説明

接続用管、管接続構造体及び管接続構造体の製造方法

【課題】管の挿入時に必要な力を小さくすることができ、挿入後に管が抜け難く、管内を流れる流体の漏洩が生じ難い接続用管、並びに管接続構造体を提供する。
【解決手段】本発明に係る接続用管は、受け口2aを有する第1の管2と、該第1の管2の受け口2aに挿入される差し口3aを有し、かつ該差し口3aの外周面に弾性部材4が装着されている第2の管3とを接続する用途に用いられる第1,第2の管2,3の内の一方である。本発明に係る接続用管が第1の管2である場合には、第1の管2の受け口2aの内周面に、水溶性樹脂を含む材料層5が設けられている。本発明に係る接続用管が第2の管3である場合には、第2の管3の弾性部材5の外周面に、水溶性樹脂を含む材料層5が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管の受け口に別の管の差し口を挿入する用途に用いられる接続用管、並びに管の受け口に別の管の差し口が挿入されている管接続構造体及び該管接続構造体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のプラスチック管を接続する際に、接続部分にゴム輪パッキンが用いられている。例えば、下記の特許文献1には、差し口にゴム輪パッキンが装着されている管を用いて、該管の差し口を別の管の受け口に挿入した構成が開示されている。接続部分において管の差し口の外周面と別の管の受け口の内周面とによりゴム輪パッキンが圧縮されて、接続部分における液密性が保たれており、管内を流れる水など流体の漏洩が防がれている。長期にわたり流体の漏洩を防止するためには、隙間が生じないように、ゴム輪パッキンを充分に圧縮する必要がある。
【0003】
ゴム輪パッキンを圧縮しながら管の差し口を別の管の受け口に挿入する際には、ゴム輪パッキンの摩擦抵抗が大きく、大きな力を必要とする。このため、従来、ゴム輪パッキンの表面に滑剤を塗布して、挿入時の摩擦抵抗を小さくすることがある。
【0004】
しかしながら、従来の滑剤を用いた場合には、滑剤の塗布に手間がかかり、更に滑剤の塗布むらが生じやすい。塗布むらが生じると、管が歪んで挿入されやすく、更に管を挿入し直さなければならないことがある。さらに、滑剤の使用によって、管が抜けやすくなるという問題もある。このような問題は、接続部分の口径が大きい管を用いた場合に特に生じやすい。
【0005】
また、作業現場では、例えば作業者が手に軍手をはめ、該軍手に滑剤を多量に含ませて、ゴム輪パッキンに滑剤を塗布することがある。この場合には、作業者及び周囲が汚れるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−208255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、管の挿入時に必要な力を小さくすることができ、挿入後に管が抜け難く、管内を流れる流体の漏洩が生じ難い接続用管、並びに管接続構造体及び該管接続構造体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の広い局面によれば、受け口を有する第1の管と、該第1の管の受け口に挿入される差し口を有し、かつ該差し口の外周面に弾性部材が装着されている第2の管とを接続する用途に用いられる上記第1,第2の管の内の一方であって、接続用管が上記第1の管である場合には、上記第1の管の受け口の内周面に、水溶性樹脂を含む材料層が設けられており、接続用管が上記第2の管である場合には、上記第2の管の弾性部材の外周面に、水溶性樹脂を含む材料層が設けられている、接続用管が提供される。
【0009】
すなわち、本発明に係る接続用管は、受け口を有する第1の管であってもよく、該第1の管の受け口に挿入される差し口を有し、かつ該差し口の外周面に弾性部材が装着されている第2の管であってもよい。本発明に係る接続用管が上記第1の管である場合には、上記第1の管の受け口の内周面に、水溶性樹脂を含む材料層が設けられている。本発明に係る接続用管が上記第2の管である場合には、上記第2の管の弾性部材の外周面に、水溶性樹脂を含む材料層が設けられている。
【0010】
本発明の別の広い局面によれば、受け口を有し、かつ該受け口の内周面に弾性部材が装着されている第1の管と、該第1の管の受け口に挿入される差し口を有する第2の管とを接続する用途に用いられる上記第1,第2の管の内の一方であって、接続用管が上記第1の管である場合には、上記第1の管の弾性部材の内周面に、水溶性樹脂を含む材料層が設けられており、接続用管が上記第2の管である場合には、上記第2の管の差し口の外周面に、水溶性樹脂を含む材料層が設けられている、接続用管が提供される。
【0011】
すなわち、本発明に係る接続用管は、受け口を有し、かつ該受け口の内周面に弾性部材が装着されている第1の管であってもよく、該第1の管の受け口に挿入される差し口を有する第2の管であってもよい。本発明に係る接続用管が上記第1の管である場合には、上記第1の管の弾性部材の内周面に、水溶性樹脂を含む材料層が設けられている。本発明に係る接続用管が上記第2の管である場合には、上記第2の管の差し口の外周面に、水溶性樹脂を含む材料層が設けられている。
【0012】
本発明に係る接続用管のある特定の局面では、上記水溶性樹脂は、ポリビニルアルコールである。
【0013】
本発明に係る接続用管の他の特定の局面では、上記水溶性樹脂を含む材料層は、水溶性樹脂とアクリル系粘着剤との混合物により形成されている。
【0014】
本発明に係る接続用管のさらに他の特定の局面では、上記水溶性樹脂を含む材料層の表面に積層されている剥離シートがさらに備えられる。
【0015】
本発明に係る管接続構造体は、受け口を有する第1の管と、差し口を有し、かつ該差し口の外周面に弾性部材が装着されている第2の管とが接続されている管接続構造体であって、上記第1の管の受け口の内周面に、水溶性樹脂を含む材料層を設けた後、該第1の管の受け口に上記第2の管の差し口を挿入するか、又は、上記第2の管の弾性部材の外周面に、水溶性樹脂を含む材料層を設けた後、上記第1の管の受け口に上記第2の管の差し口を挿入することにより得られる。
【0016】
本発明に係る管接続構造体は、受け口を有し、かつ該受け口の内周面に弾性部材が装着されている第1の管と、差し口を有する第2の管とが接続されている管接続構造体であって、上記第1の管の弾性部材の内周面に、水溶性樹脂を含む材料層を設けた後、該第1の管の受け口に上記第2の管の差し口を挿入するか、又は、上記第2の管の差し口の外周面に、水溶性樹脂を含む材料層を設けた後、上記第1の管の受け口に上記第2の管の差し口を挿入することにより得られる。
【0017】
また、本発明に係る管接続構造体は、受け口を有する第1の管と、上記第1の管の受け口に挿入されている差し口を有し、かつ該差し口の外周面に装着されている弾性部材を有する第2の管と、上記第1の管の受け口の内周面と上記第2の管の弾性部材の外周面との間に、水溶性樹脂を含む材料層とを備える。
【0018】
本発明に係る管接続構造体は、受け口を有し、かつ該受け口の内周面に装着されている弾性部材を有する第1の管と、上記第1の管の受け口に挿入されている差し口を有する第2の管と、上記第1の管の弾性部材の内周面と上記第2の管の差し口の外周面との間に、水溶性樹脂を含む材料層とを備える。
【0019】
本発明に係る管接続構造体の製造方法は、受け口を有する第1の管と、差し口を有し、かつ該差し口の外周面に弾性部材が装着されている第2の管とを接続する管接続構造体の製造方法であって、上記第1の管の受け口の内周面に、水溶性樹脂を含む材料層を設けた後、上記第1の管の受け口に上記第2の管の差し口を挿入するか、又は、上記第2の管の弾性部材の外周面に、水溶性樹脂を含む材料層を設けた後、上記第1の管の受け口に上記第2の管の差し口を挿入する。
【0020】
本発明に係る管接続構造体の製造方法は、受け口を有し、かつ該受け口の内周面に弾性部材が装着されている第1の管と、差し口を有する第2の管とを接続する管接続構造体の製造方法であって、上記第1の管の弾性部材の内周面に、水溶性樹脂を含む材料層を設けた後、上記第1の管の受け口に上記第2の管の差し口を挿入するか、又は、上記第2の管の差し口の外周面に、水溶性樹脂を含む材料層を設けた後、上記第1の管の受け口に上記第2の管の差し口を挿入する。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る接続用管は、第1の管の受け口の内周面もしくは第2の管の差し口に装着されている弾性部材の外周面に、水溶性樹脂を含む材料層が設けられているので、又は、第1の管の受け口に装着されている弾性部材の内周面もしくは第2の管の差し口の外周面に、水溶性樹脂を含む材料層が設けられているので、管の挿入時に必要な力を小さくすることができる。さらに、管が抜け難く、管内を流れる流体の漏洩が生じ難い管接続構造体を得ることができる。
【0022】
本発明に係る管接続構造体は、第1の管の受け口の内周面もしくは第2の管の差し口に装着された弾性部材の外周面に、水溶性樹脂を含む材料層を設けた後、又は、第1の管の受け口に装着された弾性部材の内周面もしくは第2の管の差し口の外周面に、水溶性樹脂を含む材料層を設けた後、第1の管の受け口に第2の管の差し口を挿入することにより得られるので、管が抜け難く、更に管内を流れる流体の漏洩が生じ難い。さらに、管の挿入時に大きな力を必要とせずに、本発明に係る管接続構造体を得ることができる。
【0023】
また、本発明に係る管接続構造体は、第1の管の受け口の内周面と第2の管の弾性部材の外周面との間に、水溶性樹脂を含む材料層が備えられているので、又は、第1の管の弾性部材の内周面と第2の管の差し口の外周面との間に、水溶性樹脂を含む材料層が備えられているので、管が抜け難く、更に管内を流れる流体の漏洩が生じ難い。さらに、管の挿入時に大きな力を必要とせずに、本発明に係る管接続構造体を得ることができる。
【0024】
本発明に係る管接続構造体の製造方法では、第1の管の受け口の内周面もしくは第2の管の差し口に装着された弾性部材の外周面に、水溶性樹脂を含む材料層を設けた後、又は第1の管の受け口に装着された弾性部材の内周面もしくは第2の管の差し口の外周面に、水溶性樹脂を設けた後、第1の管の受け口に第2の管の差し口を挿入するので、管の挿入時に必要な力を小さくすることができる。さらに、本発明に係る管接続構造体の製造方法では、管が抜け難く、管内を流れる流体の漏洩が生じ難い管接続構造体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1(a)〜(b)は、本発明の第1の実施形態に係る管接続構造体を模式的に示す部分切欠正面図及び部分切欠正面断面図であり、図1(c)は、図1(b)のI−I線に沿う断面図である。
【図2】図2は、図1(b)に示す管接続構造体の弾性部材の周辺部分を拡大して模式的に示す部分切欠正面断面図である。
【図3】図3(a)は、図1に示す管接続構造体を得るのに用いられる接続用管の一例を模式的に示す部分切欠正面断面図であり、図3(b)は、図3(a)のI−I線に沿う断面図である。
【図4】図4(a)は、図1に示す管接続構造体を得るのに用いられる接続用管の他の例を模式的に示す部分切欠正面断面図であり、図4(b)は、図4(a)のI−I線に沿う断面図である。
【図5】図5は、図4(a)に示す接続用管の弾性部材の周辺部分を拡大して模式的に示す部分切欠正面断面図である。
【図6】図6(a)〜(b)は、本発明の第2の実施形態に係る管接続構造体を模式的に示す部分切欠正面図及び部分切欠正面断面図であり、図6(c)は、図6(b)のI−I線に沿う断面図である。
【図7】図7は、図6(b)に示す管接続構造体の弾性部材の周辺部分を拡大して模式的に示す部分切欠正面断面図である。
【図8】図8(a)は、図6に示す管接続構造体を得るのに用いられる接続用管の一例を模式的に示す部分切欠正面断面図であり、図8(b)は、図8(a)のI−I線に沿う断面図である。
【図9】図9(a)は、図6に示す管接続構造体を得るのに用いられる接続用管の他の例を模式的に示す部分切欠正面断面図であり、図9(b)は、図9(a)のI−I線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態及び実施例を説明することにより、本発明を明らかにする。
【0027】
図1(a)〜(c)に、本発明の第1の実施形態に係る管接続構造体を模式的に示す。図1(a)は部分切欠正面図であり、図1(b)は部分切欠正面断面図である。図1(c)は、図1(b)のI−I線に沿う断面図である。
【0028】
図1に示す管接続構造体1は、第1の管2と、第2の管3とを備える。第1の管2は筒状であり、一端に受け口2aを有する。第1の管2の受け口2aの径は、受け口2aを除く管本体部分2cの径よりも大きい。第1の管2では、管本体部分2cが小径部であり、受け口2aが大径部である。
【0029】
第2の管3は筒状であり、一端に差し口3aを有する。第2の管3の径は、第1の管2の管本体部分2cの径と等しい。差し口3aは、第2の管3の挿入部分である。
【0030】
第2の管3は、差し口3aの外周面に装着されている弾性部材4を有する。弾性部材4は、弾性材料により形成されている。接続部分における液密性を充分に高める観点からは、弾性部材4は、ゴムにより形成されていることが好ましく、リング状であることが好ましく、ゴム輪パッキンであることが好ましい。図2に、図1(b)に示す管接続構造体1の弾性部材4の周辺部分を拡大して示すように、弾性部材4は外周に、リング状の2つの凸部4a,4bを有する。凸部4aと凸部4bとの間に凹部4cが形成されている。弾性部材4は外周に、複数の凸部を有することが好ましく、リング状の凸部を有することが好ましく、リング状の複数の凸部を有することが好ましい。
【0031】
第1,第2の管2,3を構成する材料としては、樹脂、セラミック、金属及びこれらの複合材料等が挙げられる。柔軟性を高める観点からは、第1,第2の管2,3は、樹脂により形成されていることが好ましい。
【0032】
第1の管2は外周に、複数のリブ2bを有する。複数のリブ2bは、第1の管2の長さ方向に等間隔で配置されている。リブ2bは、受け口2aの外周にも設けられている。第2の管3は外周に、複数のリブ3bを有する。複数のリブ3bは、第2の管3の長さ方向に等間隔で配置されている。リブ3bは差し口3aの外周にも設けられている。第1,第2の管の接続信頼性を高める観点からは、第1,第2の管は、外周にリブを有することが好ましく、リブ付管であることが好ましい。リブ付管は、リブ付管ではない通常の管に比べて、重量が約3分の2であり、かつ剛性が約2倍であるので、施工性及び強度に優れている。なお、第1,第2の管は、リブ付管ではない通常の管であってもよく、塩化ビニル管などであってもよい。
【0033】
第1の管2の受け口2aに、第3の管3の差し口3aが挿入されている。第1の管2の受け口2aの内周面と第2の管3の差し口3aの外周面との間に、弾性部材4が配置されている。弾性部材4は、隣り合うリブ3a,3a間に配置されている。弾性部材4は、受け口2aの内周面と差し口3aの外周面とにより圧縮されている。
【0034】
図2に示すように、管接続構造体1は、第1の管2の内周面2aと、第2の管3の弾性部材4の外周面との間に、水溶性樹脂を含む材料層5を備える。材料層5は、受け口2aの内周面と弾性部材4の外周面との間に配置されている。材料層5は凹部4c内に配置されている。第1の管2の受け口2aに第2の管3の差し口3aを挿入する際に、水溶性樹脂を含む材料層が圧延されることにより、材料層5は弾性部材4の側方にも配置されている。
【0035】
なお、管接続構造体の第1,第2の管の接続部分に水を付与することにより、水溶性樹脂を含む材料層の一部又は全部が水に溶解し、水溶性樹脂を含む材料層の全部又は一部を除去できる。水溶性樹脂を含む材料層の全部又は一部を除去することにより、接続部分における止水性能をより一層高めることができる。
【0036】
水溶性樹脂を含む材料層5は、水溶性樹脂とアクリル系粘着剤との混合物により形成されていることが好ましい。この場合には、挿入後に管がより一層抜け難くなる。さらに、第1,第2の管の接続部分の液密性をより一層高めることができる。
【0037】
上記水溶性樹脂は、ポリビニルアルコールであることが好ましい。この場合には、管の挿入時に必要な力をより一層小さくすることができ、挿入後に管がより一層抜け難くなる。さらに、第1,第2の管の接続部分の液密性をより一層高めることができる。
【0038】
管接続構造体1は、具体的には、例えば、図3(a)〜(b)に示す接続用管11、又は図4(a)〜(b)に示す接続用管21などを用いて得ることができる。
【0039】
接続用管11,21は、受け口2aを有する第1の管2と、第1の管2の受け口2aに挿入される差し口3aを有し、かつ差し口3aの外周面に弾性部材4が装着されている第2の管3との内の一方である。接続用管11,21は、第1の管2と第2の管3とを接続する用途に用いられる。具体的には、接続用管11は、第1の管2であり、接続用管21は第2の管3である。
【0040】
図3(a)に、接続用管11を部分切欠正面断面図で示し、図3(b)に、図3(a)のI−I線に沿う断面図を示す。
【0041】
接続用管11は、受け口を有する第1の管であって、第1の管2の受け口2aの内周面に水溶性樹脂を含む材料層5Aが設けられている管である。水溶性樹脂を含む材料層5Aはテープ状である。接続用管11は、水溶性樹脂を含む材料層5Aの表面に積層されている剥離シート12をさらに備える。
【0042】
剥離シート12は、具体的には、水溶性樹脂を含む材料層5Aの内周面、言い換えれば、水溶性樹脂を含む材料層5Aの受け口2aが配置されている側とは反対側の表面に積層されている。
【0043】
接続用管11は、第1の管2と第2の管3とを接続する用途に用いられる第1の管であって、水溶性樹脂を含む材料層5Aが設けられている第1の管である。第1の管2は、第1の管2の受け口2aに第2の管3の差し口3aを挿入するための管である。第2の管3は、差し口3aと、差し口3aの外周面に装着されている弾性部材4とを有する。接続用管11に接続される第2の管3の弾性部材4の外周面には、水溶性樹脂を含む材料層が設けられていてもよく、設けられていなくてもよい。接続用管11における第1の管2の受け口に第2の管3の差し口3aを挿入することにより、水溶性樹脂を含む材料層5Aが押し込まれ、弾性部材4が圧縮され、管接続構造体1を得ることができる。
【0044】
図4(a)に、接続用管21を部分切欠正面断面図で示し、図4(b)に、図4(a)のI−I線に沿う断面図を示す。図5に、図4(a)に示す接続用管21の弾性部材4の周辺部分を拡大して部分切欠正面断面図で示す。
【0045】
接続用管21は、差し口を有し、かつ差し口の外周面に弾性部材が装着されている第2の管であって、第2の管3の差し口3aの外周面に装着されている弾性部材4の外周面に水溶性樹脂を含む材料層5Bが設けられている管である。水溶性樹脂を含む材料層5Bはテープ状である。接続用管21は、水溶性樹脂を含む材料層5Bの表面に積層されている剥離シート22をさらに備える。なお、図5では、水溶性樹脂を含む材料層5B及び剥離シート22の厚みは、図示の便宜上、実際の厚みよりも厚く示されている。
【0046】
剥離シート22は、具体的には、水溶性樹脂を含む材料層5Bの外周面、言い換えれば、水溶性樹脂を含む材料層5Bの差し口3aが配置されている側とは反対側の表面に積層されている。
【0047】
図5に示すように、テープ状の水溶性樹脂を含む材料層5Bは、弾性部材4の凸部4aに対して巻き数が1及び凸部4bに対して巻き数が1となるように、従って弾性部材4全体に対して合計の巻き数が2となるようにリング状に貼り付けられている。このように、弾性部材4の凸部4a,4bに対して、水溶性樹脂を含む材料層5Bが設けられていることが好ましい。弾性部材が複数の凸部を有する場合には、第2の管3の差し口3aの開口側の凸部4aに対して、水溶性樹脂を含む材料層5Bが設けられていることが好ましい。凸部4a,4bに対して、1つのテープ状の水溶性樹脂を含む材料層を一括して貼り付けて、凸部4a,4bに対して、水溶性樹脂を含む材料層が設けられていてもよい。
【0048】
接続用管21は、第1の管2と第2の管3とを接続する用途に用いられる第2の管であって、水溶性樹脂を含む材料層5Bが設けられている第2の管である。第2の管3は、第2の管3の差し口3aを第1の管2の受け口2aに挿入するための管である。接続用管21に接続される第1の管2の受け口2aの内周面には、水溶性樹脂を含む材料層が設けられていてもよく、設けられていなくてもよい。第1の管2の受け口2aに、接続用管21における第2の管3の差し口3aを挿入することにより、弾性部材4が圧縮され、管接続構造体1を得ることができる。
【0049】
水溶性樹脂を含む材料層5A,5Bに含まれている水溶性樹脂は、管接続構造体を得た後に水に溶解し、管接続構造体において残渣として残り難い。なお、水溶性樹脂を含む材料層5A,5Bがアクリル系粘着剤を含む場合などには、水溶性樹脂を含む材料に含まれている一部の材料が管接続構造体において残渣として残ることもある。例えば、管接続構造体1では、水溶性樹脂を含む材料層5は、アクリル系粘着剤を含む。水溶性樹脂を含む材料層5A,5Bを用いているので、水溶性樹脂を水に溶解させることができ、止水性能を高めることができる。従って、管内を流れる流体の漏洩を抑制できる。
【0050】
水溶性樹脂を含む材料層は、第1の管2の受け口2aの内周面に設けられているよりも、第2の管2の弾性部材4の外周面に設けられていることが好ましい。この場合には、管の挿入時に必要な力をより一層小さくすることができる。
【0051】
水溶性樹脂を含む材料層5A,5Bはテープ状であり、受け口2aの内周面又は弾性部材4の外周面に積層されている。水溶性樹脂を含む材料層はペースト状であってもよい。ペースト状などの水溶性樹脂を含む材料が、受け口2aの内周面又は弾性部材4の外周面に塗布されて、水溶性樹脂を含む材料層が設けられていてもよい。取扱い性を高める観点及び汚染を抑制する観点からは、水溶性樹脂を含む材料層は、テープ状であることが好ましい。
【0052】
取扱い性及び水溶性樹脂を含む材料による汚染を抑制する観点からは、接続用管は、水溶性樹脂を含む材料層の表面に積層されている剥離シートをさらに備えることが好ましい。この場合には、挿入前に、水溶性樹脂を含む材料に意図せずに水が付着することを抑制できる。例えば、挿入の際に、水溶性樹脂を含む材料層から剥離シートを剥離することにより、水溶性樹脂を含む材料に水を付与することができる。さらに、剥離シートは、汚れを防ぎ、かつ運搬時の濡れを防ぐ保護シートとしての役割も果たす。剥離シートとしては、特に限定されないが、ポリエチレンシート等が挙げられる。
【0053】
上記のように、管接続構造体1は、第1の管2の受け口2aの内周面に、水溶性樹脂を含む材料層を設けた後、該第1の管2の受け口2aに、差し口3aを有しかつ差し口3aの外周面に弾性部材4が装着されている第2の管3の差し口3aを挿入することにより得ることができる。又は、管接続構造体1は、差し口3aを有しかつ差し口3aの外周面に弾性部材4が装着されている第2の管3の弾性部材4の外周面に、水溶性樹脂を含む材料層を設けた後、第1の管2の受け口2aに第2の管3の差し口3aを挿入することにより得ることができる。
【0054】
図6(a)〜(c)に、本発明の第2の実施形態に係る管接続構造体を模式的に示す。図6(a)は部分切欠正面図であり、図6(b)は部分切欠正面断面図である。図6(c)は、図6(b)のI−I線に沿う断面図である。
【0055】
図6に示す管接続構造体51では管接続構造体1と異なり、弾性部材が第2の管の差し口ではなく、第1の管の受け口に装着されている。
【0056】
管接続構造体51は、第1の管52と、第2の管53とを備える。第1の管52は筒状であり、一端に受け口52aを有する。第1の管52の受け口52aの径は、受け口52aを除く管本体部分52bの径よりも大きい。第1の管52では、管本体部分52bが小径部であり、受け口52aが大径部である。
【0057】
第1の管52は、受け口52aの内周面に装着されている弾性部材54を有する。図7に、図6(b)に示す管接続構造体51の弾性部材54の周辺部分を拡大して示すように、弾性部材54は内周に、リング状の2つの凸部54a,54bを有する。凸部54aと凸部54bとの間に凹部54cが形成されている。
【0058】
第2の管53は筒状であり、一端に差し口53aを有する。第2の管53の径は、第1の管52の管本体部分52bの径と等しい。差し口53aは、第2の管53の挿入部分である。
【0059】
第1の管52の受け口52aに、第3の管53の差し口53aが挿入されている。第1の管52の受け口52aの内周面と第2の管53の差し口53aの外周面との間に、弾性部材54が配置されている。
【0060】
図7に示すように、管接続構造体51は、第1の管52の弾性部材54の内周面と、第2の管53の差し口53aの外周面との間に、水溶性樹脂を含む材料層55を備える。材料層55は、弾性部材54の内周面と差し口53aの外周面との間に配置されている。材料層55は凹部54c内に配置されている。第1の管52の受け口52aに第2の管53の差し口53aを挿入する際に、水溶性樹脂を含む材料層が圧延されることにより、材料層55は弾性部材54の側方にも配置されている。
【0061】
管接続構造体51は、具体的には、例えば、図8(a)〜(b)に示す接続用管61、又は図9(a)〜(b)に示す接続用管71などを用いて得ることができる。
【0062】
接続用管61,71は、受け口52aを有し、かつ受け口52aの内周面に弾性部材54が装着されている第1の管52と、第1の管52の受け口52aに挿入される差し口53aを有する第2の管53との内の一方である。接続用管61,71は、第1の管52と第2の管53とを接続する用途に用いられる。具体的には、接続用管61は、第1の管52であり、接続用管71は第2の管53である。
【0063】
図8(a)に、接続用管61を部分切欠正面断面図で示し、図8(b)に、図8(a)のI−I線に沿う断面図を示す。
【0064】
接続用管61は、受け口を有し、かつ受け口の内周面に弾性部材が装着されている第1の管であって、第1の管52の受け口52aの内周面に装着されている弾性部材54の内周面に水溶性樹脂を含む材料層55Aが設けられている管である。水溶性樹脂を含む材料層55Aはテープ状である。接続用管61は、水溶性樹脂を含む材料層55Aの表面に積層されている剥離シート62をさらに備える。
【0065】
剥離シート62は、具体的には、水溶性樹脂を含む材料層55Aの内周面、言い換えれば、水溶性樹脂を含む材料層55Aの受け口52aが配置されている側とは反対側の表面に積層されている。
【0066】
テープ状の水溶性樹脂を含む材料層55Aは、弾性部材54の凸部54aに対して巻き数が1及び凸部54bに対して巻き数が1となるように、従って弾性部材54全体に対して合計の巻き数が2となるようにリング状に貼り付けられている。このように、弾性部材54の凸部54a,54bに対して、水溶性樹脂を含む材料層55Aが設けられていることが好ましい。弾性部材が複数の凸部を有する場合には、第1の管52の受け口52aの開口側の凸部54aに対して、水溶性樹脂を含む材料層55Aが設けられていることが好ましい。
【0067】
接続用管61は、第1の管52と第2の管53とを接続する用途に用いられる第1の管であって、水溶性樹脂を含む材料層55Aが設けられている第1の管である。第1の管52は、第1の管52の受け口52aに第2の管53の差し口53aを挿入するための管である。接続用管61に接続される第2の管53の差し口53aの外周面には、水溶性樹脂を含む材料層が設けられていてもよく、設けられていなくてもよい。接続用管61における第1の管52の受け口52aに第2の管53の差し口53aを挿入することにより、弾性部材54が圧縮され、管接続構造体51を得ることができる。
【0068】
図9(a)に、接続用管71を部分切欠正面断面図で示し、図9(b)に、図9(a)のI−I線に沿う断面図を示す。
【0069】
接続用管71は、差し口を有する第2の管であって、第2の管53の差し口53aの外周面に水溶性樹脂を含む材料層55Bが設けられている管である。水溶性樹脂を含む材料層55Bはテープ状である。接続用管71は、水溶性樹脂を含む材料層55Bの表面に積層されている剥離シート72をさらに備える。
【0070】
剥離シート72は、具体的には、水溶性樹脂を含む材料層55Bの外周面、言い換えれば、水溶性樹脂を含む材料層55Bの差し口53aが配置されている側とは反対側の表面に積層されている。
【0071】
接続用管71は、第1の管52と第2の管53とを接続する用途に用いられる第2の管であって、水溶性樹脂を含む材料層55Bが設けられている第2の管である。第2の管53は、第2の管53の差し口53aを第1の管52の受け口52aに挿入するための管である。接続用管71に接続される第1の管52の弾性部材54の内周面には、水溶性樹脂を含む材料層が設けられていてもよく、設けられていなくてもよい。第1の管52の受け口52aに、接続用管71における第2の管53の差し口53aを挿入することにより、水溶性樹脂を含む材料層55Bが押し込まれ、弾性部材54が圧縮され、管接続構造体51を得ることができる。
【0072】
水溶性樹脂を含む材料層は、第2の管53の差し口53aの外周面よりも、第1の管52の弾性部材54の内周面に設けられていることが好ましい。この場合には、管の挿入時に必要な力をより一層小さくすることができる。
【0073】
上記のように、管接続構造体51は、受け口52aを有しかつ受け口52aの内周面に弾性部材54が装着されている第1の管52の弾性部材54の内周面に、水溶性樹脂を含む材料層を設けた後、第1の管52の受け口42aに、第2の管3の差し口3aを挿入することにより得ることができる。又は、管接続構造体51は、差し口3aを有する第2の管53の差し口53aの外周面に、水溶性樹脂を含む材料層を設けた後、受け口52aを有しかつ受け口52aの内周面に弾性部材54が装着されている第1の管2の受け口2aに、第2の管3の差し口3aを挿入することにより得ることができる。
【0074】
接続用管11,21,61,71及び管接続構造体1,51は、例えば、配水管などの用途に用いることができる。なお、第1,第2の管及び接続用管には、管継ぎ手が含まれる。
【0075】
以下、実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明する。本発明は以下の実施例のみに限定されない。
【0076】
実施例1〜6では、水溶性樹脂を含む材料層を形成するために、水溶性樹脂であるポリビニルアルコールと、アクリル系粘着剤との混合物により形成された水溶性テープ(クロバー社製、剥離シート付き両面粘着テープ、幅6mm)を用いた。
【0077】
(実施例1)
第1のリブ管(呼び径150)を用意した。
【0078】
第2のリブ管(呼び径150)を用意した。第2のリブ管の差し口の外周面に、リング状のゴム輪パッキンが装着されている。ゴム輪パッキンは外周面に、リング状の2つの凸部を有する。この第2のリブ管のゴム輪パッキンの外周面に、リング状に水溶性テープを積層し、貼り付けて、接続用管を得た。ゴム輪パッキンの各凸部に対してそれぞれ巻き数が1となるように、ゴム輪パッキン全体に対して合計の巻き数が2となるようにリング状に水溶性テープを貼り付けた。水溶性テープは、両面粘着テープの片面に剥離シートが積層された状態で両面粘着テープ側から、ゴム輪パッキンの外周面に貼り付けた。
【0079】
次に、両面粘着テープから剥離シートを剥離した後、露出した両面粘着テープの表面に、刷毛で水を20秒かけて塗布した。水を塗布してから40秒間放置した後、第1のリブ管の受け口に第2のリブ管の差し口を挿入して、管接続構造体を得た。
【0080】
(実施例2)
第2のリブ管のゴム輪パッキンの外周面に、ゴム輪パッキンの2つの凸部のうち差し口の開口側の凸部のみに対して巻き数が1となるように、ゴム輪パッキン全体に対して合計の巻き数が1となるようにリング状に水溶性テープを貼り付けたこと以外は実施例1と同様にして、管接続構造体を得た。
【0081】
(実施例3)
第1のリブ管(呼び径150)を用意した。第1のリブ管の受け口の内周面に、巻き数2でテープ同士が重ならないようにリング状に水溶性テープを積層し、貼り付けて、接続用管を得た。水溶性テープは、両面粘着テープの片面に剥離シートが積層された状態で両面粘着テープ側から、受け口の内周面に貼り付けた。
【0082】
第2のリブ管(呼び径150)を用意した。第2のリブ管の差し口の外周面に、リング状のゴム輪パッキンが装着されている。ゴム輪パッキンは外周面に、リング状の2つの凸部を有する。
【0083】
実施例1と同様にして、第1のリブ管の受け口に第2のリブ管の差し口を挿入して、管接続構造体を得た。
【0084】
(比較例1)
第2のリブ管の弾性部材の外周面に水溶性テープを貼り付けなかったこと以外は実施例1と同様にして、第1のリブ管の受け口に第2のリブ管の差し口を挿入して、管接続構造体を得ようと試みた。
【0085】
(実施例1〜3及び比較例1の評価)
(1)挿入力
第1のリブ管の受け口に第2のリブ管の差し口を挿入する際に必要な力を測定し、挿入力(N)を評価した。島津製作所社製の圧縮・引張試験機RS−10型を用いて、管を挿入し、挿入速度は100mm/分とした。
【0086】
(2)抜き力
管の挿入後、管接続構造体を5分間放置した。放置後、第1の管と第2の管とを離間するように引っ張り、第1の管の受け口から第2の管の差し口を抜くときに必要な力を測定し、抜き力(N)を評価した。島津製作所社製の圧縮・引張試験機RS−10型を用いて、管を抜き、抜き速度は100mm/分とした。
【0087】
結果を下記の表1に示す。
【0088】
【表1】

【0089】
表1に示す結果から、実施例1〜3の管接続構造体では、比較例1の管接続構造体よりも、挿入力が小さく、かつ抜き力が小さいことがわかる。また、実施例1〜3の管接続構造体では、管の接続部分に隙間がなく、管内を流れる流体の漏洩が生じ難いことを確認した。
【0090】
なお、第1の管の受け口から第2の管の差し口を抜いた後、実施例3の管接続構造体では、水溶性テープ成分は、ゴム輪パッキンの凸部間に主に存在しており、更に第1の管の受け口の内周面に多く付着していた。このため、抜き力が大きかったと考えられる。
【0091】
実施例1の管接続構造体では、水溶性テープ成分は、ゴム輪パッキンの外周面の全体に付着しており、第1の管の受け口の内周面にわずかに付着ていた。実施例2の管接続構造体では、水溶テープ成分はゴム輪パッキンの外周面に少量付着ており、更に水溶性テープは管の挿入時に押し込まれて第1の管の受け口の内周面の奥側に付着していた。このため、実施例1,2の管接続構造体では、実施例3の管接続構造体よりも、抜き力が小さかったと考えられる。
【0092】
比較例1では、1000Nを超える挿入力でも、挿入できなかった。
【0093】
(実施例4)
リブを有さない第1の管(呼び径150)を用意した。第1の管の受け口の内周面に、リング状のゴム輪パッキンが装着されている。ゴム輪パッキンは内周面に、リング状の2つの凸部を有する。この第1の管のゴム輪パッキンの内周面に、リング状に水溶性テープを積層し、貼り付けて、接続用管を得た。ゴム輪パッキンの各凸部に対してそれぞれ巻き数が1となるように、ゴム輪パッキン全体に対して合計の巻き数が2となるようにリング状に水溶性テープを貼り付けた。水溶性テープは、両面粘着テープの片面に剥離シートが積層された状態で両面粘着テープ側から、ゴム輪パッキンの外周面に貼り付けた。
【0094】
リブを有さない第2の管(呼び径150)を用意した。
【0095】
次に、両面粘着テープから剥離シートを剥離した後、露出した両面粘着テープの表面に、刷毛で水を20秒かけて塗布した。水を塗布してから40秒間放置した後、第1の管の受け口に第2の管の差し口を挿入して、管接続構造体を得た。
【0096】
(実施例5)
第1の管のゴム輪パッキンの内周面に、ゴム輪パッキンの2つの凸部のうち受け口の開口側の凸部のみに対して巻き数が1となるように、ゴム輪パッキン全体に対して合計の巻き数が1となるようにリング状に水溶性テープを貼り付けたこと以外は実施例4と同様にして、管接続構造体を得た。
【0097】
(実施例6)
リブを有さない第1の管(呼び径150)を用意した。第1の管の受け口の内周面に、リング状のゴム輪パッキンが装着されている。ゴム輪パッキンは内周面に、リング状の2つの凸部を有する。
【0098】
リブを有さない第2の管(呼び径150)を用意した。第2の管の差し口の外周面に、巻き数2でテープ同士が重ならないようにリング状に水溶性テープを積層し、貼り付けて、接続用管を得た。水溶性テープは、両面粘着テープの片面に剥離シートが積層された状態で両面粘着テープ側から、差し口の外周面に貼り付けた。
【0099】
実施例4と同様にして、第1の管の受け口に第2の管の差し口を挿入して、管接続構造体を得た。
【0100】
(実施例4〜6の評価)
得られた実施例4〜6の管接続構造体について、実施例1〜3及び比較例1の評価と同様にして、挿入力及び抜き力を評価した。
【0101】
その結果、実施例4で得られた管接続構造体における挿入力及び抜き力は、実施例1で得られた管接続構造体における挿入力及び抜き力と同等であった。実施例5で得られた管接続構造体における挿入力及び抜き力は、実施例2で得られた管接続構造体における挿入力及び抜き力と同等であった。実施例6で得られた管接続構造体における挿入力及び抜き力は、実施例3で得られた管接続構造体における挿入力及び抜き力と同等であった。
【0102】
従って、実施例4,5の管接続構造体の挿入力は、実施例6の管接続構造体の挿入力よりも小さかった。実施例4の管接続構造体の抜き力は、実施例5の管接続構造体の抜き力よりも小さく、更に実施例5の管接続構造体の抜き力は、実施例6の管接続構造体の抜き力よりも小さかった。
【0103】
また、実施例4〜6の管接続構造体では、管の接続部分に隙間がなく、管内を流れる流体の漏洩が生じ難いことを確認した。
【符号の説明】
【0104】
1…管接続構造体
2…第1の管
2a…受け口
2b…リブ
2c…管本体部分
3…第2の管
3a…差し口
3b…リブ
4…弾性部材
4a,4b…凸部
4c…凹部
5…水溶性樹脂を含む材料層
5A,5B…水溶性樹脂を含む材料層
11,21…接続用管
12,22…剥離シート
51…管接続構造体
52…第1の管
52a…受け口
52b…管本体部分
53…第2の管
53a…差し口
54…弾性部材
54a,54b…凸部
54c…凹部
55…水溶性樹脂を含む材料層
55A,55B…水溶性樹脂を含む材料層
61,71…接続用管
62,72…剥離シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受け口を有する第1の管と、該第1の管の受け口に挿入される差し口を有し、かつ該差し口の外周面に弾性部材が装着されている第2の管とを接続する用途に用いられる前記第1,第2の管の内の一方であって、
接続用管が前記第1の管である場合には、前記第1の管の受け口の内周面に、水溶性樹脂を含む材料層が設けられており、
接続用管が前記第2の管である場合には、前記第2の管の弾性部材の外周面に、水溶性樹脂を含む材料層が設けられている、接続用管。
【請求項2】
受け口を有する第1の管と、該第1の管の受け口に挿入される差し口を有し、かつ該差し口の外周面に弾性部材が装着されている第2の管とを接続する用途に用いられる前記第1の管であって、
前記第1の管の受け口の内周面に、水溶性樹脂を含む材料層が設けられている、接続用管。
【請求項3】
受け口を有する第1の管と、該第1の管の受け口に挿入される差し口を有し、かつ該差し口の外周面に弾性部材が装着されている第2の管とを接続する用途に用いられる前記第2の管であって、
前記第2の管の弾性部材の外周面に、水溶性樹脂を含む材料層が設けられている、接続用管。
【請求項4】
受け口を有し、かつ該受け口の内周面に弾性部材が装着されている第1の管と、該第1の管の受け口に挿入される差し口を有する第2の管とを接続する用途に用いられる前記第1,第2の管の内の一方であって、
接続用管が前記第1の管である場合には、前記第1の管の弾性部材の内周面に、水溶性樹脂を含む材料層が設けられており、
接続用管が前記第2の管である場合には、前記第2の管の差し口の外周面に、水溶性樹脂を含む材料層が設けられている、接続用管。
【請求項5】
受け口を有し、かつ該受け口の内周面に弾性部材が装着されている第1の管と、該第1の管の受け口に挿入される差し口を有する第2の管とを接続する用途に用いられる前記第1の管であって、
前記第1の管の弾性部材の内周面に、水溶性樹脂を含む材料層が設けられている、接続用管。
【請求項6】
受け口を有し、かつ該受け口の内周面に弾性部材が装着されている第1の管と、該第1の管の受け口に挿入される差し口を有する第2の管とを接続する用途に用いられる前記第2の管であって、
前記第2の管の差し口の外周面に、水溶性樹脂を含む材料層が設けられている、接続用管。
【請求項7】
前記水溶性樹脂が、ポリビニルアルコールである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の接続用管。
【請求項8】
前記水溶性樹脂を含む材料層が、水溶性樹脂とアクリル系粘着剤との混合物により形成されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の接続用管。
【請求項9】
前記水溶性樹脂を含む材料層の表面に積層されている剥離シートをさらに備える、請求項1〜8のいずれか1項に記載の接続用管。
【請求項10】
受け口を有する第1の管と、差し口を有し、かつ該差し口の外周面に弾性部材が装着されている第2の管とが接続されている管接続構造体であって、
前記第1の管の受け口の内周面に、水溶性樹脂を含む材料層を設けた後、該第1の管の受け口に前記第2の管の差し口を挿入するか、又は、前記第2の管の弾性部材の外周面に、水溶性樹脂を含む材料層を設けた後、前記第1の管の受け口に前記第2の管の差し口を挿入することにより得られる、管接続構造体。
【請求項11】
受け口を有し、かつ該受け口の内周面に弾性部材が装着されている第1の管と、差し口を有する第2の管とが接続されている管接続構造体であって、
前記第1の管の弾性部材の内周面に、水溶性樹脂を含む材料層を設けた後、該第1の管の受け口に前記第2の管の差し口を挿入するか、又は、前記第2の管の差し口の外周面に、水溶性樹脂を含む材料層を設けた後、前記第1の管の受け口に前記第2の管の差し口を挿入することにより得られる、管接続構造体。
【請求項12】
受け口を有する第1の管と、
前記第1の管の受け口に挿入されている差し口を有し、かつ該差し口の外周面に装着されている弾性部材を有する第2の管と、
前記第1の管の受け口の内周面と前記第2の管の弾性部材の外周面との間に、水溶性樹脂を含む材料層とを備える、管接続構造体。
【請求項13】
受け口を有し、かつ該受け口の内周面に装着されている弾性部材を有する第1の管と、
前記第1の管の受け口に挿入されている差し口を有する第2の管と、
前記第1の管の弾性部材の内周面と前記第2の管の差し口の外周面との間に、水溶性樹脂を含む材料層とを備える、管接続構造体。
【請求項14】
受け口を有する第1の管と、差し口を有し、かつ該差し口の外周面に弾性部材が装着されている第2の管とを接続する管接続構造体の製造方法であって、
前記第1の管の受け口の内周面に、水溶性樹脂を含む材料層を設けた後、前記第1の管の受け口に前記第2の管の差し口を挿入するか、又は、前記第2の管の弾性部材の外周面に、水溶性樹脂を含む材料層を設けた後、前記第1の管の受け口に前記第2の管の差し口を挿入する、管接続構造体の製造方法。
【請求項15】
受け口を有し、かつ該受け口の内周面に弾性部材が装着されている第1の管と、差し口を有する第2の管とを接続する管接続構造体の製造方法であって、
前記第1の管の弾性部材の内周面に、水溶性樹脂を含む材料層を設けた後、前記第1の管の受け口に前記第2の管の差し口を挿入するか、又は、前記第2の管の差し口の外周面に、水溶性樹脂を含む材料層を設けた後、前記第1の管の受け口に前記第2の管の差し口を挿入する、管接続構造体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−137518(P2011−137518A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−298234(P2009−298234)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】