説明

接続解除可能な係留システム、及び当該係留システムを接続解除又は再接続するための方法

【課題】非対称で大きな係留力が作用する浮き部材をタレット構造体から接続解除可能な係留システムを提供する。
【解決手段】タレット構造体5が、浮き部材7を取り外し可能に受容するための浮き受容部6を備えている下側端部を有しており、係留システムが、海底及び浮き部材それぞれに接続されている複数の係留ライン10を備えている。係留ラインそれぞれが、接続解除可能な態様でタレット構造体に接続されている第1のセクション12と、結合ポイント14において第1のセクションに接続されていると共に浮き部材に接続されている第2のセクション13とを備えている。浮き部材が、第1のセクションがタレット構造体に接続されている状態で、且つ、係留力を伝達させるための状態で浮き受容部に受容された場合に、第2のセクションが係留力による負荷を受けない弛緩状態とされるように、第2のセクションの長さが選定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の実施態様において、船舶のための接続解除可能な係留システムであって、前記船舶内に配設されているムーンプールと、前記ムーンプール内に回転するように取り付けられているタレット構造体と、ライザーを受容するように適合されている複数の通路を有している浮き部材と、を備えている前記係留システムにおいて、前記タレット構造体が、前記浮き部材を取り外し可能に受容するための浮き受容部を備えている下側端部を有しており、前記係留システムが、海底及び前記浮き部材それぞれに接続されている下側端部及び上側端部を有している複数の係留ラインであって、係留力を伝達するための複数の前記係留ラインを備えている係留システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、このような係留システムを開示している。通常運転の状態では、係留ラインに作用している係留力によって、接続を解除する際に浮き部材がタレット構造体から接続解除され、制御された態様で船舶から離れた位置、例えば海底に降下される。しかしながら、特定状況下においては、例えば船舶が漂流する氷塊によって閉じ込められた場合には、極めて大きな係留力が係留ラインを介して浮き部材に伝達しているに関わらず、浮き部材をタレット構造体から接続解除する必要がある。一般に、そのように大きな係留力によって浮き部材に作用する負荷は非対称であるので、浮き部材をタレット構造体から接続解除した後には、浮き部材は、浮き受容部内で傾いており、浮き部材、ライザー、アンビリカル、及び/又は船舶の(タレット構造体の)外殻(surrounding structure)に深刻な損傷を受けている場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許第1803641号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上述のタイプの改良された接続解除可能な係留システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
従って、本発明では、接続解除可能な係留システムは、係留ラインそれぞれが、接続解除可能な態様でタレット構造体に接続されている第1のセクションと、結合ポイントにおいて第1のセクションに接続されていると共に浮き部材に接続されている第2のセクションとを備えており、浮き部材が、第1のセクションがタレット構造体に接続されている状態で、且つ、係留力を伝達させるための状態で浮き受容部に受容された場合に、結合ポイントから第2のセクションと浮き部材との接続部分に至るまでの第2のセクションの長さが、第2のセクションが係留力による負荷を受けない弛緩状態とされるように選定されることを特徴とする。
【0006】
本発明では、係留力は、直接又は間接に関わらず、浮き部材が浮き受容部に受容された場合に第1のセクションを介してタレット構造体に作用する。従って、いかなる状況においても、また、係留ラインの負荷が著しく大きい場合であっても、浮き部材をタレット構造体から接続解除すること、及び浮き部材をタレット構造体の下方に降下させることが、実施可能である一方、船舶の静止状態を維持することができる。第1のセクションをタレット構造体から逐次的に接続解除することによって、タレット構造体の下方において浮き部材を傾けることができる。しかしながら、係留システムの構造部品に損傷を与えることはない。浮き部材をタレット構造体から接続解除し、浮き部材を降下させ、第1のセクションをタレット構造体から逐次的に接続解除した後に、係留ラインの第1のセクション及び第2のセクションが浮きを所定位置に維持する一方、船舶は、自在に係留位置から離れて移動することができる。
【0007】
第2のセクションが、第1のセクションをタレット構造体から接続解除した後に(浮き部材を垂直に降下させることができるように)大きな非対称な係留力を許容範囲内に低減することができる程度に長い場合には、第1のセクションを接続解除する前に浮き部材を降下させる必要はない。
【0008】
本発明における接続解除可能な係留システムの一の実施例では、タレット構造体が、第1のセクションをタレット構造体に接続するためのタレットコネクタを備えており、タレットコネクタそれぞれが、第1のセクションと第2のセクションとの間における結合ポイントに配置されている。これにより、結合ポイントが第1のセクションの極めて端の部分の近傍に位置していることが理解される。しかしながら、結合ポイントがタレットコネクタから幾分離れて配置されていても良い。
【0009】
他の実施例では、浮き部材が、第2のセクションを浮き部材に接続するための浮きコネクタを備えており、第2のセクションの長さが、浮き部材がタレット構造体の浮き受容部に受容された場合に、対応するタレットコネクタと浮きコネクタとの間における距離よりも長く、好ましくは、タレット構造体から接続解除された場合に、浮き部材がタレット構造体の下側端部より完全に下方の位置に位置していることを確実にするのに十分大きい。
【0010】
接続解除可能な係留システムのさらなる他の実施例では、前記第1のセクションが、例えばケーブルや鎖のような可撓性を有し延在している操作ラインの第1の端部に取り付けられており、前記操作ラインの第2の端部は、直接又は間接に関わらず、前記タレット構造体に接続されている張力調整機構に取り付けられており、前記張力調整機構によって張力調整される。係留ラインをタレット構造体に取り付けた後に可能であれば係留ラインの張力をあらゆる想定される係留負荷に十分に耐えるように調整することが、このような操作ラインによって効果的に実施可能となる。しかしながら、このような操作ラインに張力調整機構が設けられていない場合があることに留意すべきである。また、このような張力調整機構が、第1のセクションをタレット構造体に係合させるためにのみ機能し、その後に、第1のセクションをタレット構造体に直接取り付けるために特別なカップリングが機能する場合があることに留意すべきである。
【0011】
さらに、第2のセクションと浮き部材との接続が、接続解除可能とされる場合がある。これにより、浮き部材の一般的な耐用寿命の間において浮き部材が係留ラインの第2のセクションに取り付けられた状態が維持されることが理解される。しかしながら、第2のセクションをメンテナンス又は交換するために、浮き部材を第2のセクションから接続解除することができる場合もある。
【0012】
浮き部材及び/又は係留ラインの第1のセクションを一時的に安定化させるための手段が設けられている場合には、浮き部材の降下速度を高めるために浮き部材及び/又は第1のセクションを安定化させることができる。
【0013】
例えば、浮き部材及び/又は係留ラインの第1のセクションを一時的に安定化させるための手段を備えており、このような手段は、適切な手段によって浮き部材又は第1のセクションに取り付け可能な固定式バラストを備えている。後者の場合には、船舶が、固定式バラストを浮き部材の上に配置するための、及び、固定式バラストを浮き部材から取り除くための昇降ケーブルを備えた昇降手段、及び/又は、固定式バラストを海底に配置するために浮き部材に設けられた昇降ケーブルを備えた昇降手段を備えている。このような海底上における配置は、好ましくは浮き部材又は第2のセクションが十分な水深に達した場合に発生する。
【0014】
場合によっては、固定式バラストが、海底と浮き部材との間における係留ラインの任意の位置において、好ましくは浸水式浮きカンによって支持されている係留ラインの所定位置において、係留ラインの下方に懸架されている。
【0015】
さらにほかの実施例では、船舶が、揚重要素をタレット構造体に対して相対的に昇降させるために浮き部材と結合するための、例えばケーブル、鎖、又はこれらに類似する物のような可撓性を有している揚重要素を備えた揚重装置を備えている。
【0016】
従って、浮き部材の垂直運動は制御可能であり、浮き部材をタレット構造体に再接続することができるので、効果的である。
【0017】
さらに、係留ラインの第1のセクション及び第2のセクションが、三角状のプレートによって相互接続されているので、部品の適切な動作及び伸びた耐用寿命を確保するのに十分な自由度を提供する。
【0018】
最後に、浮き部材とタレット構造体の浮き受容部との接続部分において、海水のための制御可能な流路が設けられている場合がある。通路を開放することによって、海水が浮き部材の周囲における流速を高めるので、浮き部材の降下速度も高められる。
【0019】
第2の実施態様において、本発明は、本発明における船舶のための接続解除可能な係留システムを接続解除するための方法に関する。
【0020】
このような方法は、順番に、浮き部材をタレット構造体から接続解除するステップと、浮き部材をタレット構造体に対して相対的に降下させるステップと、係留ラインの第1のセクションをタレット構造体から接続解除するステップと、を備えている。
【0021】
一の実施例では、係留ラインの第1のセクションをタレット構造体から接続解除するステップが、係留ラインの第2のセクションによって浮き部材がタレット構造体に対して相対的に降下された場合に実施される。しかしながら、第1のセクションとタレット構造体との接続解除は、より早い段階で既に発生する場合もある。
【0022】
当該方法の他の実施例では、浮き部材を降下させるステップが、浮き部材を安定化させるステップ、及び/又は、浮き部材とタレット構造体の浮き受容部との間の接続部分において海水のための流路を開放するステップを備えている。従って、浮き部材の降下速度が高められる。
【0023】
第3の実施態様では、本発明は、本発明における船舶のための接続解除可能な係留システムを接続解除するための代替的な方法に関する。
【0024】
このような方法は、順番に、係留ラインの第1のセクションをタレット構造体から接続解除するステップと、第2のセクションが緊張状態になる前に浮き部材をタレット構造体から接続解除するステップと、浮き部材をタレット構造体に対して相対的に降下させるステップと、を備えていることを特徴とする。
【0025】
第4の実施態様では、本発明は、本発明における船舶のための接続解除された接続解除可能な係留システムを再接続するための方法に関する。
【0026】
このような方法は、順番に、タレット構造体の浮き受容部内の所定位置に浮き部材を揚重するステップと、係留ラインの第1のセクションをタレット構造体に接続するステップと、を備えていることを特徴する。
【0027】
このような方法の一の実施例では、直接又は間接に関わらずタレット構造体に接続されている張力調整機構に第2のセクションを取り付ける工程と、張力調整機構によって第2のセクションの張力を調整する工程とを備えている。
【0028】
以下において、本発明について図面を参照しつつ説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明における係留システムの一の実施例の断面図である。
【図2】本発明における係留システムを接続解除するための方法のステップを逐次的に表わす。
【図3】本発明における係留システムを接続解除するための方法のステップを逐次的に表わす。
【図4】本発明における係留システムを接続解除するための方法のステップを逐次的に表わす。
【図5】本発明における係留システムを接続解除するための方法のステップを逐次的に表わす。
【図6】本発明における係留システムを再接続するための方法のステップを逐次的に表わす。
【図7】本発明における係留システムを再接続するための方法のステップを逐次的に表わす。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、船舶1のための接続解除可能な係留システムの断面図である。船舶1は、ムーンプール2を備えており、ムーンプール2内には、タレット構造体5が、既知の態様(例えば上側支持部3及び下側支持部4を利用した態様)で回転するために取り付けられている。タレット構造体5は、浮き部材7を取り外し可能に受容するための浮き受容部6を備えている下側端部を有している。この浮き部材7は、複数の通路8を有しており、通路8それぞれが、ライザー9を受容するように適合されている。さらに、係留システムは、係留力を伝達するために複数の係留ライン10(例えばアンカー鎖)を備えている。係留ライン10それぞれが、海底11(図5参照)及び浮き部材7それぞれに接続されている下側端部及び上側端部を有している。
【0031】
図1に表わすように、係留ラインそれぞれが、(以下において説明する)接続解除可能な態様でタレット構造体5に接続されている第1のセクション12と、結合ポイント14において第1のセクション12に接続されており、さらに浮き部材7に接続されている第2のセクション13とを備えている。係留ライン10の対応する第1のセクション12及び第2のセクション13は、(図示しないが既知の)三角プレートによって結合ポイント14において相互接続されている。
【0032】
第1のセクション12がタレット構造体5に接続されている状態で、且つ、係留力を伝達するための状態(すなわち、図1に表わす状態)で、浮き部材7が浮き受容部6内に受容された場合に、第2のセクション13が当該係留力による負荷を受けない弛緩状態にあるように、結合ポイント14から第2のポイント13と浮き部材7との接続部分に至る第2のセクション13の長さが選定される。
【0033】
タレット構造体5は、第1のセクション12をタレット構造体5に接続するためのタレットコネクタ15を備えている。図示の実施例では、タレットコネクタ15それぞれが、第1のセクション12と第2のセクション13との間に位置する結合ポイント14に又はその近傍に配設されている。このようなタレットコネクタ15は、回動装置(例えば単軸式回動装置又は双軸式回動装置)又は任意のタイプの制御可能なカップリングを備えている。
【0034】
同様に、浮き部材7は、(永続的に又は半永続的に)第2のセクション13を浮き部材7に接続するための浮きコネクタ16を備えている(第2のセクションと浮き部材7との接続が、接続解除可能でないように構成されている場合がある)。浮き部材7がタレット構造体5の浮き受容部6内に受容された場合には、第2のセクション13の長さは、対応するタレットコネクタ15と浮きコネクタ16との間における距離より大きい。好ましくは、浮き部材7が、タレット構造体5から接続解除された場合に、タレット構造体5又は船舶1の下側端部より完全に下方の位置に配置されていることを確実にする程度に、当該長さは十分に大きい。
【0035】
当該係留システムの図示された実施例では、第1のセクション12それぞれが、例えばケーブルや鎖のような、可撓性を有している細長い操作ライン17の第1の端部に取り付けられている。操作ライン17の第2の端部は、直接又は間接を問わずタレット構造体5に接続されている張力調整機構18に取り付けられており、張力調整機構18によって張設されている。張力調整機構18を介して、第1のセクション12とタレット構造体5とが接続されている。しかしながら、張力調整機構18が、第1のセクション12を、タレットコネクタ15によって結合されている位置に配置するように機能するにすぎない場合もある。
【0036】
浮き部材7を一時的に安定させるための手段、例えば可変バラストタンク19が浮き部材7に設けられている場合がある。浮き部材7を一時的に安定させるための代替的な手段として、(概略的に図示する)バラストウェイト20が挙げられる。バラストウェイト20は、適切な手段(図示しないが、例えば昇降用ケーブルを備えた昇降手段)によって浮き部材に脱着可能とされるか、又は、係留ラインの第1のセクション12から懸架される場合がある(さらに、バラストウェイト20も、浮き部材及び/又は第1のセクションが要求された水深に到達した場合に海底に配置される場合がある)。
【0037】
さらに、船舶は、浮き部材7と結合させることによって浮き部材7をタレット構造体5に対して相対的に昇降するための、例えばケーブル、鎖、及び類似する物のような可撓性を有している揚重要素22を備えた揚重装置21(例えばウインチ)を備えている。
【0038】
最後に、図1を参照すると、浮き部材7とタレット構造体5の浮き受容部6との接続部分には、海水のための制御可能な流路23が設けられている(制御可能な流路23の位置及び形状は概略的に表わされているにすぎない)。制御可能な流路23の機能については、後述する。
【0039】
係留システムの動作については、図2〜図5に表わす接続解除可能な係留システムを接続解除するための方法に基づいて説明する。
【0040】
図2は、例えば浮き部材7とタレット構造体5との間に配設されたロック24を取り外すことによって、浮き部材7をタレット構造体5から接続解除するステップを表わす。係留ライン10の第1のセクション12は、タレット構造体5に依然として接続されており、第2のセクション13は弛緩している。
【0041】
ロック24をロック解除した後に、浮き部材7が図3に表わすようにタレット構造体5に対して相対的に降下される。係留力、持ち上げ力、アンビリカル力、重力、浮力のうち任意の力が作用している状態においては、このような降下を制限なく実施することができるが、ケーブル22を備えた揚重装置21によって制御される場合もある。さらに、通路23を開口することによって(図1参照)、海水を浮き部材7の上方の空間に流入させることができる。浮き部材を降下させる段階においては、第1のセクション12は、(例えばタレットコネクタ15によって、又は張力調整機構18に接続されている操作ライン17によって)タレット構造体5に接続された状態を維持しており、船舶は静止した状態を維持している。最後に、浮き部材7は、係留ライン10の第2のセクション13も(図3に表わすように)張設されている位置に到達する。
【0042】
次に、係留ライン10の第1のセクション12は、(例えばタレットコネクタ15又は操作ライン17を張力調整機構18から解放することによって)タレット構造体5から接続解除される。そして、係留ライン10が、図4に表わすように自重によって下方に移動する。同時に、浮き部材7が特定の水深において浮遊状態になる平衡位置に到達するまで、浮き部材7もさらに下方に移動する。この時点において、第1のセクション12及び第2のセクション13は一直線に配置されているので、係留力を浮き部材7に伝達させることができる。既知ではあるが、予備の浮き部材25が、係留ライン10を所望のカテナリー曲線形状に維持するために設けられている場合がある。
【0043】
当該方法に基づく上述の実施例では、浮き部材7が係留ライン10の第2のセクション13によってタレット構造体5に対して相対的に降下し最下位置に至った場合に、係留ライン10の第1のセクション12をタレット構造体5から接続解除するためのステップが実施される。しかしながら、浮き部材7が傾くこと(他の動作)によって船舶1又はタレット構造体5が損傷するという危険性が解消される程度に十分に低い位置に浮き部材7を到達させた後であれば、より早い段階で既に第1のセクションを接続解除しても良い。第2のセクション13が張設される前であれば、浮き部材7を接続解除する前に第1のセクション12を既に接続解除可能な場合さえもある。
【0044】
さらに、浮き部材7を降下させるステップは、(バラストタンク19又はバラストウェイト20を利用することによって)浮き部材7を(一時的に)安定化させるステップを備えている場合があることに留意すべきである。
【0045】
次に、図6及び図7を参照して、接続解除された接続解除可能な係留システムを再接続するための方法について説明する。最初に(図6参照)、浮き部材7は、ケーブル22を備えた揚重装置21を利用することによって、タレット構造体5の浮き受容部6内の所定位置に揚重される。浮き部材7は、当該所定位置に到達した後に(図7参照)、例えばロック24によってタレット構造体5に接続される。その後に、第1のセクション12は、操作ライン17を利用することによってタレット構造体5に接続される。このような操作ラインの利用によって(例えば第1のセクションのような)ラインを引き上げることは、(例えば遠隔操作された車両によって実施される)既知の手法である。従って、本明細書では詳細には説明しない。
【0046】
さらに、係留ラインの第1のセクションをタレット構造体に接続するステップは、第2のセクションを、直接又は間接に関わらずタレット構造体5に接続されていると共に第2のセクションに作用する張力を調整可能な張力調整機構18に取り付けるステップを備えている。
【0047】
本発明は、上述の実施例に限定される訳ではなく、特許請求の範囲にて規定される本発明の技術的範囲内において広く変更可能である。第2のセクションの数量は第1のセクションの数量と相違しても良く、例えば多数の第2のセクションを同一の第1のセクションに接続させることもできる。
【符号の説明】
【0048】
1 船舶
2 ムーンプール
3 上側支持部
4 下側支持部
5 タレット構造体
6 浮き受容部
7 浮き部材
8 通路
9 ライザー
10 係留ライン
11 海底
12 第1のセクション
13 第2のセクション
14 結合ポイント
15 タレットコネクタ
16 浮きコネクタ
17 操作ライン
18 張力調整機構
19 バラストタンク
20 バラストウェイト
21 揚重装置
22 揚重要素
23 流路
24 ロック
25 予備の浮き部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶のための接続解除可能な係留システムであって、前記船舶内に配設されているムーンプールと、前記ムーンプール内に回転するように取り付けられているタレット構造体と、ライザーを受容するように適合されている複数の通路を有している浮き部材と、を備えている前記係留システムにおいて、
前記タレット構造体が、前記浮き部材を取り外し可能に受容するための浮き受容部を備えている下側端部を有しており、
前記係留システムが、海底及び前記浮き部材それぞれに接続されている下側端部及び上側端部を有している複数の係留ラインであって、係留力を伝達するための複数の前記係留ラインを備えており、
前記係留ラインそれぞれが、接続解除可能な態様で前記タレット構造体に接続されている第1のセクションと、結合ポイントにおいて前記第1のセクションに接続されていると共に前記浮き部材に接続されている第2のセクションとを備えており、
前記浮き部材が、前記第1のセクションが前記タレット構造体に接続されている状態で、且つ、係留力を伝達させるための状態で前記浮き受容部内に受容された場合に、前記第2のセクションが前記係留力による負荷を受けない弛緩状態とされるように、前記結合ポイントから前記第2のセクションと前記浮き部材との接続部分に至るまでの前記第2のセクションの長さが選定されることを特徴とする係留システム。
【請求項2】
前記タレット構造体が、前記第1のセクションを前記タレット構造体に接続するためのタレットコネクタを備えており、
前記タレットコネクタそれぞれが、前記第1のセクションと前記第2のセクションとの間における前記結合ポイントに配置されていることを特徴とする請求項1に記載の係留システム。
【請求項3】
前記浮き部材が、前記第2のセクションを前記浮き部材に接続するための浮きコネクタを備えており、前記第2のセクションの長さが、前記浮き部材が前記タレット構造体の前記浮き受容部に受容された場合における、対応する前記タレットコネクタと前記浮きコネクタとの間における距離より長く、好ましくは、前記タレット構造体から接続解除された場合に、前記浮き部材が前記タレット構造体の前記下側端部より完全に下方に位置していることを確実にすることを特徴とする請求項2に記載の係留システム。
【請求項4】
前記第1のセクションが、例えばケーブルや鎖のような可撓性を有し延在している細長い操作ラインの第1の端部に取り付けられており、
前記操作ラインの第2の端部は、直接又は間接に関わらず、前記タレット構造体に接続されている張力調整機構に取り付けられており、前記張力調整機構によって張力調整されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の係留システム。
【請求項5】
前記第2のセクションと前記浮き部材との接続が、接続解除可能とされることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の係留システム。
【請求項6】
前記浮き部材及び/又は前記係留ラインの前記第1のセクションを一時的に安定化させるための手段を備えていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の係留システム。
【請求項7】
前記浮き部材及び/又は前記係留ラインの前記第1のセクションを一時的に安定化させるための前記手段が、前記浮き部材に可変バラストタンクを備えていることを特徴とする請求項6に記載の係留システム。
【請求項8】
前記浮き部材及び/又は前記係留ラインの前記第1のセクションを一時的に安定化させるための前記手段が、適切な手段によって前記浮き部材又は前記第1のセクションに取り付け可能な固定式バラストを備えていることを特徴とする請求項6に記載の係留システム。
【請求項9】
前記船舶が、前記固定式バラストを前記浮き部材の上に配置するための、及び、前記固定式バラストを前記浮き部材から取り除くための昇降ケーブルを備えた昇降手段、及び/又は、前記固定式バラストを海底に配置するために前記浮き部材に設けられた昇降ケーブルを有する昇降手段を備えていることを特徴とする請求項8に記載の係留システム。
【請求項10】
前記船舶が、前記浮き部材を前記タレット構造体に対して相対的に昇降させるために前記浮き部材と結合するための、例えばケーブル、鎖、又はこれらに類似する物のような可撓性を有している揚重要素を有する揚重装置を備えていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の係留システム。
【請求項11】
前記係留ラインの対応する前記第1のセクション及び前記第2のセクションが、三角状のプレートによって相互接続されていることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の係留システム。
【請求項12】
前記浮き部材と前記タレット構造体の前記浮き受容部との接続部分において、海水のための制御可能な流路が設けられていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の係留システム。
【請求項13】
請求項1〜12のうちいずれか一項に記載された、船舶のための接続解除可能な係留システムを接続解除するための方法において、
前記浮き部材を前記タレット構造体から接続解除するステップと、
前記浮き部材を前記タレット構造体に対して相対的に降下させるステップと、
前記係留ラインの前記第1のセクションを前記タレット構造体から接続解除するステップと、
を備えていることを特徴とする方法。
【請求項14】
前記係留ラインの前記第1のセクションを前記タレット構造体から接続解除するステップが、前記浮き部材が前記係留ラインの前記第2のセクションによって最下位置に至るまで前記タレット構造体に対して相対的に降下された場合に実施されることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記浮き部材を降下させるステップが、前記浮き部材を安定化させる工程、及び/又は、前記浮き部材と前記タレット構造体の前記浮き受容部との接続部分において海水のための流路を開放する工程を備えていることを特徴とする請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
請求項1〜12のいずれか一項に記載された、船舶のための接続解除可能な係留システムを接続解除するための方法において、順番に、
前記係留ラインの前記第1のセクションを前記タレット構造体から接続解除するステップと、
前記第2のセクションが緊張状態になる前に前記浮き部材を前記タレット構造体から接続解除するステップと、
前記浮き部材を前記タレット構造体に対して相対的に降下させるステップと、
を備えていることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項1〜12のいずれか一項に記載された、船舶のための接続解除された接続解除可能な係留システムを再接続するための方法において、順番に、
前記タレット構造体の前記浮き受容部内の所定位置に前記浮き部材を揚重するステップと、
前記ブイ部材を前記タレット構造体に接続するステップと、
前記係留ラインの前記第1のセクションを前記タレット構造体に接続するステップと、
を備えていることを特徴する方法。
【請求項18】
前記係留ラインの前記第1のセクションを前記タレット構造体に接続するステップが、直接又は間接に関わらず前記タレット構造体に接続されている張力調整機構に前記第2のセクションを取り付ける工程と、前記張力調整機構によって前記第2のセクションの張力を調整する工程とを備えていることを特徴とする請求項17に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−171619(P2012−171619A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−32579(P2012−32579)
【出願日】平成24年2月17日(2012.2.17)
【出願人】(508159226)