接続構造
【課題】各接点の結合力を安定させることができる接続構造を提供する。
【解決手段】第1接続端子3a〜3cと第2接続端子23a〜23cとの接続において、接続部材38を可動部材10a〜10cの螺合部のそれぞれに螺合させるときに、各段の押圧部41a〜41cが各段の可動部材10a〜10cの螺合部を順次挿通して対応する可動部材10a〜10cの螺合部に螺合するように、各段の可動部材10a〜10cの螺合部と各段の押圧部41a〜41cの径を段階的に異ならせた接続構造である。
【解決手段】第1接続端子3a〜3cと第2接続端子23a〜23cとの接続において、接続部材38を可動部材10a〜10cの螺合部のそれぞれに螺合させるときに、各段の押圧部41a〜41cが各段の可動部材10a〜10cの螺合部を順次挿通して対応する可動部材10a〜10cの螺合部に螺合するように、各段の可動部材10a〜10cの螺合部と各段の押圧部41a〜41cの径を段階的に異ならせた接続構造である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ハイブリッド車、電気自動車などのエコカーに用いられ、特に、大容量の電力を伝達する際に用いられる電力ハーネスのコネクタに採用される可能性がある接続構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、著しい進歩を遂げている、例えば、ハイブリッド車、電気自動車などにおいて、モータとインバータとの間、又はインバータとバッテリとの間のように、機器間を接続する大容量の電力を伝達する際に用いられる電力ハーネスは、その一端側には、例えば、オス端子と該オス端子を収容する第1ターミナルハウジングを備えるオス側コネクタ部と、前記オス端子と接続されるメス端子と該メス端子を収容する第2ターミナルハウジングを備えるメス側コネクタ部との2分割構成のコネクタが備えられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
近年、こうしたエコカーは、省エネの性能を向上させることを目的に、全ての部品において軽量化が図られているが、軽量化を図る上で有効な手段の1つに、小型化を図るという目的に突き当たる。
【0004】
そこで、公知技術として、例えば、特許文献2のような技術がある。
【0005】
特許文献2に示された技術は、車両駆動用のモータから引き出される複数相の導電性部材の接続端子と、モータを駆動するインバータから引き出される複数相の電力線ケーブルの接続端子とを接続する車両用電気接続構造において、導電性部材の各相の接続端子と、対応する電力線ケーブルの各相の接続端子とが重合されると共に、接続端子の重合面とは反対側の面に絶縁部材が配置され、これら重合された各相の接続端子と絶縁部材とがこれらを貫く位置に設けられた単一のボルトで重合方向に締結固定される技術である。
【0006】
即ち、特許文献2の技術は、単一のボルトを重合方向に締め付けることで、接続端子の重合面である接続端子同士の接点を、複数点、一括して挟み込むことにより、接続端子同士を接点にて固定し電気的に接続される接続構造であるが、この様な構成は、特許文献1のような技術に比べ、小型化を図り易いという点において有効である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−070754号公報
【特許文献2】特許第4037199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献2の技術には、以下の問題点があった。
【0009】
それは、特許文献2の技術は、接続端子同士の接点を、複数点、一括して挟み込むことにより、接続端子同士を接点にて固定され、電気的に接続される接続構成であるため、各接点に対して同じ押圧力を付与することが難しく、結果として、各接点の結合力は、不安定となってしまっていた。この結合力の不安定さは、振動が発生し易い自動車に適用する際においてマイナス要素となってしまう。
【0010】
そこで、本発明は、上記の事情に鑑み為されたもので、各接点の結合力を安定させることができる接続構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、複数の第1接続端子が整列されて収納される第1ターミナルハウジングと、複数の第2接続端子が整列されて収納される第2ターミナルハウジングとを備え、前記第1ターミナルハウジングと前記第2ターミナルハウジングとを嵌合させると、前記複数の第1接続端子のそれぞれと前記複数の第2接続端子のそれぞれとが対となるように対面すると共に前記第1接続端子と前記第2接続端子とが交互に配置される積層状態となる接続構造において、前記第1接続端子同士及び前記第2接続端子同士を絶縁しつつ、前記複数の第1接続端子と前記複数の第2接続端子に係る複数の接点をそれぞれ押圧することにより、前記第1接続端子と前記第2接続端子とを各接点にて固定し電気的に接続される接続手段を有し、前記接続手段は、各段の前記第1接続端子のそれぞれに整列して設けられると共に螺合部を有し、前記第1接続端子を対面する前記第2接続端子に接触させるための複数の可動部材と、整列した各段の前記可動部材の前記螺合部のそれぞれに螺合すると共に前記複数の第1接続端子の上方に前記接点を押圧するための押圧部がそれぞれ形成された軸部を有する非導電性の接続部材とからなり、前記接続部材を前記可動部材の前記螺合部のそれぞれに螺合させるときに、各段の前記押圧部が各段の前記螺合部を順次挿通して対応する前記螺合部に螺合するように、各段の前記可動部材の前記螺合部と各段の前記押圧部の径を段階的に異ならせたことを特徴とする接続構造である。
【0012】
また、前記接続部材は、金属からなり、中心軸を形成する本体部と、絶縁体からなり、前記本体部の外周を覆うと共に前記押圧部を形成する絶縁部とからなることを特徴とする。
【0013】
また、前記可動部材は、規定の締め付けトルクが掛かると空回りするラチェット構造にされることを特徴とする。
【0014】
また、各第2接続端子は、前記第2ターミナルハウジング内に設けられた複数の支持部材によって、それぞれ所定の位置に整列されて支持されることを特徴とする。
【0015】
また、前記第1ターミナルハウジング及び/又は前記第2ターミナルハウジングには、前記第1ターミナルハウジングと前記第2ターミナルハウジングとを嵌合したときに、前記第1ターミナルハウジングと前記第2ターミナルハウジングとの間をシールするハウジング防水構造が設けられることを特徴とする。
【0016】
また、前記第1ターミナルハウジング及び/又は前記第2ターミナルハウジングには、前記複数の第1接続端子及び/又は前記複数の第2接続端子のそれぞれに接続されるケーブルを挿入するためのケーブル挿入孔が複数形成され、各ケーブル挿入孔のそれぞれには、前記ケーブルと前記第1ターミナルハウジングとの間、及び/又は前記ケーブルと前記第2ターミナルハウジングとの間をそれぞれシールするケーブル防水構造が設けられることを特徴とする。
【0017】
また、前記第1接続端子と前記第2接続端子との各接点では、それぞれ異なる電圧、電流の電気が送電されることを特徴とする。
【0018】
また、前記第1ターミナルハウジングと前記第2ターミナルハウジングとは、前記第1接続端子と前記第2接続端子が平面視で交差して接触するように嵌合されることを特徴とする。
【0019】
また、前記接続手段は、さらに、前記接続部材を前記第1ターミナルハウジング及び/又は前記第2ターミナルハウジングに固定するための固定手段を含み、前記固定手段は、前記第1ターミナルハウジングと前記第2ターミナルハウジングとを嵌合させたときに、前記各接点を押圧して固定すると共に前記第1ターミナルハウジングと前記第2ターミナルハウジングとを共締めして固定することを特徴とする。
【0020】
また、前記固定手段は、前記接続部材の先端部に形成されたネジ部と、前記第1ターミナルハウジング及び/又は前記第2ターミナルハウジングに形成され、前記ネジ部と螺合するネジ穴からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、各接点の結合力を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施の形態に係るコネクタを示す側断面図である。
【図2】オス側コネクタ部を示す側断面図である。
【図3】第1接続端子を示す図であり、(a)は側面図、(b)は上面図である。
【図4】メス側コネクタ部を示す側断面図である。
【図5】第2接続端子を示す図であり、(a)は側面図、(b)は上面図である。
【図6】接続部材を示す図であり、(a)は側面図、(b)は側断面図である。
【図7】図1のコネクタ要部を説明する図である。
【図8】図1のコネクタを用いた接続を説明する図であり、(a)は側断面図、(b)は上面図である。
【図9】図1のコネクタを用いた接続を説明する図であり、(a)は側断面図、(b)はオス側コネクタ部の正面図、(c)はメス側コネクタ部の正面図である。
【図10】図1のコネクタの効果を説明する図である。
【図11】(a)は第2接続端子の変形例を示す図であり、(b)は(a)の第2接続端子を用いた接続を説明する図である。
【図12】(a),(b)は図1のコネクタの変形例を示す図である。
【図13】図1のコネクタの変形例を示す図である。
【図14】可動部材を示す図であり、(a)は正面図、(b)は上面図、(c)は側面図である。
【図15】可動部材を示す図であり(a)は側断面図、(b)は(a)のA−A線断面図である。
【図16】スプリングを示す図であり、(a)は上面図、(b)は正面図である。
【図17】可動部材の製造方法を説明する図である。
【図18】(a),(b)は可動部材の製造方法を説明する図である。
【図19】可動部材の製造方法を説明する図である。
【図20】(a),(b)は本発明の接続構造の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0024】
本発明の接続構造の一例としてコネクタを説明する。
【0025】
図1は、本実施の形態に係るコネクタを示す側断面図である。
【0026】
図1に示すように、本実施の形態に係るコネクタ100は、オス側コネクタ部1とメス側コネクタ部2とで構成され、これらコネクタ部1,2を嵌合させることで、複数の電源ラインを一括して接続するためのものである。
【0027】
図2に示すように、オス側コネクタ部1は、内部に複数(3つ)の第1接続端子(オス端子)3a〜3cが整列されて収納される導電性の第1ターミナルハウジング4を備える。なお、ここでは、後述する接続部材38がある方の端子をオス端子とし、このオス端子を有する側のコネクタ部をオス側コネクタ部1と称している。つまり、第1ターミナルハウジング4がハウジングとしてオス(オス側ハウジング)であってもメス(メス側ハウジング)であっても良い。ここでは一例として第1ターミナルハウジング4がオス側ハウジングである場合を説明する。
【0028】
各第1接続端子3a〜3cは、それぞれケーブル5a〜5cに接続されている。これらケーブル5a〜5cでは、異なる電圧及び/又は電流の電気が送電される。例えば、本実施の形態においては、モータ、インバータ間用の三相交流の電源ラインを想定しており、各ケーブル5a〜5cには、120°位相の異なる交流が送電される。これらケーブル5a〜5cは、導体6の外周に絶縁層7を形成してなる。
【0029】
また、各第1接続端子3a〜3cは、図3に示すように、ケーブル5a〜5cの先端部から露出された導体6にかしめ接続されるかしめ部8と、かしめ部8と一体に形成された丸状接点9と、丸状接点9の下面(図示下側の面)に設けられたナットからなる可動部材10a〜10cとを有する。
【0030】
丸状接点9には、接続部材38を挿通するための円孔11が形成される。また、丸状接点9の先端部には、挿入性を向上させるべくテーパ部12が形成される。なお、本実施の形態では、可動部材10a〜10cは、後述するラチェット構造を具備しないナットであり、内部に螺合部である雌ネジを有する。
【0031】
各第1接続端子3a〜3cは、コネクタ100での送電ロスを低減するなどの目的のために、導電率の高い銀、銅、アルミニウムなどの金属で構成されると良い。
【0032】
再び図2を参照し、第1ターミナルハウジング4は、一端が開口された有底、且つ横断面矩形状の筒状体13からなる。
【0033】
筒状体13の開口側の外周部は、メス側コネクタ部2との嵌合性を考慮してテーパ形状に形成されている。また、筒状体13の開口側の外周部には、オス側コネクタ部1とメス側コネクタ部2との間をシールするハウジング防水構造14が設けられる。
【0034】
ハウジング防水構造14は、筒状体13の開口側の外周部に形成された凹部15と、凹部15に設けられたOリングなどのパッキン16とからなる。
【0035】
筒状体13の底部側(図示左側)には、各第1接続端子3a〜3cに接続されるケーブル5a〜5cを挿入するためのケーブル挿入孔17が複数形成される。各ケーブル挿入孔17のそれぞれには、ケーブル5a〜5cと筒状体13との間をシールするケーブル防水構造18が設けられる。
【0036】
ケーブル防水構造18は、ケーブル5a〜5cの外周に接するケーブル挿入孔17の開口面に形成された凹部19と、凹部19に設けられたOリングなどのパッキン20とからなる。
【0037】
また、筒状体13の底部側の外周には、オス側コネクタ部1を機器などの筐体に固定するための固定穴49(図9参照)を有するフランジ21が形成される。フランジ21の底部側の縁周部22には、機器とオス側コネクタ部1との間をシールするパッキンなどを設けるようにしても良い。なお、この構成はオス側コネクタ部1が機器などの筐体に固定されることを前提とするものではなく、フランジ21はメス側コネクタ部2に設けられていても良いし、オス側コネクタ部1とメス側コネクタ部2の両方に設けられていても良い。また、オス側コネクタ部1とメス側コネクタ部2のどちらも機器などの筐体に固定されないフリーの状態としても良い。
【0038】
筒状体13は、シールド性能、放熱性、及びコネクタ100の軽量化のために、導電率、熱伝導率が高く軽量なアルミニウムなどの金属からなると好ましいが、樹脂などにより形成するようにしても良い。
【0039】
図4に示すように、メス側コネクタ部2は、内部に複数(3つ)の第2接続端子(メス端子)23a〜23cが整列されて設けられた第2ターミナルハウジング24を備える。なお、ここではメス端子を有する側のコネクタ部をメス側コネクタ部2と称している。つまり、第2ターミナルハウジング24がハウジングとしてオス(オス側ハウジング)であってもメス(メス側ハウジング)であっても良い。ここでは、オス側ハウジングである第1ターミナルハウジング4に対応して第2ターミナルハウジング24がメス側ハウジングである場合を説明する。
【0040】
各第2接続端子23a〜23cは、それぞれケーブル25a〜25cに接続されている。これらケーブル25a〜25cは、各第1接続端子3a〜3cと各第2接続端子23a〜23cとの各接点を介してケーブル5a〜5cにそれぞれ接続されるため、ケーブル5a〜5cに対応する電圧及び/又は電流の電気がそれぞれ送電される。ケーブル25a〜25cは、導体26の外周に絶縁層27を形成してなる。
【0041】
また、各第2接続端子23a〜23cは、図5に示すように、ケーブル25a〜25cの先端部から露出された導体26にかしめ接続されるかしめ部28と、かしめ部28と一体に形成されたU字状接点29とを有する。
【0042】
U字状接点29の内幅L1は、接続部材38の押圧部41a〜41cの外径よりも小さく形成される。U字状接点29の先端部には、挿入性を向上させるべくテーパ部30が形成される。
【0043】
各第2接続端子23a〜23cは、コネクタ100での送電ロスを低減するなどの目的のために、導電率の高い銀、銅、アルミニウムなどの金属で構成されると良い。
【0044】
再び図4を参照し、第2ターミナルハウジング24は、一端が開口された有底、且つ横断面矩形状の筒状体31からなる。第2ターミナルハウジング24内に第1ターミナルハウジング4が嵌合されるため、筒状体13の開口側の内周部は、第1ターミナルハウジング4との嵌合性を考慮してテーパ形状に形成されている。
【0045】
なお、逆に第1ターミナルハウジング4内に第2ターミナルハウジング24が嵌合される構成としても構わない。この場合は、第1ターミナルハウジング4を構成する筒状体13の開口側の内周部をテーパ形状に形成し、第2ターミナルハウジング24の開口側の外周部をテーパ形状に形成し、ハウジング防水構造14を第2ターミナルハウジング24の開口側の外周部に形成すると良い。
【0046】
筒状体31の底部側(図示左側)には、各第2接続端子23a〜23cに接続されるケーブル25a〜25cを挿入するためのケーブル挿入孔32が複数形成される。各ケーブル挿入孔32のそれぞれには、ケーブル25a〜25cと筒状体31との間をシールするケーブル防水構造33が設けられる。
【0047】
ケーブル防水構造33は、ケーブル25a〜25cの外周に接するケーブル挿入孔32の開口面に形成された凹部34と、凹部34に設けられたOリングなどのパッキン35とからなる。
【0048】
また、筒状体31の上部(図示上側)には、メス側コネクタ部2とオス側コネクタ部1とを嵌合させたときに、オス側コネクタ部1に設けられる接続部材38をかわすためのかわし溝36が筒状体31の開口側に開口して形成される。
【0049】
さらに、筒状体13の内壁には、管状の支持部材(スリット部品)37が複数設けられる。この複数の支持部材37は、各第2接続端子23a〜23cと各第2接続端子23a〜23cに接続されたケーブル25a〜25cとを支持して、各第2接続端子23a〜23cをそれぞれ所定の位置に整列させて支持するためのものである。
【0050】
各支持部材37によって各第2接続端子23a〜23cは、オス側コネクタ部1とメス側コネクタ部2とを嵌合させたときに、各第2接続端子23a〜23cと対となるように対面する(すなわち、接続対象の)各第1接続端子3a〜3cの上方に位置するように位置決めして支持される。
【0051】
各支持部材37は、第2接続端子23a〜23c同士を絶縁して短絡を防止すべく、非導電性の樹脂などからなる。この支持部材37により、第2接続端子23a〜23cに接続されたケーブル25a〜25cが可とう性に優れたケーブルであっても、第2接続端子23a〜23cを所定の位置に支持することができる。ケーブル25a〜25cとして可とう性に優れたケーブルを用いることができるので、ケーブル25a〜25cを敷設する際の配線自由度を向上できる。
【0052】
筒状体31は、シールド性能、放熱性、及びコネクタ100の軽量化のために、導電率、熱伝導率が高く軽量なアルミニウムなどの金属からなると好ましいが、樹脂などにより形成するようにしても良い。
【0053】
さて、本実施の形態に係るコネクタ100は、第1ターミナルハウジング4と第2ターミナルハウジング24とを嵌合させると、3つの第1接続端子3a〜3cのそれぞれと3つの第2接続端子23a〜23cのそれぞれとが対となるように対面すると共に第1接続端子3a〜3cと第2接続端子23a〜23cとが交互に配置される積層状態となる接続構造であって、第1ターミナルハウジング4に整列された第1接続端子3a〜3c同士を絶縁しつつ、対面する第1接続端子3a〜3cと第2接続端子23a〜23cとの接点をそれぞれ押圧することにより、第1接続端子3a〜3cと第2接続端子23a〜23cとを各接点にて固定し電気的に接続される接続手段を設けたものである。
【0054】
接続手段は、第1接続端子3a〜3cの円孔11に圧入されて固定されると共に内部に螺合部である雌ネジを有する可動部材10a〜10cと、対面する第1接続端子3a〜3cと第2接続端子23a〜23cとが接触するように各第1接続端子3a〜3cの可動部材10a〜10cに螺合する非導電性の接続部材38と、非導電性の接続部材38を固定するための固定手段とからなる。
【0055】
図6(a)に示すように、接続部材38は、頭部39と、各第1接続端子3a〜3cの円孔11を直交すると共に整列した各段の可動部材10a〜10cを挿通する軸部40と、軸部40に設けられ各段の可動部材10a〜10cと共に対面する第1接続端子3a〜3cと第2接続端子23a〜23cとを接触すべく各段の第2接続端子23a〜23cを押圧する大径の押圧部41a〜41cとを有する非導電性のボルト(非導電性のフランジ付き六角ボルト)からなる。
【0056】
各押圧部41a〜41cの角部はテーパ状に面取り加工がなされており、第2接続端子23a〜23cを挿入しやすくなっている。
【0057】
押圧部41b,41cには、第1接続端子3a,3bの可動部材10a,10bの螺合部と螺合するネジ部43a,43bが形成される。また、軸部40の先端部には、第1接続端子3cの可動部材10cと螺合すると共に、筒状体13の内側である下部内壁に形成された固定手段としてのネジ穴42(図2参照)と螺合するネジ部43cが形成される。
【0058】
接続部材38は、図6(b)に示すように、金属(例えば、SUS、鉄、銅合金など)からなり、接続部材38の中心軸を形成する本体部44と、絶縁体としての樹脂(例えば、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂、PPA(ポリフタルアミド)樹脂、PA(ポリアミド)樹脂、エポキシ系樹脂)からなり、本体部44の外周を覆うと共に押圧部41a〜41cを形成する絶縁部45とで構成すると良い。この様に、接続部材38を金属製の本体部44と樹脂製の絶縁部45の折衷構造とすることで、接続部材38全体を樹脂で形成する場合に比べ、強度を高めることができる。また、押圧部41a〜41cを形成する絶縁部45を樹脂製とすることで、押圧部41a〜41cが形成し易いというメリットがある。
【0059】
この接続部材38は、筒状体13の外部から内部に挿入される。そのため、図2に示すように、筒状体13の上部(図示上側)には、接続部材38を挿入するための接続部材挿入孔46が形成される。接続部材挿入孔46の開口面には、接続部材38と筒状体13との間をシールすべく、凹部47が形成されると共に、凹部47にOリングなどのパッキン48が設けられる。
【0060】
さらに、本実施の形態では、図7に示すように、接続部材38を第1ターミナルハウジング4へ装着するとき、即ち、接続部材38を可動部材10a〜10cの螺合部80a〜80cのそれぞれに螺合させるときに、各段の押圧部41a〜41cが各段の可動部材10a〜10cの螺合部80a〜80cを順次挿通して対応する可動部材10a〜10cの螺合部80a〜80cに螺合するように、各段の可動部材10a〜10cの螺合部80a〜80cと各段の押圧部41a〜41cの径を段階的に異ならせた。
【0061】
この理由を以下に述べる。
【0062】
例えば、第1接続端子3aを接続部材38の所定の位置(すなわち、第1接続端子3aの可動部材10aがネジ部43aに螺合する位置)に配置するためには、接続部材38を第1接続端子3aの可動部材10aに貫通していくこととなる。
【0063】
このとき、各ネジ部43a〜43cが形成された部分の外径が同じであると、第1接続端子3aの可動部材10aをネジ部43aに螺合させるまでに、可動部材10aをいちいちネジ部43c,43bに螺合させた後通過させなければならず煩わしい。
【0064】
これに対し、接続部材38のような先細り形状の構成では、ネジ部43c,43bが形成された軸部40の先端部と押圧部41cの外径が、ネジ部43aが形成された押圧部41bの外径よりも小さく、可動部材10aの螺合部80aの径がネジ部43c,43bの外径よりも大きいため、可動部材10aをいちいちネジ部43c,43bに螺合させることなく通過させることができる。
【0065】
よって、接続部材38を各第1接続端子3a〜3cの可動部材10a〜10cに挿入する作業が非常に簡単となり、製造時間の短縮に貢献できる。同様に、接続部材38の取り外し作業においても、簡単となるため、メンテナンスの作業時間をも短縮に貢献できる。
【0066】
そのため、本実施の形態では、各段の押圧部41a〜41cの径を段階的に異ならせて接続部材38を先細り形状とすると共に、可動部材10a〜10cの螺合部80a〜80cの径を接続部材38に対応させて段階的に異ならせた。
【0067】
次に、本実施の形態に係るコネクタ100を用いた第1接続端子3a〜3cと第2接続端子23a〜23cとの接続を説明する。
【0068】
図8に示すように、オス側コネクタ部1とメス側コネクタ部2とを嵌合させると、接続部材38の軸部40の上部が第2ターミナルハウジング24のかわし溝36でかわされると共に、各第2接続端子23a〜23cが各第1接続端子3a〜3cと各押圧部41a〜41cとの間に挿入される。
【0069】
この状態で図9に示すように、接続部材38のネジ部43cを筒状体13のネジ穴42に螺合させると、接続部材38がネジ穴42の底部に回転しながら押し込まれると共に、各第1接続端子3a〜3cの可動部材10a〜10cが接続部材38のネジ部43a〜43cに螺合されて各第1接続端子3a〜3cが上昇される。
【0070】
これに伴って、降下する各押圧部41a〜41cと上昇する各第1接続端子3a〜3cとの間で各第2接続端子23a〜23cが個々に挟み込まれて押圧される。これにより、車両などの振動を発生させる環境においても、各第1接続端子3a〜3cと各第2接続端子23a〜23cとの各接点では各第1接続端子3a〜3cと各第2接続端子23a〜23cとが強固に接触して固定される。また、接続部材38の頭部39により第2ターミナルハウジング24が第1ターミナルハウジング4に押圧され、第1ターミナルハウジング4と第2ターミナルハウジング24が共締めされる。
【0071】
以上、本実施の形態では、接続部材38によって複数の第1接続端子3a〜3cと複数の第2接続端子23a〜23cに係る複数の接点をそれぞれ押圧することにより、第1接続端子3a〜3cと第2接続端子23a〜23cとを各接点にて固定し電気的に接続することができるため、各接点の結合力を安定させることができる。これにより、振動が発生し易い自動車に対して、特に有効なコネクタを実現することができる。
【0072】
なお、本実施の形態においては、三相交流の電源ラインを想定していたが、本発明の技術思想によれば、例えば、図10に示すように、自動車用のコネクタであって、上側の3本のライン50a〜50cでモータ、インバータ間用の三相交流の電源ラインとし、下側の2本のライン51a,51bでエアコン用の直流二相の電源ラインとするような構成としても良い。この様に構成することにより、1つのコネクタで複数の用途の電源ラインを一括して接続することができるため、用途毎に異なるコネクタを用意する必要がなく、省スペース化や低コスト化などに貢献することができる。
【0073】
本実施の形態においては、第1接続端子3a〜3cと第2接続端子23a〜23cとは、面と面とで接触しているが、接点側の面である第2接続端子23a〜23cと接触する第1接続端子3a〜3c側の面に、凸部を形成し、この凸部に第2接続端子23a〜23cのU字状接点29が嵌る構成としても良い。この様に構成することにより、第1接続端子3a〜3cと第2接続端子23a〜23cとの結合力が更に安定させることができる。即ち、接続部材38に対して垂直方向の振動に対して、特に有効である。
【0074】
また、第1接続端子3a〜3cと第2接続端子23a〜23cの端子表面をローレット加工などにより荒らし、摩擦力を大きくさせ、端子同士を動きづらくして各接点での固定を強固にするようにしても良い。
【0075】
また、本実施の形態においては、各第2接続端子23a〜23cのU字状接点29の分岐した先端部の長さをそれぞれ同じ長さとしたが、図11(a)に示すように、どちらか一方の長さを長く形成してJ字状接点54としても良い。J字状接点54のような形状とすることで、図11(b)に示すように、ケーブル長手方向に対して斜めの方向からでも接続部材38の軸部40に挿入することができるようになる。
【0076】
また、本発明の構造では、接続部材38の軸部40を軸として各第1接続端子3a〜3cと各第2接続端子23a〜23cとを接続するため、図12(a)に示すように、機器側に固定されたメス側コネクタ部2の各第2接続端子23a〜23cに対して、オス側コネクタ部1の各第1接続端子3a〜3cが平面視で交差して接触するように第1ターミナルハウジング4と第2ターミナルハウジング24を構成することで、オス側コネクタ部1とメス側コネクタ部2とをL字型嵌合させることもできる。また、図12(b)に示すように、第1ターミナルハウジング4、第1接続端子3a〜3c、第2ターミナルハウジング24、第2接続端子23a〜23cを斜めに形成することで、オス側コネクタ部1に対するメス側コネクタ部2の挿抜方向を多様化できる。
【0077】
つまり、コネクタ100からのケーブル引き出し方向を設置箇所の形状に合わせることができ、省スペース化に貢献することができる。なお、図12では、オス側コネクタ部1側である第1ターミナルハウジング4をメス側ハウジングとし、メス側コネクタ部2側である第2ターミナルハウジング24をオス側ハウジングとした。
【0078】
また、本実施の形態においては、コネクタ100でケーブル同士を接続するインライン構造としたが、このような構造に限定されない。例えば、図13に示すように、オス側コネクタ部1の第1接続端子3a〜3cとしてリジッドなバスバー55を用い、各バスバー55を樹脂からなる整列部材56により整列させて中空な円筒状の第1ターミナルハウジング57内に収容してオス側コネクタ部58を構成し、このオス側コネクタ部58のバスバー55を予め機器などの接続端子に接続しておき、ケーブル25a〜25cが接続されたメス側コネクタ部2を嵌合するような構造としても良い。整列部材56にバスバー55を整列保持させる方法としては、例えば、整列部材56の成形時にバスバー55をインサートしてから樹脂を硬化させて整列保持させる方法や、予め成形した整列部材56にバスバー55を圧入して整列保持させる方法がある。
【0079】
また、本実施の形態においては、ケーブル5a〜5c及びケーブル25a〜25cは、可とう性に優れたケーブルを用いていたが、リジッドなケーブルでも良く、この様に構成した場合には、支持部材37を省略することが可能となる。
【0080】
ところで、本発明の接続構造では、例えば、1つのコネクタ100で複数の用途の電源ラインを一括して接続するため、各電源ライン毎に各接点をそれぞれ異なる締め付けトルクで押圧したい場合がある。
【0081】
この場合、第1接続端子3a〜3cの各可動部材10a〜10cをラチェット構造とし、規定の締め付けトルクが掛かると空回りするようにして、各接点をそれぞれ異なる締め付けトルクで押圧できるようにすると良い。
【0082】
図14に示すように、ラチェット構造の可動部材59は、ナットハウジング60と、ナット本体部61と、ナットハウジング60とナット本体部61との間設けられるスプリング64とからなり、ナットハウジング60は、ナット本体部61が収納される収納部と、該収納部の上部に形成され、第1接続端子3a〜3cの各円孔11に圧入される圧入部62とからなる。
【0083】
図15に示すように、ナット本体部61の外周には、所定の間隔で突起部63が複数形成される。突起部63の高さは後述するスプリング64のバネ部66が必要以上に変形(塑性変形)しないような突起高さに設計される。また、ナット本体部61の内周面には接続部材38の各ネジ部43a〜43cのいずれかに螺合する螺合部である雌ネジが切られている。
【0084】
スプリング64は、図16に示すように、中空の円筒状のスプリング本体65と、スプリング本体65の外周に所定の間隔で放射状に形成されたバネ部66とからなる。
【0085】
スプリング本体65の側面には、ナット本体部61の突起部63に嵌合する切り欠き部67が複数形成される。この各切り欠き部67をナット本体部61のそれぞれ対応する突起部63に嵌合させることで、ナット本体部61の外周にスプリング64が固定される。バネ部66の先端部は、スプリング本体65側に向かって折られている。
【0086】
再び図14を参照し、ナットハウジング60の内周面は、ナット本体部61にスプリング64を嵌合させたラック68の回転を一方向に規制するように、縮径部69とエッジ部70が交互に形成された凹凸形状にされる。
【0087】
この可動部材59の製造方法を説明する。
【0088】
先ず、図17に示すように、両端が開口したナットハウジング60を用意する。他方、図18に示すように、スプリング64とナット本体部61とを嵌合させてラック68を形成する。その後、図19に示すように、ラック68をナットハウジング60の収容部に収容し、ナットハウジング60の下部71をプレスして内側に折り曲げることにより、ナットハウジング60の収納部に対して蓋をする。以上の工程により、可動部材59が得られる。
【0089】
この様に構成することにより、即ち、可動部材10a〜10cをラチェット構造の可動部材59で構成することにより、接続部材38(図6では右ネジ)を締め付けたとき、ラック68は右方向に回転しようとするが、バネ部66のバネ力(バネ部66がナットハウジング60の縮経部69の内面を押し付ける力)により縮径部69で回転が規制され、接続部材38の締め付けに伴って各第1接続端子3a〜3cは上昇され、これら第1接続端子3a〜3cと各押圧部41a〜41cで各第2接続端子23a〜23cが押圧される。
【0090】
このまま接続部材38を締め付けていくと、締め付けトルクがバネ部66のバネ力を上回り、バネ部66が変形すると共にラック68は右方向に空回りする。これにより、各接点が規定トルク以上の締め付けトルクで押圧されることがなく、それぞれ適した締め付けトルクで押圧される。
【0091】
逆に、接続部材38の締め付けを緩めるときには、バネ部66の先端部がエッジ部70に引っかかり、接続部材38の回転トルクがそのまま可動部材59に伝達されるため、接続部材38の締め付けを簡単に緩めることができる。
【0092】
このように、各可動部材10a〜10cをラチェット構造とすることで、各接点をそれぞれ異なる締め付けトルクで押圧することができる。
【0093】
なお、ラチェット構造に係る実施例の場合、例えば、1つのコネクタ100で複数の用途の電源ラインを一括して接続する例を示したが、もちろん、1つの用途の電源ラインであっても良い。この場合、各接点に対する押圧力を更に均一化させることができ、更に各接点の結合力を安定させることができる。
【0094】
以上、本発明の接続構造の一例としてコネクタを説明してきたが、本発明の接続構造はコネクタ以外にも適用できる。
【0095】
例えば、図20(a)に示すように、電子機器の回路と接続された複数の第2接続端子72が収容される第2ターミナルハウジング73を電子機器の筐体74に一体的に形成するメス側コネクタ部75に、複数の第1接続端子76が設けられた第1ターミナルハウジング77からなるオス側コネクタ部78を嵌合して各第1接続端子76と各第2接続端子72を接続するような接続構造200にも適用することができる。
【0096】
この場合、図20(b)に示すように、第1ターミナルハウジング77の形状を種々に変更することにより、メス側コネクタ部75に対して多様な角度でオス側コネクタ部78を嵌合させることができ、ケーブル79の引き出し方向を多様化することができる。
【0097】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0098】
例えば、本実施の形態においては、ネジ穴42は、第1ターミナルハウジング側に形成されていたが、第1ターミナルハウジング側はネジ穴ではなく貫通穴だけで、ネジ穴は、第2ターミナルハウジング側に形成されていても良い。また、第1ターミナルハウジング側及び第2ターミナルハウジング側の両方に亘ってネジ穴が形成されていても良い。
【0099】
さらに、本実施の形態においては、ネジ穴42は、接続部材38の先端側のネジ部43cと螺合するような位置に形成されていたが、接続部材38の頭部側にネジ部を形成し、該頭部側に形成されたネジ部と螺合するようにネジ穴を形成しても良い。
【符号の説明】
【0100】
1 オス側コネクタ部
2 メス側コネクタ部
3a〜3c 第1接続端子
4 第1ターミナルハウジング
10a〜10c 可動部材
23a〜23c 第2接続端子
24 第2ターミナルハウジング
38 接続部材
41a〜41c 押圧部
80a〜80c 螺合部
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ハイブリッド車、電気自動車などのエコカーに用いられ、特に、大容量の電力を伝達する際に用いられる電力ハーネスのコネクタに採用される可能性がある接続構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、著しい進歩を遂げている、例えば、ハイブリッド車、電気自動車などにおいて、モータとインバータとの間、又はインバータとバッテリとの間のように、機器間を接続する大容量の電力を伝達する際に用いられる電力ハーネスは、その一端側には、例えば、オス端子と該オス端子を収容する第1ターミナルハウジングを備えるオス側コネクタ部と、前記オス端子と接続されるメス端子と該メス端子を収容する第2ターミナルハウジングを備えるメス側コネクタ部との2分割構成のコネクタが備えられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
近年、こうしたエコカーは、省エネの性能を向上させることを目的に、全ての部品において軽量化が図られているが、軽量化を図る上で有効な手段の1つに、小型化を図るという目的に突き当たる。
【0004】
そこで、公知技術として、例えば、特許文献2のような技術がある。
【0005】
特許文献2に示された技術は、車両駆動用のモータから引き出される複数相の導電性部材の接続端子と、モータを駆動するインバータから引き出される複数相の電力線ケーブルの接続端子とを接続する車両用電気接続構造において、導電性部材の各相の接続端子と、対応する電力線ケーブルの各相の接続端子とが重合されると共に、接続端子の重合面とは反対側の面に絶縁部材が配置され、これら重合された各相の接続端子と絶縁部材とがこれらを貫く位置に設けられた単一のボルトで重合方向に締結固定される技術である。
【0006】
即ち、特許文献2の技術は、単一のボルトを重合方向に締め付けることで、接続端子の重合面である接続端子同士の接点を、複数点、一括して挟み込むことにより、接続端子同士を接点にて固定し電気的に接続される接続構造であるが、この様な構成は、特許文献1のような技術に比べ、小型化を図り易いという点において有効である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−070754号公報
【特許文献2】特許第4037199号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献2の技術には、以下の問題点があった。
【0009】
それは、特許文献2の技術は、接続端子同士の接点を、複数点、一括して挟み込むことにより、接続端子同士を接点にて固定され、電気的に接続される接続構成であるため、各接点に対して同じ押圧力を付与することが難しく、結果として、各接点の結合力は、不安定となってしまっていた。この結合力の不安定さは、振動が発生し易い自動車に適用する際においてマイナス要素となってしまう。
【0010】
そこで、本発明は、上記の事情に鑑み為されたもので、各接点の結合力を安定させることができる接続構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、複数の第1接続端子が整列されて収納される第1ターミナルハウジングと、複数の第2接続端子が整列されて収納される第2ターミナルハウジングとを備え、前記第1ターミナルハウジングと前記第2ターミナルハウジングとを嵌合させると、前記複数の第1接続端子のそれぞれと前記複数の第2接続端子のそれぞれとが対となるように対面すると共に前記第1接続端子と前記第2接続端子とが交互に配置される積層状態となる接続構造において、前記第1接続端子同士及び前記第2接続端子同士を絶縁しつつ、前記複数の第1接続端子と前記複数の第2接続端子に係る複数の接点をそれぞれ押圧することにより、前記第1接続端子と前記第2接続端子とを各接点にて固定し電気的に接続される接続手段を有し、前記接続手段は、各段の前記第1接続端子のそれぞれに整列して設けられると共に螺合部を有し、前記第1接続端子を対面する前記第2接続端子に接触させるための複数の可動部材と、整列した各段の前記可動部材の前記螺合部のそれぞれに螺合すると共に前記複数の第1接続端子の上方に前記接点を押圧するための押圧部がそれぞれ形成された軸部を有する非導電性の接続部材とからなり、前記接続部材を前記可動部材の前記螺合部のそれぞれに螺合させるときに、各段の前記押圧部が各段の前記螺合部を順次挿通して対応する前記螺合部に螺合するように、各段の前記可動部材の前記螺合部と各段の前記押圧部の径を段階的に異ならせたことを特徴とする接続構造である。
【0012】
また、前記接続部材は、金属からなり、中心軸を形成する本体部と、絶縁体からなり、前記本体部の外周を覆うと共に前記押圧部を形成する絶縁部とからなることを特徴とする。
【0013】
また、前記可動部材は、規定の締め付けトルクが掛かると空回りするラチェット構造にされることを特徴とする。
【0014】
また、各第2接続端子は、前記第2ターミナルハウジング内に設けられた複数の支持部材によって、それぞれ所定の位置に整列されて支持されることを特徴とする。
【0015】
また、前記第1ターミナルハウジング及び/又は前記第2ターミナルハウジングには、前記第1ターミナルハウジングと前記第2ターミナルハウジングとを嵌合したときに、前記第1ターミナルハウジングと前記第2ターミナルハウジングとの間をシールするハウジング防水構造が設けられることを特徴とする。
【0016】
また、前記第1ターミナルハウジング及び/又は前記第2ターミナルハウジングには、前記複数の第1接続端子及び/又は前記複数の第2接続端子のそれぞれに接続されるケーブルを挿入するためのケーブル挿入孔が複数形成され、各ケーブル挿入孔のそれぞれには、前記ケーブルと前記第1ターミナルハウジングとの間、及び/又は前記ケーブルと前記第2ターミナルハウジングとの間をそれぞれシールするケーブル防水構造が設けられることを特徴とする。
【0017】
また、前記第1接続端子と前記第2接続端子との各接点では、それぞれ異なる電圧、電流の電気が送電されることを特徴とする。
【0018】
また、前記第1ターミナルハウジングと前記第2ターミナルハウジングとは、前記第1接続端子と前記第2接続端子が平面視で交差して接触するように嵌合されることを特徴とする。
【0019】
また、前記接続手段は、さらに、前記接続部材を前記第1ターミナルハウジング及び/又は前記第2ターミナルハウジングに固定するための固定手段を含み、前記固定手段は、前記第1ターミナルハウジングと前記第2ターミナルハウジングとを嵌合させたときに、前記各接点を押圧して固定すると共に前記第1ターミナルハウジングと前記第2ターミナルハウジングとを共締めして固定することを特徴とする。
【0020】
また、前記固定手段は、前記接続部材の先端部に形成されたネジ部と、前記第1ターミナルハウジング及び/又は前記第2ターミナルハウジングに形成され、前記ネジ部と螺合するネジ穴からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、各接点の結合力を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施の形態に係るコネクタを示す側断面図である。
【図2】オス側コネクタ部を示す側断面図である。
【図3】第1接続端子を示す図であり、(a)は側面図、(b)は上面図である。
【図4】メス側コネクタ部を示す側断面図である。
【図5】第2接続端子を示す図であり、(a)は側面図、(b)は上面図である。
【図6】接続部材を示す図であり、(a)は側面図、(b)は側断面図である。
【図7】図1のコネクタ要部を説明する図である。
【図8】図1のコネクタを用いた接続を説明する図であり、(a)は側断面図、(b)は上面図である。
【図9】図1のコネクタを用いた接続を説明する図であり、(a)は側断面図、(b)はオス側コネクタ部の正面図、(c)はメス側コネクタ部の正面図である。
【図10】図1のコネクタの効果を説明する図である。
【図11】(a)は第2接続端子の変形例を示す図であり、(b)は(a)の第2接続端子を用いた接続を説明する図である。
【図12】(a),(b)は図1のコネクタの変形例を示す図である。
【図13】図1のコネクタの変形例を示す図である。
【図14】可動部材を示す図であり、(a)は正面図、(b)は上面図、(c)は側面図である。
【図15】可動部材を示す図であり(a)は側断面図、(b)は(a)のA−A線断面図である。
【図16】スプリングを示す図であり、(a)は上面図、(b)は正面図である。
【図17】可動部材の製造方法を説明する図である。
【図18】(a),(b)は可動部材の製造方法を説明する図である。
【図19】可動部材の製造方法を説明する図である。
【図20】(a),(b)は本発明の接続構造の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0024】
本発明の接続構造の一例としてコネクタを説明する。
【0025】
図1は、本実施の形態に係るコネクタを示す側断面図である。
【0026】
図1に示すように、本実施の形態に係るコネクタ100は、オス側コネクタ部1とメス側コネクタ部2とで構成され、これらコネクタ部1,2を嵌合させることで、複数の電源ラインを一括して接続するためのものである。
【0027】
図2に示すように、オス側コネクタ部1は、内部に複数(3つ)の第1接続端子(オス端子)3a〜3cが整列されて収納される導電性の第1ターミナルハウジング4を備える。なお、ここでは、後述する接続部材38がある方の端子をオス端子とし、このオス端子を有する側のコネクタ部をオス側コネクタ部1と称している。つまり、第1ターミナルハウジング4がハウジングとしてオス(オス側ハウジング)であってもメス(メス側ハウジング)であっても良い。ここでは一例として第1ターミナルハウジング4がオス側ハウジングである場合を説明する。
【0028】
各第1接続端子3a〜3cは、それぞれケーブル5a〜5cに接続されている。これらケーブル5a〜5cでは、異なる電圧及び/又は電流の電気が送電される。例えば、本実施の形態においては、モータ、インバータ間用の三相交流の電源ラインを想定しており、各ケーブル5a〜5cには、120°位相の異なる交流が送電される。これらケーブル5a〜5cは、導体6の外周に絶縁層7を形成してなる。
【0029】
また、各第1接続端子3a〜3cは、図3に示すように、ケーブル5a〜5cの先端部から露出された導体6にかしめ接続されるかしめ部8と、かしめ部8と一体に形成された丸状接点9と、丸状接点9の下面(図示下側の面)に設けられたナットからなる可動部材10a〜10cとを有する。
【0030】
丸状接点9には、接続部材38を挿通するための円孔11が形成される。また、丸状接点9の先端部には、挿入性を向上させるべくテーパ部12が形成される。なお、本実施の形態では、可動部材10a〜10cは、後述するラチェット構造を具備しないナットであり、内部に螺合部である雌ネジを有する。
【0031】
各第1接続端子3a〜3cは、コネクタ100での送電ロスを低減するなどの目的のために、導電率の高い銀、銅、アルミニウムなどの金属で構成されると良い。
【0032】
再び図2を参照し、第1ターミナルハウジング4は、一端が開口された有底、且つ横断面矩形状の筒状体13からなる。
【0033】
筒状体13の開口側の外周部は、メス側コネクタ部2との嵌合性を考慮してテーパ形状に形成されている。また、筒状体13の開口側の外周部には、オス側コネクタ部1とメス側コネクタ部2との間をシールするハウジング防水構造14が設けられる。
【0034】
ハウジング防水構造14は、筒状体13の開口側の外周部に形成された凹部15と、凹部15に設けられたOリングなどのパッキン16とからなる。
【0035】
筒状体13の底部側(図示左側)には、各第1接続端子3a〜3cに接続されるケーブル5a〜5cを挿入するためのケーブル挿入孔17が複数形成される。各ケーブル挿入孔17のそれぞれには、ケーブル5a〜5cと筒状体13との間をシールするケーブル防水構造18が設けられる。
【0036】
ケーブル防水構造18は、ケーブル5a〜5cの外周に接するケーブル挿入孔17の開口面に形成された凹部19と、凹部19に設けられたOリングなどのパッキン20とからなる。
【0037】
また、筒状体13の底部側の外周には、オス側コネクタ部1を機器などの筐体に固定するための固定穴49(図9参照)を有するフランジ21が形成される。フランジ21の底部側の縁周部22には、機器とオス側コネクタ部1との間をシールするパッキンなどを設けるようにしても良い。なお、この構成はオス側コネクタ部1が機器などの筐体に固定されることを前提とするものではなく、フランジ21はメス側コネクタ部2に設けられていても良いし、オス側コネクタ部1とメス側コネクタ部2の両方に設けられていても良い。また、オス側コネクタ部1とメス側コネクタ部2のどちらも機器などの筐体に固定されないフリーの状態としても良い。
【0038】
筒状体13は、シールド性能、放熱性、及びコネクタ100の軽量化のために、導電率、熱伝導率が高く軽量なアルミニウムなどの金属からなると好ましいが、樹脂などにより形成するようにしても良い。
【0039】
図4に示すように、メス側コネクタ部2は、内部に複数(3つ)の第2接続端子(メス端子)23a〜23cが整列されて設けられた第2ターミナルハウジング24を備える。なお、ここではメス端子を有する側のコネクタ部をメス側コネクタ部2と称している。つまり、第2ターミナルハウジング24がハウジングとしてオス(オス側ハウジング)であってもメス(メス側ハウジング)であっても良い。ここでは、オス側ハウジングである第1ターミナルハウジング4に対応して第2ターミナルハウジング24がメス側ハウジングである場合を説明する。
【0040】
各第2接続端子23a〜23cは、それぞれケーブル25a〜25cに接続されている。これらケーブル25a〜25cは、各第1接続端子3a〜3cと各第2接続端子23a〜23cとの各接点を介してケーブル5a〜5cにそれぞれ接続されるため、ケーブル5a〜5cに対応する電圧及び/又は電流の電気がそれぞれ送電される。ケーブル25a〜25cは、導体26の外周に絶縁層27を形成してなる。
【0041】
また、各第2接続端子23a〜23cは、図5に示すように、ケーブル25a〜25cの先端部から露出された導体26にかしめ接続されるかしめ部28と、かしめ部28と一体に形成されたU字状接点29とを有する。
【0042】
U字状接点29の内幅L1は、接続部材38の押圧部41a〜41cの外径よりも小さく形成される。U字状接点29の先端部には、挿入性を向上させるべくテーパ部30が形成される。
【0043】
各第2接続端子23a〜23cは、コネクタ100での送電ロスを低減するなどの目的のために、導電率の高い銀、銅、アルミニウムなどの金属で構成されると良い。
【0044】
再び図4を参照し、第2ターミナルハウジング24は、一端が開口された有底、且つ横断面矩形状の筒状体31からなる。第2ターミナルハウジング24内に第1ターミナルハウジング4が嵌合されるため、筒状体13の開口側の内周部は、第1ターミナルハウジング4との嵌合性を考慮してテーパ形状に形成されている。
【0045】
なお、逆に第1ターミナルハウジング4内に第2ターミナルハウジング24が嵌合される構成としても構わない。この場合は、第1ターミナルハウジング4を構成する筒状体13の開口側の内周部をテーパ形状に形成し、第2ターミナルハウジング24の開口側の外周部をテーパ形状に形成し、ハウジング防水構造14を第2ターミナルハウジング24の開口側の外周部に形成すると良い。
【0046】
筒状体31の底部側(図示左側)には、各第2接続端子23a〜23cに接続されるケーブル25a〜25cを挿入するためのケーブル挿入孔32が複数形成される。各ケーブル挿入孔32のそれぞれには、ケーブル25a〜25cと筒状体31との間をシールするケーブル防水構造33が設けられる。
【0047】
ケーブル防水構造33は、ケーブル25a〜25cの外周に接するケーブル挿入孔32の開口面に形成された凹部34と、凹部34に設けられたOリングなどのパッキン35とからなる。
【0048】
また、筒状体31の上部(図示上側)には、メス側コネクタ部2とオス側コネクタ部1とを嵌合させたときに、オス側コネクタ部1に設けられる接続部材38をかわすためのかわし溝36が筒状体31の開口側に開口して形成される。
【0049】
さらに、筒状体13の内壁には、管状の支持部材(スリット部品)37が複数設けられる。この複数の支持部材37は、各第2接続端子23a〜23cと各第2接続端子23a〜23cに接続されたケーブル25a〜25cとを支持して、各第2接続端子23a〜23cをそれぞれ所定の位置に整列させて支持するためのものである。
【0050】
各支持部材37によって各第2接続端子23a〜23cは、オス側コネクタ部1とメス側コネクタ部2とを嵌合させたときに、各第2接続端子23a〜23cと対となるように対面する(すなわち、接続対象の)各第1接続端子3a〜3cの上方に位置するように位置決めして支持される。
【0051】
各支持部材37は、第2接続端子23a〜23c同士を絶縁して短絡を防止すべく、非導電性の樹脂などからなる。この支持部材37により、第2接続端子23a〜23cに接続されたケーブル25a〜25cが可とう性に優れたケーブルであっても、第2接続端子23a〜23cを所定の位置に支持することができる。ケーブル25a〜25cとして可とう性に優れたケーブルを用いることができるので、ケーブル25a〜25cを敷設する際の配線自由度を向上できる。
【0052】
筒状体31は、シールド性能、放熱性、及びコネクタ100の軽量化のために、導電率、熱伝導率が高く軽量なアルミニウムなどの金属からなると好ましいが、樹脂などにより形成するようにしても良い。
【0053】
さて、本実施の形態に係るコネクタ100は、第1ターミナルハウジング4と第2ターミナルハウジング24とを嵌合させると、3つの第1接続端子3a〜3cのそれぞれと3つの第2接続端子23a〜23cのそれぞれとが対となるように対面すると共に第1接続端子3a〜3cと第2接続端子23a〜23cとが交互に配置される積層状態となる接続構造であって、第1ターミナルハウジング4に整列された第1接続端子3a〜3c同士を絶縁しつつ、対面する第1接続端子3a〜3cと第2接続端子23a〜23cとの接点をそれぞれ押圧することにより、第1接続端子3a〜3cと第2接続端子23a〜23cとを各接点にて固定し電気的に接続される接続手段を設けたものである。
【0054】
接続手段は、第1接続端子3a〜3cの円孔11に圧入されて固定されると共に内部に螺合部である雌ネジを有する可動部材10a〜10cと、対面する第1接続端子3a〜3cと第2接続端子23a〜23cとが接触するように各第1接続端子3a〜3cの可動部材10a〜10cに螺合する非導電性の接続部材38と、非導電性の接続部材38を固定するための固定手段とからなる。
【0055】
図6(a)に示すように、接続部材38は、頭部39と、各第1接続端子3a〜3cの円孔11を直交すると共に整列した各段の可動部材10a〜10cを挿通する軸部40と、軸部40に設けられ各段の可動部材10a〜10cと共に対面する第1接続端子3a〜3cと第2接続端子23a〜23cとを接触すべく各段の第2接続端子23a〜23cを押圧する大径の押圧部41a〜41cとを有する非導電性のボルト(非導電性のフランジ付き六角ボルト)からなる。
【0056】
各押圧部41a〜41cの角部はテーパ状に面取り加工がなされており、第2接続端子23a〜23cを挿入しやすくなっている。
【0057】
押圧部41b,41cには、第1接続端子3a,3bの可動部材10a,10bの螺合部と螺合するネジ部43a,43bが形成される。また、軸部40の先端部には、第1接続端子3cの可動部材10cと螺合すると共に、筒状体13の内側である下部内壁に形成された固定手段としてのネジ穴42(図2参照)と螺合するネジ部43cが形成される。
【0058】
接続部材38は、図6(b)に示すように、金属(例えば、SUS、鉄、銅合金など)からなり、接続部材38の中心軸を形成する本体部44と、絶縁体としての樹脂(例えば、PPS(ポリフェニレンサルファイド)樹脂、PPA(ポリフタルアミド)樹脂、PA(ポリアミド)樹脂、エポキシ系樹脂)からなり、本体部44の外周を覆うと共に押圧部41a〜41cを形成する絶縁部45とで構成すると良い。この様に、接続部材38を金属製の本体部44と樹脂製の絶縁部45の折衷構造とすることで、接続部材38全体を樹脂で形成する場合に比べ、強度を高めることができる。また、押圧部41a〜41cを形成する絶縁部45を樹脂製とすることで、押圧部41a〜41cが形成し易いというメリットがある。
【0059】
この接続部材38は、筒状体13の外部から内部に挿入される。そのため、図2に示すように、筒状体13の上部(図示上側)には、接続部材38を挿入するための接続部材挿入孔46が形成される。接続部材挿入孔46の開口面には、接続部材38と筒状体13との間をシールすべく、凹部47が形成されると共に、凹部47にOリングなどのパッキン48が設けられる。
【0060】
さらに、本実施の形態では、図7に示すように、接続部材38を第1ターミナルハウジング4へ装着するとき、即ち、接続部材38を可動部材10a〜10cの螺合部80a〜80cのそれぞれに螺合させるときに、各段の押圧部41a〜41cが各段の可動部材10a〜10cの螺合部80a〜80cを順次挿通して対応する可動部材10a〜10cの螺合部80a〜80cに螺合するように、各段の可動部材10a〜10cの螺合部80a〜80cと各段の押圧部41a〜41cの径を段階的に異ならせた。
【0061】
この理由を以下に述べる。
【0062】
例えば、第1接続端子3aを接続部材38の所定の位置(すなわち、第1接続端子3aの可動部材10aがネジ部43aに螺合する位置)に配置するためには、接続部材38を第1接続端子3aの可動部材10aに貫通していくこととなる。
【0063】
このとき、各ネジ部43a〜43cが形成された部分の外径が同じであると、第1接続端子3aの可動部材10aをネジ部43aに螺合させるまでに、可動部材10aをいちいちネジ部43c,43bに螺合させた後通過させなければならず煩わしい。
【0064】
これに対し、接続部材38のような先細り形状の構成では、ネジ部43c,43bが形成された軸部40の先端部と押圧部41cの外径が、ネジ部43aが形成された押圧部41bの外径よりも小さく、可動部材10aの螺合部80aの径がネジ部43c,43bの外径よりも大きいため、可動部材10aをいちいちネジ部43c,43bに螺合させることなく通過させることができる。
【0065】
よって、接続部材38を各第1接続端子3a〜3cの可動部材10a〜10cに挿入する作業が非常に簡単となり、製造時間の短縮に貢献できる。同様に、接続部材38の取り外し作業においても、簡単となるため、メンテナンスの作業時間をも短縮に貢献できる。
【0066】
そのため、本実施の形態では、各段の押圧部41a〜41cの径を段階的に異ならせて接続部材38を先細り形状とすると共に、可動部材10a〜10cの螺合部80a〜80cの径を接続部材38に対応させて段階的に異ならせた。
【0067】
次に、本実施の形態に係るコネクタ100を用いた第1接続端子3a〜3cと第2接続端子23a〜23cとの接続を説明する。
【0068】
図8に示すように、オス側コネクタ部1とメス側コネクタ部2とを嵌合させると、接続部材38の軸部40の上部が第2ターミナルハウジング24のかわし溝36でかわされると共に、各第2接続端子23a〜23cが各第1接続端子3a〜3cと各押圧部41a〜41cとの間に挿入される。
【0069】
この状態で図9に示すように、接続部材38のネジ部43cを筒状体13のネジ穴42に螺合させると、接続部材38がネジ穴42の底部に回転しながら押し込まれると共に、各第1接続端子3a〜3cの可動部材10a〜10cが接続部材38のネジ部43a〜43cに螺合されて各第1接続端子3a〜3cが上昇される。
【0070】
これに伴って、降下する各押圧部41a〜41cと上昇する各第1接続端子3a〜3cとの間で各第2接続端子23a〜23cが個々に挟み込まれて押圧される。これにより、車両などの振動を発生させる環境においても、各第1接続端子3a〜3cと各第2接続端子23a〜23cとの各接点では各第1接続端子3a〜3cと各第2接続端子23a〜23cとが強固に接触して固定される。また、接続部材38の頭部39により第2ターミナルハウジング24が第1ターミナルハウジング4に押圧され、第1ターミナルハウジング4と第2ターミナルハウジング24が共締めされる。
【0071】
以上、本実施の形態では、接続部材38によって複数の第1接続端子3a〜3cと複数の第2接続端子23a〜23cに係る複数の接点をそれぞれ押圧することにより、第1接続端子3a〜3cと第2接続端子23a〜23cとを各接点にて固定し電気的に接続することができるため、各接点の結合力を安定させることができる。これにより、振動が発生し易い自動車に対して、特に有効なコネクタを実現することができる。
【0072】
なお、本実施の形態においては、三相交流の電源ラインを想定していたが、本発明の技術思想によれば、例えば、図10に示すように、自動車用のコネクタであって、上側の3本のライン50a〜50cでモータ、インバータ間用の三相交流の電源ラインとし、下側の2本のライン51a,51bでエアコン用の直流二相の電源ラインとするような構成としても良い。この様に構成することにより、1つのコネクタで複数の用途の電源ラインを一括して接続することができるため、用途毎に異なるコネクタを用意する必要がなく、省スペース化や低コスト化などに貢献することができる。
【0073】
本実施の形態においては、第1接続端子3a〜3cと第2接続端子23a〜23cとは、面と面とで接触しているが、接点側の面である第2接続端子23a〜23cと接触する第1接続端子3a〜3c側の面に、凸部を形成し、この凸部に第2接続端子23a〜23cのU字状接点29が嵌る構成としても良い。この様に構成することにより、第1接続端子3a〜3cと第2接続端子23a〜23cとの結合力が更に安定させることができる。即ち、接続部材38に対して垂直方向の振動に対して、特に有効である。
【0074】
また、第1接続端子3a〜3cと第2接続端子23a〜23cの端子表面をローレット加工などにより荒らし、摩擦力を大きくさせ、端子同士を動きづらくして各接点での固定を強固にするようにしても良い。
【0075】
また、本実施の形態においては、各第2接続端子23a〜23cのU字状接点29の分岐した先端部の長さをそれぞれ同じ長さとしたが、図11(a)に示すように、どちらか一方の長さを長く形成してJ字状接点54としても良い。J字状接点54のような形状とすることで、図11(b)に示すように、ケーブル長手方向に対して斜めの方向からでも接続部材38の軸部40に挿入することができるようになる。
【0076】
また、本発明の構造では、接続部材38の軸部40を軸として各第1接続端子3a〜3cと各第2接続端子23a〜23cとを接続するため、図12(a)に示すように、機器側に固定されたメス側コネクタ部2の各第2接続端子23a〜23cに対して、オス側コネクタ部1の各第1接続端子3a〜3cが平面視で交差して接触するように第1ターミナルハウジング4と第2ターミナルハウジング24を構成することで、オス側コネクタ部1とメス側コネクタ部2とをL字型嵌合させることもできる。また、図12(b)に示すように、第1ターミナルハウジング4、第1接続端子3a〜3c、第2ターミナルハウジング24、第2接続端子23a〜23cを斜めに形成することで、オス側コネクタ部1に対するメス側コネクタ部2の挿抜方向を多様化できる。
【0077】
つまり、コネクタ100からのケーブル引き出し方向を設置箇所の形状に合わせることができ、省スペース化に貢献することができる。なお、図12では、オス側コネクタ部1側である第1ターミナルハウジング4をメス側ハウジングとし、メス側コネクタ部2側である第2ターミナルハウジング24をオス側ハウジングとした。
【0078】
また、本実施の形態においては、コネクタ100でケーブル同士を接続するインライン構造としたが、このような構造に限定されない。例えば、図13に示すように、オス側コネクタ部1の第1接続端子3a〜3cとしてリジッドなバスバー55を用い、各バスバー55を樹脂からなる整列部材56により整列させて中空な円筒状の第1ターミナルハウジング57内に収容してオス側コネクタ部58を構成し、このオス側コネクタ部58のバスバー55を予め機器などの接続端子に接続しておき、ケーブル25a〜25cが接続されたメス側コネクタ部2を嵌合するような構造としても良い。整列部材56にバスバー55を整列保持させる方法としては、例えば、整列部材56の成形時にバスバー55をインサートしてから樹脂を硬化させて整列保持させる方法や、予め成形した整列部材56にバスバー55を圧入して整列保持させる方法がある。
【0079】
また、本実施の形態においては、ケーブル5a〜5c及びケーブル25a〜25cは、可とう性に優れたケーブルを用いていたが、リジッドなケーブルでも良く、この様に構成した場合には、支持部材37を省略することが可能となる。
【0080】
ところで、本発明の接続構造では、例えば、1つのコネクタ100で複数の用途の電源ラインを一括して接続するため、各電源ライン毎に各接点をそれぞれ異なる締め付けトルクで押圧したい場合がある。
【0081】
この場合、第1接続端子3a〜3cの各可動部材10a〜10cをラチェット構造とし、規定の締め付けトルクが掛かると空回りするようにして、各接点をそれぞれ異なる締め付けトルクで押圧できるようにすると良い。
【0082】
図14に示すように、ラチェット構造の可動部材59は、ナットハウジング60と、ナット本体部61と、ナットハウジング60とナット本体部61との間設けられるスプリング64とからなり、ナットハウジング60は、ナット本体部61が収納される収納部と、該収納部の上部に形成され、第1接続端子3a〜3cの各円孔11に圧入される圧入部62とからなる。
【0083】
図15に示すように、ナット本体部61の外周には、所定の間隔で突起部63が複数形成される。突起部63の高さは後述するスプリング64のバネ部66が必要以上に変形(塑性変形)しないような突起高さに設計される。また、ナット本体部61の内周面には接続部材38の各ネジ部43a〜43cのいずれかに螺合する螺合部である雌ネジが切られている。
【0084】
スプリング64は、図16に示すように、中空の円筒状のスプリング本体65と、スプリング本体65の外周に所定の間隔で放射状に形成されたバネ部66とからなる。
【0085】
スプリング本体65の側面には、ナット本体部61の突起部63に嵌合する切り欠き部67が複数形成される。この各切り欠き部67をナット本体部61のそれぞれ対応する突起部63に嵌合させることで、ナット本体部61の外周にスプリング64が固定される。バネ部66の先端部は、スプリング本体65側に向かって折られている。
【0086】
再び図14を参照し、ナットハウジング60の内周面は、ナット本体部61にスプリング64を嵌合させたラック68の回転を一方向に規制するように、縮径部69とエッジ部70が交互に形成された凹凸形状にされる。
【0087】
この可動部材59の製造方法を説明する。
【0088】
先ず、図17に示すように、両端が開口したナットハウジング60を用意する。他方、図18に示すように、スプリング64とナット本体部61とを嵌合させてラック68を形成する。その後、図19に示すように、ラック68をナットハウジング60の収容部に収容し、ナットハウジング60の下部71をプレスして内側に折り曲げることにより、ナットハウジング60の収納部に対して蓋をする。以上の工程により、可動部材59が得られる。
【0089】
この様に構成することにより、即ち、可動部材10a〜10cをラチェット構造の可動部材59で構成することにより、接続部材38(図6では右ネジ)を締め付けたとき、ラック68は右方向に回転しようとするが、バネ部66のバネ力(バネ部66がナットハウジング60の縮経部69の内面を押し付ける力)により縮径部69で回転が規制され、接続部材38の締め付けに伴って各第1接続端子3a〜3cは上昇され、これら第1接続端子3a〜3cと各押圧部41a〜41cで各第2接続端子23a〜23cが押圧される。
【0090】
このまま接続部材38を締め付けていくと、締め付けトルクがバネ部66のバネ力を上回り、バネ部66が変形すると共にラック68は右方向に空回りする。これにより、各接点が規定トルク以上の締め付けトルクで押圧されることがなく、それぞれ適した締め付けトルクで押圧される。
【0091】
逆に、接続部材38の締め付けを緩めるときには、バネ部66の先端部がエッジ部70に引っかかり、接続部材38の回転トルクがそのまま可動部材59に伝達されるため、接続部材38の締め付けを簡単に緩めることができる。
【0092】
このように、各可動部材10a〜10cをラチェット構造とすることで、各接点をそれぞれ異なる締め付けトルクで押圧することができる。
【0093】
なお、ラチェット構造に係る実施例の場合、例えば、1つのコネクタ100で複数の用途の電源ラインを一括して接続する例を示したが、もちろん、1つの用途の電源ラインであっても良い。この場合、各接点に対する押圧力を更に均一化させることができ、更に各接点の結合力を安定させることができる。
【0094】
以上、本発明の接続構造の一例としてコネクタを説明してきたが、本発明の接続構造はコネクタ以外にも適用できる。
【0095】
例えば、図20(a)に示すように、電子機器の回路と接続された複数の第2接続端子72が収容される第2ターミナルハウジング73を電子機器の筐体74に一体的に形成するメス側コネクタ部75に、複数の第1接続端子76が設けられた第1ターミナルハウジング77からなるオス側コネクタ部78を嵌合して各第1接続端子76と各第2接続端子72を接続するような接続構造200にも適用することができる。
【0096】
この場合、図20(b)に示すように、第1ターミナルハウジング77の形状を種々に変更することにより、メス側コネクタ部75に対して多様な角度でオス側コネクタ部78を嵌合させることができ、ケーブル79の引き出し方向を多様化することができる。
【0097】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0098】
例えば、本実施の形態においては、ネジ穴42は、第1ターミナルハウジング側に形成されていたが、第1ターミナルハウジング側はネジ穴ではなく貫通穴だけで、ネジ穴は、第2ターミナルハウジング側に形成されていても良い。また、第1ターミナルハウジング側及び第2ターミナルハウジング側の両方に亘ってネジ穴が形成されていても良い。
【0099】
さらに、本実施の形態においては、ネジ穴42は、接続部材38の先端側のネジ部43cと螺合するような位置に形成されていたが、接続部材38の頭部側にネジ部を形成し、該頭部側に形成されたネジ部と螺合するようにネジ穴を形成しても良い。
【符号の説明】
【0100】
1 オス側コネクタ部
2 メス側コネクタ部
3a〜3c 第1接続端子
4 第1ターミナルハウジング
10a〜10c 可動部材
23a〜23c 第2接続端子
24 第2ターミナルハウジング
38 接続部材
41a〜41c 押圧部
80a〜80c 螺合部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1接続端子が整列されて収納される第1ターミナルハウジングと、
複数の第2接続端子が整列されて収納される第2ターミナルハウジングとを備え、
前記第1ターミナルハウジングと前記第2ターミナルハウジングとを嵌合させると、前記複数の第1接続端子のそれぞれと前記複数の第2接続端子のそれぞれとが対となるように対面すると共に前記第1接続端子と前記第2接続端子とが交互に配置される積層状態となる接続構造において、
前記第1接続端子同士及び前記第2接続端子同士を絶縁しつつ、前記複数の第1接続端子と前記複数の第2接続端子に係る複数の接点をそれぞれ押圧することにより、前記第1接続端子と前記第2接続端子とを各接点にて固定し電気的に接続される接続手段を有し、 前記接続手段は、
各段の前記第1接続端子のそれぞれに整列して設けられると共に螺合部を有し、前記第1接続端子を対面する前記第2接続端子に接触させるための複数の可動部材と、
整列した各段の前記可動部材の前記螺合部のそれぞれに螺合すると共に前記複数の第1接続端子の上方に前記接点を押圧するための押圧部がそれぞれ形成された軸部を有する非導電性の接続部材とからなり、
前記接続部材を前記可動部材の前記螺合部のそれぞれに螺合させるときに、各段の前記押圧部が各段の前記螺合部を順次挿通して対応する前記螺合部に螺合するように、各段の前記可動部材の前記螺合部と各段の前記押圧部の径を段階的に異ならせたことを特徴とする接続構造。
【請求項2】
前記接続部材は、
金属からなり、中心軸を形成する本体部と、
絶縁体からなり、前記本体部の外周を覆うと共に前記押圧部を形成する絶縁部とからなることを特徴とする請求項1に記載の接続構造。
【請求項3】
前記可動部材は、規定の締め付けトルクが掛かると空回りするラチェット構造にされることを特徴とする請求項1又は2に記載の接続構造。
【請求項4】
各第2接続端子は、前記第2ターミナルハウジング内に設けられた複数の支持部材によって、それぞれ所定の位置に整列されて支持されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の接続構造。
【請求項5】
前記第1ターミナルハウジング及び/又は前記第2ターミナルハウジングには、前記第1ターミナルハウジングと前記第2ターミナルハウジングとを嵌合したときに、前記第1ターミナルハウジングと前記第2ターミナルハウジングとの間をシールするハウジング防水構造が設けられることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の接続構造。
【請求項6】
前記第1ターミナルハウジング及び/又は前記第2ターミナルハウジングには、前記複数の第1接続端子及び/又は前記複数の第2接続端子のそれぞれに接続されるケーブルを挿入するためのケーブル挿入孔が複数形成され、
各ケーブル挿入孔のそれぞれには、前記ケーブルと前記第1ターミナルハウジングとの間、及び/又は前記ケーブルと前記第2ターミナルハウジングとの間をそれぞれシールするケーブル防水構造が設けられることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の接続構造。
【請求項7】
前記第1接続端子と前記第2接続端子との各接点では、それぞれ異なる電圧、電流の電気が送電されることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の接続構造。
【請求項8】
前記第1ターミナルハウジングと前記第2ターミナルハウジングとは、前記第1接続端子と前記第2接続端子が平面視で交差して接触するように嵌合されることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の接続構造。
【請求項9】
前記接続手段は、さらに、前記接続部材を前記第1ターミナルハウジング及び/又は前記第2ターミナルハウジングに固定するための固定手段を含み、
前記固定手段は、前記第1ターミナルハウジングと前記第2ターミナルハウジングとを嵌合させたときに、前記各接点を押圧して固定すると共に前記第1ターミナルハウジングと前記第2ターミナルハウジングとを共締めして固定することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の接続構造。
【請求項10】
前記固定手段は、
前記接続部材の先端部に形成されたネジ部と、
前記第1ターミナルハウジング及び/又は前記第2ターミナルハウジングに形成され、前記ネジ部と螺合するネジ穴からなることを特徴とする請求項9に記載の接続構造。
【請求項1】
複数の第1接続端子が整列されて収納される第1ターミナルハウジングと、
複数の第2接続端子が整列されて収納される第2ターミナルハウジングとを備え、
前記第1ターミナルハウジングと前記第2ターミナルハウジングとを嵌合させると、前記複数の第1接続端子のそれぞれと前記複数の第2接続端子のそれぞれとが対となるように対面すると共に前記第1接続端子と前記第2接続端子とが交互に配置される積層状態となる接続構造において、
前記第1接続端子同士及び前記第2接続端子同士を絶縁しつつ、前記複数の第1接続端子と前記複数の第2接続端子に係る複数の接点をそれぞれ押圧することにより、前記第1接続端子と前記第2接続端子とを各接点にて固定し電気的に接続される接続手段を有し、 前記接続手段は、
各段の前記第1接続端子のそれぞれに整列して設けられると共に螺合部を有し、前記第1接続端子を対面する前記第2接続端子に接触させるための複数の可動部材と、
整列した各段の前記可動部材の前記螺合部のそれぞれに螺合すると共に前記複数の第1接続端子の上方に前記接点を押圧するための押圧部がそれぞれ形成された軸部を有する非導電性の接続部材とからなり、
前記接続部材を前記可動部材の前記螺合部のそれぞれに螺合させるときに、各段の前記押圧部が各段の前記螺合部を順次挿通して対応する前記螺合部に螺合するように、各段の前記可動部材の前記螺合部と各段の前記押圧部の径を段階的に異ならせたことを特徴とする接続構造。
【請求項2】
前記接続部材は、
金属からなり、中心軸を形成する本体部と、
絶縁体からなり、前記本体部の外周を覆うと共に前記押圧部を形成する絶縁部とからなることを特徴とする請求項1に記載の接続構造。
【請求項3】
前記可動部材は、規定の締め付けトルクが掛かると空回りするラチェット構造にされることを特徴とする請求項1又は2に記載の接続構造。
【請求項4】
各第2接続端子は、前記第2ターミナルハウジング内に設けられた複数の支持部材によって、それぞれ所定の位置に整列されて支持されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の接続構造。
【請求項5】
前記第1ターミナルハウジング及び/又は前記第2ターミナルハウジングには、前記第1ターミナルハウジングと前記第2ターミナルハウジングとを嵌合したときに、前記第1ターミナルハウジングと前記第2ターミナルハウジングとの間をシールするハウジング防水構造が設けられることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の接続構造。
【請求項6】
前記第1ターミナルハウジング及び/又は前記第2ターミナルハウジングには、前記複数の第1接続端子及び/又は前記複数の第2接続端子のそれぞれに接続されるケーブルを挿入するためのケーブル挿入孔が複数形成され、
各ケーブル挿入孔のそれぞれには、前記ケーブルと前記第1ターミナルハウジングとの間、及び/又は前記ケーブルと前記第2ターミナルハウジングとの間をそれぞれシールするケーブル防水構造が設けられることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の接続構造。
【請求項7】
前記第1接続端子と前記第2接続端子との各接点では、それぞれ異なる電圧、電流の電気が送電されることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の接続構造。
【請求項8】
前記第1ターミナルハウジングと前記第2ターミナルハウジングとは、前記第1接続端子と前記第2接続端子が平面視で交差して接触するように嵌合されることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の接続構造。
【請求項9】
前記接続手段は、さらに、前記接続部材を前記第1ターミナルハウジング及び/又は前記第2ターミナルハウジングに固定するための固定手段を含み、
前記固定手段は、前記第1ターミナルハウジングと前記第2ターミナルハウジングとを嵌合させたときに、前記各接点を押圧して固定すると共に前記第1ターミナルハウジングと前記第2ターミナルハウジングとを共締めして固定することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の接続構造。
【請求項10】
前記固定手段は、
前記接続部材の先端部に形成されたネジ部と、
前記第1ターミナルハウジング及び/又は前記第2ターミナルハウジングに形成され、前記ネジ部と螺合するネジ穴からなることを特徴とする請求項9に記載の接続構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
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【図8】
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【図10】
【図11】
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【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2011−82120(P2011−82120A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−235641(P2009−235641)
【出願日】平成21年10月9日(2009.10.9)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月9日(2009.10.9)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】
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