説明

揚げカス処理装置

【課題】揚げカスによって油搾出孔が詰まった場合に、ケース部全体を取り外すことなく清掃できるようにする。
【解決手段】揚げカスが投入されるホッパー部と、該ホッパー部から揚げカスが供給されると共に、油搾出孔12と揚げカス排出口13を備えたケース部14と、該ケース部14内を進退動可能な圧縮スライド部とを有する。ケース部14は、油搾出孔12を形成すると共に基台21に着脱可能に設けられる底板部23と、圧縮スライド部の前部が密挿されるように底板部23を覆うケース本体部24とを備える。底板部23は、その一方を基台21側に設けた鉤型の係止受け部25に係止されると共に、他方に基台21側に係止するピン26を挿入して着脱可能に固定される。底板部23を基台21に着脱可能に設けたことで、油搾出孔12が目詰まりしたような場合には、ケース部14全体ではなく、ケース本体部24を除いた油搾出孔12が形成された底板部23を取り出して簡単に清掃することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天ぷら揚げカス,フライ揚げカス,その他の揚げカスを、縮減すると共に含有油を分離,搾出する、揚げカス処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来技術の図14,15に示すように、従来、揚げカスAを、縮減すると共に油Bを分離,搾出する、揚げカス処理装置1は、揚げカスAが投入されるホッパー部11と、該ホッパー部11から揚げカスAが供給されると共に、油搾出孔12と揚げカス排出口13を備えたケース部14と、該ケース部14内を進退動可能な圧縮スライド部15と、駆動装置16とを有している。
【0003】
ケース部14は、上面に形成されて該ホッパー部11下に位置する揚げカス供給口17と、下面に多数形成された該油搾出孔12と、一側面の揚げカス排出口13と、圧縮スライド部15用の他側面のスライド口18と、を備えている。揚げカス排出口13の内側には開口面積が次第に狭まるように傾斜部13Aが形成されている。
【0004】
そして、圧縮スライド部15は、肉厚板状をなし、スライド口18を介し前部が該ケース部14内に密挿され、ケース部14内を後退位置Xと前進位置とに順次交互に進退動可能であり、後退位置Xでは、揚げカス供給口17を開放して、該揚げカスAを該ホッパー部11からケース部14内に供給可能とし、前進位置Yでは、揚げカス供給口17を閉鎖すると共に、揚げカスAをケース部14内で圧縮,縮減して、該揚げカス排出口13から排出させる。
【0005】
また、ホッパー部11は、撹拌機19を下部内に備えており、該撹拌機19が、投入された該揚げカスAを攪拌して散積状態とする。
【0006】
ケース部14の油搾出孔12は、該揚げカス供給口17下のエリアを中心に多数形成されており、ケース部14内に供給された揚げカスA中に含有されていた油Bが、分離,搾出,流下され、もって下方に配設された油回収容器(図示せず)に回収される。
【0007】
ケース部14の揚げカス排出口13は、圧縮,縮減されると共に該油Bが分離,搾出された該揚げカスAが、圧縮スライド部15の前進位置において排出され、もって下方に配設された揚げカス回収容器に回収されるものである。また、従来のこの種のものでは、ホッパー部には、攪拌機を下部内に備えており、攪拌機が、投入された揚げカスを攪拌して散積状態とするもので、この攪拌機は、圧縮スライド部の後部から立設されたシャフトと、該シャフトの往復直線運動を往復回転運動に変換するラックとピニオンと、ピニオンに固定された攪拌機の駆動軸と、駆動軸に設けられた攪拌機の攪拌翼とを有しているものである(例えば特許文献1)。
【0008】
このような揚げカス処理装置によって、投入された天ぷら揚げカス,フライ揚げカス,その他の揚げカスを、圧縮,縮減して、排出,回収可能となり、スーパーマーケットの厨房や天ぷら屋,トンカツ屋,その他の洋食屋等では、調理に際し大量に発生した揚げカスを、このように圧縮,縮減することにより、置き場所に困ることなく、集めて保管することができる、というものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2005−13802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、従来技術においては、ホッパー部11から揚げカスAが供給されるケース部14には油搾出孔12と揚げカス排出口13が設けられるものであるが、揚げカスAによって油搾出孔12が詰まった場合には、ケース部14全体を取り外して油搾出孔12を清掃しなければならない。このため、油搾出孔12の清掃は、重いケース部14を油まみれの手で外し、再び取り付けなければならないという問題がある。
【0011】
さらに、従来技術においてはホッパー部の攪拌機は、ラックとピニオンを介在するものであるが、揚げカス処理装置1の洗浄のため分解しなければならないためにラック側とピニオン側とが分解できるようになっており、このため組み立てたときにラックとピニオンとの噛み合わせ調整が困難となるおそれがあった。
【0012】
解決しようとする問題点は、揚げカスによって油搾出孔が詰まった場合に、ケース部全体を取り外すことなく清掃できる点である。また、揚げカスが揚げカス排出口に詰まるようになると、この詰りを回避できるようにする点である。さらに、ホッパー部などを分解したときなどであっても、圧縮スライド部の駆動源としたホッパー部の攪拌機を簡単に分解、組み立てできるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1の発明は、揚げカスが投入されるホッパー部と、該ホッパー部から前記揚げカスが供給されると共に、油搾出孔と揚げカス排出口を備えたケース部と、該ケース部内を進退動可能な圧縮スライド部とを有し、
前記ケース部は、前記油搾出孔を形成すると共に基台に着脱可能に固定される底板部と、前記圧縮スライド部の前部が密挿されるように前記底板部又は前記基台を覆うケース本体部とを備え、前記ケース部の前記ホッパー部下に位置する揚げカス供給口、一側面に揚げカス排出口を設けると共に、前記ケース部の他側面に前記圧縮スライド部用のスライド口を備え、
前記底板部は、その一方を前記基台側に設けた鉤型の係止受け部に係止されると共に、他方に前記基台側に係止するピンを挿入して着脱可能に固定され、
前記圧縮スライド部は、肉厚板状をなし、前記スライド口を介し前部が該ケース部内に密挿され、該ケース部内をモータを介して後退位置と前進位置とに順次交互に進退動可能に設けられていることを特徴とする揚げカス処理装置である。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、底板部を着脱可能に設けたことで、油搾出孔が目詰まりしたような場合には、ケース部全体ではなく、係止受け部、ピンによる底板部の固定及びその解除を簡単に行うことができるので、油搾出孔が形成された底板部を取り出して簡単に清掃することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施例1を示す圧縮スライド部まわりの押圧部材を開いた状態の斜視図である。
【図2】同圧縮スライド部まわりの押圧部材を閉じた状態の斜視図である。
【図3】同圧縮スライド部まわりの分解斜視図である。
【図4】同調整片まわりの断面図である。
【図5】同ホッパーまわりの斜視図である。
【図6】同ホッパーを除いた状態の斜視図である。
【図7】同回転撹拌アームの回転中心軸まわりの斜視図である。
【図8】本発明の実施例2を示す分解斜視図である。
【図9】同回転撹拌アームの回転中心軸まわりの斜視図である。
【図10】本発明の実施例3を示す回転撹拌アームの回転中心軸まわりの斜視図である。
【図11】同要部の平面図である。
【図12】本発明の実施例3を示す斜視図である。
【図13】本発明の実施例3を示す斜視図である。
【図14】従来技術を示す圧縮スライド部が前進位置にある断面図である。
【図15】同圧縮スライド部が後退位置にある断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照して説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【実施例1】
【0017】
実施例1を示す図1〜7において、前記従来技術と同様な部分は同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。揚げカス処理装置1は、揚げカスAが投入されるホッパー部11と、該ホッパー部11から該揚げカスAが供給されると共に、油搾出孔12と揚げカス排出口13を備えたケース部14と、該ケース部14内を進退動可能な圧縮スライド部15とを有している。これらは、機枠やフレーム等と称する基台21に設けられている。
【0018】
前記ケース部14は、基台21の上面21Aの一部を形成する左右一対の支持部であるアングル22上に設けられており、油搾出孔12を形成し基台21のアングル22上に着脱可能に設けられる底板部23と、圧縮スライド部15の前部が密挿されるように底板部23を覆って油搾出孔12を覆うことができる側面が倒コ字形状のケース本体部24とを備える。前記ケース本体部24のホッパー部11下に位置する揚げカス供給口17を備えている。そして、ケース部14の一側面に揚げカス排出口13を設けると共に、ケース本体部24の他側面に圧縮スライド部15用のスライド口18を備えている。なお、油搾出孔12は揚げカスAよりも小さい直径を有する円形孔形状や、揚げカスAよりも小さい横幅を有するスリット形孔形状など揚げカスの種類により各種形状が可能である。
【0019】
そして、アングル22への底板部23の固定においては、底板部23の配置位置の一方である他側は、スライド口18側の左右両側に鉤型の係止受け部25が上面21Aに設けられて、この係止受け部25に底板部23の他側縁23Aの左右両側が着脱可能に係止されている。この係止受け部25に対向するように底板部23の配置位置の他方である一側、すなわち揚げカス排出口13側となる底板部23の一側には固定用のストッパー用のピン26が設けられている。前記係止受け部25はアングル22の上面より上方へ固定状態で突設する上向き部25Aと、この上向き部25Aの上部から一側に向けて突設する横向き部25Bからなり、この横向き部25Bとアングル22の上面との間には、底板部23が嵌合するように該底板部23の厚みと等しい隙間25Cが形成されている。前記ピン26は、下部軸部26Aの上部26Bに径大となる摘み部が形成されており、上部26Bより径小で下部軸部26Aが上下方向に貫通する第1の貫通部26Cが底板部23の一側左右に形成され、さらにこの第1の貫通部26Cと同軸上になるようにアングル22に上下方向に貫通する第2の貫通部26Dが形成されている。尚、図中26Eは底板23の一側縁23Bが係止可能なストッパー用突起であって、上面23A上において、隙間25Cから突起26Eまでの長さは、他側縁23Aと一側縁23Bの長さに等しく形成されている。
【0020】
また、ケース本体部24を底板部23上に当接して固定するために、ケース本体部24の上面に押圧部材27を設ける。この押圧部材27はケース本体部24の上面を左右に架設するように設けられ、剛性を有するように肉厚な金属材料であって、その取り付けは、ケース本体部24の左右に第1の支柱部28と第2の支柱部33を底板部23からそれぞれ立設し、そして、第1の支柱部28に押圧部材27の横方向の一端が軸30を介して起伏可能に回動自在に設けられている。一方、第2の支柱部33は、雄螺子軸によって形成されており、その下部側である基端が雌螺子部材29に螺合しており、この雌螺子部材29は底板23に軸31を介して起伏するように回動自在に連結しており、第2の支柱部33の上部側である先端に径大となる頭部33Aが設けられている。さらに、押圧部材27における第2の支柱部33と対向する側面に、該第2の支柱部33が挿入可能な凹部27Aが上下方向に形成されており、この凹部27Aの開口は第2の支柱部33に対向して形成されている。
【0021】
基台21を形成する左右一対のアングル22の一方に前記スライド口18に対向して駆動装置16が設けられる。この駆動装置16においてはアングル22間の下部に装着した駆動用のモータ37と、該モータ37のモータ軸(図示せず)に連結された減速用や方向転換用の歯車群(図示せず)と、該歯車群に基端部が固定された第1のシャフト38と、支持板36上を摺動して圧縮スライド部15の後部に湾曲形成され、第1のシャフト38の先端部が移動可能に挿入されたガイド穴39とを備えている。そして第1のシャフト38の回転運動がガイド穴39にて往復直線運動に変換され、これにより圧縮スライド部15が進退駆動できるようになっている。
【0022】
さらに、前記ケース本体部24の一側面の揚げカス排出口13またはその内側に、調整片20を設ける。この調整片20は、圧縮スライド部15に対向する面20Aは下方に行くほど揚げカス排出口13側に傾斜するものであって、ケース本体部24の上面を横切るように開口し上下を連通した取り付け孔40に摺動可能に挿入されて、底板部23に対向するように設けられたものであって、調整片20は底板部23に向けてバネ41を介して付勢されている。この付勢は図4に示すように、取り付け孔40に嵌挿されている調整片20に立設した案内軸42の上端にバネ41の下端が直接或いは間接的に接続されており、バネ41の上端は取付部材44側に直接或いは間接的に接続されている。実施例では固定部材43の上方で固定軸44Aを介して固定された取付部材44に上下方向に螺合した雄螺子部材45にバネ41の上端は接続されている。したがって、固定部材43をケース本体部24の上面に固定すると共に、調整片20を取り付け孔40に挿入すると、調整片20はバネ41で下方に付勢され続けることとなる。そして、雄螺子部材45を上下動することでバネ41の弾性力を調整することができる。
【0023】
尚、図中の符号46は圧縮スライド部15の案内ローラ、47は油搾出孔12の下方に配置される油回収容器であり、また符号48は揚げカス排出口13の下方に配置される揚げカス回収容器である。
【0024】
さらに、ホッパー部11の内部には揚げカス送り用の回転撹拌アーム49が回転中心軸50を介して設けられている。そしてこの回転中心軸50の回転駆動は、圧縮スライド部15の左右いずれかの側面に一体的にラック51が固定されて設けられ、このラック51は歯側を上向きとしてその長手方向を一側から他側に向けている。このラック51に噛合するピニオン52はホッパー部11に回動自在となって一体的に設けられており、このピニオン52と回転中心軸50とは直接噛合するか、或いは実施例のように減速歯車53が介在している。
【0025】
次に前記構成について、その作用を説明する。従来技術と同様に、モータ37が駆動されると、その駆動が、モータ軸や歯車群を介し、第1のシャフト38に伝達され、ガイド穴39にて、回転運動が往復直線運動に変換されて、圧縮スライド部15が進退動する。そして、揚げカスAを、ホッパー部11に投入すると、揚げカスAは、ホッパー部11から揚げカス供給口17を介し、ケース部14に供給される。その際、圧縮スライド部15は後退位置Xにあり、揚げカス供給口17は開放されている。
【0026】
次に、圧縮スライド部15は、スライド口18を介しケース部14内に密挿されて、進退動しており後退位置Xから前進位置に変位すると、揚げカス供給口17が閉鎖され、ケース部14に供給された揚げカスAが、その過程で圧縮,縮減される。これと共に揚げカスAは、更に油Bが分離,搾出されて、油Bは油回収容器47に回収され、揚げカスAはケース部14の揚げカス排出口13から排出され、揚げカス回収容器48に回収される。
【0027】
この際、ケース部14下面にある底板部23には油搾出孔12が多数形成されており、揚げカスAに含有されていた油Bは、油搾出孔12にて揚げカスAから分離,搾出,流下され、油回収容器47に回収される。
【0028】
また、揚げカス排出口13は、上部にバネ41で付勢された調整片20が付設されており、揚げカス排出口13周りにおいて揚げカスAが詰まってしまうような場合には、バネ41の弾性力に抗して調整片20が上昇して開口面積を広げるようになり、揚げカス排出口13周りにおいて揚げカスAが勢いよく排出されるような場合には、バネ41の弾性力によって下方へ押し出されて、開口面積を狭めることで、揚げカスAを所定の圧力で押し出すことができ、油Bの搾出を安定した状態で行うことができる。
【0029】
さらに、圧縮スライド部15の往復動に伴ってラック51が一体となって往復動し、このラック51の往復動に伴ってピニオン52が、回転中心軸50と一体的となって正転、逆転し、この結果回転撹拌アーム49もホッパー部11の内部で正転、逆転することで、ホッパー部11の内部の揚げカスを撹拌して順次揚げカス供給口17に供給することができる。
【0030】
そして、揚げカスAの分離,搾出によって、油搾出孔12が詰まった場合には、まず、ストッパー用のピン26を第1の貫通部26C、第2の貫通部26Dから抜き、一側縁23Bを突起26Eとの係止を脱してやや持ち上げる。さらに底板部23の他側縁23Aを隙間25Cより一側に抜き出して、係止受け部25との係止状態を脱して、底板部23をケース部14などと一緒に、基台21より取り外す。次に雌螺子部材29に螺合している第2の支柱33を回し操作して頭部33Aを上方へ移動させ、第2の支柱33による押圧部材27への押圧を解除する。第2の支柱33を凹部27Aより外側に抜き出すように軸31を中心として第2の支柱33を外側に倒す。次に軸30を中心として押圧部材27を起立して、ケース本体部24の上方を開放することで、ケース本体部24を上方へ取り外して、油搾出孔12をあらわして、油搾出孔12を清掃して目詰まりをなくようにする。このように、清掃した底板部23上にケース本体部24を設置し、さらに押圧部材27を被せて、再び第2の支柱33を凹部27Aに挿入した後に、第2の支柱33を回して雌螺子部材29に螺合して下方へ移動させて、頭部33Aによって押圧部材27を固定する。次に、底板部23の他側をアングル22の上面を滑らすようにして、アングル22と横向き部25Bとの間に形成された隙間25Cに底板部23の他側を挿入して係止受け部25に係止して、底板部23をアングル22の上面上に載置すると共に、第2の貫通部26D上に第1の貫通部26Cを同軸上に配置する。そして、ピン26の部軸部26を第1の貫通部26C、第2の貫通部26Dに差し込むと、上部26Bが底板部23の上面で係止されて、抜け止めされて、この状態で底板部23はアングル22の上面上に固定される。
【0031】
尚、清掃するにあたり、底板部23をアングル22より取り外す前に、ケース本体部24を取り外したり、底板部23をアングル22に取り付けた後に、ケース本体部24を取り付けるようにしてもよい。
【0032】
以上のように、前記実施例では揚げカスAが投入されるホッパー部11と、該ホッパー部11から揚げカスAが供給されると共に、油搾出孔12と揚げカス排出口13を備えたケース部14と、該ケース部14内を進退動可能な圧縮スライド部15とを有し、ケース部14は、油搾出孔12を形成すると共に基台21に着脱可能に設けられる底板部23と、圧縮スライド部15の前部が密挿されるように底板部23又は基台21を覆うケース本体部24とを備え、ケース部14のホッパー部11下に位置する揚げカス供給口17、一側面18に揚げカス排出口13を設けると共に、ケース部14の他側面に圧縮スライド部15用のスライド口18を備え、底板部23は、その他側縁23Aをアングル22に設けた鉤型の係止受け部25に差し込んで係止し、一側に基台21のアングル22の係止するピン26を挿入して着脱可能に固定できるようにしたことで、圧縮スライド部15は、肉厚板状をなし、該スライド口18を介し前部が該ケース部14内に密挿され、該ケース部14内を後退位置Xと前進位置とに順次交互に進退動可能に設けられたことにより、圧縮スライド部15は、後退位置Xでは、揚げカス供給口17を開放して、揚げカスAをホッパー部11からケース部14内に供給可能とし、前進位置では、揚げカス供給口17を閉鎖すると共に、揚げカスAをケース部14内で圧縮,縮減して、揚げカス排出口13から排出させることにより、揚げカスを処理できる。さらに、他側縁23Aを係止受け部25に差し込んで係止すると共に、一側縁23側ではピン26を差し込むことで基台21に着脱可能に設けたことで、油搾出孔12が目詰まりしたような場合には、ケース部14全体ではなく、ケース本体部24を除いた油搾出孔12が形成された底板部23を取り出して簡単に清掃することができる。
【実施例2】
【0033】
次に、本発明の他の実施例について説明する。尚、前記実施例1と同一部分には同一符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0034】
図8、9に示す実施例2においては、ケース本体部24の揚げカス排出口13は従来技術と同様に次第に狭まるように傾斜部13Aが設けられており、この部分から一側に突設した延長部61の左右両側にピン62が下向きに設けられており、このピン62がアングル22に形成した上下方向の孔63に挿入して、ケース本体部24の延長部61はアングル22に直接支持されるようになっている。
【0035】
さらに、ケース本体部24の固定は、ケース本体部24の左右に第2の支柱33が底板部23側からそれぞれ立設し、そして、ケース本体部24の左右に外側に凹部27Aを備えた突起24Aが設けられている。
【0036】
したがって、左右にそれぞれ配置された第2の支柱部33を起立して、凹部27Aに挿入し、そして軸31によって起伏可能な雌螺子部材29に螺合する第2の支柱部33を回して頭部33Aを下降させて雌螺子部材33をケース本体部24と一体な突起24Aの上面に押圧して固定するものである。尚、雌螺子部材33を操作して弛めることで、突起部24Aより取り外すことができるようになっている。
【0037】
さらに実施例2では、前後動する圧縮スライド部15に、取付け座64を介して1次側リンク棒65の基端65Aを回動自在に接続し、一方回転撹拌アームの回転中心軸50に2次側リンク棒66の基端66Aを回動自在に接続する。尚、2次側リンク棒66の長手方向は回転中心軸50の軸芯に直交するように配置される。そして、1次側リンク棒65の先端65Bと2次側リンク棒66の先端66Bを回動自在に接続する。尚、このリンク機構は分解できるように例えば先端65Bと先端66Bとを回動自在に接続する軸(図示せず)は簡単に着脱できるようになっている。
【0038】
したがって、前記実施例2においては、実施例1と同様に揚げカスAを圧縮して油搾出孔12にて揚げカスAから分離,搾出することができる。そして、油搾出孔12が詰まった場合には、第2の支柱33を雌螺子部材29により弛めることで、第2の支柱3の頭部33Aによる突起部24Aへの押圧を解除してケース本体部24を取り外し、さらにピン26を抜いた後に係止受け部25より引き出した底板部23を掃除すればよい。一方、取り外しのときと逆工程で復元することができる。
【0039】
また、揚げカスAから分離,搾出する工程では、モータ37によって圧縮スライド部15が前後動すると、この前後動は1次側リンク棒65、2次側リンク棒66のリンク機構によってその先端66Bが連続回転或いは揺動運動に変換され、この結果回転中心軸50、ひいては回転撹拌アームが連続回転或いは揺動運動することで、ホッパー部11内の揚げカスAをケース部14内に供給することができるようになっている。
【実施例3】
【0040】
図10、11に示す実施例3においては、前後動する圧縮スライド部15に、取付け座67を介して1次側リンク棒68の基端68Aを回動自在に接続し、この1次側リンク棒68の先端68Bに2次リンク69の基端69Aを回動自在に接続し、2次リンク69の先端69Bの周面に歯車の歯70を連続して設ける。この歯70は先端69Bに歯車を固定して取り付けて設けてもよい。一方、回転中心軸50にはホッパー部11の外側に従動側歯車71が一体に設けられており、この従動側歯車71の歯に歯70が噛合するようになっている。そして、先端69B、ひいては先端69Bに固定されている歯70の歯車は、従動側歯車71を回動自在に取り付けた、すなわち圧縮スライド部15のような移動側ではなくホッパー部11のような固定側の取付け座72に設けた軸73を介して回動自在に設けられている。なお、
したがって、前記実施例3においては、揚げカスAから分離,搾出する工程では、モータ37によって圧縮スライド部15が前後動すると、この前後動により1次側リンク棒68を介して2次リンク69が揺動する。この2次リンク69の揺動により歯70も軸73を中心として回動する。このような状態で、1次側リンク棒68と2次リンク69の長さ比及び歯車の歯70及び従動側歯車71の比を所定のものとすることで、従動側歯車71に固定され回転中心軸50を必要角度揺動させることができる。これにより、回転撹拌アームが揺動運動することで、ホッパー部11内の揚げカスをケース部14内に供給することができるようになっている。
【実施例4】
【0041】
図12に示す実施例4においては、底板23に設けられた油搾出孔12に揚げカスが詰まったときに、これを簡単に取り除く詰まり揚げカス除去具81を示しており、この詰まり揚げカス除去具81は、生け花で使用する剣山のように、底板23の上面に面接触或いは面対向する基板82の下面に、油搾出孔12に挿入する複数の軸部83を油搾出孔12に対向するように下方に向けて突設したものである。実施例では、軸部83は下端が先細な針状部材によって形成されており、一方基板82の上面にはハンドル84が設けられている。
【0042】
したがって、油搾出孔12に詰まった揚げカスを除去するには、ハンドル84を握ってそれぞれの油搾出孔12にそれぞれの軸部83を差し込んで貫通する。これにより、一度の操作で複数の油搾出孔12に詰まった揚げカスを一度に複数箇所除去することができる。しかも、ハンドル84を握って操作することで、手に油が付着することなく作業することができる。
【実施例5】
【0043】
図13に示す実施例4においては、揚げカス供給口17の上方に配置される回転撹拌アーム49´が、回転中心軸50に2種類の基端を回転撹拌アーム91,92が設けられており、第1の回転撹拌アーム91は、基端91Aを回転中心軸50に固定すると共に、回転中心軸50より放射状に突設する先端91B側を次第に内幅が幅大となるように分岐して実施例では二股形状となっており、この分岐の一方向は回転中心軸50の長手方向の一方、分岐の他方向は回転中心軸50の長手方向の他方となっており、分岐した一対の先端91B間の内幅Lよりも、基端91Aと先端91Bの中間部相互間の内幅Mが長く形成されている。第2の回転撹拌アーム92は、基端92Aを回転中心軸50に固定し細長棒状の先端92Bを、回転中心軸50を中心として放射状に設けたものであり、回転中心軸50の周面に第1の回転撹拌アーム91、第2の回転撹拌アーム92が中間に所定の角度の空隙を介在して取り付けられたものであって、実施例では第1の回転撹拌アーム91、第2の回転撹拌アーム92、第1の回転撹拌アーム91、第2の回転撹拌アーム92の4つが90度間隔で取り付けられており、そして、第1の回転撹拌アーム91の回転軌跡91C内の中心に、第2の回転撹拌アーム92の先端92Bの回転軌跡92Cが配置されるようになっている。
【0044】
したがって、回転中心軸50の回転駆動によってホッパー部11内の揚げカスは、回転撹拌アーム49´の回転によって撹拌される。この撹拌では、第1の回転撹拌アーム91の先端91Bの回転軌跡91Cにより揚げカス供給口17の上方を大まかに撹拌し、そして第2の回転撹拌アーム92の先端92Bの回転軌跡92Cによって、回転軌跡92Cの中央部を切り込むように撹拌することで、揚げカス供給口17のける揚げカスの詰まりを防止できる。同様に、回転軌跡92Cによって切り込んだ揚げカスの両側を回転軌跡91Cによって大まかに撹拌することを繰り返すことで、順次揚げカスを揚げカス供給口17に供給することができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
以上のように本発明に係る揚げカス処理装置は、各種の用途に適用できる。また、係止受け部を揚げカス排出口側に、ピンをスライド口側に配置するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0046】
11 ホッパー部
12 油搾出孔
13 揚げカス排出口
14 ケース部
15 圧縮スライド部
17 揚げカス供給口
18 スライド口
21 基台
23 底板部
25 係止受け部
26 ピン
37 モータ
49 回転撹拌アーム
A 揚げカス
X 後退位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
揚げカスが投入されるホッパー部と、該ホッパー部から前記揚げカスが供給されると共に、油搾出孔と揚げカス排出口を備えたケース部と、該ケース部内を進退動可能な圧縮スライド部とを有し、
前記ケース部は、前記油搾出孔を形成すると共に基台に着脱可能に固定される底板部と、前記圧縮スライド部の前部が密挿されるように前記底板部又は前記基台を覆うケース本体部とを備え、前記ケース部の前記ホッパー部下に位置する揚げカス供給口、一側面に揚げカス排出口を設けると共に、前記ケース部の他側面に前記圧縮スライド部用のスライド口を備え、
前記底板部は、その一方を前記基台側に設けた鉤型の係止受け部に係止されると共に、他方に前記基台側に係止するピンを挿入して着脱可能に固定され、
前記圧縮スライド部は、肉厚板状をなし、前記スライド口を介し前部が該ケース部内に密挿され、該ケース部内をモータを介して後退位置と前進位置とに順次交互に進退動可能に設けられていることを特徴とする揚げカス処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−11220(P2011−11220A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−156181(P2009−156181)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(392017141)株式会社ハイサーブウエノ (4)
【Fターム(参考)】