説明

換気装置

【課題】 換気装置の改良に関し、移動部材がガイド柱に対して傾いて自在鉤のようになり駆動機が動かなくなることを防止する。
【解決手段】 温室Hに形成される開口Oを開閉し温室Hに吊設される開閉シート1と、この開閉シート1を巻き取り、巻き戻す巻き上げ軸2と、この巻き上げ軸2を回転する駆動機3と、この駆動機3が軸方向に沿って移動可能に取り付けられるガイド柱4とを備える換気装置であって、駆動機3が巻き上げ軸2の一端に連結されてこの巻き上げ軸2を回転する駆動機本体30と、ガイド柱4に沿って移動可能な移動部材31とからなり、開閉シート1の巻き取り、巻き戻しに伴って駆動機3がガイド柱4に沿って移動する換気装置において、駆動機本体30が移動部材31に揺動可能に連結される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、換気装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、温室においては、野菜、果樹、園芸用植物等が栽培されており、これらの栽培環境を適正にするため、適宜換気をすることが必要である。そして、換気のため、温室の妻面、側面、屋根面等に換気用の開口を設け、この開口を換気装置で開閉する。
【0003】
このような換気装置は、例えば、複数のアーチ状パイプが列設されてなる骨組と、この骨組に展張されるビニールシートとを備えて蒲鉾型に形成される温室に使用され、この温室の側面に長手方向に沿って形成される開口を開閉する。
【0004】
具体的に、上記の換気装置は、上記温室に吊設される開閉シートと、この開閉シートを巻き取り、巻き戻す巻き上げ軸と、この巻き上げ軸を回転する駆動機と、この駆動機が軸方向に沿って移動可能に取り付けられるガイド柱とを備える。
【0005】
そして、換気装置は、上記開閉シートの下端部に巻き上げ軸を連結させて、この巻き上げ軸を駆動機で回転することにより、巻き上げ軸に開閉シートを巻き取りながら温室の開口を開く。
【0006】
また、図7(a)に示すように、上記換気装置における駆動機300は、電動モータを内蔵する駆動機本体301と、この駆動機本体301に固定されて上記ガイド柱4に沿って移動可能な移動部材310とからなり、上記電動モータのモータシャフト(図示せず)は、カップリング7を介して上記巻き上げ軸2と同軸に連結され、巻き上げ軸2とともに回転する。
【0007】
そして、駆動機本体301のモータシャフトを回転したとき、巻き上げ軸2が開閉シートを巻き取るとともに、開閉シートに沿って上方向に転がりながら移動して開口を開く。
【0008】
一方、駆動機本体301のモータシャフトを逆転したときには、巻き上げ軸2は巻き取った開閉シートを巻き戻すとともに、開閉シートに沿って下方向に転がりながら移動して開口を閉じる。
【0009】
そして、上記巻き上げ軸2の上下方向の移動に伴い、駆動機300もガイド柱4に沿って上下方向に移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2001−128563号公報
【特許文献2】特開2007−274972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記従来の換気装置においては、電気モータを内蔵する駆動機本体301が重いため、図7(b)に示すように、移動部材310がガイド柱4に対して傾いて自在鉤のようになり、駆動機300が動かなくなる不具合がある。
【0012】
そして、移動部材310が自在鉤のようになった状態で、更に巻き上げ軸2を回転しようとすると、駆動機本体301に負荷がかかり故障の原因となる。
【0013】
また、このように駆動機300が動かなくなった状態で巻き上げ軸2を回転すると、開閉シートに負荷がかかるばかりか、開閉シートを破損する虞がある。
【0014】
そこで、本発明の目的は、移動部材がガイド柱に対して傾いて自在鉤のようになることを防止し、駆動機の円滑な移動を維持することが可能な換気装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するための手段は、温室に形成される開口を開閉し上記温室に吊設される開閉シートと、この開閉シートを巻き取り、巻き戻す巻き上げ軸と、この巻き上げ軸を回転する駆動機と、この駆動機が軸方向に沿って移動可能に取り付けられるガイド柱とを備える換気装置であって、上記駆動機が上記巻き上げ軸の一端に連結されてこの巻き上げ軸を回転する駆動機本体と、上記ガイド柱に沿って移動可能な移動部材とからなり、上記開閉シートの巻き取り、巻き戻しに伴って上記駆動機がガイド柱に沿って移動する換気装置において、上記駆動機本体が上記移動部材に揺動可能に連結されることを特徴とすることである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、駆動機本体が移動部材に揺動可能に取り付けられているため、駆動機本体の重みでガイド柱に対して駆動機本体が傾いたとしても、駆動機本体のみが傾いて移動部材が傾くことがない。
【0017】
したがって、移動部材が自在鉤のようになって駆動機が動かなくなることを防止し、駆動機の円滑な移動を維持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施の形態に係る換気装置を温室に取り付けた状態を示し、換気装置を正面側から見た斜視図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係る換気装置を部分的に拡大して示す背面図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係る換気装置における移動部材を拡大して示し、移動部材を背面側から見た分解斜視図である。
【図4】(a)(b)本発明の一実施の形態に係る換気装置における移動部材の対をなすローラを示す平面図である。(c)対をなすローラが上下にずらされていない状態を示す平面図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係る換気装置における移動部材の温室側のガイドプレートにローラを配置した状態を示す左側面図である。
【図6】本発明の一実施の形態に係る換気装置における駆動機にガイド部材を取り付けた状態を示す正面図である。
【図7】従来の換気装置を部分的に示す正面図である。(a)は、駆動機がガイド柱に沿って移動可能な状態を示し(b)は、駆動機がガイド柱に沿って移動できなくなった状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明の一実施の形態に係る換気装置について、図面を参照しながら説明する。いくつかの図面を通して付された同じ符号は、同じ部品か対応する部品を示す。
【0020】
図1に示すように、本実施の形態に係る換気装置は、温室Hに形成される開口Oを開閉し上記温室Hに吊設される開閉シート1と、この開閉シート1を巻き取り、巻き戻す巻き上げ軸2と、この巻き上げ軸2を回転する駆動機3と、この駆動機3が軸方向に沿って移動可能に取り付けられるガイド柱4とを備える。
【0021】
そして、上記駆動機3が上記巻き上げ軸2の一端(図1中左端)に連結されてこの巻き上げ軸2を回転する駆動機本体30と、上記ガイド柱4に沿って移動可能な移動部材31とからなり、上記開閉シート1の巻き取り、巻き戻しに伴って上記駆動機3がガイド柱4に沿って移動する。
【0022】
さらに、本発明において、上記駆動機本体30が上記移動部材31に揺動可能に連結される。
【0023】
以下、詳細に説明すると、本実施の形態に係る換気装置が設けられる温室Hは、複数のアーチ状パイプ(図示せず)が列設されてなる骨組(図示せず)と、この骨組に展張されるビニールシートSとを備えて略蒲鉾型に形成される。
【0024】
そして、この温室Hの側面H1には、長手方向に沿って開口Oが形成されてなり、本実施の形態に係る換気装置でこの開口Oを開閉する。一般的に、この開口Oには図示しないネットが展張されており、通気性を確保しつつ、害虫や害鳥が温室内に侵入することを防止している。
【0025】
つづいて、換気装置における開閉シート1は、雨や風の透過を阻止することが可能なビニールシート等からなる。上記温室Hにおける開口Oの図1中上側には、長手方向に沿ってシート定着フレーム6が設けられている。
【0026】
そして、上記開閉シート1は、このシート定着フレーム6を介して図1中上側に位置する一端を温室Hに固定され、この開閉シート1の自由端となる他端(図1中下端)には、長手方向に沿って巻き上げ軸2が取り付けられている。
【0027】
さらに、上記開閉シート1は、上記開口Oを塞ぐのに充分な大きさに形成され、上記巻き上げ軸2に巻き取られていくと上記開口Oを徐々に開き、上記巻き上げ軸2から巻き戻されていくと上記開口Oを徐々に閉じる。
【0028】
上記開閉シート1を巻き取り、巻き戻す巻き上げ軸2は、本実施の形態において、中空のパイプからなり、上記開閉シート1の長手方向長さ(図1中左右幅)よりも長く設定されているとともに、巻き上げ軸2の駆動機3側の一端(図1中左端)が温室Hの妻面H2よりはみ出すように配置されている。
【0029】
さらに、本実施の形態に係る換気装置においては、上記巻き上げ軸2の駆動機3側(図1中左側)には、温室Hの側面H1と対向する位置に、開閉シート1から露出する部分があり、ここにベルト5が開閉シート1と並べて配置される。
【0030】
このベルト5は、一端(図1中上端)がシート定着フレーム6に固定され、開閉シート1とともに温室Hに吊設されている。また、このベルト5は、自由端となる他端(図1中下端)が巻き上げ軸2に固定され、開閉シート1とともに巻き上げ軸2に巻き取られ、巻き戻される。当該構成を備えることにより、ベルト5は、巻き上げ軸2を介して駆動機3を吊り下げた状態に支持している。
【0031】
つづいて、上記巻き上げ軸2を回転する駆動機3が軸方向(図1中上下方向)に沿って移動可能に取り付けられるガイド柱4は、本実施の形態において、中空のパイプからなり、上記巻き上げ軸2における温室Hの妻面H2よりはみ出た部分に交わるように地面上に起立する。
【0032】
そして、上記駆動機3は、上記したように、上記巻き上げ軸2の一端(図1中左端)に連結されてこの巻き上げ軸2を回転する駆動機本体30と、上記ガイド柱4に沿って移動可能な移動部材31とからなる。
【0033】
上記駆動機本体30は、温室H内若しくは温室H外に配置される制御盤(図示せず)で操作することが可能な電動モータ(図示せず)を内蔵している。
【0034】
そして、図2に示すように、上記電動モータのモータシャフト30aがカップリング7を介して巻き上げ軸2と同軸に連結されることから、電動モータを操作してモータシャフト30aを回転したとき、このモータシャフト30aの回転方向に従って巻き上げ軸2も等しく回転する。
【0035】
尚、電動モータの操作は、図示しないリモコンですることも可能となっており、これにより、換気装置の遠隔操作が可能である。
【0036】
一方、駆動機3における移動部材31は、図2,図3に示すように、相対向する一対のガイドプレート32,33と、これらガイドプレート32,33の間に回転自在に軸支されるとともにガイド柱4を挟む二対のローラ34a,34b,35a,35bと、上記一対のガイドプレート32,33と上記駆動機30とを連結する連結プレート36とを備える。
【0037】
上記各ガイドプレート32,33は、図3に示すように、それぞれC字状に形成されてなり、一端32a,33aが図3中上側に、他端32b,33bが図中下側に配置される。そして、各ガイドプレート32,33は、水平に配置される上記巻き上げ軸2の側面に対して垂直に交わるよう配置され、一端32a,33aと他端32b,33bとの間に形成される開口部(符示せず)に巻き上げ軸2が挿通する。
【0038】
また、上記各ローラ34a,34b,35a,35bは、相対向するガイドプレート32,33の間に架設される軸37の軸周りに回転自在に取り付けられている。これら各ローラ34a,34b,35a,35bには、図4(a),(b)に示すように、周方向に沿って断面C字状の溝Cが形成されており、中央部が括れた状態になっている。
【0039】
また、本実施の形態において、最も上側に配置されるローラ34bと、次のローラ34aが対となり(図1(a))、この次のローラ35aと最も下側に配置されるローラ35bが対となっており(図4(b))、対となるローラ即ち、ローラ34aとローラ34b、ローラ35aとローラ35bがガイド柱4の軸方向(図2、図5中上下)にずれて配置され、図4,図5中Xで示すように、一部がオーバーラップするようになっている。
【0040】
尚、本実施の形態においては、ガイドプレート32,33がC字状に形成されるため、対となるローラ(34aと34b、35aと35b)を上下にずらして配置する際に、ガイドプレート32,33に沿ってローラ34a,34b,35a,35bを配置すればよく、この場合においては、各ローラ34a,34b,35a,35bが台形の頂点部に位置するよう配置される。
【0041】
したがって、図4(c)で示すように、対となるローラ(34aと34b、35aと35b)を上下にずらさず対応する位置に配置した場合と比較して、ローラ34a,34b,35a,35bとガイド柱4との接触面積が大きくなり、移動部材31におけるガイド柱4に対してのホールド感を高めることが可能となる。
【0042】
もどって、上記ローラ34a,34b,35a,35bを貫通する軸37は、図3に示すように、基端部に六角柱状のヘッド部37aを備えるとともに先端部37bに螺子溝が形成されるボルトからなる。
【0043】
そして、各ガイドプレート32,33には、対向する位置にボルト孔32c,32d,32e,32f,33c,33d,33e,33fがそれぞれ形成されており、上記軸37は、一方のガイドプレート32の外側からボルト孔32c,32d,32e,32fにその先端部37bを挿通して他方のガイドプレート33のボルト孔33c,33d,33e,33fから突出させ、この突出した先端部37bにナット38を螺合することにより、軸37はガイドプレート32,33に固定されている。
【0044】
尚、本実施の形態において、図3に示すように対となるローラ(34aと34b、35aと35b)のうち、一方のローラ34a,35aに貫通する軸37を取り付けるためのボルト孔32d,33d,32e,33eが横長に形成されている。
【0045】
また、上記ガイドプレート32,33に駆動機本体30を連結する連結プレート36は、水平板状の連結部36aと、この連結部36aの温室側端(図3中左端)から図3中上側に起立する第一固定部36bと、上記連結部36aの反温室側(図3中右側)の図3中前後端から上側に相対向して起立する一対の支持片36c,36cと、これら支持片36c,36cの温室側端(図3中左端)から外側にそれぞれ連設されて上記第一固定部36bと対向する第二固定部36d,36dとからなる。
【0046】
そして、上記第一固定部36bが螺子B,Bで温室側(図3中左側)のガイドプレート33に固定されるとともに、上記第二固定部36d,36dが螺子B,Bで他方側(図3中右側)のガイドプレート32に固定されている。
【0047】
さらに、上記支持片36c,36cの間には図示しない軸が架設されており、駆動機本体30がこの軸の軸周りに揺動可能に取り付けられている。
【0048】
尚、本実施の形態において、上記駆動機3における上記駆動機本体30は、巻き上げ軸2が水平になる起立状態から温室から離れる方向(反巻き上げ軸側)に20度傾く範囲(図2中矢印Y)において揺動可能である。
【0049】
次に、本実施の形態に係る換気装置の作用効果について説明する。開閉シート1で閉じられている温室Hの開口Oを開くとき、巻き上げ軸2を回転して、巻き上げ軸2に開閉シート1及びベルト5を巻き取っていく。
【0050】
このとき、巻き上げ軸2が開閉シート1に沿って上方向に転がりながら移動して温室Hの開口Oを開くとともに、温室Hから垂れ下がるベルト5の自由長(図1中矢印Zの長さ)が短くなるため、駆動機3が上記ベルト5に引き上げられてガイド柱4に沿って図1中上方向に移動する。
【0051】
一方、巻き上げ軸2に開閉シート1が巻き取られて開いている温室Hの開口Oを閉じるとき、巻き上げ軸2を逆転して、巻き上げ軸2から開閉シート1及びベルト5を巻き戻していく。
【0052】
このとき、巻き上げ軸2が自重と、巻き取った開閉シート1の重みで下方向に転がりながら移動して温室Hの開口Oを閉じるとともに、温室Hから垂れ下がるベルト5の自由長(図1中矢印Zの長さ)が長くなるため、駆動機3が自重でガイド柱4に沿って図1中下方向に移動する。
【0053】
そして、本発明の換気装置においては、駆動機3の重みでベルト5が伸びると、駆動機本体30がその重みで温室Hから離れる方向(反巻き上げ軸側、図1中左側)に傾くが、駆動機本体30の揺動範囲(図2中矢印Y)においては、移動部材31がガイド柱4に対して傾くことがない。
【0054】
また、本実施の形態において、駆動機本体30が傾いていることを作業者が発見した場合には、駆動機本体30が起立状態から20度傾いた状態、即ち、揺動限界になる前に、ベルト5を交換若しくは調整して駆動機本体30を起立状態に戻せばよい。
【0055】
したがって、本実施の形態における換気装置は、移動部材31が自在鉤のようになって駆動機3が動かなくなることを防止し、駆動機3の円滑な移動を維持することが可能となる。
【0056】
これにより、従来のように、開閉シート1に負荷をかけることなく開閉シート1の破損を防止することが可能となる。
【0057】
また、従来の換気装置において、駆動機300が動かなくなった状態で巻き上げ軸2を回転すると、カップリング7の螺子に負荷をかけ、この螺子の破損につながる。しかしながら、本発明によれば、駆動機3の円滑な移動が維持されているため、カップリング7の螺子に負荷をかけることがなく、この螺子を破損させることもない。
【0058】
さらに、本実施の形態のように、駆動機本体30が電動モータを内蔵する場合、手動で操作する駆動機3と比較して重量が重く、移動部材31がガイド柱4に対して傾いて自在鉤のようになり易い。そして、駆動機3が動かなくなった場合には、電動モータの故障の原因となるため、駆動機3の円滑な移動を可能にすることは、極めて有効である。
【0059】
また、本実施の形態における換気装置は、温室Hに吊設されるベルト5を備え、このベルト5で駆動機3を吊り下げた状態に支持しているため、開閉シート1にかかる負荷を軽減することが可能となる。
【0060】
そして、本実施の形態のようにベルト5を備える換気装置においては、ベルト5の交換・調整時期の判断が難しく、従来の駆動機を使用した場合には、駆動機が動かなくなってからベルト5が伸びていたことに気づく場合が多い。
【0061】
しかし、本発明においては、ベルト5が伸びると駆動機本体30が傾くため、ベルト5の交換・調整時期を容易に判断でき、駆動機3が動かなくなる前にベルト5を交換若しくは調整することができる。
【0062】
また、本実施の形態における駆動機本体30は、巻き上げ軸2が水平になる起立状態から温室Hから離れる方向に20度傾く範囲において揺動することから、カップリング7がガイドプレート32,33に接触する前に揺動限界となり、カップリング7とガイドプレート32,33が干渉することを防止できる。さらに、上記揺動範囲とすることで、ベルト5を交換若しくは調整するための期間を充分に確保することができる。
【0063】
また、本実施の形態においては、ガイド柱4を挟む対となるローラ(34aと34b、35aと35b)がガイド柱4の軸方向にずれて配置され、一部がオーバーラップするようになっていることから、上記したようにガイド柱4のホールド感を高めて、移動部材31の移動をより円滑にすることが可能となる。
【0064】
また、本実施の形態においては、ローラ34a,34b,35a,35bに断面C字状の溝Cが形成され、ローラ34a,34b,35a,35bの中央部が括れていることから、ローラ34a,34b,35a,35bの軸方向(図2中左右方向)にガイド柱4が多少ずれたとしても、移動部材31の移動の妨げとならない。
【0065】
また、本実施の形態においては、ガイドプレート32,33がC字状に形成されて一端32a,33aと他端32b,33bとの間に開口部が形成されているため、この開口部に巻き上げ軸2を挿通し、巻き上げ軸2とガイド柱4とを接近させることが可能となる。
【0066】
したがって、ローラ34a,34b,35a,35bに負荷をかけず、移動部材31のより円滑な移動が可能となる。また、ガイドプレート32,33に沿ってローラ34a,34b,35a,35bを配置すれば、対をなすローラ(34aと34b、35aと35b)を上下にずらして配置でき、併せてガイドプレート32,33をコンパクトにすることが可能となる。
【0067】
また、本実施の形態において、対をなす上記ローラ(34aと34b、35aと35b)のうち、一方のローラ34a,35aを軸支する軸37,37を取り付けるためのボルト孔32d,33d,32e,33eが横長に形成される。
【0068】
したがって、一方のローラ34a,35aを横方向(図3中左右)にずらしてローラ34a,35aの位置調整が可能となり、対となるローラ(34aと34b、35aと35b)の間隔をガイド柱4の太さに応じた間隔に設定することが可能となる。
【0069】
以上、本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明したが、特許請求の範囲から逸脱することなく改造、変形及び変更を行うことができることは理解すべきである。
【0070】
例えば、上記実施の形態において、本発明に係る換気装置が温室Hの側面H1の開口Oを開閉するとしたが、温室Hの妻面H2若しくは屋根面H3に開口を設け、この開口を開閉するとしてもよい。
【0071】
また、上記実施の形態において、移動部材31におけるガイドプレート32,33がC字状に形成され、ローラ34a,34b,35a,35bが台形頂点上に配置されるとしたが、ガイドプレート32,33の形状及びローラ34a,34b,35a,35bの配置は上記の限りではない。
【0072】
また、駆動機本体30の揺動範囲(図2中矢印Y)は、上記の限りではなく、適宜設定することが可能である。駆動機本体30が20度以上傾斜してもカップリング7がガイドプレート32,33に干渉しない場合には、上記揺動範囲を20度より大きく設定してもよい。
【0073】
また、上記実施の形態において、駆動機3をベルト5で吊り下げた状態に支持するとしているが、換気装置が必ずしもベルト5を備える必要はなく、開閉シート1が駆動機3を吊り下げた状態に支持するとしても良い。
【0074】
また、ベルト5に替えて、チェーンやワイヤ等により駆動機3を吊り下げた状態に支持するとしても良く、ベルト5、チェーン若しくはワイヤが開閉シート1とともに、巻き上げ軸2に巻き取られ、巻き戻されなくても良い。
【0075】
また、図6に示すように、駆動機本体30の上側にガイド柱4に向けて伸びるガイド部材39を取り付けるとともに、このガイド部材39に回転自在に取り付けられたローラ39aをガイド柱4の反駆動機本体側面に当接させても良い。
【符号の説明】
【0076】
H 温室
O 開口
1 開閉シート
2 巻き上げ軸
3,300 駆動機
4 ガイド柱
5 ベルト
6 シート定着フレーム
7 カップリング
30,301 駆動機本体
31,310 移動部材
32,33 ガイドプレート
32c,32d,32e,32f,33c,33d,33e,33f ボルト孔
34a,34b,35a,35b ローラ
36 連結プレート
37 軸
38 ナット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
温室に形成される開口を開閉し上記温室に吊設される開閉シートと、この開閉シートを巻き取り、巻き戻す巻き上げ軸と、この巻き上げ軸を回転する駆動機と、この駆動機が軸方向に沿って移動可能に取り付けられるガイド柱とを備える換気装置であって、
上記駆動機が上記巻き上げ軸の一端に連結されてこの巻き上げ軸を回転する駆動機本体と、上記ガイド柱に沿って移動可能な移動部材とからなり、上記開閉シートの巻き取り、巻き戻しに伴って上記駆動機がガイド柱に沿って移動する換気装置において、
上記駆動機本体が上記移動部材に揺動可能に連結されることを特徴とする換気装置。
【請求項2】
一端が上記温室に固定されるとともに自由端となる他端が上記巻き上げ軸に固定され上記駆動機を吊り下げた状態に支持するベルトを備えることを特徴とする請求項1に記載の換気装置
【請求項3】
上記駆動機本体が電動モータを内蔵し、この電動モータのモータシャフトが上記巻き上げ軸に連結されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の換気装置。
【請求項4】
上記駆動機本体は、上記巻き上げ軸が水平になる起立状態から上記温室から離れる方向に20度傾く範囲において揺動することを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の換気装置。
【請求項5】
上記移動部材が相対向する一対のガイドプレートと、これらガイドプレートの間に架設される軸と、この軸の軸周りに回転自在に取り付けられるとともに上記ガイド柱を挟む二対のローラとを備え、
対となる上記ローラが、上記ガイド柱の軸方向にずれて配置され、一部がオーバーラップするようになっていることを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の換気装置。
【請求項6】
上記各ローラに周方向に沿って断面C字状の溝が形成されることを特徴とする請求項5に記載の換気装置。
【請求項7】
上記各ガイドプレートがC字状に形成され、このガイドプレートに沿って上記各ローラが配置されると共に、上記ガイドプレートの一端と他端との間に形成される開口部に上記巻き上げ軸が挿通することを特徴とする請求項5または請求項6に記載の換気装置。
【請求項8】
上記軸は、上記各ガイドプレートに形成されるボルト孔を介して取り付けられており、対をなす上記ローラのうち、一方の上記ローラを軸支する上記軸を取り付けるための上記ボルト孔が横長に形成され、対をなす上記ローラの間隔を変更可能なことを特徴とする請求項5から請求項7の何れかに記載の換気装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−34443(P2013−34443A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−174568(P2011−174568)
【出願日】平成23年8月10日(2011.8.10)
【出願人】(000221568)東都興業株式会社 (57)
【Fターム(参考)】