説明

接触感知プローブ

加工対象物接触針(6)と、針(6)に機械的に連結されたトランスデューサ(8,108)と、トランスデューサ(8,108)に交流電流を供給して、針(6)の振動を誘発する発振器(30,31)と、を備える触覚センシングプローブ装置(2)が提案される。また、トランスデューサ(8,108)に供給される電圧と、トランスデューサへの電流と、の位相差を感知するための触覚センサも設置される。発振器(30,31)は、触覚感知中に、トランスデューサ(8,108)に第1の周波数の交流電流を供給するように構成される。第1の周波数(46)は、機械的共振を誘発するが、機械的共振ピークの最大値(40)とは遠くなるように選択される。プローブは、携帯型関節式測定アーム、座標測定器(CMM)等の座標測位装置と共に使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接触感知、すなわち、使用中に振動される針を有する「タッチ」プローブに関する。特に、本発明は、携帯型関節式測定アーム、座標測定器(CMM)等の座標測位装置で使用するプローブに関する。
【背景技術】
【0002】
接触感知プローブは周知である。特許文献1は、接触要素(例えば、針)と、前記接触要素をその共振周波数で振動させるための圧電トランスデューサと、を有するタッチプローブを開示している。感知回路も備えられており、これは、圧電トランスデューサに印加される、あるいは、これによって発生される電気信号におけるパラメータの変化を感知することにより、接触要素と物体との係合を感知する。
【0003】
特許文献2は、また別のタッチプローブ装置を開示している。また、この特許文献2の装置は、付属の針によるその共振周波数での超音波振動を誘発するためにRF信号が印加されるトランスデューサを備える。圧電トランスデューサに供給される電気信号は監視され、針が物体と接触したことを示す変化が調べられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】英国特許第20006435号明細書
【特許文献2】米国特許第5247751号明細書
【特許文献3】欧州特許第07307210号明細書
【特許文献4】英国特許出願第0608998.1号明細書
【特許文献5】英国特許出願第0608999.9号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様によれば、接触感知プローブ装置は、針と、針に機械的に連結されたトランスデューサと、トランスデューサに交流電流を供給して針の振動を誘発する発振器と、トランスデューサに供給される電圧とトランスデューサに流れる電流との間の位相差を監視する接触センサと、を備え、発振器は、接触感知中に第1の周波数の交流電流をトランスデューサに供給し、第1の周波数は、機械的共振を誘発するが機械的共振ピークの最大値からは離れているように選択されることを特徴とする。
【0006】
上記のように、本発明は、針と、針に機械的に連結されたトランスデューサ(圧電トランスデューサ等)と、を有する接触感知またはタッチプローブを備える。発振器(例えば、周波数シンセサイザを含む)も設置され、これがトランスデューサの駆動に用いられる交流電流(AC)信号を発生させる。接触感知中、発振器は、トランスデューサに第1の周波数を有する交流電流を供給し、これによって、その第1の周波数での針の振動を起こさせる。トランスデューサに印加される電圧(V)と、トランスデューサに受け渡される電流(I)と、の間の位相の差を監視するための接触センサも設けられ、つまり、この接触センサは、いわゆるV/I位相差を監視する。針が表面と接触すると、システムの共振特性が変わり、これがトランスデューサの特徴的振動を減衰、あるいはその他を変化させ、それによって、接触センサにより測定されるV/I位相差に検出可能な変化が起こる。
【0007】
プローブは、1つまたは複数の異なるモードの振動に対応する1つまたは複数の固有振動周波数を有する。したがって機械的共振は、トランスデューサが特定の周波数または振動モードで駆動されるときに必ず発生する。特許文献1および特許文献2に記載されているタイプの従前の振動接触プローブは、減衰されない(つまり自由に振動する)共振周波数で、つまり減衰されない機械的共振ピークの最大値にできるだけ近い周波数で駆動される。しかしながら、本発明によれば、共振を誘発するが固有周波数の最大値から離れた周波数でトランスデューサを駆動することによって、プローブの針が表面に接触したときに発生するV/I位相差の変化が強調される。これは、周知の装置と比較して、高い感度を有するタッチプローブ装置を提供するという利点を有する。
【0008】
第1の周波数は、針が表面に接触したときにトランスデューサに印加される電圧とトランスデューサを通過する電流との間の位相差の変化を最大限にするように、選択されることが有利である。言い換えれば、第1の周波数は、針が表面と接触したときに接触センサによって測定されるV/I位相差の変化を最大限にするように設定される。この表面は、測定対象となる物体または加工対象物の表面でも、基準表面その他でもよい。
【0009】
装置は、第1の周波数(つまり、接触感知中に使用されることになる周波数)を決定するためのセットアップルーチンを実行する周波数設定器または周波数設定手段を備えることが好都合である。この周波数設定器は、トランスデューサに供給される交流電流の周波数を変化させるように、発振器を制御する構成とされることが有利である。また周波数設定器は、トランスデューサに印加される電圧と、トランスデューサを通過する電流と、の間のV/I位相差を周波数の関数として分析するように構成されていてもよい。そして、第1の周波数は、周波数設定器によって、針の位相差対周波数特性の局所的勾配における最大絶対値に対応する周波数と等しくなるように選択されることが好都合である。第1の周波数は、V/I位相差対周波数特性における正と負の局所的勾配の少なくとも一方に対応する周波数に等しくなるように選択されることが有利である。
【0010】
言い換えれば、第1の周波数は、好ましくは、針の振動の固有周波数における最大値より小さい、あるいはこれより大きい周波数、またはV/I位相差プロットの中の最大勾配領域に対応する周波数に設定される。これは、周波数の増加に伴う、隣接周波数ステップ間のV/I位相差の変化を測定することによって実現される。この周波数が現在記憶されている最大値より大きければ、位相差(および、これに関連する周波数)に記憶された最大値を置き換える。その後、次の周波数のステップに進み、最大周波数に到達するまでこのプロセスが反復される。
【0011】
周波数設定器は、第1の周波数範囲について初期化周波数掃引を実行するように構成されることが有利である。これは、ユーザによって、あるいは自動的に開始される。例えば、初期化周波数掃引は、電源投入時、リセット時、バッテリ交換後、針交換後、あるいは、ある種の操作上のエラーが検出されたときに実行される。第1の周波数範囲は広くすることができ、装置の動作範囲全体(例えば、15−35KHz)を包含してもよい。
【0012】
周波数設定器は、第2の周波数範囲について微調整周波数掃引を実行するように構成されることが好都合であり、この第2の周波数範囲は、前述の第1の周波数範囲よりも狭い。微調整周波数掃引の第2の周波数範囲は、好ましくは、前に決定された第1の周波数を包含する。初期化および微調整周波数掃引中に使用される周波数ステップは、必要に応じて異なっていてもよく、同じでもよい。周波数ステップは、周波数掃引中に変化させて、第1の周波数決定精度を最大限すると同時に、周波数掃引力の実行に必要な総時間を短縮することもできる。
【0013】
上記のように、微調整周波数掃引は、接触感知に使用される第1の周波数を再計算するために実行してもよい。これは、時間の経過に伴ってプローブの共振周波数にどんなに小さな変化があっても必要となる。初期化周波数掃引中に既に第1の周波数が決定されているため、微調整周波数掃引は、はるかに狭い周波数範囲とすることができる。例えば、第2の周波数範囲は500Hzに渡り、前に決定された第1の周波数を略中心とすることができる。微調整周波数掃引は、初期化周波数掃引よりはるかに短い周波数範囲について実行されるため、一般にずっと早く実行される。このような微調整動作は定期的に、例えば、プローブがスタンバイモードから測定実行状態とされるたびに行われてもよい。
【0014】
接触センサは、トランスデューサに印加される電圧とトランスデューサを通過する電流との間の位相差と、閾値位相差と、を比較するように構成されることが有利である。閾値位相差の値は、第1の周波数が計算されるときに周波数設定器によって決定されてもよい。一般的に、閾値位相差は、第1の周波数で振動するときの非減衰針のV/I位相差の特定の比率に設定される。例えば、正の勾配の場合、閾値は、第1の周波数で周波数設定器により決定されたV/I位相差値の180分の4の数値に設定されてもよい。閾値の正確なレベルは、各種のプローブおよび動作環境要因に依存し、閾値が高過ぎるとトリガが不正確となり、閾値が低過ぎると、表面との軽い接触やより柔らかい表面との接触が感知されない原因となる。さらに、閾値は使用中に変化させ、例えば、表面接触が予想されるときに必ず感度が高まるようにしてもよい。
【0015】
装置は接触信号ラインを備えることが有利であり、この接触信号ラインはトランスデューサに印加される電圧とトランスデューサを通過する電流との間の位相差が閾値位相差を下回るたびに、イネーブルされる。したがって、接触信号ラインは、針が表面と接触したときの指標となる。接触信号ラインと、プローブが取り付けられている関連する座標測定アームまたは機械と、の間に電気接続が構築されてもよく、これによって、座標測定装置は、表面接触が起こると必ず位置データを保存または出力することができる。
【0016】
接触センサは、トランスデューサへの電流の流れを測定する電流計と、トランスデューサ内の電圧を測定する電圧計と、を備えていてもよい。電流計は、トランスデューサおよび発振器と電気的直列関係にある抵抗器における電圧降下を測定する電圧計を備えてもよい。正弦波電圧(V)と電流(I)信号は、方形波信号と、これらの測定された信号の立ち上がりと立下りの時間遅延と、に変換されて、位相差が判断されてもよい。V/I位相差は、絶対的時間間隔または基準クロックから導かれるカウントとして表現される。接触センサは、電圧と電流に関する信号の間の位相差を監視するように構成されたフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を備えていてもよい。またFPGAは、周波数設定器を実装し、発振器の動作を制御するようにプログラムすることもできる。
【0017】
トランスデューサは、少なくとも1層の圧電材料を備えていることが有利である。好ましくは、トランスデューサは、少なくとも2層の圧電材料からなる圧電スタックを備えている。スタックに2層または3層を設けることにより、特定の変位量を知らせるために必要な最大電圧を低くすることができる。圧電スタックは、間に第1の電極を挟む2層の圧電材料を備え、その最も外側の表面に1対の外側(一般に電気的に接続される)電極を有していてもよい。
【0018】
第1の周波数は、超音波周波数帯域の中に入るように選択されることが有利である。第1の周波数は、15KHzより大きく、あるいは20KHzより大きいことが好都合である。好ましくは、第1の周波数は、40KHz未満、35KHz未満、あるいは30KHz未満である。
【0019】
好ましくは、装置は、プローブ本体と解除可能に固定される針を備える。またプローブ本体は、トランスデューサ、発振器、接触センサ、バッテリ等を含んでいてもよい。針は、トランスデューサに機械的に連結されるプローブ本体の針取り付け部にネジ留めされていてもよい。その後、必要に応じて、長さ、硬さ等の異なる各種の針をプローブヘッドに取り付けることもできる。針のシャフトは、中空コアを有することが有利である。中空のコアの内部に付加質量を設置することにより、針の先端に質量を有効に追加することができる。このような質量は、好ましくは、針の中空のコアの遠心端にのみ付加される。針先に余分な質量を付加することにより、その軸方向の固有周波数が下がり、したがって、針の固有周波数を決定するのに使用できる。例えば、付加質量を中空のコアの内部に設置して、固有周波数が装置の動作周波数範囲内(例えば、35KHz未満)となるようにしてもよい。
【0020】
各種の振動モードは、異なる駆動周波数で発生するかもしれない。第1の周波数は、長さ方向の針共振モードと一致するように選択されることが有利である。接触感知の用途にとっては、横方向(半径方向)ではなく、長さ方向(軸方向)の針の振動モードを励起することが好ましく、これは、このようなモードの減衰が接触方向によって影響を受けないからである。
【0021】
座標測位装置に、本発明の接触感知プローブ装置を取り入れることができる。この座標測位装置は、手動測定機(例えば、特許文献3に記載されているタイプの連結型アーム)、自動CMM、または工作機械を備えていてもよい。
【0022】
本発明の第2の態様によれば、針に機械的に連結されたトランスデューサを備える振動プローブの設定方法が提案され、この方法は、(i)プローブのトランスデューサに交流電流を印加して針を振動させるステップと、(ii)トランスデューサに印加される電圧とトランスデューサを通過する電流との間の位相差を監視するステップと、(iii)接触感知動作中にトランスデューサを駆動するための第1の周波数を決定するステップと、を含み、(iii)のステップは、機械的共振を誘発するが機械的共振ピークの最大値からは離れている第1の周波数を決定するステップを含むことを特徴とする。
【0023】
ステップ(iii)は、針が物体と接触したときのトランスデューサに印加される電圧とトランスデューサに流れる電流との間の位相差の変化を最大限にするように、第1の周波数を選択するステップを含むことが有利である。この周波数は、上記の方法で、V/I位相差を周波数の関数として分析することによって選択できる。例えば、1回または複数回の周波数掃引を行って、非減衰針のV/I位相差対周波数特性の局所的勾配における正または負の最大値を判断してもよい。
【0024】
この方法また、(iv)振動プローブを作動させ、表面との接触を検出するステップを含み、前記タッチ感知動作中に、前記第1の周波数の交流電流駆動信号がトランスデューサに印加される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明のプローブの断面図である。
【図2】図1に示されるプローブの圧電スタックを駆動するために用いられる電気回路の説明図である。
【図3A】印加された電圧(V)と駆動電流(I)の方形波信号から有効なカウントが導出される様子の説明図である。
【図3B】印加された電圧(V)と駆動電流(I)の方形波信号から有効なカウントが導出される様子の説明図である。
【図4】図1のプローブに印加される駆動信号の周波数の関数としてのV/I位相差の説明図である。
【図5】プローブが各種の表面と接触したときのI/V位相差に与える影響の説明図である。
【図6】プローブの振動周波数の微調整の説明図である。
【図7】プローブ装置の動作の周波数が決定される様子を示すフローチャートである。
【図8】単独の圧電要素の駆動に用いられる電気回路の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
ここで、あくまでも例として、添付の図面を参照しながら本発明を説明する。
【0027】
図1を参照すると、本発明のプローブ2が示されている。
【0028】
プローブ2は、座標測位装置への取り付けに適したプローブ本体4を備える。本例において、プローブ2は、携帯型関節式測定アーム上への取り付けに適したマニュアルスキャニングプローブである。プローブ2は、取り外し可能に固定される針6と、駆動回路10によって駆動される圧電スタック8と、を備える。この配置により、針6は必要な周波数で振動することができる。圧電スタック8と、関連する駆動回路10と、については、図2を参照しながら以下に詳しく説明する。
【0029】
前方ダイアフラム14と後方ダイアフラム16を有するケーシング12は、プローブ本体4の中に設置される。ケーシング12は、圧電スタック8から機械的に絶縁されるように配置される。圧電スタック8は、後方ダイアフラム16の開口部を通過するボルト18を介して、プローブ本体4に接続される。針は、前方ダイアフラム14に形成された開口部を通じて圧電スタック8に接続される。このように、装置の振動部分は、静止しているプローブ本体から機械的に絶縁されている。したがって、圧電スタックの急速な拡張と収縮を針の長さ方向の振動に変換し、これに伴うプローブ本体の振動を最小限にすることができる。
【0030】
プローブ2の機械的振動を絶縁する形態は、特許文献4の優先権を主張する本出願人の同時係属中の国際(PCT)特許出願に詳しく記載されており、これらの出願の内容は、参照することにより組み込まれる。
【0031】
図2を参照すると、圧電スタック8の駆動に使用される電気回路が詳細に示されている。
【0032】
圧電スタック8は、偏極圧電材料(polarised piezo-electric material)の第1の層20と、偏極圧電材料の第2の層22と、を備える。圧電材料の第1および第2の層は、第1の電極24を挟むように配置されている。さらに、圧電材料の第1および第2の層20,22は、それぞれ、それらの正に偏極された表面(図2において「+」で示される)が第1の電極24と接触するように配置されている。外側電極26,28は、圧電材料の第1および第2の層の各々の最も外側の(負に偏極されている)表面に設置される。外側電極26,28は、相互に電気的に接続され、グラウンドにも接続されている。
【0033】
周波数シンセサイザ30は交流電流(正弦波)信号を生成し、これが増幅器31によって増幅されて、AC駆動信号を供給する。周波数シンセサイザ30と増幅器31は、集合的に、発振器またはAC発生器となる。AC駆動信号は、抵抗器36を介して第1の電極24に受け渡される。AC駆動信号が第1の電極24に供給されると、圧電スタック8は駆動されて振動する。周波数シンセサイザ30は、可変周波数出力を有するAC駆動信号を供給するように構成され、これにより、針の必要な振動を誘発する駆動周波数で圧電スタック8が振動される。
【0034】
圧電スタック8は、また、センサとしても機能する。電圧基準信号(“Ref. Sine”)は、抵抗器36の前で増幅器31の出力から分離される。圧電スタック8を流れる電流を示す電圧(“Piezo sine”)は、抵抗器36と圧電スタック8との間の地点で測定される。電圧基準信号(Ref. Sine)と電流信号(Piezo sine)は、どちらもゼロ交差検出器(zero-crossing detector)34に受け渡され、それぞれ方形波信号“Ref In”と“Piezo In”に変換される。方形波信号“Ref In”と“Piezo In”は、内蔵マイクロプロセッサコアを含むフィールドブログラマブルゲートアレイ(FPGA)38に受け渡される。FPGA 38は、また、周波数シンセサイザ30の動作を制御し、前述のように、オペレータセンサの位相差とキャパシタンスの両方を測定するタイマ回路(図示せず)を含む。
【0035】
図3を参照しながら、FPGA38の動作を詳しく説明する。先に概説したように、電圧スタックを通過する電圧(V)と、これを流れる電流(I)を示す信号は、ゼロ交差検出回路34を用いて方形波に変換される。これらの方形波は、FPGA38に入力される。
【0036】
FPGA38の中において、“Ref. In”と“Piezo In”信号は、入力信号よりもはるかに高い周波数で動作(run)するマスタクロックと同期される。“Piezo In”信号の立ち上がりで、カウンタがリセットされる。カウンタは、その後、“Piezo In”入力の次の立ち上がりでリセットされるまで、“Ref. In”または“Piezo In”が「ハイ」の論理レベルになるとカウントを進める。各増分は、1クロック周期を表す。カウンタは、“Ref. In”信号の立ち下がりでラッチされ、クロック周期の「有効カウント」となる。
【0037】
図3Aから分かるように、有効なクロック周期カウントから、基準信号と圧電信号との間の時間遅延、または位相差の測定値が得られる。特に、図3Aは、圧電スタックが共振とは離れた周波数で駆動されたときの“Ref. In”と“Piezo In”との間の位相の関係を示す。“Ref. In”および“Piezo In”信号は、それぞれ電圧(V)と電流(I)を示すため、測定された位相差をV/I位相差とも表す。
【0038】
図3Bは、駆動周波数が機械的共振周波数に近づくことによって“Piezo In”の位相が“Ref. In”信号に関してシフトしたときに生じる位相関係を示す。このような機械的共振周波数において、V/I位相差(つまり、有効カウント)が最大化されることが分かる。
【0039】
前述のように、図3は、“Piezo In”信号の立ち上がりで信号カウンタをリセットし、“Ref. In”信号の立ち下がりでカウンタをラッチすることを示している。しかしながら、“Ref. In”信号の立ち上がりで信号カウンタをリセットし、“Piezo In”信号の立ち下がりでカウンタをラッチすることも可能であることに注意すべきである。また、これは、V/I位相差を示すカウント値も生成する。
【0040】
起動時またはリセット時に、周波数シンセサイザ30は、初期周波数掃引(initial frequency sweep)を行うように構成されている。これにより、V/I位相差は、圧電スタックに印加されるAC駆動信号の周波数の関数として設定することができる。
【0041】
図4を参照すると、電圧電流(V/I)位相差は、圧電スタック8に印加される駆動電流の周波数の関数として示されている。初期周波数掃引は、一般的に、広い周波数範囲(例えば、15−35KHz)で行われるが、図4は、明瞭化のために、周波数範囲17−18KHzのV/I位相差だけを示している。構造の共振周波数と一致するV/I位相差のピーク40が発生することが分かる。
【0042】
共振ピーク40の周辺で、小さな周波数変化でV/I位相差の大きな変化が生じる。この装置は、共振ピークに関わる変曲点周辺の曲線の勾配が正で最大となる周波数を決定するための駆動周波数設定器を備え、この周波数は、最適な駆動周波数とみなされ、線44で示される。この領域の勾配は、線42によっても示される。次に発振器は、第1の駆動周波数を有する圧電スタックにAC駆動信号を印加するように設定される。この第1の駆動信号は、最適駆動信号と等しく、あるいは、これにできるだけ近く設定される。本例において、周波数シンセサイザ30は、5Hzステップでのみ設定でき、したがって、最適駆動周波数に最も近い周波数ステップが第1の駆動周波数として設定される(線46で示される)。FPGA38は、駆動周波数設定器を実装するように構成されてもよく、あるいは、このような手段が別のプロセッサによって実装されてもよい。
【0043】
前述のように、振動針が表面と接触すると、圧電スタックの発振は減衰されるか、あるいは、その特徴的な振動モードを変化させる。これにより、圧電スタックのインピーダンスが変化し、その結果、V/I位相差における測定可能な変化が発生する。
【0044】
図5は、自由空間にある、あるいは異なる表面と接触しているプローブの駆動周波数の関数として、V/I位相差の特徴を示す。図5の曲線50は、非減衰プローブ(つまり、空中で自由に振動する針を有するプローブ)のV/I位相特性を示す。曲線52、曲線54、曲線56は、それぞれ、同じプローブの針がプラスティシーン(plasticine)、金属、およびプラスチックと接触する場合のV/I位相差の特徴を示す。図5のデータが得られたプローブは、図4に関して先に説明したプローブとは異なる固有周波数を有することに注意すべきである。
【0045】
使用中、発振器は、周波数設定器により決定される第1の駆動周波数でプローブを振動させるように構成され、この第1の駆動周波数は破線58で示される。V/I位相閾値(破線60で示す)も、第1の駆動周波数で非減衰プローブについて測定されたV/I位相差よりわずかに低いレベルに設定される。プローブの大きな減衰(例えば、曲線52,54,56のいずれかによって示される)により、V/I位相差はV/I閾値より下まで低下し、これによって、針が表面と接触したことを示すことが分かる。V/I位相差がこの閾値よりも下がると、プローブの針は表面と接触したとみなされ、接触信号ラインが有効化されて、関連する測定アームが位置データ地点をとるように指示する。V/I位相差が閾値より高いと、接触信号ラインは無効化される。
【0046】
閾値は、十分な感度を実現しながら、誤ったトリガを避けるように、経験的に設定される。タッチ閾値カウント(touch threshold count)をあまり高く設定し過ぎると、プローブが過剰に敏感となり、誤ったトリガを発生させる可能性が生じる。逆に、これを低く設定し過ぎると、プローブの感度が低下し、これは、特定のより柔らかい材料(たとえば、プラスティシーン)との接触を測定できないことを意味する場合がある。本例において、測定平均位相カウントが測定されて、4/180の係数が乗じられる。この係数は4度の位相変化に対応し、得られた180分の4の位相カウント値は、測定された平均位相カウントから差し引かれて、タッチ閾値カウントとなる。測定工程は、このタッチ閾値カウント値を使って、プローブが表面と接触しているか否かを判断する。
【0047】
図4に関して説明したように、プローブは、初期の広範囲に渡る周波数掃引(例えば、15−35KHz)を行って、最適な駆動周波数を確立する。この広範囲な掃引が完了すると、最適な駆動周波数の再測定または微調整が必要な場合に、その必要に応じて、より狭い周波数範囲(例えば、500Hzの範囲)でその後の周波数掃引が行われてもよい。
【0048】
本例において、プローブはまた、電源は入っているが実際には使用されていない場合に、スリープモードになるように構成される。スリープモードでは、圧電駆動電圧と位相監視が停止し、オペレータセンサが監視される。
【0049】
オペレータセンサは、オペレータがプローブに触ってことを感知するために使用される静電容量センサを備える。単パルス発生器は、抵抗器とコンデンサのネットワーク(resistor-capacitor network)の充電時間に応じた周波数のパルスをFPGA38に供給する。コンデンサは、フレキシブル回路板の形態であり、片側に2つの平行な銅製トラックを有し、反対側には銅がなく、この回路板はプローブ本体を包む。これらのトラックは、プラスチックのケーシングを介して本体から、また回路基板材料を介してオペレータから絶縁される。一方は、ワイヤによって発生器への感知入力に接続され、もう一方は、ワイヤによってプローブのグラウンドに接続される。回路板の銅の設けられてない側をアルミニウムラベルが覆う。このラベルは、コンダクタンスを通して、銅のトラックが設けられたリングセンサに対するオペレータの影響を最大限にする。
【0050】
オペレータがラベルに触ると、オペレータからグラウンドへのキャパシタンスは、パルス発生器に接続されたキャパシタンス全体を変化させる。この結果、低い周波数のパルスが出力される。起動時に、FPGAは、それが位相を測定するのと同様に、パルスを同期させて、その継続時間をカウントすることによって、発生されたパルスの出力周波数を測定する。タッチ閾値は、その現在の読取値の125%に設定される。測定されたカウントがこの閾値カウントを超えると、オペレータがプローブを握っていると想定される。
【0051】
上記は、「スイッチオン」のときに、オペレータがプローブを握っていないことを前提とする。ソフトウェアをもう少し複雑にすることにより、スイッチオンのときにプローブが握られている状態でシステムを作動させることが可能である。例えば、「スイッチオン」のときにキャパシタンスを測定して、2つの閾値を計算する。一方は、現在測定されているパルス持続時間の90%、もう一方は、前述のように125%である。システムは、通常通りに、その初期調整工程と閾値設定を行い、その後、オペレータ感知カウントの変化を待機する状態に入る。「スリープ」のL.E.Dが点灯して、プローブがまだ測定可能な状態にないことをオペレータに知らせる。カウントが上限値を超えると、プローブが握られていないと想定され、通常の動作が再開する。カウントが下降すると、オペレータが、プローブは測定準備ができていないことに気づいて、手を離したと想定される。すると、システムは、閾値を現在の測定値の125%で再計算し、その後、通常の動作が可能な状態となる。
【0052】
キャパシタンスセンサについて上述したが、同じ目的のためのオペレータセンサとしては、他にも様々な手段が使用できる。例えば、チルトスイッチ、加速度計、イネーブルボタン、または近似値センサをキャパシタンスセンサの代わりに用いてもよい。
【0053】
「スリープ」モード中にオペレータを感知すると、スタックのはるかに短い周波数掃引が、周波数範囲全体の一部について、前に決定された最適な駆動周波数を略中心として行われる。このような短い、あるいは「微調整」周波数掃引は図6に示され、線64,66は、それぞれ微調整周波数の下限と上限を示す。一般に、この狭い周波数掃引は、オペレータがプローブを把握して、位置決めするために掛かる時間内に行われる。
【0054】
このタイプのパワーダウン構成は、電力消費量を削減し、これによって、バッテリ寿命を保存する一方で、プローブの精度は維持する。しかしながら、このような構成が不可欠であることは一切ない。電力消費量が問題ではない場合、あるいはプローブの連続的使用が必要な場合には、スリープモードが無効化され、あるいはプローブ装置から省くことができる。
【0055】
圧電スタック、したがって発生器の機械的および電気的特性は、温度によって変化することがある。これは、プローブがユーザによって握られるたびに、短い再調整を実行することによって補償される。温度補償に関する詳細は、特許文献5の優先権を主張する本発明者の国際(PCT)特許出願に記載されており、これらの特許は、参照によって本願に援用される。
【0056】
図7のフローチャートを参照しながら、接触感知に使用される第1の周波数を決定するために周波数掃引を実施する方法を以下に説明する。この方法は、正の勾配における最大値を発見するために使用される点に注意すべきである。
【0057】
まず、ステップ70では、必要な周波数ステップの大きさを大に設定する。ステップ71では、完全周波数掃引(full frequency sweep)と短い周波数掃引(short frequency sweep)のどちらが必要かを決定する。プローブのスイッチを入れると、あるいはリセットすると、完全周波数掃引が選択され、ステップ72(b)が処理される。短い周波数掃引は、他の全ての状況(例えば、スリープモードが解除された後など)で選択されて、ステップ72(a)が処理される。したがって、広い掃引が必要か、または短い掃引が必要かに応じて、周波数掃引の開始および終了周波数(それぞれstart_freqとend_freq)が設定される。基準駆動周波数は、開始周波数に設定される。
【0058】
ステップ73では、平均V/I位相差測定値が利用可能となるまで待機する。このような測定値が利用可能となったら、ステップ74で前の位相カウント値(Prevous_phase_count)を記憶し、必要な周波数ステップによって圧電スタックが駆動されている基準駆動周波数を増大させる。
【0059】
ここで、主要周波数掃引ループに入る。ステップ75では、平均V/I位相差測定値が新たな周波数で利用可能になるまで待機する。利用可能となると、ステップ76では、新しい位相カウントを現在の位相カウント値(Current_phase_count)として記憶し、ここから前の位相カウント値(Previous_phase_count)が差し引かれて、差分位相カウント値(Delta_phase_count)が得られる。
【0060】
ステップ77では、移動平均勾配計算を実施するために充分な読取値があるか否かを判断する。もしもなければ、ステップ78(a)で、累算器に差分位相カウント値(Delta_phase_count)を加算し、累算器のカウントを進めて、現在の平均勾配(Current_av_gradient)をゼロに設定する。充分な読取値が利用可能であれば、ステップ78(b)にて、(i)累算器の読取値を平均し、その数値を平均読取値(av_rdg)として記憶し、(ii)Detla_phase_countを累算器に加算して、そこからav_rdgの値を差し引き、(iii)累算器の数値をCurrent_av_gradientの値として記憶する。
【0061】
ステップ79では、ステップ78(a)または(b)で決定されたCurrent_av_gradientの値がゼロ未満か否かをチェックする。Current_av_gradientの値がゼロ未満であれば、この周波数は、負の勾配に対応し、したがって関心の対象ではない(つまり、本例では正の勾配の領域が望ましいため)。この場合、ステップ80で周波数ステップを大に設定し、ステップ83,84が直接(ステップ81,82(a)または(b)を行わずに)実行される。
【0062】
Current_av_gradientの値が負でなければ、現在設定された発振器駆動周波数は、関心の対象となる領域に対応し得る。すると、ステップ81が実行され、Current_av_gradientの値が、記憶されている前の最大勾配の値(Max_gradient)よりも大きいか、あるいは、これと等しいかを判断する。もしもそうでなければ、ステップ82(a)で周波数ステップのサイズを小に設定してから、ステップ83を実行する。Current_av_gradientの値がMax_gradientの値を超える、あいは、これと等しい場合、ステップ82(b)では、(i)Max_gradientの値をCurrent_av_gradientの値に等しくなるように設定し、(ii)現在の駆動周波数を最適な駆動周波数(optimum_freq_setting)として設定し、(iii)周波数ステップを微小に設定する。ステップ83では、Current_phase_countの値をPrevious_phase_countの値として保存する。
【0063】
ステップ84では、現在の基準駆動周波数を終了周波数と比較する。これらが等しくなければ、ステップ85(a)で基準駆動周波数を必要なステップだけ増大させ、この方法がステップ75から繰り返される。周波数が等しい場合は、掃引が完了する。ステップ85(b)では次に、第1の周波数(つまり、接触感知中に使用される周波数)をoptimum_freq_settingの値に等しくなるように設定する。
【0064】
V/I位相差の最大の正の勾配を決定することを上に記載したが、駆動周波数設定器および関連する周波数掃引方法は、共振ピークに関連付けられた変曲点周辺の曲線の勾配が負で最大の周波数を決定するように構成してもよい点に注意すべきである。図5から分かるように、負の勾配の周波数が選択される場合、V/I位相閾値は、自由空間で測定された非減衰V/I位相値よりも上に設定すべきである。
【0065】
また別の代案として、駆動周波数設定器および関連する周波数掃引方法は、絶対最大(つまり、符号に依存しない)勾配を決定するようにも構成できる。絶対最大勾配が発見される場合、このような最大値に関連付けられる勾配の符号は、V/I位相閾値を自由空間振動位相より高くすべきか、または低くすべきかを示すために使用でき、正の勾配については、閾値は低くすべきであり、負の勾配では、より高い閾値が必要である。
【0066】
図1,2に関して先に説明したプローブは、2層の圧電スタック8を備える。しかしながら、単独の圧電素子を設置することも可能である点を忘れるべきではない。
【0067】
図8を参照すると、単独の圧電素子を駆動するための電気回路が示されている。回路の中の、図2に関して説明した部品と同じ部品には、同様の参照番号が付されている。
【0068】
回路は、単独の圧電素子108を備え、これが電極110,112により挟まれている。周波数シンセサイザ30は正弦波出力を供給し、これが差動増幅器131に供給されて、反転および非反転駆動信号の両方を生成する。反転駆動信号は、第1の抵抗器136を通して電極110に受け渡されて、圧電素子の第1の側の駆動に使用される。非反転駆動信号は、第2の抵抗器137を通して電極112に受け渡されて、圧電素子の第2の側の駆動に使用される。反転および非反転駆動信号はどちらも、電圧において、最大正電圧から最大負電圧の範囲である。それらの駆動信号は相互の反転であるため、偏極素子の両側は、正弦関数運動で印加された周波数で拡張および収縮する。したがって、運動量は、図2に関して説明したデュアル素子の圧電スタック(dual element piezo-electric stack)と同様であり、各素子の片側が単極駆動信号によって駆動され、もう一方はグラウンドに接続される。
【0069】
周波数シンセサイザ30からの基準信号“Ref.sine”は、ゼロ交差検出器34に入力される。素子を通じて発生される差動信号は、インスツルメンテーションアンプ140に入力される。アンプ140の出力は、‘Piezo sine’信号であり、これもゼロ交差検出器34に入力される。この点から、‘Ref sine’と‘Piezo sine’のどちらの処理も上述のものと同じである。単独素子を使用する利点は、プローブがより安価で生産でき、その長さを短縮できることである。複数の素子による圧電スタック(multiple element piezo-electric stack)には、必要な電子コンポーネントが少なくてすみ、圧電素子がプローブ本体からの絶縁を必要としないという利点がある。プローブに用いられる圧電素子の種類は、したがって、特定の用途にとっての必要性に応じて選択できる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
上記の例は、手動測位アームにプローブを用いる場合を説明したものだが、このようなプローブは、どのような種類の測定器にも使用できることに注意すべきである。例えば、本願で紹介する種類のプローブは、どのような手動式測定器、自動CMM、または工作機械にも使用できる。実際、このようなプローブは、低圧接触感知が必要な場合は必ず有利に使用することができる。自動システムが使用される場合、プローブは、さらにオーバートラベルメカニズム(例えば、受動運動マウント(passive kinematic mount))を備えていてもよく、これは繰返し所定の場所と向きに戻って、接触感知中の損傷を防止する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
針と、前記針に機械的に連結されたトランスデューサと、前記トランスデューサに交流電流を供給して前記針の振動を励起する発振器と、前記トランスデューサに印加される電圧と前記トランスデューサに流れる電流との間の位相差を監視する接触センサと、を備え、接触感知中に、前記発振器が前記トランスデューサに第1の周波数の交流電流を供給する接触感知プローブ装置であって、
前記第1の周波数は、機械的共振を誘発するが機械的共振ピークの最大値からは離れているように選択されることを特徴とする接触感知プローブ装置。
【請求項2】
前記第1の周波数は、針が表面と接触したときに、前記トランスデューサに印加される電圧とトランスデューサを通過する電流との間の位相差の変化を最大限にするように選択されることを特徴とする請求項1に記載の接触感知プローブ装置。
【請求項3】
前記第1の周波数を決定するセットアップルーチンを実行するための周波数設定器を備え、
前記周波数設定器は、前記トランスデューサに供給される交流電流の周波数を変化させるように、前記発振器を制御する構成とされていることを特徴とする請求項1または2に記載の接触感知プローブ装置。
【請求項4】
前記周波数設定器は、前記トランスデューサに印加される電圧と前記トランスデューサを通過する電流との間の位相差を周波数の関数として分析するように構成され、
前記第1の周波数は、前記針の位相差対周波数特性の局所的勾配における絶対最大値に対応する周波数と等しくなるように選択されることを特徴とする請求項3に記載の接触感知プローブ装置。
【請求項5】
前記第1の周波数は、前記位相差対周波数特性の正および負の局所的勾配の内の少なくとも一方に対応する周波数と等しくなるように選択されることを特徴とする請求項4に記載の接触感知プローブ装置。
【請求項6】
前記周波数設定器は、第1の周波数範囲で初期化周波数掃引を行うように構成されることを特徴とする 請求項3から5のいずれかに記載の接触感知プローブ装置。
【請求項7】
前記周波数設定器具は、第2の周波数範囲で微調整周波数掃引を行い、
前記第2の周波数範囲は、前記第1の周波数範囲よりも狭いことを特徴とする請求項6に記載の接触感知プローブ装置。
【請求項8】
前記微調整周波数掃引の前記第2の周波数範囲は、前に決定された前期第1の周波数を包含することを特徴とする請求項7に記載の接触感知プローブ装置。
【請求項9】
前記接触センサは、前記トランスデューサに印加される電圧と前記トランスデューサを通過する電流との間の位相差と、閾値位相差と、を比較するように構成されることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の接触感知プローブ装置。
【請求項10】
接触信号ラインを備え、
前記接触信号ラインは、前記トランスデューサに印加される電圧と前記トランスデューサを通過する電流との間の位相差が閾値位相差より低く下降するたびに、有効化されることを特徴とする請求項9に記載の接触感知プローブ装置。
【請求項11】
前記トランスデューサは、少なくとも1層の圧電材料を備えることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の接触感知プローブ装置。
【請求項12】
前記トランスデューサは、少なくとも2層の圧電材料からなる圧電スタックを備えることを特徴とする請求項11に記載の接触感知プローブ装置。
【請求項13】
前記第1の周波数は、15KHzよりも大きいことを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載の接触感知プローブ装置。
【請求項14】
前記第1の周波数は、35KHz未満であることを特徴とする請求項1から13のいずれかに記載の接触感知プローブ装置。
【請求項15】
解除可能に固定される針を備えることを特徴とする請求項1から14のいずれかに記載の接触感知プローブ装置。
【請求項16】
前記針のシャフトは、中空コアを有することを特徴とする請求項1から15のいずれかに記載の接触感知プローブ装置。
【請求項17】
前記中空コアの中に質量が保持されることを特徴とする請求項16に記載の接触感知プローブ装置。
【請求項18】
前記第1の周波数は、縦方向の針の共振モードと一致するように選択されることを特徴とする請求項1から17のいずれかに記載の接触感知プローブ装置。
【請求項19】
針に機械的に連結されたトランスデューサを備える振動プローブの設定方法であって、
(i)前記プローブの前記トランスデューサに交流電流を印加して、前記針を振動させるステップと、
(ii)前記トランスデューサに印加される電圧と、前記トランスデューサを通過する電流と、の間の位相差を監視するステップと、
(iii)接触感知動作中に前記トランスデューサを駆動する第1の周波数を決定するステップと、
を含み、
ステップ(iii)は、機械的共振を励起するが機械的共振ピークの最大値からは離れている第1の周波数を決定するステップを含むことを特徴とする振動プローブの設定方法。
【請求項20】
ステップ(iii)は、針が物体と接触したときに、前記トランスデューサに印加される電圧と前記トランスデューサを通過する電流との間の位相差の変化を最大限にするように、前記第1の周波数を選択するステップを含むことを特徴とする請求項19に記載の振動プローブの設定方法。
【請求項21】
(iv)表面との接触を検出するように前記振動プローブを動作させるステップを含み、前記動作中に、前記第1の周波数の交流駆動信号が前記トランスデューサに印加されることを特徴とする請求項19または20に記載の振動プローブの設定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−536334(P2009−536334A)
【公表日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−508471(P2009−508471)
【出願日】平成19年5月8日(2007.5.8)
【国際出願番号】PCT/GB2007/001663
【国際公開番号】WO2007/129071
【国際公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(391002306)レニショウ パブリック リミテッド カンパニー (166)
【氏名又は名称原語表記】RENISHAW PUBLIC LIMITED COMPANY