、押圧手段4は長手方向にスライド可能であることから、第1リード2と第2リード3との接続箇所を長手方向にずらして微調整することも可能である。この場合、特に、透明樹脂,ガラス等の透明部材から成るのが好ましく、第1リード2と第2リード3との接続箇所を目視しながら調整することでき、微調整が容易となる。
【0030】
なお、筐体4aの材質は、上述した押圧手段4の材料を用いることができる。
【0031】
特に、フッ素ゴム,ニトリルゴム,エチレンプロピレンゴム,ブタジエンゴム等のゴムの場合、適度な弾性を有するとともに取り付け易いという理由により、第1リード2及び第2リード3との接続部を容易かつ確実に押さえ付け、第1リード2と第2リード3との接続の信頼性を向上できる。また、筐体4aの材質がゴムの場合、第1リード2と第2リード3の表面を傷つけることを抑制できるという効果を奏する。
(第2変形例)
さらに、接続構造10の第2変形例を図4に示す。
【0032】
第2変形例において、押圧手段4は、上述した第1変形例の筐体4aを万力の機構を組み込んだものである。
【0033】
万力の機構を用いることにより、第1リード2の一主面2a、及び第2リード3の他主面3bの接合面積を増加させ易い。それゆえ、接続部における接触抵抗をより低減し、電気信号を効率良く流すことができる。
【0034】
すなわち、押圧手段4は、筐体4aにねじ孔が設けられるとともに、ねじ4bが挿通され、ねじ4bの下端に座金4cが設けられている構成である。
【0035】
このような押圧手段4は、筺体4aに螺子孔が設けており、該螺子孔にねじ4bが嵌め合うことにより、座金4cと筐体4aとの間に第1リード2と第2リード3とが挟まれて、第1リード2の他主面2bと第2リード3の一主面3aとが接触させ易い。
【0036】
なお、座金4cを設けずに、ねじ4bの先端と筐体4aとの間に第1リード2と第2リード3とを挟んでもよいが、座金4cを設けることにより第1リード2と第2リード3の接続箇所全面を均等に押圧できるため、ねじ4bの先端で第2リード3の一主面3aを傷つけることを抑制できる。
【0037】
筐体4a,ねじ4b,座金4cは、金属から成ることが好ましい。すなわち、金属は、セラミックスや樹脂と比較して、剛性や弾性が高いため、ねじ4bの緩みを抑制し、第1リード2と第2リード3とを長期にわたって強固に接続した状態を保持することができる。加えて、従来周知の金属加工で、筐体4a,ねじ4b,座金4cを効率良く製造することができるという利点がある。
【0038】
また、筐体4a,ねじ4b,座金4cは、第1リード2及び第2リード3よりも硬度の高い材料、即ち、第1リード2と第2リード3よりも硬い材料からなるのがよい。この構成により、筐体4a,ねじ4b,又は座金4cが変形することを抑制し、第1リード2と第2リード3とを強固に締め付けることができる。
【0039】
また、2面を構成する部材は、絶縁体であることが好ましい。
【0040】
この構成により、2面より押圧手段4に電気信号が流れるのを防止することができる。従って、押圧手段4に触れてしまった場合にも、感電したりショートしたりするのを防止することができ安全性に優れたものとなる。
【0041】
また好ましくは、筐体4aは、第1リード2及び第2リード3よりも縦弾性係数が大きいのがよい。この構成により、筐体4aによって第1リード2と第2リード3とを確実に押圧することができる。その結果、第1リード2と第2リード3との接続の信頼性をさらに向上させることができる。
【0042】
縦弾性係数は、所定の荷重を各部材に加えたときの変位量を基にしてバネ定数の形で算出することができる。
【0043】
なお、比較対象部材の形状が異なる場合や、対象部材が複数の構成要素からなる場合であって上記方法による縦弾性係数の特定が難しい場合は、部材形状、部材材料の物性値(バネ定数など)、押圧力及び押圧方向などを用いて、有限要素法解析による算出が可能である。
【0044】
なお、以上の実施の形態の例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内であれば種々の変更を行なうことは何等支障ない。
【0045】
例えば、図1では電子装置1のリード端子が外部リード端子に接続させる箇所の接続構造10の例を示したが、本発明は、これに限定されることはなく、電気的接続がなされる種々様々な用途の電気的な接続箇所に用いることができることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本実施形態の接続構造を示す平面図である。
【図2】(a)、(b)は、本実施形態の接続構造を示す斜視図である。
【図3】(a)は第1変形例の接続構造を示す平面図であり、(b)は(a)に示す接続構造のX−X’線における断面図である。
【図4】第2変形例の接続構造を示す断面図である。
【符号の説明】
【0047】
1:電子装置
2:第1リード
2a:第1リードの一主面
2b:第1リードの他主面
3:第2リード
3a:第2リードの一主面
3b:第2リードの他主面
4:押圧手段
4a:筐体
4b:ねじ
4c:座金
10:接続構造

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一主面と他主面とを有する第1リードと、
一主面と、前記第1リードの一主面と対向する他主面とを有する第2リードと、
相対する2面を有し、該2面で前記第1リードの他主面と前記第2リードの一主面とを押圧する押圧手段と、
を具備した接続構造。
【請求項2】
前記押圧手段は、前記第1リードと前記第2リードとが重なる領域の全面で、前記相対する2面を押圧することを特徴とする請求項1に記載の接続構造。
【請求項3】
前記押圧手段は、前記第1リード又は前記第2リードの長手方向にスライド可能な開口部を有する筐体から成ることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の接続構造。
【請求項4】
前記押圧手段は、弾性体から成り、該弾性体の弾性力により前記第1リードの他主面と前記第2リードの一主面とを押圧するものであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の接続構造。
【請求項5】
前記押圧手段は、万力であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の接続構造。
【請求項6】
前記2面を構成する部材は、絶縁体であることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の接続構造。
【請求項7】
前記筐体は、前記第1リード及び前記第2リードよりも縦弾性係数が大きいことを特徴とする請求項3に記載の接続構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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