説明

接続部材

【課題】床暖房機能とエアコン機能とを兼ね備えた床暖房・エアコン一体化システムの施工を効率よく、かつ、容易に行うことができる接続部材を提供を提供する。
【解決手段】床暖房用温媒を生成する温媒熱源機の機能とエアコン室外機の機能とを兼ね備えた室外機を有する床暖房・エアコン一体型システムに用いられる接続部材であって、壁面に穿たれたスリーブ穴に嵌合可能な本体部、前記本体部を厚さ方向に貫通し、前記床暖房用温媒を循環させる温媒配管に連絡する室内用温媒パイプと前記温媒熱源機に連絡する室外用温媒パイプとを接続する一組の床暖房用接続管、及び、エアコン室内機とエアコン室外機とを接続する配管パイプを挿通させるためのエアコン用貫通穴を有する接続部材である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床暖房機能とエアコン機能とを兼ね備えた床暖房・エアコン一体化システムの施工を効率よく、かつ、容易に行うことができる接続部材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、床暖房需要の増加により、樹脂発泡体に溝付け加工を施し、温水等の温媒を流すための温媒配管を配置した暖房床装置が多く設置されている。
これらの暖房床としては、温水等の温媒を通す温媒配管が組み込まれたマット層を、例えば、一戸建て住宅にあっては、大引と床板との間、大引の上に敷いた下張合板の上面等に、マンション等のような集合住宅にあっては、スラブ床の上面に直接、又は、スラブ床の上面に敷いた下張合板の上等に敷き、該マット層上にフローリング材等の板状体(仕上げ材)を敷く形式のものが広く普及している(例えば、特許文献1等)。
【0003】
このような床暖房装置を設置する際には、室内に配設した温媒配管と、室外に配設した温媒を生成する温媒熱源機との間の壁面にスリーブ穴を穿ち、該スリーブ穴を通して温媒配管と温媒熱源機とを接続する温媒パイプを敷設していた。
【0004】
また、近年では、床暖房装置の温媒熱源機をエアコン室外機に取り込み、床暖房機能とエアコン機能とを兼ね備えた床暖房・エアコン一体型システムも設置され始めている。
このような床暖房・エアコン一体型システムを施工する際には、上述の方法により室内に配設した暖房床の温媒配管と室外に配設した室外機中の温媒熱源機とを接続する温媒パイプを敷設するとともに、更に、室内に配設したエアコン室内機と室外に配設した室外機との間の壁面にエアコン用スリーブ穴を穿ち、該エアコン用スリーブ穴を通してエアコン室内機とエアコン室外機とを接続する配管パイプを敷設していた。
更に、このような床暖房・エアコン一体型システムの施工方法として、エアコン用スリーブ穴に温媒パイプと配管パイプとを通し、床暖房用のスリーブ穴を壁面に穿つ作業を省略する方法も考えられている。
【0005】
しかしながら、このような床暖房・エアコン一体型システムにおいて、室外に配設した室外機の温媒熱源機部分と室内に配設した温媒配管とを温媒配管で接続する作業は、壁面に穿ったエアコン用スリーブ穴に通した状態で行う必要があるため、非常に煩雑で作業効率に劣るという問題があった。
【特許文献1】特開平07−217920号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記現状に鑑み、床暖房機能とエアコン機能とを兼ね備えた床暖房・エアコン一体化システムの施工を効率よく、かつ、容易に行うことができる接続部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明1は、床暖房用温媒を生成する温媒熱源機の機能とエアコン室外機の機能とを兼ね備えた室外機を有する床暖房・エアコン一体型システムに用いられる接続部材であって、壁面に穿たれたスリーブ穴に嵌合可能な本体部、前記本体部を厚さ方向に貫通し、前記床暖房用温媒を循環させる温媒配管に連絡する室内用温媒パイプと前記温媒熱源機に連絡する室外用温媒パイプとを接続する一組の床暖房用接続管、及び、エアコン室内機とエアコン室外機とを接続する配管パイプを挿通するためのエアコン用貫通穴を有する接続部材である。
【0008】
また、本発明2は、床暖房用温媒を生成する温媒熱源機の機能とエアコン室外機の機能とを兼ね備えた室外機を有する床暖房・エアコン一体型システムに用いられる接続部材であって、壁面に穿たれたスリーブ穴に嵌合可能な本体部、前記本体部を厚さ方向に貫通し、前記床暖房用温媒を循環させる温媒配管に連絡する室内用温媒パイプと前記温媒熱源機に連絡する室外用温媒パイプとを接続する一組の床暖房用接続管、及び、前記本体部を厚さ方向に貫通し、エアコン室内機に連絡する室内用配管パイプと前記エアコン室外機に連絡する室外用配管パイプとを接続するエアコン用接続管を有する接続部材である。
以下に本発明を詳述する。
【0009】
本発明1及び本発明2の接続部材は、床暖房用温媒を生成する温媒熱源機の機能とエアコン室外機の機能とを兼ね備えた室外機を有する床暖房・エアコン一体型システムに用いられる接続部材である。
上記床暖房用温媒としては特に限定されず、例えば、温水、不凍液等の従来公知の床暖房に用いられる温媒と同様のものが挙げられる。
また、上記温媒熱源機の機能及びエアコン室外機の機能とを兼ね備えた室外機としては特に限定されず、従来公知の床暖房・エアコン一体型システムの室外機と同様のものが挙げられる。
【0010】
図1(a)は、本発明1の接続部材の一例を模式的に示す平面図であり、(b)は、本発明1の接続部材の使用態様の一例を模式的に示す断面図である。
図1(a)及び(b)に示すように、本発明1の接続部材1は、円板状の本体部2と、一組のU字型の床暖房用接続管3とを有し、床暖房用接続管3は、本体部2を厚さ方向に貫通して固定されており、本体部2には、一組のエアコン用貫通孔4が設けられている。
【0011】
また、本発明1の接続部材1は、図1(b)に示すように、本体部2が壁7に穿たれたスリーブ穴8に嵌め込まれ、床暖房用接続管3の両端部が室外側と室内側とに突出するようになっている。
床暖房用接続管3は、その室外側端部と室外に配設された図示しない室外機の温媒熱源機部分とが室外用温媒パイプ5aにより接続され、その室内側端部と室内に配設された図示しない暖房床の温媒配管とが室内用温媒パイプ5bにより接続される。また、エアコン用貫通孔4は、その内部に室外に配設された図示しない室外機のエアコン室外機部分とエアコン室内機とを接続する配管パイプが挿通される。
【0012】
本発明1の接続部材において、上記本体部は、壁面に穿たれたエアコン用のスリーブ穴に嵌合可能な形状である。すなわち、例えば、図1に示したスリーブ穴8のように壁面に穿たれたスリーブ穴が円形である場合、本体部の形状としては、円板形状が挙げられる。
また、本発明1の接続部材において、上記本体部の形状は単純な柱状のほか、例えば、その一方又は双方の縁にフランジが形成された形状であってもよい。
【0013】
上記本体部を構成する材料としては、ある程度の強度、耐候性及び成形性等を備えるであれば特に限定されず、例えば、真鍮、鉄、ステンレス等の金属;耐熱性ポリエチレン、架橋ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の樹脂等が挙げられる。
【0014】
上記本体部を嵌合させるスリーブ穴としては特に限定されず、例えば、マンション等において壁面に穿たれたエアコン用のスリーブ穴が挙げられ、また、上記スリーブ穴が壁面に穿たれていない場合、一般的にエアコンの設置を行う際に穿つスリーブ穴と同様のものが挙げられる。
上記スリーブ穴の形状としては特に限定されず、例えば、平面視円形、方形、楕円形等任意の形状が挙げられる。
【0015】
上記床暖房用接続管は、その内部に床暖房用温媒を流通させることができる管状部材であり、上記本体部の厚さ方向に貫通して固定されている。
本発明1の接続部材において、上記床暖房用接続管は、上記本体部に一組設けられている。すなわち、一方の床暖房用接続管は、室外に配設された室外機の温媒熱源機部分で生成した温媒を室内に導き、室内に配設された暖房床の温媒配管に送るためのものであり、他方の床暖房用接続管は、室内に配設された暖房床の温媒配管を循環した温媒を室外に導き、再度上記室外機の温媒熱源機部分に送るためのものである。
【0016】
上記床暖房用接続管の形状としては、上記本体部を貫通できる形状であれば特に限定されず、壁面に穿たれたスリーブ穴の位置と、室内に配設された暖房床の温媒配管の位置及び室外に配設された室外機の位置とを考慮して適宜決定され、例えば、図1に示した床暖房用接続管3のようなU字状のほか、直線状、L字状、任意の方向に屈曲した形状等が挙げられる。
【0017】
また、図1(b)に示した床暖房用接続管3の端部は、ホースエンド状となっているが、本発明1の接続部材の床暖房用接続管の端部形状は、ホースエンド状に限定されることはなく、例えば、コンセント状や未加工の筒状であってもよい。なお、上記床暖房用接続管の端部がコンセント状である場合、該床暖房用接続管に接続する室内用及び室外用温媒パイプの端部は、専用のソケットが設けられていることが好ましく、更に、上記床暖房用接続管の端部が図1に示したようなホースエンド状や未加工の筒状である場合、室内用及び室外用温媒パイプを接続した際に、該温媒パイプの脱落防止を目的としてホースバンド状の固定具で接続部分を固定することが好ましい。
【0018】
本発明1の接続部材において、上記床暖房用接続管は、室内側の端部が分枝していることか好ましい。例えば、暖房床を敷設する部屋が広く複数ブロックに分けて温媒配管を敷設する必要がある場合、これまでは、各ブロックの温媒配管と温媒パイプとをそれぞれ室外に配設された温媒熱源機に接続する必要があり、非常に煩雑な作業であったが、上記床暖房用接続管の室内側端部が分枝していると、該分枝した端部に各ブロックの温媒配管に接続した室内用温媒配管を接続することで、室内に配設した全ての温媒配管と室外に配設した温媒熱源機との接続作業が効率よく、かつ、容易なものとなる。
【0019】
また、本発明1の接続部材において、上記床暖房用接続管の管径は均一であってもよく、室内側端部付近と室外側端部付近とで異なっていてもよい。例えば、上記床暖房用接続管の室内側端部が分枝している場合、上記床暖房用接続管の管径は、室外側端部付近が室内側端部付近よりも大きいことが好ましい。
【0020】
上記床暖房用接続管の管径としては特に限定されず、室内に配設する暖房床の温媒配管の管径や長さ等を考慮して適宜決定されるが、好ましい下限は5mm、好ましい上限は15mmである。5mm未満であると、充分な量の床暖房用の温媒を流通させることができないことがあり、15mmを超えると、上記本体部に後述するエアコン用貫通孔とともに設けることが困難となることがある。なお、上記床暖房用接続管の室内側の端部が分枝している場合も、該床暖房用接続管の管径は、上記範囲を満たすことが好ましい。
【0021】
このような床暖房用接続管を構成する材料としては、ある程度の強度、耐候性及び成形性を備えるものであれば特に限定されず、例えば、上述した本体部と同様の材料が挙げられる。なお、上記床暖房用接続管は、上述した本体部や後述するエアコン用接続管と同一の材料からなるものであってもよく、異なる材料からなるものであってもよい。
【0022】
本発明1の接続部材において、上記床暖房用接続管は、その室外側端部と室外に配設された室外機の温媒熱源機部分とが室外用温媒パイプにより接続され、その室内側端部と室内に配設された暖房床の温媒配管とが室内用温媒パイプにより接続される。
【0023】
上記室外用温媒パイプ及び室内用温媒パイプとしては、上記床暖房用温媒により変形や変性しない材料からなるものであれば特に限定されず、例えば、耐熱性ポリエチレン、架橋ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等の樹脂が挙げられる。また、上記室内用温媒パイプと室外用温媒パイプとは、同一の材料からなるものであってもよく、異なる材料からなるものであってもよい。
【0024】
上記室内に配設された暖房床の温媒配管は、上記温媒を循環させるための経路であり、例えば、内径が4〜13mm程度、断面が真円状、楕円状、小判状、多角形状、袋状である管等従来公知の床暖房装置の暖房床に用いられるものと同様のものが挙げられる。
【0025】
上記エアコン用貫通孔は、その内部にエアコンの室外機と室内機とを接続する配管パイプを通すための貫通孔であり、上記本体部の厚さ方向に貫通して設けられている。
本発明1の接続部材において、上記エアコン用貫通孔は、図1に示したエアコン用貫通孔4のように、上記本体部に一組設けられている。すなわち、一方のエアコン用貫通孔は、室外に配設された室外機のエアコン室外機部分からエアコン用温媒を室内に導き、室内に配設されたエアコン室内機へ送るためのものであり、他方のエアコン用貫通孔は、室内に配設されたエアコン室内機からエアコン用温媒を室外に導き、室外に配設された室外機のエアコン室外機部分へ送るためのものである。
【0026】
上記エアコン用貫通孔の形状としては、上記本体部を貫通し、その内部に上記エアコン用温媒を流通させる配管パイプを挿通させることができる形状であれば特に限定されず、例えば、図1に示すエアコン用貫通孔4のように一組の平面視円形であってもよく、一組の多角形、楕円形等任意の形状が挙げられる。また、上記エアコン用貫通孔は、一組の上記エアコン用の配管パイプを挿通させる形状であれば、必ずしも一組の孔が設けられた形状でなくてもよく、例えば、平面視形状が、長方形、菱形、多角形、楕円形又は円形等任意の形状の孔が1つだけ設けられた形状であってもよい。
【0027】
上記エアコン用温媒を流通させ、上記エアコン用貫通孔に挿通させる配管パイプとしては特に限定されず、例えば、従来公知のエアコンの室外機と室内機とを接続する配管パイプと同様のものが挙げられる。
【0028】
本発明2は、床暖房用温媒を生成する温媒熱源機の機能とエアコン室外機の機能とを兼ね備えた室外機を有する床暖房・エアコン一体型システムに用いられる接続部材であって、壁面に穿たれたスリーブ穴に嵌合可能な本体部、上記本体部を厚さ方向に貫通し、上記床暖房用温媒を循環させる温媒配管に連絡する室内用温媒パイプと上記温媒熱源機に連絡する室外用温媒パイプとを接続する一組の床暖房用接続管、及び、上記本体部を厚さ方向に貫通し、エアコン室内機に連絡する室内用配管パイプと上記エアコン室外機に連絡する室外用配管パイプとを接続するエアコン用接続管を有する接続部材である。
【0029】
図2(a)は、本発明2の接続部材の一例を模式的に示す平面図であり、(b)は、本発明2の接続部材の使用態様の一例を模式的に示す断面図である。
図2(a)及び(b)に示すように、本発明2の接続部材10は、円板状の本体部12と、一組のU字型の床暖房用接続管13と、一組のU字型のエアコン用接続管14とを有し、床暖房用接続管13とエアコン用接続管14とが、それぞれ本体部12を厚さ方向に貫通して固定されている。
【0030】
また、本発明2の接続部材10は、図2(b)に示すように、本体部12が壁17に穿たれたスリーブ穴18に嵌め込まれ、床暖房用接続管13とエアコン用接続管14の両端部がそれぞれ室外側と室内側とに突出するようになっている。
床暖房用接続管13は、その室外側端部と室外に配設された図示しない室外機の温媒熱源機部分とが室外用温媒パイプ15aにより接続され、その室内側端部と室内に配設された図示しない暖房床の温媒配管とが室内用温媒パイプ15bにより接続される。また、エアコン用接続管14は、その室外側端部と室外に配設された図示しない室外機のエアコン室外機部分とが室外用配管パイプ16aにより接続され、その室内側端部と室内に配設された図示しないエアコン室内機とが室内用配管パイプ16bにより接続される。
【0031】
図2に示すように、本発明2の接続部材は、本体部にエアコン用接続管が設けられている以外は、図1に示した本発明1の接続部材と同様の形態が挙げられる。従って、本発明2の接続部材において、上記エアコン用接続管以外の本体部及び床暖房用接続管等としては、上述した本発明1の接続部材の本体部及び床暖房用接続管等と同様のものが挙げられる。
【0032】
上記エアコン用接続管は、その内部にエアコン用温媒を流通させることができる管状部材であり、上記本体部の厚さ方向に貫通して固定されている。
本発明2の接続部材において、上記エアコン用接続管は、図2に示したエアコン用接続管14のように、上記本体部に一組設けられている。すなわち、一方のエアコン用接続管は、室外に配設された室外機のエアコン室外機部分からエアコン用温媒を室内に導き、室内に配設されたエアコン室内機へ送るためのものであり、他方のエアコン用接続管は、室内に配設されたエアコン室内機からエアコン用温媒を室外に導き、室外に配設された室外機のエアコン室外機部分へ送るためのものである。
【0033】
上記エアコン用接続管の形状としては、上記本体部を貫通する形状であれば特に限定されず、壁面に穿たれたスリーブ穴の位置と、室内に配設されたエアコンの室内機の位置及び室外に配設されたエアコンの室外機の位置とを考慮して適宜決定され、例えば、図2に示したエアコン用接続管14のようなU字状のほか、直線状、L字状、任意の方向に屈曲した形状等が挙げられる。なお、上記エアコン用接続管は、上述した床暖房用接続管と同一の形状であってもよく、異なる形状であってもよい。
【0034】
また、上記エアコン用接続管の端部は、一般的なフレア接続形状であることが好ましいが、上述した床暖房用接続管の端部と同様に、ホースエンド状、コンセント状、未加工の筒状等いずれの形状であってもよい。例えば、上記エアコン用接続管の端部がコンセント状である場合、該エアコン用接続管に接続する室内用及び室外用配管パイプの端部は、専用のソケットが設けられていることが好ましく、更に、上記エアコン用接続管の端部がホースエンド状や未加工の筒状である場合、室内用及び室外用配管パイプを接続した際に、該配管パイプの脱落防止を目的としてホースバンド状の固定具で接続部分を固定することが好ましい。
【0035】
また、上記エアコン用接続管の管径は、上述した床暖房用接続管と同様に、均一であってもよく、室内側の端部付近と室外側の端部付近とで異なっていてもよい。
【0036】
上記エアコン用接続管の管径としては特に限定されず、敷設するエアコンの大きさ等に合わせて適宜決定され、具体的には、好ましい下限は5mm、好ましい上限は15mmである。5mm未満であると、充分な量のエアコン用温媒を流通させることができないことがあり、15mmを超えると、上記本体部に床暖房用接続管とともに設けることが困難となることがある。
【0037】
このようなエアコン用接続管を構成する材料としては、ある程度の強度、耐候性及び成形性を備えるものであれば特に限定されず、例えば、上述した本体部と同様の材料が挙げられる。なお、上記エアコン用接続管は、上述した本体部や床暖房用接続管と同一の材料からなるものであってもよく、異なる材料からなるものであってもよい。
【0038】
本発明2の接続部材において、上記エアコン用接続管は、その室外側端部と室外に配設された室外機のエアコン室外機部分とが室外用配管パイプにより接続され、その室内側端部と室内に配設されたエアコン室内機とが室内用配管パイプにより接続される。
【0039】
上記室外用配管パイプ及び室内用配管パイプとしては特に限定されず、例えば、従来公知のエアコンの室外機と室内機とを接続する配管パイプと同様のものが挙げられる。
【発明の効果】
【0040】
本発明1の接続部材は、一組の床暖房用接続管が本体部の厚さ方向に貫通し固定されるとともに、エアコン用貫通孔が本体部の厚さ方向に設けられた構造を有する。このような構造の本発明1の接続部材は、壁面に穿たれたエアコン用スリーブ穴に嵌め込み、上記床暖房用接続管の室内側端部と室内に配設された暖房床の温媒配管に連絡する室内用温媒パイプとを接続し、上記床暖房接続管の室外側端部と室外に配設された室外機の温媒熱源機部分に連絡する室外用温媒パイプとを接続することで、上記暖房床の温媒配管と室外機の温媒熱源機部分とを接続することができる。従って、本発明1の接続部材によると、床暖房機能とエアコン機能とを兼ね備えた床暖房・エアコン一体化システムを施工時における、暖房床の温媒配管と室外機の温媒熱源部分との接続作業を効率よく、かつ、容易に行うことができる。
【0041】
また、本発明2の接続部材は、一組の床暖房用接続管とエアコン用接続管とが本体部の厚さ方向に貫通し固定された構造を有する。このような構造の本発明2の接続部材は、壁面に穿たれたエアコン用スリーブ穴に嵌めこみ、上記床暖房用接続管の室内側端部と室内に配設された暖房床の温媒配管に連絡する室内用温媒パイプとを接続し、上記床暖房接続管の室外側端部と室外に配設された室外機の温媒熱源機部分に連絡する室外用温媒パイプとを接続することで、上記暖房床の温媒配管と室外機の温媒熱源機部分とを接続することができる。一方、上記エアコン接続管の室内側端部と室内に配設されたエアコン室内機に連絡する室内用配管パイプとを接続し、上記エアコン用接続管の室外側端部と室外に配設された室外機のエアコン室外機部分に連絡する室外用配管パイプとを接続することで、上記エアコン室内機とエアコン室外機部分とを接続することができる。
従って、本発明2の接続部材によれば、床暖房機能とエアコン機能とを兼ね備えた床暖房・エアコン一体化システムを施工時における、暖房床の温媒配管と室外機の温媒熱源機部分との接続作業を効率よく、かつ、容易に行うことができるとともに、エアコン室内機と室外機のエアコン室外機部分との接続作業も効率よく、かつ、容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0043】
(実施例1)
(1)接続部材の作製
真鍮部材を用いて、直径100mm、厚さ50mmの円板状体を作製し、該円板状体に直径15mmの貫通孔を上方に二箇所、下方に二箇所それぞれ一組ずつ穿ち、図1に示した本体部2とほぼ同形状の本体部を作製した。
次に、作製した本体部の下方に穿った一組の貫通孔に管径10mm、長さ150mmの真鍮からなる管状部材を挿通し、両端部付近を直角に屈曲させて図1に示した床暖房用接続管3とほぼ同形状の床暖房用接続管を形成し、図1に示した接続部材1とほぼ同形状の接続部材を作製した。
【0044】
(2)床暖房・エアコン一体化型システムの施工
作製した接続部材をエアコン用として予め壁面に穿たれたスリーブ穴に嵌め込み、床暖房用接続管の室内側端部と室内に配設された暖房床の温媒配管とを室内用温媒パイプにより接続し、床暖房用接続管の室外側端部と室外に配設された室外機の温媒熱源機とを室外用温媒パイプにより接続して床暖房・エアコン一体化型システムの施工を行った。なお、接続部材の本体部の外周とスリーブ穴の内壁とは粘土を用いて確実に目地埋めを行った。
その結果、壁面に穿ったスリーブ穴を通しながら作業を行う必要がなかったため、室内に配設した暖房床の温媒配管と室外機の温媒熱源機部分の接続作業は、極めて効率よく、かつ、容易に行うことができた。
【0045】
(実施例2)
(1)接続部材の作製
真鍮部材を用いて、直径100mm、厚さ50mmの円板状体を作製し、該円板状体に直径15mmの貫通孔を上方に二箇所、下方に二箇所それぞれ一組ずつ穿ち、図2に示した本体部12とほぼ同形状の本体部を作製した。
次に、作製した本体部の下方に穿った一組の貫通孔に管径10mm、長さ150mmの真鍮からなる管状部材を挿通し、両端部付近を直角に屈曲させて図2に示した床暖房用接続管13とほぼ同形状の床暖房用接続管を形成し、続いて同様の方法でエアコン用接続管を形成し、図2に示した接続部材10とほぼ同形状の接続部材を作製した。
【0046】
(2)床暖房・エアコン一体化型システムの施工
作製した接続部材をエアコン用として予め壁面に穿たれたスリーブ穴に嵌め込み、床暖房用接続管の室内側端部と室内に配設された暖房床の温媒配管とを室内用温媒パイプにより接続し、床暖房用接続管の室外側端部と室外に配設された室外機の温媒熱源機とを室外用温媒パイプにより接続した。なお、接続部材の本体部の外周とスリーブ穴の内壁とは粘土を用いて確実に目地埋めを行った。
同様にしてエアコン用接続管の室内側端部とエアコン室内機とを室内用配管パイプで接続し、エアコン用接続管の室外側端部と室外機のエアコン室外機部分とを室外用接続管で接続して床暖房・エアコン一体化型システムの施工を行った。
その結果、壁面に穿ったスリーブ穴を通しながら作業を行う必要がなかったため、室内に配設した暖房床の温媒配管と室外機の温媒熱源機部分の接続作業、及び、エアコン室内機と室外機のエアコン室外機部分との接続作業は、極めて効率よく、かつ、容易に行うことができた。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明によれば、床暖房機能とエアコン機能とを兼ね備えた床暖房・エアコン一体化システムの施工を効率よく、かつ、容易に行うことができる接続部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】(a)は、本発明1の接続部材の一例を模式的に示す平面図であり、(b)は、本発明1の接続部材の使用態様の一例を模式的に示す断面図である。
【図2】(a)は、本発明2の接続部材の一例を模式的に示す平面図であり、(b)は、本発明2の接続部材の使用態様の一例を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
【0049】
1、10 接続部材
2、12 本体部
3、13 床暖房用接続管
4 エアコン用貫通孔
5、15 温媒パイプ
5a、15a 室外用温媒パイプ
5b、15b 室内用温媒パイプ
6 配管パイプ
6a 室外用配管パイプ
6b 室内用配管パイプ
7、17 壁
8、18 スリーブ穴
14 エアコン用接続管


【特許請求の範囲】
【請求項1】
床暖房用温媒を生成する温媒熱源機の機能とエアコン室外機の機能とを兼ね備えた室外機を有する床暖房・エアコン一体型システムに用いられる接続部材であって、
壁面に穿たれたスリーブ穴に嵌合可能な本体部、前記本体部を厚さ方向に貫通し、前記床暖房用温媒を循環させる温媒配管に連絡する室内用温媒パイプと前記温媒熱源機に連絡する室外用温媒パイプとを接続する一組の床暖房用接続管、及び、エアコン室内機とエアコン室外機とを接続する配管パイプを挿通するためのエアコン用貫通穴を有することを特徴とする接続部材。
【請求項2】
床暖房用温媒を生成する温媒熱源機の機能とエアコン室外機の機能とを兼ね備えた室外機を有する床暖房・エアコン一体型システムに用いられる接続部材であって、
壁面に穿たれたスリーブ穴に嵌合可能な本体部、前記本体部を厚さ方向に貫通し、前記床暖房用温媒を循環させる温媒配管に連絡する室内用温媒パイプと前記温媒熱源機に連絡する室外用温媒パイプとを接続する一組の床暖房用接続管、及び、前記本体部を厚さ方向に貫通し、エアコン室内機に連絡する室内用配管パイプと前記エアコン室外機に連絡する室外用配管パイプとを接続するエアコン用接続管を有する
ことを特徴とする接続部材。


【図1】
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【図2】
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