説明

接続装置

【課題】ハードディスク記憶装置等の記憶装置を多数接続する接続装置において、安価で着脱が容易な接続装置を提供する。
【解決手段】通信ケーブル43bの先端に設けられている接続端子41bを、1対の保持部材によって挟み込み、接続端子41b部分を突出させた状態で、ハードデイスク記録装置THの収容部G11に装着する。保持部材よりなる固定部材3によって保持された接続端子41bを収容部G11内に突出させ、ハードデイスク記録装置THとの接続端子として用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ハードディスク記憶装置等に接続されデータを記録し、又は読み取る装置に取り付けられる接続装置に係り、詳しくは、多数の接続端子を備える接続装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、パーソナルコンピュータ等に搭載される記憶装置としては、容量の大きくアクセス時間が比較的短いハードディスク記憶装置がある。このハードディスク記憶装置は、例えば、パーソナルコンピュータのオペレーションシステム等のソフトウエアーを記憶する記憶装置として、或いはビデオレコーダーの記憶装置として用いられており、他の記憶装置に比較して大量のデータを短時間で記憶できるといった特質を備えている。このようなハードディスク装置は、パーソナルコンピュータに装填される場合、出荷する前に、出荷される多数のパーソナルコンピュータのハードディスク記憶装置に、既述のシステムソフトを書き込む作業が行なわれる。
【0003】
従来、このようなハードディスク記憶装置へのデータの書込みには、パーソナルコンピュータの使用に必要なシステムソフトを書き込んだハードディスク記憶装置(マスターHDD)を作成し、このマスターHDDから、実際にパーソナルコンピュータへ装填される複数のハードディスク記憶装置(ターゲットHDD)へデータを物理的にコピーすることにより行われる。具体的には、マスターHDDのから所定の読み取り開始位置からセクタ単位で所定量のデータを読み取り、これをターゲットHDDへ転送し、ターゲットHDDの対応するアドレスから順に書き込むといった動作が繰り返される。
【0004】
このようなハードディスク記憶装置のデータをコピーする装置として、例えば下記先行特許文献に記載されているような装置がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−108410公報
【特許文献2】特開2005−92373公報
【特許文献3】特開2007−48415公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このようなハードディスク装置は、データを転送するためのケーブルを接続する端子を備えており、複数のハードディスク記憶装置の各端子に、コピー装置の接続端子を接続する必要がある。
【0007】
このような端子は、コピー先のハードディスク記憶装置の数と同じ数が必要であり、同時にコピーできるコピー先ハードディスク記憶装置の数が増えれば、それに応じて端子の数も増やす必要があり、数が増えるほど、接続端子へのハードディスク記憶装置の着脱作業に時間が採られるといった問題があった。さらに、コピー先ハードディスク記憶装置の台数が増加する程、コピー装置のイニシャルコストも高価となるといった問題もあった。
【0008】
さらに、このようなコピー装置においては、多数のハードディスク記憶装置に、短時間でデータをコピーする必要があるため、コピーが終了したハードディスク記憶装置から未コピーのハードディスク記憶装置に交換する作業も、短時間で行う必要がある。このため、接続端子の接続は、確実にデータを転送できる構造であることに加えて、作業時間の短縮を図るために、容易に着脱できる構成であることが要請される。
【0009】
この発明は、ハードディスク記憶装置等の記憶装置を多数接続する接続装置において、安価で着脱が容易な接続装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以上のような問題を解決する本発明は、以下のような構成を有する。
【0011】
(1)通信ケーブルの端部に設けられた接続端子と、
該記憶装置本体に設けられた接続端子の方向に、記憶装置本体を挿入させることにより、接続端子が設けられた端部を収容し、他の部分を露出した状態とする複数の収容部と、
前記収容部に設けられ、前記記憶装置本体の側面に接触して、前記記憶装置の挿脱を案内する案内部材と、
前記通信ケーブルの接続端子を両側から挟み込み、該接続端子の端子部を外側に突出させた状態で保持する一対の保持部材からなる固定部材とを備え、
前記固定部材は、前記収容部において、収容されている前記記憶装置の接続端子に対向する面に配置され、該接続端子に対向する位置に前記突出した端子部を臨ませていることを特徴とする接続装置。
【0012】
(2)前記記憶装置に対して、物理コピーを行う複写装置の接続装置である上記(1)に記載の接続装置
(3)前記収容部は、縦横に複数配列されている上記(1)又は(2)に記載の接続装置。
【0013】
(4)前記収容部に対する記録装置の挿入方向は、下向きかつ鉛直方向に対して傾斜している上記(1)〜(3)のいずれか1に記載の接続装置。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、通信ケーブルの端部に設けられている接続端子をそのまま装置の接続端子として利用するので、端子部分のイニシャルコストを低減することができる。特に、接続端子部の接続のみによって接続装置と記録装置とが連結されており、他の連結構造や固定構造が存在しないので、容易に記録装置の着脱が可能で、記録装置の交換の際の作業時間を短縮することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、物理コピーにより複写を行う複写装置に用いることにより、多数の記録装置にデータをコピーする作業に使用され、コピー済みの記録装置から未コピーの記録装置に交換する作業を効率よく行うことができる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、収容部を縦横に複数配列することによって、特定の領域に効率良く記録装置を配置することができる。また、記録装置の収容部への装填作業も容易となる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、収容部が情報に向けて傾斜しているので(即ち、記録装置は下方へ向けて挿入される)、記録装置の接続端子と接続装置の接続端子との接続に対して、記録装置の自重によって、接続方向に圧力が加わる構成となり、通信状態で接続部分が外れるといったトラブルが抑制される。さらに、鉛直方向に挿入するものではないので、接続作業時において、記録装置の自重による落下の衝撃で、接続端子同時が衝突し、破損するといったトラブルも抑制される。また、収容部に記録装置が収容されている状態において、記録装置の後部が斜め上方に突出した状態となるので、取り外しが容易となり、記録装置交換作業の時間短縮を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の接続装置が搭載された複写装置の回路構成を示すブロック図である。
【図2】筐体の正面図である。
【図3】基台に載せられた筐体の側面図である。
【図4】各装填口に収容部連結体が装填された状態を示す、装填部の全体正面図である。
【図5】収容部連結体の平面断面図である。
【図6】固定部材の分解正面図である。
【図7】片方の保持部材の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好適実施形態について、詳細に説明する。図1は、本発明の接続装置が搭載された複写装置の回路構成を示すブロック図である。コピー装置10は、複写元ハードディスク記憶装置MHから読み取ったデータを複数の複写先ハードディスク記憶装置TH1〜THnに書き込み、複写元ハードディスク記憶装置MHから複写先ハードディスク記憶装置TH1〜THnにミラーコピーする装置である。この実施形態では、複写先ハードディスク記憶装置THは、23個ある(n=23)。
【0020】
複写装置10は、中央演算処理装置CPU0と、複写元ハードディスク記憶装置MHから読み取ったデータを一時格納するメモリ12と、複写元ハードディスク記憶装置MHに接続される接続端子110と、複写先ハードディスク記憶装置TM1〜TMnに接続される接続端子111、112、113、〜11nを備えている。各接続端子111、112、113、〜11nには、これに接続される複写先ハードディスク記憶装置TM1〜TMnへのデータの転送を中継するための制御回路CPU1〜nがそれぞれ接続されている。
【0021】
CPU0と、メモリ12と、CPU1〜nとは、バスライン13で接続されている。
【0022】
CPU0〜nは、コマンドをハードディスク記憶装置に出力することにより、データの読み出しと書き込みを行う。
【0023】
複写装置10の作用を説明する。CPU0は、リードコマンドを複写元ハードディスク記憶装置MHに出力する。例えば、LBA(読み出すアドレス)LBC256(データ単位:セクタ数)なるリードコマンドとなる。読み出されたデータをメモリ12に蓄積する。次に、メモリ12に蓄積されたデータを複写先ハードディスク記憶装置TH1〜nへ順番に書き込み処理を行う。書き込みを行う位置は、複写元ハードディスク記憶装置MHから読み出したアドレスに対応した、同じアドレス位置に書き込まれる。各複写先ハードディスク記録装置THに接続されるCPU1〜nは、CPU0から受け取ったコマンドに基づいて、順にメモリ12に記録されているデータを読み出し、複写先ハードディスク記録装置THにデータを記録する。CPU0は、最後の複写先ハードディスク記録装置THnから書き込み終了のコマンドを受け取ると、前回読み出しデータの最後のアドレスの次のアドレスから所定量のデータを読み出し、再度複写先ハードディスク記録装置TH1〜nに順に、そのデータを記録する。
【0024】
複写装置10によるデータの複写は、物理フォーマットによって、データを記録する単位であるセクタ単位で、ハードディスクの先頭から順に行われるミラーコピー方式により実行される。
【0025】
次に、上記複写装置10が収容されている筐体Kについて説明する。図2は、筐体Kの正面図である。筐体Kは、箱形状に構成され、正面側面KFには装填口J1〜8が上下方向に等間隔で配置された装填部K3と、装填部K3の右側には、上記複写装置10の本体が収容されている複写装置収納部K1が設けられている。複写装置収納部K1の下部には、表示部K2と、操作部K4が配置されている。装填口J1〜8には、収容部を3つ連結した収容部連結体G1〜8が装填される。
【0026】
図3に示されているように、筐体Kは、棒材に組み上げられた基台Cの上に載置される。基台Cは、棒材によって直方体形状に組み上げられており、4隅に立てられた棒脚Ch2の下端にキャスターCh1がそれぞれ取り付けられ、その上部と下部とには、隣接する棒脚の間に架設された棒材によって、直方体形状に組み付けられている。正面側の棒脚の間に架設された棒材C4と、背面側の棒脚の間に架設され、正面側の棒材C4より高い位置に設けられた棒材C5との間には、傾斜した支持材C3が架設され、この支持材C3の上に筐体Kの背面KBが接触するように載せられる。
【0027】
筐体Kは、棒材C4の上部に位置する棒材C2によって、前側から支持されることで、基台Cに固定される。基台Cに搭載された筐体Kは、正面KFが上方に向かって斜めに傾斜した姿勢で固定され、装填口J1〜8が斜め上方に向かって開口する。その各装填口J1〜8に対して、収容部連結体G1〜8がそれぞれ装填されて固定される。
【0028】
図4は、各装填口J1〜8に収容部連結体G1〜8が装填された状態を示す、装填部3の全体正面図である。には、それぞれ収容部連結体G1〜8が収納され、さらに、筐体Kの内部には複写装置10が収納されている。各収容部連結体G1〜8は、同一の構成であるので、最上段の収容部連結体G1の構成について説明し、他の収容部連結体G2〜8の構成については、説明を省略する。
【0029】
図5は、収容部連結体G1の平面断面図である。図4及び図5に示されているように、3の収容部G11、G12、G13が、それぞれ装填口J1の長辺方向に連結されて相互に固定されている。この3つの収容部G11、G12、G13は、同一の構成であるので、収容部G11の構成について説明し、他の収容部G12、13の構成については、説明を省略する。
【0030】
収容部G11は、4つの側壁21a、21b、22a、22bと、各側壁で構成された筒体の一端を閉塞する底片23aで構成されており、開口20aからハードディスク記録装置TH1が挿入される。4つの側壁21a、21b、22a、22bは、挿入されたハードディスク記録装置TH1の外側面に接触して位置決めできる位置に配置されており、これらの側壁に沿ってハードディスク記録装置TH1を挿入することで、後述するハードディスク記録装置TH1の接続端子が位置決めされ、収容部側の接続端子と容易に接合できるように構成されている。
【0031】
底片23aには、挿入されるハードディスク記録装置TH1の接続端子に対向する位置に孔24a、25aが形成されている。底片23aの背面側には、通信ケーブル43a、43bの接続端子を保持する固定部材3が固定され、固定部材3から突出している通信ケーブルの接続端子41a、41bが、前記孔24a、25aから、収容部G11内に突出している。固定部材3内には、ケーブルの接続端子を保持する端子保持部42a、42bが収容固定されている。
【0032】
図6は、固定部材3の分解正面図、図7は一方の保持部材31の平面図である。固定部材3は、一対の保持部材31、32により、ケーブルの端子保持部42a、42bを間に挟んで保持することにより構成される。この実施形態では、固定部材3は、電源ケーブル43a、信号ケーブル43bの2つのケーブの接続端子を固定する構造を有している。保持部材31は、保持部材32が重ねられる収納凹部311が形成され、該収納凹部311内には、ケーブル43a、43bを収容する保持部312、313が形成されている。
【0033】
保持部312には、電源ケーブル43aの端子保持部42aの半分が収容され、保持部313には信号ケーブル43bの端子保持部42bの半分が収容される。保持部材32には、重ね合わせた際に各保持部312、313に対向する位置に、同様の形状の保持部322、323が形成され、保持部322に電源ケーブル43aの端子保持部42aの半分が収容され、保持部323には信号ケーブル43bの端子保持部42bの半分が収容される。
【0034】
このような構成とすることにより、保持部312と保持部322とによって、電源ケーブル43aの端子保持部42aを保持する保持空間が形成され、保持部313と保持部323とによって、信号ケーブル43bの端子保持部42bを保持する保持空間が形成される。
【0035】
図7に基づいて、保持部312、313の構成について説明する。なお、保持部322、323の構成については、保持部312、313と同様であるので、説明を省略する。保持部312は、電源ケーブル43aの端子保持部42aを収容する第1収容部312bと、これに連結され、端子保持部42aにつながるケーブル43aが収容される第2収容部312cとを備えている。第1収容部312bが、第2収容部312cよりも深く、かつ幅広に構成され、第1収容部312bの端面312eで、電源ケーブル43aの端子保持部42aの基端部を受ける構成となっている。また、第1収容部312bの端面312eに対して反対側は開口312baが形成され、該開口312baから、端子部41aが突出する構成となっている。第1収容部312b内にはねじ孔312dが形成され、このねじ孔312aにねじ込まれたねじによって、端子保持部42aの固定が補助される構成となっている。
【0036】
保持部313は、信号ケーブル42bの端子保持部42bを収容する第1収容部313bと、これに連結され、端子保持部42bにつながるケーブル43bが収容される第2収容部313cと、端子41bが収容する開口313aとを備えている。第1収容部313bが、第2収容部313cや開口313aよりも深く、かつ幅広に構成され、第1収容部313bの基端側端面313eで、信号ケーブル43bの端子保持部42bの基端部を受ける構成となっており、第1収容部313bの先端側端面313fで、端子保持部42bの先端部を受ける構成となっている。また、開口313aから、端子部42aが突出する構成となっている。
【0037】
保持部材31と保持部材32には、重ね合わせた際に重なる4つのねじ挿通孔34が、保持部312、313の両側に隣接して設けられ、ねじ挿通孔34を挿通するねじによって締着され、確実に端子保持部42a、42bが固定保持されている構成となっている。各ケーブル43a、43bの他端は、複写装置10の接続端子110〜11n等に接続される。
【0038】
上記実施形態では、収容部G11に複写元ハードディスク記憶装置MHが収容され、他の収容部G12〜G83に複写先ハードディスク記憶装置TH1〜THnが収容される。
【符号の説明】
【0039】
10 複写装置
MH 複写元ハードディスク記憶装置
TH1〜n 複写先ハードディスク記憶装置
K 筐体
G1〜G8 収容部連結体
3 固定部材
31、32 保持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ケーブルの端部に設けられた接続端子と、
該記憶装置本体に設けられた接続端子の方向に、記憶装置本体を挿入させることにより、接続端子が設けられた端部を収容し、他の部分を露出した状態とする複数の収容部と、
前記収容部に設けられ、前記記憶装置本体の側面に接触して、前記記憶装置の挿脱を案内する案内部材と、
前記通信ケーブルの接続端子を両側から挟み込み、該接続端子の端子部を外側に突出させた状態で保持する一対の保持部材からなる固定部材とを備え、
前記固定部材は、前記収容部において、収容されている前記記憶装置の接続端子に対向する面に配置され、該接続端子に対向する位置に前記突出した端子部を臨ませていることを特徴とする接続装置。
【請求項2】
前記記憶装置に対して、物理コピーを行う複写装置の接続装置である請求項1に記載の接続装置
【請求項3】
前記収容部は、縦横に複数配列されている請求項1又は2に記載の接続装置。
【請求項4】
前記収容部に対する記録装置の挿入方向は、下向きかつ鉛直方向に対して傾斜している請求項1〜3のいずれか1に記載の接続装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−79384(P2012−79384A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−224431(P2010−224431)
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【出願人】(396014636)株式会社ワイ・イー・シー (13)