説明

換気システム

【課題】
信号線を用いることなく、空気調和装置の運転又は停止に換気装置を連動させる換気システムを得る。
【解決手段】
第一吸込口から第一吐出口に空気を送る第一ファンと、第一ファンを回転させる第一モーターと、第一モーターの運転を開始させる第一制御手段を備えた空気調和装置と、第一制御手段に運転の開始指令を発せれる入力端末と、第二吸込口から第二吐出口に空気を送る第二ファンと、第二ファンを回転させる第二モーターと、第二ファンの回転速度を測定する回転状況測定手段と、回転速度の測定値と比較可能な閾値を有し二モーターの運転を開始させる第二制御手段を備えた換気装置と、空気調和装置の第一吸込口と換気装置の第二吐出口をつなぐ接続部と、を備え、入力端末からの開始指令により空気調和装置の運転開始後、前記回転速度の測定値が閾値以上になると第二モーターの運転を開始させることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、空気調和装置と連動して稼動する換気装置を備えた換気システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の、空気調和装置と換気装置を連動制御する制御技術は、これら両装置間を信号線で接続し、空気調和装置から換気装置に運転または停止の信号を送信するものであった(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平05−312377
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記の制御技術では、両装置間を信号線で接続する必要があるため、施工時の誤接続や、接続忘れ等の不具合を招く可能性がある。
【0005】
この発明は、上記した信号線の接続に係る不具合をなくすためになされたものであり、両装置間を接続する信号線を用いることなく、空気調和装置の運転又は停止に換気装置の運転又は停止を連動させる換気システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第一吸込口から第一吐出口に空気を送る第一ファンと、この第一ファンを回転させる第一モーターと、この第一モーターの運転を開始させる第一制御手段を備えた空気調和装置と、
前記第一制御手段に前記第一モーターの運転の開始指令を発せれる入力端末と、
第二吸込口から第二吐出口に空気を送る第二ファンと、この第二ファンを回転させる第二モーターと、前記第二ファンの回転速度を測定する回転速度測定手段と、前記第一モーターの運転が開始したと判定できる第一閾値を有し前記第二モーターの運転を開始させる第二制御手段を備えた換気装置と、
前記空気調和装置の第一吸込口と前記換気装置の第二吐出口をつなぐ接続部と、を備え
前記入力端末からの前記開始指令による第一モーターの運転開始後、前記回転速度の測定値が第一閾値以上になると当該第二モーターの運転を開始させる換気システム。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係る換気システムは、空気調和装置の運転開始に伴う接続部内の圧力変化を第二ファンの回転速度の測定値から検知し、この検知された測定値が第一閾値以上となったときに前記空気調和装置の運転が開始されたと判定し、前記換気装置の運転開始を制御する。
このため、両装置間に信号線を用いる必要がなく、信号線の誤接続や、接続忘れ等の不具合を解消することが出来るという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施の形態1に係る換気システムの模式図
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1
以下、本発明の実施の形態1について図面を参照して説明する。図1は本実施の形態1に係る換気システムの構成を示す模式図である。
【0010】
図1に示すように、換気システム100は部屋の壁面1に配置され、室外の空気を給気風路2を通して室内に送り、室内の空気を排気風路3を通して室外に吐き出す。この換気システム100は室内の温度調整や稼動を指令する入力端末を備えたリモコン7によって指令を受ける空気調和装置10と、この空気調和装置10の稼動に連動して運転され、前記給気風路2内と前記排気風路3内のそれぞれを流れる空気の間で熱交換を行う換気装置20とで構成されている。また、空気調和装置10の第一吸込口5aと換気装置20の第二吐出口4bはダクト8で接続されている。前記給気風路2を流れる空気は換気装置20の第二吸込口4aから流入し、第二熱交換器25、前記第二吐出口4b、前記ダクト8、前記第一吸込口5a、第一熱交換器13を通り、空気調和装置10の第一吐出口5bから室内に吐き出される。また、前記排気風路3を流れる空気は換気装置20の第三吸込口6aから流入し、第二熱交換器25を通り、第三吐出口6bから室外に吐き出される。なお、後で詳細に述べるが、前記ダクト8内の圧力は、空気調和装置10及び換気装置20の稼動状態に依存して大きく変化する。
【0011】
前記空気調和装置10は前記給気風路2内の空気を室内に送るための第一ファン11と、この第一ファン11を回転させる第一モーター12と、前記給気風路2内の空気の温度を変化させるための第一熱交換器13と、前記リモコン7から送信される指令の内容に応じて前記第一モーター12や、前記第一熱交換器13の冷却ないし加熱状態を制御する第一制御手段14を備えている。
【0012】
前記換気装置20は室外の空気を前記給気風路2に吸い込むための第二ファン21と、この第二ファン21を回転させる第二モーター22と、室内の空気を排気風路3内に吸い込み室外に送るための第三ファン23と、この第三ファンを回転させる第三モーター24と、前記給気風路2内の給気された空気と排気風路内の排気される空気の間で熱交換を行う第二熱交換器25と、前記第二ファン21の回転速度を測定する回転速度測定手段26と、この回転速度測定手段26の測定値と比較する第一閾値Va及び第二閾値Vbを有し、比較結果に応じて前記第二モーター22及び第三モーター24の稼動を制御する第二制御手段27と、を備えている。第一閾値Vaは空気調和装置10の運転が開始したと判定される値であり、第二閾値Vbは空気調和装置10の運転が停止したと判定される値である。
【0013】
以下、空気調和装置10と換気装置20が停止状態である場合に、空気調和装置10の運転が開始してから換気装置20の運転が開始するまでの動作について説明する。
【0014】
換気システム100を稼動させるために、リモコン7から空気調和装置10の第一モーター12の運転を開始する開始指令が出されると、この開始指令を受けて第一制御手段14は第一モーター12の回転を開始させる。この第一モーター12の回転に伴い第一ファン11が回転を始め、この回転に伴い空気調和装置10の第一吐出口5bから室内へ空気が吐き出される。ただし、第一ファンが回転をし始めた段階では第二ファン21は回転していないため、換気装置20の第二吸込口4aから空気は流れ込んでいない。そのため、ダクト8内の圧力は次第に減少する。このダクト8内の圧力の減少に伴って、換気装置20の第二吐出口からダクト8内に空気が流入し始め、それに伴い第二吸込口4aから空気が流れ込み第二ファン21の回転が開始する。
【0015】
給気風路2に流れる空気の流量が多くなるに従い第二ファン21の回転速度が上昇していく。この第二ファン21の回転速度を回転速度測定手段26により測定し、測定された回転速度の値とあらかじめ第二制御手段27に記憶させている第一閾値Vaとを比較する。この測定された回転速度の値が第一閾値Va以上となったときに第二制御手段27は空気調和装置10の運転が開始されたと判定する。これにより前記第二制御手段27は第二モーター22の運転を開始させる。
【0016】
換気システム100は上記のような構成によって、空気調和装置10と換気装置20に信号線を用いることなく、空気調和装置10の運転開始に連動して換気装置20の運転を開始させることが出来る。
【0017】
空気調和装置10と換気装置20が運転状態である場合に、空気調和装置10の運転が停止してから換気装置20の運転が停止するまでの動作について説明する。
【0018】
換気システム100の運転を停止させるために、リモコン7から空気調和装置10の第一モーター12の運転を停止させる停止指令が出されると、この停止指令を受けて第一制御手段14は第一モーター12の運転を停止させる。すると、第一モーター12及び第一ファン11の回転速度は減少しはじめ、第一吐出口から吐き出される空気の量も減少し始める。このとき第二モーターは運転されており、第二吐出口からダクトへ空気は送り込まれている。従ってダクト8内の圧力は上昇し始める。これに伴い第二吸込口4aから吸い込まれる空気の量が減少し、第二ファン21の回転速度が変化する。この第二ファンの回転速度を回転速度測定手段26により測定し、測定された回転速度の値とあらかじめ第二制御手段27に記憶させている第二閾値とを比較する。この測定された回転速度の値が第二閾値となったときに第二制御手段27は空気調和装置10の運転が停止されたと判定する。これにより第二制御手段27は換気装置20を連動制御すべく第二モーター22の運転を停止させる。
【0019】
換気システム100は上記のような構成によって、空気調和装置10の運転停止に連動して換気装置20の運転を停止させることが出来る。
【0020】
これにより、両装置間を接続する信号線を用いることなく、空気調和装置10の運転開始又は運転停止に換気装置20の運転開始又は運転停止を連動させる換気システムを100得ることができる。
【0021】
実施の形態2
実施の形態1では、第二ファン21の回転速度が第一閾値以上になったときに第二制御手段27は空気調和装置10の運転開始を判定するのに対し、実施の形態2では、実施の形態1の換気システム100の換気装置20の第二制御手段27に時間計測手段28を設け、第二ファン21の回転速度が、所定の時間継続して第一閾値以上であったときに、第二制御手段27は空気調和装置10の運転開始を判定するものである。この所定の時間とは突風がきても誤動作を起さない時間であればよい。なお上記で時間計測手段28は第二制御手段27内に設けたが、第二ファンの回転が開始した時に時間の計測を開始できる場所ならどこの設けてもよい。
その他の点については実施の形態1と同じ構成をしている。
【0022】
第二ファン21の回転速度が前記所定の時間継続して第一閾値以上であったときに、第二制御手段27は空気調和装置10の運転開始を判定することで、突風がきた場合でも、誤動作を起こさず、正確に連動制御を行うことが可能である。例えば、閾値Va=30rpm、検知時間Ca=10sとし、検出された回転速度が30rpm以上を10s連続検知した場合、空気調和装置10が運転状態であると判定する。
【0023】
上記した、実施の形態1及び実施の形態2の換気システム100に係る第一ファン11、第二ファン21及び第三ファン23はシロッコファン、プロペラファン、斜流ファン等いかなるファンでもよい。特にシロッコファンは他のファンに比べて小型でも風量、風圧を得られるため、換気装置全体を小型化することが出来る。また、プロペラファンは風圧を必要とせず風量を多く確保したい場合に適している。第一ファン11、第二ファン21、第三ファン23は使用環境に応じてファンの種類を自由に組み合わせてもよい。
なお上記実施の形態1及び実施の形態2においては換気装置20とダクト8を介して接続するものは空気調和装置10だけではなく、熱交換器を持たず空気の流れを発生させるブースターファン等でもよい。
【符号の説明】
【0024】
100 換気システム、1 部屋の壁面、2 給気風路、3 排気風路、4a 第二吸込口、4b 第二吐出口、5a 第一吸込口、5b 第一吐出口、6a 第三吸込口、6b 第三吐出口、7 リモコン、8 ダクト、10 空気調和装置、11第一ファン、12 第一モーター、13 第一熱交換器、14 第一制御手段、20 換気装置、21 第二ファン、22 第二モーター、23 第三ファン、24 第三モーター、25 第二熱交換器、26 回転速度測定手段、27 第二制御手段、28 時間計測手段、Va 第一閾値、Vb 第二閾値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一吸込口から第一吐出口に空気を送る第一ファンと、この第一ファンを回転させる第一モーターと、この第一モーターの運転を開始させる第一制御手段を備えた空気調和装置と、
前記第一制御手段に前記第一モーターの運転の開始指令を発せれる入力端末と、
第二吸込口から第二吐出口に空気を送る第二ファンと、この第二ファンを回転させる第二モーターと、前記第二ファンの回転速度を測定する回転速度測定手段と、前記第一モーターの運転が開始したと判定できる第一閾値を有し前記第二モーターの運転を開始させる第二制御手段を備えた換気装置と、
前記空気調和装置の第一吸込口と前記換気装置の第二吐出口をつなぐ接続部と、を備え
前記入力端末からの前記開始指令による第一モーターの運転開始後、前記回転速度の測定値が第一閾値以上になると当該第二モーターの運転を開始させる
換気システム。
【請求項2】
第一吸込口から第一吐出口に空気を送る第一ファンと、この第一ファンを回転させる第一モーターと、この第一モーターの運転を停止させる第一制御手段を備えた空気調和装置と、
前記第一制御手段に前記第一モーターの運転の停止指令を発せれる入力端末と、
第二吸込口から第二吐出口に空気を送る第二ファンと、この第二ファンを回転させる第二モーターと、前記第二ファンの回転速度を測定する回転速度測定手段と、前記第一モーターの運転が停止したと判定できる第二閾値を有し前記第二モーターの運転を停止させる第二制御手段を備えた換気装置と、
前記空気調和装置の第一吸込口と前記換気装置の第二吐出口をつなぐ接続部と、を備え
前記入力端末からの前記停止指令による第一モーターの運転停止後、前記回転速度の測定値が第二閾値となると当該第二モーターの運転を停止させる
換気システム。
【請求項3】
請求項1記載の換気システムにおいて、
前記第二制御手段は、前記回転速度測定手段で測定された第二ファンの回転速度の値が、第一閾値以上の状態を所定の時間継続した場合に第二モーターの運転を開始させることを特徴とする換気システム。
【請求項4】
請求項1又は2記載の換気システムにおいて、
第二ファンをシロッコファンとすることを特徴とする換気システム。
【請求項5】
請求項1又は2記載の換気システムにおいて、
第二ファンをプロペラファンとすることを特徴とする換気システム。

【図1】
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【公開番号】特開2013−92322(P2013−92322A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235801(P2011−235801)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】