換気装置及び換気装置の有害物質除去方法
【課題】 安定して窒素酸化物などの有害物質を除去することのできる換気装置(空調装置も含む)を得ることを目的とする。
【解決手段】 取り込んだ空気の流れる通路方向を遮るように吸着部を配設し、この吸着部を白金および二酸化マンガンを担持したハニカム状吸着剤として、この吸着部をモータにより通路の空気の流れる方向を軸として回転させ、空気中の窒素酸化物、揮発性有機化合物の吸着除去と水素により吸着窒素酸化物を還元分解とを順次行って、吸着部の自動再生を行う。
【解決手段】 取り込んだ空気の流れる通路方向を遮るように吸着部を配設し、この吸着部を白金および二酸化マンガンを担持したハニカム状吸着剤として、この吸着部をモータにより通路の空気の流れる方向を軸として回転させ、空気中の窒素酸化物、揮発性有機化合物の吸着除去と水素により吸着窒素酸化物を還元分解とを順次行って、吸着部の自動再生を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、窒素酸化物や揮発性有機化合物などの有害物質を除去する機能を有する空調装置または換気装置及び換気装置の有害物質除去方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の換気装置では、熱交換素子を通過した外気を窒素酸化物除去フィルターとして設けられた添着活性炭に通過させ、室内へ窒素酸化物が流入するのを防ぐ方式が採用されており、この添着活性炭で構成されたフィルターを間欠的に加熱によって再生するようにしている(例えば特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開2000−111118号公報([0009]〜[0014]、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来の換気装置にあっては、窒素酸化物除去フィルターを加熱再生する場合に、フィルター表面が高温になるため、フィルター表面に燃えやすい物体(綿埃など)が付着していないことが前提となり動作に著しい制限があった。また、加熱再生した直後のフィルター温度が高い時には、フィルターの吸着能力が低下し、窒素酸化物を効率的に捕捉できないといった問題があった。更に、吸着剤を再生する場合に室内への給気を停止しなければならなく、常時換気ができないといった問題があった。
【0005】
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、安定して窒素酸化物などの有害物質を除去する換気装置(空調装置も含む)を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る換気装置は、送風機により外気を取り込むまたは外気を取り込み室内の空気と交換する換気装置において、取り込んだ空気の流れる通路方向を遮るように配設され、少なくとも窒素酸化物または揮発性有機化合物のいずれかの吸着剤を保持させた吸着部と、前記通路の空気の流れる方向を軸として前記吸着部を回転させる駆動部と、前記吸着剤に吸着した窒素酸化物または揮発性有機化合物を除去するためのガス供給部とを備え、該ガス供給部を前記吸着部の一部に近接配置したことを特徴とするものである。
【0007】
この発明に係る換気装置の有害物質除去方法は、送風機により外気を取り込むまたは外気を取り込み室内の空気と交換する換気装置において、取り込んだ空気の流れる通路を遮るように配設された少なくとも窒素酸化物または揮発性有機化合物のいずれかの吸着剤に、前記吸着剤に応じて空気中の少なくとも窒素酸化物または揮発性有機化合物のいずれかを吸着させて室内に空気を導入する工程と前記吸着された窒素酸化物または揮発性有機化合物をガスによって除去する工程とを備え、前記窒素酸化物または揮発性有機化合物を吸着させた部位を順次移動させて除去することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明に係る換気装置及び有害物質除去方法は、取り込んだ空気から、窒素酸化物や揮発性有機化合物を除去することができ、室内に清浄な空気を供給できる効果があると共に、窒素酸化物や揮発性有機化合物を吸着する触媒を自動的に再生することができるので、メンテナンス性が向上し、ユーザーの作業負担や経費負担を大幅に軽減できる効果がある、といった従来にない顕著な効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
実施の形態1.
以下に、本発明の実施の形態1による換気装置について、図を用いて説明する。
図1は本発明の実施の形態1による換気装置を示す構成図で、図中(a)は全体構成図、図中(b)は(a)中のA−A方向から見た触媒ロータ1の周辺構成を示した図である。図において、換気装置の左側が室外、右側が室内である。換気装置は仕切壁11により送風の通路が吸気側、排気側に上下二分され、2つの通路12および通路13を形成する。さらに、軸方向に通気性を有するハニカム構造の触媒ロータ1を、通路12および通路13を遮るように仕切壁11に貫設する。触媒ロータ1は触媒回転モータ2に接続されており、所定の回転速度で連続的に、または、ステップ状に回転する。ここでは送風の通路を円筒状としているが、円筒状に限るものではなく、直方体形状の通路等であってもよい。この場合、触媒ロータ1の設置部のみ円筒状にする等により触媒ロータは回転可能である。
吸気側の通路12には、除塵フィルター3、触媒ロータ1、第1の送風機4が配置される。一方、排気側の通路13には、第2の送風機5、ガス供給部6、触媒ロータ1が配置される。ガス供給部6は、オゾン供給部61と水素供給部62から構成され、オゾン供給部61はオゾン発生器8を介して水電解装置7に接続され、水素供給部62は水電解装置7に直接接続されている。ガス供給部6は触媒ロータ1の所定の領域に対して均一に水素またはオゾンを吹き付けるような構造になっている。例えば、触媒ロータ1に対向している面は均一にガスを放出できるように穴開き構造となっている。また、ガス供給部6は、ゴム、樹脂などの柔軟性を有する材料で作られた枠体を介して触媒ロータ1と接触するように作られており、触媒ロータ1とガス供給部6の隙間から水素またはオゾンが漏れ出ないようにしている。なお、必ず接触している必要はなく、触媒ロータ1とガス供給部6の隙間から漏れでない程度の隙間があってもよい。
【0010】
図2は触媒ロータ1の構成を示す模式図で、図中(a)は、装置のハニカム構造を示す図、(b)は触媒が配置された状態を示す図である。図2において、触媒ロータ1のハニカム体1aの表面にゼオライトや活性炭などの吸着剤1bを塗布あるいは表面処理により付着され、さらに、その吸着剤表面に窒素酸化物を還元分解するための白金、および揮発性有機化合物を酸化分解するための二酸化マンガンなどの触媒1cが添着されたものである。
【0011】
次に動作について説明する。まず、吸気側の通路12では、第1の送風機4を稼動させ、室外の空気10を吸い込み、除塵フィルター3により空気10は粒子成分を取り除かれた状態になる。この状態で触媒ロータ1に入ると、触媒ロータ1では空気10中の窒素酸化物と揮発性有機化合物が吸着除去され、室内へ吹き出される。よって、窒素酸化物と揮発性有機化合物が除去された空気9が室内に供給される。
一方、排気側の通路13では、第2の送風機5を稼動させ、室内の汚れた空気14を吸い込み、触媒ロータ1に導く。前述した吸気側通路12で吸着した窒素酸化物と揮発性有機化合物がロータの回転とともに通路13側に移動し、水電解装置7によって生成された水素によって窒素酸化物が還元分解され、触媒ロータ1に供給された空気と共に、室外に放出される。同時に、水電解装置7によって生成された酸素がオゾン発生器8によってオゾン化酸素に変換され、そのオゾンによって揮発性有機化合物が酸化分解され、これら分解生成物(CO2,H2O等)は、触媒ロータ1に供給された空気と共に、室外に放出される。
この操作により、触媒ロータ1の表面に付着した窒素酸化物や揮発性有機化合物は除去され、触媒ロータ1の表面が初期状態に戻される。これらの一連の動作を繰り返すことにより、常に、室内には窒素酸化物や揮発性有機化合物が除去された清浄な空気9が供給される。
【0012】
次に、水電解装置7による水素および酸素生成動作について図3を用いて説明する。図3は、水電解装置の構成を示す図で、図において、吸湿体からなる固体電解質体71の表面に形成された陽極部72と陰極部74との間に、陽極用給電体73と陰極用給電体75を介して直流電圧を印加する。これにより、固体電解質71に吸収された水蒸気が電気分解され、陽極部72において酸素76が発生し、陰極部74において水素77が発生する。固体電解質体71には通常吸水性が非常に大きいナフィオン膜を使用する。また、陽極部72に含有させる酸化触媒としては、白金、ロジウム、イリジウム等酸素過電圧の小さい金属もしくはこれらの化合物が望ましく、これらのうちの1種もしくは2種以上の混合物を使用する。一方、陰極部74の母材としては、白金、ルテニウム、パラジウム等の水素過電圧の小さい金属もしくはこれらの化合物が望ましく、これらのうちの1種もしくは2種以上の混合物を使用する。なお、固体電解質体71に供給される水蒸気は、室内の空気を利用することにより安定的に水蒸気を供給できるので、水電解装置7は排気側の通路13に設置することが望ましい。また、別途、水蒸気を供給するようにしてもよい。
【0013】
次に、水素を用いた窒素酸化物の還元分解方法とオゾンを用いた揮発性有機化合物の酸化分解方法について述べる。窒素酸化物が吸着した白金担持吸着剤の表面に水素が供給されると、白金の触媒作用により窒素酸化物から酸素が引き抜かれ、窒素酸化物は窒素に還元される。一方、揮発性有機化合物が吸着した二酸化マンガン担持吸着剤の表面にオゾンが供給されると、オゾンは二酸化マンガンの触媒作用により酸素原子と酸素分子に分解される。その酸素原子が揮発性有機化合物を炭酸ガスと水に酸化される。なお、本装置では、オゾンを生成する際に酸素を使用しているため、オゾン発生時に窒素酸化物の生成はない。また、このように還元力を有する水素と酸化力を有するオゾンを利用するため、ある領域に同時に供給すると、水素とオゾンが反応してしまい、窒素酸化物や揮発性有機化合物の分解性能が低下する。このため、水素とオゾンの供給部は図1中(b)に示されるように分けて構成することが望ましい。さらに、水素供給部62とオゾン供給部61の間に空間を備えるようにすることにより、先の処理で触媒ロータ1上に残留した水素、水素を吸着した物質などがハニカム構造体の個々の通路を介して一旦空気で排気されるので、水素とオゾンの無効反応を抑えることができ、水素およびオゾンの利用効率を高めることができる。
【0014】
なお、上記説明では、図1においてガス供給部6のみを排気側の通路13に設置するものを示したが、図4に示すように、ガス供給部6、水電解装置7、オゾン発生器8を一体化したガス清浄化部16を排気側の通路13に配置してもよく、同じ作用効果を奏することは言うまでもない。この際、触媒ロータ1に供給されるオゾンと水素が分離できるようにオゾン供給部と水素供給部とは分離部63等を用いて分離しておくことが、上述のとおり必要である。
【0015】
以上のように、この実施の形態1においては、吸気側で触媒ロータ1により窒素酸化物や揮発性有機化合物を除去し、排気側で触媒ロータ1を水素およびオゾンで再生できることにより、常時、清浄な空気を室内に供給することができる。また、窒素酸化物や揮発性有機化合物を吸着する触媒を自動的に再生することができるので、メンテナンス性が飛躍的に向上し、ユーザーの作業負担や経費負担を大幅に軽減できる。更に、水素とオゾンの供給部を分離することにより、水電解装置7で生成した水素とオゾンを有効に利用することができ、触媒ロータ1の再生に必要なエネルギーを低減することができる。更に、触媒ロータ1に一定間隔でオゾンを供給していることにより、オゾンの殺菌力を用いて触媒ロータ1表面に付着した微生物を殺すことができ、触媒ロータ1の衛生性を維持できる。
【0016】
この実施の形態によれば、換気・空調装置に、装置内に取り込む空気が流れる流路に、白金および二酸化マンガンを担持したハニカム状吸着剤、吸着剤回転用モータ、水電解装置、オゾン発生器、水素供給部、オゾン供給部から構成される有害物質除去部を取り付けるようにしたことにより、取り込んだ空気から、窒素酸化物や揮発性有機化合物を除去することができ、室内に清浄な空気を供給できる効果があると共に、窒素酸化物や揮発性有機化合物を吸着する触媒を自動的に再生することができるので、メンテナンス性が向上し、ユーザーの作業負担や経費負担を大幅に軽減できる効果がある、といった従来にない顕著な効果を奏するものである。
【0017】
実施の形態2.
揮発性有機化合物の問題が少ない場合の実施の形態について図を用いて説明する。
図5は本発明の実施の形態2による換気装置を示す構成図で、図中(a)は全体構成図、図中(b)は(a)中のB−B方向から見た触媒ロータ1の周辺構成を示した図である。この図のように触媒ロータ1へのオゾンの供給をしないようにしてもよい。この例では、水電解装置7によって生成された酸素をオゾン化するオゾン発生器8を取り外し、酸素の供給先を吸気側の通路12としたものである。
【0018】
この構成によれば、外気よりも酸素濃度を若干高くした空気を室内に供給できるので、室内の酸素濃度低下を防ぐことができ、室内環境をより快適なものにすることができる。なお、本装置では、室内への吸気と室内からの排気を同時に行っているため、過剰に酸素が室内に供給される、すなわち酸素濃度がパーセントオーダで増加することはなく、高濃度酸素障害を引き起こすことはない。
また、実施の形態1と同様に、取り込んだ空気から、揮発性有機化合物を除去することができ、室内に清浄な空気を供給できる効果があると共に、揮発性有機化合物を吸着する触媒を自動的に再生することができるので、メンテナンス性が向上し、ユーザーの作業負担や経費負担を大幅に軽減できる効果がある、といった従来にない顕著な効果を奏するものである。
【0019】
実施の形態3.
以下に、実施の形態3について、図を用いて説明する。実施の形態1の図1では、水電解装置7を排気側の通路13に設置することにより、水電解装置7の固体電解質体71に安定的に水蒸気を供給するように構成したが、本実施の形態3の図6に示すように水電解装置7から突出している固体電解質体71の周囲を加圧状態にするようにしても良い。
図6は本発明の実施の形態3による換気装置を示す構成図である。この図のように、水電解装置7から突出している固体電解質体71を加圧容器22で覆い、その加圧容器22に加圧ポンプ21を接続し、固体電解質体71の周囲環境の水蒸気分圧を高めている。
この構成によれば、水電解装置7への水蒸気の供給量を多くできることにより、水素および酸素の発生量を多くすることができ、窒素酸化物や揮発性有機化合物の除去効率を高くすることができる。
【0020】
また、図7は本発明の実施の形態3による別の換気装置を示す構成図であるが、図7に示すように水電解装置7から突出している固体電解質体71の周囲を高湿状態にするようにしても良い。例えば、この図7に示すように水電解装置7から突出している固体電解質体71を容器32で覆い、その容器32に加湿装置31を接続し、固体電解質体71の周囲環境の水分濃度を高めている。この時に使用できる加湿装置31としては、水をヒータによって加温することによって蒸散を促進するヒータ式加湿装置、超音波振動子を用いて水を振動させることによって蒸散を促進する超音波式加湿装置などがある。また、加温された水にガスをバブリングすることによって生成される過飽和ガスを容器32に供給するようにしてもよい。
この構成でも、水電解装置7への水蒸気の供給量を多くできることにより、水素および酸素の発生量を多くすることができ、窒素酸化物や揮発性有機化合物の除去効率を高くすることができる。
【0021】
図8は本発明の実施の形態3によるさらに別の換気装置を示す構成図である、図8に示すように水電解装置7から突出している固体電解質体71を熱交換器に接触させる高湿状態にするようにしても良い。例えば、図8に示すように水電解装置7から突出している固体電解質体71に熱交換器42を接触し、その熱交換器42を冷却装置41に接続し、固体電解質体71を冷却する。これにより、固体電解質体71表面で空気中の水が結露し、固体電解質体71に表面の水分量を多くしている。また、熱交換器の代わりにぺルチェ素子を用いて、電機エネルギーを利用し冷熱を作ることによって得られた結露水を固体電解質体71表面に供給するようにしても良い。
上記の構成においても、水電解装置7への水の供給量を多くできることにより、水素および酸素の発生量を多くすることができ、窒素酸化物や揮発性有機化合物の除去効率を高くすることができる。
【0022】
本実施の形態も、実施の形態1と同様に、取り込んだ空気から、窒素酸化物や揮発性有機化合物を除去することができ、室内に清浄な空気を供給できる効果があると共に、窒素酸化物や揮発性有機化合物を吸着する触媒を自動的に再生することができるので、メンテナンス性が向上し、ユーザーの作業負担や経費負担を大幅に軽減できる効果がある、といった従来にない顕著な効果を奏するものである。
【0023】
実施の形態4.
以下に、実施の形態4について、図を用いて説明する。実施の形態1の図1では、水素供給部62は触媒ロータ1の所定の領域に対して均一に水素を吹き付けるように構成したが、本実施の形態4の図9に示すように水素供給部62に対応した触媒ロータ1の部位の圧力を低下させ、そこに水素供給部62から水素を供給するようにしても良い。図9は、本発明の実施の形態4による換気装置を示す構成図である。この図に示すように、触媒ロータ1に対して対照となる位置にガス吸引部52を設け、そのガス吸引部52に吸引ポンプ51を接続し、触媒ロータ1の周囲圧力を低減するようにしている。
この構成によれば、水素と酸素が反応して、水素が無効に消費されることを防ぐことができると共に、吸着している窒素酸化物の脱着量を多くすることにより、触媒ロータ1からの窒素酸化物の除去性能を高くすることができる。
【0024】
本実施の形態も、実施の形態1と同様に、取り込んだ空気から、窒素酸化物や揮発性有機化合物を除去することができ、室内に清浄な空気を供給できる効果があると共に、窒素酸化物や揮発性有機化合物を吸着する触媒を自動的に再生することができるので、メンテナンス性が向上し、ユーザーの作業負担や経費負担を大幅に軽減できる効果がある、といった従来にない顕著な効果を奏するものである。
【0025】
実施の形態5.
以下に、実施の形態5について、図を用いて説明する。実施の形態1では、空気中の窒素酸化物と揮発性有機化合物を同時に除去できるようにしていたが、水素用水電解装置81を用い、窒素酸化物の除去効果を高め、窒素酸化物のみを効率よく除去するような構成にしてもよい。
図10はこの発明の実施の形態5による換気装置の構成図、図11はこの換気装置で使用される水素用水電解装置81の構成図である。図において、上記実施の形態1と同一または相当部分には同一符号を付し、説明を省略する。上記実施の形態1と比べると、吸着剤表面に担持されている触媒は白金だけとなる。
【0026】
次に、水素用水電解装置81による水素生成動作について図11を用いて説明する。固体電解質体71の表面に形成された陽極部72と陰極部74との間に陽極用給電体73と陰極用給電体75を介して直流電圧を印加する。陽極部72に隣接している空間82から水蒸気を含んだ空気83が通路84を介して固体電解質体71に供給される。その水蒸気は電極で挟まれている固体電解質体71に直接供給されるので、固体電解質体71内を移動することが必要でないため、吸収された水蒸気が効率よく電気分解され、陰極部74において水素77が発生する。一方、陽極部72では酸素が発生するが、陽極部72に隣接している空間82が通路84を介して開放されているため、酸素は回収できない。回収できない酸素は第2の送風機5によって空気とともに極低濃度で室外に放出される。
この構成によれば、水蒸気が固体電解質体71内を移動する時間を省略できることにより、水素発生効率を高くすることができ、窒素酸化物用触媒ロータ18の窒素酸化物の除去性能を高くすることができる。
【0027】
図12は本発明の実施の形態5による別の換気装置を示す構成図である。上記においては、水素供給部62は触媒ロータ18の所定の領域に対して風上側から均一に水素を吹き付けるように、図10のように構成したが、図12に示すように触媒ロータ18の風下側からも同時に水素を供給するようにしても良い。
図12に示すように、触媒ロータ18に対して対称となる位置に第2のガス供給部85を設け、水素用水電解装置81で生成した水素を配管86を介して供給し、ガス供給部85と風上側にあるガス供給部62の両方から、触媒ロータ18に水素を吹き付けるようにしている。
この構成によれば、窒素酸化物との反応に利用されないで下流側に漏れ出していた水素の量を減少させることにより、水素の利用効率を高くすることができ、省エネルギー型の窒素酸化物除去を実現することができる。
【0028】
本実施の形態も、実施の形態1と同様に、取り込んだ空気から、窒素酸化物を除去することができ、室内に清浄な空気を供給できる効果があると共に、窒素酸化物を吸着する触媒を自動的に再生することができるので、メンテナンス性が向上し、ユーザーの作業負担や経費負担を大幅に軽減できる効果がある、といった従来にない顕著な効果を奏するものである。
【0029】
実施の形態6.
以下に、実施の形態6について、図を用いて説明する。実施の形態1では、空気中の窒素酸化物と揮発性有機化合物を同時に除去できるようにしていたが、酸素用水電解装置91を用い、揮発性有機化合物の除去効果を高め、揮発性有機化合物のみを効率よく除去するような構成にしてもよい。
図13はこの発明の実施の形態5による換気装置の構成図、図14はこの換気装置で使用される酸素用水電解装置91の構成図である。図において、上記実施の形態と同一または相当部分には同一符号を付け、説明を省略する。上記実施の形態1,5と比べると、吸着剤表面に担持されている触媒は二酸化マンガンだけとなる。
【0030】
酸素用水電解装置91による酸素生成動作について図14を用いて説明する。固体電解質体71の表面に形成された陽極部72と陰極部74との間に陽極用給電体73と陰極用給電体75を介して直流電圧を印加する。陰極部74に隣接している空間92から水蒸気を含んだ空気83が通路93を介して固体電解質体71に供給される。その水蒸気は電極で挟まれている固体電解質体71に直接供給されるので、固体電解質体71内を移動することが必要でないため、吸収された水蒸気が効率よく電気分解され、陽極部72において酸素76が発生する。一方、陰極部74では水素が発生するが、陰極部74に隣接している空間92が通路93を介して開放されているため、水素は回収できない。回収できない水素は第2の送風機5によって空気とともに極低濃度で室外に放出される。また、生成した水素を触媒などによって空気中の酸素と反応させて水を作るようにしてもよい。
この構成によれば、水蒸気が固体電解質体71内を移動する時間を省略できることにより、酸素発生効率を高くすることができ、揮発性有機化合物用触媒ロータ19の揮発性有機化合物の除去性能を高くすることができる。また、揮発性有機化合物用触媒ロータ19に付着している微生物を殺菌することができ、揮発性有機化合物用触媒ロータ19の衛生度を高く維持できる。
【0031】
なお、上記実施例では、酸素用水電解装置91で生成した酸素をオゾン発生器8でオゾン化酸素に変換し、揮発性有機物用触媒ロータ19に吸着している揮発性有機化合物を酸化分解するものを示したが、リサイクル、環境の問題やオゾン生成効率の問題を除けば、酸素用水電解装置71の陽極部72の材質を白金から二酸化鉛や人工ダイヤモンドにして、直接オゾン化酸素を作るようにしてもよい。
【0032】
本実施の形態も実施の形態5と同様に、取り込んだ空気から、窒素酸化物を除去することができ、室内に清浄な空気を供給できる効果があると共に、窒素酸化物を吸着する触媒を自動的に再生することができるので、メンテナンス性が向上し、ユーザーの作業負担や経費負担を大幅に軽減できる効果がある、といった従来にない顕著な効果を奏するものである。
【0033】
実施の形態7.
以下に、実施の形態7について、図を用いて説明する。実施の形態1では、吸気した空気中の窒素酸化物や揮発性有機化合物を除去して、室内に供給するように構成したが、窒素酸化物や揮発性有機化合物を除去した後の空気を熱交換して室内に供給するようにしても良い。
図15はこの発明の実施の形態7による換気装置の構成図で、図において、層状の流路を有し、一層毎に流れ方向が異なる空気が流れるようになった熱交換素子95を用いて室外に放出する空気が持っている熱量を室内に供給する空気96を供給している。
【0034】
また、図16はこの発明の実施の形態7による別の換気装置の構成図で、吸気側の通路12に、すなわち第1の送風機4と触媒ロータ1の間に熱交換器97を備え、室内に供給する空気98の温度を調節したものである。
【0035】
上記の図15および図16に示すように窒素酸化物や揮発性有機化合物を除去した後の空気を熱交換して室内に供給することにより、室内により快適な空気を供給することができる。特に、図15に示す構成にすれば、熱交換素子内で窒素酸化物や揮発性有機化合物が蓄積することを防止できるので、熱交換素子が腐食することを防止できる。
【0036】
実施の形態8.
以下に、実施の形態8について、図を用いて説明する。実施の形態1においては、吸気側通路12と排気側通路13を有した換気装置において窒素酸化物と揮発性有機化合物を除去する場合について示したが、本実施の形態のように吸気側の通路12で窒素酸化物や揮発性有機化合物を除去と触媒ロータ1の再生を行うようにしても良い。
図17は、本実施の形態8による換気装置の構成図で、図中(a)は全体構成図、図中(b)は(a)中のE−E方向から見た触媒ロータ1の周辺構成を示した図である。一つの通路内において、触媒ローラ1のガス供給部6によって塞がれている部分以外のところで窒素酸化物と揮発性有機化合物の除去が行われ、ガス供給部6で触媒ロータ1の再生が行われる。この際、ガス供給部6で触媒ロータ1の再生によって生成する物質は窒素、炭酸ガス、および水であるため、吸気される空気と混合されても問題はない。
【0037】
図18は、本発明の実施の形態8による別の換気装置の構成図で、触媒ロータ1に対して対称となる位置にガス吸引部52を設け、そのガス吸引部52に吸引ポンプ51を接続し、触媒ロータ1の再生時にガスを吸引して外部に放出しているようにしている。
【0038】
上記の図17および図18に示すように窒素酸化物や揮発性有機化合物を除去した後の空気を室内に供給することにより、室内環境を良くすることができる。特に、図17に示す構成にすれば、水素と酸素が反応して、水素が無効に消費されることを防ぐことができると共に、再生時に分解されずに脱着した窒素酸化物や揮発性有機化合物を外部に排出することにより、より清浄な空気を室内に供給できる効果がある。
【0039】
なお、上記実施の形態8では、吸気側の通路12で窒素酸化物や揮発性有機化合物を除去と触媒ロータ1の再生を行う場合について示したが、排気側の通路13で窒素酸化物や揮発性有機化合物を除去と触媒ロータ1の再生を行う場合についてもほぼ同様の効果が得られる。
【0040】
実施の形態9.
上記実施の形態8においては、吸気側の通路12で窒素酸化物や揮発性有機化合物を除去と触媒ロータ1の再生を行う場合について示したが、本実施の形態のように、窒素酸化物や揮発性有機化合物を除去した後の空気を熱交換して室内に供給するようにしても良い。
図19は本実施の形態9による換気装置の構成図で、送風機4と触媒ロータ1の間に熱交換器97を備え、室内に供給する空気の温度を調節したものである。
【0041】
この構成によれば、窒素酸化物や揮発性有機化合物を除去した後の空気を熱交換して室内に供給することにより、室内により快適な空気を供給することができる。更にまた、閉鎖空間もしくは密閉性の高い空間でこの動作を行うことにより、空気を外部から導入したり排出したりすることなく、前記空間内の空気を清浄化でき、省エネルギーで空間内の空気を清浄化できる。
【0042】
実施の形態8,9においても、実施の形態1と同様に、取り込んだ空気から、窒素酸化物や揮発性有機化合物を除去することができ、室内に清浄な空気を供給できる効果があると共に、窒素酸化物や揮発性有機化合物を吸着する触媒を自動的に再生することができるので、メンテナンス性が向上し、ユーザーの作業負担や経費負担を大幅に軽減できる効果がある、といった従来にない顕著な効果を奏するものである。
【0043】
上記実施の形態において、同一符号は同一部分を示す。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施の形態1による換気装置を示す構成図で、図中(a)は全体構成図、(b)は(a)中A−A方向から見た触媒ロータ1の周辺構成を示した図である。
【図2】本発明の実施の形態1による換気装置に用いられる触媒ロータの拡大構成図である。
【図3】本発明の実施の形態1による換気装置に用いられる水電解装置を示す構成図である。
【図4】本発明の実施の形態1による別の換気装置を示す構成図で、図中(a)は全体構成図、(b)は(a)中B−B方向から見た触媒ロータ1の周辺構成を示した図である。
【図5】本発明の実施の形態2による換気装置を示す構成図で、図中(a)は全体構成図、(b)は(a)中C−C方向から見た触媒ロータ1の周辺構成を示した図である。
【図6】本発明の実施の形態3による換気装置を示す構成図である。
【図7】本発明の実施の形態3による別の換気装置を示す構成図である。
【図8】本発明の実施の形態3によるさらに別の換気装置を示す構成図である。
【図9】本発明の実施の形態4による換気装置を示す構成図である。
【図10】本発明の実施の形態5による換気装置を示す構成図で、図中(a)は全体構成図、(b)は(a)中D−D方向から見た触媒ロータ18の周辺構成を示した図である。
【図11】本発明の実施の形態5による換気装置に用いられる水電解装置を示す構成図である。
【図12】本発明の実施の形態5による別の換気装置を示す構成図である。
【図13】本発明の実施の形態6による換気装置を示す構成図である。
【図14】本発明の実施の形態6の換気装置に用いられる水電解装置を示す構成図である。
【図15】本発明の実施の形態7による換気装置を示す構成図である。
【図16】本発明の実施の形態7による別の換気装置を示す構成図である。
【図17】本発明の実施の形態8による換気装置を示す構成図で、図中(a)は全体構成図、(b)は(a)中のE−E方向から見た触媒ロータ1の周辺構成を示した図である。
【図18】本発明の実施の形態8による別の換気装置を示す構成図である。
【図19】本発明の実施の形態9による換気装置を示す構成図である。
【符号の説明】
【0045】
1 触媒ロータ、 1a ハニカム体、 1b 吸着剤、 1c 触媒、
2 触媒回転モータ、 3 除塵フィルター、 4 第一の送風機、
5 第二の送風機、 6 ガス供給部、 7 水電解装置、 8 オゾン発生器、
9 窒素酸化物と揮発性有機化合物が除去された空気、 10 室外の空気、
11 仕切壁、 12 吸気側の通路、 13 排気側の通路、
14 室内の空気、 15 室外へ排出される空気、 16 ガス清浄化部、
18 窒素酸化物用触媒ロータ、 19 揮発性有機化合物用触媒ロータ、
21 加圧ポンプ、 22 加圧容器、 31 加湿装置、 32 容器、
41 冷却装置、 42 熱交換器、 51 吸引ポンプ、 52、ガス吸引部、
61 オゾン供給部、 62 水素供給部、 63 分離部、 71 固体電解質体、
72 陽極部、 73 陽極用給電体、 74 陰極部、 75 陰極用給電体、
76 酸素、 77 水素、 81 水素用水電解装置、 82、92 空間、
83 空気、 84、93 通路、 85 第2のガス供給部、 86 配管、
91 酸素用水電解装置、 95 熱交換素子、
96、98 窒素酸化物、揮発性有機化合物の除去後熱交換された空気、
97 熱交換器。
【技術分野】
【0001】
この発明は、窒素酸化物や揮発性有機化合物などの有害物質を除去する機能を有する空調装置または換気装置及び換気装置の有害物質除去方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の換気装置では、熱交換素子を通過した外気を窒素酸化物除去フィルターとして設けられた添着活性炭に通過させ、室内へ窒素酸化物が流入するのを防ぐ方式が採用されており、この添着活性炭で構成されたフィルターを間欠的に加熱によって再生するようにしている(例えば特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】特開2000−111118号公報([0009]〜[0014]、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来の換気装置にあっては、窒素酸化物除去フィルターを加熱再生する場合に、フィルター表面が高温になるため、フィルター表面に燃えやすい物体(綿埃など)が付着していないことが前提となり動作に著しい制限があった。また、加熱再生した直後のフィルター温度が高い時には、フィルターの吸着能力が低下し、窒素酸化物を効率的に捕捉できないといった問題があった。更に、吸着剤を再生する場合に室内への給気を停止しなければならなく、常時換気ができないといった問題があった。
【0005】
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、安定して窒素酸化物などの有害物質を除去する換気装置(空調装置も含む)を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る換気装置は、送風機により外気を取り込むまたは外気を取り込み室内の空気と交換する換気装置において、取り込んだ空気の流れる通路方向を遮るように配設され、少なくとも窒素酸化物または揮発性有機化合物のいずれかの吸着剤を保持させた吸着部と、前記通路の空気の流れる方向を軸として前記吸着部を回転させる駆動部と、前記吸着剤に吸着した窒素酸化物または揮発性有機化合物を除去するためのガス供給部とを備え、該ガス供給部を前記吸着部の一部に近接配置したことを特徴とするものである。
【0007】
この発明に係る換気装置の有害物質除去方法は、送風機により外気を取り込むまたは外気を取り込み室内の空気と交換する換気装置において、取り込んだ空気の流れる通路を遮るように配設された少なくとも窒素酸化物または揮発性有機化合物のいずれかの吸着剤に、前記吸着剤に応じて空気中の少なくとも窒素酸化物または揮発性有機化合物のいずれかを吸着させて室内に空気を導入する工程と前記吸着された窒素酸化物または揮発性有機化合物をガスによって除去する工程とを備え、前記窒素酸化物または揮発性有機化合物を吸着させた部位を順次移動させて除去することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明に係る換気装置及び有害物質除去方法は、取り込んだ空気から、窒素酸化物や揮発性有機化合物を除去することができ、室内に清浄な空気を供給できる効果があると共に、窒素酸化物や揮発性有機化合物を吸着する触媒を自動的に再生することができるので、メンテナンス性が向上し、ユーザーの作業負担や経費負担を大幅に軽減できる効果がある、といった従来にない顕著な効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
実施の形態1.
以下に、本発明の実施の形態1による換気装置について、図を用いて説明する。
図1は本発明の実施の形態1による換気装置を示す構成図で、図中(a)は全体構成図、図中(b)は(a)中のA−A方向から見た触媒ロータ1の周辺構成を示した図である。図において、換気装置の左側が室外、右側が室内である。換気装置は仕切壁11により送風の通路が吸気側、排気側に上下二分され、2つの通路12および通路13を形成する。さらに、軸方向に通気性を有するハニカム構造の触媒ロータ1を、通路12および通路13を遮るように仕切壁11に貫設する。触媒ロータ1は触媒回転モータ2に接続されており、所定の回転速度で連続的に、または、ステップ状に回転する。ここでは送風の通路を円筒状としているが、円筒状に限るものではなく、直方体形状の通路等であってもよい。この場合、触媒ロータ1の設置部のみ円筒状にする等により触媒ロータは回転可能である。
吸気側の通路12には、除塵フィルター3、触媒ロータ1、第1の送風機4が配置される。一方、排気側の通路13には、第2の送風機5、ガス供給部6、触媒ロータ1が配置される。ガス供給部6は、オゾン供給部61と水素供給部62から構成され、オゾン供給部61はオゾン発生器8を介して水電解装置7に接続され、水素供給部62は水電解装置7に直接接続されている。ガス供給部6は触媒ロータ1の所定の領域に対して均一に水素またはオゾンを吹き付けるような構造になっている。例えば、触媒ロータ1に対向している面は均一にガスを放出できるように穴開き構造となっている。また、ガス供給部6は、ゴム、樹脂などの柔軟性を有する材料で作られた枠体を介して触媒ロータ1と接触するように作られており、触媒ロータ1とガス供給部6の隙間から水素またはオゾンが漏れ出ないようにしている。なお、必ず接触している必要はなく、触媒ロータ1とガス供給部6の隙間から漏れでない程度の隙間があってもよい。
【0010】
図2は触媒ロータ1の構成を示す模式図で、図中(a)は、装置のハニカム構造を示す図、(b)は触媒が配置された状態を示す図である。図2において、触媒ロータ1のハニカム体1aの表面にゼオライトや活性炭などの吸着剤1bを塗布あるいは表面処理により付着され、さらに、その吸着剤表面に窒素酸化物を還元分解するための白金、および揮発性有機化合物を酸化分解するための二酸化マンガンなどの触媒1cが添着されたものである。
【0011】
次に動作について説明する。まず、吸気側の通路12では、第1の送風機4を稼動させ、室外の空気10を吸い込み、除塵フィルター3により空気10は粒子成分を取り除かれた状態になる。この状態で触媒ロータ1に入ると、触媒ロータ1では空気10中の窒素酸化物と揮発性有機化合物が吸着除去され、室内へ吹き出される。よって、窒素酸化物と揮発性有機化合物が除去された空気9が室内に供給される。
一方、排気側の通路13では、第2の送風機5を稼動させ、室内の汚れた空気14を吸い込み、触媒ロータ1に導く。前述した吸気側通路12で吸着した窒素酸化物と揮発性有機化合物がロータの回転とともに通路13側に移動し、水電解装置7によって生成された水素によって窒素酸化物が還元分解され、触媒ロータ1に供給された空気と共に、室外に放出される。同時に、水電解装置7によって生成された酸素がオゾン発生器8によってオゾン化酸素に変換され、そのオゾンによって揮発性有機化合物が酸化分解され、これら分解生成物(CO2,H2O等)は、触媒ロータ1に供給された空気と共に、室外に放出される。
この操作により、触媒ロータ1の表面に付着した窒素酸化物や揮発性有機化合物は除去され、触媒ロータ1の表面が初期状態に戻される。これらの一連の動作を繰り返すことにより、常に、室内には窒素酸化物や揮発性有機化合物が除去された清浄な空気9が供給される。
【0012】
次に、水電解装置7による水素および酸素生成動作について図3を用いて説明する。図3は、水電解装置の構成を示す図で、図において、吸湿体からなる固体電解質体71の表面に形成された陽極部72と陰極部74との間に、陽極用給電体73と陰極用給電体75を介して直流電圧を印加する。これにより、固体電解質71に吸収された水蒸気が電気分解され、陽極部72において酸素76が発生し、陰極部74において水素77が発生する。固体電解質体71には通常吸水性が非常に大きいナフィオン膜を使用する。また、陽極部72に含有させる酸化触媒としては、白金、ロジウム、イリジウム等酸素過電圧の小さい金属もしくはこれらの化合物が望ましく、これらのうちの1種もしくは2種以上の混合物を使用する。一方、陰極部74の母材としては、白金、ルテニウム、パラジウム等の水素過電圧の小さい金属もしくはこれらの化合物が望ましく、これらのうちの1種もしくは2種以上の混合物を使用する。なお、固体電解質体71に供給される水蒸気は、室内の空気を利用することにより安定的に水蒸気を供給できるので、水電解装置7は排気側の通路13に設置することが望ましい。また、別途、水蒸気を供給するようにしてもよい。
【0013】
次に、水素を用いた窒素酸化物の還元分解方法とオゾンを用いた揮発性有機化合物の酸化分解方法について述べる。窒素酸化物が吸着した白金担持吸着剤の表面に水素が供給されると、白金の触媒作用により窒素酸化物から酸素が引き抜かれ、窒素酸化物は窒素に還元される。一方、揮発性有機化合物が吸着した二酸化マンガン担持吸着剤の表面にオゾンが供給されると、オゾンは二酸化マンガンの触媒作用により酸素原子と酸素分子に分解される。その酸素原子が揮発性有機化合物を炭酸ガスと水に酸化される。なお、本装置では、オゾンを生成する際に酸素を使用しているため、オゾン発生時に窒素酸化物の生成はない。また、このように還元力を有する水素と酸化力を有するオゾンを利用するため、ある領域に同時に供給すると、水素とオゾンが反応してしまい、窒素酸化物や揮発性有機化合物の分解性能が低下する。このため、水素とオゾンの供給部は図1中(b)に示されるように分けて構成することが望ましい。さらに、水素供給部62とオゾン供給部61の間に空間を備えるようにすることにより、先の処理で触媒ロータ1上に残留した水素、水素を吸着した物質などがハニカム構造体の個々の通路を介して一旦空気で排気されるので、水素とオゾンの無効反応を抑えることができ、水素およびオゾンの利用効率を高めることができる。
【0014】
なお、上記説明では、図1においてガス供給部6のみを排気側の通路13に設置するものを示したが、図4に示すように、ガス供給部6、水電解装置7、オゾン発生器8を一体化したガス清浄化部16を排気側の通路13に配置してもよく、同じ作用効果を奏することは言うまでもない。この際、触媒ロータ1に供給されるオゾンと水素が分離できるようにオゾン供給部と水素供給部とは分離部63等を用いて分離しておくことが、上述のとおり必要である。
【0015】
以上のように、この実施の形態1においては、吸気側で触媒ロータ1により窒素酸化物や揮発性有機化合物を除去し、排気側で触媒ロータ1を水素およびオゾンで再生できることにより、常時、清浄な空気を室内に供給することができる。また、窒素酸化物や揮発性有機化合物を吸着する触媒を自動的に再生することができるので、メンテナンス性が飛躍的に向上し、ユーザーの作業負担や経費負担を大幅に軽減できる。更に、水素とオゾンの供給部を分離することにより、水電解装置7で生成した水素とオゾンを有効に利用することができ、触媒ロータ1の再生に必要なエネルギーを低減することができる。更に、触媒ロータ1に一定間隔でオゾンを供給していることにより、オゾンの殺菌力を用いて触媒ロータ1表面に付着した微生物を殺すことができ、触媒ロータ1の衛生性を維持できる。
【0016】
この実施の形態によれば、換気・空調装置に、装置内に取り込む空気が流れる流路に、白金および二酸化マンガンを担持したハニカム状吸着剤、吸着剤回転用モータ、水電解装置、オゾン発生器、水素供給部、オゾン供給部から構成される有害物質除去部を取り付けるようにしたことにより、取り込んだ空気から、窒素酸化物や揮発性有機化合物を除去することができ、室内に清浄な空気を供給できる効果があると共に、窒素酸化物や揮発性有機化合物を吸着する触媒を自動的に再生することができるので、メンテナンス性が向上し、ユーザーの作業負担や経費負担を大幅に軽減できる効果がある、といった従来にない顕著な効果を奏するものである。
【0017】
実施の形態2.
揮発性有機化合物の問題が少ない場合の実施の形態について図を用いて説明する。
図5は本発明の実施の形態2による換気装置を示す構成図で、図中(a)は全体構成図、図中(b)は(a)中のB−B方向から見た触媒ロータ1の周辺構成を示した図である。この図のように触媒ロータ1へのオゾンの供給をしないようにしてもよい。この例では、水電解装置7によって生成された酸素をオゾン化するオゾン発生器8を取り外し、酸素の供給先を吸気側の通路12としたものである。
【0018】
この構成によれば、外気よりも酸素濃度を若干高くした空気を室内に供給できるので、室内の酸素濃度低下を防ぐことができ、室内環境をより快適なものにすることができる。なお、本装置では、室内への吸気と室内からの排気を同時に行っているため、過剰に酸素が室内に供給される、すなわち酸素濃度がパーセントオーダで増加することはなく、高濃度酸素障害を引き起こすことはない。
また、実施の形態1と同様に、取り込んだ空気から、揮発性有機化合物を除去することができ、室内に清浄な空気を供給できる効果があると共に、揮発性有機化合物を吸着する触媒を自動的に再生することができるので、メンテナンス性が向上し、ユーザーの作業負担や経費負担を大幅に軽減できる効果がある、といった従来にない顕著な効果を奏するものである。
【0019】
実施の形態3.
以下に、実施の形態3について、図を用いて説明する。実施の形態1の図1では、水電解装置7を排気側の通路13に設置することにより、水電解装置7の固体電解質体71に安定的に水蒸気を供給するように構成したが、本実施の形態3の図6に示すように水電解装置7から突出している固体電解質体71の周囲を加圧状態にするようにしても良い。
図6は本発明の実施の形態3による換気装置を示す構成図である。この図のように、水電解装置7から突出している固体電解質体71を加圧容器22で覆い、その加圧容器22に加圧ポンプ21を接続し、固体電解質体71の周囲環境の水蒸気分圧を高めている。
この構成によれば、水電解装置7への水蒸気の供給量を多くできることにより、水素および酸素の発生量を多くすることができ、窒素酸化物や揮発性有機化合物の除去効率を高くすることができる。
【0020】
また、図7は本発明の実施の形態3による別の換気装置を示す構成図であるが、図7に示すように水電解装置7から突出している固体電解質体71の周囲を高湿状態にするようにしても良い。例えば、この図7に示すように水電解装置7から突出している固体電解質体71を容器32で覆い、その容器32に加湿装置31を接続し、固体電解質体71の周囲環境の水分濃度を高めている。この時に使用できる加湿装置31としては、水をヒータによって加温することによって蒸散を促進するヒータ式加湿装置、超音波振動子を用いて水を振動させることによって蒸散を促進する超音波式加湿装置などがある。また、加温された水にガスをバブリングすることによって生成される過飽和ガスを容器32に供給するようにしてもよい。
この構成でも、水電解装置7への水蒸気の供給量を多くできることにより、水素および酸素の発生量を多くすることができ、窒素酸化物や揮発性有機化合物の除去効率を高くすることができる。
【0021】
図8は本発明の実施の形態3によるさらに別の換気装置を示す構成図である、図8に示すように水電解装置7から突出している固体電解質体71を熱交換器に接触させる高湿状態にするようにしても良い。例えば、図8に示すように水電解装置7から突出している固体電解質体71に熱交換器42を接触し、その熱交換器42を冷却装置41に接続し、固体電解質体71を冷却する。これにより、固体電解質体71表面で空気中の水が結露し、固体電解質体71に表面の水分量を多くしている。また、熱交換器の代わりにぺルチェ素子を用いて、電機エネルギーを利用し冷熱を作ることによって得られた結露水を固体電解質体71表面に供給するようにしても良い。
上記の構成においても、水電解装置7への水の供給量を多くできることにより、水素および酸素の発生量を多くすることができ、窒素酸化物や揮発性有機化合物の除去効率を高くすることができる。
【0022】
本実施の形態も、実施の形態1と同様に、取り込んだ空気から、窒素酸化物や揮発性有機化合物を除去することができ、室内に清浄な空気を供給できる効果があると共に、窒素酸化物や揮発性有機化合物を吸着する触媒を自動的に再生することができるので、メンテナンス性が向上し、ユーザーの作業負担や経費負担を大幅に軽減できる効果がある、といった従来にない顕著な効果を奏するものである。
【0023】
実施の形態4.
以下に、実施の形態4について、図を用いて説明する。実施の形態1の図1では、水素供給部62は触媒ロータ1の所定の領域に対して均一に水素を吹き付けるように構成したが、本実施の形態4の図9に示すように水素供給部62に対応した触媒ロータ1の部位の圧力を低下させ、そこに水素供給部62から水素を供給するようにしても良い。図9は、本発明の実施の形態4による換気装置を示す構成図である。この図に示すように、触媒ロータ1に対して対照となる位置にガス吸引部52を設け、そのガス吸引部52に吸引ポンプ51を接続し、触媒ロータ1の周囲圧力を低減するようにしている。
この構成によれば、水素と酸素が反応して、水素が無効に消費されることを防ぐことができると共に、吸着している窒素酸化物の脱着量を多くすることにより、触媒ロータ1からの窒素酸化物の除去性能を高くすることができる。
【0024】
本実施の形態も、実施の形態1と同様に、取り込んだ空気から、窒素酸化物や揮発性有機化合物を除去することができ、室内に清浄な空気を供給できる効果があると共に、窒素酸化物や揮発性有機化合物を吸着する触媒を自動的に再生することができるので、メンテナンス性が向上し、ユーザーの作業負担や経費負担を大幅に軽減できる効果がある、といった従来にない顕著な効果を奏するものである。
【0025】
実施の形態5.
以下に、実施の形態5について、図を用いて説明する。実施の形態1では、空気中の窒素酸化物と揮発性有機化合物を同時に除去できるようにしていたが、水素用水電解装置81を用い、窒素酸化物の除去効果を高め、窒素酸化物のみを効率よく除去するような構成にしてもよい。
図10はこの発明の実施の形態5による換気装置の構成図、図11はこの換気装置で使用される水素用水電解装置81の構成図である。図において、上記実施の形態1と同一または相当部分には同一符号を付し、説明を省略する。上記実施の形態1と比べると、吸着剤表面に担持されている触媒は白金だけとなる。
【0026】
次に、水素用水電解装置81による水素生成動作について図11を用いて説明する。固体電解質体71の表面に形成された陽極部72と陰極部74との間に陽極用給電体73と陰極用給電体75を介して直流電圧を印加する。陽極部72に隣接している空間82から水蒸気を含んだ空気83が通路84を介して固体電解質体71に供給される。その水蒸気は電極で挟まれている固体電解質体71に直接供給されるので、固体電解質体71内を移動することが必要でないため、吸収された水蒸気が効率よく電気分解され、陰極部74において水素77が発生する。一方、陽極部72では酸素が発生するが、陽極部72に隣接している空間82が通路84を介して開放されているため、酸素は回収できない。回収できない酸素は第2の送風機5によって空気とともに極低濃度で室外に放出される。
この構成によれば、水蒸気が固体電解質体71内を移動する時間を省略できることにより、水素発生効率を高くすることができ、窒素酸化物用触媒ロータ18の窒素酸化物の除去性能を高くすることができる。
【0027】
図12は本発明の実施の形態5による別の換気装置を示す構成図である。上記においては、水素供給部62は触媒ロータ18の所定の領域に対して風上側から均一に水素を吹き付けるように、図10のように構成したが、図12に示すように触媒ロータ18の風下側からも同時に水素を供給するようにしても良い。
図12に示すように、触媒ロータ18に対して対称となる位置に第2のガス供給部85を設け、水素用水電解装置81で生成した水素を配管86を介して供給し、ガス供給部85と風上側にあるガス供給部62の両方から、触媒ロータ18に水素を吹き付けるようにしている。
この構成によれば、窒素酸化物との反応に利用されないで下流側に漏れ出していた水素の量を減少させることにより、水素の利用効率を高くすることができ、省エネルギー型の窒素酸化物除去を実現することができる。
【0028】
本実施の形態も、実施の形態1と同様に、取り込んだ空気から、窒素酸化物を除去することができ、室内に清浄な空気を供給できる効果があると共に、窒素酸化物を吸着する触媒を自動的に再生することができるので、メンテナンス性が向上し、ユーザーの作業負担や経費負担を大幅に軽減できる効果がある、といった従来にない顕著な効果を奏するものである。
【0029】
実施の形態6.
以下に、実施の形態6について、図を用いて説明する。実施の形態1では、空気中の窒素酸化物と揮発性有機化合物を同時に除去できるようにしていたが、酸素用水電解装置91を用い、揮発性有機化合物の除去効果を高め、揮発性有機化合物のみを効率よく除去するような構成にしてもよい。
図13はこの発明の実施の形態5による換気装置の構成図、図14はこの換気装置で使用される酸素用水電解装置91の構成図である。図において、上記実施の形態と同一または相当部分には同一符号を付け、説明を省略する。上記実施の形態1,5と比べると、吸着剤表面に担持されている触媒は二酸化マンガンだけとなる。
【0030】
酸素用水電解装置91による酸素生成動作について図14を用いて説明する。固体電解質体71の表面に形成された陽極部72と陰極部74との間に陽極用給電体73と陰極用給電体75を介して直流電圧を印加する。陰極部74に隣接している空間92から水蒸気を含んだ空気83が通路93を介して固体電解質体71に供給される。その水蒸気は電極で挟まれている固体電解質体71に直接供給されるので、固体電解質体71内を移動することが必要でないため、吸収された水蒸気が効率よく電気分解され、陽極部72において酸素76が発生する。一方、陰極部74では水素が発生するが、陰極部74に隣接している空間92が通路93を介して開放されているため、水素は回収できない。回収できない水素は第2の送風機5によって空気とともに極低濃度で室外に放出される。また、生成した水素を触媒などによって空気中の酸素と反応させて水を作るようにしてもよい。
この構成によれば、水蒸気が固体電解質体71内を移動する時間を省略できることにより、酸素発生効率を高くすることができ、揮発性有機化合物用触媒ロータ19の揮発性有機化合物の除去性能を高くすることができる。また、揮発性有機化合物用触媒ロータ19に付着している微生物を殺菌することができ、揮発性有機化合物用触媒ロータ19の衛生度を高く維持できる。
【0031】
なお、上記実施例では、酸素用水電解装置91で生成した酸素をオゾン発生器8でオゾン化酸素に変換し、揮発性有機物用触媒ロータ19に吸着している揮発性有機化合物を酸化分解するものを示したが、リサイクル、環境の問題やオゾン生成効率の問題を除けば、酸素用水電解装置71の陽極部72の材質を白金から二酸化鉛や人工ダイヤモンドにして、直接オゾン化酸素を作るようにしてもよい。
【0032】
本実施の形態も実施の形態5と同様に、取り込んだ空気から、窒素酸化物を除去することができ、室内に清浄な空気を供給できる効果があると共に、窒素酸化物を吸着する触媒を自動的に再生することができるので、メンテナンス性が向上し、ユーザーの作業負担や経費負担を大幅に軽減できる効果がある、といった従来にない顕著な効果を奏するものである。
【0033】
実施の形態7.
以下に、実施の形態7について、図を用いて説明する。実施の形態1では、吸気した空気中の窒素酸化物や揮発性有機化合物を除去して、室内に供給するように構成したが、窒素酸化物や揮発性有機化合物を除去した後の空気を熱交換して室内に供給するようにしても良い。
図15はこの発明の実施の形態7による換気装置の構成図で、図において、層状の流路を有し、一層毎に流れ方向が異なる空気が流れるようになった熱交換素子95を用いて室外に放出する空気が持っている熱量を室内に供給する空気96を供給している。
【0034】
また、図16はこの発明の実施の形態7による別の換気装置の構成図で、吸気側の通路12に、すなわち第1の送風機4と触媒ロータ1の間に熱交換器97を備え、室内に供給する空気98の温度を調節したものである。
【0035】
上記の図15および図16に示すように窒素酸化物や揮発性有機化合物を除去した後の空気を熱交換して室内に供給することにより、室内により快適な空気を供給することができる。特に、図15に示す構成にすれば、熱交換素子内で窒素酸化物や揮発性有機化合物が蓄積することを防止できるので、熱交換素子が腐食することを防止できる。
【0036】
実施の形態8.
以下に、実施の形態8について、図を用いて説明する。実施の形態1においては、吸気側通路12と排気側通路13を有した換気装置において窒素酸化物と揮発性有機化合物を除去する場合について示したが、本実施の形態のように吸気側の通路12で窒素酸化物や揮発性有機化合物を除去と触媒ロータ1の再生を行うようにしても良い。
図17は、本実施の形態8による換気装置の構成図で、図中(a)は全体構成図、図中(b)は(a)中のE−E方向から見た触媒ロータ1の周辺構成を示した図である。一つの通路内において、触媒ローラ1のガス供給部6によって塞がれている部分以外のところで窒素酸化物と揮発性有機化合物の除去が行われ、ガス供給部6で触媒ロータ1の再生が行われる。この際、ガス供給部6で触媒ロータ1の再生によって生成する物質は窒素、炭酸ガス、および水であるため、吸気される空気と混合されても問題はない。
【0037】
図18は、本発明の実施の形態8による別の換気装置の構成図で、触媒ロータ1に対して対称となる位置にガス吸引部52を設け、そのガス吸引部52に吸引ポンプ51を接続し、触媒ロータ1の再生時にガスを吸引して外部に放出しているようにしている。
【0038】
上記の図17および図18に示すように窒素酸化物や揮発性有機化合物を除去した後の空気を室内に供給することにより、室内環境を良くすることができる。特に、図17に示す構成にすれば、水素と酸素が反応して、水素が無効に消費されることを防ぐことができると共に、再生時に分解されずに脱着した窒素酸化物や揮発性有機化合物を外部に排出することにより、より清浄な空気を室内に供給できる効果がある。
【0039】
なお、上記実施の形態8では、吸気側の通路12で窒素酸化物や揮発性有機化合物を除去と触媒ロータ1の再生を行う場合について示したが、排気側の通路13で窒素酸化物や揮発性有機化合物を除去と触媒ロータ1の再生を行う場合についてもほぼ同様の効果が得られる。
【0040】
実施の形態9.
上記実施の形態8においては、吸気側の通路12で窒素酸化物や揮発性有機化合物を除去と触媒ロータ1の再生を行う場合について示したが、本実施の形態のように、窒素酸化物や揮発性有機化合物を除去した後の空気を熱交換して室内に供給するようにしても良い。
図19は本実施の形態9による換気装置の構成図で、送風機4と触媒ロータ1の間に熱交換器97を備え、室内に供給する空気の温度を調節したものである。
【0041】
この構成によれば、窒素酸化物や揮発性有機化合物を除去した後の空気を熱交換して室内に供給することにより、室内により快適な空気を供給することができる。更にまた、閉鎖空間もしくは密閉性の高い空間でこの動作を行うことにより、空気を外部から導入したり排出したりすることなく、前記空間内の空気を清浄化でき、省エネルギーで空間内の空気を清浄化できる。
【0042】
実施の形態8,9においても、実施の形態1と同様に、取り込んだ空気から、窒素酸化物や揮発性有機化合物を除去することができ、室内に清浄な空気を供給できる効果があると共に、窒素酸化物や揮発性有機化合物を吸着する触媒を自動的に再生することができるので、メンテナンス性が向上し、ユーザーの作業負担や経費負担を大幅に軽減できる効果がある、といった従来にない顕著な効果を奏するものである。
【0043】
上記実施の形態において、同一符号は同一部分を示す。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施の形態1による換気装置を示す構成図で、図中(a)は全体構成図、(b)は(a)中A−A方向から見た触媒ロータ1の周辺構成を示した図である。
【図2】本発明の実施の形態1による換気装置に用いられる触媒ロータの拡大構成図である。
【図3】本発明の実施の形態1による換気装置に用いられる水電解装置を示す構成図である。
【図4】本発明の実施の形態1による別の換気装置を示す構成図で、図中(a)は全体構成図、(b)は(a)中B−B方向から見た触媒ロータ1の周辺構成を示した図である。
【図5】本発明の実施の形態2による換気装置を示す構成図で、図中(a)は全体構成図、(b)は(a)中C−C方向から見た触媒ロータ1の周辺構成を示した図である。
【図6】本発明の実施の形態3による換気装置を示す構成図である。
【図7】本発明の実施の形態3による別の換気装置を示す構成図である。
【図8】本発明の実施の形態3によるさらに別の換気装置を示す構成図である。
【図9】本発明の実施の形態4による換気装置を示す構成図である。
【図10】本発明の実施の形態5による換気装置を示す構成図で、図中(a)は全体構成図、(b)は(a)中D−D方向から見た触媒ロータ18の周辺構成を示した図である。
【図11】本発明の実施の形態5による換気装置に用いられる水電解装置を示す構成図である。
【図12】本発明の実施の形態5による別の換気装置を示す構成図である。
【図13】本発明の実施の形態6による換気装置を示す構成図である。
【図14】本発明の実施の形態6の換気装置に用いられる水電解装置を示す構成図である。
【図15】本発明の実施の形態7による換気装置を示す構成図である。
【図16】本発明の実施の形態7による別の換気装置を示す構成図である。
【図17】本発明の実施の形態8による換気装置を示す構成図で、図中(a)は全体構成図、(b)は(a)中のE−E方向から見た触媒ロータ1の周辺構成を示した図である。
【図18】本発明の実施の形態8による別の換気装置を示す構成図である。
【図19】本発明の実施の形態9による換気装置を示す構成図である。
【符号の説明】
【0045】
1 触媒ロータ、 1a ハニカム体、 1b 吸着剤、 1c 触媒、
2 触媒回転モータ、 3 除塵フィルター、 4 第一の送風機、
5 第二の送風機、 6 ガス供給部、 7 水電解装置、 8 オゾン発生器、
9 窒素酸化物と揮発性有機化合物が除去された空気、 10 室外の空気、
11 仕切壁、 12 吸気側の通路、 13 排気側の通路、
14 室内の空気、 15 室外へ排出される空気、 16 ガス清浄化部、
18 窒素酸化物用触媒ロータ、 19 揮発性有機化合物用触媒ロータ、
21 加圧ポンプ、 22 加圧容器、 31 加湿装置、 32 容器、
41 冷却装置、 42 熱交換器、 51 吸引ポンプ、 52、ガス吸引部、
61 オゾン供給部、 62 水素供給部、 63 分離部、 71 固体電解質体、
72 陽極部、 73 陽極用給電体、 74 陰極部、 75 陰極用給電体、
76 酸素、 77 水素、 81 水素用水電解装置、 82、92 空間、
83 空気、 84、93 通路、 85 第2のガス供給部、 86 配管、
91 酸素用水電解装置、 95 熱交換素子、
96、98 窒素酸化物、揮発性有機化合物の除去後熱交換された空気、
97 熱交換器。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送風機により外気を取り込むまたは外気を取り込み室内の空気と交換する換気装置において、取り込んだ空気の流れる通路を遮るように配設され、少なくとも窒素酸化物または揮発性有機化合物のいずれかの吸着剤を保持させた吸着部と、前記通路の空気の流れる方向を軸として前記吸着部を回転させる駆動部と、前記吸着剤に吸着した窒素酸化物または揮発性有機化合物を除去するためのガス供給部とを備え、該ガス供給部を前記吸着部の一部に近接配置したことを特徴とする換気装置。
【請求項2】
ガス供給部は吸着剤に対応して、窒素酸化物除去用の水素ガス供給部または揮発性有機化合物除去用のオゾンガス供給部であることを特徴とする請求項1に記載の換気装置。
【請求項3】
ガス供給部は水素ガス用とオゾンガス用の2つの供給部を持ち、前記2つのガスが混合しないように吸着部の異なる部位に近接配置したことを特徴とする請求項1に記載の換気装置。
【請求項4】
吸着部の吸着剤は少なくとも窒素酸化物用の白金および揮発性有機化合物用の二酸化マンガンのいずれかの触媒を担持させたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の換気装置。
【請求項5】
吸着部がハニカム構造体から構成され、該ハニカム構造を形成する格子面吸着剤を塗布し、該吸着剤に触媒を担持させたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の換気装置。
【請求項6】
水蒸気から水素および酸素を生成する水電解装置、該水電解装置で生成した酸素からオゾンを生成するオゾン発生器、吸着剤に前記水電解装置で生成された水素を供給する水素ガス供給部、前記オゾン発生器で生成されたオゾンを供給するオゾンガス供給部を備えたことを特徴とする請求項3乃至5のいずれかに記載の換気装置。
【請求項7】
送風機により外気を取り込むまたは外気を取り込み室内の空気と交換する換気装置の有害物質除去方法であって、取り込んだ空気の流れる通路を遮るように配設された少なくとも窒素酸化物または揮発性有機化合物のいずれかの吸着剤に、前記吸着剤に応じて空気中の少なくとも窒素酸化物または揮発性有機化合物のいずれかを吸着させて室内に空気を導入する工程と前記吸着された窒素酸化物または揮発性有機化合物をガスによって除去する工程とを備え、前記窒素酸化物または揮発性有機化合物を吸着させた部位を順次移動させて除去することを特徴とする換気装置の有害物質除去方法。
【請求項8】
白金および二酸化マンガンを担持したハニカム状吸着剤を用いてガス中の窒素酸化物と揮発性有機化合物を吸着除去し、水素を用いた吸着剤表面の窒素酸化物の除去とオゾンを用いた吸着剤表面の揮発性有機化合物の除去を前記吸着剤の別々の部位で行うことを特徴とする請求項7に記載の換気装置の有害物質除去方法。
【請求項1】
送風機により外気を取り込むまたは外気を取り込み室内の空気と交換する換気装置において、取り込んだ空気の流れる通路を遮るように配設され、少なくとも窒素酸化物または揮発性有機化合物のいずれかの吸着剤を保持させた吸着部と、前記通路の空気の流れる方向を軸として前記吸着部を回転させる駆動部と、前記吸着剤に吸着した窒素酸化物または揮発性有機化合物を除去するためのガス供給部とを備え、該ガス供給部を前記吸着部の一部に近接配置したことを特徴とする換気装置。
【請求項2】
ガス供給部は吸着剤に対応して、窒素酸化物除去用の水素ガス供給部または揮発性有機化合物除去用のオゾンガス供給部であることを特徴とする請求項1に記載の換気装置。
【請求項3】
ガス供給部は水素ガス用とオゾンガス用の2つの供給部を持ち、前記2つのガスが混合しないように吸着部の異なる部位に近接配置したことを特徴とする請求項1に記載の換気装置。
【請求項4】
吸着部の吸着剤は少なくとも窒素酸化物用の白金および揮発性有機化合物用の二酸化マンガンのいずれかの触媒を担持させたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の換気装置。
【請求項5】
吸着部がハニカム構造体から構成され、該ハニカム構造を形成する格子面吸着剤を塗布し、該吸着剤に触媒を担持させたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の換気装置。
【請求項6】
水蒸気から水素および酸素を生成する水電解装置、該水電解装置で生成した酸素からオゾンを生成するオゾン発生器、吸着剤に前記水電解装置で生成された水素を供給する水素ガス供給部、前記オゾン発生器で生成されたオゾンを供給するオゾンガス供給部を備えたことを特徴とする請求項3乃至5のいずれかに記載の換気装置。
【請求項7】
送風機により外気を取り込むまたは外気を取り込み室内の空気と交換する換気装置の有害物質除去方法であって、取り込んだ空気の流れる通路を遮るように配設された少なくとも窒素酸化物または揮発性有機化合物のいずれかの吸着剤に、前記吸着剤に応じて空気中の少なくとも窒素酸化物または揮発性有機化合物のいずれかを吸着させて室内に空気を導入する工程と前記吸着された窒素酸化物または揮発性有機化合物をガスによって除去する工程とを備え、前記窒素酸化物または揮発性有機化合物を吸着させた部位を順次移動させて除去することを特徴とする換気装置の有害物質除去方法。
【請求項8】
白金および二酸化マンガンを担持したハニカム状吸着剤を用いてガス中の窒素酸化物と揮発性有機化合物を吸着除去し、水素を用いた吸着剤表面の窒素酸化物の除去とオゾンを用いた吸着剤表面の揮発性有機化合物の除去を前記吸着剤の別々の部位で行うことを特徴とする請求項7に記載の換気装置の有害物質除去方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2006−242424(P2006−242424A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−56238(P2005−56238)
【出願日】平成17年3月1日(2005.3.1)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月1日(2005.3.1)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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