説明

接触走行摩耗特性の改善された二酸化チタン含有ポリエステル繊維及びその製造方法

【課題】熱劣化が無く、二酸化チタンが再凝集することのない高度の分散性を保ち、接糸部の損傷が少なく、工程通過性に優れ、更に色相の良好な二酸化チタン含有ポリエステル繊維及びその製造方法を提供する。
【解決手段】二酸化チタンの含有量が、0.01重量%〜70重量%の範囲にある二酸化チタン含有ポリエステル繊維であって、該二酸化チタンが下記(a)〜(i)の各要件を同時に満足する。(a)平均粒子径が0.1〜0.5μm、(b)粒子径が3μm以上の粗大粒子が5000個/0.4mg以下、(c)粒子径が4μm以上の粗大粒子が1500個/0.4mg以下。更に二酸化チタンの全重量を基準として、(d)Pを0.10〜0.30重量%、(e)KO0.01〜0.15重量%、(f)Sb元素を50ppm以下、(g)ルチル型/アナターゼ型比9×10−3以下、(h)結晶子サイズが10〜150nm、(i)実質的にFeを含有しない

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は二酸化チタン含有ポリエステル繊維に関するものであり、更に詳しくは、二酸化チタンを高濃度に添加しても、繊維が走行する接糸部の損傷が少なく、紡糸、仮撚加工、製織などの工程通過性に優れた高品質なポリエステル繊維とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にポリエステル繊維に二酸化チタン等の微粒子を含有させて、得られる繊維の表面に凹凸を付与し、表面の滑り性や、反射・屈折光等を制御することが行われている。
しかしながら、ポリエステル繊維を構成する二酸化チタン含有ポリエステル組成物を製造する際には、二酸化チタンの表面活性によってポリエステル樹脂が分解し、その分子量が低下するといった問題が発生することがある。また、二酸化チタンの粗大粒子が混入することにより成型時のフィルター詰まり、紡糸時の単糸切れ等の製造時の問題、色相斑、不透明性斑又は布帛の風合斑、染斑等の製品としての問題が発生すると共に、製品の成型または製糸工程設備の金属部が磨耗する等の工程上での問題点も発生しており、その解決手段として各種の提案がなされている。
【0003】
例えば、粗大粒子を除去する方法として、ポリエステル製造時に二酸化チタンを添加する際に、あらかじめ該二酸化チタンに対して粉砕、分級等の操作を行って粗大粒子を除去し、スラリー状あるいは液状にして添加する方法(例えば特許文献1参照。)や、製造後のポリエステルに二酸化チタンを添加し、溶融混練する場合には単軸あるいは多軸溶融混練押出機を用いてポリエステルポリマー及び二酸化チタンに剪断応力を加えて溶融混練を行う方法(例えば特許文献2参照。)、ベント付き押出機を用いてポリエステルポリマーに平均粒径0.01〜5μmの範囲にある無機粒子を、水及び/又は沸点200℃以下の有機化合物のスラリーとして添加する方法(例えば特許文献3参照。)などが提案されている。
【0004】
しかしながら、あらかじめ粗大粒子を除去する方法では、粉砕・分級操作に多大な費用や作業時間がかかる。更に、たとえこれらの除去作業を行っても、ポリエステル製造系に二酸化チタンを添加する際に、あるいは添加終了後にポリエステルポリマー内にて二酸化チタンが再凝集し、製品ポリエステル中での粗大粒子の生成を防止することは困難である。
【0005】
一方、単軸又は多軸の溶融混練押出機を用いて溶融混練する方法では、粉末中に存在する粗大粒子を単軸又は多軸押出機内で完全に粉砕するあるいは完全に混練することは非常に難しい。また、ポリエステルポリマー中に二酸化チタンを均一に分散させるために剪断応力をかけすぎると、ポリエステルポリマーの固有粘度が著しく低下する、更にあらかじめ粗大粒子を除去する方法と同様に、ポリマーと微粒子を混練押出機に供給する場合には混練工程中に二酸化チタンの再凝集を避けるのが困難である。その結果、製造工程中に生じた粗大粒子を除去することができず、満足する製品を得ることができなかった。
【0006】
これらの方法によっても、二酸化チタン添加量が低い場合には重合工程や紡糸工程における操業性の向上がある程度達成されるが、二酸化チタンを例えば1重量%以上添加したポリエステル繊維においては、二酸化チタンが繊維表面に存在するため、製糸工程、後加工工程における接糸部が磨耗しやすく、製糸時の毛羽発生、製織時の操業性悪化の原因となっている。近年、紡糸速度、仮撚加工速度、製織速度は共に高速化し、紡糸口金、糸導ガイド、仮撚装置、製織装置、筬等の損傷は無視できない重大な問題となっている。
【0007】
そこで、これらの問題を解決するために、硬度の低い無機粒子を使用する方法(例えば特許文献4参照。)や、リン元素とカリウム元素を配合した二酸化チタンを用いて損傷を抑制する方法(例えば特許文献5参照。)が提案されているが、この場合、製糸工程で色相が黄変したり、製糸性が悪化しやすいという問題点が残されている。また、複合紡糸により繊維表面層の二酸化チタン含有率を低くする方法(例えば特許文献6,7参照。)や、接糸部の損作法が小さい微粒子を使用する方法(例えば特許文献8,9参照。)が提案されているが、これらの方法ではコスト高や繊維表面層の二酸化チタンの存在を利用した風合向上効果、例えばアルカリ減量後のドレープ性等が小さくなるという問題が未解決のままとなっている。
【0008】
また、ポリエステル中での二酸化チタンの再凝集を抑制する方法として分散剤を添加する方法(例えば特許文献10参照。)が提案されているが、二酸化チタンをポリエステルに高濃度に添加した場合には、繊維が走行する接糸部の損傷の低減効果は不十分であることが判明した。
【0009】
【特許文献1】特公平1−41170号公報
【特許文献2】特開平2−263867号公報
【特許文献3】特開平3−115352号公報
【特許文献4】特公昭43−22878号公報
【特許文献5】特公昭62−40704号公報
【特許文献6】特公昭63−17925号公報
【特許文献7】特公昭63−17926号公報
【特許文献8】特開昭54−151620号公報
【特許文献9】特開昭62−184109号公報
【特許文献10】特開平10−81811号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は熱劣化が無く、組成物中においても成型品や繊維等に加工しても二酸化チタンが再凝集することなく高度の分散性を保ち、繊維が走行する接糸部の損傷が少なく、紡糸、仮撚加工、製織などの工程通過性に優れ、更に色相の良好な二酸化チタン含有ポリエステル繊維及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
すなわち本発明は、二酸化チタンの含有量が、該二酸化チタン含有ポリエステル繊維の全重量を基準として0.01重量%〜70重量%の範囲にある二酸化チタン含有ポリエステル繊維であって、該二酸化チタンが下記(a)〜(i)の各要件を同時に満足することを特徴とする二酸化チタン含有ポリエステル繊維である。
(a)平均粒子径が0.1〜0.5μmの範囲にあること。
(b)粒子径が3μm以上の粗大粒子が5000個/0.4mg以下であること。
(c)粒子径が4μm以上の粗大粒子が1500個/0.4mg以下であること。
(d)Pを二酸化チタンの全重量を基準として0.10〜0.30重量%の範囲で含有すること。
(e)KOを二酸化チタンの全重量を基準として0.01〜0.15重量%の範囲で含有すること。
(f)結晶形態がルチル型である二酸化チタンの重量をアナターゼ型である二酸化チタンの重量で除した値が9×10−3以下であること。
(g)結晶子サイズが10〜150nmの範囲にあること。
(h)実質的にFeを含有しないこと。
(i)Sb元素を二酸化チタンの全重量を基準として50ppm以下の範囲で含有すること。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、本発明による二酸化チタン含有ポリエステル繊維は、熱劣化が無く、組成物中においても成型品や繊維等に加工しても二酸化チタンが再凝集することなく高度の分散性を保ち、繊維が走行する接糸部の損傷が少なく、紡糸、仮撚加工、製織などの工程通過性に優れ、更に色相の良好なポリエステル繊維を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の第一は特定の特性を有する二酸化チタンを0.01〜70重量%含有する二酸化チタン含有ポリエステル繊維である。そのポリエステル繊維は二酸化チタン含有ポリエステル組成物から構成される。
【0014】
本発明で使用される二酸化チタンは、その平均粒径が0.1〜0.5μmの範囲にあり、3μm以上の粗大粒子が5000個/0.4mg以下、且つ4μm以上の粗大粒子が1500個/0.4mg以下であり、更にP量が二酸化チタンの全重量を基準として0.10〜0.30重量%の範囲にあり、かつKO量が二酸化チタンの全重量を基準として0.01〜0.15重量%の範囲にあることが必要である。平均粒径が0.5μmを超えると二酸化チタンの粗大粒子が増加する上、分散性が悪化し、成型時のフィルター詰まりや紡糸時の断糸が多発する。また、平均粒径が0.1μm未満であると、二酸化チタンの比表面積が大きくなるため、二酸化チタン単位重量あたりの表面活性が高くなりすぎて、ポリマーを劣化させたり、二酸化チタン粒子同士の凝集を促進するので好ましくない。また、粒子径が3μmを超える粗大粒子が5000個/0.4mgを超えるか、4μmを超える粗大粒子が1500個/0.4mgを超えるか、更にP量が二酸化チタンの全重量を基準として0.10重量%未満であるか、又はKO量が0.01重量%未満であると、二酸化チタン含有ポリエステル組成物中の粒子分散性が著しく劣るようになり、製糸工程におけるパック圧の上昇や、製糸・製膜その他成形工程においてフィルター寿命を著しく短くしたり、製糸・成形設備に対する金属磨耗が著しく悪化してしまう。一方、P量が二酸化チタンの全重量を基準として0.30重量%を超えるか、KO量が0.15重量%を超える場合には、二酸化チタン含有ポリエステル組成物の分子量の低下、組成物の色相悪化が発現することがある。詳細な理由は不明であるが、一つの原因としてアルカリ金属であるカリウムからなるKOがポリエステル組成物の分解を促進し、分子量の低下並びに色相の悪化を引き起こすと考えることができる。
【0015】
本発明において使用する二酸化チタンは、結晶形態がルチル型である二酸化チタンの重量をアナターゼ型である二酸化チタンの重量で除した値が9×10−3以下であることが必要である。該値が9×10−3を超える場合には、二酸化チタンの硬さが増し、成形・紡糸設備に対する金属磨耗が著しく悪化する。
【0016】
本発明において使用する二酸化チタンは、結晶子サイズが10〜150nmの範囲にある必要がある。該結晶子サイズが10nm未満であると、解砕処理により粒子が微細化されすぎており、必要となる平均粒子径の維持が困難である。一方、150nmを越える場合には解砕処理が困難で、処理に多大な時間を要する。
【0017】
また、本発明において、使用する二酸化チタンは実質的にFeを含有しないことが必要である。該Feを含有する場合には成形・製糸設備に対する金属磨耗が著しくなり、色相も悪化する。Feは密度が高く、その粒子表面が硬いので、金属磨耗が著しくなるものと考えられる。実質的に含有しないとは絶対的に含有していない事とは異なり、通常当業者がFeの含有の定性分析・定量分析に用いる測定機器を用いても検知できない事を表す。
【0018】
本発明においては、使用する二酸化チタンはSb元素の含有量が二酸化チタンの全重量を基準として50ppm以下である必要がある。50ppmを超えて含有する場合は、ポリエステル組成物の分子量の低下、組成物の色相悪化が発現することがある。Sb化合物はポリエステルの重合触媒として一般的に使用されているが、同時に分解活性も有しているため、ポリエステル組成物の分解を促進し、分子量の低下並びに色相の悪化(特に黄色味の増加)を引き起こすと考えることができる。このために二酸化チタン中のSb元素含有量を減らす事は、分子量の低下及び色相悪化の抑制のために有効であると考えられる。
【0019】
これらの要件の中で好ましくは平均粒径が0.2〜0.35μmであること、3μm以上の粗大粒子が1500個/0.4mg以下であること、KO量が0.02〜0.08重量%であること、強熱減量率が0.25重量%以下であること、ルチル/アナターゼ比が1.0×10−3以下、より好ましくは0.5×10−3以下であること、の少なくともいずれか1つの項目を満たすことであり、より好ましくは複数の項目を満たすことである。
【0020】
また本発明において二酸化チタン含有量がポリエステル繊維全重量を基準として0.01重量%未満であるとポリエステル繊維としての色相の改善効果が発現しないことがあり、70重量%を超えると含有量が多すぎて、ポリエステル中での分散性が悪化することがある。好ましくは0.1重量%〜60重量%である。
【0021】
本発明において、ポリエステル繊維を構成する二酸化チタンを含有させるポリエステル組成物を構成するポリエステルとは、ジカルボン酸及び/又はそのエステル形成性誘導体並びにジオールとから合成される線状飽和ポリエステルであって、汎用樹脂としての物性を失わない範囲で目的に応じて他の成分が共重合されていてもよい。
【0022】
本発明の別の1つは、ポリエステル繊維の製造方法である。まず、そのポリエステル繊維の製造方法に用いるのに好ましい二酸化チタンスラリーについて説明する。それは上記の二酸化チタンと、水及び/又は沸点が50〜240℃の範囲にある有機化合物である分散媒とならなる二酸化チタンスラリーである。そのスラリーは二酸化チタンがスラリーの全重量を基準として20〜70重量%含有し、該スラリーの粘度が常温で100mPa・s以下であることを特徴とする。スラリー濃度が20重量%未満では、ポリエステル製造時に所定量の二酸化チタンを添加するために多量のスラリーを供給せねばならず、スラリーの分散媒によりポリエステル製造装置の内温低下に伴う固有粘度、ジエチレングリコールその他の副生物の含有量ばらつきが大きくなる他、経済的にも好ましくない。70重量%を超えるとスラリーの粘度を100mPa・s以下に保つことが困難になり、スラリーの流動性が悪化して送液配管中での二酸化チタンの沈降、配管閉塞を誘起したり、ポリエステル組成物中での均一分散が困難になり、好ましくない。
【0023】
ここで、水及び/又は沸点が50〜240℃の範囲にある有機化合物としては、水、メタノール、エタノール、エチレングリコール若しくは1,4−ブタンジオール等のアルコール類、ベンゼン、トルエン若しくはキシレン等の芳香族有機化合物、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン若しくは2−メチル−1,3−ジオキソラン等のエーテル類、その他エステル類、ケトン類又はアミン類等を挙げることができるが、特に制限されるものではない。しかし、スラリーとして添加した後、後に行う分散媒の除去の容易性から、水、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール又はテトラヒドロフランを用いることが好ましく、ハンドリング性、安全性、コストの観点から水が最も好ましい。該スラリーの分散媒は一種を用いても、二種以上の混合分散媒を用いても構わない。
【0024】
分散媒として用いる有機化合物の沸点が50〜240℃の範囲を外れると、分散媒が揮発しやすいため、スラリー中の二酸化チタンの濃度を一定保つのが困難であったり、ポリエステル組成物を製造する工程内で用いる際に分散媒を後で除去するのが困難になるため好ましくない。この点は又後述する。
【0025】
更に、二酸化チタンが均一に分散しているスラリーを得るために、本発明の目的を奏する範囲内であれば各種の添加剤を用いてもよく、該添加剤としては、ポリスチレンスルホン酸ソーダ、カルボキシメチルセルロース若しくはポリビニルアルコール等の保護剤、水酸化ナトリウム若しくはヘキサメタリン酸ナトリウム等のナトリウム塩、テトラメチルアンモニウムクロライド若しくはテトラエチルアンモニウムヒドロキサイド等のオニウム化合物、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム若しくはラウリル硫酸ナトリウム等のアニオン系界面活性剤又はポリエチレングリコールモノステアレート等のノニオン系界面活性剤等を挙げることができる。
【0026】
次に本発明の二酸化チタン含有ポリエステル繊維に用いる二酸化チタン含有ポリエステル組成物の製造方法について述べる。
本発明において、上述のように二酸化チタンを含有させるポリエステル組成物を構成するポリエステルとは、ジカルボン酸及び/又はそのエステル形成性誘導体並びにジオールとから合成される線状ポリエステルであって、汎用樹脂としてその物性を損なわない範囲で目的に応じて他の成分が共重合されていても良い。
【0027】
ジカルボン酸及び/又はそのエステル形成性誘導体として、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、無水フタル酸、5−リチウムスルホイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−カリウムスルホイソフタル酸、5−テトラメチルホスホニウムスルホイソフタル酸、5−テトラエチルホスホニウムスルホイソフタル酸、5−テトラプロピルホスホニウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムスルホイソフタル酸、テレフタル酸ジメチル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、2,7−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル、アジピン酸ジメチル、セバシン酸ジメチル、フタル酸ジメチル、5−リチウムスルホイソフタル酸ジメチル、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル、5−カリウムスルホイソフタル酸ジメチル、5−テトラメチルホスホニウムスルホイソフタル酸ジメチル、5−テトラエチルホスホニウムスルホイソフタル酸ジメチル、5−テトラプロピルホスホニウムスルホイソフタル酸ジメチル又は5−テトラブチルホスホニウムスルホイソフタル酸ジメチル等を挙げることができる。またエステル形成性誘導体としては、上記のようなジメチルエステルその他の低級アルキルエステル以外に、ジフェニルエステル、酸塩化物、酸臭化物を用いても良い。これらの中でも特に、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸ジメチル又は2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルを用いることが好ましい。
【0028】
また、ジオールとして、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチレングリコール)、ジプロピレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジメタノール、ジメチロールプロピオン酸、ポリ(エチレンオキシド)グリコール又はポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール等を挙げることができ、特にエチレングリコール、トリメチレングリコール又は1,4−ブタンジオールを用いることが好ましい。
これらのジカルボン酸及び/又はそのエステル形成性誘導体並びにジオールはそれぞれ1種ずつを単独で用いても、2種以上を併用してもどちらでもよい。
【0029】
尚本発明において用いる該ポリエステルには、トリメリット酸、トリメシン酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸若しくはトリメリット酸モノカリウム塩などの多価カルボン酸、グリセリン、ジメチロールエチルスルホン酸ナトリウム若しくはジメチロールプロピオン酸カリウム等の多価ヒドロキシ化合物又はp−ヒドロキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸を、本発明の目的を達成する範囲内であれば共重合してもよい。
【0030】
本発明の繊維の製造方法に用いるポリエステル組成物には通常ポリエステルの製造時に通常用いられるリチウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、マンガン、亜鉛、アンチモン、ゲルマニウム若しくはチタン等の金属化合物触媒、着色防止剤としてのリン化合物又はその他のポリエステルの改質に用いられる不活性粒子や有機化合物等を本発明の目的を奏する範囲内で含んでいてもよい。
【0031】
本発明の繊維の製造方法における二酸化チタン含有ポリエステル組成物の製造としては、ジカルボン酸及び/又はそのエステル形成性誘導体と、ジオールとをエステル化及び/又はエステル交換反応させ、次いで重縮合反応を行ってポリエステルポリマーを製造する際に、エステル化及び/又はエステル交換反応終了後から重合反応完結前の任意の段階で、下記(a’)〜(i’)の各要件を同時に満足する二酸化チタンを、二酸化チタンの含有量が、該二酸化チタン含有ポリエステル繊維の全重量を基準として0.01重量%以上70重量%以下になるように添加することにより製造することができる。該二酸化チタンは、上述した該二酸化チタンをそのまま粉体状で添加しても良いし、該二酸化チタンと、水及び/又は沸点が50〜240℃の範囲にある有機化合物である分散媒からなるスラリーを用いて添加しても良いが、取り扱いが容易な事、反応機内への分散が容易な点から該スラリーを用いて添加することが好ましい。添加する手法としては通常の器の形状の反応機で重合反応を行う場合には反応の完結前までにその反応器に投入すればよいし、エクストルーダーのような混練機中で重合反応を行う際には機内で反応が開始する前に投入すればよい。
(a’)平均粒子径が0.1〜0.5μmの範囲にあること。
(b’)粒子径が3μm以上の粗大粒子が5000個/0.4mg以下であること。
(c’)粒子径が4μm以上の粗大粒子が1500個/0.4mg以下であること。
(d’)Pを二酸化チタンの全重量を基準として0.10〜0.30重量%の範囲で含有すること。
(e’)KOを二酸化チタンの全重量を基準として0.01〜0.15重量%の範囲で含有すること。
(f’)結晶形態がルチル型である二酸化チタンの重量をアナターゼ型である二酸化チタンの重量で除した値が9×10−3以下であること。
(g’)結晶子サイズが10〜150nmの範囲にあること。
(h’)実質的にFeを含有しないこと。
(i’)Sbを二酸化チタンの全重量を基準として、50ppm以下であること。
【0032】
また上述の二酸化チタンを、水及び/又は沸点が50〜240℃の範囲にある有機化合物を分散媒とするスラリー状態で添加する場合に、分散媒の沸点が50℃未満だと室温での蒸発散逸が激しく、スラリー濃度の変化や気化した蒸気により作業環境を悪化させるため好ましくない。分散媒の沸点が240℃を越えると分散媒を気化させて反応器からの脱気することが困難となる。ここで分散媒の気化を促進させるため、反応器の温度を上げるとポリエステル樹脂の劣化を促進するため、好ましくない。特にポリエステル樹脂組成物の全重量を基準として二酸化チタンを5〜70重量%含有しているポリエステル樹脂組成物、すなわち比較的高濃度の二酸化チタン含有ポリエステル樹脂、いわゆるマスターバッチと称するポリエステル樹脂を製造しこれを繊維の製造に用いる際には、押出機へ供給されたポリエステル樹脂へ二酸化チタンを添加する時、ノズルを通じて二酸化チタンスラリーの水スラリーを液体状態で添加する方法等が好適に実施される。
【0033】
二酸化チタンと水及び/又は沸点が50〜240℃の範囲にある有機化合物とのスラリーは単独で用いても、二種類以上を混合して用いてもよく、これらは常法に従って調製することができる。例えば一例を挙げると、上述の範囲の重量になるように二酸化チタン並びに水及び/又は有機化合物を計量する。次に水及び/又は有機化合物に対して二酸化チタンを投入し、高速回転可能な撹拌機にて激しく撹拌を行うことによりスラリーを製造することができる。また、スラリー濃度については、特に制限されないが、計量のハンドリング性等を考慮し、スラリーの全重量を基準として、二酸化チタンの重量が20〜70重量%程度に設定すればよい。
【0034】
さらにスラリー調製後に二酸化チタンの粉砕処理等を行うことも好ましい。即ち、二酸化チタン粒子を水及び/又は沸点50〜240℃の範囲にある有機化合物とのスラリーとした後、粉砕又は解砕し、更に分級処理を加えても良いし、逆に、分級処理後に粉砕又は解砕しても良い。また乾式で粉砕又は解砕し、更に分級処理を加えるか、粉砕又は解砕単独の処理を行うか、分級処理単独の処理を行った後、水及び/又は沸点が50〜240℃の範囲にある有機化合物とのスラリーとしてもよい。あるいは、乾式と湿式とを適宜組み合わせても良く、例えば、乾式で粉砕した粒子をスラリー化した後、湿式にて分級処理を行う、乾式にて解砕及び/又は分級処理を行った後に湿式にて粉砕処理を行う等の方法を任意に採用すればよい。
【0035】
さらに本発明のポリエステル組成物を溶融紡糸し本発明のポリエステル繊維を得るにあたっては、格別の方法、条件を採用する必要はなく、任意の方法、条件で良い。従って溶融紡糸後、別工程にて延伸する方法、双方を同一の装置で行う方法、或いは高速紡糸により延伸工程を別に経ることなくポリエステル繊維を得ることができる。上述した製造方法を採用することによって、二酸化チタン含有ポリエステル繊維を製造する際の、該二酸化チタンの分散、再凝集、熱劣化による品質低下、色相悪化等の問題を解消し、作業性も改善することができる。また得られた繊維は上述のような二酸化チタンの物性により、繊維が走行する接糸部の損傷が少なく、紡糸、仮撚加工、製織などの工程通過性に優れる。
【実施例】
【0036】
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれにより何等限定を受けるものではない。尚、実施例中における各特性の測定は以下の方法で行った。また本発明の特徴である上述の(a)〜(i)、又は(a’)〜(i’)の特性を満たす二酸化チタンとしては堺化学(株)製「SA−1」(商品名)を購入して、或いはこれを上述のような手法にて粉砕、解砕、分級して用いた。
【0037】
(1)二酸化チタンの平均粒径:
(1)−1試料調製方法:
購入してきた二酸化チタンから上述のような手法により二酸化チタンスラリーを調製した。次に五十嵐機械社製サンドグラインダー(8ガロン容)に解砕用メディアとして東芝バロディーニ製「EGB−200MM」(商品名)を充填し、スラリー流量を所定の流量で一定量になるように供給し、2回の粉砕処理を行った。その際に平均粒径が大きい水準は解砕用メディアの充填量を少なくすることによって調製した。また粗大粒子量は粉砕処理時のスラリー流量を増減し、滞留時間を変えることにより調製した。そのスラリーを流量130L/hで日本ポール製「ポールフィルターR1F060」(公称目開き6μm)又はポールフィルターR1F100(公称目開き10μm)を用いて濾過を行い、調製した。
【0038】
(1)−2測定方法:
島津製作所製「CP−50型Centrifugal Particle Size Analyzer」を用いて測定した。次いで、この測定器によって得られる遠心沈降曲線をもとに算出した各粒径の粒子とその存在量とのcumulative曲線から、50mass percentに相当する粒径を読み取り、この値を上記平均粒径とした(参照「粒度測定技術」、242〜247頁、日刊工業新聞社、1975年発行。)。
【0039】
(2)結晶子サイズ:
二酸化チタンのX線回折の2θ=24.5°〜26.0°にあたる結晶(101)面の回折ピークを2つのガウス関数でフィッティングし、その2つの合成関数から、ピーク位置、半値幅を求めて、Sherrerの式から結晶子のサイズを求めた。
【0040】
(3)スラリー中の粗大粒子:
(3)−1試料調製方法:
上述の(2)−1の項参照。
(3)−2測定方法:
コールター・エレクトロニクス社製「コールターマルチサイザーTA−II型」を用いて測定される粒子体積分布を球相当径に換算して求めた。
【0041】
(4)スラリーの粘度測定:
調製した二酸化チタンスラリーを定法に従いB型粘度計にて測定した。
【0042】
(5)固有粘度([η]):
1,1,2,2−テトラクロルエタン40重量部とフェノール60重量部の混合溶媒中に試料を溶解して定法に従って35℃にて測定した。
【0043】
(6)ポリエステル組成物の濾過昇圧:
ポリエステル組成物中の二酸化チタン粗大粒子を評価するため、下記のように濾過昇圧速度を評価した。小型1軸スクリュータイプ押出機の溶融ポリマー出側にポリマー定量供給装置を取り付け、更にその出側に内径64mmφの2400メッシュ金網フィルターを2枚重ねて装着した。次いで、溶融ポリマーの温度を290℃一定となるようにコントロールし、ポリマー流量が33.3g/minの速度となるようにポリマーを10時間連続して濾過する。この時のフィルター入側の圧力上昇値の平均値をもって、濾過圧力上昇速度(濾過昇圧)とした。尚、評価は以下の判定基準に従い、特級及び1級のみが実用に供することができる。
特級:濾過圧力上昇速度が、0.5MPa/h以下である。
1級:濾過圧力上昇速度が、0.5MPa/hを超え〜1.0MPa/h以下である。
2級:濾過圧力上昇速度が、1.0MPa/hを超え〜2.0MPa/h未満である。
3級:濾過圧力上昇速度が、2.0MPa/h以上である。
【0044】
(7)ポリエステル組成物中の二酸化チタン分散性:
ポリマー50mgを2枚のカバーグラス間にはさんで280℃で溶融プレスし、急冷したのち、位相差顕微鏡を用いて観察し、画像解析装置「ルーゼックス500」で顕微鏡像内の最大長が5.0μm以上の粒子数をカウントした。尚、評価は下記の判定基準に従い、特級及び1級のみが実用に供される。
特級:5.0μmをこえる粒子が全く見当らない。
1級:5.0μmをこえる粒子数が5個/mm未満である。
2級:5.0μmをこえる粒子数が5〜10個/mmである。
3級:5.0μmをこえる粒子数が10個/mmを超える。
【0045】
(8)ポリエステル組成物の色相:
ポリエステル組成物の濾過昇圧評価時の吐出ポリマーをプレート上にサンプリングし、140℃×2hrの条件にて結晶化させた後、ミノルタ社製カラーマシン「CR−50」を用いて測定し、Hunter図の色度図法によりLab表示で色相を得て、L−bを計算した。尚、熱劣化の評価は以下の判定基準に従って行い、評価は[L−b値]及び[b値]の2段階での評価を実施した。両方の評価共に特級及び1級のみが実用に供される。
[L−b値]
特級:(L−b)値が68以上である。
1級:(L−b)値が63以上68未満である。
2級:(L−b)値が58以上63未満である。
3級:(L−b)値が58未満である。
[b値]
特級:b値が2.0以下である。
1級:b値が2.0以上2.3未満である。
2級:b値が2.3以上2.5未満である。
3級:b値が2.5以上である。
【0046】
(9)ポリエステル繊維の色相:
ポリエステル組成物を溶融紡糸した際に得たポリエステル繊維を常法により筒編とした後、編地を4枚重ね合わせ、目視観察にて下記の3段階の評価を行った。実用に供されるのは「○」判定のものが望ましい。
○:黄色味がない。
△:やや黄色味がある。
×:黄色味が強い。
【0047】
(10)金属摩耗性:
二酸化チタン含有ポリエステル組成物から調製した繊維サンプル(二酸化チタン含有率が繊維重量を基準として2.5重量%となるように調製)を、直径0.25mmの銅導線に張力2.5cNとなるように接触させつつ500m/分の速度で走行させて、銅導線が破断するまでの時間を測定し金属摩耗性を評価した。尚、評価は下記の判定基準に従い、特級及び1級のみを実用に供することができる。
特級:銅線が破断するまでの時間が60秒以上である。
1級:銅線が破断するまでの時間が50秒以上60秒未満である。
2級:銅線が破断するまでの時間が40秒以上50秒未満である。
3級:銅線が破断するまでの時間が40秒未満である。
【0048】
(11)Fe、P、KO、Sbの含有量の測定:
対応する元素を蛍光X線(リガク電機工業(株)社製ZSX100e)を用いて測定を行った。
【0049】
(12)ルチル/アナターゼ比
リガク電機工業(株)社製「RIGAKU RINT TTR(III)」を用いて測定を行った。
【0050】
[実施例1]
表1に示す二酸化チタンを200kg、エチレングリコールを800kgを混合し、1.2mmビーズを30L投入した五十嵐機械製サンドグラインダーで200L/hで分散させ、二酸化チタンスラリーを得た。得られたスラリーの粘度を表2に示す。なおこの条件でサンドグラインダー処理を行っても、処理前後において二酸化チタンの平均粒径、粗大粒子量の値の変化はなかった。
【0051】
次にジメチルテレフタレート100重量部とエチレングリコール70重量部とを用い、酢酸マンガン・4水和物0.038重量部を触媒として常法に従ってエステル交換反応により生成したオリゴマーに、リン酸トリメチル0.025重量部を添加し、15分間反応させてから三酸化アンチモン0.045重量部を添加し、更に表1に示す特性を有する二酸化チタンを、二酸化チタンの含有量が二酸化チタン含有ポリエステル組成物の2.5重量%になるように、上述の二酸化チタンスラリーを用いて添加した。その後、内温を250℃から290℃に昇温して133Pa以下の減圧下で3時間重縮合反応させて、[η]が0.64dL/gの二酸化チタン含有ポリエステル組成物を得た。定法に従い溶融紡糸法により製糸を行い、ポリエステル繊維を得た。評価結果を表2に示す。
【0052】
[実施例2]
実施例1において、添加する二酸化チタンの物性を表1に記載した通りのものと変更すること以外は同様の操作を行い、二酸化チタンスラリーを用いて二酸化チタン含有ポリエステル組成物を製造し、さらに溶融紡糸法により製糸を行い、ポリエステル繊維を得た。評価結果を表2に示す。
【0053】
[実施例3および比較例1〜7]
表1に示す二酸化チタンを600kg、水を400kgを混合し、1.2mmビーズを30L投入した五十嵐機械製サンドグラインダーで200L/hで分散させた二酸化チタンスラリーを得た。得られたスラリーの粘度を表2に示す。なおこの条件でサンドグラインダー処理を行っても、処理前後において二酸化チタンの平均粒径、粗大粒子量の値の変化はなかった。
【0054】
チップ投入口を1箇所、スラリー添加ノズルを1箇所、常圧ベントをスラリー添加ノズルの前後に各1箇所及び真空ベントを2箇所設けた神戸製鋼製二軸押出機KTX−73に、二酸化チタンを含まない固有粘度0.65dL/gのポリエステルチップ40kg/hと表1にそれぞれ示した二酸化チタンの60%水スラリーを45kg/hの速度にて供給した。水分を開放ベント(常圧ベント)より排出しながら、真空ベントにより押出機内部を133Pa以下に保ち、スクリュー回転数250rpmでポリエステルと二酸化チタンとを混練し、二酸化チタン含有量40%のポリエステル組成物を得た。さらに実施例1と同様の手法により製糸を行い、ポリエステル繊維を得た。結果を表2に示す。
【0055】
【表1】

【0056】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明によれば、色相の良好な二酸化チタン含有ポリエステル繊維を得ることができる。該ポリエステル繊維は、熱劣化がなく繊維の後加工等においても、二酸化チタンが再凝集することなく高度の分散性を保ち、その結果得られるポリエステル繊維及び繊維製品は不透明性の斑が少ない。さらに、得られる繊維が走行する接糸部の損傷が少なく、紡糸、仮撚加工、製織などの工程通過性に優れた、長時間の使用に耐えうる高品質なポリエステル繊維及び繊維製品を得ることができ、その工業的な意義は大きい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化チタンの含有量が該二酸化チタン含有ポリエステル繊維の全重量を基準として0.01重量%〜70重量%の範囲にある二酸化チタン含有ポリエステル繊維であって、該二酸化チタンが下記(a)〜(i)の各要件を同時に満足することを特徴とする二酸化チタン含有ポリエステル繊維。
(a)平均粒子径が0.1〜0.5μmの範囲にあること。
(b)粒子径が3μm以上の粗大粒子が5000個/0.4mg以下であること。
(c)粒子径が4μm以上の粗大粒子が1500個/0.4mg以下であること。
(d)Pを二酸化チタンの全重量を基準として0.10〜0.30重量%の範囲で含有すること。
(e)KOを二酸化チタンの全重量を基準として0.01〜0.15重量%の範囲で含有すること。
(f)結晶形態がルチル型である二酸化チタンの重量をアナターゼ型である二酸化チタンの重量で除した値が9×10−3以下であること。
(g)結晶子サイズが10〜150nmの範囲にあること。
(h)実質的にFeを含有しないこと。
(i)Sb元素を二酸化チタンの全重量を基準として50ppm以下の範囲で含有すること。
【請求項2】
二酸化チタン含有ポリエステル繊維の製造方法において、ポリエステルポリマーを製造する任意の段階で下記(a’)〜(i’)の各要件を同時に満足する二酸化チタンを二酸化チタン含有ポリエステル組成物に対して0.01重量%以上70重量%以下になるように添加した後、溶融紡糸をすることを特徴とする二酸化チタン含有ポリエステル繊維の製造方法。
(a’)平均粒子径が0.1〜0.5μmの範囲にあること。
(b’)粒子径が3μm以上の粗大粒子が5000個/0.4mg以下であること。
(c’)粒子径が4μm以上の粗大粒子が1500個/0.4mg以下であること。
(d’)Pを二酸化チタンの全重量を基準として0.10〜0.30重量%の範囲で含有すること。
(e’)KOを二酸化チタンの全重量を基準として0.01〜0.15重量%の範囲で含有すること。
(f’)結晶形態がルチル型である二酸化チタンの重量をアナターゼ型である二酸化チタンの重量で除した値が9×10−3以下であること。
(g’)結晶子サイズが10〜150nmの範囲にあること。
(h’)実質的にFeを含有しないこと。
(i’)Sb元素を二酸化チタンの全重量を基準として50ppm以下の範囲で含有すること。
【請求項3】
二酸化チタンを添加する際に、下記(a)〜(i)の各要件を同時に満足する二酸化チタンと、水及び/又は沸点が50〜240℃の範囲にある有機化合物である分散媒とからなるスラリーであって、二酸化チタンがスラリーの全重量を基準として20〜70重量%含有し、常温でのスラリーの粘度が100mPa・s以下である二酸化チタンスラリーを用いる請求項2記載の二酸化チタン含有ポリエステル組成物及び繊維の製造方法。
(a)平均粒子径が0.1〜0.5μmの範囲にあること。
(b)粒子径が3μm以上の粗大粒子が5000個/0.4mg以下であること。
(c)粒子径が4μm以上の粗大粒子が1500個/0.4mg以下であること。
(d)Pを二酸化チタンの全重量を基準として0.10〜0.30重量%の範囲で含有すること。
(e)KOを二酸化チタンの全重量を基準として0.01〜0.15重量%の範囲で含有すること。
(f)結晶形態がルチル型である二酸化チタンの重量をアナターゼ型である二酸化チタンの重量で除した値が9×10−3以下であること。
(g)結晶子サイズが10〜150nmの範囲にあること。
(h)実質的にFeを含有しないこと。
(i)Sb元素を二酸化チタンの全重量を基準として50ppm以下の範囲で含有すること。

【公開番号】特開2008−95228(P2008−95228A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−277386(P2006−277386)
【出願日】平成18年10月11日(2006.10.11)
【出願人】(302011711)帝人ファイバー株式会社 (1,101)
【Fターム(参考)】